JPH10215794A - 無味白色ゲル状絹フィブロインを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食品 - Google Patents

無味白色ゲル状絹フィブロインを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食品

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JPH10215794A
JPH10215794A JP9044704A JP4470497A JPH10215794A JP H10215794 A JPH10215794 A JP H10215794A JP 9044704 A JP9044704 A JP 9044704A JP 4470497 A JP4470497 A JP 4470497A JP H10215794 A JPH10215794 A JP H10215794A
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JP
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silk fibroin
solution
silk
tasteless
calcium chloride
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JP9044704A
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English (en)
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Yoshiharu Igarashi
十 嵐 喜 治 五
Kazuko Hirao
尾 和 子 平
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TSURUOKASHI
Original Assignee
TSURUOKASHI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絹を原料とし、得られる絹フィブロインを利
用した新規な食品に関するものであり、特にペプシンに
よる人工消化率が高められた無味白色ゲル状絹フィブロ
インを実現し、それを粘弾性付与材として適量混入加工
することによって、その破断強度、ゼリー強度、粘着
性、咀嚼性、ガム性等が増強されてなる新規な柔弾性緻
密構造の加工食品を提供する。 【解決手段】 セレシン除去処理の施されてなる絹フィ
ブロイン溶液に対し、有効な割合となる範囲の塩化カル
シウム溶液を混合して十分に加熱溶解した後、冷却、透
析し、濾過して得た濾液を、酸性にpH調整してから、
再度透析して生成してなる、ペプシンによる人工消化で
高い消化率を示す無味白色ゲル状絹フィブロインが、粘
弾性付与材として適量混入加工された、無味白色ゲル状
絹フィブロインを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加
工食品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】この発明は、絹を原料として得られる絹
フィブロインを利用した新規な食品に関するものであ
り、特にペプシンによる人工消化率が高められた無味白
色ゲル状絹フィブロインを実現し、それを粘弾性付与材
として適量混入加工することによって、その破断強度、
ゼリー強度、粘着性、咀嚼性、ガム性等が増強されてな
る新規な柔弾性緻密構造の加工食品を提供しようとする
ものである。
【0002】
【従来技術】自由経済市場化が推し進められ、様々な分
野の商品の関税が引き下げられたり、撤廃されたことに
よる輸入製品価格の低落、加えて、我が国の経済力に起
因してもたらされた円高傾向による海外製品価格の相対
的な低廉化等、最近の我が国が置かれた経済環境の変遷
により、かっては隆盛を極めたこともあった絹糸あるい
