JPH10214999A - Iii−v族窒化物半導体素子 - Google Patents

Iii−v族窒化物半導体素子

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JPH10214999A
JPH10214999A JP3123897A JP3123897A JPH10214999A JP H10214999 A JPH10214999 A JP H10214999A JP 3123897 A JP3123897 A JP 3123897A JP 3123897 A JP3123897 A JP 3123897A JP H10214999 A JPH10214999 A JP H10214999A
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JP
Japan
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buffer layer
layer
substrate
nitride semiconductor
iii
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JP3123897A
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Toru Kachi
徹 加地
Kazuyoshi Tomita
一義 冨田
Kenji Ito
健治 伊藤
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定のバッファ層を有することにより、結晶
欠陥が少ない高品質の半導体層を含むIII−V族窒化物
半導体素子を提供する。 【解決手段】 III−V族窒化物半導体素子は、基板
1、該基板1上に形成されたバッファ層20、および該
バッファ層20上に形成された、複数のIII−V族窒化
物半導体層からなる堆積層30を有する。前記バッファ
層20は、少なくとも、InxGa1-XN(0<x≦1)
で表されるIII−V族窒化物半導体、たとえばInNか
らなる第1バッファ層2、およびこの第1バッファ層よ
り上にあって、AlyGa1-yN(0≦y≦1)で表され
るIII−V族窒化物半導体、たとえばGaNからなる第
2バッファ層3を含む。堆積層30は、たとえばレーザ
構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光ダイオード、
レーザ等の発光デバイス、パワーデバイス、高周波デバ
イス等の電子デバイスに使用されるIII−V族窒化物半
導体からなる半導体素子に関し、特に、基板上にバッフ
ァ層を介してIII−V族窒化物半導体の結晶を成長させ
た半導体素子に関する。
【0002】
【背景技術】III−V族窒化物半導体は、GaN、Al
N、InN、BNなどの2元系以外に、AlGaN、I
nGaN、InGaAlN、InGaAlBNなどの3
元以上の多元混晶も可能であり、広い範囲でバンドギャ
ップを制御できるため、発光素子等に有用な半導体材料
として知られている。また熱的安定性、高耐圧性などに
優れることから、パワーデバイス、高周波デバイス等へ
の適用も検討されている。
【0003】この材料系は、バルク単結晶が得られない
ため、一般に半導体層と化学的に異なる異種基板上に結
晶成長させて利用される。このような基板としてはサフ
ァイア、SiCなどが使用されることが多いが、基板と
III−V族窒化物半導体の単結晶とにおいて格子定数や
熱膨張係数の差があるため、基板上に直接高品質の結晶
を成長させるのが困難であった。
【0004】基板とIII−V族窒化物半導体の単結晶と
の格子不整合の影響を緩和するために、基板上に極薄膜
のアモルファスまたは多結晶のAlNまたはGaNを低
温で堆積し、それをバッファ層としてその上にIII−V
族窒化物半導体を成長させる方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなバッファ層
を用いた成長技術で良質な単結晶が得られるようにな
り、高輝度LEDなどが製造されるようになった。しか
し、基板との格子不整合および熱膨張係数の違いに起因
する半導体層の結晶欠陥は、従来のAlNまたはGaN
からなるバッファ層を用いても十分に緩和されず、10
9〜1010個/cm2程度の高い密度で半導体層のなかに
存在している。これらの結晶欠陥は、発光素子などのデ
