JPH10197459A - 蛍光x線分析用フィルムおよび試料ホルダー - Google Patents

蛍光x線分析用フィルムおよび試料ホルダー

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JPH10197459A
JPH10197459A JP65997A JP65997A JPH10197459A JP H10197459 A JPH10197459 A JP H10197459A JP 65997 A JP65997 A JP 65997A JP 65997 A JP65997 A JP 65997A JP H10197459 A JPH10197459 A JP H10197459A
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Yasuo Miyoshi
保男 三好
Junzo Harada
純三 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線の透過性に優れ、しかも強度、耐食性お
よび耐熱性に優れており、長期間使用可能な蛍光X線分
析用フィルムを備えた試料ホルダーを得る。 【解決手段】 一般式(1)で表される構造単位を有す
るポリイミドからなるフィルムを備えた蛍光X線分析用
試料ホルダー。 【化1】 〔R1〜R4は水素原子または低級アルキル基、Aは低級
アルキレン基、mは0または1〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリイミドからなる
蛍光X線分析用フィルムおよびこのフィルムを張設した
蛍光X線分析用試料ホルダーに関する。
【0002】
【従来の技術】蛍光X線分析法はX線管やシンクロトロ
ンなどから発生する強い一次X線を試料に照射し、これ
により試料中の元素から発生する蛍光X線(二次X線)
を検出して、元素の定量や化学結合の状態などを分析す
る方法である。
【0003】このような蛍光X線分析は、X線照射窓
(面)に膜厚10〜30μmのフィルムを張設した試料
ホルダーに、液体または固体の試料を収容して行われて
いる。この場合、試料に効率よくX線を照射し、定量検
出下限および定量精度を向上させるために、上記のよう
な薄膜を用いる必要がある。また試料ホルダーのフィル
ムが破れた場合にも装置本体にトラブルが生じないよう
に、装置本体のX線照射窓にもフィルムが張設されてい
る。
【0004】上記蛍光X線分析用フィルムは、一次X線
および蛍光X線(これらをまとめて単にX線という)の
透過性がよく、しかも強度、耐食性および耐熱性などに
優れていることが必要である。従来このような蛍光X線
分析用フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート
からなるフィルム(例えばマイラー、デュポン社製、商
標)またはポリイミドからなるフィルム(例えばカプト
ン、デュポン社製、商標)などが用いられている。
【0005】しかし従来用いられているフィルムは強度
が十分ではなく、試料ホルダーにフィルムを張設する際
に破れる場合があり、熟練が必要である。また分析中に
フィルムが破れると、装置トラブルの原因となったり、
効率的な分析が行えなくなる。また耐食性、耐アルカリ
性も十分ではなく、例えばテレフタル酸製造工程の触媒
回収プロセス液の分析では、約1週間で破損し、アルカ
リ洗浄によりさらに短くなる。さらに耐熱性(80℃)
も十分ではなく、フィルムが膨らみ測定値が変動する場
合がある。
【0006】特開昭63−153458号には、ポリイ
ミド、ポリエーテルイミドまたはポリエーテルエーテル
ケトンからなるフィルムを用いた蛍光X線分析用試料ホ
ルダーが記載されている。しかし上記フィルムにおいて
も、強度、耐食性、耐熱性が不十分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、X線
の透過性に優れ、しかも強度、耐食性および耐熱性に優
れており、長期間使用可能な蛍光X線分析用フィルム、
ならびにこのフィルムを備えた試料ホルダーを提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次の蛍光X線分
析用フィルムおよび試料ホルダーである。 (1) 蛍光X線分析において一次X線または蛍光X線
を透過させるフィルムであって、下記一般式(1)で表
される構造単位を有するポリイミドからなることを特徴
とする蛍光X線分析用フィルム。
【化2】 〔式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素
原子または低級アルキル基、Aは低級アルキレン基、m
は0または1を示す。〕 (2) 蛍光X線分析において一次X線を照射する試料
を収容する試料ホルダーであって、一次X線または蛍光
X線が通過する窓に上記(1)記載のフィルムが張設さ
れていることを特徴とする蛍光X線分析用試料ホルダ
ー。
【0009】前記一般式(1)においてR1、R2、R3
およびR4で示される低級アルキル基としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基
等の炭素数1〜4のアルキル基などがあげられる。前記
一般式(1)においてAで示される低級アルキレン基と
しては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリ
メチレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜4のアル
キレン基などがあげられる。
【0010】本発明の蛍光X線分析用フィルムは、前記
一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミドか
らなるフィルムである。本発明で用いる上記ポリイミド
は、実質的に前記一般式(1)で表される構造単位のみ
を構造単位とするポリマーであり、このポリマーは下記
一般式(2)で表される。
【化3】 〔式中、nは自然数を示し、R1〜R4、Aおよびmは前
記と同じである。〕
【0011】上記ポリマーは通常直鎖状であり、その末
端基は通常両末端とも水素である。またポリマーのガラ
ス転移点は通常250℃以上であり、密度は通常1.3
〜1.5g/cm3である。このようなポリイミドは、
例えばビフェニルテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジ
アミンとを溶媒中で重縮合させる方法など、公知の方法
により製造することができる。
【0012】本発明の蛍光X線分析用フィルムは、試料
に照射する一次X線または一次X線が照射された試料か
ら発生する蛍光X線を透過させるフィルムであり、例え
ば試料ホルダーにおいてX線が通過する窓に張設された
り、蛍光X線分析装置本体においてX線が透過する窓に
張設される。フィルムの膜厚は特に限定されず、従来の
蛍光X線分析で用いられているフィルムの膜厚と同様と
される。具体的には10〜100μm、好ましくは20
〜50μmとされる。
【0013】本発明の蛍光X線分析用試料ホルダーは、
X線が通過する窓に前記フィルムを張設した試料ホルダ
ーであり、この試料ホルダー中に分析しようとする液体
または固体の試料を収容して用いる。このような本発明
の試料ホルダーは、測定するたびに試料を交換するタイ
プのものでも、連続的に試料をセル内に流して測定する
フローセルタイプのものであってもよい。
【0014】図1は本発明のフィルムを用いた蛍光X線
分析装置の一例を示す概略図である。図1において、1
は蛍光X線分析装置であり、本体2と試料ホルダー3と
を備えている。本体2にはX線を照射するためのX線窓
4が設けられ、本発明の蛍光X線分析用フィルム5が張
設されており、X線管6から一次X線7を照射し、検出
器8で蛍光X線9を検出して分析できるように構成され
ている。試料ホルダー3はフローセルタイプの試料ホル
ダーであり、セル11内の試料12に一次X線7が照射
されるようにX線窓13が設けられ、本発明の蛍光X線
分析用フィルム14が張設されている。
【0015】このような蛍光X線分析装置1において
は、X線窓4および13に張設されているフィルム5お
よび14は一次X線7および蛍光X線9の透過性に優れ
ているので、定量検出下限および定量精度に優れてい
る。また強度および耐食性に優れているのでアルカリ洗
浄などを繰返して行うことができ、その上フィルム14
に付着するスケール(汚れ)の量も少なく、このため長
期間使用することができる。例えば、触媒を含んだ液体
試料においても、重金属や有機物などがフィルム14に
付着する量が少なく、長期間使用することができる。さ
らに耐熱性にも優れ、例えば80℃においてフィルム5
および14が膨らんで測定値が変動することはない。
【0016】
【発明の効果】本発明の蛍光X線分析用フィルムは、特
定のポリイミドからなっているので、X線の透過性に優
れ、しかも強度、耐食性および耐熱性に優れており、長
期間使用可能である。
【0017】本発明の蛍光X線分析用試料ホルダーは、
上記特定のポリイミドからなるフィルムを張設している
ので、試料の調製が容易であり、また長期間連続して使
用することも可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について説明
する。 実施例1 公知の方法により製造した下式(3)で表される構造単
位を有するポリイミド(ガラス転移点500℃以上)か
らなる膜厚50μmのフィルムを用いて、図1の装置に
より、テレフタル酸製造工程の触媒回収プロセス液の蛍
光X線分析を6か月間行った。その結果、試料温度によ
るフィルムの膨らみによる分析精度を損なうことなく分
析が可能であった。また6か月間フィルムの交換は不要
であった。
【化4】
【0019】比較例1 フィルムとして、下式(4)で表される構造単位を有す
るポリマーからなるフィルム〔東レ(株)製、カプト
ン、商標〕を用いた以外は実施例1と同様にして行っ
た。その結果、約1週間でフィルムが破損した。
【化5】
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光X線分析装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 蛍光X線分析装置 2 本体 3 試料ホルダー 4、13 X線窓 5、14 フィルム 6 X線管 7 一次X線 8 検出器 9 蛍光X線 11 セル 12 試料