は絹織物関連業界も、安価な輸入製品に押しまくられて
国内生産では到底太刀打ちできなくなり、今ではすっか
り停滞気味となっていて活気を失い、精々高級化指向の
衣料または衣料関連商品分野においてどうにか生き長ら
えているといったような極めて厳しい状況下で低迷して
いる。
【0003】こうした事情から、元々伝統ある我が国の
絹糸あるいは絹織物関連業界では、絹の新たな応用分野
の模索を長年に渡って継続してきている。その一つが、
天然素材の絹が有している適度な吸湿性や保水性、皮膚
や毛髪に対する秀れた親和作用や保護作用等の特性を生
かした化粧品や医療基材への応用があり、更に他の一つ
が、絹を構成する繊維状蛋白質を抽出し、その滑らかな
舌触りやゲル化したものの多孔構造による吸着作用等を
食品添加剤あるいは食品基材等といった食品分野に応用
しようとする試みである。
【0004】この食品分野への応用例としては、例え
ば、特開平1−256350号公報に開示された「絹フ
ィブロインを用いた食品およびその製造方法」の発明で
は、屑絹を液温90度の0・5%炭酸ナトリウム溶液で
処理して絹フィブロインを調製し、次いで、絹フィブロ
インを塩化カルシウム、エタノール混合水溶液に溶解
し、それを吸引して得られる濾液をセルロースチューブ
中で透析し、得られた透析液にオレンジジュースを加
え、更にクエン酸を加えてpH4に調整したときに生成
されるゲル状の絹フィブロインを用いた食品と、そのた
めの製造方法とが提案されている。
【0005】また、特開平1−256352号公報の
「二日酔防止食品およびその製造方法」に開示されてい
る、上記「絹フィブロインを用いた食品およびその製造
方法」に関連する発明は、絹フィブロインを構成するア
ラニンが二日酔防止機能を有することを利用しようとす
るものであり、更に、特開平4−267861号の「シ
ルクパウダー入りドレッシングおよびその製造方法」発
明には、絹フィブロインを構成するアミノ酸として、ア
ラニン、グリシン、チロシン等を多く含有していること
を生かして、絹フィブロイン微粉末、即ちシルクパウダ
ーをそのままドレッシング素材に混入、利用するもので
ある。
【0006】更に、特開平2−177864号の、まゆ
玉、屑まゆを炭酸ナトリウムで加熱処理し、得られる精
製フィブロインを塩化カルシウム溶液で煮沸し、吸引
後、透析した溶液を凍結乾燥して、精製フィブロイン粉
末を得、これを酵素あるいはリン酸加水分解し、脱塩
後、凍結乾燥して製造した「絹タンパク質加水分解物含
有食物およびその製造方法」の発明、あるいは、特開平
1−313530号の、絹フィブロイン水溶液をハンド
ミキサー等を用いて激しく撹拌し、その応力により構造
移転を行ってフォーム状にし、これを取り出して凍結乾
燥後粉砕し、絹フィブロイン粉末にする「絹フィブロイ
ン粉末の製法」の発明、あるいはまた、特公平6−46
79号の、活性炭による脱色とイオン交換樹脂による脱
塩を行って製造した冷水易溶性の粉末状絹フィブロイン
ペプチドを製造する「粉末状絹フィブロインペプチドと
その製造方法」の発明等でも、透折、脱塩化た透折内液
を、そのまま何等かの手段によって粉末化し、前記と同
様にシルクパウダーとして食品内に添加、摂取するに止
まるものであった。
【0007】しかしながら、この発明のように、絹を原
料としてはいるものの、格段に体内消化効率を高めた新
規な構造の絹フィブロインを透折、調整し、しかも、そ
れを無味白色で何等食味や外観にも影響を及ぼすことの
ないゼリー状絹フィブロインとしたまま、その適量を、
従前までの各種柔弾性緻密構造を有する加工食品、例え
ばヨーグルトゼリーや白玉の外、プディングをはじめ、
各種ゼリーや羊羹、外郎等といった柔弾性を必要とする
菓子類、あるいは蒲鉾や薩摩揚げ等といった練り物その
他、柔弾性を欠くことができない各種加工食品を製造す
る際に使用される素材の一つで、水や牛乳、あるいはそ
れらに相当する溶媒あるいは繋ぎ液等として機能する素
材の一部または全部に置き換え、使用することにより、
対象となる素材に粘弾性を付与、増強すると共に、食品
内の蛋白源の一部として吸収されてしまうようにする提