バイスの信頼性や寿命に悪影響を及ぼし、またパワーデ
バイス等の電子デバイスにおいては性能低下の原因とな
る。従って結晶欠陥の少ない結晶を基板上に成長させる
ことは非常に重要であり、これが実現できれば窒化物半
導体から成るあらゆるデバイスの性能を向上できる。
【0006】本発明はこうした事情を鑑みなされたもの
で、有機金属化学的気相成長法(MOCVD)などの方
法で異種基板上にIII−V族窒化物半導体を結晶成長さ
せてなる半導体素子において、特定のバッファ層を有す
ることにより、結晶欠陥が少ない高品質の半導体層を含
むIII−V族窒化物半導体素子を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明はつぎのような構成を採用している。即ち、
本発明は、基板、該基板上に形成されたバッファ層、お
よび該バッファ層上に形成された、複数のIII−V族窒
化物半導体層を含み、前記バッファ層は、少なくとも、
InxGa1-XN(0<x≦1)で表されるIII−V族窒
化物半導体からなる第1バッファ層、およびこの第1バ
ッファ層より上にあって、AlyGa1-yN(0≦y≦
1)で表されるIII−V族窒化物半導体を主成分とする
第2バッファ層を含むことを特徴とする。
【0008】本発明においては、前記第1バッファ層
は、その厚さが10〜100nmであることが好まし
い。また、前記第2バッファ層は、その厚さが10〜1
00nmであることが望ましい。第1および第2バッフ
ァ層が前記範囲の厚さを有することにより、堆積したと
きアモルファス状態のバッファ層が基板温度をバッファ
層の堆積温度からGaN層の成長温度まで上昇する過程
で、配向性を持った結晶へと効果的に変化させることが
できる点で好ましい。
【0009】本発明においては、バッファ層として前記
第1バッファ層を含むことにより、バッファ層上に形成
されるIII−V族窒化物半導体からなるエピタキシャル
結晶層(以下、単に「半導体層」ともいう)における結
晶欠陥の発生を大幅に抑制することができる。本発明の
このような作用効果は、以下のメカニズムによって得ら
れるものと考えられる。
【0010】低温で成長させたバッファ層はアモルファ
ス状態にあり、単結晶の成長温度まで基板温度を上昇さ
せる過程で固相エピタキシャル成長により、配向性など
基板の性質を反映しつつ結晶化する。このバッファ層
は、そのうえの結晶成長に対し、成長の核を提供すると
同時に原子の配向性を促し、異種基板での高品質のエピ
タキシャル結晶層の成長を可能にしている。しかし、前
述したように、こうした機能を有するバッファ層だけで
はエピタキシャル結晶層に多くの結晶欠陥が含まれる。
【0011】異種基板上のバッファ層を介したエピタキ
シャル結晶層の成長において導入される欠陥のほとんど
は転位であり、大きく分けてつぎの二つの過程で導入さ
れる。すなわち結晶成長の途上に格子不整合によるひず
みのために導入されるミスフィット転位と、結晶成長後
の冷却過程において熱膨張係数の違いに起因する熱ひず
みによって導入される転位である。
【0012】このうちミスフィット転位は、高温におけ
る成長過程で大部分が緩和されるので、室温において観
測される転位は、ほとんどが熱ひずみによるものと考え
られる。したがって、基板と半導体層とのあいだの熱ひ
ずみを冷却過程においてバッファ層によって緩和できれ
ば、結晶成長層の転位を低減することができる。そし
て、バッファ層において基板と半導体層との間の熱ひず
みを緩和するためには、バッファ層が適度に柔らかく、
変形することによってひずみを吸収できればよい。
【0013】本願発明者らは、種々の物質を検討した結
果、基板直上の第1バッファ層の材質としてInxGa
1-xN(0<x≦1、より好ましくは0.5<x≦1)
で示されるIII−V族窒化物半導体が適していることを
見いだした。
【0014】冷却過程における転位の導入は、結晶成長
温度から室温までのすべての温度領域で発生するのでは
なく、結晶の温度が転位のすべり運動を起こさせるのに
十分高い間、すなわち冷却過程の初期に起きると考えら
れる。III−V族窒化物半導体の結晶成長温度は一般に
700〜1100℃であるが、InNの融点は約110
0℃で結晶成長温度に近い値となっている。従って、I
xGa1-xNを第1バッファ層に用いた結晶成長では、
InxGa1-xN(0<x≦1)の融点がGaの組成の増
加により上昇すると考えられるが、Inの組成の大きな
