JPH10194896A - n型シリコンカーバイト半導体 - Google Patents
n型シリコンカーバイト半導体Info
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- JPH10194896A JPH10194896A JP34904996A JP34904996A JPH10194896A JP H10194896 A JPH10194896 A JP H10194896A JP 34904996 A JP34904996 A JP 34904996A JP 34904996 A JP34904996 A JP 34904996A JP H10194896 A JPH10194896 A JP H10194896A
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- atom
- atoms
- ionization potential
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】シリコンカーバイト半導体中に、Se,
S,Br,Iなどの炭素原子より電気陰性度が大きく、
且つイオン化ポテンシャルがSi原子とC原子の単結合
のそれ(12.296eV)以下で、5価以上の原子をドナー原子
として添加したn型シリコンカーバイト半導体。 【効果】本願発明者らの得た理論的な考察に基づいて従
来では考えられなかった原子をドナーとして良好なn型
シリコンカーバイト半導体を得ることができた。
S,Br,Iなどの炭素原子より電気陰性度が大きく、
且つイオン化ポテンシャルがSi原子とC原子の単結合
のそれ(12.296eV)以下で、5価以上の原子をドナー原子
として添加したn型シリコンカーバイト半導体。 【効果】本願発明者らの得た理論的な考察に基づいて従
来では考えられなかった原子をドナーとして良好なn型
シリコンカーバイト半導体を得ることができた。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、n型シリコンカーバ
イト半導体に関するものである。
イト半導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、n型シリコンカーバイト半導体と
しては、シリコンカーバイト半導体に窒素(N)原子を
ドナー原子として添加したものが知られている(W.J.Cho
yke and L.Patrick,in Silicon Carbide-1973.edited b
y R.C.Marshall,J.W.Faust,andC.E.Ryan(University of
South Carolina,Colombia,South Carolina,1974),p.26
1など) 。
しては、シリコンカーバイト半導体に窒素(N)原子を
ドナー原子として添加したものが知られている(W.J.Cho
yke and L.Patrick,in Silicon Carbide-1973.edited b
y R.C.Marshall,J.W.Faust,andC.E.Ryan(University of
South Carolina,Colombia,South Carolina,1974),p.26
1など) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この窒素原子
は多量に添加しなければ、n型シリコンカーバイト半導
体とすることができず、適当なドナー原子とは言い難い
が、他に適当なドナー原子が見付かっておらず、このた
めn型シリコンカーバイト半導体の開発は進行していな
い。
は多量に添加しなければ、n型シリコンカーバイト半導
体とすることができず、適当なドナー原子とは言い難い
が、他に適当なドナー原子が見付かっておらず、このた
めn型シリコンカーバイト半導体の開発は進行していな
い。
【0004】従来より行われているドナー原子乃至アク
セプター原子を見出すために使用された理論をシリコン
半導体について説明すると、n型シリコン半導体は、シ
リコンの単結晶に5価のリン(P)や砒素(As)原子
を微量の不純物として添加することによって得られるこ
とが知られている。
セプター原子を見出すために使用された理論をシリコン
半導体について説明すると、n型シリコン半導体は、シ
リコンの単結晶に5価のリン(P)や砒素(As)原子
を微量の不純物として添加することによって得られるこ
とが知られている。
【0005】これは図1(b)の概念図に示すように、
4価のシリコン結晶のダイヤモンド構造のシリコン原子
の一部が5価のリン(P)や砒素(As)原子に置換さ
れ、5価の原子の最外殻の4個の電子と共有結合してダ
イヤモンド構造を保ち、残りの1個の電子がシリコンの
結晶に電子を供給し、この不純物原子自身は正に帯電
