JPH10197044A - 風量調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 空調用の風量調整装置の簡便化、低価格化が
望まれる。 【解決手段】 風量調整ボックス１の吸込み口を均等に
二分割した形状よりなる２枚１組のダンパー３と、タン
パー３の裏面外周側にそれぞれ係合し風量調整ボックス
１の内部側の会合片６において共に係合するダンパー連
結部材（ワイヤやロッド）と、該会合片６から風量調整
ボックス１外で手動手段によって位置決めされるワイヤ
やロッドとからなる。２枚のダンパーはそれぞれ個別に
等しく流れ方向に対して傾き、外縁との間に等しい開口
部を形成するから部分的な流れの強弱が起こらず偏流の
生じる原因が解消される。また、開閉の調整も吹出し口
の下方や配管外の任意の場所から簡単に手動でできるか
ら課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は空調用ダクトの風量
調整ボックスに係る。

【０００２】

【従来の技術】事務所や会議室、集会所、作業場など人
々が集まり活動を続ける建造物内には居住性を向上する
ために空調設備が具えられ、外気の温度などの自然条件
に対応して吹き出す暖気や冷気などの風量を調整するこ
とが通常の形態となっている。暖房、冷房用の空気は建
物の床面と天井面との間に設けた中空部分に配管した空
調ダクト内を通過して、適宜、居住区の頭上の天井面か
ら吹出す形態が普通である。したがって空調ダクトから
空気の供給を受け風量を調整しながら吹出し口から居住
区に送り込む分岐の機能が必要となり、送風の停止、継
続、または風量の増減作用を具えた風量調整ボックスが
要所に配設されて空調の制御を行なっている。

【０００３】空調ダクトまで送られてきた送風をそのま
ま居住区に吹出すか、または停止するか、一部の送風だ
けを絞って適量だけを送風するかという機能は風量調整
ボックス内に設けたダンパーの開閉によって自由に調整
される。しかし、その調整の方法は風量調整ボックス自
体が天井面上の隠れた空間内に設置されて比較的扱いに
くい位置に設けられていることや、広い事務所、会館な
どの全体をほぼ均一な温度に維持するために、吹出し口
の個数も増えざるを得ないなどの課題があり、頻繁な開
閉と開閉率の調整は意外に煩瑣な管理を強制する結果に
繋がり、それらの巧拙は居住性の好悪に大きな影響を与
える技術的課題として重視され、この課題を解決するた
めの従来技術も少なからず提示されている。

【０００４】特開平３−５６５６号公報では図３のよう
に風量調整ボックスの内部に設けた円筒部１０１と、こ
の円筒部内にダンパーシャフト１０２と固着した円形の
ダンパー１０３とを具え、ダンパーの外周に柔軟な布目
付きシリコン板のシール材１０４を固着した構成を提示
した。ここでは図示しないダンパーモータの作動によっ
てダンパー１０３を９０°回転して開閉するが、従来は
柔軟なシール材を使用していたため、表面が滑らかであ
るので摺動音を発生し、直接この騒音が居住者の聴覚に
届くので不快感を与えていたが、布目付きのシリコン板
に替えることによって表面の摩擦抵抗が小さく摺動音の
発生を防止できたと謳っている。

【０００５】特開平３−５６５５号公報では図４のよう
にダンパー１０５の開閉の駆動のために、従来はダンパ
ーモータ１０６、カム１０７、ダンパーシャフト１０８
という駆動力の伝達部材を直接係合して固定化した構成
としていたが、これでは部材間の相互のガタツキのため
にダンパーが必ずしも水平位置に固定されるとは限らな
いことを課題とし、伝達系路の中に調整可能な箇所を介
入した構成を提示している。

【０００６】また、図５に示す特開平４−６４８５４号
公報の従来技術では、風量調整ボックス内の吹出し口に
対応して開口部を設けたオリフィス１０９と、該開口部
を開閉する球形ダンパー１１０と、この球形ダンパーの
頂点に固着しベースのねじ部によって保持されるボルト
１１１とを具え、ボルト１１１はダンパーモータ１１２
の作動によって回動して球形ダンパー１１０を昇降する
構成を提示し、風量の大小に拘わらず円周面から空気が
均等に流れるから騒音は殆どなくなり、耳障りな風切り
音が解消されたと利点を謳っている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ここに例示した従来技
術だけに限らず、一般に空調ダクトに接続した風量調整
ボックスが居住区に対して送風、またはその停止、また
はその送風量の調整を行なうにはダンパー調整による。
ダンパーはすべて中心線に回転軸と固着した円板状の、
謂わば「回転ドア型式」で構成され、中心の回転軸が回
動すればその半周側が送風方向へ傾動して前進し、他の
半周側が送風の逆方向へ傾動して後退するから、空気の
吸込み口に空気の通路となる開口部を形成する。しか
し、一般に風量調整ボックスに対してダクトから送り込
まれる空気の流れは水平方向であり、水平の流れが斜め
に傾いたダンパーによって遮断され前後の位相の異なる
開口面から進入するのであるから、傾いたダンパーと周
縁間の両開口部から流入する空気の流れは風量調整ボッ
クス内では必ず不均等な乱流を起こし、風量調整ボック
スの吹出し口から偏った方向と風量として吹出すことは
避け難い。この偏流が居住区での冷暖房の強弱となって
現われると共に、不快な風切り音の原因を形成し、快適
であるべき空間を損う原因となることはよく指摘を受け
る点である。