InxGa1-xNを用いれば、第1バッファ層の融点近く
で半導体層の結晶成長を行わせることができる。すなわ
ち、結晶成長温度および冷却過程の初期の温度領域で
は、第1バッファ層を構成するInxGa1-xNは融点に
近いため原子同士の結合が緩く、第1バッファ層は柔ら
かく保たれる。従って、InxGa1-xNを第1バッファ
層に用いることで、熱ひずみによる転位の発生が起きや
すい温度領域での熱ひずみを、効果的に緩和することが
できると考えられる。
【0015】さらに、本発明においては、前記第1バッ
ファ層の上に、融点の高い第2バッファ層を設けること
により、第1バッファ層を構成する物質の蒸発を防止
し、第1バッファ層を均一で安定な状態に保つことがで
きる。すなわち、Inは蒸発しやすいため、第1バッフ
ァ層の形成後、結晶成長温度まで基板温度を上昇させた
場合、第バッファ層は均一な組成および膜厚を保つこと
が困難である。そこで、第1バッファ層の蒸発防止用の
第2バッファ層を形成することが必要となる。第2バッ
ファ層は、融点の高いAlyGa1-yN(0≦y≦1)が
最適であるが、上記第2バッファ層の機能を阻害しない
範囲で他の成分、たとえばInを含んでいても良い。
【0016】本発明によれば、熱ひずみを緩和するため
の第1バッファ層と、第1バッファ層の蒸発を防止する
ための第2バッファ層とを含むバッファ層を有すること
により、転位密度の少ないIII−V族窒化物半導体層を
形成することができる。
【0017】また、前記第1バッファ層は、その成長温
度を400〜700℃、より好ましくは500〜650
℃に設定することが望ましい。また、前記第2バッファ
層は、その成長温度を400〜700℃、より好ましく
は500〜650℃に設定することが望ましい。第1お
よび第2バッファ層の成長温度を前記範囲に設定するこ
とにより、原料の熱分解を確保するとともに、平坦性の
よい均一なアモルファス層を形成できる点で好ましい。
【0018】基板によっては、In組成の大きなInG
aNは基板表面で粒状に凝縮し、薄膜として形成しにく
いものがある。たとえばSiCを基板とした場合、In
GaNからなるバッファ層を直接基板上に形成すること
ができない。こうした基板を用いる場合には、基板と前
記第1バッファ層との間に第3バッファ層を形成するこ
とが望ましい。第3バッファ層としては、Inを含まな
いAlzGa1-zN(0≦z≦1)が好ましい。
【0019】この場合には、まず、基板上に第3バッフ
ァ層としてAlzGa1-zN(0≦z≦1)を低温で形成
し、温度をいったん結晶成長温度まで上昇させて第3バ
ッファ層を単結晶化し、再度降温して第1バッファ層と
してInxGa1-xN(0<x≦1)、および第2バッフ
ァ層としてAlyGa1-yN(0≦y≦1)を形成し、さ
らに結晶成長温度まで温度を上昇させ、上層のIII−V
族窒化物半導体を成長させる。第1および第2バッファ
層の機能は前述の発明の場合と同じである。こうした少
なくとも3層構造のバッファ層を採用することにより、
InGaNからなる第1バッファ層を直接形成できない
基板においても、転位密度の少ないIII−V族窒化物半
導体層を成長させることができる。なお、前記第3バッ
ファ層は、その成長温度を400〜700℃、より好ま
しくは500〜650℃に設定することが望ましい。
【0020】本発明は、各種のIII−V族窒化物半導体
素子に適用することができ、たとえばIII−V族窒化物
半導体層の構成を選択することにより、発光ダイオー
ド、レーザ等の発光デバイス、およびパワーデバイス、
高周波デバイス等の電子デバイスに適用することができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0022】(第1の実施の形態)図1は、本発明を半
導体レーザに適用した場合の半導体素子の断面図であ
る。
【0023】本実施の形態に係る半導体レーザは、サフ
ァイア基板1、このサファイア基板1上に形成されたバ
ッファ層20、およびバッファ層20上に形成された複
数の半導体層からなる堆積部30を含んで構成される。
【0024】前記バッファ層20は、InNからなる第
1バッファ層2と、GaNからなる第2バッファ層3と
から構成されている。そして、前記半導体層の堆積部3
0は、n型GaN層4、n型AlGaNクラッド層5、
n型GaNガイド層6、GaN/InGaN多重量子井
戸活性層7、p型GaNガイド層8、p型AlGaNク