案や、あるいはそれを示唆するような文献その他の情報
は、少なくとも本願発明人において知り得る範囲内で全
く見出だすことができなかった。この発明は、以上のよ
うな状況に鑑みて、絹の全く新たな応用技術として開
発、研究の結果、実現化されたものであって、以下で
は、幾つかの実施例や比較実験データと共に、その構成
の詳細を説示していくこととする。
【0008】
【発明の構成】この発明の無味白色ゲル状絹フィブロイ
ンを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食品は、次
のとおりの構成を要旨とするものである。即ち、絹原料
に炭酸水素ナトリウム溶液を加えてセレシン除去処理の
施されてなる絹フィブロイン溶液に対し、絹フィブロイ
ンの可溶化を高めて体内摂取段階でのペプシンによる消
化率を良くする上で有効な割合となる範囲の塩化カルシ
ウム溶液を混合して十分に加熱溶解した後、冷却、透析
することによって塩化カルシウムを除去した透折内液を
生成した上、濾過し、該濾液のゲル化が促進されるよう
酸性にpH調整してから、再度透析することにより、そ
の透折内液として得られる、ペプシンによる人工消化で
高い消化率を示す無味白色ゲル状絹フィブロインが、粘
弾性付与材として適量混入加工された、無味白色ゲル状
絹フィブロインを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加
工食品である。
【0009】更に具体的には、絹原料に約1%濃度の炭
酸水素ナトリウム溶液を加えてセレシン除去処理の施さ
れてなる絹フィブロイン溶液10gに対し、40〜50
%濃度の塩化カルシウム溶液約200mlを混合して、
95〜98℃程度の温度で約8時間に渡って加熱溶解し
た後、5℃程度まで冷却して透析することにより、塩化
カルシウムを除去した透折内液を生成した上、濾過し、
該濾液を酢酸またはクエン酸でpH2.5〜3、望まし
くは約pH2.8程度の酸性にpH調整してから、再度
透析することにより、その透折内液として得られる、ペ
プシンによる人工消化で高い消化率を示す無味白色ゲル
状絹フィブロインが、粘弾性付与材として適量混入加工
されたものとした、無味白色ゲル状絹フィブロインを混
入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食品が、この発明
の構成の要旨となる。
【0010】絹原料としては、繭屑や生糸屑、絹布屑等
の絹屑の外、必要があれば繭や生糸、ビス、ブーレット
等を採用することも可能であり、常法による手段、例え
ば、ノイゲン(商品名)等の界面活性剤を混入した温水
中に長時間浸漬、放置したままにしたり、あるいは浸漬
中に適宜振湯したりする等してセリシンを溶出させてし
まうようにする外、望ましくは、1%濃度の炭酸水素ナ
トリウム溶液を加えた溶液中で煮沸し、その上澄み液を
捨てる処理を2〜3回程度繰り返して積極的にセレシン
を除去する処理を施し、できるだけ効率よく絹フィブロ
イン溶液を精製する。
【0011】塩化カルシウムは、この発明の柔弾性緻密
構造の加工食品に製造され、食品の一部として摂取され
たときに、ペプシン(胃に含まれる蛋白質分解酵素の一
つ)による消化が良くなる性状の絹フィブロイン(蛋白
質が完全にゲル化していて、繊維の一部が残存するよう
な粗雑なゲル化状態のままになっていない絹フィブロイ
ン)が最終的に生成されるよう機能するものであり、同
様の機能は、塩化マグネシウムや臭化リチウム等によっ
てももたらされるが、体内への影響(ゲル内に残存して
しまった場合)や環境への影響(透折液の廃棄)等を考
慮すると、この機能を達成する上で、塩化カルシウムが
最も望ましく、セレシンが除去された絹フィブロイン溶
液に対し、その目的が達成できる有効な割合、例えば該
溶液10g当たり、濃度40〜50%のこの塩化カルシ
ウム溶液が約200ml程度となる割合で混入され、9
5〜98℃に加熱しながら、8時間程度に渡って十分に
加熱溶解する。
【0012】第1段階の透折、および後述する第2段階