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光X線分析において一次X線または蛍
    光X線を透過させるフィルムであって、下記一般式
    (1)で表される構造単位を有するポリイミドからなる
    ことを特徴とする蛍光X線分析用フィルム。 【化1】 〔式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素
    原子または低級アルキル基、Aは低級アルキレン基、m
    は0または1を示す。〕
  2. 【請求項2】 蛍光X線分析において一次X線を照射す
    る試料を収容する試料ホルダーであって、一次X線また
    は蛍光X線が通過する窓に請求項1記載のフィルムが張
    設されていることを特徴とする蛍光X線分析用試料ホル
    ダー。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018220935A1 (ja) * 2017-05-31 2018-12-06 株式会社リガク 蛍光x線分析装置用の試料ホルダ並びに試料ホルダ作成治具及び蛍光x線分析装置用の試料の作製方法
JP2018205290A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 株式会社リガク 蛍光x線分析装置用の試料ホルダ並びに試料ホルダ作成治具及び蛍光x線分析装置用の試料の作製方法
WO2024202420A1 (ja) * 2023-03-31 2024-10-03 株式会社リガク 試料パウチセル及び蛍光x線分析方法

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US10775324B2 (en) 2017-05-31 2020-09-15 Rigaku Corporation Sample holder for an X-ray fluorescence spectrometer, and sample holder manufacturing jig and method of producing a sample for an X-ray fluorescence spectrometer
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