JPH10213803A - 配向膜とその製造方法および光電素子 - Google Patents

配向膜とその製造方法および光電素子

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JPH10213803A
JPH10213803A JP9016346A JP1634697A JPH10213803A JP H10213803 A JPH10213803 A JP H10213803A JP 9016346 A JP9016346 A JP 9016346A JP 1634697 A JP1634697 A JP 1634697A JP H10213803 A JPH10213803 A JP H10213803A
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JP
Japan
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thin film
alignment film
fluororesin
oxygen
film
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JP9016346A
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English (en)
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Michitaka Morikawa
通孝 森川
Toshihiko Tanaka
利彦 田中
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高い配向力を有し、基材との密着性に優れる配
向膜と配向膜の製造方法を提供し、該配向膜の上に作成
した一軸配向分子薄膜を用いた光電素子を提供する。 【解決手段】[1]極性化処理を受けてなる、酸素を含
むフッ素樹脂薄膜において、該フッ素樹脂薄膜が一軸配
向した配向膜であり、該配向膜表面のX線光電子スペク
トルにおける酸素1s/フッ素1sの信号面積比が0.
01以上10以下である配向膜。 [2]極性化処理が酸素原子を有する分子を含むガス雰
囲気において、フッ素樹脂薄膜を気体放電下に暴露する
および/またはフッ素樹脂薄膜に電磁波照射もしくは粒
子線照射することである摩擦した配向膜の製造方法。 [3]前記の配向膜の製造方法により作成された配向膜
上に、一軸配向分子膜が作成されてなる光電素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電子材料分野に
有用な配向膜とその製造方法およびこれを用いて作成し
た光電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】J.C.Wittmannらは、ポリテ
トラフルオロエチレン(以下、PTFEと記すことがあ
る。)を加熱しながら圧力をかけてガラス基板にこすり
つけることにより、配向したPTFE薄膜が得られるこ
とを示した。さらに、これを配向膜とし、この膜上に、ア
ルカン類、液晶分子、ポリマー、オリゴマー、無機塩な
どを堆積することでこれらもまた配向させることができ
ることが報告されている〔ネイチャー(NATURE)
第352巻、414頁(1991年)〕。このようなP
TFE薄膜を用いた方法を用いると、配向の高い薄膜を
製造できることが知られており、偏光板や非線形光学材
料などの広範な用途に応用できることが期待される。
【0003】しかしながら、PTFE薄膜は、一般に基
材との密着性が悪く、液晶表示素子などの製品に利用す
る場合に、機械的強度や熱刺激に対する耐久性が低いと
いう問題があった。PTFEの表面を化学的に改質して
その表面の密着性や接着性を改善する方法は数多く知ら
れているが、基材上に配向したPTFEの薄膜を強固に
密着する方法は、知られていない。したがって、高い配
向力を有し、かつ基材との密着性に優れる配向膜の開発
が切望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、極め
