JPH10215729A - 菌食性線虫アフェレンクス・アベネの大量生産法とその長期保存法並びに利用法 - Google Patents

菌食性線虫アフェレンクス・アベネの大量生産法とその長期保存法並びに利用法

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JPH10215729A
JPH10215729A JP9021245A JP2124597A JPH10215729A JP H10215729 A JPH10215729 A JP H10215729A JP 9021245 A JP9021245 A JP 9021245A JP 2124597 A JP2124597 A JP 2124597A JP H10215729 A JPH10215729 A JP H10215729A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 本線虫は土壌病害の防除に有効であるが、そ
の大量生産法及び長期保存法は確立されておらず、継代
培養により菌食性能が低下するため、農業上に実用化さ
れていなかった。したがって、その大量生産法及び長期
保存法を確立する。 【解決手段】 植物質産業廃棄物または副産物よりなる
固体培地または多孔性固体支持体に培養液を含浸した人
工液体培地に、本線虫の餌糸状菌を接種すると共に、体
表面を滅菌した本線虫を接種して大量培養する。培養段
階ごとに餌糸状菌を変えて継代培養すれば菌食性能の低
下を防ぐことができる。大量生産した菌を高湿度から低
湿度まで湿度傾斜させつつ約10日間維持することによ
り耐無水生存状態となせば長期保存が可能となる。大量
生産した本線虫は土壌病原系状菌または植物寄生性有害
線虫を含む土壌に適量施用することにより、土壌病虫害
を予防的に防除する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物寄生性糸状菌並
びに植物寄生性線虫による農林土壌病害・線虫害を菌食
性線虫アフェレンクス・アベネ(Aphelenchus avenae
によって予防する土壌改良剤に関し、更に詳しくは植物
質産業廃棄物からなる固体培地あるいは人工培地からな
る液体培地による本線虫の大量生産と長期保存法並びに
本線虫の利用法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の化学農薬に依存した農作物生産
は、多くの環境公害を引き起こしながらも、農業生産手
段の主流であることは否定できない。一方、生物的手段
による持続型農業は、21世紀への課題として、有用ウ
ィルス、細菌、糸状菌、昆虫病原性線虫、天敵昆虫など
が鋭意研究され、普及に努められている。しかし、生物
的手段に万能というものはなく、比較的広範囲に害虫防
除できるものは、昆虫病原性線虫とBT剤(細菌)くら
いのものである。病害に対しては更に困難で2〜3種以
上の病原菌を同時に防除できる生物的資材又は手段はな
かった。
【0003】本発明に係る線虫アフェレンクス・アベネ
Aphelenchus avenae)[以下、「本線虫」という]は
温帯地域では普遍的に存在する線虫であるが、土壌糸状
菌を餌として生活しており、実験的には96種の糸状菌
で培養可能であることが報告されている(Townshend,
J. L.(1964)Fungus hosts of Aphelenchus avenaeBas
tian, 1865 and Bursaphelenchus fungivorous Frankl
in and Hooper, 1962and their attractiveness to the
se nematode species. Can. J. Microbiol. 10:727-73
7)。これらの中には、土壌病原菌となる糸状菌が数多く
含まれるため、土壌病害の本線虫による生物的防除の研
究は、この30年来、欧米を中心として数多くなされ
て、数多くの試験例が報告されている。これらの試験に
ついては文献上においても70〜80%以上の防除効果
を挙げてきたが、試験規模は小さく殆どが滅菌土壌を用
いているために、線虫そのものによる被害が現れたもの
もあり、未だに実用化はされていない。また、適期施用
とならず防除効果が判然としない試験例も散見される。
このように従来、実用化されていない理由を列挙すれば
次の通りである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
1.大量生産法が確立しなかった。従って、大規模圃場
試験は未だに施行されたことがなく説得力がなかった。
【0005】2.同一糸状菌で継代培養を続けると、譬
えその糸状菌が最も良く線虫を繁殖させる菌であって
も、線虫は数世代後に菌摂食能力が低下し、1年後には
殆ど種の維持も困難になってくる(石橋信義編(1993)
「有用線虫の探索とその大量生産ならびに施用法のシス
テム化」平成4年度科学研究補助金試験研究A(1)研
究成果報告書P p.172)。
【0006】3.滅菌土壌に植物種子と本線虫だけを入
れると、植物の種類にもよるが本線虫は種子の内部に侵
入し、発芽阻害を起こして有害線虫と判定されることも
ある(しかし、実際の圃場で滅菌土壌はあり得ない)。
【0007】4.本線虫は乾燥状態で長時間生存するこ
とは知られているが、大量の線虫をそのような状態にす
る技術は開発されなかった。
【0008】5.採集した場所によって菌選好性が異な
るものがあるが、世界的にも統一した株(strain)は確
立していない。従って、株によっては、場所、試験担当
者によって全く正反対の試験結果となることもあり、病
害防除に利用することに否定的評価もあった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
の課題のうち実用的観点から重要な問題点について以下
のように解決した。課題1に提起された本線虫の大量生
産法は圃場において実用化する上で必須である。かかる
大量生産法を達成する方法は、植物質産業廃棄物または
副産物よりなる固体培地、或いは澱粉及びデキストロー
スまたは蔗糖と燐酸緩衝液とを含む培養液を含浸した多
孔性樹脂支持体よりなる人工液体培地を加熱滅菌した
後、該固体培地または液体培地に本線虫の餌糸状菌を接
種すると共に、体表面を滅菌した上記菌食性線虫を糸状