し、n型半導体になると理解されている。
4価のシリコン結晶のダイヤモンド構造のシリコン原子
の一部が5価のリン(P)や砒素(As)原子に置換さ
れ、5価の原子の最外殻の4個の電子と共有結合してダ
イヤモンド構造を保ち、残りの1個の電子がシリコンの
結晶に電子を供給し、この不純物原子自身は正に帯電
し、n型半導体になると理解されている。
【0006】この電子を供給する正に帯電した不純物原
子はドナー原子と呼ばれるが、このシリコン単結晶に供
給された電子はほんの僅かなエネルギー(室温程度のkT
で十分)でシリコン原子からの束縛から解放され、隣の
シリコン原子へ移動可能になり、所謂伝導電子となる。
子はドナー原子と呼ばれるが、このシリコン単結晶に供
給された電子はほんの僅かなエネルギー(室温程度のkT
で十分)でシリコン原子からの束縛から解放され、隣の
シリコン原子へ移動可能になり、所謂伝導電子となる。
【0007】また、シリコンの単結晶に3価のホウ素
(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)原子
を微量の不純物として添加することによってp型シリコ
ン半導体が得られることが知られている。
(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)原子
を微量の不純物として添加することによってp型シリコ
ン半導体が得られることが知られている。
【0008】この場合は図1(c)の概念図に示すよう
に、4価のシリコン結晶のダイヤモンド構造のシリコン
原子が一部3価の原子に置換され、3価の原子は隣接す
る4価のシリコン原子の最外殻の4個の電子と共有結合
し、共有結合電子が1個不足した状態になるが、シリコ
ンの単結晶から電子を1個受け取りダイヤモンド構造を
保ち、電子を1個受け取った分だけこの不純物原子自身
は負に帯電し、p型半導体になると理解されている。
に、4価のシリコン結晶のダイヤモンド構造のシリコン
原子が一部3価の原子に置換され、3価の原子は隣接す
る4価のシリコン原子の最外殻の4個の電子と共有結合
し、共有結合電子が1個不足した状態になるが、シリコ
ンの単結晶から電子を1個受け取りダイヤモンド構造を
保ち、電子を1個受け取った分だけこの不純物原子自身
は負に帯電し、p型半導体になると理解されている。
【0009】この電子を受け取る不純物原子をアクセプ
ター原子と呼んでいるが、電子を供給したシリコン単結
晶には電子の抜けた穴(hole) ができ、この場合ほんの
僅かなエネルギー(室温程度のkTで十分)で隣のシリコ
ン原子の束縛から解放された電子がこの穴(hole)に供給
され、穴(hole)は隣の原子へ移動可能となると理解され
る。
ター原子と呼んでいるが、電子を供給したシリコン単結
晶には電子の抜けた穴(hole) ができ、この場合ほんの
僅かなエネルギー(室温程度のkTで十分)で隣のシリコ
ン原子の束縛から解放された電子がこの穴(hole)に供給
され、穴(hole)は隣の原子へ移動可能となると理解され
る。
【0010】このような従来の理論に基づいた考察では
てシリコンの単結晶に4価の炭素(C)原子が微量の不
純物として添加された場合、SiCの結合(single bon
d) は4価同士のSi原子とC原子からなる共有結合
で、両原子とも中性であると考えられていた。
てシリコンの単結晶に4価の炭素(C)原子が微量の不
純物として添加された場合、SiCの結合(single bon
d) は4価同士のSi原子とC原子からなる共有結合
で、両原子とも中性であると考えられていた。
【0011】一方、シリコン単結晶に4価の炭素(C)
原子が微量の不純物として添加された場合について、本
願発明者らはシリコンと炭素の結合の特性をab-initio
MO(Molecular Obital/分子軌道法/RHF631G) を用いて計
算した。
原子が微量の不純物として添加された場合について、本
願発明者らはシリコンと炭素の結合の特性をab-initio
MO(Molecular Obital/分子軌道法/RHF631G) を用いて計
算した。
【0012】計算に用いたモデルのメチルシラン(A1
/CH3SiH3 )及び比較のためにSi原子同士の結合(sin
gle bond) のモデルとしてジシラン(B1/Si2H6)とC
原子同士の結合(single bond) のモデルとしてエタン
(C1/C2H6) も併せて図2に示し、更に計算結果の概
要を下記表1及び図3に示す。
/CH3SiH3 )及び比較のためにSi原子同士の結合(sin
gle bond) のモデルとしてジシラン(B1/Si2H6)とC
原子同士の結合(single bond) のモデルとしてエタン
(C1/C2H6) も併せて図2に示し、更に計算結果の概
要を下記表1及び図3に示す。
【0013】
【表1】
【0014】以上の計算結果によれば、Si原子もC原