て高い配向力を有し、かつ基材との密着性に優れる配向
膜と配向膜の製造方法を提供することであり、かつ該配
向膜の上に作成した一軸配向分子薄膜を用いた光電素子
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、フッ素樹脂薄膜
を、酸素原子を有する分子を含むガス雰囲気において、
気体放電または電磁波照射もしくは粒子線照射による極
性化処理を行った後に該薄膜を摩擦することにより、極
めて高い配向力を有し、かつ基材との密着性に優れる配
向膜が作成でき、かつこれを用いて作成した一軸配向分
子薄膜は優れた配向性を示すことを見出し、本発明に到
達したものである。すなわち、本発明は、[1]酸素を
含むフッ素樹脂を一軸配向させてなる配向膜において、
該配向膜表面のX線光電子スペクトルにおける酸素1s
/フッ素1sの信号面積比が0.01以上10以下であ
る配向膜に係るものである。また、本発明は、[2]極
性化処理を受けてなる、酸素を含むフッ素樹脂薄膜にお
いて、該フッ素樹脂薄膜が一軸配向した配向膜であり、
該配向膜表面のX線光電子スペクトルにおける酸素1s
/フッ素1sの信号面積比が0.01以上10以下であ
る配向膜に係るものである。また、本発明は、[3]極
性化処理が酸素原子を有する分子を含むガス雰囲気にお
いて、フッ素樹脂薄膜を気体放電下に暴露するおよび/
またはフッ素樹脂薄膜に電磁波照射もしくは粒子線照射
することである[2]記載の配向膜に係るものである。
【0006】さらに、本発明は、[4]フッ素樹脂薄膜
に極性化処理を行なった後、該フッ素樹脂薄膜を摩擦す
る配向膜の製造方法に係るものである。また、本発明
は、[5]極性化処理が酸素原子を有する分子を含むガ
ス雰囲気において、フッ素樹脂薄膜を気体放電下に暴露
するおよび/またはフッ素樹脂薄膜に電磁波照射もしく
は粒子線照射することである[4]記載の配向膜の製造
方法に係るものである。さらに、本発明は、[6]前記
[1]、[2]または[3]記載の配向膜上に一軸配向
分子膜が作成されてなる光電素子に係るものである。ま
た、本発明は、[7]前記[4]または[5]記載の配
向膜の製造方法により作成された配向膜上に、一軸配向
分子膜が作成されてなる光電素子に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の配向膜[1]は、酸素を含むフッ素樹脂を一軸
配向させてなる配向膜において、該配向膜表面のX線光
電子スペクトルにおける酸素1s/フッ素1sの信号面
積比が0.01以上10以下であることを特徴とする。
本発明における酸素を含むフッ素樹脂として、酸素が結
合したおよび/または酸素が化学吸着したフッ素樹脂が
挙げられる。該酸素の含有率は、低すぎると配向膜と基
材との密着性が低く、高すぎると一軸配向性分子の配向
度が低下する。そのため、本発明における配向膜表面の
X線光電子スペクトルにおける酸素1s/フッ素1sの
信号面積比は、0.01以上10以下であり、0.01
以上3以下が好ましく、0.02以上0.3以下がさら
に好ましい。ここで、本発明における配向膜表面のX線
光電子スペクトルの測定条件としては、1×10-9To
rr以下の真空度において、AlKアルファ線(148
6.6eV)を照射する。また、X線照射中は、測定試
料の帯電防止のために2eVの中和電子銃による電子線
を試料に照射しながら測定を行なう。
【0008】また、本発明の配向膜[2]は、極性化処
理を受けてなる、酸素を含むフッ素樹脂薄膜において、
該フッ素樹脂薄膜が一軸配向した配向膜であり、該配向
膜表面のX線光電子スペクトルにおける酸素1s/フッ
素1sの信号面積比が0.01以上10以下であること
を特徴とする。該配向膜[2]は、前記の配向膜[1]
において、酸素を含むフッ素樹脂薄膜が、極性化処理を
受けることにより得られたものに相当する。該極性化処
理とは、フッ素樹脂の炭素原子と結合していた水素また
はフッ素原子が酸素原子を有する極性基に一部置換する
処理および/またはフッ素樹脂に酸素を吸着させる処理
をいう。具体的には、該極性化処理として、フッ素樹脂
を気体放電下に暴露するおよび/またはフッ素樹脂に電
磁波照射もしくは粒子線照射することが挙げられる。該