の透折は、共に、従前から公知の透折手段、例えばセロ
ファン膜に代表されるような透折膜や、透折用セルロー
ス製の中空繊維が装填された公知の透折器等を使って実
施されればよく、第1段階での透折では、塩化カルシウ
ム溶液に混合され、十分に加熱溶解された絹フィブロイ
ン溶解液は、略5℃辺りまで冷却し、適宜これら公知の
透折手段で透折されて透析内液を生成してから、ガーゼ
で濾過することにより、塩化カルシウムが除去されると
共に、残存する微量の浮遊物も取り除かれた、透明で均
一な粘性体の濾液とする。なお、この段階の透折は、水
道水を用いて3日間程度実施されるようにすれば、目的
の透折内液の生成が可能となる。
【0013】この濾液は、更に均質且つ迅速なゲル化
(β構造化)を図る上で有効な、酸性側へのpH調整
(pH2.5〜3、望ましくはpH2.8)が、酢酸や
クエン酸等を添加、撹拌することによって実施され、こ
のゲル化が完全に進行し終えない段階に、再び透折して
その透折内液を得る。この透折内液は、第2段階目の透
折を経ることにより、そうでなければ酸味があって各種
食品用の粘弾性付与材として混入する上で不都合な性状
に止まってしまうゲル状絹フィブロインから、殆ど完全
に酸味が除去されていて、最終製造物である柔弾性緻密
構造の加工食品の食味や外観に全く悪影響をもたらさ
ず、かえってその粘着力や咀嚼性、ガム性、歯応え、艶
等の点では好作用を及ぼす無味白色ゲル状絹フィブロイ
ンに生成されている。
【0014】こうして生成された無味白色ゲル状絹フィ
ブロインは、その適量、即ち、混入して製造しようとす
る柔弾性緻密構造の加工食品、例えば、少なくともこの
発明が包含するヨーグルトゼリーと白玉の外、その他、
柔弾性(比較的柔らかめの弾力性を有する状態で固まっ
ている性状)を欠かせない食品、幾つかを例示すれば、
プディングや各種ゼリー菓子、羊羹、外郎等の菓子類、
あるいは蒲鉾や薩摩揚げ、つみれ等、練り物と称される
惣菜類等、対象とする各種加工食品に応じ、それを製造
する際に必要とされる、水や牛乳、あるいはそれらに相
当する溶媒あるいは繋ぎ液等の一部または全部とする上
で最適な量が、適宜選択、使用されることになる。
【0015】したがって、その適量の範囲は、対象とな
る柔弾性緻密構造の加工食品の違いによって夫々異なっ
てくると共に、対象が同一の柔弾性緻密構造の加工食品
であっても、趣向の違いや組み合わせる素材の質・量の
違い、あるいは製造時節をはじめ、製造条件の違い等
々、様々な要因、条件によって、必ずしも一定するもの
とはいえない。以下、この関連する発明4を含む、この
発明が包含する全ての発明の構成が、より適確に把握さ
れるように、幾つかの実施例および実験データを示すこ
ととする。
【0016】
【実施例1】これは、無味白色ゲル状絹フィブロインを
混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食品の最も代表
的な事例として、ヨーグルトゼリーの場合を示すもので
ある。屑絹を、濃度1%炭酸水素ナトリウム溶液で30
分間煮沸し、その上澄み液を捨てて、再度同溶液による
煮沸操作を3回反復し、セレシンを除く。
【0017】続いて、セレシンを除去した絹フィブロイ
ン20gに対し、脱塩水250ccと塩化カルシウム溶
液250gとを加え、約95℃で略8時間加熱する。そ
して、冷却後、透析用セルロースチューブ(透析膜1−
7/8、三光純薬株式会社製)を用いて水道水で3日間
の透析処理を行い、ガーゼで濾過して濾液を生成する。
上記第1回目の透折で塩化カルシウムが除去されてなる
濾液に、酢酸を加えてpH2.8に調整した上、再度、
透析膜に戻して7〜8日間に渡って第2回目の透析処理
を行い、ゲル状絹フィブロインを得る。なお、このゲル
状絹フィブロインは、更に流水中で3〜4時間透折する
のが望ましい。そして、予め70℃で3時間加熱殺菌し
ておく。
【0018】こうして得た無味白色ゲル状絹フィブロイ
ン約600ccと、それと等量の牛乳とを合わせ、合計
で1.2リットルとして、軽く撹拌しながら沸騰直前ま
で温めた後、火を止めから、予め240ccの水に80