菌の接種と同時または接種後に上記培地に接種して培養
することを特徴とする。
【0010】課題2の継代培養による繁殖力の低下は、
本線虫を培養段階ごとに異なった種の糸状菌を餌として
逐次段階的に継代培養し、最終培養段階において非病原
性糸状菌を餌として用いることによって解決される。即
ち、この課題は餌糸状菌を変換することによって克服さ
れる。例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis ciner
ea)菌から室内培養を開始したとすると、次はリゾクト
ニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、更に次はピティ
ウム(Pythium )菌あるいはフザリウム(Fusarium)菌
などと餌糸状菌を変換する。本線虫が繁殖できる糸状菌
であれば何でもよいが、最後に大量生産に入るときに
は、非病原性のボトリチス・シネレア菌を餌として培養
することが好ましい。
【0011】課題3の無菌土壌における発芽阻害の問題
は主として実験研究の過程で重要な意味を有するもので
あって、実際の農場においてはさほど問題とするには及
ばない。しかし、この問題すらも、本線虫の適宜な利用
による解決が可能であることが確認された。即ち、滅菌
状態にして、植物種子に多量(例えばキュウリ種子1に
対して何万頭)の本線虫を接種すると、発芽率が20〜
30%低下する場合がある。或いは発芽しても子葉にハ
モグリガ穿孔虫による被害痕のようなものが現れる。植
物の種類によっては全く被害が現れないものもあるが、
一般的にウリ科の種子は被害が出易い。しかし、病原糸
状菌や他の線虫(例えば、昆虫病原性線虫)と一緒にし
て接種すれば、このような被害は全く現れない。ハモグ
リガ様の被害が子葉に現れても、線虫は地上部まで上が
って来ないのでそれ以上の被害はでない。非滅菌土壌に
おいては、本線虫による被害は全く現れない。実際問題
として、滅菌土壌は自然界に存在しないので、本線虫に
よる発芽阻害を危惧する必要はないと思われる。
【0012】また、本線虫を大量に土壌に施用すると
(昆虫病原性線虫の場合と同様に)土着線虫相に大きな
変動が起きる。1〜3カ月で線虫相の変動は終息する
が、結果的に自活性線虫が増加し、植物寄生性線虫は減
少する。それは本線虫も植物の根に誘引され、根の先端
部に密集するため、植物寄生性線虫の根への接近や侵入
を妨害するためであろうと考えられる。従って、本線虫
は、薬剤施用による土壌生物相の劣悪化防止として施用
すれば、有害線虫の急速な回復を抑制することができ
る。(Ishibashi, N., and Choi, D-R. (1991) Biologi
cal control of soilpests by mixed application of e
ntomopathogenic and fungivorous nematodes. J. Nema
tol. 23:175-181)。
【0013】課題4の本線虫長期保存は農業的あるいは
商業的規模の実施に際して重要である。本線虫の長期保
存は、昆虫病原性線虫(害虫の生物的防除に既に市販さ
れ使用されている有用線虫)に較べると格段に容易であ
る。即ち大量生産した本線虫を集めて塊状となし、相対
湿度を100〜97%の範囲の高湿度より40〜25%
の範囲の低湿度迄逐次に傾斜させつつ8〜12日間、2
0〜30℃の温度で好気条件下に維持し乾燥することに
よって上記線虫を耐無水生存(anhydrobiosis)の状態
となすことにより達成することができる。このようにし
て耐無水生存状態となった本線虫は湿度30%以下でも
長期間に亙って生存可能となる。
【0014】即ち、計約10日間前後で完全な耐無水生
存(anhydrobiosis )の状態となった本線虫は体型が収
縮して略コイル状になり、室内で1年以上は保存可能と
なる。5℃程度の低温におけば2年以上は保存可能であ
る。最も生存できる発育ステージは4期幼虫であるが、
本線虫を塊状にすれば、他のステージでも生存能力は増
加する。貯蔵中ダニに食われないようにすればよい。し
かし、ダニの混入を防ぐために密閉状態とすると、酸素
不足となり全滅する恐れがある。また、本線虫を脱水状
態にするときよりも、むしろ加水するときがより注意を
要する。水の中に乾燥した本線虫を急に入れると、体が
破裂する個体が現れる。線虫塊が大きければ問題はない
が、貯蔵中のいろいろな操作で線虫塊は崩れてしまうの
で、水に戻すときは、湿度100%の容器に1晩置くよ
うにするのがよい。
【0015】課題5に提起した菌選好性の相違について
は、線虫類の分類は記載分類学であるため、形態が同じ
であれば同一種となるが、同一種とされても生理・生態
が異なる線虫は数多くあり、世界中普遍的に存在する線
虫には特にこの傾向が強い。本線虫も世界中普遍的に存
在し、餌糸状菌に対する選好性も採集場所によって大い
に異なっている。例えば、九州産の本線虫はリゾクトニ
ア・ソラニを餌として最もよく繁殖するが、東北地方の
本線虫の餌はピティウム菌のほうがよい。このように、
選好性の異なる線虫は何々産アイソレート(isolate) と
して扱われている。このようなアイソレートは更に精査
していけば、ある病害に特に適した線虫の開拓となるで
あろう。DNAレベルの分類はアイソレートの全国的あ
るいは世界的整理に期待されている(石橋信義編(199
3)「有用線虫の探索とその大量生産ならびに施用法の
システム化」平成4年度科学研究補助金試験研究A
(1)研究成果報告書P p.172)。本発明は、本線虫の
選好性を把握して、それに応じた餌糸状菌を用いるか、
或いは土壌中に生息する餌糸状菌に見合う本線虫を施用
することが最も好ましいことは言うまでもない。
【0016】
【発明の実施の形態】
(本線虫の大量生産法) 1.植物質産業廃棄物または副産物による培養 サトウキビ絞り滓(バガス)、みかん等の果汁製造過程
で出る果汁絞り滓(果汁絞り滓)、焼酎製造過程しぼり
滓(焼酎絞り滓)、ビール滓(brewers grain)、ビート
パルプ、ポテトチップ屑いも、ウリミバエ大量飼育後の
培地、緑茶、ウーロン茶のだし殻、インスタントコーヒ
ー製造で出る滓(コーヒー滓)等は、家畜飼料または燃
料としても利用されるが、大部分は廃棄されており、中
にはその処理に困惑している企業も多い。これら植物質
培養体は温度と湿度が好条件であれば、糸状菌を培養で