酸素の含有率は、低すぎると基材との密着性が低く、高
すぎると一軸配向性分子の配向度が低下する。そのた
め、本発明における配向膜表面のX線光電子スペクトル
における酸素1s/フッ素1sの信号面積比は、0.0
1以上10以下であり、0.01以上3以下が好まし
く、0.02以上0.3以下がさらに好ましい。
【0009】本発明で用いるフッ素樹脂として、少なく
とも炭素およびフッ素を含むフッ素樹脂を使用すること
ができる。該フッ素樹脂としては、PTFE、ポリ3フ
ッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDF
と記すことがある。)、長鎖パーフルオロ基を有するカ
ルボン酸およびこれらの共重合体などが例示される。そ
の中でもPTFE、ポリ3フッ化エチレン、ポリフッ化
ビニリデンおよびその共重合体が好ましく、その中でも
PTFEがさらに好ましい。
【0010】本発明におけるフッ素樹脂薄膜は、公知の
方法で作成できるが、たとえば米国特許第518047
0号明細書記載の方法が挙げられる。具体的には、加熱
した基材にフッ素樹脂の塊を圧力をかけてこすりつける
ことにより作成できる。このときの基材の加熱温度は、
樹脂の種類にもよるが、100℃以上350℃または樹
脂の分解温度以下が好ましく、さらに好ましくは130
℃以上300℃以下である。圧力とこすりつける速度
は、適宜選択できるが、均一で配向特性に優れた配向膜
を得るためには、0.5kgf/m2以上5kgf/m2
以下が好ましく、0.01cm/秒以上10cm/秒以
下がさらに好ましい。また、該フッ素樹脂薄膜を作成す
る方法として、フッ素樹脂を気相から蒸着する方法、フ
ッ素樹脂の分散溶液を塗布する方法、溶融したフッ素樹
脂をダイコーティング法やロールコーティング法などに
よりコートする方法も挙げることができる。これらのフ
ッ素樹脂薄膜作成法の中で、得られる薄膜の均一性の点
で、フッ素樹脂を気相から蒸着する方法が好ましい。フ
ッ素樹脂配向膜の厚さは、その製造方法により若干異な
るが、一般に1nm〜2μm、好ましくは5nm〜0.
5μm、特に好ましくは5nm〜0.1μmである。
【0011】本発明における配向膜を形成するために用
いる基材は、安定で平滑なものを使用することができ
る。このような基材としては、ガラス、サファイア、高
分子フィルム、半導体、金属などが挙げられる。該高分
子フィルムにおける高分子としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリ−t−ブチ
ルメタクリレート、ポリグリコールメタクリレート、ポ
リアクリル酸、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチ
レート、ポリオキシメチルフェニルシリレン、ポリビニ
ルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリカー
ボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース
またはそれらの共重合体もしくは誘導体などが挙げられ
る。該半導体としては、シリコンなどが挙げられる。該
金属としては、ステンレス、銅、ニッケル、クロムなど
が挙げられる。本発明の光電素子の中でも偏光板の場合
には、該基板として、可視光に対して透明で平滑なもの
が用いられ、ガラス、サファイアなどが挙げられる。
【0012】本発明の配向膜を形成するために用いる基
材においては、前記の基材そのものに加えて、用途に応
じて他の機能を有する膜や素子も含有してもよい。その
ようなものとして、例えば、液晶の方向を制御する液晶
配向膜、透明電極、電極、薄膜トランジスタ、カラーフ
ィルタ、ブラックストライプなどが挙げられる。
【0013】次に、本発明の配向膜の製造方法について
さらに詳細に説明する。本発明の配向膜の製造方法は、
フッ素樹脂薄膜に極性化処理を行なった後、該フッ素樹
脂薄膜を摩擦することを特徴とする。ここで、極性化処
理としては、前述の通り、高分子の表面改質に一般に用
いられている公知の方法を適用することができる。具体
的には、酸素原子を有する分子を含むガス雰囲気におい