子も中性でなく、Si原子は正(0.2382/net atomic cha
rge)に、C原子は負(-0.2382/net atomic charge) に帯
電する結果が得られた。
子も中性でなく、Si原子は正(0.2382/net atomic cha
rge)に、C原子は負(-0.2382/net atomic charge) に帯
電する結果が得られた。
【0015】この結果からすると、Si原子は正に帯電
しているので、ドナーと考えられるが、本願発明者らの
先のab-initio MOの計算結果は、SiCの結合(single
bond) のイオン化ポテンシャル(12.2396ev/ 表1のモデ
ルA1)はSi原子同士の結合(single bond) のイオン
化ポテンシャル(11.0214ev/ 表1のモデルB1)とC原
子同士の結合(single bond) のそれ(13.9334ev/ 表1の
モデルC1)との中間の値を示している。
しているので、ドナーと考えられるが、本願発明者らの
先のab-initio MOの計算結果は、SiCの結合(single
bond) のイオン化ポテンシャル(12.2396ev/ 表1のモデ
ルA1)はSi原子同士の結合(single bond) のイオン
化ポテンシャル(11.0214ev/ 表1のモデルB1)とC原
子同士の結合(single bond) のそれ(13.9334ev/ 表1の
モデルC1)との中間の値を示している。
【0016】これは、Si原子とC原子の最外殻の軌道
がオーバーラップし、電子親和力の違いにより、Si原
子の最外殻軌道の価電子がオーバーラップしたC原子の
最外殻軌道に少し偏って存在していることを示してい
る。
がオーバーラップし、電子親和力の違いにより、Si原
子の最外殻軌道の価電子がオーバーラップしたC原子の
最外殻軌道に少し偏って存在していることを示してい
る。
【0017】即ち、Si原子もC原子も内殻はシールド
されているので無視すると、どちらも+4の電荷を中心
に最外殻に4個の電子を持つ構造と考えられ、中心の電
荷はどちらも同じ+4であるが、Si原子とC原子の最
外殻軌道半径はSi原子は3pでC原子は2pであり、C原
子の最外殻軌道半径の方がかなり小さいため、図4の概
念図に示すように、オーバーラップした価電子はC原子
の方に引かれて偏っており、このため上述のようにSi
原子は正に、C原子は負に荷電する結果が得られるので
ある。
されているので無視すると、どちらも+4の電荷を中心
に最外殻に4個の電子を持つ構造と考えられ、中心の電
荷はどちらも同じ+4であるが、Si原子とC原子の最
外殻軌道半径はSi原子は3pでC原子は2pであり、C原
子の最外殻軌道半径の方がかなり小さいため、図4の概
念図に示すように、オーバーラップした価電子はC原子
の方に引かれて偏っており、このため上述のようにSi
原子は正に、C原子は負に荷電する結果が得られるので
ある。
【0018】したがって、この電子過剰になったC原子
の電子構造を考察するならば、最外殻電子が4個の炭素
原子単独の場合に比べてSi原子と結合した場合のC原
子のイオン化ポテンシャルは電子過剰になった分だけ炭
素原子のイオン化ポテンシャル Vipよりも小さな値にな
っていて、電子を出し易くなると考えられる(図3参
照)。
の電子構造を考察するならば、最外殻電子が4個の炭素
原子単独の場合に比べてSi原子と結合した場合のC原
子のイオン化ポテンシャルは電子過剰になった分だけ炭
素原子のイオン化ポテンシャル Vipよりも小さな値にな
っていて、電子を出し易くなると考えられる(図3参
照)。
【0019】また、C原子と結合している電子不足にな
ったSi原子について見れば、最外殻電子が4個のシリ
コン原子単独の場合に比較し,Si原子の第1イオン化
ポテンシャルは電子不足になった分だけシリコン原子の
イオン化ポテンシャル Vipよりも第2イオン化ポテンシ
ャルに近い大きな値になっていて、電子を出し難いと考
えられる。
ったSi原子について見れば、最外殻電子が4個のシリ
コン原子単独の場合に比較し,Si原子の第1イオン化
ポテンシャルは電子不足になった分だけシリコン原子の
イオン化ポテンシャル Vipよりも第2イオン化ポテンシ
ャルに近い大きな値になっていて、電子を出し難いと考
えられる。
【0020】このことを考え併せると、この電子過剰に
なったC原子がドナー原子であり、このC原子の最外殻
電子が伝導帯にドナー(donate)されることを示している
と考えられる(図3参照)。
なったC原子がドナー原子であり、このC原子の最外殻
電子が伝導帯にドナー(donate)されることを示している
と考えられる(図3参照)。
【0021】Si原子については、電子不足になり、ア
クセプター原子になっていることを示していると考えら
れる。
クセプター原子になっていることを示していると考えら