ラッド層9およびp型GaNコンタクト層10から構成
されている。
【0025】前記p型GaNコンタクト層10において
は、電流狭窄部として機能するイオン注入部10a,1
0bが形成されている。そして、前記n型GaN層4の
上にはn側電極12が形成され、前記p型GaNコンタ
クト層10の上にはp側電極11が形成されている。
【0026】図1に示す半導体レーザは、たとえば以下
の方法によって形成される。
【0027】単結晶A面サファイア基板1の上に、In
N第1バッファ層2(30nm)と、蒸発防止用GaN
第2バッファ層3(20nm)を基板温度600℃で形
成した。これらの層の形成後、基板温度を1050℃ま
で上昇させ、Siがドープされたn型GaN層4(2μ
m)、Siがドープされたn型AlGaNクラッド層5
(1μm)、Siがドープされたn型GaNガイド層6
(0.5μm)を成長させ、さらに基板温度を800℃
まで下降させ、GaNの障壁層(5nm)およびIn
0.2Ga0.8Nの井戸層(3nm)から成る5層の多重量
子井戸活性層7を形成した。多重量子井戸活性層7の形
成後、再び基板温度を1050℃に上昇させ、Mgがド
ープされたp型GaNガイド層8(0.5μm)、Mg
がドープされたp型AlGaNクラッド層9(1μ
m)、Mgがドープされたp型GaNコンタクト層10
(1μm)を順次成長させた。
【0028】これらの層構造が形成された後、p型Ga
Nコンタクト層10の上に、3μm幅のレジストマスク
をp側電極が形成される領域の中央に位置するように形
成し、イオン注入装置でN+イオンを注入し、イオン注
入部10a,10bを形成した。これによりマスクされ
ていないp型GaNコンタクト層が深さ約1μmにまで
高抵抗化され、マスク直下のみにおいて導電性が保たれ
る。このイオン注入工程を行うことにより、活性層を流
れる電流の幅を5μm以下に狭窄化できる。
【0029】その後、p側電極が形成される部分をマス
クして、ClとBCl3を反応ガスとした反応性イオン
エッチング法でエッチングし、n型GaN層4の一部を
露出させた。これらの工程を経た後、p型GaNコンタ
クト層10上にp側電極11を、n型GaN層4上にn
側電極12をそれぞれ形成した。
【0030】このようにして形成された構造の半導体レ
ーザは、InN第1バッファ層2の働きで上部に形成さ
れる半導体層の熱歪みが緩和されるため、レーザ構造を
構成する半導体層に転位が発生することが防止され、し
たがって高品質の結晶でレーザ構造が形成できるため、
長寿命で信頼性が高い。
【0031】(実験例)次に、図2に示す試料を作成
し、結晶性の評価を行った実験例について述べる。
【0032】図2に示す試料は、サファイア基板1、第
1バッファ層2、第2バッファ層3およびn型GaN層
4から構成されている。
【0033】この試料を作成するために用いたMOCV
D装置の概略構成図を図3に示す。図3中、45は石英
製の水冷反応管であり、この反応管45内にはライナー
管48およびカーボン製のサセプタ49、熱電対41が
設置され、反応管45の周囲には加熱用高周波コイル4
7が設置されている。反応ガスはガス導入口46から反
応管45に導入され、排気口42から排気される。原料
ガスとしては、Ga原料としてトリメチルガリウム(T
MG)、In原料としてトリメチルインジウム(TM
I)、窒素原料としてNH3を用いる。
【0034】次に、図2に示す試料の作製方法を説明す
る。まず、図3に示すMOCVD装置のサセプタ49の
上に基板1を置き、排気口42をロータリーポンプにつ
ないで配管内を排気する。次に反応管45に高純度水素
を大気圧まで導入し、配管内の雰囲気を水素に置換す
る。その後排気口42をガス燃焼塔につなぎ、反応管4
5内に水素を毎分4リットル流す。次いで、基板1を水
素中で1150℃に加熱し、表面を清浄化する。次い
で、基板温度を580℃に低下させた後、水素ガスを窒
素ガスに切り替えるとともにNH3ガスを反応管45内
に導入し、さらにTMIを4μmol/分の流量で、T
MGを10μmol/分の流量でそれぞれ30秒間順次
導入して、基板1上にInN第1バッファ層2、GaN
第2バッファ層3を形成する。バッファ層2,3を形成
後、NH3ガスを流した状態で基板温度を1030℃に
上昇させ、温度が安定した後TMGを10μmol/分
の流量で反応管45内に導入してn型GaN層4を成長
させる。
【0035】このようにして形成されたGaNウエハを
溶融KOHの中にいれ、表面をエッチングし、表面に現