て、フッ素樹脂薄膜を気体放電下に暴露するおよび/ま
たはフッ素樹脂薄膜に電磁波照射もしくは粒子線照射す
ることが挙げられる。該気体放電としては、コロナ放
電、プラズマ放電、グロー放電などが挙げられる。該粒
子線照射としては、電子線、α線、β線などの照射が挙
げられる。該電磁波照射としては、紫外線、X線などの
照射が挙げられる。この中でもコロナ放電もしくはプラ
ズマ放電、または紫外線照射を使用する方法が効率およ
び設備面で好ましく、プラズマ放電を使用する方法が特
に好ましい。
【0014】このときの雰囲気は、生じる活性種がフッ
素樹脂に酸素を有する極性基を導入できるものである必
要がある。したがって、雰囲気は、酸素原子を含む分子
を含有する必要がある。その中でも、酸素分子を含むこ
とが好ましく、酸素分子であることが特に好ましい。酸
素原子を含む分子としては、酸素分子、オゾン、炭酸ガ
ス、水蒸気などが挙げられる。この中でも、酸素分子、
オゾン、水が好ましい。また、酸素分子を含む雰囲気と
して、空気も好ましく用いられる。酸素原子を有する分
子以外には、各種のガス分子を含有することができる。
このようなガス分子としては、窒素分子、水素分子、ア
ンモニアなどを挙げることができる。このときのガス
圧、雰囲気温度、印加電圧、印加時間は、用いるガスの
反応性、活性化エネルギーなどを考慮して決めることが
できる。
【0015】なお、本発明に用いる配向膜を形成するた
めに用いる基材は、フッ素樹脂薄膜との接着性を向上さ
せるために、あらかじめ該基材の表面を極性化処理して
もよい。極性化処理の方法としては、前記の方法が挙げ
られる。
【0016】次に、この極性化処理を行ったフッ素樹脂
膜を摩擦することにより、本発明の配向膜を得ることが
できる。該薄膜を摩擦する材料には化学的、物理的に安
定な材料を使用することができる。例えば、ガラス;ス
テンレス、真鍮、アルミニウム、銅などの金属;アルミ
ナなどのセラミックス;ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ
イミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂などの樹脂;
セーム革、スエード革、ベロア革、バックスキン革など
の皮革;綿、レーヨン、ナイロンなどの布を使用するこ
とができる。
【0017】品質の良好な配向膜を多量に製造するに
は、摩擦する材料に適度な柔軟性と緻密さを備えること
が好ましい。このような材料としては、セーム革、スエ
ード革、ベロア革、バックスキン革などの皮革;綿、レ
ーヨン、ナイロンなどの布が好ましい。中でもこれらの
素材の中で、光学レンズの洗浄に好適に使用される素
材、例えばセーム革や超微細ナイロン繊維からなる布が
特に好ましい。
【0018】摩擦する材料の形状は、摩擦方法により適
宜選択することができるが、円柱、角柱、ドラム、平板
などが例示される。摩擦する材料が布や皮革など柔軟な
材料の場合には、これらの形状の固い材料に貼り付けて
使用することができる。
【0019】摩擦の条件は、フッ素樹脂の種類、酸素原
子を含む極性基の導入の程度、基材の種類、摩擦する材
料に応じて、適宜選択して行うことができる。ただし、
フッ素樹脂、基材または摩擦する材料のガラス転移点以
上では使用しないことが好ましい。
【0020】摩擦の速度は、適宜選択して行うことがで
きるが、0.1〜500mm/秒の範囲が好ましく、
0.1〜100mm/秒の範囲がさらに好ましく、1〜
50mm/秒の範囲が特に好ましい。
【0021】摩擦時に摩擦する材料から基材に加える圧
力も適宜選択して行うことができるが、0.01〜10
0kg/cm2の範囲が好ましく、0.1〜20kg/
cm2の範囲がさらに好ましく、0.5〜10kg/c
2の範囲が特に好ましい。
【0022】以下に、該一軸配向分子薄膜の作成方法に
ついて詳細に述べる。一軸配向分子薄膜の作成方法は、
配向させる材料の種類により異なるが、一般的に気相か
らの蒸着、または液層からの凝固もしくは溶液層からの
析出によりフッ素樹脂配向膜上に一軸配向分子薄膜を形
成する方法が挙げられる。蒸着により作成する場合は、
分解温度以下で蒸着する材料を加熱することにより蒸着
