JPH10207182A - 電子写真用帯電部材とその製造方法 - Google Patents

電子写真用帯電部材とその製造方法

Info

Publication number
JPH10207182A
JPH10207182A JP1385397A JP1385397A JPH10207182A JP H10207182 A JPH10207182 A JP H10207182A JP 1385397 A JP1385397 A JP 1385397A JP 1385397 A JP1385397 A JP 1385397A JP H10207182 A JPH10207182 A JP H10207182A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
conductive
charging member
ionic
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1385397A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukihiro Ishii
幸広 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP1385397A priority Critical patent/JPH10207182A/ja
Publication of JPH10207182A publication Critical patent/JPH10207182A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 抵抗の環境依存性が小さく、高速電子写真適
性を備え、かつ連続高速運転時においても帯電不良の発
生がなく、製造工程上安全で耐久性に優れた電子写真用
帯電部材を提供する。 【解決手段】 導電性基体上に順次形成された導電性ゴ
ム層、ブリード防止層、ウレタンポリマーに有機イオン
電解質を含有させた抵抗制御層、および表面層からな
る。有機イオン電解質は、一般式(I)〜(IV)で表される
錯体化合物から選ばれる。 (各式中、Z1とZ1′、Z2とZ2′、Z3とZ3′は、そ
れぞれ2価の芳香族炭化水素基を示す。R1,R2は水
素、アルキル基またはアリール基、R3,R4はアリール
基を示す。M1〜M4はホウ素または金属原子、X1〜X4
は水素、アルカリ金属またはアンモニウムを示す。ま
た、それぞれのnは1または2であり、n′はM1〜M4
およびX1〜X4のイオン価に応じて2、1または1/2
である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機,レーザプ
リンター,ファクシミリ,これらの複合OA機器等の電
子写真装置に用いられる帯電部材およびその製造方法に
関する。特に、高速の電子写真プロセスに対応可能な帯
電部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真の分野で用いられる帯電部材
は、一般に導電部と抵抗制御部とからなり、ロール形状
の半導電性部材が好適に使用されるが、ベルト,フィル
ム,ブレード,ブラシ等の形態でも使用されている。帯
電部材の抵抗値は、形状や大きさによって異なるので、
体積固有抵抗値で示すならば、一般に導電部では108
Ωcm以下の材料が、抵抗制御部では105〜1010Ωcm
の材料が選択されている。一般に、材料の体積固有抵抗
値は、カーボンブラック等の導電化剤を用いることによ
って103Ωcm 以下の領域、および絶縁性の高分子材料
を用いることによって1012Ωcm以上の領域については
比較的容易に調整される。しかし、平均値として見掛け
上の体積固有抵抗値がたとえ上述の105〜1010Ωcm
の範囲にあったとしても、抵抗の均一性に劣ることが多
く、電子写真の分野に有用な領域において抵抗を均一に
調整することは技術的に困難な点が多い。抵抗が不均一
であれば、部材中で部分的に抵抗の高い部分と低い部分
とが生じ、帯電部材として不都合な帯電ムラが発生し
て、かぶり,ゴースト等が発生するようになる。
【0003】かかる帯電部材の一例としては、電子写真
感光体を帯電させるのに各種のゴム材料ないしポリマー
材料から構成した帯電ロールが、例えば特開昭63−1
49669号公報に開示されている。また、ロールや被
覆層の電気抵抗値をどの程度の範囲に調整すれば、有効
な帯電量が得られるかについても多くの提案がなされて
いる。確かに、カーボンブラック等の導電化剤と混練し
て、電気抵抗値を所定の範囲に調整したゴム材料を芯金
に巻き付けて成形・加硫した導電性弾性ロールによっ
て、充分な帯電量が容易に得られる。ところが、被帯電
体表面にピンホールがあいていてアルミニウム管等の導
電性ドラムが露出しているような場合、帯電ロールを用
いて帯電処理を行うと、ピンホール部分に大電流が急激
に流れて、帯電ロールが瞬時に破壊されてしまう。同時
に、被帯電体はロール部材との接触部分が帯電不良とな
るため、コピー用紙上に一直線の黒筋が発生する。
【0004】その対策として、体積固有抵抗値が106
〜1010Ωcm、好ましくは107 〜109Ωcm の抵抗制
御層を設けるのが一般的である。例えば、特開平1−1
42569号公報には、エピクロルヒドリン−エチレン
オキサイド共重合ゴム(ECO)からなる体積抵抗率×
厚みが105〜107Ωcm2 の抵抗層を導電性弾性体層上
に被覆した導電性ロールが提案されている。つまり、汎
用高分子材料としては最も電気抵抗の低いECOを用い
て帯電を可能とし、かつ絶縁破壊を防止しようとするも
のである。特開平2−198470号公報には、繰り返
し単位中にエーテル結合を有する高分子化合物に過塩素
酸塩を含有させた半導電性ロールが提案されている。こ
の半導電性ロールは、エーテル結合に与る酸素原子に過
塩素酸塩が配位しているため、低湿環境下においても抵
抗の上昇が小さいとしている。また、特開平7−283
01号公報には、第四級アンモニウムや過塩素酸塩を添
加したイオン導電系発泡体よりなる体積抵抗率106
108Ωcmの基層と、その上に保護層を設けた導電性ロ
ールが提案されている。この導電性ロールは、基層自体
が中抵抗化されているため、電圧印加許容幅が広くなっ
て、画像欠陥が防止されるとしている。
【0005】一方、特開平4−14070号公報には、
二塩基カルボン酸とジオールとω−アミノカルボン酸と
からなるポリエステルアミドを樹脂層とする新規な提案
もなされているが、未だ実用化には至ってない。ところ
で、近年“制電樹脂”と称してポリエーテルアミド、ポ
リエステルアミド等のグラフト共重合樹脂が市販されて
いる(例えば、梅田,末沢、プラスティックスエージ、
40(4),104(1994)参照)。これらの樹脂
は、静電気による塵埃の付着等を引き起こしがちな絶縁
性の高い樹脂とブレンドして永久静電防止作用を有する
もので、OA機器筺体をはじめとして広く利用されてい
る。これらの樹脂の体積固有抵抗値は109Ωcm 程度で
あり、前記抵抗制御層の構成材料として使用可能な範囲
にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
材料を抵抗制御層の構成材料とした場合、次のような問
題のあることが判明した。すなわち、ECOを被覆した
導電性ロールでは、電気抵抗の環境依存性が大きく、環
境の変化によって帯電性能に差が生じ、低温低湿環境で
は帯電電圧が低く、高温高湿環境ではピンホールリーク
が発生しやすい。特に、低温低湿環境では抵抗制御層が
本来の機能を果たすことができない。また、イオン導電
系の導電性ロールでは、高分子化合物への過塩素酸塩等
のイオン導電化剤の配位によって、ロールの電気抵抗が
低下する。そのため、低温低湿環境での帯電不良は解消
するが、高温高湿環境でのピンホールリークは更に発生
しやすくなる。つまり、帯電性能と絶縁破壊の防止との
基本的な機能が両立し得ない。さらに、前記制電樹脂を
抵抗制御層の構成材料とした帯電ロールでは、絶縁破壊
防止の点では効果はあるが、抵抗が高すぎるためか、低
温低湿環境では感光体の帯電不良が発生する。
【0007】さらにまた、抵抗制御層を設けた従来の帯
電部材では、対応できる電子写真プロセススピードに限
界があり、例えば100mm/sec のような中高速の電
子写真装置に適用すると、帯電不良が生じ、かぶり,ゴ
ースト,文字のかすれ等が発生する。従来の技術として
提示したような過塩素酸リチウムをかなり多量に抵抗制
御層に添加すれば、帯電不良は解消するものの連続運転
時に抵抗が上昇し、結局は帯電不良を発生する。この現
象はとりわけ低温低湿環境で顕著である。また、連続運
転時の抵抗の上昇は1サイクル毎にLED(レーザ発光
ダイオード)の露光による除電を行うときに著しく、抵
抗制御層を設けた従来の帯電部材は高画質が要求される
電子写真には全く不向きである。このような連続運転時
の抵抗上昇の問題に対して、本発明者らは、ポリウレタ
ンアイオノマーに過塩素酸リチウム,テトラフルオロ硼
酸リチウム,テトラフェニル硼素酸ナトリウム等の主と
して無機電解質を少量添加した抵抗制御層を設けること
によって上述の問題点がほぼ解消することを見い出し、
既に特許出願を行った(特願平8−315231号)。
しかし、これらの電解質は分子的に不安定である。例え
ば、過塩素酸リチウムはその強い酸化力故に金属と接触
すると爆発する危険があり、テトラフルオロ硼酸リチウ
ムも劇薬として指定され、製造工程で取り扱うのは現実
的でない。さらに、テトラフェニル硼素酸ナトリウムの
場合は、ベンゼン環の炭素とホウ素の結合力が弱く、分
子として安定性を欠くことがあり、とりわけ紫外線や水
等に対して不安定であり、過酷な環境で長時間使用する
と効力を失うことがその後判明した。
【0008】そこで、本発明の目的は、上述のような従
来技術の現状に鑑み、第一に電気抵抗の環境依存性が小
さく、第二に高速電子写真適性を賦与することであり、
第三に高速適性を備えていてもなおかつ連続運転時に電
気抵抗の上昇に由来する帯電不良が発生することがな
く、第四に製造工程上安全であり、第五に過酷な条件下
でも抵抗安定性の効力を失うことのない耐久性に優れた
電子写真用帯電部材およびその製造方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、電気抵抗の
環境安定性に優れ、かつプロセススピードが高速の電子
写真装置に適用可能な帯電部材を実現すべく、抵抗制御
に適合した材料を鋭意探求してきたところ、イオン導電
性材料は一般に電気抵抗の環境依存性が大きいとされて