き、更にその糸状菌が本線虫の餌糸状菌であれば本線虫
の培養は可能となる。
【0017】上記植物質培養体、即ち固体培地には全て
糸状菌は育成するが、1種類の培養体では糸状菌の繁殖
に大きな差異がある。その結果線虫の繁殖も差異が大き
い。1種類の培養体で糸状菌、線虫とも良好に繁殖させ
るビートパルプやウリミバエ飼育後培地でも、他の培養
体を多少加えることにより、更に良好な飼育培地にな
る。これは複数種の培養体を混合することによって、培
地が緩衝作用をもつようになり、菌や線虫の培養期間中
に培地のpHが上昇しないためである。特に茶のだし殻
は発生したアンモニアを吸着しpHの上昇を抑制する効
果がある。従ってどのような培地を作製するにしても、
2〜3種類の培養体とともに茶のだし殻を混合する方が
よい。
【0018】基本的にはこのような固体培地全体に空隙
を持たせる必要があるため、空隙量の多い植物質培養体
を基礎培地とする。現在入手できる植物質産業廃棄物で
基礎培地となるものは、バガス、ビートパルプ、籾殻、
果汁絞り滓、茶のだし殻、チップ屑いもであるが、例え
ば、バガスを基礎培地とするときは、好適な配合は、乾
燥重量比でバガス1:果汁絞り滓1:緑茶のだし殻1ま
たはバガス1:屑いも1:緑茶ないしウーロン茶のだし
殻1である。また、ビートパルプが基礎培地のときは、
好適な配合は、ビートパルプ1:ビール滓1または果汁
絞り滓1:茶のだし殻1である。籾殻のときは、籾殻
1:ジュース滓1:茶だし殻1でよい。屑いもの場合
は、これだけ単独でもよいが、先に述べた茶のだし殻と
混合するのがよい。水分はいずれの調製培地も好ましく
は50〜60%とする。pHは、培養期間中、5〜6の
範囲に維持されのが最もよい。
【0019】これらの固体培地をオートクレーブで滅菌
した後、本線虫の餌となる糸状菌を接種するが、菌糸伸
長の早いリゾクトニア・ソラニでは、菌糸懸濁液と本線
虫を同時に接種するのがよい。リゾクトニア・ソラニよ
りもやや伸長が遅れるボトリチス・シネレア菌では糸状
菌接種後3日程して本線虫を接種する。接種する本線虫
は予め体表面殺菌する必要がある。例えば、ストレプト
マイシン1000ppm液に30分浸漬し、滅菌水で3
回遠心洗浄後、培地20g(水分60%、乾物重で約7
g)に本線虫約70頭を接種する。
【0020】本線虫が最も繁殖した培地は、ビートパル
プ1:ビール滓1の培地であり、ボトリチス・シネレア
菌を餌として、3週間後約400万頭の本線虫を得た。
ビートパルプはこれだけで十分家畜飼料としての価値も
あるが、固体培地による本線虫生産では上記の混合培地
に勝るものはない。最も入手し易い果汁絞り滓、屑い
も、バガスの組み合わせでは、100〜150万頭の生
産量である。これで計算すると、培地乾物重1kg当た
り1億5千万〜2億頭程度の本線虫が通常生産可能とな
る(Choi, Dong-Ro, and Ishibashi, Nobuyoshi (1989)
Propagation offive Aphelenchus avenae isolates o
n six species of fungi and five substrates. Jpn.
J. Nematol. 19:13-17) 。
【0021】然し乍ら、水分60%を含む湿重3kgの
培地には、10リットルの容器が必要で、大量生産には
それだけの場所を占拠するため、固体培地による線虫生
産は必ずしも能率的とは言えない。さらに培養期間中ダ
ニの侵入を防ぐことも要求される。そのため、更に能率
的な大量培養法として、人工液体培地による方法があ
る。
【0022】2.人工液体培地による餌糸状菌並びに菌
食性線虫の培養 この方法は、ファーメンター使用による本線虫の大量生
産を目的としている。本線虫が糸状菌を摂食するには、
口針を菌糸に対し直角に差し込まねばならないので、線
虫の体を支える支持体が必要となる。その為に支持媒体
のすべてを液体とすることはできない。従って、先ず糸
状菌を繁殖させるのに必要な固体の支持体に菌を繁殖さ
せる培養液を含浸させる。
【0023】前述のように、本線虫の大量繁殖には適度
な空間が媒体の中に必要であるから、支持体として何を
用いるかは重要である。また寒天は用いないから、支持
体に含浸させる培養液は寒天使用の場合よりもややリッ
チにしなければならない。培養期間中にpHを5〜6の
範囲に保てるよう燐酸緩衝液で培養液を調整する。かよ
うな要件を考慮して調整した支持体と培養液の一例を挙
げれば下記の通りである。
【0024】支持体:スポンジ、例えば発泡ポリウレタ
ン又は多孔性(連続気孔)ポリビニルホルマール樹脂等
の多孔性樹脂或いは、有機・無機の繊維屑、編織布、不
織布等の繊維集合体、海綿など、動植物の多孔性物質
等、吸水及び保水性を有する固体材料が適用可能であ
る。これらは適宜の寸法に切断、裁断または集合させて
十分に水洗乾燥して用いる。
【0025】培養液:PDAまたはPSA培地の中から
寒天を取り除き、蒸留水の代わりに燐酸緩衝液を用い、
デキストロースまたは蔗糖は処方通りとする。培養液の
pHは5.2〜5.5の範囲とすることが好ましい。
【0026】上記支持体、例えばスポンジ、を上記の培
養液で含浸し、ファーメンター容器に投入し、過剰の液
を除去した後、オートクレーブ中約120℃で60分程
度の滅菌を施す。次いで餌糸状菌と本線虫とをファーメ
ンター内の培地に接種する。接種は糸状菌と本線虫とを
同時或いは糸状菌接種後に適宜に遅れて本線虫を接種す
る。例えば、糸状菌がリゾクトニア・ソラニの場合は本
線虫と同時、ボトリチス・シネレア菌を餌とするとき
は、本線虫接種の2日前くらいに菌を注入することがよ
い。また、接種する本線虫を寒天培地等に多量に保持し
ている場合は、クリーンベンチ内で4〜5cm角に切り
取った寒天培地を直接ファーメンター容器内のスポンジ
培地の上に置けばよい。
【0027】本線虫は培地に接種するに先立って体表面
を殺菌しておく必要がある。殺菌は、適宜な頭数の線虫
を滅菌水で遠心洗浄、濃縮した後、ストレプトマイシン
水溶液を用い常法によって行う。
【0028】培養は温度を25℃に設定して、滅菌した
空気を通し好気条件で行う。通気量は使用している容器
の最少量でよく、時折通気を止めることもよい。特に、
菌と本線虫の接種後3日間は通気しないほうがよい。p
Hは1週間おきに測定し、pH6以上になるようであれ
ば、培養液のpHをやや低めに(pH:5.0〜5.