源から気化または昇華させて、フッ素樹脂配向膜上に積
層する。よって蒸着する材料は、加熱により分解せず、
気化または昇華するものが用いられるが、蒸着源の温度
を材料の分解温度以下とすることが好ましい。蒸着によ
り一軸配向膜を得ることができる材料は、きわめて多数
あるが、一般に分子が細長くアスペクト比が高いものが
好ましい。
【0023】このような材料としては、アジピン酸、ク
ロラニル、トリコサンなどの一般有機分子;アゾ系色
素、ポリアゾ系色素、メロシアニン系色素、スチリル系
色素、アゾメチン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、
キノフタロン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色
素、テトラジン系色素などの二色性色素;ジアセチレン
誘導体などを例示することができる。なお。ジアセチレ
ン誘導体の一部は、蒸着後に重合して、配向したポリジ
アセチレン薄膜に変換することが可能である。液相から
の凝固または溶液からの析出により一軸配向分子薄膜を
作成する場合は、分解温度以下で配向させる材料を融解
加熱して、加熱融解した液をフッ素樹脂配向膜上に塗布
した後、冷却して凝固させる。配向させる材料は、加熱
により分解する前に融解して、液体状態で安定であるも
のが好ましい。液相からの凝固または溶液からの析出に
より配向した分子膜を作成可能な材料は多数あるが、ア
ントラキノン、PTFEオリゴマー、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン、ナイロン6、ナイロン11、ポリ(1−ブテン)、
ポリ−ε−カプロラクトン、パラフィンなどが挙げられ
る。
【0024】液相からの凝固または溶液からの析出によ
り作成する場合は、あらかじめ液をフッ素樹脂配向膜上
に塗布し、凝固または溶媒を揮発させて薄膜を作成す
る。この場合、配向の点では材料が凝固または析出する
前に液晶相を経由することが好ましい。また、溶液から
析出させて形成した薄膜を加熱融解し、その後冷却して
凝固させる方法も均一性配向性の観点から効果的であ
る。この場合、配向の点で材料は凝固する前に液晶相を
経由することが好ましい。液相からの凝固または溶液か
らの析出により作成可能な材料としては、液晶化合物、
ポリアニリン、ポリ−パラ−(フェニレンテレフタルア
ミド)などが挙げられる。例えば、ポリアニリン、ポリ
−パラ−(フェニレンテレフタルアミド)の場合、濃硫
酸の溶液から配向した分子薄膜を作成することが可能で
ある。
【0025】一軸配向分子薄膜の膜厚は、用途にもよる
が、ピンホールがなく、均一な薄膜を形成するという観
点からは厚い方が良く、高配向度とするためには薄い方
が良い。一般に膜厚は、1nm以上5μm以下、好まし
くは5nm以上1μm以下、さらに好ましくは10nm
以上0.5μm以下である。
【0026】一軸配向分子薄膜を保護する目的で、その
上に保護層を設けても良い。保護層の材料は、一軸配向
分子薄膜を物理的化学的に侵さない材料を適宜公知の材
料から選択して使用することができる。このような材料
として、天然ゴム系、スチレン−ジエンブロック共重合
体系、スチレン−ブタジエンゴム系、ポリイソブチレン
系、再生ゴム系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ア
クリル系、酢酸ビニル共重合体系、シリコーン系、ポリ
ビニルアルキルエーテル系、エポキシ系、アクリル−エ
ポキシ系の、接着材、封止材、熱硬化剤または光硬化材
として知られているものを挙げることができる。また
は、SiO2に代表される無機材料を、真空蒸着法、E
B蒸着法などの公知の技術で積層しても良い。本発明の
偏光板においては、保護層は、透明であることが好まし
く、このような材料としては、アクリル系、アクリル−
エポキシ系の接着材、封止材、光硬化材として知られて
いるものを挙げることができる。
【0027】このようにして得られた本発明のフッ素樹
脂配向膜の用途として、該フッ素樹脂配向膜の上に一軸
配向分子薄膜を作成するために用いることが挙げられ
る。さらに、該一軸配向分子薄膜を光電素子に好適に用