いたにもかかわらず、ウレタンポリマーとりわけそのア
イオノマーを導電性層の構成材料とし、導電性層中に更
に特定の有機イオン電解質を含有させることにより、前
記目的が達成され得ることを見い出し、本発明を完成す
るに至ったものである。すなわち、本発明の電子写真用
帯電部材は、導電性基体と、その上に形成されたウレタ
ンポリマーを構成成分とする導電性層とから少なくとも
なり、該導電性層中には下記の一般式(I)、(II)、(II
I) および(IV)で表される錯体化合物から選ばれる少な
くとも1種の有機イオン電解質を含有することを特徴と
する。
【0010】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0011】(各一般式において、Z1とZ1′、Z2
2′、Z3とZ3′は、それぞれ同一でもあるいは異な
っていてもよく、置換または非置換の2価の芳香族炭化
水素基を示す。R1,R2は、同一でもあるいは異なって
いてもよく、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル
基またはアリール基を示す。R3,R4は、同一でもある
いは異なっていてもよく、置換または非置換のアリール
基を示す。錯体の中心原子M1,M2,M3およびM4は、
ホウ素原子あるいはイオン価が2または3の金属原子を
示す。陽イオン成分X1,X2,X3およびX4は、水素原
子、アルカリ金属、アンモニウムまたはアルカリ土金属
を示す。また、上記中心原子のイオン価が2のとき、そ
れぞれの式中のnは2で、n′は上記陽イオン成分のイ
オン価に応じて2または1であり、中心原子のイオン価
が3のとき、それぞれの式中のnは1で、n′は陽イオ
ン成分のイオン価に応じて1または1/2である。) また、本発明の電子写真用帯電部材の製造方法は、ゴム
材料および導電化剤を含有するゴム組成物を成形し加硫
して、導電性基体上に導電性ゴム層を形成する工程と、
ウレタンポリマーと上記一般式(I)、(II)、(III) およ
び(IV)で表される錯体化合物から選ばれる少なくとも1
種の有機イオン電解質を含有する塗布液を塗布した後、
加熱して上記導電性ゴム層上に抵抗制御層を形成する工
程とから少なくともなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真用帯電部材は、感光体等の被帯電体に
押圧して被帯電体表面を均一に帯電処理する。その層構
造は、帯電ロールとして使用する場合は、図1A,Bに
示すように、導電性基体1a外周面に導電性弾性体層1
bが固定され、弾性体層1b上に表面層1cが被覆され
た2層構造からなる。さらに、図2A,Bに示すよう
に、導電性ゴム層2b、ブリード防止層2c、抵抗制御
層2d、表面層2eで導電性基体2a外周面を順次被覆
した4層構造からなる。ここで、2層構造の導電性弾性
体層1b、4層構造の導電性ゴム層2b,ブリード防止
層2cおよび抵抗制御層2dが、それぞれ本発明におけ
る「導電性層」に相当する。また、上記ブリード防止層
2cは必ずしも必要な層ではなく、この層を不要とした
3層構造の場合は、導電性弾性体層1bの下層をゴム層
2bとし上層を抵抗制御層2dとした層構成に相当し、
両層の境界を明確に区郭する必要はない。さらに、表面
層1c,2eも必要に応じて形成すればよい。したがっ
て、本発明の電子写真用帯電部材は、1層から4層まで
の層構成を採用することができる。
【0013】導電性基体(1a,2a)は、帯電部材の
電極および支持部材として機能するもので、例えばアル
ミニウム,銅合金,ステンレス鋼(SUS)等の金属ま
たは合金、クロム,ニッケル等で鍍金処理を施した鉄,
合成樹脂などの棒状または管状の導電性材質で構成され
る。
【0014】次に、2層構造からなる帯電部材(1)につ
いて詳述する。導電性弾性体層(1b)は、ウレタンポリ
マーに後述の有機イオン電解質を添加した材料から構成
される。上記ウレタンポリマーは、ポリイソシアネート
等の多官能性架橋剤で硬化されゴム弾性を示す。ウレタ
ンポリマーとしては、分子内にイオン性セグメントを導
入したアイオノマーを用いることもできる。また、通常
のポリウレタンまたはポリウレタンアイオノマーには、
有機イオン電解質と共に、高抵抗のゴム材料および低抵
抗の導電化剤の一方または双方を配合してもよい。そし
て、ゴム材料または導電化剤のいずれかを含有させるこ
とにより、適切な体積固有抵抗値およびゴム硬度に調整
することができる。導電性弾性体層の厚さは、1〜5m
mの範囲にあればよく、2〜4mmの範囲にあることが
好ましい。弾性体層の厚さが1mm未満であると、導電
性基体の影響を受けるようになりニップの均一性が損な
われる。一方、厚さが5mmより厚くなると、材料コス
トが上昇するだけでなく装置が大型化する。
【0015】適宜ブレンドされる上記ゴム材料として
は、特に限定されるものではないが、イソプレンゴム,
クロロプレンゴム,エピクロルヒドリン系ゴム,ノルボ
ルネンゴム,シリコーンゴム,フッ素ゴム,アクリルゴ
ム,SBR,NBR,EPDM,アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレンゴム等が挙げられ、これらのゴム材
料を2種以上ブレンドしてもよい。導電化剤としては、
カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム,銅,
ニッケル,SUS等の各種導電性金属または合金、酸化
錫,酸化アンチモン,酸化インジウム,酸化チタン,酸
化亜鉛,酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物,酸化錫−
酸化インジウム複合酸化物等の各種導電性金属酸化物、
絶縁物質の表面を導電化処理したものなどの1種または
2種以上の微粉末を用いることができる。
【0016】ウレタンポリマーは、一般に有機ポリイソ
シアネートと長鎖ポリオール、必要に応じて更に鎖延長
剤とを触媒の存在下に反応させることによって得られる
反応生成物が用いられる。また、アイオノマーとして用
いる場合は、イオン性セグメントを長鎖ポリオールおよ
び鎖延長剤の一方または双方に置換基として導入するこ
とが好ましい。有機ポリイソシアネートとしては、テト
ラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネ
ート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイ
ソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添
テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネー
ト、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレン
ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシリレ
ンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネー
ト、ジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2−ニ
トロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,
3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネ
ート、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネー
ト、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、
3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイ
ソシアネート、β,β−ジフェニルプロパン−4,4′
−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4′−
ジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフチレンジイソシアネート等の芳香族ジ
イソシアネート、これらの重合体、トリメチロールプロ
パン等のポリオール付加物、末端にイソシアネート基を
有するポリイソシアネートとポリオールとのプレポリマ
ーなどが挙げられる。
【0017】長鎖ポリオールには、a)ポリエステルポ
リオール,b)ポリカーボネートポリオール,c)ポリ
エーテルポリオール、およびこれらの共重合ポリオール
がある。 a)ポリエステルポリオールは、二塩基酸や、そのエス
テル,酸ハライド,酸無水物等の反応性酸誘導体とグリ
コール,アミノアルコール等の単独または混合物との縮
合反応により得られるポリエステルポリオール,ポリエ
ステルアミドポリオールがある。上記二塩基酸として
は、コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,アゼライン
酸,フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,ヘキサヒ
ドロフタル酸,ヘキサヒドロイソフタル酸,ヘキサヒド
ロテレフタル酸,ナフタレンジカルボン酸等のジカルボ
ン酸,これらの反応性酸誘導体などが挙げられる。上記
グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、ネオペンチレングリコール、1,6−ヘキ
サンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまた
はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。上記ア
ミノアルコールとしては、エタノールアミン,プロパノ
ールアミン,ε−アミノヘキサノール等が挙げられる。
また、上記グリコールの一部をヘキサメチレンジアミ
ン,イソホロンジアミン,キシリレンジアミン等のジア
ミンで置換することができる。さらに、ε−カプロラク
トン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるラクト
ン系ポリエステルポリオールも含まれる。
【0018】b)ポリカーボネートポリオールは、一般
には上記グリコール等の多価アルコールとエチレンカー
ボネート,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネー
ト,ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応な
どにより得られる。 c)ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサ
イド,プロピレンオキサイド,テトラヒドロフラン等を
開環重合させて得られるポリエチレングリコール,ポリ
プロピレングリコール,ポリテトラメチレンエーテルグ
リコール等、これらのコポリマー、さらに前記ポリエス
テルポリオールやポリカーボネートポリオールを共重合
成分としたポリエステルエーテルポリオールが挙げられ
る。
【0019】アイオノマーを形成する長鎖ポリオールと
しては、300〜10000の分子量範囲にあることが
望ましい。分子量が300未満では、イオン性セグメン
トが配位するポリウレタンアイオノマー中の電荷担体で
あるポリオール成分の官能基濃度が充分でなく、抵抗が
高くなる。一方、分子量が10000より大きくなる
と、ポリオール成分に起因する結晶化が部分的に生じ
て、電荷担体となる上記官能基にかかるイオンセグメン
ト運動が阻止され、イオン電導性が阻害される。上述の
長鎖ポリオールの中でも、帯電部材に好適なポリオール
としては、長鎖ポリオキシアルキレングリコール、とり
わけ分子量が上記範囲にあるポリエチレングリコール,
ポリプロピレングリコール,両者の混合物または共重合
体が好ましく用いられる。
【0020】鎖延長剤は、一般に分子量300未満の分
子内に2個以上の活性水素を有する化合物であって、ポ
リオール,ポリアミン,アミノアルコール等が用いられ
る。具体的には、前記したグリコール,ジアミン,アミ
ノアルコールの他に、例えばビスヒドロキシエトキシベ
ンゼン,グリセリン,トリメチロールプロパン等のポリ
オールや、メチレン−ビス(クロロアニリン)等のポリ
アミンなどが挙げられる。更に水,尿素も鎖延長剤とし
て用いることができる。なお、鎖延長剤の全モル数が長
鎖ポリオールのモル数より多いと、凝集力の強いウレタ
ン結合の割合が増加してウレタンポリマー中のハードセ
グメントの割合が高まる。そのため、ウレタンポリマー
をアイオノマーとして用いる場合には、イオン電導が阻
害され、体積固有抵抗値が必要以上に高くなる。したが
って、鎖延長剤を使用する場合は、そのモル数を長鎖ポ
リオールの合計モル数以下、特に1/2以下とすること
が好ましい。
【0021】前述のイオン性セグメントは、好ましくは
下記の化学式で表されるスルホン酸基、カルボキシル基
および第三級アミノ基あるいはこれらの塩から選ばれ
る。
【化9】 (式中、M5,M6は、それぞれ水素原子または陽イオン
を示し、陽イオンのイオン価が2価以上の場合は、その
イオン価に応じた数のスルホン酸基またはカルボキシル
基がM5またはM6に結合する。R5,R6は、それぞれ置
換または非置換の炭化水素基を示す。R7,R8,R
9 は、同一でもあるいは異なっていてもよく、それぞれ
置換または非置換の炭化水素基を示し、これらの1つは
水素原子であってもよい。また、X- は陰イオンを示
す。) 前述したとおり、好ましくは上記イオン性セグメントを
置換した長鎖ポリオールおよび/または鎖延長剤と、有
機ポリイソシアネートとを反応させることにより、ウレ
タンポリマー中にイオン性セグメントの少なくとも1種
が導入される。イオン性セグメントが塩を示す場合は、
ポリウレタン化反応の前または反応終了後に、スルホン
酸基、カルボキシル基を各種塩基で中和したり、第三級
アミノ基に各種の酸を付加するかあるいは第三級アミノ
基を各種のハロゲン化物やスルホン酸エステル等で第四
級アンモニウム塩に変換することができる。
【0022】スルホン酸基を有する長鎖ポリオールのモ
ノマー成分または鎖延長剤(イオン性セグメントを有す
るこれらの化合物を以下イオン性化合物という)として
は、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸、5−ス
ルホイソフタル酸またはそのモノメチル,ジメチルエス
テル等、スルホコハク酸またはその上記エステル等、あ
るいはこれらのナトリウム,カリウム等のスルホン酸ア
ルカリ金属塩,アンモニウム塩などが挙げられる。カル
ボキシル基を有するイオン性化合物としては、2,3−
ジヒドロキシプロピオン酸、2,2−ジメチロールプロ
ピオン酸、酒石酸、2−メチル酒石酸、2,3−ジヒド
ロキシイソ酪酸、2,3−ジヒドロキシ−2−イソプロ
ピル酪酸、3,11−ジヒドロキシミリスチン酸、9,
10−ジヒドロキシステアリン酸、2,6−ジヒドロキ
シ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジンカルボン酸等、あ
るいはこれらのアルカリ金属塩,アンモニウム塩などが
挙げられる。第三級アミノ基を有するイオン性化合物と
しては、N−メチルジメタノールアミン、N−メチルジ
エタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、
N−メチルジヘキサノールアミン、N−メチルジオクタ
ノールアミン、これらのN−エチル置換化合物、N−プ
ロピル置換化合物、N−ブチル置換化合物、N−フェニ
ル置換化合物、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパン
ジオール、4−ジメチルアミノ−1,2−ブタンジオー
ル、5−ジメチルアミノ−1,2−ペンタンジオール、
これらのジエチルアミノ化合物、p−(2−ヒドロキシ
メチル−3−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチル
アニリン、p−(3−ヒドロキシメチル−4−ヒドロキ
シブチル)−N,N−ジメチルアニリン、これらのジエ
チルアニリン化合物、トリフェニルアミン化合物、N−
(3−ジメチルアミノプロピル)ジイソプロパノールア
ミン等、あるいはこれらの塩酸,臭酸,硫酸,リン酸等
の鉱酸や各種有機酸の付加塩などが挙げられる。
【0023】第四級アンモニウム塩は、塩化メチル,塩
化エチル,塩化プロピル,塩化ブチル,塩化ヘキシル,
塩化ドデシル,塩化ヘキサデシル,塩化オクタデシル,
クロロシクロヘキサン,クロロベンゼン,クロロトルエ
ン,塩化ベンジル等、あるいはこれらの臭化物,沃化物
等のハロゲン化物;メタンスルホン酸メチル,ベンゼン
スルホン酸メチル,p−トルエンスルホン酸メチル,ア
セトンジスルホン酸ジメチル等、あるいはこれらのエチ
ルエステル,プロピルエステル,ブチルエステル,ヘキ
シルエステル,ヘプチルエステル,オクチルエステル,
2−メトキシエチルエステル,フェニルエステル等のス
ルホン酸エステルなどで、上記第三級アミノ基を四級化
することにより得られる。勿論、第一級,第二級アミン
等の別の含窒素化合物から公知の方法により第四級アン
モニウム塩を得ることもできる。具体的な第四級アンモ
ニウム塩としては、N,N−ジメチル−N,N−ジ(2
−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド、N−メ
チル−N−エチル−N,N−ジ(2−ヒドロキシエチ
ル)アンモニウムクロライド、N−エチル基がN−プロ
ピル基、N−ブチル基、N−ペンチル基、N−ヘキシル
基、N−ヘプチル基、N−オクチル基、N−ノニル基、
N−デシル基等に変換したアンモニウムクロライド、こ
れらのN,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)アンモニ
ウムクロライド、N,N−ジ(2−ヒドロキシブチル)
アンモニウムクロライド、N,N−ジ(2−ヒドロキシ
ヘキシル)アンモニウムクロライド、N−(2−ヒドロ
キシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アンモ
ニウムクロライド等、上記N−メチル基が前記塩化物と
して例示した炭化水素基に変換したアンモニウムクロラ
イド、あるいは陰イオンのクロライドがブロマイド,ア
イオダイド,p−トルエンスルホネートに変換した塩な
どが挙げられる。
【0024】以上の有機ポリイソシアネート、長鎖ポリ
オール、鎖延長剤およびイオン性化合物は、単独または
2種以上を混合して用いることができる。さらに、触媒
としては、トリエチルアミン等の第三級アミン、酢酸カ
リウム,ステアリン酸亜鉛等のカルボン酸金属塩、ジブ
チル錫ジラウレート,ジオクチル錫ジラウレート,ジブ
チル錫オキサイド等の有機金属化合物などが挙げられ
る。ポリウレタンアイオノマーは、その1g当たり0.
001〜1mmolのイオン性セグメントを分子内に導入
させておくことが適当である。上記イオン性セグメント
が0.001mmol未満では、ポリウレタンアイオノマー
自体の抵抗がさほど低下せず、1mmol より多くてもさ
ほどの効果がない。イオン性セグメントは、帯電部材の
導電性にかかわるイオンを供給する。しかし、事前の予
想に反して、ポリウレタンアイオノマー中のイオン性セ
グメント濃度が高すぎてもかえってアイオノマーの抵抗
が上昇することを本発明者は確認している。
【0025】以上のようなポリウレタンアイオノマー
は、その体積固有抵抗値が106 〜109Ωcm の範囲に
あり、電子写真装置に用いられる帯電部材の導電性層と
して適切な抵抗領域にある。しかも、アイオノマーのガ
ラス転移温度(Tg)は30℃以下であり、導電性層の
構成材料として好適である。その理由としては、ポリウ
レタンアイオノマー系の電導機構はポリマーのセグメン
ト運動によるイオン輸送に由来する伝導と推定され、T
gが低いほどイオン電導に有利であり、とりわけ0℃以
下であることが好ましい。セグメント運動が常温で凍結
されているようなTgが30℃以上の系では、導電性層
に適合した体積固有抵抗値が得られない。なお、本発明
における導電性層は、分子中にイオン性セグメントを含
まない通常のポリウレタンであっても、有機イオン電解
質を添加することによって体積固有抵抗値を109Ωcm
程度に調整することができ、100mm/sec 程度のプ
ロセススピードに充分対応できる。しかし、これ以上の
高速電子写真適性を賦与するには、導電性層の構成成分
としてポリウレタンアイオノマーを用いることが好適で
ある。
【0026】次に、本発明における有機イオン電解質に
ついて詳述する。前述した電解質は、前記一般式(I)、
(II)、(III) および(IV)で表される錯体化合物から選ば
れる。なお、以下に例示する化合物の「アルキル」は、
炭素数4〜9の鎖状炭化水素基が好適である。また、炭
化水素基に結合する置換基の種類と位置は、幾つかの例
しか挙げてないが、錯体の形成を阻害しなければ、以下