2)調整する。ガラス壁面に本線虫がコイル状になって
付着し始めたら容器内を洗浄して400メッシュの篩に
かける。スポンジは100メッシュの篩の上に置き、そ
の下に400メッシュを入れて、本線虫は400メッシ
ュに集める。採集した本線虫は前記本発明による保存法
で保存する。
【0029】次いで本発明方法で大量生産された本線虫
の農業上の応用について述べる。本線虫は、農作物等、
植物の土壌病害防除、植物寄生有害線虫の増殖抑制或い
は土壌病害虫の総合防除等に幅広く応用することができ
る。
【0030】[土壌病害防除]例えば、キュウリ立枯れ
病の土壌病原糸状菌であるリゾクトニア・ソラニ(Rhiz
octonia solani)AG−4、フザリウム・オキシスポル
ム・f.sp.ラゲナリエ(Fusarium oxysporum f. s
p. lagenariae)、ピティウム sp(Pythiumsp. )お
よび/またはフィトフトラ・ニコティアナ・変種パラシ
ティカ(Phytophthora nicotiana var. parasitica)を
含有する土壌においてはキュウリは全く発芽しないが、
この土壌1リットル当たりに、好ましくは高々40万
頭、更に好ましくは高々20万頭の本線虫を接種し約1
週間培養すると、キュウリ種子の発芽率は、滅菌土壌
(土壌病原菌も本線虫も含まない)における発芽率の7
0〜85%に達し土壌病害防除の効果は大きい。本線虫
の接種頭数が40万頭/リットル土壌を超えると、発芽
率が却って低下する。滅菌土壌に本線虫を単独で施用し
た場合の発芽率に比して、土壌病原菌共存下の発芽率の
低下が殆ど見られないことは、正に驚くべきことであ
る。
【0031】更に、植物の土壌病原菌、例えばキュウリ
立枯れ病菌、および植物寄生性線虫、例えばネコブセン
チュウ (Meloidogyne spp.) およびネグサレセンチュウ
Pratylenchus spp. )を含む土壌におけるキュウリ種
子の発芽阻害は本線虫により防止することができる。即
ち、立枯れ病菌のみ、或いは立枯れ病菌とネコブセンチ
ュウあるいはネグサレセンチュウとの混合接種土壌では
キュウリの発芽率は0であるのに対し、立枯れ病菌含有
土壌に約20万〜50万頭/リットル土壌、好ましくは
約40万頭/リットル土壌程度の量の本線虫を混和した
後、植物の種子を播種すると発芽阻害は全く見られなく
なる。それに更に約50万〜150万頭/リットル土
壌、好ましくは100万頭/リットル土壌程度の量の昆
虫病原性線虫スタイナーネマ・カルポカプセ(Steinern
ema carpocapsae )を混用した場合にも発芽阻害を全く
生じない。上記土壌病原菌の例としては、リゾクトニア
・ソラニ(Rhizoctonia solani)AG−4、フザリウム
・オキシスポルム・f.sp.ラゲナリエ(Fusarium o
xysporum f. sp. lagenariae)、ピティウム sp(Py
thium sp. )、フィトフトラ・ニコティアナ・変種パラ
シティカ(Phytophthora nicotiana var. parasitica
の少なくとも1種が挙げられる。
【0032】更にまた、例えばネコブセンチュウ(Melo
idogyne spp.) およびネグサレセンチュウ(Pratylench
us spp. )よりなる群から選ばれる少なくとも1種の植
物寄生性線虫を上記の、立枯れ病菌と本線虫と昆虫病原
性線虫との三者共存系に約200頭/リットル土壌加え
ると、発芽率は100%から80%までに低下するが、
生育植物の草丈は変わらず、本線虫の有用線虫との併用
による病害虫被害消滅効果は顕著である。
【0033】また、燻蒸剤で処理・無処理の試験区に立
枯れ病菌リゾクトニア・ソラニ・AG−4を施した病害
菌単独接種区と、それに大量の本線虫(例えば約2億
頭)を混合施用した混合接種区とに、例えば、ホウレン
ソウの芽だし種子をそれぞれ播種すると20日後の発芽
率は、単独接種区では、燻蒸剤無処理区で高く、処理区
では有意に低くなりその後約1週間以内に100%枯死
するに至る。即ち、燻蒸剤処理区では化学物質による土
壌処理は生物相の劇的な貧困化となり、そのため有害生
物の急速な回復を齎す。一方混合接種区では、逆に、燻
蒸剤処理区で発芽率は高くなり、無処理区で低くなる。
これは、無処理区土壌では生物相が豊富で、生物間の干
渉作用が大きいためと思われる。本線虫をこのような化
学処理された土壌に施用すれば、土壌病害の予防的効果
を高めることができる。
【0034】[植物寄生性線虫の増殖抑制]植物寄生性
有害線虫を含む土壌に大量培養した本線虫を施すことに
よって植物寄生有害線虫の増殖を抑制することができ
る。本線虫は上記植物寄生性有害線虫の50〜100倍
量施用することによって本発明の目的を達成することが
できる。植物寄生性線虫の例としては、ネコブセンチュ
ウ(Meloidogyne spp.)およびネグサレセンチュウ(Pr
atylenchus spp. ) よりなる群から選ばれる少なくとも
1種を含む。
【0035】[土壌病害虫の総合防除]土壌に病菌と害
虫の両者を含む土壌には、昆虫病原性線虫(スタイナー
ネマ)と本線虫とを混合施用することによって土壌病害
虫の総合防除を行うことができる。また、土壌害虫はハ
スモンヨトウおよび/またはカブラヤガについて本発明
の顕著な効果が確認されたが、それらに限定されない。
【0036】上記土壌害虫がハスモンヨトウであるとき
は、スタイナーネマ (Steinernemacarpocapsae ) に対
し本線虫を等量以上混合することが好ましく、また、土
壌害虫がカブラヤガであるときは、スタイナーネマに対
し本線虫を実質的に等量混合することが好ましい。
【実施例】以下、本発明の方法並びに本線虫の利用法を
実施例について詳述する。
【0037】(実施例1) [菌食性線虫アフェレンクス・アベネ(Aphelenchus av
enae)の固体培地による大量生産法]ビートパルプ1
0.0g(湿重)とビール滓10.0g(湿重)とを5
00ml容のガラス容器中で混合し、オートクレーブに
装填して120℃で30分間の加熱滅菌を施した。冷却
後、pH5.2の固体培地を得た。培地の水分率は58
重量%であった。この培地に別途純粋培養した糸状菌ボ
トリチス・シネレア(Botrytis cinerea)を接種して温
度25℃±1℃で3日間培養した。別に本線虫50頭を
ストレプトマイシン1000ppm液に30分浸漬し、
滅菌水で3回遠心洗浄して体表面を殺菌した。上記の糸
状菌が3日間繁殖した培地に、体表面殺菌済みの本線虫
を接種し、3週間上記の恒温条件で培養した。容器には
空気が出入する程度の蓋をするが、ダニが入らないよう
にする。3週間の培養後、約400万頭の本線虫を得
た。茶だし殻を入れていないので3週間後にpHは6.
