JPH10194997A - 新規遺伝子導入法及びこれに用いる複合体 - Google Patents

新規遺伝子導入法及びこれに用いる複合体

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JPH10194997A
JPH10194997A JP9000258A JP25897A JPH10194997A JP H10194997 A JPH10194997 A JP H10194997A JP 9000258 A JP9000258 A JP 9000258A JP 25897 A JP25897 A JP 25897A JP H10194997 A JPH10194997 A JP H10194997A
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JP
Japan
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complex
cells
genes
arginine
dna
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JP9000258A
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Nobuhiko Emi
宣彦 恵美
英彦 ▲さい▼藤
Hidehiko Saitou
Satoru Kidoaki
悟 木戸秋
Kenichi Yoshikawa
研一 吉川
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遺伝子治療、免疫療法、遺伝子ワクチン等を
臨床応用する上で極めて重要であり、再現性の高い安全
且つ高効率な遺伝子の細胞への導入法を提供すること。 【解決手段】 動物培養細胞または動物体を構成する細
胞に遺伝子類を導入する方法に用いる複合体であって、
遺伝子類と高アルギニン含有カチオニックポリペプチド
を含有する複合体及び該複合体を用いて細胞を形質転換
することにより細胞に遺伝子を導入する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動物培養細胞また
は動物体を構成する細胞に遺伝子類を導入する方法に用
いる複合体であって、遺伝子類と高アルギニン含有カチ
オニックポリペプチドを含有する複合体及びこれを用い
た新規遺伝子導入法に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子を細胞に導入する技術は、有用物
質(例えば血液凝固因子、エリスロポイエチンや組織型
プラスミノゲン活性化因子など)を産生する細胞を育種
する上で根幹となる技術の一つである。また、近年、遺
伝子の細胞への導入技術は、構造遺伝子を始めとしてア
ンチセンス或いはセンスヌクレオチド、デコイ型ヌクレ
オチド、リボザイム等を細胞に導入する遺伝子治療、免
疫療法、遺伝子ワクチン等を臨床応用する上で極めて重
要であり、再現性の高い安全且つ高効率な遺伝子の細胞
への導入法が望まれている。
【0003】一方、遺伝子(DNA、RNA、DNAあ
るいはRNAとハイブリッドを形成する合成ヌクレオチ
ド、それらの修飾されたものおよびそれらの2つ以上の
混合物、複合体を包含する)を動物細胞へ導入する方法
が数多く研究され、リン酸カルシウム法、細胞融合法、
DEAEデキストラン法、レトロウイルス等による感
染、リポソーム法、エレクトロポレーション、マイクロ
インジェクション法、遺伝子−ポリカチオン−リガンド
複合体をレセプターを介したエンドサイトーシスによる
導入法等が知られている。また、カチオニックリピッド
(リポフェクチン法)やポリリジンと遺伝子の複合体も
細胞への遺伝子導入に効果的である事が知られている
(レドリー、F.D.(Ledley,F.D.)ヒューマン・ジー
ン・セラピー(Human Gene Therapy)6巻、1129ペー
ジ)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように遺伝子類
を動物細胞に導入する方法としていくつかの方法が知ら
れているが、それらの方法にもそれぞれいくつかの短所
が指摘されており、再現性の高い安全且つ高効率な遺伝
子類の細胞への導入法が望まれている。即ち、ウイルス
等のインフェクションによる細胞への外来遺伝子の導入
(レトロウイルス等による感染)は効率的な手法であ