に例示する置換基に限定されるものではない。一般式
(I)で表される錯体化合物に対応する芳香族オキシカ
ルボン酸としては、サリチル酸、アルキル置換サリチル
酸、3,5−ジアルキルサリチル酸、2−ヒドロキシ−
1−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、ア
ルキル置換−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、5,
6,7,8−テトラハロゲノ−2−ヒドロキシ−3−ナ
フトエ酸等が挙げられる。
【0027】一般式(II)で表される錯体化合物に対応
する芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、4−メチ
ルフタル酸、アルキル置換フタル酸、3,5−ジアルキ
ルフタル酸、4−クロロフタル酸、テトラハロゲノフタ
ル酸、4−メトキシフタル酸、1,2−ナフタリンジカ
ルボン酸、1,8−ナフタリンジカルボン酸、2,3−
ナフタリンジカルボン酸、モノまたはジアルキル置換−
2,3−ナフタリンジカルボン酸等が挙げられる。一般
式(III) で表される錯体化合物に対応する芳香族ジヒド
ロキシ化合物としては、カテコール、3−メチルカテコ
ール、アルキル置換カテコール、3,5−ジアルキルカ
テコール、4−ブロモカテコール、1,2−ジヒドロキ
シナフタリン、1,8−ジヒドロキシナフタリン、2,
3−ジヒドロキシナフタリン、アルキル置換−2,3−
ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。一般式(IV)
で表される錯体化合物に対応する芳香族炭化水素基置換
ヒドロキシカルボン酸としては、マンデル酸、核置換ア
ルキルマンデル酸、p−フェニルマンデル酸、α−ナフ
チルグリコール酸、ベンジル酸、核置換ジアルキルベン
ジル酸、9−ヒドロキシ−9−フルオレンカルボン酸等
が挙げられる。以上の錯体化合物(I)〜(IV)において、
芳香族オキシカルボン酸等のキレート化剤は必ずしも同
一である必要はなく、適宜2種のキレート化剤を組み合
わせることもできる。
【0028】前記一般式(I)〜(IV)で表される錯体
化合物の中心原子M1〜M4は、ホウ素原子またはイオン
価が2または3の金属原子を示す。好ましい金属原子の
例としては、アルミニウム,亜鉛,鉄,コバルト,クロ
ム,ランタニド(ランタン,セリウム,サマリウム等)
などが挙げられる。中心原子の中でも、価格、安全性、
重金属汚染等を考慮すれば、アルミニウム、亜鉛、とり
わけホウ素が好適に用いられる。前記一般式(I)〜
(IV)中のX1〜X4は、水素原子、アルカリ金属、アン
モニウムおよびアルカリ土金属から選ばれる陽イオン成
分を示す。アルカリ金属としては、リチウム,ナトリウ
ム,カリウム,ルビジウム,セシウム等が挙げられる。
アンモニウムとしては、非置換アンモニウム(NH4)、
シクロアルキル基もしくはアリール基が置換することの
ある炭素数1〜20のアルキル基,アルキル基が置換す
ることのある炭素数4〜20のシクロアルキル基,また
はアルキル基が置換することのある炭素数6〜20のア
リール基を1〜4個置換したアンモニウム、あるいはア
ルキル基が置換することのあるピロリジニウム,ピペリ
ジニウム,モリホリニウム,ピリジニウム,キノリニウ
ム等のヘテロ環状アンモニウムなどが挙げられる。イオ
ン価が2価のアルカリ土金属としては、マグネシウム,
カルシウム,バリウム等が挙げられる。前記一般式
(I)〜(IV)中のnは、上記中心原子のイオン価が2
価の場合には2であり、3価の場合には1である。各式
中のn′は、nが2の場合、上記陽イオン成分のイオン
価が1価のときは2であり、2価のときは1である。ま
た、nが1の場合、n′は、陽イオン成分のイオン価が
1価のときは1であり、2価のときは1/2である。こ
こで、nが1でn′が1/2の場合は、1個のアルカリ
土金属に2個の錯体イオンが結合することになる。
【0029】本発明にかかる有機イオン電解質はキレー
ト化合物とも称されるが、キレート化合物の一般的な合
成法は例えば坂口武一・上野景平編『金属キレートI,
II,III 』(南江堂、1966〜1967年)等に詳述
されている。本発明の有機イオン電解質についてみれ
ば、特開昭61−6903号公報,特開昭62−739
63号公報,特開平1−306861号公報,特開平2
−221967号公報,米国特許第3539614号明
細書等に詳細な記述がある。このような電解質の合成法
を略述すれば、一般に、前記キレート化剤にアルカリを
加えて水に溶解し、金属付与剤(中心原子M1〜M4が例
えばホウ素の場合はホウ酸)をキレート化剤に対して1
/2モルの割合になるようゆっくり滴下し、適当なpH
に保持して反応を完結した後、沈殿物を濾過し、更に充
分に水洗して乾燥すると、目的とする電解質が容易に合
成される。電解質の対イオンは、生成物の後処理によっ
て変更することができる。例えば、濾過前のpHを3以
下としてpHが6〜7になるまで洗浄すると、対イオン
は水素イオンとなる。また、アルカリ金属を添加してp
Hを中性からアルカリ性にすればアルカリ金属イオンと
なり、さらに各種アミンの塩酸塩またはアンモニウム塩
で処理すると、各種のアンモニウム塩が得られる。
【0030】本発明にかかる有機イオン電解質の代表的
な化合物を例示するならば、次のとおりである。
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】有機イオン電解質のウレタンポリマーへの
添加量は、電解質の種類,ウレタンポリマーの種類およ
び分子量によっても異なるが、極微量で効果が充分に発
揮される。ウレタンポリマー1g当たりの添加量は10
-6〜10-3 mol程度である。本発明者の実験結果によれ
ば、イオン電解質を10-4 mol/g以上添加しても導電
化効果が飽和に達することが多く、通常は10-5mol/
g のオーダーの量を添加すればよい。導電性層、特に
後述の抵抗制御層は通常塗布法によって形成することが
好ましく、有機イオン電解質は各種の溶剤に可溶なの
で、ウレタンポリマー溶液に電解質溶液を添加して塗布
液を調製することが可能である。すなわち、有機イオン
電解質の添加方法としては、ウレタンポリマーの溶液に
直接添加しても多くの場合良好な結果が得られるが、ウ
レタンポリマーとイオン電解質とに共通の良溶剤に後者
を別途溶解させて、両溶液を混合するという操作を行う
方がより良好な結果が得られる。また、有機イオン電解
質を溶解する溶剤を反応溶剤として、イオン電解質の存
在下にウレタンポリマーを合成しても望ましい効果が得
られる。
【0039】本発明の帯電部材において、例えば被帯電
体表面のタックの発生を防止するために、導電性弾性体
層を表面層(1c)で被覆することができる。その場合、
表面層はポリアミド樹脂,ポリウレタン樹脂等の耐磨耗
性の高い高分子材料から構成されることが好ましい。ポ
リアミド樹脂としては、水可溶性ナイロン,アルコール
可溶性ナイロンと称されている非晶質の樹脂が好適に用
いられる。例えば、東レ(株)から販売されているAQナ
イロンA−70,A−90,P−70等の水可溶性変性
ポリアミド樹脂や、アミランCM−4000,CM−4
001,CM−8000,CM−831,CM−83
3,CM−842等のアルコール可溶性共重合ナイロン
が挙げられる。また、アミド基がN−メトキシメチル化
されたトレジンEF−30T,トレジンG−550(帝
国化学社製),Luckmide5003(大日本インキ社
製),T−8ナイロン(ユニチカ社製)等も好適であ
る。これらのポリアミド樹脂は溶剤可溶性なので塗布法
による被膜の形成に適している。なお、N−メトキシメ
チル化ポリアミドを用いる場合は、ラウリン酸,クロト
ン酸,コハク酸,グルタール酸,乳酸等の触媒の存在下
に脱アルコール反応によって、ポリアミド自体を架橋さ
せてもよい。
【0040】ポリウレタン樹脂としては、ハイウレタン
No.2000,No.5000,No.5001(日本油脂社
製)や、ニッポラン125,800,1100(日本ポ
リウレタン社製)等がある。また、フッ素樹脂変性ポリ
マーを用いると、帯電部材の表面汚染を避けることがで
きる。すなわち、カンペフロンHD(関西ペイント社
製),ルミフロンシリーズ(旭硝子社製)と、ヘキサメ
チレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加
物,トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパ
ン付加物等のポリオール付加ポリイソシアネート化合物
やメラミン樹脂等のアミノ樹脂とを反応させた架橋構造
の被膜も好適である。さらに、前記ポリウレタンアイオ
ノマーを単独で用いることもできる。表面層は、前記し
たような導電化剤の単独または混合物を分散させて導電
性弾性体層(1b)と同程度の体積固有抵抗値に調整され
る。表面層の膜厚は2〜50μmの範囲更には5〜40
μmの範囲にあることが好ましい。膜厚が2μmより薄
くなると、帯電部材を長期にわたって使用すると表面層
が次第に摩耗する恐れがある。一方、膜厚が50μmよ
り厚くなると、帯電部材の硬度が上昇して帯電ムラを生
じるようになる。
【0041】次に、4層構造からなる帯電部材(2)につ
いて詳述する。導電性ゴム層(2b)は、ゴム材料および
導電化剤から構成される。ゴム材料としては、導電性弾
性体層(1b)の構成成分として適宜ブレンドされること
のある前記ゴム材料と同様のものやウレタンゴムが用い
られ、これらは発泡させたものでもあるいは無発泡のも
のでもよい。このゴム層には前記導電化剤を分散させ
て、体積固有抵抗値が108Ωcm 以下にかつ硬度がJI
S A で20〜80°に調整される。前者の体積固有抵
抗値については、抵抗制御層および表面層に給電するた
めに必然的な要求である。後者の硬度については、被帯
電体への押圧による帯電部材のニップが均一であるため
に必要な要求である。また、ゴム層の厚さは前記導電性
弾性体層(1b)と同様に1〜5mmの範囲にあればよ
い。ゴム材料はそれ自体の体積固有抵抗値が109Ωcm
以上通常1012Ωcm以上であるので、安価という点で専
らカーボンブラックが導電化剤として用いられる。カー
ボンブラックは補強性が強いので、電気抵抗と硬度をバ
ランスさせる必要がある。その際、被帯電体、帯電シス
テム等の要求によっては導電性とゴム硬度の最適域が異
なるので、システムに合わせた設計が必要である。上述
の導電性とゴム硬度を両立させるには、ウレタンゴムや
シリコーンゴムがとりわけ好適であり、プロセスオイル