5に上昇していたが、この方法により、培地乾重量8.
4g当たり約400万頭、即ち培地乾重量1kg当たり
に換算して4億8千万頭の本線虫を生産することができ
る。
【0038】(実施例2) [菌食性線虫アフェレンクス・アベネの人工液体培地に
よる大量生産法]市販の枕またはクッションに用いる多
孔性樹脂スポンジ[エバーライトピース(商品名)]を
厚さ0.5cm、幅1cm程度で長さ約20cmの短冊
型に切り、良く水洗いして乾燥したものを支持体とし
た。馬鈴薯600g、デキストロースまたは蔗糖60
g、ゼーレンゼン燐酸緩衝液(pH:5.2〜5.5の
範囲)3,000mlで培養液を調製した。調製した培
養液を上記スポンジに吸い込ませ、5L容のファーメン
ター容器の7分目程度に入れ、余分の液は取り除いてオ
ートクレーブ中で120℃、60分間滅菌処理し、自然
冷却して人工液体培地を得た。
【0039】次いで、100頭〜120頭の本線虫を1
500rpm遠心で3回滅菌水で洗い、50mlシリン
ダーに集めて、5mlにした。0.001%のアレタン
またはヒビタンを加えて、全量を30mlとして2時間
放置した。この間、パスツールピペット等を用いて通気
した。この後、3回滅菌水で遠心洗浄し、1mlに濃縮
し、10mgストレプトマイシンを含む滅菌水9mlを
加えて全量を10mlとし、直ちに2分間遠心して上澄
液を捨てた。この操作を2回行った後、滅菌水で3回遠
心洗浄し、0.5ml以下に濃縮して体表面を殺菌した
接種線虫とした。
【0040】糸状菌リゾクトニア・ソラニと本線虫とを
同時にファーメンターフランジの植菌口から注入して培
養した。培養温度を25℃に設定して、菌と本線虫の接
種後3日間を経過した後に、滅菌した空気を通した。通
気量は使用している容器の最少量(この容器の場合は
0.5L/min)とし、時折通気を止めた。pHは1
週間おきに測定しpH6以上になるようであれば、培養
液のpHをやや低めに(pH:5.0〜5.2)ゼーレ
ンゼン緩衝液で調整した。
【0041】ガラス壁面に本線虫がコイル状になって付
着し始めた時点(培養開始後25日)で容器内を洗浄し
て400メッシュの篩にかけた。スポンジは100メッ
シュの篩の上に置き、その下に400メッシュを入れ
て、本線虫は400メッシュに集め、採集した本線虫約
2億頭を前記本発明による保存法で保存した。
【0042】(実施例3)本線虫の餌となる糸状菌をボ
トリチス・シネレアとし、この糸状菌を人工液体培地に
接種して2日間経過後に本線虫を注入した他は、すべて
上記実施例2と同様にして、本線虫2〜3億頭を得た。
【0043】(実施例4) [本線虫の長期保存法]上記実施例1で得られた本線虫
を集めて塊状にしガラス製デシケーター(10リット
ル)容器に入れ、温度25℃前後、相対湿度97%の恒
温恒湿下に2日間置いた。湿度調節の溶液は、有害ガス
を発生しない溶液であれば何を使ってもよく、本実施例
ではグリセリン溶液または飽和食塩水を用いた。相次い
で2日間ずつ湿度86%、76%、50%、30%に漸
減すれば、体型は収縮してほぼコイル状になり、計10
日間で完全な耐無水生存状態となった。この状態で室内
の長期保存が可能であった。
【0044】以下の実施例は本発明方法で大量生産され
た本線虫の農業上の応用に関する発明に関するものであ
る。
【0045】[本線虫による土壌病害防除法] (実施例5)「キュウリ発芽ポット試験」 300ml容のスチロール製ポットに滅菌砂壌土とバー
ミキュライトの15:1混合土(水分50%)を入れ
た。小麦ふすま培地で糸状菌、リゾクトニア・ソラニ・
AG−4(Rhizoctonia solani AG-4 )、フザリウム・
オキシスポルム・f.sp.ラゲナリエ(Fusarium oxy
sporum f. sp. lagenariae)、ピティウムsp.(Pyth
ium sp. )、又はフィトフトラ・ニコティアナ・変種パ
ラシティカ(Phytophthora nicotiana var. parasitic
a)を2週間培養した。培養した糸状菌を含有する培地
1gずつと、同時に本線虫を1万、5万、10万頭を上
記混合土に接種して容器内土壌を混和し、密閉して暗
所、25℃に1週間置いた。次いで、消毒したキュウリ
種子を1ポットに4粒播種した。各処理10反復として
5日後発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】本試験では滅菌土壌を用いたため、線虫単
独接種で発芽率の低下が見られ、発芽率は1万頭接種区
で約80%、5万頭接種区で70%、10万頭接種区は
約40%であった。本線虫を菌と共に接種すると、1万
頭接種区で70〜80%、5万頭接種区で80〜85
%、10万頭接種区は却って低下し約50%となった。
病原菌だけの接種区ではいずれの菌においてもキュウリ
の発芽率は0%であったことを考慮すると、本線虫施用
の効果は歴然としているが、この試験においては、適量
は1ポット当たり5万頭ということになる。使用した九
州産線虫の試験管内繁殖はリゾクトニア・ソラニが最も
高く、フザリウムやピティウムは非常に低いが、キュウ
リの発芽率や生育でみた防除効果には、菌間に有意差は
なかった。またポット内で増殖した線虫の割合も、接種
数の2.5〜2.7倍(1万頭接種区)となり菌間に有
意差はなかった。
【0048】(実施例6)「キュウリ発芽ポット試験」 500mlの滅菌砂壌土をスチロール製ポットに入れ
た。一方、実施例5と同様に小麦ふすま培地で糸状菌リ
ゾクトニア・ソラニ・AG−4を培養した。この培養し
た糸状菌を含有する小麦ふすま培地それぞれ1gと、本
線虫を5万、10万、20万、50万、100万頭とを
上記滅菌砂壌土に混合して、土壌水分は約35%として
密封し2週間25℃で暗所に置いた。次いで、1ポット
にキュウリ種子3粒を播種し、1処理10反復とした。
5日後発芽率、16日後生育状態を調査した。結果を表
2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】本実験では線虫単独処理区を設けなかった
ので、線虫自体による被害は分からないが、線虫施用に
よる立枯れ病防除効果は歴然と現れた。即ち、病菌だけ
の接種では発芽率13.3%であったのに対して線虫5
万頭接種区で86.7%と発芽し、その後の生育は順調
であった。しかし、接種頭数が20万頭以上になると発
芽率は徐々に低下し、50万頭では66.7%となっ
た。これは線虫自体による発芽障害と思われる。線虫も
病菌も接種しない区の発芽率は当然100%となった
[Ishibashi, N. (1993) Integrated control of insec
t pests by Steinernema carpocpasae. In. “Nematode
s and the Biological Control of Insect Pests" (Bed
ding, R., Akhurst, R. and Kaya H. eds.), CSIRO, Ea
st Melbourne, 105-113.]