gの割合でゼラチンを混ぜ合わせ、膨潤化したものを加
えて牛乳溶液となし、この牛乳溶液の中に、予めプレー
ンヨーグルト1kgに対して砂糖約480g加え、泡立
て器でよく混ぜ合わせた混合液を、静かに撹拌しながら
加え、更にレモン果汁60ccも加えてから、型に流し
て成型すれば、この発明の無味白色ゲル状絹フィブロイ
ンを混入してなる柔弾性緻密構造の加工食品としてのヨ
ーグルトゼリーが得られる。
【0019】
【実施例2】次に、無味白色ゲル状絹フィブロインを混
入加工して得られる白玉について代表的な実施例を示す
こととする。上記実施例1と同様にして得た無味白色ゲ
ル状絹フィブロインを、使用する白玉粉の重量と略同重
量として適宜容器内で良く撹拌し、略耳タブ程度の固さ
の混練物となるよう(したがって、その固さが得られる
よう、白玉粉の乾燥程度に応じて、加える無味白色ゲル
状絹フィブロインの容量を適宜増減させる)にした上、
適当な大きさの団子状に丸め、沸騰させてあるお湯の中
に投入し、浮き上がってくるまで茹で上げ、浮き上がっ
てきたものから冷水にいれて冷やせば、この発明の無味
白色ゲル状絹フィブロインを混入してなる柔弾性緻密構
造の加工食品として、光沢の良い白玉が得られる。
【0020】
【実験1】以上の各実施例で示したヨーグルトゼリーお
よび白玉に混入、使用した無味白色ゲル状絹フィブロイ
ンの、ペプシンによる消化率の測定実験をした。実施例
1および2において使用した無味白色ゲル状絹フィブロ
インと同様にして生成する中途の第1段階の透折を終
え、濾過して得られ濾液(絹フィブロイン溶液)と、第
2段階の透折を終えて得られる無味白色ゲル状絹フィブ
ロイン各10gに0.4規定の塩酸2.5mlを加え、
20mgのペプシン(和光純薬株式会社製1:10,0
00)を溶解してなる0.1N塩酸溶液5mlを加え
た。37℃で7時間消化した後、最終濃度5%になるよ
うにトリクロロ酢酸を加えて反応を停止させ、未消化蛋
白質の沈殿を生成した。未消化蛋白質の窒素含量をケル
ダール法で測定し、消化率を求めた。そのデータが表1
に示されている。
【0021】
【実験2】同じく、前記実施例1および2で示したヨー
グルトゼリーおよび白玉に混入、使用した無味白色ゲル
状絹フィブロインの、パンクレアチンによる消化率の測
定実験をした。無味白色ゲル状絹フィブロイン10gに
0.2Mリン酸緩衝液(pH8.0)20ml加え、更
にパンクレアチン(和光純薬株式会社製)25mgを加
え、37℃で5時間消化を行った。次いで最終濃度5%
になるようにトリクロロ酢酸を加えて反応を停止させ、
沈殿として生成した未消化蛋白質のの窒素含量をケルダ
ール法で測定し、消化率を求め、表1に、上記実験1の
データと合わせて示してある。なお、実験1および2
共、比較のため、塩化カルシウムの加熱溶融時間を、4
時間、6時間にして得た絹フィブロイン溶液および無味
白色ゲル状絹フィブロインの場合のデータも含めてあ
る。
【0022】
【表1】
【0023】[測定結果]表1からも解るように、無味
白色ゲル状絹フィブロイン中のフィブロイン蛋白質のペ
プシンによる消化率は、塩化カルシウム溶液による加熱
時間の延長とともに高くなり、8時問の加熱では88%
の消化率を示した。絹フィブロインの溶解が完了した4
時間加熱溶液から透折、濾過した濾液として調製された
フィブロイン溶液中のフィブロイン蛋白質の消化率は、
51%で低い値を示した。8時間以上の加熱時間では、
フィブロイン溶液(濾液)からのゲルの生成が生じない
場合があり、無味白色ゲル状絹フィブロインの製造が可
能な高消化性フィブロイン溶液の調製には8時間加熱が
適当と判断された。
【0024】無味白色ゲル状絹フィブロインのペプシン
およびパンクレアチンによる消化率は、フィブロイン溶
液(濾液)の場合と同様、塩化カルシウム溶液による加
熱時間が8時間のものから製造したものが最も高かっ
た。この結果は、無味白色ゲル状絹フィブロインを食品
素材として利用し、且つ無味白色ゲル状絹フィブロイン
を構成するアラニンの生理機能(例えば、既述の特開平
1−256352号公報に開示された発明で知られる二