や可塑剤等の軟化剤を配合することなく、帯電部材の硬
度を低下させることができる。
【0042】導電性ゴム層がウレタンゴムやシリコーン
ゴムあるいは発泡ゴム以外の例えばSBR等のゴム材料
で構成される場合は、かかるゴム材料中に上記軟化剤を
配合して、導電性とゴム硬度を独立に制御することも有
効な手段である。その場合、軟化剤の滲出やゴム自体の
ブリードにより、被帯電体表面の汚染を招くことがある
から、ゴム層上にブリード防止層(2c)を設けることが
好ましい。ブリード防止層は、前記表面層(1c)と同様
に、適宜導電化剤を分散させたポリアミド樹脂,ポリウ
レタン樹脂等の他に、フッ素ゴムで構成することが好ま
しい。これらの樹脂の中でも、前述のN−メトキシメチ
ル化ポリアミド樹脂やフッ素ゴムが好適である。フッ素
ゴムとしては、フッ素化オレフィン同士の共重合体やフ
ッ素化オレフィンとエチレンやプロピレン等のオレフィ
ンとの共重合体が用いられる。フッ素化オレフィンとし
ては、フッ化ビニリデン(VdF),ヘキサフルオロプ
ロピレン(HFP),ペンタフルオロプロピレン,テト
ラフルオロエチレン(TFE),トリフルオロエチレ
ン,クロロトリフルオロエチレン(CTFE),フッ化
ビニル,パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げ
られる。具体的には、VdF−HFPの2元共重合体,
VdF−CTFEの2元共重合体,VdF−HFP−T
FEの3元共重合体や、TFE−エチレン共重合体,T
FE−プロピレンの交互共重合体等が挙げられる。この
他、例えばシリコーンゴム,フルオロシリコーンゴム等
とVdFを主成分とする上記フッ素ゴムとのブレンドゴ
ムを用いることができる。これらのフッ素ゴムのうち、
VdFを40〜85モル%含有するVdF系エラストマ
ーが好ましい。
【0043】フッ素ゴムには、架橋剤,非導電性充填
剤,架橋促進助剤や受酸剤等の架橋促進剤等の配合剤が
適宜添加される。架橋剤ないし硬化剤としては、アミン
類,ビスフェノール類,過酸化物等が用いられる。中で
も、アミン系硬化剤は、導電性ゴム層とブリード防止層
との境界面、特にシリコーンゴムとVdF系エラストマ
ーの密着性および接着性を顕著に高める作用がある。そ
のため、上記防止層の形成時にプライマー処理や研磨処
理を必要としないので、好ましく用いられる。かかるア
ミン系硬化剤としては、N,N′−ジシンナミリデン−
1,6−ヘキサメチレンジアミン等のシッフ塩、エチレ
ンジアミンカルバメート、ヘキサメチレンジアミンカル
バメート等のジアミノカルバメート類、ジアミノシクロ
ヘキサン塩酸塩等の脂環式アミン塩、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ
シラン類などが挙げられる。非導電性充填剤としては、
クレー,タルク,珪藻土,シリカ等が挙げられる。ま
た、フッ素ゴムの架橋反応を促進させるために、種々の
促進助剤や酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化カルシウ
ム,MgO−Al23複合酸化物等の受酸剤を架橋剤と
共に添加することが好ましい。これらの配合量は、フッ
素ゴム100重量部に対して10重量部以下とすること
が好適である。
【0044】ブリード防止層がフッ素ゴムで構成される
場合は、帯電部材の抵抗ムラを小さくする作用のあるフ
ッ化カーボンを導電化剤として用いることが好適であ
る。フッ化カーボンは、自体が半導電性を呈し、例えば
特開平7−149448号公報に開示された方法に従っ
て、平均粒径が1μm未満のカーボンブラックを200
〜600℃でフッ素ガスと反応させることにより得られ
る。本発明においては、フッ化カーボンの炭素原子に対
するフッ素原子の比(F/C比)が0.3〜1.0の範囲
にあることが好ましい。ブリード防止層の体積固有抵抗
値は、100Vの直流電圧印加時で104 〜109Ωcm
の範囲にあることが好ましい。例えば、フッ化カーボン
を導電化剤として用いる場合は、フッ素ゴム100重量
部に対して10〜50重量部の範囲が適当である。ま
た、上記防止層の膜厚は、特に限定されるものではない
が、通常5〜50μmの範囲にあればよい。
【0045】抵抗制御層(2d)は、帯電部材を所定の体
積固有抵抗値に調整するために設けられるもので、前述
の導電性弾性体層(1b)と同様に、ウレタンポリマーま
たは他の高分子材料とのブレンド物および有機イオン電
解質から構成される。高速電子写真適性を賦与するに
は、ウレタンポリマーとしてアイオノマーを用いること
が好ましい。抵抗制御層の膜厚は20μm〜1mmの範
囲に調整される。膜厚が20μmより薄いと、本発明の
帯電部材を帯電工程において使用する場合、絶縁耐圧が
低くてリークが発生しやすくなる。膜厚が厚ければ厚い
ほど絶縁破壊電圧を高く確保することができるが、好適
に用いられるポリウレタンアイオノマーは比較的高価な
ので、帯電部材における抵抗制御層の膜厚は100〜5
00μmの範囲に調整することが望ましい。すなわち、
膜厚がこの範囲内にあれば、アイオノマーの製品価格に
大きなインパクトを与えることなく、帯電部材本来の性
能を発現することができる。
【0046】ウレタンポリマーを製造するに際しては、
無溶剤下で反応原料および触媒等を混合して反応を遂行
させることもできるが、前記有機イオン電解質は各種の
溶剤に溶解するので、これと共通の有機溶剤中で反応を
遂行させることが抵抗制御層を塗布法によって形成する
上で有利である。すなわち、予め電解質溶液を加えた反
応原料のポリウレタン化反応によって、電解質を含有す
る反応生成物の溶液を得る。その後、必要に応じて前記
高分子材料をブレンドさせ、更に得られた溶液の粘度と
固形分濃度に応じて、溶剤を加えて塗布しやすいように
希釈し、必要に応じて硬化剤を添加する。勿論、前述し
たように、ウレタンポリマーとイオン電解質との別々の
溶液を混合した後、上記と同様にして塗布液を調製する
こともできる。そして、得られた塗布液を導電性ゴム層
またはブリード防止層上に塗布した後、乾燥し硬化すれ
ば、より簡便に抵抗制御層を形成することができる。有
機溶剤としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,メチ
ルエチルケトン(MEK),メチルイソブチルケトン,
シクロヘキサノン,ジオキサン,酢酸エチル,酢酸ブチ
ル等の単独または混合溶剤が用いられる。中でも、トル
エン等の芳香族炭化水素類とMEK等のケトン類との混
合溶剤が好適である。硬化剤としては、分子末端にイソ
シアネート基を有する低分子量のポリイソシアネート系
化合物が好適に用いられる。具体的には、コロネート
L,2030,HX,HL(日本ポリウレタン社製)、
デスモジュールL,N−3300,HT(バイエル社
製)、タケネートD−102,D−160N,D−17
0N(武田薬品社製)等が挙げられる。
【0047】前記2層構造の場合と同様の理由から、抵
抗制御層上に表面層(2e)を被覆しておくことが、電子
写真装置の信頼性を高める上でも望ましい。この表面層
は、前記表面層(1c)と同様のポリアミド樹脂,ポリウ
レタン樹脂等の高分子材料から構成されることが好まし
く、高分子材料中に導電化剤を分散させて抵抗制御層と
同程度の体積固有抵抗値に調整される。なお、ポリウレ
タンアイオノマーを構成成分とする前記導電性弾性体層
(1b)の厚さが比較的厚い単層または2層構造の帯電部
材(1)は、アイオノマー自体が比較的高価であるため、
好ましい実施態様とはいいかねる面があるが、これは実
質的に帯電部材(2)における抵抗制御層(2d)を非常に
厚くしたのと同じことである。
【0048】本発明の帯電部材の製造法について簡単に
述べる。2層構造の場合は、ウレタンポリマー,有機イ
オン電解質,加硫剤および必要に応じて配合されるゴム
材料,軟化剤,加硫促進剤,促進助剤,導電化剤,非導
電性充填剤,分散助剤,老化防止剤等の配合剤をオープ
ンロール,ニーダ等で充分に混練して、ゴム組成物(ゴ
ムコンパウンド)を調製する。次いで、圧縮成形法,押
出成形法等によりゴムコンパウンドを導電性基体(1a)
上に成形した後、加硫して所定の層厚の導電性弾性体層
(1b)を形成する。さらに、高分子材料,導電化剤,適
宜配合される添加剤を有機溶剤に添加し、充分に混合し
て表面層形成用の塗布液を調製する。次いで、浸漬法,
エアスプレー法,ロールコータ法等の適宜の塗布法によ
り、上記塗布液を弾性体層(1b)上に塗布した後、常温
でまたは加熱乾燥して表面層(1c)を形成すると、本発
明の帯電部材(1)が製造される。
【0049】4層構造の場合は、ゴム材料、導電化剤、
加硫剤および必要に応じて上述の配合剤を配合し、混練
してゴムコンパウンドを調製する。導電性ゴム層(2b)
の形成には、圧縮成形法,トランスファー成形法,押出
成形法,射出成形法,反応型注型法等、通常のゴム成形
方法の全てを採用することができる。ゴム層(2b)が発
泡体からなる場合は、上記ゴムコンパウンドに予め発泡
剤を配合するかあるいは気体混入法により不活性ガスを
混入させて、圧縮成形法等によりゴム層(2b)を形成す
ることができる。次に、上述の表面層(1c)と同様の塗
布法により、ブリード防止層(2c)をゴム層(2b)上に
被覆することができる。その後、ポリウレタン化反応前
または反応後に有機イオン電解質溶液を添加したウレタ
ンポリマーの有機溶剤溶液、および硬化剤等の適宜の配
合剤をミキサー等で充分に混合し、得られた塗布液を適
宜の塗布法によりブリード防止層(2c)上に塗布し、加
熱して抵抗制御層(2d)を形成する。さらに、2層構造
の場合と同様にして、抵抗制御層(2d)上に表面層(2
e)を被覆すると、本発明の帯電部材(2)が製造され
る。
【0050】以上、ロール状の帯電部材(帯電ロール)
について説明してきたが、本発明の帯電部材の形態は、
ブレード,ブラシあるいはベルト等であってもよい。ブ
レード状帯電部材は、2層構造の例が図3Aに示されて
いるように、厚さ方向に関して、帯電部材3が押圧配置
される被帯電体とは反対側面の導電性弾性体層3bが、
板状の導電性基体3aに接着・固定され、弾性体層3b
上に表面層3cが被覆されている。また、ベルト状帯電
部材の場合は、図3Bに示すように、矢印方向に移動す
る2層構造の帯電部材4が、電極ロール(導電性基体)
4aとベルト搬送ロール5,5′に張架され、電極ロー
ル4aにより被帯電体に押圧される。このベルト状帯電
部材4は、必ずしも移動させる必要はなく固定式のフィ
ルム状帯電部材としてもよい。なお、各帯電部材の層構
造は、前述した3層または4層とすることもできる。