【0051】(実施例7)「キュウリ立枯れ病防除ポッ
ト試験(ネコブセンチュウ、昆虫病原性線虫との組み合
わせ試験」 容器は容量500mlの素焼ポットを用いた。1ポット
の滅菌土壌に立枯れ病菌リゾクトニア・ソラニ・AG−
4をそれを培養した小麦ふすま培地1gと共に投入し、
サツマイモネコブセンチュウ100頭、菌食性線虫20
万頭、昆虫病原性線虫スタイナーネマ・カーポカプセ
(Steinernema carpocapsae )50万頭を下記表3に示
す組み合わせで処理した。
【0052】
【表3】
【0053】土壌水分50%、反復数それぞれ10とし
て、処理後2週間25℃で暗所に置いた後、キュウリ種
子4粒を播種した。ガラス室に移して2週間後キュウリ
稚苗の生存率と草丈を計測した。結果を表3に示す。立
枯れ病菌だけ、病菌とネコブセンチュウの混合区はキュ
ウリ発芽率0%であった。菌食性線虫20万頭でも立枯
れ病菌との混合接種区は、本試験の場合、発芽阻害はみ
られなかった。しかし、草丈は対照区(無接種)よりや
や低かった。昆虫病原性線虫を混合すると、発芽率10
0%で草丈も対照区と有意差はなかった。
【0054】この三者に更にネコブセンチュウを加えた
場合、発芽率は80%と低下したが、草丈には有意差は
なかった。昆虫病原性線虫は害虫防除に施用されるもの
であるが、病害虫の同時防除を目的に本線虫との混合施
用もありうる。本試験から有用線虫の混合は本線虫の施
用効果を何ら損なわず、寧ろ混合することによって、本
線虫による被害が消失することが判明した。同様な結果
は、この後実施した多くの試験においても得られた(Is
hibashi, N., and Choi, D-R. (1991) Biological cont
rol of soil pests by mixed application of entomopa
thogenic and fungivorous nematodes. J. Nematol. 2
3:175-181)。
【0055】(実施例8)「ホウレンソウ立枯れ病小規
模圃場試験」 佐賀大学構内圃場で6カ月前燻蒸剤テロンII(商品名)
(1,3−ディクロロプロペン、有効成分98%)(1
5L/10a)で処理・無処理の試験区を用いた。9月
中旬、1区6m2 にビートパルプを培地とし、ボトリチ
ス・シネレアを餌として繁殖させた本線虫を、4kgの
培地と共に(約2億頭)、小麦ふすま培地で増殖させた
リゾクトニア・ソラニ・AG−4(立枯れ病菌)を40
gの培地ごと上記線虫培地と混合または非混合(立枯れ
病菌だけ)して、試験区全面に敷き込み土壌と混和し
た。1処理3反復として、1週間放置した後、ホウレン
ソウの芽だし種子を播種(2畝)した。播種20日後に
生育を調査した。結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】病菌だけの接種でホウレンソウの発芽率
は、燻蒸剤無処理区で高く(28%)、処理区で有意
(5%水準)に低くなった(発芽率5%)。線虫を施用
すると、燻蒸剤処理区で高くなり(84%)、無処理区
で低くなった(78%。両者は5%水準で有意差があっ
た)。無処理区土壌では処理区よりも生物相が豊富で、
生物間の干渉作用が大きいことによるものと思われる。
病菌単独接種区のホウレンソウは生育が極めて悪く、調
査後1週間以内に、特に燻蒸剤処理区では100%枯死
した。化学物質による土壌処理は生物相の劇的な貧困化
となり、ひいては有害生物の急速な回復を齎すようにな
っている。一方、本線虫をこのような土壌に施用すれ
ば、土壌病害の予防的効果は更に高められるものと期待
される[Ishibashi, N. (1993) Integrated control of
insect pests by Steinernema carpocpasae. In. “Ne
matodes and the Biological Control of Insect Pest
s" (Bedding, R., Akhurst, R. and Kaya H. eds.), CS
IRO, East Melbourne, 105-113.]