れる。
【0022】このことは、表1のMOの計算結果を見る
と、HOMO( 最大被占軌道/Highest Occupied Molecular
Orbital)はσ軌道(single bond) で、Max.of W.F.C.(wa
ve function coefficient の最大値) はC原子の最外殻
占有軌道(2pz) にあり、またLUMO( 最低非被占軌道/Low
est Unoccupied Molecular Orbital) もσ軌道で、波動
関数の係数の最大値(Max.of W.F.C./wave function co
efficient の最大値)はSi原子の最外殻非占軌道にあ
ることを示していることから明らかである。
と、HOMO( 最大被占軌道/Highest Occupied Molecular
Orbital)はσ軌道(single bond) で、Max.of W.F.C.(wa
ve function coefficient の最大値) はC原子の最外殻
占有軌道(2pz) にあり、またLUMO( 最低非被占軌道/Low
est Unoccupied Molecular Orbital) もσ軌道で、波動
関数の係数の最大値(Max.of W.F.C./wave function co
efficient の最大値)はSi原子の最外殻非占軌道にあ
ることを示していることから明らかである。
【0023】更に、SiCの2重結合(double bond/ 表
1のモデルA2)及び共役(conjugated double bond/表
1のモデルA3)の計算結果もやはり表1に示すよう
に、HOMO( π軌道)の波動関数の係数の最大値(Max.of
W.F.C./wave function coefficient の最大値) はC原
子の最外殻占有軌道にあり、またLUMO( π軌道) の波動
関数の係数の最大値(Max.of W.F.C./wave function coe
fficientの最大値) はSi原子の最外殻非占軌道にある
ことを示している。
1のモデルA2)及び共役(conjugated double bond/表
1のモデルA3)の計算結果もやはり表1に示すよう
に、HOMO( π軌道)の波動関数の係数の最大値(Max.of
W.F.C./wave function coefficient の最大値) はC原
子の最外殻占有軌道にあり、またLUMO( π軌道) の波動
関数の係数の最大値(Max.of W.F.C./wave function coe
fficientの最大値) はSi原子の最外殻非占軌道にある
ことを示している。
【0024】以上のSi原子とC原子間の結合(bond)の
特性の計算結果から考察して次のような結論を導き出せ
る。(1) 上述の従来の理論ではSiC半導体結晶中のS
i原子、C原子何れも中性と考えられていたが、シリコ
ン単結晶中の炭素はドナー原子であり、SiC半導体結
晶中においてもC原子はドナー原子であり、Si原子は
アクセプター原子である。即ち、Si原子は正に、C原
子は負に荷電し、Si原子が電子不足になり、アクセプ
ター原子になっている。
特性の計算結果から考察して次のような結論を導き出せ
る。(1) 上述の従来の理論ではSiC半導体結晶中のS
i原子、C原子何れも中性と考えられていたが、シリコ
ン単結晶中の炭素はドナー原子であり、SiC半導体結
晶中においてもC原子はドナー原子であり、Si原子は
アクセプター原子である。即ち、Si原子は正に、C原
子は負に荷電し、Si原子が電子不足になり、アクセプ
ター原子になっている。
【0025】したがって、計算結果からSiCは両性の
真性半導体と考えられるが、Siのアクセプターレベル
が浅いことから考えると、SiC半導体はp型半導体の
特性をより鮮明に示し、補償度が大きいであろうことが
推定されるが、事実そのような特性を示している。
真性半導体と考えられるが、Siのアクセプターレベル
が浅いことから考えると、SiC半導体はp型半導体の
特性をより鮮明に示し、補償度が大きいであろうことが
推定されるが、事実そのような特性を示している。
【0026】(2) また、本願発明者らの行ったab-initi
o MOの計算結果は、C原子は負に荷電するが、electron
donorableな原子であることを示している。この計算結
果は、C原子とSi原子の電気陰性度乃至電子親和力の
違いから考えると、図3から明らかなように至極当然の
結果である。
o MOの計算結果は、C原子は負に荷電するが、electron
donorableな原子であることを示している。この計算結
果は、C原子とSi原子の電気陰性度乃至電子親和力の
違いから考えると、図3から明らかなように至極当然の
結果である。
【0027】一方、窒素をドープしたβ−SiCの窒素
ドナーの活性化エネルギーは34-38meVであるのに対して