【0051】本発明の電子写真用帯電部材は次のような
作用を奏する。 i)100mm/sec 以上の高速プロセスにも充分に帯
電電位を高く設定することができ、しかも帯電不均一に
由来する黒筋,白点,かぶり,ゴースト等の画質欠陥を
発生することがない。 ii)従来技術の抵抗層に比べて絶縁耐圧が高い。従来技
術においては、過塩素酸リチウムや第四級アンモニウム
塩等のイオン導電化剤を用いた場合、イオン導電化剤を
混合しても偏在するためか、抵抗層の絶縁耐圧が低い。
一方、本発明における導電性層は、低分子の有機イオン
電解質を添加しても少量で抵抗が充分に低くなり、また
溶剤に完全に分子状に溶解することが可能である。した
がって、ウレタンポリマー中に偏在がないため、絶縁耐
圧が高く、抵抗値を適切な領域に収めることができるの
で、帯電と耐圧を両立させることができる。
【0052】iii)従来のECOまたはこれにイオン導電
化剤を配合した抵抗層においては、低温低湿環境では抵
抗が高すぎるか、抵抗が適切であっても帯電ロールに連
続的に通電していくと、抵抗が上昇するという欠点があ
る。その結果、帯電不良による画像ムラが発生したり、
極端な場合には画像が欠落することがあった。とりわ
け、LED等の露光による除電を行いながら画像形成運
転を行う場合、画像欠陥が目立ちやすくなる。抵抗の上
昇の原因としては、イオン導電化剤に強い電場が作用し
てイオン対が分離し、これが電極または感光体表面で酸
化還元され、電荷キャリアが減少するためと推定され
る。本発明における導電性層でも同様の現象が発生して
も不思議ではないが、少量の有機イオン電解質で効果が
発揮されるので、上記した現象が発生しないものと推測
される。 iv)市販のECOは分子量が高すぎるため溶剤に溶解さ
せることができず、ECOを抵抗層として塗布する際に
は、一旦混練工程を経て分子鎖を切断する等の操作が必
要である。一方、本発明におけるウレタンポリマーおよ
び有機イオン電解質は、溶剤に溶解した状態で塗布する
ことができるため、混練等の操作が不要であり、工程の
簡略化が容易に図れ、経済的に有利である。 v)本発明における有機イオン電解質は、分子の安定性
が高く、爆発や毒性等の危険性がないので、帯電部材の
製造に際しては通常の安全性への配慮をすれば充分であ
る。このように、有機イオン電解質を添加したウレタン
ポリマーは、前記導電性弾性体層(1b)または抵抗制御
層(2d)の構成材料として優れた特性を有する。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。 (電子写真装置)図4は、一例として図2に示す本発明
の帯電部材を装着した電子写真装置の全体説明図であ
る。図4において、電子写真装置U本体内部には、矢印
方向に回転する円筒状の感光体(ドラム)11が配置さ
れていて、静電潜像担持体として機能する。電子写真装
置U本体内部の一側部には、感光体11表面に静電潜像
を書き込むレーザ書込装置12が配置されている。感光
体11の周囲には、その回転方向に沿って、順次感光体
11表面を一様に帯電する帯電器13、上記静電潜像を
可視化する現像器14、可視化されたトナー像を用紙
(転写材)に転写させる転写器15、感光体11上の残
留トナーを除去するクリーニング装置16、およびLE
Dの露光により残留電荷を除去する除電器17が、それ
ぞれ配置されている。上記現像器14はトナーを収納す
る容器14aを備えている。この容器14a内には、ト
ナーを撹拌する撹拌部材14b,14bと、回転可能な
現像剤担持体14cと、担持体14cにトナーを供給す
るトナー供給ローラ14dとが設けられている。現像剤
担持体14cは、容器14aの開口部に臨んでいて、感
光体11表面と僅かな間隙を介して容器14aに支持さ
れている。また、上記クリーニング装置16はケーシン
グ16aを備えている。このケーシング16aには金属
製のブレードホルダ16bが固定され、その先端部には
クリーニングブレード16cが固着されている。クリー
ニングブレード16cは、その先端のエッジ部が感光体
11表面に当接している。
【0054】電子写真装置U本体の下部には、用紙を収
容する給紙トレイ18が配置されている。給紙トレイ1
8端部のやや上方には給紙トレイ18から用紙を一枚ず
つ取り出す用紙取出ローラ19が配置されている。用紙
取出ローラ19の側部上方には、一対の用紙搬送ローラ
20によって搬送される用紙をガイドする一対の用紙ガ
イド21が配置されている。電子写真装置U本体内部の
他側部上部には、加熱ロール22aおよび加圧ロール2
2bを有する定着装置22が配置されていて、定着装置
22と前記転写器15との間にはトナー像が転写された
用紙を搬送する搬送路23が設けられている。また、定
着装置22の上方には、一対の排出ローラ24と、トナ
ー像が定着された用紙を定着装置22から排出ローラ2
4までガイドする搬送路25が設けられている。そし
て、電子写真装置U本体の上面には、上記排出ローラ2
4から排出される用紙を載置する排出トレイ26が形成
されている。
【0055】(帯電器)図5は図4の要部拡大図であっ
て前記帯電器の構造を示す。図5において、帯電器13
は前記ロール状の帯電部材2を備えている。帯電部材2
は、その導電性基体2aの両端部がクリーニング装置1
6の前記ケーシング16aに固定された支持部材31に
より支承されている。また、一端が支持部材31に他端
が基体2aの端部にそれぞれ固定された2つの加圧スプ
リング32の付勢力によって、帯電部材2は感光体11
表面に押圧され接触している。上記支持部材31には金
属製のパッドホルダ33が固定されていて、その先端部
に固着されたシート状のクリーニングパッド34によ
り、帯電部材2表面にトナーが極く僅かに付着してもこ
れを取り除くようになっている。さらに、帯電部材2の
基体2aには、直列に接続した直流電源35および交流
電源36から重畳振動電圧が印加される。したがって、
帯電部材2は、表面層2eと接触しながら所定の方向に
回転する感光体11表面を一様に帯電処理することがで
きる。
【0056】本発明における電子写真装置Uの作用は、
従来のものと同様であり、簡単に説明すると次のとおり
である。上述のように、重畳振動電圧が印加された帯電
部材2によって、矢印方向に回転する感光体11はその
表面が一様に帯電される。一様に帯電された感光体11
はレーザ書込装置12により静電潜像が書き込まれる。
感光体11上の静電潜像は現像器14によりトナー像に
現像される。トナー像は転写器15により給紙トレイ1
8から搬送されてくる用紙に転写される。転写されたト
ナー像が定着装置22により定着された後、用紙は排出
ローラ24により排出トレイ26上に排出される。ま
た、上記トナー像が用紙に転写された後、感光体11表
面に残留したトナーおよび電荷は、クリーニングブレー
ド16cおよび除電器17により除去され、次の電子写
真プロセスに備える。
【0057】(有機イオン電解質の調製例1)サリチル
酸 27.6g、ホウ酸 6.18gおよび水酸化テトラメ
チルアンモニウムの10%水溶液 91.2gを撹拌混合
し、70℃にまで昇温して同温度で2時間保持した。得
られた反応生成物を濾過、水洗、乾燥し、更に水分を真
空除去した後、イソプロパノールから2回再結晶して、
一般式(I)で表される化合物として例示した錯体化合物
(1)を調製した。収量 29.3g。 (有機イオン電解質の調製例2)2−ヒドロキシ−1−
ナフトエ酸41.4gを2.7%水酸化ナトリウム水溶液
500gに溶解させて70℃に昇温した。次いで、硫酸
亜鉛 21.0gを水100gに溶解させ、この水溶液を
30分かけて滴下した。70〜80℃で2時間保持した
後、pHを7.0±0.5に調節して反応を終了した。得
られた反応生成物を濾過、水洗、乾燥して、淡黄色の前
記錯体化合物(4)の微粉末を47.5g 得た。同様にし
て、本発明にかかる有機イオン電解質を必要に応じて合
成した。
【0058】以下の実施例において、反応組成物および
ゴムコンパウンドの使用割合を示す「部」は「重量部」
を意味する。 (ポリウレタンアイオノマーの合成例1)撹拌機、温度
計および部分還流式冷却器を備えた反応器に下記の反応
原料を仕込み、トルエンを溶剤として常法により重縮合
反応を行って、ポリエステルポリオールを合成した。 アジピン酸 546.5部 イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム 148.1部 1,4−ブタンジオール 472.2部 得られたポリエステルポリオールの1分子当たりの平均
水酸基数は2.0、数平均分子量は1000であり、こ
れを「ポリオールA」とする。このポリオールAは、イ
オン性セグメントとしてスルホン酸ナトリウムを下記の
ポリウレタンアイオノマーの分子内に導入する長鎖ポリ
オール成分となる。
【0059】さらに、撹拌機、温度計および還流式冷却
器を備えた反応器に、数平均分子量1000のポリエチ
レングリコール(三洋化成社製)229.3部、「ポリ
オールA」6部およびMEK/トルエン(3:1)の混
合溶剤300部を仕込み、50℃で混合・溶解した。次
いで、ウレタン化触媒としてジオクチル錫ジラウレート
0.06部を添加した後、ジフェニルメタン−4,4′
−ジイソシアネート58.8部を添加して、75℃で上
記2種の長鎖ポリオール成分と反応させた。反応が進行
するにつれて粘度が上昇するので、上記混合溶剤で適時
希釈し、赤外線吸収スペクトルによりイソシアネート基
の吸収ピークが消滅するのを確認して、ポリウレタン化
反応を終了させ、均一で透明な溶液を得た。このように
して得られたポリウレタンアイオノマー溶液は固形分が
30%であり、GPC測定によるポリスチレン換算での
ポリウレタンアイオノマーの数平均分子量は約2600
0であった。このポリウレタンアイオノマーを「PU−
1」とする。
【0060】(ポリウレタンアイオノマーの硬化と物性
測定)上記ポリウレタンアイオノマーPU−1溶液に硬
化剤(前記タケネートD−170N)を固形分換算でア
イオノマーと硬化剤の割合を100:10の比率で混合
し、離型紙上で乾燥した後、120℃で2時間加熱し硬
化させて、約100μm厚の透明キャストフィルムを形
成した。このフィルム表面をメタノールで拭き取って乾
燥した後、温度25℃,湿度50%RHの環境下に電圧
100Vを印加して、抵抗測定器(本体16068A,
プローブ4329A;横川ヒューレットパッカード社
製)により、上記フィルムの抵抗値を測定したところ、
体積固有抵抗値は108.5Ωcm であった。また、損失弾
性率のピーク温度をガラス転移温度(Tg)と定義し、
粘弾性測定器(加熱速度2℃/min ,周波数35Hz;