いることができる。また、本発明のフッ素樹脂配向膜の
用途として、液晶表示装置用途などに代表される液晶の
配向膜として用いることが挙げられる。 本発明の光電素子としては、非線形光学素子、偏光素
子、位相差板、カラーフィルターなどを例示することが
できる。該非線形光学素子として用いる場合は、単独で
用いても、フィルター、プリズム、ミラーなどの導光部
の部品を基板として用いて光学系に組み込んでもよい。
相差板または偏光素子として液晶表示装置に用いる場合
には、液晶セル基板の外側または内側に本発明の配向膜
を作成した後、二色性を示す一軸配向分子薄膜を作成し
て偏光素子としてもよい。また、3種の赤、青、緑の二
色性色素によるカラー偏光板を液晶のパターンに合わせ
てカラーフィルターとして配置してもよい。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、本発明における
二色性比とは、一軸配向分子薄膜の配向性の指標とし
て、特定の波長における、一軸配向分子薄膜の配向方向
に平行な方向の偏光の吸光度(A1)と、一軸配向分子
薄膜の配向方向と直交する方向の偏光の吸光度(A2)
を測定し、次の式により求めたものであり、特に吸収ピ
ーク波長での値を用いた。吸光度の値としては、基材に
よる吸収を差し引いて、一軸配向分子薄膜単独のものを
用いた。
【数1】二色性比=A1/A2
【0029】実施例1 ガラス基板上に、真空蒸着法により、PTFE(化学品
グレード、和光純薬株式会社製、分子量5000〜20
000)を400Å積層した。この膜を、0.1Tor
rの酸素雰囲気下で、上下ともに20cmφの電極間
(電極間距離10cm)の下側の電極上にサンプルを載
せ、この電極間に高周波電源(島津製作所製、型式RF
−300T)を用いて高周波電流を印加することによ
り、プラズマ放電(電力50W)されている状態で5秒
間処理し、極性化処理を行った。その後、この基材に、
基材垂直方向に5kg/cm2の圧力を印加したセーム
皮により一方向に1cm/secの速度で配向処理を行
い、配向膜とした。該配向膜表面のX線光電子スペクト
ルを測定した。測定装置として、SSX−100(サー
フェス・サイエンス・インストルメンツ(SSI)社
製)を用い、1×10-9Torr以下の真空度において
AlKアルファ線(1486.6eV)を試料に照射し
た。また、X線照射中は、測定試料の帯電防止のために
2eVの中和電子銃による電子線を試料に照射しながら
測定を行った。この配向膜表面のX線光電子スペクトル
における酸素1s/フッ素1sの信号面積比は、0.0
23であった。この上に、下記式(A)で表される二色
性色素を1000Å蒸着した。
【化1】 その結果、この試料は、530nmにおける二色性比が
100以上という高い偏光性能を示した。また、このサ
ンプルにカッターを用いて碁盤目状に切れ目を入れ、粘
着テープ(ScotchTM、Cat.No.811−3
−18)を密着して引き剥がす方法で剥離試験を行った
が、剥離はほとんど見られなかった。
【0030】実施例2 ガラス基板上に、真空蒸着法により、PTFE(化学品
グレード、和光純薬株式会社製試薬製、分子量5000
−20000)を400Å積層した。この膜を、0.1
Torrの酸素雰囲気下で、上下ともに20cmφの電
極間(電極間距離10cm)の下側の電極上にサンプル
を載せ、この電極間に高周波電源(島津製作所製、型式
RF−300T)を用いて高周波電流を印加することに
よりプラズマ放電(電力50W)されている状態で30
秒間処理し、極性化処理を行った。その後この基材に、
基材垂直方向に5kg/cm2の圧力を印加したセーム
皮により一方向に1cm/secの速度で配向処理を行
い、配向膜とした。実施例1と同様にして該配向膜表面
のX線光電子スペクトルを測定した。この配向膜表面の
X線光電子スペクトルにおける酸素1s/フッ素1sの
信号面積比は2であった。この上に、実施例1で用いた
のと同じ二色性色素(A)を1000Å蒸着した。この
試料の530nmにおける二色性比は、2.3であっ
た。また、このサンプルにカッターを用いて碁盤目状に
切れ目を入れ、粘着テープ(ScotchTM、Cat.