日酔防止機能)等を最大限に発現させる場合、塩化カル
シウム溶液による加熱時間は、8時間が望ましいことを
示している。
【0025】
【実験3】実施例1のヨーグルトゼリー、および実施例
2の白玉の物性を明らかにするため、その破断試験と咀
嚼試験とを行った。何れの試験も、不動工業株式会社製
のレオメーターによるものである。破断試験は、検出器
2kg、レンジ2kg、テスト速度2(cm/M)の条
件下で行い、アダプターは、ゼラチン用(アダプター直
径20mm、面積314.15mm2 )を使用した。ア
ダプターの高さは25mmとした。咀嚼試験は、検出器
2kg、レンジ2kg、テスト速度30(cm/M)の
条件下で行い、アダプターとしては、粘弾性用(アダプ
ター直径12.5mm、面積122mm2 )を用いた。
咀嚼は2回行つた。
【0026】なお、比較のため、牛乳を全量そのまま使
用したヨーグルトゼリーの場合も行った。また、破断試
験に使用するヨーグルトゼリーは、調製後、直ぐにそれ
らの50mlずつを100mlのビーカーに流して成型
したものを使用した更に、白玉の咀嚼試験には、耳タブ
程度の軟らかさになった白玉粉と無味白色ゲル状絹フィ
ブロインとの混練物を、3cm四方、厚さ0.8cmに
切断したものを沸騰水中に入れ、同様に製造した白玉を
用いた。そして、その比較のために無味白色ゲル状絹フ
ィブロインの代わりに同量の水を使用して製造した白玉
の場合についても測定した。それらの測定結果の中、ヨ
ーグルトゼリーの場合のデータは表2、また、白玉の場
合のデータは表3に夫々示してある。
【0027】
【表2】
【0028】[ヨーグルトゼリーの物性の測定結果]牛
乳の半量を無味白色ゲル状絹フィブロインで置き換えて
製造したヨーグルトゼリーは、表2に示すように、牛乳
のみで製造したものに比べて、破断応力、破断強度、ゼ
リー強度、降伏値が高く、手で触った場合、強い弾力性
を感じとることができる。また、絹特有の白い光沢を帯
びており、ヨーグルトゼリーに絹のイメージを表現する
ことが可能である。牛乳の半量を無味白色ゲル状絹フィ
ブロインで置き換えると、牛乳、あるいは無味白色ゲル
状絹フィブロインのみを使用した場合よりもゼリー強度
が高くなり、無味白色ゲル状絹フィブロインは、ヨーグ
ルトゼリーの物性の改変等に有効であることが判明し
た。
【0029】
【表3】
【0030】[白玉の物性の測定結果]無味白色ゲル状
絹フィブロインを使用して製造した白玉は、表3に示さ
れているように、無味白色ゲル状絹フィブロインを使用
しないで製造した白玉に比べて、硬さが増し、粘着力、
咀轄性、ガム性に優れている。これらの物性を反映し
て、腰のある歯応えを感じることができ、無味白色ゲル
状絹フィブロインは、白玉の物性に改変にも十分に使用
可能であることが解る。また、無味白色ゲル状絹フィブ
ロインを使用した自玉は、白色の光沢を帯びており、製
品から絹のイメージを感じとることができる。
【0031】
【作用効果】以上のとおりの構成からなるこの発明の無
味白色ゲル状絹フィプロインを混入加工してなる柔弾性
緻密構造の加工食品は、その加工食品に混入した絹フィ
ブロイン蛋白質が、人体消化管内酵素によって高い消化
率が得られるよう、これまでに採用されたことのない新
規な調製方法によって得られる無味白色ゲル状絹フィプ
ロインを使用するものであって、しかも、その使用は、
対象となる加工食品の食味や外観に悪影響を及ぼすどこ
ろか、かえってその粘着力や咀嚼性、ガム性、歯応え、
艶等の点で極めて有利に作用することとなる粘弾性付与
材、即ち、柔弾性緻密構造の加工食品を製造する際に通
常必要とされる、水や牛乳、あるいはそれらに相当する
溶媒あるいは繋ぎ液等の一部または全部に代替すること
を可能とするものであることから、加工食品として摂取
された場合、絹フィブロイン蛋白質の機能性成分(二日
酔いの防止に有用なアラニン、血清ゴレステロール低下
作用に有用なグリシン等)が、絹フィブロイン蛋白質か
ら最大限効率的に遊離されてそれら加工食品の滋養強化
に繋がる特徴が発揮される上、混入量が適宜調整された