【0058】(実施例9)「本線虫による植物寄生性線
虫の増殖抑制」 ネコブセンチュウまたはネグサレセンチュウ等植物寄生
性線虫の100倍の密度にして寒天上で同時に接種した
ところ、植物寄生性線虫の根侵入率はネコブセンチュウ
単独接種の1〜2%であった。また、滅菌土壌を用いた
ポット試験を行ったところ、植物線虫接種の1日前に本
線虫を接種して、植物寄生性線虫の侵入率は20%以下
に低下した。しかし非滅菌土壌では植物線虫単独接種と
有意な差は見られなかった。一方、植物線虫単独接種の
侵入率も非滅菌土壌では、滅菌土壌に植物線虫だけ接種
した場合の30%以下に低下した。(自然界とくに多様
な生物が存在するところでは、病原体だけが優勢となれ
ない機構となっている)。従って、本線虫は、薬剤施用
による土壌生物相の劣悪化防止として施せば、有害線虫
の急速な回復を抑制する効果を奏することが確認され
た。
【0059】(実施例10)「昆虫病原性線虫との同時
施用による土壌病害虫の総合防除」 本線虫は、滅菌土壌においても、病原菌と混合して接種
すれば、植物に対する加害は起こらないことを先に確認
したが、昆虫病原性線虫スタイナーネマと同時に施用し
ても、植物には被害が見られず、寧ろ本線虫単独接種区
よりもキュウリの発芽は早く、発芽率も高い。混合施用
では逆に、昆虫病原性線虫の害虫に対する防除効果を確
認するため、数度実験を繰り返した。実験結果の1例を
表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】表5から明らかな通り、カブラヤガ幼虫の
ように本来スタイナーネマにやや抵抗性を持つ害虫に
は、本線虫をスタイナーネマよりも極度に多くした場
合、スタイナーネマの殺虫能力は更に低下するが、ハス
モンヨトウなどには殆ど問題はないだろうという結論に
達した。将来的に見て、本線虫とスタイナーネマ等有用
線虫との両立性は期待できる[Ishibashi, N. (1993) I
ntegrated control of insect pests by Steinernema
carpocpasae. In.“Nematodes and the BiologicalCont
rol of Insect Pests" (Bedding, R., Akhurst, R. and
Kaya H. eds.), CSIRO, East Melbourne, 105-11
3.]。
【0062】
【発明の効果】
1.菌食性線虫アフェレンクス・アベネの大量生産が可
能となり、大量生産された本線虫の長期保存方法を確立
した上、継代培養による本線虫の劣化を防止することが
できたため、本線虫を利用した農作物の病害虫防除を実
地農業に有効に利用できるようになった。
【0063】2.更に、本線虫を利用した農作物の土壌
病害、植物寄生性線虫の増殖抑制法を確立したため、農
作物の収率、品質の向上に資するところが大きい。結論
的に言うならば、本線虫は罹病した植物を治癒するもの
ではなく、予防的に施用して大きい効果が期待される。
また、線虫施用量には適量があり、それ以上の大量を施
用すると効果は却って低下する。 3.本線虫を利用した農作物の土壌病害防除法は、化学
薬品による公害や環境問題を伴わず、また、大量培養に
産業廃棄物を有効利用すれば環境の浄化に寄与すること
もできる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項23
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】
【表2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】本実験では線虫単独処理区を設けなかった
ので、線虫自体による被害は分からないが、線虫施用に
よる立枯れ病防除効果は歴然と現れた。即ち、病菌だけ
の接種では発芽率13.3%であったのに対して線虫5
万頭接種区で86.7%と発芽し、その後の生育は順調
であった。しかし、接種頭数が20万頭以上になると発
芽率は徐々に低下し、50万頭では66.7%となっ
た。これは線虫自体による発芽障害と思われる。線虫も
病菌も接種しない区の発芽率は当然100%となった
[Ishibashi, N. (1993) Integrated control of insec
t pests by Steinernema carpocapsae. In. “Nematode
s and the Biological Control of Insect Pests" (Bed
ding, R., Akhurst, R. and Kaya H. eds.), CSIRO, Ea
st Melbourne, 105-113.]
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】(実施例7)「キュウリ立枯れ病防除ポッ
ト試験(ネコブセンチュウ、昆虫病原性線虫との組み合
わせ試験)」 容器は容量500mlの素焼ポットを用いた。1ポット
の滅菌土壌に立枯れ病菌リゾクトニア・ソラニ・AG−
4をそれを培養した小麦ふすま培地1gと共に投入し、
サツマイモネコブセンチュウ100頭、菌食性線虫20
万頭、昆虫病原性線虫スタイナーネマ・カーポカプセ
(Steinernema carpocapsae )50万頭を下記表3に示
す組み合わせで処理した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】
【表3】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】病菌だけの接種でホウレンソウの発芽率
は、燻蒸剤無処理区で高く(28%)、処理区で有意
(5%水準)に低くなった(発芽率5%)。線虫を施用
すると、燻蒸剤処理区で高くなり(84%)、無処理区
で低くなった(78%。両者は5%水準で有意差があっ
た)。無処理区土壌では処理区よりも生物相が豊富で、
生物間の干渉作用が大きいことによるものと思われる。
病菌単独接種区のホウレンソウは生育が極めて悪く、調
査後1週間以内に、特に燻蒸剤処理区では100%枯死
した。化学物質による土壌処理は生物相の劇的な貧困化
となり、ひいては有害生物の急速な回復を齎すようにな
っている。一方、本線虫をこのような土壌に施用すれ
ば、土壌病害の予防的効果は更に高められるものと期待
される[Ishibashi, N. (1993) Integrated control of
insect pests by Steinernema carpocapsae. In. “Ne
matodes and the Biological Control of Insect Pest
s" (Bedding, R., Akhurst, R. and Kaya H. eds.), CS
IRO, East Melbourne, 105-113.]
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】(実施例9)「本線虫による植物寄生性線
虫の増殖抑制」 ネコブセンチュウまたはネグサレセンチュウ等植物寄生
性線虫の100倍の密度にして寒天上で同時に接種した
ところ、植物寄生性線虫の根侵入率はネコブセンチュウ
単独接種の1〜2%であった。また、滅菌土壌を用いた
ポット試験を行ったところ、植物寄生性線虫接種の1日
前に本線虫を接種して、植物寄生性線虫の侵入率は20
%以下に低下した。しかし非滅菌土壌では植物寄生性線
虫単独接種と有意な差は見られなかった。一方、植物寄
生性線虫単独接種の侵入率も非滅菌土壌では、滅菌土壌
に植物寄生性線虫だけ接種した場合の30%以下に低下
した。(自然界とくに多様な生物が存在するところで
は、病原体だけが優勢となれない機構となっている)。
従って、本線虫は、薬剤施用による土壌生物相の劣悪化
防止として施せば、有害線虫の急速な回復を抑制する効
果を奏することが確認された。

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】植物質産業廃棄物または副産物よりなる固
    体培地を加熱滅菌した後、該固体培地に菌食性線虫アフ
    ェレンクス・アベネ(Aphelenchus avenae)の餌糸状菌