Rheovibron DDV-2EP:オリエンテック社製)により、上
記フィルムについて損失弾性率のピーク温度を測定した
ところ、−33℃であった。
【0061】(ポリウレタンアイオノマーの合成例2)
ポリエチレングリコール229.3部のうち57.3部を
数平均分子量1000のポリプロピレングリコールに代
え、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコー
ルの混合物を用いた以外は、合成例1と同様にしてポリ
ウレタンアイオノマー「PU−2」を合成した。ポリウ
レタンアイオノマーPU−2について、合成例1のPU
−1と同様にして抵抗値およびピーク温度を測定したと
ころ、体積固有抵抗値は109.0Ωcm およびTgは−2
7℃であった。
【0062】実施例1 導電化剤としてカーボンブラックを約30重量%配合し
たミラブル型シリコーンゴムコンパウンド(SE463
7:トーレ・ダウコーニング社製)100部および過酸
化物含有の加硫剤ペースト(RC-4 50PFD:トー
レ・ダウコーニング社製)1.5部をオープンロールで
10分間混練して、カーボンブラックが均一に分散した
シリコーンゴム混練物を調製した。次いで、予めプライ
マー処理された外径6mmのSUS製基体(2a)を内径
12mmの円筒状金型の中心に同心状に挿入・支持し
た。この金型のキャビティ内に上記ゴム混練物を射出成
形法により充填し、170℃で3分間加熱して加硫成形
した。このようにして、外径が11.8mm(厚さ2.9
mm)のカーボンブラック含有のシリコーンゴム成形体
を導電性ゴム層(2b)とするロールを形成した。このゴ
ム層(2b)の硬度はJIS A で35°であった。ま
た、直流電圧100V印加時のゴム層(2b)の体積固有
抵抗値は5×106Ωcm であり、1kVの直流電圧を印
加した後の体積固有抵抗値は1.5×106Ωcmであっ
た。
【0063】次に、導電化剤としてフッ化カーボンを配
合したフッ素ゴムを酢酸ブチルに溶解した固形分10%
の組成物にアミン系硬化剤を添加し、攪拌・混合してブ
リード防止層形成用の塗布液を調製した。この塗布液の
組成は下記のとおりである。 フッ素ゴム 100部 VdF−HFP−TFE3元共重合体 フッ化カーボン 20部 前記F/C比;0.45,比表面積;150m2/g アミン系硬化剤 2.5部 ヘキサメチレンジアミンカルバメート 得られた塗布液を浸漬塗布法により上記導電性ゴム層
(2b)外周面に引き上げ速度300mm/分で直接塗布
した。風乾による指触乾燥後、200℃のオーブン中で
30分間加熱してフッ素ゴムを硬化させ、ゴム層(2b)
上に膜厚10μmのブリード防止層(2c)を形成した。
このブリード防止層(2c)は、体積固有抵抗値が1×1
8Ωcm であり、下層のゴム層(2b)に由来するブリー
ド物の滲出を阻止する作用がある。以下の実施例1〜5
および比較例1〜3では、以上のようにして得られた2
層構造のロール中間体を用い、抵抗制御層(2d)および
表面層(2e)を形成して帯電ロール(2)を製造した。
【0064】前記ポリウレタンアイオノマーPU−1溶
液に硬化剤(前記タケネートD−170N)を固形分比
で100:10の割合で充分に混合し、アイオノマー1
00部に対して別途調製例1で得られた錯体化合物(1)
1部を少量のMEKに溶解させた溶液を上記PU−1溶
液に添加・混合し、更にMEK/トルエン(3:1)の混
合溶剤を加えて、溶液の粘度が約150cpsとなるよ
うに希釈した。この希釈溶液を上記ロール中間体表面に
塗布し、80℃で30分間乾燥した後、120℃で2時
間硬化させて膜厚150μmの抵抗制御層(2d)を形成
した。さらに、ポリアミド樹脂(前記アミランCM−8
000)100部をメタノール−ブタノールの混合溶剤
に溶解させた溶液に、導電性酸化錫SnO2-x コート硫
酸バリウム(パストラン:三井金属社製)粉末100部
を添加・分散させて塗布液を調製した。これを抵抗制御
層(2d)外周面に塗布した後、150℃で30分間加熱
して膜厚10μmの表面層(2e)を形成した。以上のよ
うにして、帯電ロール(2)を製造した。
【0065】実施例2 化合物(1)を調製例2で得られた錯体化合物(4)に代え
た以外は、実施例1と同様にして帯電ロール(2)を製造
した。 実施例3 化合物(1)を一般式(II)で表される化合物として例示し
た錯体化合物(10)に代えた以外は、実施例1と同様に
して帯電ロール(2)を製造した。 実施例4 化合物(1)を一般式(III) で表される化合物として例示
した錯体化合物(19)に代えた以外は、実施例1と同様
にして帯電ロール(2)を製造した。 実施例5 ポリウレタンアイオノマーPU−1をPU−2に代える
と共に、化合物(1)を一般式(IV)で表される化合物とし
て例示した錯体化合物(22)に代えた以外は、実施例1
と同様にして帯電ロール(2)を製造した。
【0066】比較例1 抵抗制御層(2d)を構成するウレタンポリマーとしてP
U−1を用いるが、錯体化合物(1)溶液を添加しなかっ
た以外は、実施例1と同様にして帯電ロールを製造し
た。 比較例2 下記のゴムコンパウンドを常法により混練した後、得ら
れたゴム混練物をMEK/トルエン(1:1)の混合溶
剤に加えてECOを溶解した。そして、実施例1のポリ
ウレタンアイオノマーPU−1および錯体化合物(1)溶
液に代えて、上記ECO溶解の塗布液を用いて抵抗制御
層(2d)を形成した以外は、実施例1と同様にして帯電
ロールを製造した。 ECO(CG−102;ダイソー社製) 100部 2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン 0.9部 (JISNett−T;日本ゼオン社製) N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド 1部 (サントガードPVI;モンサント社製) ジチオカルバミン酸ニッケル(NBC;デュポン社製) 1部 ステアリン酸 2部 酸化マグネシウム 5部 比較例3 錯体化合物(1)に代えてテトラフェニル硼素酸ナトリウ
ムNaTPB を用い、これを少量のMEKに予め溶解させて
おき、抵抗制御層(2d)中のNaTPB の含有量が1重量%
となるよう、ポリウレタンアイオノマーPU−1溶液と
塗布直前に両者を混合して塗布した以外は、実施例1と
同様にして帯電ロールを製造した。
【0067】(性能評価試験)実施例1〜5および比較
例1〜3の各帯電ロールをページプリンター(PR10
00/4−11:NEC社製)に搭載されているトナー
キットにおける帯電部に装着して、低温低湿(10℃,
15%RH)環境下に画出し試験を実施した。ただし、
上記ページプリンターのプロセススピードは56mm/
sec なので、各評価試験は175mm/sec に増速して
行われた。ブリード性を評価するために、トナーキット
に装着した帯電ロールを45℃/85%RHの環境下に
4週間放置した後室温に戻し、更に1昼夜放置した後に
画出しを行い、感光体表面の汚染の有無を判定した。ま
た、上記ページプリンターのクリーニング工程後にLE
Dの露光による除電工程を実施しながら、低温低湿環境
下に連続2万枚のプリントテストを行って画質を評価し
た。さらに、帯電ロールの長期の耐久性を評価するため
に、50℃/95%RHの環境下に1ヶ月間帯電ロール
を暴露した後、10℃/15%RHの環境下に1昼夜な
じませてから画出しを行い、高温高湿耐久性を確認し
た。それらの評価結果を各帯電ロールにおける抵抗制御
層の構成と併せて、下記の表1に示す。なお、表1中の
○印は良好な結果が得られたことを示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明の電子写真用帯電部材は、ウレタ
ンポリマーを構成成分とする導電性層中に有機イオン電
解質を含有するもので、電気抵抗の環境依存性を改善
し、しかも低温低湿環境での高速連続運転時においても
抵抗の上昇という従来技術の欠陥を大幅に改善すること
ができる。また、上記有機イオン電解質は安定で爆発や
毒性といった危険性がないので、耐久性に優れ、かつ帯
電部材の製造上の安全性が確保される。さらに、ウレタ
ンポリマーとして特にイオン性セグメントを置換したア
イオノマーを用いた場合には、電子写真のプロセススピ
ードを100mm/sec 以上に適用領域を広げることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは本発明の一実施例として示す2層構
造の帯電部材の斜視図であり、図1Bはその断面図であ
る。
【図2】 図2Aは本発明の別の実施例として示す4層
構造の帯電部材の斜視図であり、図2Bはその断面図で
ある。
【図3】 図3Aおよび図3Bはそれぞれ異なるタイプ
の本発明の帯電部材の説明図である。
【図4】 本発明の帯電部材を装着した電子写真装置の
全体説明図である。
【図5】 帯電器の構造を示す図4の要部拡大図であ
る。
【符号の説明】
1〜4…帯電部材、1a〜4a…導電性基体、1b,3
b…導電性弾性体層、2b…導電性ゴム層、2c…ブリ
ード防止層、2d…抵抗制御層、1c,2e,3c…表
面層、11…被帯電体(感光体)。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体と、その上に形成されたウレ
    タンポリマーを構成成分とする導電性層とから少なくと
    もなり、該導電性層中には下記の一般式(I)、(II)、(I
    II) および(IV)で表される錯体化合物から選ばれる少な
    くとも1種の有機イオン電解質を含有することを特徴と
    する電子写真用帯電部材。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 (各一般式において、Z1とZ1′、Z2とZ2′、Z3
    3′は、それぞれ同一でもあるいは異なっていてもよ
    く、置換または非置換の2価の芳香族炭化水素基を示
    す。R1,R2は、同一でもあるいは異なっていてもよ
    く、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基または
    アリール基を示す。R3,R4は、同一でもあるいは異な
    っていてもよく、置換または非置換のアリール基を示
    す。錯体の中心原子M1,M2,M3およびM4は、ホウ素
    原子あるいはイオン価が2または3の金属原子を示す。
    陽イオン成分X1,X2,X3およびX4は、水素原子、ア
    ルカリ金属、アンモニウムまたはアルカリ土金属を示