ものとすることにより、それら対象とする加工食品に最
適あるいはより秀れた食味や外観、物性が付加され、消
費者の趣向に合った加工食品作りにも威力を発揮できる
という一石二鳥の特徴を奏するものとなる。
【0032】特に、実施例1で示した無味白色ゲル状絹
フィブロインを、通常のヨーグルトゼリーの製造におい
てプレーンヨーグルトに加えられる所要牛乳量の略半分
に相当する量だけ、所要牛乳量から牛乳を置換させるよ
うにして牛乳に加えて製造されたヨーグルトゼリーは、
絹特有の白い光沢を有し、全量牛乳を用いて製造したヨ
ーグルトゼリーに比べて、高いゼリー強度を持つため、
滑らかな歯応えと、さっぱりした食味を得ることがで
き、また、通常の白玉製造における水に置き換えて、粘
弾性付与材としての無味白色ゲル状絹フィブロインが、
適量だけ白玉粉に加えられ製造した、実施例2で示した
白玉では、粘着力、咀嚼性、ガム性に優れ、腰のある歯
応えを感じることができるものとなる。
【0033】これらの実施例に代表されるように、夫々
に、望ましい物性と絹の光沢のある白色を付与した多く
の柔弾性緻密構造の加工食品の製造を可能にする特徴
は、例えば、特開平2−177864号「絹タンパク質
加水分解物含有食物およびその製造方法」の発明が、絹
フィブロインの塩酸加水分解物、あるいはパパイン、サ
モアーゼ等の蛋白質加水分解物によって、二日酔い防止
機能と関わるアラニンを遊離の状態、あるいは消化管酵
素により遊離可能なアラニンを結合型として含むように
したものと比較するのに、仮に、その消化率がこの発明
のものより格段に劣っていることを無視したとしても、
到底比較にならない歴然とした違いが露になる程に秀れ
た特徴ということができるものである。
【0034】叙上の如く、この発明は、従来のような活
気の見られない絹関連業界ではあるものの、旧くから伝
統産業の一つとして根付いてきている養蚕農家や絹糸あ
るいは絹織物製造業者が、今後ともその伝統を引き継い
で後世まで確実に伝えていくための一つの経済的裏付け
手段として、繭屑や生糸屑、絹布屑等の絹屑の外、必要
があれば繭や生糸、ビス、ブーレット等といったあらゆ
る絹原料に、新たな用途を見出だしてその応用の実現を
果たす上で大いに寄与することができるものであり、し
たがって、絹関連業界から高い評価がなされるのは勿論
のこと、従前よりも簡便且つ確実で、しかも、良質の柔
弾性緻密構造の加工食品の製造が可能となる各種加工食
品業界からも、大いに歓迎されるものと予想される。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絹原料に炭酸水素ナトリウム溶液を加え
    てセレシン除去処理の施されてなる絹フィブロイン溶液
    に対し、絹フィブロインの可溶化を高めて体内摂取段階
    でのペプシンによる消化率を良くする上で有効な割合と
    なる範囲の塩化カルシウム溶液を混合して十分に加熱溶
    解した後、冷却、透析することによって塩化カルシウム
    を除去した透折内液を生成した上、濾過し、該濾液のゲ
    ル化が促進されるよう酸性にpH調整してから、再度透
    析することにより、その透折内液として得られる、ペプ
    シンによる人工消化で高い消化率を示す無味白色ゲル状
    絹フィブロインが、粘弾性付与材として適量混入加工さ
    れたものとしたことを特徴とする、無味白色ゲル状絹フ
    ィブロインを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食
    品。
  2. 【請求項2】 絹原料に約1%濃度の炭酸水素ナトリウ
    ム溶液を加えてセレシン除去処理の施されてなる絹フィ
    ブロイン溶液10gに対し、40〜50%濃度の塩化カ
    ルシウム溶液約200mlを混合して、95〜98℃程
    度の温度で約8時間に渡って加熱溶解した後、5℃程度
    まで冷却して透析することにより、塩化カルシウムを除
    去した透折内液を生成した上、濾過し、該濾液を酢酸ま
    たはクエン酸でpH2.5〜3、望ましくは約pH2.