れるエッチピットの数を測定した。さらに、図2と同じ
構成でGaN層4の厚さを変えて成長させた複数の試料
の結晶層のエッチピット密度を測定した。測定の結果得
られた、GaN層の厚さとエッチピット密度との関係を
図4に示す。
【0036】エッチピット密度は結晶に含まれる転位な
どの欠陥を反映しており、エッチピット密度を比較する
ことで、結晶性の評価を行うことができる。図4に、従
来のAlNバッファ層を用いて成長させたGaN層のエ
ッチピット密度も同時に示す。図4から、本発明による
バッファ層を有する試料のほうが従来のバッファ層を有
する試料より約2桁エッチピット密度が低いことがわか
る。
【0037】図5に、InN第1バッファ層2の厚さが
異なり、かつアンドープGaN層4(厚さ2μm)を有
する複数の試料について求めた、第1バッファ層の厚さ
と移動度との関係を示す。参考のため、図5に、従来使
用されているAINバッファ層を用いて成長させたGa
N層の移動度も矢印で示す。
【0038】図5から、第1バッファ層の厚さが20〜
50nmのすべての領域で、本発明によるGaN層の移
動度が従来のものより優れていることがわかる。これは
本発明による第1バッファ層が効果的に熱ひずみを緩和
し、半導体層中への欠陥の導入が減少したことによると
考えられる。
【0039】(第2の実施の形態)図6は、本発明の第
2の実施の形態に係る半導体素子の要部を示す断面図で
ある。この実施の形態は、InN第1バッファ層を直接
基板上に形成できない場合についての例であり、基板1
3上に、第3バッファ層14、第1バッファ層2、第2
バッファ層3およびn型GaN層4を有する。その他の
半導体層および電極等は、前記第1の実施の形態と同様
なので、図示および詳細な説明を省略する。
【0040】前記基板13としては、C面の6H−Si
Cを用いている。この基板では、InN第1バッファ層
2を前述した条件で形成しようとしても、InNが粒状
に形成されバッファ層として利用できない。
【0041】本実施の形態に係る半導体素子は、たとえ
ば以下の工程で製造することができる。まず、基板13
上にGaN第3バッファ層14を600℃にて形成し、
次に結晶成長温度である1050℃まで基板温度を上昇
させ、再度基板温度を580℃に下降させ、その後、前
記第1の実施の形態で述べた工程と同様の工程で、第1
バッファ層2、第2バッファ層3およびGaN層4を成
長させることができる。以降の工程は、前記第1の実施
の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0042】また、前記第1の実施の形態で述べた実験
と同様にして、基板13、第3バッファ層14、第1バ
ッファ層2、第2バッファ層3およびn型GaN層4を
有する試料について結晶層のエッチピット密度を測定し
たところ、104個/cm2以下の格段に少ないエッチピ
ット密度であることが確認できた。
【0043】(第3の実施の形態)図7は、本発明の第
3の実施の形態に係る半導体素子の要部を示す断面図で
ある。この実施の形態では、第2バッファ層の構造が前
記第1の実施の形態を異なる。具体的には、基板1上
に、第1バッファ層2、第2バッファ層15およびn型
GaN層4を有する。その他の半導体層および電極等
は、前記第1の実施の形態と同様なので、図示および詳
細な説明を省略する。
【0044】本実施の形態においては、第1バッファ層
および第2バッファ層は異なる化合物であるため両者の
間には格子定数のミスマッチが存在することを考慮し、
このミスマッチによるひずみの影響を低減するために、
第2バッファ層15の組成を厚さ方向に変化させてい
る。つまり、第2バッファ層15は、第1バッファ層2
に含まれるInを少なくとも第1バッファ層2との界面
付近で含む。たとえば、第2バッファ層15に含まれる
Inは、第1バッファ層2との界面からn型GaN層4
との界面付近まで連続的に存在し、かつInの濃度は第
1バッファ層2との界面付近で大きく、n型GaN層4
との界面付近では小さく、もしくはゼロとなるように設
定されることが望ましい。要するに、第2バッファ層1
5におけるInの濃度およびそのプロファイルは、第1
バッファ層2を構成するInが蒸発することによってそ
の膜厚が変化することがない程度に設定される。
【0045】本実施の形態に係る半導体素子は、たとえ
ば図3に示すMOCVD装置を用いて、以下の工程で製
造することができる。まず、TMIを4μmol/分、