【０００８】また、図５に例示した従来技術は、平板状
のダンパーによらず球状ダンパーの開閉によって風量の
調整を行なったから、円周全体から均等に空気が送風さ
れると謳っているが、球状ダンパーは製造が困難で費用
も高騰することが予想される上、球体を気流中に置いた
ときにはいわゆる「カルマン渦」と呼ばれる渦流が発生
することがよく知られ、風量調整ボックス内でスムース
に方向転換して均等な気流を吹出すという目的からは必
ずしも適当とは言えないのではないか。

【０００９】一般に空調設備が多様化して一般の住宅に
まで及ぶ今日では、最早、空調システムは事務所などの
贅沢な需要品に留まらず、倉庫や作業所など一般に広く
普及して快適な作業環境を作り出す必要性が強調される
ようになったから、設備も簡素化して、設備費用も低額
に抑制し、日常のメンテナンスもきわめて手軽で負担の
掛からないことが万人待望の普及条件となる。その点か
ら言えば、従来技術の多くはなお、高級な事務所用とい
うイメージが先行し、設備費の高騰を呼ぶ複雑な構造、
絶え間ないメンテナンスを必要とする機材の組み合わせ
の域から脱し切れていない。特に風量の調整、開閉など
に必要な駆動機構はより簡素化することが普及の前提と
捉えられる。本発明は以上の観点から最もシンプルな形
状を組み合わせた構成によって、送風の開閉や風量の調
整に充分な機能を具えつつも、最も簡便な構成で低廉な
風量調整装置の提供を目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明に係る風量調整装
置は、空調ダクトの風量調整ボックス１の吸込み口２内
側に取り付け該吸込み口の開口部を均等に二分割した形
状よりなる２枚１組のダンパー３と、該ダンパー３の裏
面外周側へ一端を係合し、他端が風量調整ボックス１の
内部側で会合片６と係合するダンパー連結部材と、該会
合片６と風量調整ボックス外において手動でダンパー３
を開閉自在に連結する風量調整部８とよりなることを構
成上の特徴とする。

【００１１】前記の基本構成に対して極めて好ましい形
態の一つとして、該ダンパー３の前記分割線に取り付け
る回転軸５は２枚のダンパー３をそれぞれ常に閉方向へ
押圧する弾性ばね４１を伴い、該タンパー３の裏面外周
側にそれぞれ係合し風量調整ボックス１の内部側の会合
片６において共に係合するダンパーワイヤ７と、該会合
片６から風量調整ボックス１内を通り抜けて風量調整ボ
ックス外の手動の風量調整部８に達する調整ワイヤ９と
からなる構成が優れている。

【００１２】さらにこの構成に加えて、風量調整部８と
しては前記会合片６に一端を係止した調整ワイヤ９の他
端へ風量調整ボックス１外で調整ボルト８２を固着し、
風量調整ボックス外に固定したブラケット８３内を挿通
した調整ボルト８２と調整ナット８４とを任意の位置で
締結することによってダンパー３の全開閉、および開閉
率を手動で調整し拘束する部材によって構成する形態が
優れている。

【００１３】この構成のうち、ダンパー３は２枚１組の
二分割タイプであり、その中心の回転軸５が対称軸でも
ある。ダンプワイヤ７の一端はダンパー３のそれぞれの
裏面に係合し、他端が等しく会合片６へ係合しているか
ら、会合片６を外部から引張るとダンパーワイヤ７も均
等に引き寄せられてダンパーはそれぞれ個別に均等に回
転軸を中心に等しく流れ方向に対して傾き、外縁との間
に等しい開口部、すなわち吸込み口２を形成するから部
分的な流れの強弱が起こらず偏流の生じる原因が解消さ
れる。会合片６は風量調整ボックス外の手動の風量調整
部８に達する調整ワイヤ９を引張れば引き寄せられてダ
ンパーを開き、調整ワイヤ９を開放すれば回転軸５に付
設した弾性バネ４１が働いてダンパーを閉じるので、複
雑な電気的な駆動機材の必要なく課題を解決する。