    す。また、上記中心原子のイオン価が2のとき、それぞ
    れの式中のnは2で、n′は上記陽イオン成分のイオン
    価に応じて2または1であり、中心原子のイオン価が3
    のとき、それぞれの式中のnは1で、n′は陽イオン成
    分のイオン価に応じて1または1/2である。)
  2. 【請求項2】 前記導電性層が、導電性ゴム層と、その
    上に形成されたウレタンポリマーおよび前記有機イオン
    電解質を構成成分とする抵抗制御層とから少なくともな
    る請求項1記載の電子写真用帯電部材。
  3. 【請求項3】 前記ウレタンポリマーは、スルホン酸
    基、カルボキシル基および第三級アミノ基あるいはこれ
    らの塩から選ばれるイオン性セグメントの少なくとも1
    種を分子内に有するアイオノマーである請求項1または
    2記載の電子写真用帯電部材。
  4. 【請求項4】 前記ポリウレタンアイオノマーは、有機
    ポリイソシアネートと長鎖ポリオール、またはこれらと
    更に鎖延長剤との反応生成物である請求項3記載の電子
    写真用帯電部材。
  5. 【請求項5】 前記長鎖ポリオールの分子量が300〜
    10000の範囲にある請求項4記載の電子写真用帯電
    部材。
  6. 【請求項6】 前記イオン性セグメントが長鎖ポリオー
    ルおよび鎖延長剤の少なくとも一方に置換し、上記長鎖
    ポリオールとしてポリエチレングリコールおよびポリプ
    ロピレングリコールの少なくとも一方を共重合成分とす
    るポリエステルポリオールを用いる請求項5記載の電子
    写真用帯電部材。
  7. 【請求項7】 前記イオン性セグメントが、スルホン酸
    基またはそのアルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩で
    ある請求項6記載の電子写真用帯電部材。
  8. 【請求項8】 前記一般式(I)〜(IV)で表される各
    有機イオン電解質の中心原子M1〜M4が、ホウ素、アル
    ミニウムおよび亜鉛から選ばれる請求項1〜7のいずれ
    かに記載の電子写真用帯電部材。
  9. 【請求項9】 電子写真プロセスとして露光による除電
    工程を含む請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用
    帯電部材。
  10. 【請求項10】 ゴム材料および導電化剤を含有するゴ
    ム組成物を成形し加硫して、導電性基体上に導電性ゴム
    層を形成する工程と、ウレタンポリマーと請求項1記載
    の一般式(I)、(II)、(III) および(IV)で表される錯体
    化合物から選ばれる少なくとも1種の有機イオン電解質
    を含有する塗布液を塗布した後、加熱して上記導電性ゴ
    ム層上に抵抗制御層を形成する工程とから少なくともな
    る電子写真用帯電部材の製造方法。
JP1385397A 1997-01-28 1997-01-28 電子写真用帯電部材とその製造方法 Pending JPH10207182A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1385397A JPH10207182A (ja) 1997-01-28 1997-01-28 電子写真用帯電部材とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1385397A JPH10207182A (ja) 1997-01-28 1997-01-28 電子写真用帯電部材とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10207182A true JPH10207182A (ja) 1998-08-07

Family

ID=11844843

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1385397A Pending JPH10207182A (ja) 1997-01-28 1997-01-28 電子写真用帯電部材とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10207182A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003140427A (ja) * 2001-08-23 2003-05-14 Tokai Rubber Ind Ltd 導電性発泡部材
JP2005220038A (ja) * 2004-02-03 2005-08-18 Air Water Chemical Inc オニウムテトラキスアシロキシボレート及びその前駆体の製造方法
JP2008127483A (ja) * 2006-11-22 2008-06-05 Japan Carlit Co Ltd:The 導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成型体
JP2010215514A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Japan Carlit Co Ltd:The イオン導電剤とそれを用いた導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成型体
WO2016143428A1 (ja) * 2015-03-12 2016-09-15 富士フイルム株式会社 電解液および非水二次電池
CN114380855A (zh) * 2020-10-21 2022-04-22 中国科学院青岛生物能源与过程研究所 一种镁金属电池使用的盐及其制备和应用

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003140427A (ja) * 2001-08-23 2003-05-14 Tokai Rubber Ind Ltd 導電性発泡部材
JP2005220038A (ja) * 2004-02-03 2005-08-18 Air Water Chemical Inc オニウムテトラキスアシロキシボレート及びその前駆体の製造方法
JP4526275B2 (ja) * 2004-02-03 2010-08-18 エア・ウォーター株式会社 テトラ置換ホスホニウムテトラキスアロイルオキシボレート及びその前駆体の製造方法
JP2008127483A (ja) * 2006-11-22 2008-06-05 Japan Carlit Co Ltd:The 導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成型体
JP2010215514A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Japan Carlit Co Ltd:The イオン導電剤とそれを用いた導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成型体
WO2016143428A1 (ja) * 2015-03-12 2016-09-15 富士フイルム株式会社 電解液および非水二次電池
JPWO2016143428A1 (ja) * 2015-03-12 2018-01-11 富士フイルム株式会社 電解液および非水二次電池
CN114380855A (zh) * 2020-10-21 2022-04-22 中国科学院青岛生物能源与过程研究所 一种镁金属电池使用的盐及其制备和应用
CN114380855B (zh) * 2020-10-21 2024-07-02 中国科学院青岛生物能源与过程研究所 一种镁金属电池使用的盐及其制备和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3000944B2 (ja) 半導電性部材および半導電性クリーニング兼除電ブレード
JP3092533B2 (ja) 帯電部材
JP7166854B2 (ja) 電子写真用部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP7299733B2 (ja) 電子写真用部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP5204951B2 (ja) 現像ローラ及びそれを備えた画像形成装置
WO1999001800A1 (fr) Rouleau de developpement et dispositif de developpement utilisant ce rouleau
JP7277301B2 (ja) 電子写真用部材、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置
JP2018022074A (ja) 電子写真用部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2008129481A (ja) 画像形成用半導電性部材、並びに画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2000019855A (ja) 中間転写部材及び画像形成装置
JP5204952B2 (ja) 現像ローラ及びそれを備えた画像形成装置
JP3832057B2 (ja) 現像ローラの製造方法
JPH11212354A (ja) 現像ローラ
JPH10207182A (ja) 電子写真用帯電部材とその製造方法
JP5025983B2 (ja) 現像ローラおよびそれを備えた画像形成装置
JP2007131770A (ja) 現像ローラ及びそれを備えた画像形成装置
JP3491479B2 (ja) 帯電部材
JP4154214B2 (ja) 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JPH10161393A (ja) 電子写真用帯電部材とその製造方法
JP4966581B2 (ja) 現像ローラおよびそれを備えた画像形成装置
JP2002214879A (ja) 帯電部材及び帯電装置
JPH1145015A (ja) 中間転写部材
JP3552868B2 (ja) Oa機器用部材
JP2013182266A (ja) ロール部材、帯電装置、画像形成装置、およびプロセスカートリッジ
JP2007108320A (ja) 現像ローラ及びその製造方法、プロセスカートリッジおよび画像形成装置