り、遺伝子及び遺伝子制御の研究、ならびに遺伝子治療
において有用な材料として用いられているが、遺伝子治
療に用いる場合、ウイルスベクターを作製する宿主細胞
に依存する抗原性、ウイルスの安定性、免疫機構による
頻回投与の制限などの問題が推測されている。
【0005】一方、ウイルスを用いないリポソーム法、
リポフェクチン法等には遺伝子の導入効率等でまだまだ
改良すべき点が多い。さらにポリリジンと遺伝子の複合
体を細胞に導入する方法は、形質転換効率が低いので遺
伝子治療用の複合体としては実用的でない。
【0006】
【課題を解決しょうとするための手段】本発明者らは、
再現性の高い安全且つ高効率な遺伝子類の細胞への導入
法の開発を目指し鋭意研究を重ねた結果、アルギニン含
量が極めて高く(65%)、DNAと複合体を形成する
プロタミンとDNAとの複合体が細胞を形質転換する事
を見いだし、またアルギニンのホモポリマー(以下ポリ
アルギニンと称する)とDNAの複合体が高効率に細胞
に取り込まれ、導入されたDNAが細胞内で機能するこ
とを見いだし本発明に至った。更に好ましくは、DNA
とこれらの高アルギニン含有カチオニックポリペプチド
との複合体の解析を進めた結果、不溶性複合体の大きさ
と形質転換効率の間の相関を見いだし本発明に至った。
【0007】即ち本発明の第1は、動物培養細胞または
動物体を構成する細胞に遺伝子類を導入する方法に用い
る複合体であって、遺伝子類と高アルギニン含有カチオ
ニックポリペプチドを含有する複合体に関するものであ
る。また本発明の第2は、動物培養細胞または動物体を
構成する細胞に遺伝子類を導入するにおいて、遺伝子類
と高アルギニン含有カチオニックポリペプチドを含有す
る複合体を用いて細胞を形質転換することにより細胞に
遺伝子類を導入する方法に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の遺伝子類とは、DNA、RNA、DNAあるい
はRNAとハイブリッドを形成する合成ヌクレオチド、
それらの修飾されたものおよびそれらの2つ以上の混合
物、複合体を示す。さらに詳述すると遺伝子類は生体由
来或いは合成した2本鎖DNA、1本鎖DNA、2本鎖
RNA、1本鎖RNA、チオエステル結合を有する合成
DNA、合成RNAなど、天然のDNAあるいはRNA
とハイブリダイズし、高アルギニン含有カチオニックポ
リペプチドと生理的溶液中で不溶性複合体を形成するも
のであれば、どのような遺伝子であっても構わない。
【0009】また、本発明の遺伝子類の機能としては、
構造遺伝子、アンチセンス遺伝子、センス遺伝子、デコ
イ型遺伝子、リボザイム等、細胞の機能を修飾する遺伝
子が一般に用いられる。本発明に用いる高アルギニン含
有カチオニックポリペプチドは好ましくは分子量4,0
00〜200,000であり、分子量が4,000より
小さいと不溶性複合体を形成しにくく、200,000
より大きいと複合体の形状が大きく、細胞に取り込まれ
にくいという不都合が起こる場合がある。
【0010】もっとも本発明に用いるポリアルギニンは
分子量が4,000〜200,000が好ましいが、さ
まざまな分子量を持つポリアルギニンの混合物であって
もよく、遺伝子類と安定な複合体を形成するポリアルギ
ニンであれば、どのような分子量を持っていても良い。
なおポリアルギニンは従来より抗原性が無いことが知ら
れており(セラ,M.(Sela,M.)、アバンスド・イミュノ
ロジー(Adv.Immunol.)5巻29ページ 1966年)、
更にポリアルギニンは生体内あるいは細胞内で分解され
生体にとって安全な天然アミノ酸であるアルギニンに分
解されるために、生体にとって極めて安全である。
【0011】また本発明に用いる高アルギニン含有カチ
オニックポリペプチドは好ましくはアルギニン含量が4
4%〜100%であり、アルギニン含量が44%より低
いと複合体が形成されにくいという不都合が起こる場合
がある。また本発明に用いる高アルギニン含有カチオニ
ックポリペプチドとしては、化学合成ポリペプチド、組
換えDNA法によって生物で生産したポリペプチド等が
挙げられるが動物またはヒトのプロタミンを用いるのが
好ましい。天然に存在する高アルギニン含有カチオニッ
クポリペプチドであるプロタミンは全アミノ酸残基の約
44%がアルギニンであり、分子量は約4,000であ
る。本発明に使用するプロタミンとしてはどの生物由来
のプロタミンであってもよい。医療に用いる複合体に用
いるプロタミンとしては抗原性の無いヒト由来のプロタ