NH3ガスを4リットル/分の流量で流し、基板温度5
80℃として、基板1上にInN第1バッファ層2を膜
厚30nmで形成する。その後、1分間にわたって、T
MIの流量を4μmol/分から0μmol/分に、T
MGの流量を0μmol/分から10μmol/分に、
徐々に変化させ、かつNH3ガスを4リットル/分の流
量で流し、基板温度580℃として、第1バッファ層2
上に第2バッファ層15を膜厚40nmで形成する。次
に結晶成長温度である1050℃まで基板温度を上昇さ
せ、その後、前記第1の実施の形態で述べた工程と同じ
工程でGaN層4を成長させることができる。以降の工
程は、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を
省略する。
【0046】また、前記第1の実施の形態で述べた実験
と同様にして、基板1、第1バッファ層2、第2バッフ
ァ層15およびn型GaN層4を有する試料について結
晶層のエッチピット密度を測定したところ、104個/
cm2以下の格段に少ないエッチピット密度であること
が確認できた。
【0047】以上、本発明の実施の形態について述べた
が、本発明はこれらに限定されず、種々の改変が可能で
ある。たとえば、半導体素子の機能部分はレーザに限定
されず、各種のIII−V族窒化物半導体素子に適用する
ことができ、III−V族窒化物半導体層の構成を選択す
ることにより、発光ダイオード等の発光デバイス、およ
びパワーデバイス、高周波デバイス等の電子デバイスに
適用することができる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、III−V族窒化物半導
体の結晶成長層の欠陥密度を従来に比べ格段に減少する
ことができ、結果的に電気的特性、特に移動度の高い高
品質なIII−V族窒化物半導体層の成長が可能となる。
これにより、本発明に係る発光デバイスおよび電子デバ
イスなどの半導体素子の性能、信頼性の向上が可能とな
る。
【0049】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した、第1の実施の形態に係る半
導体レーザの断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る実験に用いられる試料
の断面図である。
【図3】図2に示す試料の結晶成長に使用したMOCV
D装置の概略構成図である。
【図4】図2に示す試料によって得られた、GaN層の
厚さとエッチピット密度との関係、および本発明の範囲
外のバッファ層を用いた試料によって得られた、GaN
層の厚さとエッチピット密度との関係を比較して示す図
である。
【図5】図2に示す試料によって得られた、バッファ層
の厚さとGaN層の移動度との関係、および従来のバッ
ファ層を用いた試料のGaN層の移動度を示す図であ
る。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る半導体素子の
要部を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る半導体素子の
要部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 サファイア基板 2 InN第1バッファ層 3,15 GaN第2バッファ層 4 n型GaN層 5 n型AlGaNクラッド層 6 n型GaNガイド層 7 GaN/InGaN多重量子、井戸活性層 8 p型GaNガイド層 9 p型AlGaNクラッド層 10 p型GaNコンタクト層 11 p側電極 12 n側電極 14 GaN第3バッファ層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板、該基板上に形成されたバッファ
    層、および該バッファ層上に形成された、複数のIII−
    V族窒化物半導体層を含み、 前記バッファ層は、少なくとも、InxGa1-XN(0<
    x≦1)で表されるIII−V族窒化物半導体からなる第
    1バッファ層、およびこの第1バッファ層より上にあっ
    て、AlyGa1-yN(0≦y≦1)で表されるIII−V
    族窒化物半導体を主成分とする第2バッファ層を含むこ
    とを特徴とするIII−V族窒化物半導体素子。
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