JPH10196731A - 密封型ダンパー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塵埃等を外部に発散させることなく、サーボ
モータ等の回転機械の振動を効果的に抑制する密封型ダ
ンパーを提供する。 【解決手段】 回転機械１の回転軸３に固定した非磁性
材料からなる円環状容器４と、前記円環状容器４の内部
に運動自在に密封した磁性体５と、円環状容器４の外周
面に対向する円周上に配列して回転機械１の固定部２に
固定した複数個の永久磁石６とから構成する。磁性体５
は永久磁石６が作る磁界によって拘束されるから、回転
軸３が振動すると、磁性体５は円環状容器４に対して相
対的に運動する。その際の摩擦によって振動を吸収す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、回転機械の振動を
抑制する密封型ダンパーに関する。

【０００２】

【従来の技術】回転機械、特に精密な位置決めに使用す
るサーボモータにおいては、軸振動の抑制は、位置決め
精度を向上のための、重要な課題であった。このような
軸振動を抑制する機構として、固体の摩擦や流体の粘性
を利用したダンパーがよく知られている（例えば、特開
平８−９５８５号公報、特開昭６３−２５７４３１号公
報）。これらのダンパーは、機械の振動による運動エネ
ルギーを、摩擦力や粘性抵抗によって、熱に変換して空
中に放散し、振動を減衰する機構である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】これらのダンパーは、
固体の摩擦を利用するにせよ、流体の粘性を利用するに
せよ、回転部分と固定部分の接触を伴うので、摩耗粉や
流体のミスト等（以下、塵埃等という）が発生し、空中
に発散する。この塵埃等はわずかな量であり、従来は問
題とされなかった。しかし近年、クリーンルームや真空
室で使用する精密位置決め用サーボモータの需要が高ま
っている。クリーンルームや真空室では塵埃等の発散は
基本的に許されないのである。一方この精密位置決め用
サーボモータは当然、高精度のために軸振動を嫌うの
で、ダンパーを取り付けて軸振動を可能な限り抑制した
いという技術的要求がある。このような背景で、従来の
ダンパーは、これをサーボモータに取り付けて、軸振動
を抑制して位置決め精度を上げようとしても、塵埃等が
発散するので、クリーンルームや真空室では使えないと
いう問題が生じた。塵埃等が発生しないクリーンなダン
パーが強く求められているのである。そこで本発明は、
塵埃等を外部に発散させることなく、サーボモータ等の
回転機械の振動を効果的に抑制する密封型ダンパーを提
供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに、本発明は、回転機械の回転軸に固定した非磁性材
料からなる円環状容器と、前記円環状容器の内部に運動
自在に密封した磁性体と、前記円環状容器の外周に対向
して円周状に配列して前記回転機械の固定部に固定した
複数極の磁界生成手段とでダンパーを構成する。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図に基づ
いて説明する。図１は、本発明の第１の実施例を示す、
回転機械に取り付けた密封型ダンパーの縦断面図であ
る。図２は同じく第１の実施例を示す平面図である。図
において、１は回転機械であり、固定部２と図示しない
回転部から成る。３は回転軸であり、前記回転部と一体
に固定部２に回転自在に取り付けられている。４は非磁
性材料で作られた円環状容器であり、そのボス部４ａで
回転軸３に嵌合され一体に回転する。５はたとえば磁性
粉体などの磁性体であり、円環状容器４の内部に運動自
在に密封されている。６は磁界生成手段としての複数個
の永久磁石であり、円環状容器４の外周面に空隙を介し
て対向して、円環状容器４の同心円上に並んで、固定部
２に固定されている。前記永久磁石６は、円周方向に交
互に極性を変えて配列している。

【０００６】次に、作用について説明する。永久磁石６
を円環状容器４の同心円上に配列しているから、円環状
容器４の内部には、回転軸３まわりに回転対称な磁界が
発生するので、磁性体５は円環状容器４の内部に回転対
称に分布する。回転軸３が振動せずに、回転すれば、磁
性体５は円環状容器４との相対的位置を保ったまま回転
する。回転軸３が振動すると、円環状容器４も振動す
る。一方磁性体５は永久磁石６が作る磁界によって運動
を拘束されるから、磁性体５は円環状容器４に対して相
対的に運動する。そのため、磁性体５と円環状容器４の
間および、磁性体５の内部で摩擦が生じる。この摩擦に
よって、振動のエネルギーが熱に変換されて、空中に放
散するので振動が減衰する。なお、永久磁石６を電磁石
に置き換えて、ダンパーの機能を必要に応じて、停止し
たり、ダンパーの強さを調整できるように構成してもよ
い。また、磁性体５を磁性流体に置き換えて、粘性抵抗
による減衰効果も得られるようにしてもよい。

【０００７】図３は、本発明の第２の実施例を示す密封
型ダンパーの円環状容器４の縦断面図である。図におい
て、４は非磁性材料からなる円環状容器であり、その内
部は、複数の仕切板４１によって、図の高さ方向に分割
され、それぞれ独立した室４２を形成している。それぞ
れの室４２の内部には、たとえば磁性粉体などの磁性体
５が運動自在に密封されている。図示していないが、こ
の第２の実施例の、他の構成は第１の実施例と同一であ
る。第２の実施例では、磁性体５と円環状容器４の接触
面積が大きくなるので、磁性体５と円環状容器４との摩
擦による減衰効果が大きい。なお、磁性体５を磁性粉体
ではなく、磁性流体に変えて構成してもよい。この場合
は、前記磁性流体と円環状容器４の接触面積が大きくな
るので、粘性抵抗による減衰効果が大きい。

【０００８】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
のような効果がある。 （１）完全に密閉した構造のため、塵埃等を発生しない
ので、クリーンルーム等で使用できる。 （２）磁界生成手段に電磁石を用いることにより、ダン
パーの入切、強さの調整が簡単にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す密封型ダンパーの
縦断面図である。

【図２】本発明の第１の実施例を示す密封型ダンパーの
平面図である。

【図３】本発明の第２の実施例を示す円環状容器の縦断
面図である。

【符号の説明】

１：回転機械 ２：固定部 ３：回転軸 ４：円環状容器 ４ａ：ボス部 ４１：仕切り板 ４２：室 ５：磁性体 ６：永久磁石

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転機械の回転軸の振動を抑制する密封
   型ダンパーにおいて、前記回転機械の回転軸に固定した
   非磁性材料からなる円環状容器と、前記円環状容器の内
   部に運動自在に密封した磁性体と、前記円環状容器の外
   周面に対向する円周上に配列して前記回転機械の固定部
   に固定した複数個の磁界生成手段とからなることを特徴
   とする密封型ダンパー。
2. 【請求項２】 前記磁界生成手段は、永久磁石であるこ
   とを特徴とする請求項１に記載の密封型ダンパー。
3. 【請求項３】 前記磁界生成手段は、電磁石であること
   を特徴とする請求項１に記載の密封型ダンパー。
4. 【請求項４】 前記磁性体は、磁性粉体であることを特
   徴とする請求項１から請求項３までのいずれかの項に記
   載の密封型ダンパー。
5. 【請求項５】 前記磁性体は、磁性流体であることを特
   徴とする請求項１から請求項３までのいずれかの項に記
   載の密封型ダンパー。
6. 【請求項６】 前記円環状容器の内部に仕切板を設けた
   ことを特徴とする請求項１から請求項５までのいずれか
   の項に記載の密封型ダンパー。