ミンが好適である。
【0012】また、本発明に用いる高アルギニン含有カ
チオニックポリペプチドとしてはアルギニンの含量を5
0%以上にした合成ポリペプチドも使用できるが、プロ
タミンの配列中に存在する抗原性の無い配列を持つ合成
ポリペプチドなども使用できる。これらの合成ポリペプ
チドは遺伝子組換えの手法で大腸菌や酵母等の微生物で
も生産可能である。
【0013】また本発明に用いる遺伝子類と高アルギニ
ン含有カチオニックポリペプチドを含有する複合体は以
下のように作製することが出来る。すなわち、遺伝子類
と高アルギニン含有カチオニックポリペプチドを適切な
溶媒(例えばリン酸緩衝液や細胞培養用の培地)中で混
合し適切な温度(例えば20℃)で適切な時間(例えば
30分間)処理することにより調製できる。
【0014】また本発明の複合体は不溶性の微細複合体
のみが細胞を形質転換する能力を有し、また形質転換は
一般に生理的溶液あるいは生理的条件下で行われるとい
う理由から生理的溶液に不溶性であることが好ましい。
ここでいう生理的溶液とは、生理的食塩水、等張リン酸
緩衝液、血清蛋白を含む等張リン酸緩衝液、動物細胞の
培養用培地等が挙げられる。
【0015】また本発明の複合体の遺伝子類のヌクレオ
チド:カチオニックポリペプチドのアルギニン残基のモ
ル比は1:1〜1:5.3であるのが好ましい。この範
囲を外れると、遺伝子類とカチオニックポリペプチドの
形成が不完全であったり、細胞の形質転換効率が低下す
るという不都合が起こる可能性があるからである。本発
明の複合体は遺伝子治療、遺伝子免疫療法あるいは遺伝
子ワクチン等に使用され、遺伝性疾患、感染症、癌、そ
の他の疾病の治療や予防に使用され得る。
【0016】本発明の複合体には遺伝子類と高アルギニ
ン含有カチオニックポリペプチド以外の物質を含んでい
てもよい。複合体の細胞への取り込みと遺伝子の機能の
発現には、一般に複合体の細胞あるいは細胞表面上のレ
セプターへの結合、エンドサイトーシス、細胞質から核
への移行、遺伝子機能の発現など多くの段階を含む。従
って本発明の複合体にはこれらの段階を促進する第3の
物質を含んでいてもよい。それらの物質としてはペプチ
ダーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、細胞
のレセプターに対するリガンド、細胞とアフィニティー
を有する物質、核移行物質などが用いられる。
【0017】本発明の複合体を用いた細胞の形質転換方
法は以下の通りである。即ち、適切な培養液で培養した
動物培養細胞の培地を遺伝子類と高アルギニン含有カチ
オニックポリペプチドを含有する複合体を含む生理的溶
液に置換し、適切な温度で適切な時間、適切な条件下で
処理することによって行われる。例えば、細胞の培地を
遺伝子と高アルギニン含有カチオニックポリペプチドと
の複合体を含む生理的溶液に置換し、37℃、5%CO
2中でインキュベートすることによって行われる。
【0018】本発明の複合体による細胞の形質転換効率
はレポーター遺伝子の発現効率を測定することにより定
量化が可能である。レポーター遺伝子としてはβ−ガラ
クトシダーゼを含むプラスミドpLZRN(リー,X.(L
i,X.)ら、ビロロジー(Virology)、171巻、331ペ
ージ、1989年)等が用いられる。形質転換を行う標
的細胞はどのような細胞でもよい。例えば、株化細胞、
生体より分離した細胞、臓器或いは培養細胞などがあげ
られる。
【0019】また、本発明の複合体は直接生体に接種さ
れ、取り込んだ細胞の機能を修飾するために用いられ
る。
【0020】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、これらの実施例は本発明を制限するものではな
い。 (実施例1) DNAとポリーアルギニン複合体作製と
同複合体形成の確認方法 DNAとポリーアルギニンの複合体は、β−ガラクトシ
ダーゼ(β−galactosidase)をレポータ
ー遺伝子(reporter gene)として持つプ
ラスミッドpLZRNのDNA 30μM(リン酸とし
て)とポリアルギニン(平均分子量139,200、シ
グマ社製) 0〜100μM(アルギニン残基として)
をリン酸緩衝液(PBS(−))中で混合し20℃で3
0分間処理することにより調製した。同複合体形成の確
認は蛍光顕微鏡観察にて行った。
【0021】すなわち、同複合体に蛍光色素(4’,6
−diamidino−2−phenylindol