【００１４】この形態の構成によれば、特に風量調整部
の位置が天井配管部外の任意の位置で両者を螺合するだ
けでダンパー３の全開閉、および開閉率を手動で調整し
拘束することができるから、従来技術に比べると遥かに
構成が簡素化され、風量調整ボックスの下方の居住区か
ら簡単に手動で調整操作が容易に実施でき、複雑な電気
的部材の組み合わせ、したがってそのメンテナンスも不
要、騒音、振動からも免れるという数々の利点が挙げら
れる。

【００１５】本発明の別の形態としては、ダンパー連結
部材が剛性のダンパーロッド７Ａで形成し、それぞれの
ダンパーロッド７Ａの他端が係合する会合片６Ａから風
量調整ボックス１Ａ外へ伸びる剛性の開閉ロッド９Ａの
先端が水平方向の延長線上で風量調整部８Ａと係止して
いることを構成上の特徴とする。そしてこの場合には、
風量調整部８Ａが外部へ固定した開閉ガイド８１Ａと、
該開閉ガイド８１Ａ内を摺動自在に手動で横行する係止
板８３Ａと、前記開閉ロッド９Ａの屈折した先端を係止
したまま該係止板８３Ａを任意の位置で締結固定する位
置決め蝶ネジ８２Ａとからなる構成などが推奨に価する
が、もちろん開閉作動の伝達を剛性の鋼棒に依存したこ
とを特徴とする他は、可撓性のワイヤを使用した場合と
大きく異なる点はない。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１は本発明の実施形態の全閉状
態であり、図２は同じ実施形態の全開状態を示す縦断正
面図である。風量調整ボックス１は図示を省略した空調
用ダクトと連通する吸込み口２を具え、図の左側から冷
風、または暖風が誘導されてくる。風量調整ボックス１
は亜鉛鍍金鋼板などで成形した角形や円筒形などで形成
し、一方に空気の吸込み口２となる開口部を開閉自在に
具えている。この図の態様では吸込み口の同一方向の反
対側の側面がそのまま空気の吹出し口となっているが、
他の多くの従来技術のようにこの側面を締め切って底面
に吹出し口を開口し、空気が水平方向から進入してボッ
クス内で直角に転換して真下に吹出す構成であってもよ
いことは言うまでもない。この図では省略しているが、
風量調整ボックスの内側面にはグラスボードなどの吸音
と保温を兼ねた材質を裏張りして騒音防止に努めること
は従来技術と変りはない。また、この図の実施形態は縦
断正面図として水平方向に回転軸５を配置し、回転軸を
対称軸として半円形のダンパーを上下に分割している
が、この図をそのまま平面図と見立てて回転軸５が垂直
方向に軸支され、半円形のダンパーが左右対称に開閉す
ると見てもよい。

【００１７】風量調整ボックス１の前面に形成した吸込
み口２にはダンパー３のストッパーとなる当り止め２１
を全周に亘って固定し、その内側に２枚１組のダンパー
３を回転軸５を介して回動自在に軸支する。２枚のダン
パー３は何れも半円形板で形成し、その直径部に近い中
央部では弾性ばね４１によって常に閉方向へ付勢される
蝶板４２が添着して吸込み口側へ押し付けられて吸込み
口からダンパーに加わる気圧に対抗して系路を閉じる作
用となって現われる。

【００１８】各ダンパー３の外周側には係止片７１がそ
れぞれ固着され、この係止片７１に一端を係合したダン
パーワイヤ７はその他端を個別に風量調整ボックスの内
部に自由に位置する会合片６と係合し、結局、両ダンパ
ーの係止片７１と会合片６とが二等辺三角形を形成した
状態を呈する。会合片６はまた風量調整ボックス１の外
部に設けた風量調整部８とも繋がるので、風量調整部の
作動を受けて該二等辺三角形の頂角を変えつつ自己の風
量調整ボックス内の位置を変える機能が働く。

【００１９】この図の実施形態では、風量調整部８の具
体的な構成として会合片６に一端を係合し、風量調整ボ
ックス１外に軸支した滑車８１を巻き回して方向転換し
た調整ワイヤ９の他端に調整ボルト８２を固着し、この
調整ボルト８２を風量調整ボックス外に固定したブラケ
ット８３内を挿通したうえ、その先端に調整ナット８４
を螺合して任意の位置で繋止するというきわめて簡便な
構成を採った。この方式であれば、空調用の吹出し口近
くの誰でも容易に調整ナットを弛めたり進めたりして居
ながらにして空調の吹出し風量を調整できるし、複雑な
電気的な器具の手入れや騒音、故障などに悩まされる懸
念も皆無である。