    を接種すると共に、体表面を滅菌した上記菌食性線虫を
    糸状菌の接種と同時または接種後に上記培地に接種して
    培養することを特徴とする菌食性線虫アフェレンクス・
    アベネの大量生産法。
  2. 【請求項2】前記固体培地が、バガス、ビートパルプ、
    籾殻、茶のだし殻、チップ屑いも、果汁絞り滓、焼酎絞
    り滓、ビール滓、ウリミバエ大量飼育後の培地、および
    コーヒー滓よりなる群から選ばれる植物質産業廃棄物ま
    たは副産物の少なくとも一種よりなる請求項1の大量生
    産法。
  3. 【請求項3】前記固体培地がバガス、ビートパルプ、籾
    殻、茶のだし殻およびチップ屑いもの少なくとも1種を
    基礎培地として含む請求項2の大量生産法。
  4. 【請求項4】前記固体培地が、植物質産業廃棄物または
    副産物の少なくとも2種の混合物よりなる請求項2また
    は3の大量生産法。
  5. 【請求項5】前記固体培地が50〜60重量%の水分を
    含有し、前記培養期間中、該培地のpHを5〜6の範囲
    に維持する請求項1〜4の何れか1項の大量生産法。
  6. 【請求項6】前記固体培地がみかん果汁絞り滓と茶のだ
    し殻の乾燥重量比で1:1を含む混合物よりなる請求項
    1〜5の何れか1項の大量生産法。
  7. 【請求項7】澱粉及びデキストロースまたは蔗糖と燐酸
    緩衝液とを含む培養液を含浸した多孔性固体支持体より
    なる人工液体培地を加熱滅菌した後、該人工液体培地に
    菌食性線虫アフェレンクス・アベネ(Aphelenchus aven
    ae)の餌糸状菌を接種すると共に、体表面を滅菌した上
    記菌食性線虫を糸状菌の接種と同時または接種後に上記
    培地に接種して培養することを特徴とする菌食性線虫ア
    フェレンクス・アベネの大量生産法。
  8. 【請求項8】前記培養液が澱粉150〜250g/l及
    びデキストロースまたは蔗糖15〜25g/lを含むゼ
    ーレンゼン燐酸緩衝液である請求項7の大量生産法。
  9. 【請求項9】前記培養期間中前記人工液体培地のpHを
    5〜6の範囲に維持する請求項7または8の大量生産
    法。
  10. 【請求項10】菌食性線虫アフェレンクス・アベネ(Ap
    helenchus avenae)を培養段階ごとに異なった種の糸状
    菌を餌として逐次段階的に継代培養し、最終培養段階に
    おいて非病原性糸状菌を餌として用いることを特徴とす
    る菌食性線虫アフェレンクス・アベネの大量生産法。
  11. 【請求項11】上記異なった種の糸状菌がボトリチス・
    シネレア(Botrytiscinerea)、リゾクトニア・ソラニ
    Rhizoctonia solani)、ピティウム(Pythium ),バ
    ーティシリウム(Virticillium) およびフザリウム(Fu
    sarium)であり、最終培養段階において用いる非病原性
    糸状菌がボトリチス・シネレアである請求項10の大量
    生産法。
  12. 【請求項12】大量生産した菌食性線虫アフェレンクス
    ・アベネ(Aphelenchus avenae)を捕集して塊状とな
    し、相対湿度を100〜97%の範囲の高湿度より40
    〜25%の範囲の低湿度迄逐次に傾斜させつつ8〜12
    日間、20〜30℃の温度で好気条件下に維持し乾燥す
    ることによって上記線虫を耐無水生存状態となして保存
    することを特徴とする菌食性線虫アフェレンクス・アベ
    ネの長期保存法。
  13. 【請求項13】植物の土壌病原菌を含む土壌に菌食性線
    虫アフェレンクス・アベネ(Aphelenchus avenae)を接
    種して混和した後、植物の種子を播種することを特徴と
    する植物の土壌病害防除法。
  14. 【請求項14】上記土壌病原菌がリゾクトニア・ソラニ
    Rhizoctonia solani)AG−4、フザリウム・オキシ
    スポルム・f.sp.ラゲナリエ(Fusariumoxysporum
    f. sp. lagenariae)、ピティウム sp(Pythium sp.
    )、フィトフトラ・ニコティアナ・変種パラシティカ
    Phytophthora nicotiana var. parasitica)、バーテ
    ィシリウム・ダーリエ(Verticillium dahliae) の少な
    くとも1種である請求項13の土壌病害防除法。
  15. 【請求項15】前記土壌1リットル当たり高々40万頭
    の菌食性線虫アフェレンクス・アベネを接種する請求項
    13または14の土壌病害防除法。
  16. 【請求項16】前記土壌1リットル当たり高々20万頭
    の菌食性線虫アフェレンクス・アベネを接種する請求項
    15の土壌病害防除法。
  17. 【請求項17】植物の土壌病原菌および昆虫病原性線虫
    を含む土壌に菌食性線虫アフェレンクス・アベネ(Aphe
    lenchus avenae)を接種して混和した後、植物の種子を
    播種することを特徴とする植物の土壌病害防除法。
  18. 【請求項18】上記土壌病原菌がリゾクトニア・ソラニ
    Rhizoctonia solani)AG−4、フザリウム・オキシ
    スポルム・f.sp.ラゲナリエ(Fusariumoxysporum
    f. sp. lagenariae)、ピティウム sp(Pythium sp.
    )、フィトフトラ・ニコティアナ・変種パラシティカ
    Phytophthora nicotiana var. parasitica)、バーテ
    ィシリウム・ダーリアエ(Vertiullium dahliae )の少
    なくとも1種であり、上記昆虫病原性線虫がスタイナー
    ネマ・カルポカプセ(Steinernema carpocapsae )であ
    る請求項17の土壌病害防除法。
  19. 【請求項19】前記土壌1リットル当たり少なくとも4
    0万頭の菌食性線虫アフェレンクス・アベネを接種する
    請求項18の土壌病害防除法。
  20. 【請求項20】前記土壌が更に植物寄生性線虫を含む請
    求項17〜19の何れか1項の土壌病害防除法。
  21. 【請求項21】前記植物寄生性線虫がネコブセンチュウ
    Meloidogyne spp.)およびネグサレセンチュウ(Prat
    ylenchus spp. )よりなる群から選ばれる少なくとも1
    種である請求項20の土壌病害防除法。
  22. 【請求項22】植物寄生性有害線虫を含む土壌に大量培
    養した菌食性線虫アフェレンクス・アベネ(Aphelenchu
    s avenae)を上記植物寄生性有害線虫の50〜100倍
    量施すことを特徴とする植物寄生性有害線虫の増殖抑制
    法。
  23. 【請求項23】植物寄生性有害線虫がネコブセンチュウ
    Meloidogyne incocoffeae およびPratylenchus penet
    rans)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請
    求項22の植物寄生性有害線虫の増殖抑制法。
  24. 【請求項24】土壌病害虫を含む土壌に、昆虫病原性線
    虫と菌食性線虫アフェレンクス・アベネ(Aphelenchus
    avenae)を混合施用することを特徴とする土壌病害虫の
    総合防除法。
  25. 【請求項25】昆虫病原性線虫がスタイナーネマ(Stei
    nernema carpocapsae ) である請求項24の総合防除
    法。
  26. 【請求項26】土壌害虫がハスモンヨトウであり、スタ
    イナーネマに対しアフェレンクス・アベネを等量以上混
    合する請求項25の総合防除法。
  27. 【請求項27】土壌害虫がカブラヤガであり、スタイナ
    ーネマに対しアフェレンクス・アベネを実質的に等量混
    合する請求項25の総合防除法。
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