e:DAPI;和光純薬株式会社製;30μM)と抗酸
化剤(2ーmercaptoethanol;2−M
E;和光純薬株式会社製;4%(v/v))を添加し
た。この条件下ではDAPIが20塩基に1分子結合す
る。複合体の大きさは、蛍光顕微鏡下でランダムに選択
した50乃至100視野で測定した最大複合体の長径の
平均値とした。
【0022】実施例1に記載した方法により、DNAと
ポリアルギニン複合体を形成した。結果を図1に示す。
図1の縦軸はDNAとポリアルギニン複合体の長径の平
均を示し、横軸はDNA30μM(リン酸として)に対
するにポリアルギニンの濃度(アルギニン残基として)
を示す。図1よりDNAとポリアルギニンは、モル濃度
比1:1.3以上(濃度30μM:40μM以上)で一
定の長さの複合体を形成していることがわかる。 (実施例2) DNAとポリアルギニン複合体の細胞内
での発現試験方法 ラット繊維芽細胞由来の接着細胞株208F(ビロロジ
ー(Virology)、98巻461〜465ページ、1979
年)を10%ウシ胎児血清(FBS)を含むイスコフ修
飾ダルベッコ培地(Iscove’s modifie
d Dulbecco’s medium,IMDM:
Difco社製)を用い37℃、5%CO2中で培養し
た。細胞数が24穴の培養容器1穴あたり5×104
になったものを使用した。導入する遺伝子はプラスミド
pLBZ(β−ガラクトシダーゼをレポーター遺伝子と
して有する)のDNAを用い、導入量を発現したβ−ガ
ラクトシダーゼ活性として測定した。pLBZのDNA
(2μg)とIMDMで段階希釈したポリアルギニン
10〜160μM(アルギニン残基として)を混合し
(最終液量200μl)、DNA−ポリアルギニン複合
体を調製した。トランスフェクションはラット繊維芽細
胞由来の接着細胞株208FをPBS中でDNA−ポリ
アルギニン複合体と混合し、37℃で2時間処理するこ
とにより行った。細胞を100μM クロロキン,10
% FBSを含むIMDM中に3時間移した後、IMD
Mで洗浄置換した。β−ガラクトシダーゼ遺伝子の発現
はβ−ガラクトシダーゼ・エンザイム・アッセイ・シス
テム(Promega社製)を用い、37℃、5%CO
2中で24時間インキュベーションすることにより測定
した。
【0023】なお、陽性対照として10μlのリポフェ
クチン(GIBCO BRL社)をポリアルギニンの代
わりに用いた。図2にDNAとポリアルギニン複合体の
細胞内での発現の結果を示す。図2に於ける縦軸は導入
したDNAの相対的発現率を示し、横軸はDNA30μ
M(リン酸として)に対するポリアルギニンの濃度(ア
ルギニン残基として)を示す。
【0024】図2より最大の遺伝子発現量を観察したモ
ル濃度比は1:2.7(ポリアルギニン濃度は80μ
M)で、陽性対照のリポフェクチンの約5倍の導入,発
現を示した。さらにポリアルギニン濃度を増加すると遺
伝子の発現量がしだいに減少する。この減少は遺伝子の
導入効率が低下したためではなく、多量の遺伝子が導入
されたため、導入された細胞(ラット繊維芽細胞由来の
接着細胞株208F)に対して細胞毒性的に作用したた
めである。 (実施例3) DNAとプロタミン複合体細胞内での発
現試験方法 実施例2と同様にpLBZのDNA(2μg)とIMD
M培地で段階希釈した鮭精子プロタミン(清水製薬株式
会社製)10〜160μM(アルギニン残基として)を
混合し(最終液量200μl)、DNA−プロタミン複
合体を調製した。トランスフェクションはラット繊維芽
細胞由来の接着細胞株208FをPBS中でDNA−プ
ロタミン複合体と混合し、37℃で2時間処理すること
により行った。細胞を100μMクロロキン,10%F
BSを含むIMDM中に3時間移した後、IMDMで洗
浄置換した。β−ガラクトシダーゼ遺伝子の発現はβ−
ガラクトシダーゼ・エンザイム・アッセイ・システム
(Promega社製)を用い、37℃、5%CO2
で24時間インキュベーションすることにより測定し
た。
【0025】なお、陽性対照として10μlのリポフェ
クチン(GIBCO BRL社)をプロタミンの代わり
に用いた。β−ガラクトシダーゼの発現試験は実施例2
と同一とした。DNAとプロタミン複合体の細胞内での
発現を、実施例2と同様に調べた結果、相対的β−ガラ
クトシダーゼ活性は2.4であった。
【0026】本発明に関する実施例1〜3の結果を表1
に示す。
【0027】
【表1】
【0028】(実施例4) 安定形質転換株の確認 DNA−ポリアルギニン複合体によるβ−ガラクトシダ