【００２０】図３は本発明の第二の実施の形態を示した
縦断正面図であり、第一形態（図１）と比べると可撓性
のダンパーワイヤ７や滑車８１、調整ワイヤ９に替えて
剛性のダンパーロッド７Ａ、開閉ロッド９Ａを使用した
点が大きな差であり、一般的な原則は共通する要件より
なる請求項１で括られるように作用の上で相違点はな
い。すなわち、 二等分に分割した２枚のダンパーを共通する回転軸を
軸として対称的に同一角度だけ開閉すること、 風量ボックス以外の手軽な位置で開閉操作を自由に手
動で行なえること、の２点が共通する最大のメリットで
ある。なお、そのために風量調整部の８Ａの構成を例示
したが、水平方向の移動とその固定という要件さえ満た
されるならば、その他のどのような係止方法であっても
同様の利点を得ることができることは言うまでもない。

【００２１】

【発明の効果】本発明は以上に述べた通り、空調設備の
普及が目覚しく、どのような箇所でも凡そ人々の行動す
る範囲に含まれる限り空調を必要とする時代のニーズに
応え、簡便な構成で低廉な設備費で充分足り、使用中の
メンテナンスがほとんど不要で徒らに煩わしい負担が増
加することもなく、また吹出し口付近の利用者が居なが
らにして容易に風量調整が自由にできるなど、近年の各
職場環境に最も適合した機能を提供する効果がある。従
来技術ではよく課題として指摘された偏流の発生が抑制
され、耳障りな風切り音がほとんどなくなり、静かで効
率的な空調作用が保証されるなど従来の同種の技術レベ
ルを遥かに凌駕する機能を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態（全閉状態）を示す縦断正
面図である。

【図２】本発明の同じ実施形態（全開状態）を示す縦断
正面図である。

【図３】本発明の別の実施形態を示す一部断面図（Ａ）
と同図のＸ−Ｘ断面矢視図（Ｂ）である。

【図４】従来技術を示す縦断正面図である。

【図５】別の従来技術を示す縦断正面図である。

【図６】さらに別の従来技術を示す縦断正面図である。

【符号の説明】

１ 風量調整ボックス ２ 吸込み口 ３ ダンパー ５ 回転軸 ６ 会合片 ７ ダンパーワイヤ ７Ａ ダンパーロッド ８ 風量調整部 ９ 調整ワイヤ ９Ａ 開閉ロッド 41 弾性ばね 71 係止片 81 滑車 81A 開閉ガイド 82 調整ボルト 82A 位置決め蝶ネジ 83 ブラケット 83A 係止板 84 調整ナット

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空調ダクトの風量調整ボックス１の吸込
   み口２内側に取り付け該吸込み口２の開口部を均等に二
   分割した形状よりなる２枚１組のダンパー３と、該ダン
   パー３の裏面外周側へ一端を係合し、他端が風量調整ボ
   ックス１の内部側で会合片６と係合するダンパー連結部
   材と、該会合片６と風量調整ボックス外において手動で
   ダンパー３を開閉自在に連結する風量調整部８とよりな
   ることを特徴とする風量調整装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、該ダンパー３の前記
   分割線に取り付ける回転軸５は２枚のダンパー３をそれ
   ぞれ常に閉方向へ押圧する弾性ばね４１を伴い、該タン
   パー３の裏面外周側にそれぞれ係合し風量調整ボックス
   １の内部側の会合片６において共に係合するダンパーワ
   イヤ７と、該会合片６から風量調整ボックス１内を通り
   抜けて風量調整ボックス外の手動の風量調整部８に達す
   る調整ワイヤ９とからなることを特徴とする風量調整装
   置。
3. 【請求項３】 請求項２において、風量調整部８が前記
   会合片６に一端を係止した調整ワイヤ９の他端へ風量調
   整ボックス１外で調整ボルト８２を固着し、風量調整ボ
   ックス外に固定したブラケット８３内を挿通した調整ボ
   ルト８２と調整ナット８４とを任意の位置で締結するこ
   とによってダンパー３の全開閉、および開閉率を手動で
   調整し拘束する部材によって構成したことを特徴とする
   風量調整装置。
4. 【請求項４】 請求項１において、ダンパー連結部材が
   剛性のダンパーロッド７Ａで形成し、それぞれのダンパ
   ーロッド７Ａの他端が係合する会合片６Ａから風量調整
   ボックス１Ａ外へ伸びる剛性の開閉ロッド９Ａの先端が
   水平方向の延長線上で風量調整部８Ａと係止しているこ
   とを特徴とする風量調整装置。
5. 【請求項５】 請求項４において、風量調整部８Ａが外
   部へ固定した開閉ガイド８１Ａと、該開閉ガイド８１Ａ
   内を摺動自在に手動で横行する係止板８３Ａと、前記開
   閉ロッド９Ａの屈折した先端を係止したまま該係止板８
   ３Ａを任意の位置で締結固定する位置決め蝶ネジ８２Ａ
   とからなることを特徴とする風量調整装置。