    8程度の酸性にpH調整してから、再度透析することに
    より、その透折内液として得られる、ペプシンによる人
    工消化で高い消化率を示す無味白色ゲル状絹フィブロイ
    ンが、粘弾性付与材として適量混入加工されたものとし
    たことを特徴とする、無味白色ゲル状絹フィブロインを
    混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食品。
  3. 【請求項3】 柔弾性緻密構造を有する加工食品が、プ
    レーンヨーグルトおよび牛乳、砂糖を主成分とし、適量
    の水、レモン果汁等が混入されて製造されるヨーグルト
    ゼリーであって、粘弾性付与材としての無味白色ゲル状
    絹フィブロインが、通常のヨーグルトゼリーの製造にお
    いてプレーンヨーグルトに加えられる所要牛乳量の略半
    分に相当する量だけ、所要牛乳量から牛乳を置換させる
    ようにして牛乳に加えられ、ヨーグルトゼリーに製造さ
    れた、請求項1または2何れか記載の無味白色ゲル状絹
    フィブロインを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工
    食品。
  4. 【請求項4】絹原料に約1%濃度の炭酸水素ナトリウム
    溶液を加えてセレシン除去処理の施されてなる絹フィブ
    ロイン溶液10gに対し、40〜50%濃度の塩化カル
    シウム溶液約200mlを混合して、95〜98℃程度
    の温度で約8時間に渡って加熱溶解した後、5℃程度ま
    で冷却して透析することにより、塩化カルシウムを除去
    した透折内液を生成した上、濾過し、該濾液を酢酸また
    はクエン酸でpH2.5〜3、望ましくは約pH2.8
    程度の酸性にpH調整してから、再度透析することによ
    り、その透折内液として得られる、ペプシンによる人工
    消化で高い消化率を示す無味白色ゲル状絹フィブロイン
    が、プレーンヨーグルトおよび牛乳、砂糖を主成分と
    し、適量の水、レモン果汁等が混入されて製造される通
    常のヨーグルトゼリーの製造におけるプレーンヨーグル
    トに加えられる所要牛乳量の略半分に相当する量だけ、
    所要牛乳量から牛乳を置換させるようにして牛乳に加え
    られ、ヨーグルトゼリーに製造されたことを特徴とす
    る、無味白色ゲル状絹フィブロインを混入加工してなる
    柔弾性緻密構造の加工食品。
  5. 【請求項5】 柔弾性緻密構造を有する加工食品が、白
    玉粉と水とを主成分とし、それらの混練物を適宜大きさ
    の団子状にして茹で上げ製造する白玉であって、通常の
    白玉製造における水に置き換えて、粘弾性付与材として
    の無味白色ゲル状絹フィブロインが、適量だけ白玉粉に
    加えられて団子状にして茹で上げ、白玉に製造された、
    請求項1または2何れか記載の無味白色ゲル状絹フィブ
    ロインを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食品。
  6. 【請求項6】 絹原料に約1%濃度の炭酸水素ナトリウ
    ム溶液を加えてセレシン除去処理の施されてなる絹フィ
    ブロイン溶液10gに対し、40〜50%濃度の塩化カ
    ルシウム溶液約200mlを混合して、95〜98℃程
    度の温度で約8時間に渡って加熱溶解した後、5℃程度
    まで冷却して透析することにより、塩化カルシウムを除
    去した透折内液を生成した上、濾過し、該濾液を酢酸ま
    たはクエン酸でpH2.5〜3、望ましくは約pH2.
    8程度の酸性にpH調整してから、再度透析することに
    より、その透折内液として得られる、ペプシンによる人
    工消化で高い消化率を示す無味白色ゲル状絹フィブロイ
    ンが、白玉粉と水とを主成分とし、それらの混練物を適
    宜大きさの団子状にして茹で上げ製造される通常の白玉
    の製造における水の全量に相当する適量として白玉粉に
    加えられ、白玉に製造されたことを特徴とする、無味白
    色ゲル状絹フィブロインを混入加工してなる柔弾性緻密
    構造の加工食品。
JP9044704A 1997-02-12 1997-02-12 無味白色ゲル状絹フィブロインを混入加工してなる柔弾性緻密構造の加工食品 Pending JPH10215794A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005510268A (ja) * 2001-10-25 2005-04-21 ユニヴァーシティー オブ コネティカット 生物活性材料、生物活性材料の製法およびその使用方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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