ーゼ遺伝子の安定形質転換株は、次のように確認した。
すなわち、pLBZのDNA2μgとIMDMで希釈し
たポリアルギニン 80μM(アルギニン残基として)
を混合し(最終液量200μl)、DNA−ポリアルギ
ニン複合体を調製した。トランスフェクションはラット
繊維芽細胞由来の接着細胞株208FをPBS中でDN
A−ポリアルギニン複合体と混合し、37℃で2時間処
理することにより行った。細胞を100μMクロロキ
ン,10%FBSを含むIMDM中に3時間移した後、
IMDMで洗浄置換した。更に、10%FBSを含むI
MDM培地に移し、37℃、5%CO2中で14日間培
養した。更にG418(400μg/ml:和光純薬工
業株式会社製)を含む選択培地で14日間培養しG41
8に耐性な細胞を選択した。選択された細胞のβ−ガラ
クトシダーゼの発現試験は実施例2と同一とした。
【0029】形質転換後、実施例4によって選択された
DNA−ポリアルギニン複合体によるβ−ガラクトシダ
ーゼ遺伝子の安定形質転換株は、一過性発現に比較して
高いβ−ガラクトシダーゼ活性を有していた。
【0030】
【発明の効果】カチオニックなポリアルギニンは遺伝子
類と再現性良く不溶性複合体を形成する。この複合体
は、生理的溶液中で安定であり、生体内(in vivo)およ
び生体外(in vitro)の標的細胞に効率的に導入、発現さ
せることができ、遺伝子治療、遺伝子ワクチン或いは有
用物質の産生細胞の育種等に利用可能である。またウイ
ルスをベクターとする場合より抗原性が無い、または低
下させているため安全且つ再現性良く使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DNAとポリアルギニン複合体の形成を示す図
である。
【図2】DNAとポリアルギニン複合体の細胞内での発
現を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07H 21/04 A61K 37/02 C12N 15/00 A

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物培養細胞または動物体を構成する細
    胞に遺伝子類を導入する方法に用いる複合体であって、
    遺伝子類と高アルギニン含有カチオニックポリペプチド
    を含有する複合体。
  2. 【請求項2】 カチオニックポリペプチドの44〜10
    0%がアルギニン残基である請求項1記載の複合体。
  3. 【請求項3】 カチオニックポリペプチドの分子量が
    4,000〜200,000である請求項1、2記載の
    複合体。
  4. 【請求項4】 カチオニックポリペプチドが動物または
    ヒトのプロタミンである請求項1記載の複合体。
  5. 【請求項5】 複合体が生理的溶液に不溶性である請求
    項1、2、3、4記載の複合体。
  6. 【請求項6】 複合体の遺伝子類のヌクレオチド:カチ
    オニックポリペプチドのアルギニン残基のモル比が1:
    1〜1:5.3である請求項5記載の複合体。
  7. 【請求項7】 動物培養細胞または動物体を構成する細
    胞に遺伝子類を導入するにおいて、遺伝子類と高アルギ
    ニン含有カチオニックポリペプチドを含有する複合体を
    用いて細胞を形質転換することにより細胞に遺伝子類を
    導入する方法。
  8. 【請求項8】 カチオニックポリペプチドの44〜10
    0%がアルギニンである請求項7記載の細胞に遺伝子類
    を導入する方法。
  9. 【請求項9】 カチオニックポリペプチドの分子量が
    4,000〜200,000である請求項7、8記載の
    細胞に遺伝子類を導入する方法。
  10. 【請求項10】 カチオニックポリペプチドが動物また
    はヒトのプロタミンである請求項7記載の細胞に遺伝子
    類を導入する方法。
  11. 【請求項11】 複合体が生理的溶液に不溶性である請
    求項7、8、9、10記載の細胞に遺伝子類を導入する
    方法。
  12. 【請求項12】 複合体の遺伝子類のヌクレオチド:カ
    チオニックポリペプチドのアルギニン残基のモル比が
    1:1〜1:5.3である請求項11記載の細胞に遺伝
    子類を導入する方法。
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