No.811−3−18)を密着して引き剥がす方法で
剥離試験を行ったが、剥離はほとんど見られなかった。
【0031】比較例1 実施例1と比べ、極性化処理がない以外は同じ処理を行
った。実施例1と同様にして該配向膜表面のX線光電子
スペクトルを測定した。この配向膜表面のX線光電子ス
ペクトルにおける酸素1s/フッ素1sの信号面積比
は、酸素は全く検出されないため0であった。また、こ
の試料は、530nmにおける二色性比が100以上と
高い偏光性能を示した。しかし、このサンプルにカッタ
ーを用いて碁盤目状に切れ目をいれ、粘着テープ(Sc
otchTM、Cat.No.811−3−18)を密着
して引き剥がす方法で剥離試験を行ったところ、かなり
の部分が剥離した。
【0032】
【発明の効果】本発明の配向膜の製造方法により、極め
て高い配向力を有し、かつ基板との密着性に優れた配向
膜が得られる。本発明の配向膜を用いて得られる一軸配
向分子薄膜は配向性が優れているので好ましい。また、
本発明の配向膜を用いて得られる一軸配向分子薄膜は、
光電素子として好適に使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 // B29C 55/02 B29C 55/02 C08J 5/18 CEZ C08J 5/18 CEZ B29K 27:12 B29L 7:00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素を含むフッ素樹脂を一軸配向させてな
    る配向膜において、該配向膜表面のX線光電子スペクト
    ルにおける酸素1s/フッ素1sの信号面積比が0.0
    1以上10以下であることを特徴とする配向膜。
  2. 【請求項2】フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン
    であることを特徴とする請求項1記載の配向膜。
  3. 【請求項3】極性化処理を受けてなる、酸素を含むフッ
    素樹脂薄膜において、該フッ素樹脂薄膜が一軸配向した
    配向膜であり、該配向膜表面のX線光電子スペクトルに
    おける酸素1s/フッ素1sの信号面積比が0.01以
    上10以下であることを特徴とする配向膜。
  4. 【請求項4】極性化処理が酸素原子を有する分子を含む
    ガス雰囲気において、フッ素樹脂薄膜を気体放電下に暴
    露するおよび/またはフッ素樹脂薄膜に電磁波照射もし
    くは粒子線照射することであることを特徴とする請求項
    3記載の配向膜。
  5. 【請求項5】フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン
    であることを特徴とする請求項3または4記載の配向
    膜。
  6. 【請求項6】フッ素樹脂薄膜に極性化処理を行なった
    後、該フッ素樹脂薄膜を摩擦することを特徴とする配向
    膜の製造方法。
  7. 【請求項7】極性化処理が酸素原子を有する分子を含む
    ガス雰囲気において、フッ素樹脂薄膜を気体放電下に暴
    露するおよび/またはフッ素樹脂薄膜に電磁波照射もし
    くは粒子線照射することであることを特徴とする請求項
    6記載の配向膜の製造方法。
  8. 【請求項8】酸素原子を有する分子が、酸素であること
    を特徴とする請求項7記載の配向膜の製造方法。
  9. 【請求項9】酸素原子を有する分子を含むガス雰囲気
    が、空気であることを特徴とする請求項7記載の配向膜
    の製造方法。
  10. 【請求項10】フッ素樹脂薄膜が、ポリテトラフルオロ
    エチレンからなる薄膜であることを特徴とする請求項6
    〜9のいずれかに記載の配向膜の製造方法。
  11. 【請求項11】フッ素樹脂薄膜が、フッ素樹脂が基材上
    に気相から蒸着されてなる薄膜であることを特徴とする
    請求項6〜9のいずれかに記載の配向膜の製造方法。
  12. 【請求項12】ポリテトラフルオロエチレンからなる薄
    膜が、ポリテトラフルオロエチレンが基材上に気相から
    蒸着されてなる薄膜であることを特徴とする請求項10
    記載の配向膜の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1〜5のいずれかに記載の配向膜
    上に一軸配向分子膜が作成されてなることを特徴とする
    光電素子。
  14. 【請求項14】請求項6〜12のいずれかに記載の配向
    膜の製造方法により作成された配向膜上に、一軸配向分
    子膜が作成されてなることを特徴とする光電素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6284931B1 (en) 1998-10-20 2001-09-04 Honshu Chemical Industry Co., Ltd. Process for producing 3, 3, 5-trimethylcyclohexylidenebisphenol
JP2006187706A (ja) * 2005-01-05 2006-07-20 Konica Minolta Holdings Inc 有機半導体層の形成方法および有機薄膜トランジスタの製造方法
KR100814600B1 (ko) 2006-05-04 2008-03-17 주식회사 엘지화학 유기 박막 트랜지스터의 게이트 절연막 형성용 조성물 및이를 이용한 유기 박막 트랜지스터

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