non-doped のn型β−SiCのunknown donor の活性化
エネルギーは18-25meVであるとの実験結果が報告されて
いる。
ドナーの活性化エネルギーは34-38meVであるのに対して
non-doped のn型β−SiCのunknown donor の活性化
エネルギーは18-25meVであるとの実験結果が報告されて
いる。
【0028】これによれば、SiCの活性化エネルギー
の実験値は窒素原子をドナーと考えた値の半分程度であ
るが、これらの実験結果は本願発明者らの計算結果が示
すようにC原子がドナーであると考えると説明すること
ができる。
の実験値は窒素原子をドナーと考えた値の半分程度であ
るが、これらの実験結果は本願発明者らの計算結果が示
すようにC原子がドナーであると考えると説明すること
ができる。
【0029】即ち、Si原子のイオン化ポテンシャルが
8.151eV であるのに対して、C原子のイオン化ポテンシ
ャルは11.256eVであり、N原子のイオン化ポテンシャル
の14.53eV のそれよりもずっと浅いと考えられる。
8.151eV であるのに対して、C原子のイオン化ポテンシ
ャルは11.256eVであり、N原子のイオン化ポテンシャル
の14.53eV のそれよりもずっと浅いと考えられる。
【0030】活性化エネルギーはドナー原子のイオン化
ポテンシャルとSi原子のイオン化ポテンシャルとの差
に比例すると仮定すると、C原子はSi原子とのイオン
化ポテンシャルの差が約3.1eV で、N原子はSi原子と
のイオン化ポテンシャルの差が約6.4eV であり、SiC
の活性化エネルギーの実験値がN原子をドナーと考えた
値の半分程度であることは、C原子をドナーと考えると
理解でき、実験結果を良く説明されていると考えられ
る。
ポテンシャルとSi原子のイオン化ポテンシャルとの差
に比例すると仮定すると、C原子はSi原子とのイオン
化ポテンシャルの差が約3.1eV で、N原子はSi原子と
のイオン化ポテンシャルの差が約6.4eV であり、SiC
の活性化エネルギーの実験値がN原子をドナーと考えた
値の半分程度であることは、C原子をドナーと考えると
理解でき、実験結果を良く説明されていると考えられ
る。
【0031】なお、この実験結果はN原子がSiCのn
型のドナー原子として不適当であることも示している
が、本願発明者らが得た以上の理論的考察から、原子の
電気陰性度乃至電子親和力とイオン化ポテンシャルの関
係より適当なn型のドナー原子、p型のアクセプター原
子を選択することができる。
型のドナー原子として不適当であることも示している
が、本願発明者らが得た以上の理論的考察から、原子の
電気陰性度乃至電子親和力とイオン化ポテンシャルの関
係より適当なn型のドナー原子、p型のアクセプター原
子を選択することができる。
【0032】図5は、各種原子の電気陰性度とイオン化
ポテンシャルのプロット図を示すものであるが、例えば
Si原子に対して適当なp型のアクセプター原子は、電
気陰性度がSi原子のそれより小さく、且つイオン化ポ
テンシャルがSi原子のそれより小さな原子、即ち図中
Si原子の左上部に存在する原子であることを示してい
る。
ポテンシャルのプロット図を示すものであるが、例えば
Si原子に対して適当なp型のアクセプター原子は、電
気陰性度がSi原子のそれより小さく、且つイオン化ポ
テンシャルがSi原子のそれより小さな原子、即ち図中
Si原子の左上部に存在する原子であることを示してい
る。
【0033】また、Si原子に対して適当なn型のドナ
ー原子は、電気陰性度がSi原子のそれより大きく、且
つイオン化ポテンシャルがSi原子のそれよりも余り大
きくない原子、即ち図中Si原子の右部で余り下方でな
い部分に存在する原子がそれに該当する原子であること
を示している。
ー原子は、電気陰性度がSi原子のそれより大きく、且
つイオン化ポテンシャルがSi原子のそれよりも余り大
きくない原子、即ち図中Si原子の右部で余り下方でな
い部分に存在する原子がそれに該当する原子であること
を示している。
【0034】更に、本願発明者らが得た理論的考察から
SiC半導体においてSi原子はアクセプターであり、
C原子はドナーであるから、n型SiC半導体を作成す
るにはC原子に対してドナーとなり得る不純物原子を添
加すれば良いことになる。
SiC半導体においてSi原子はアクセプターであり、
C原子はドナーであるから、n型SiC半導体を作成す
るにはC原子に対してドナーとなり得る不純物原子を添
加すれば良いことになる。
【0035】即ち、n型SiC半導体を作成するに適当
なドナー原子は、電気陰性度がC原子のそれよりも大き
く、且つイオン化ポテンシャルがC原子のそれよりも余
り大きくない、具体的にはSiC半導体を構成するSi
原子とC原子の単結合のそれ以下、更に具体的には例え
ばメチルシラン(H3SiCH3)のそれ(12.296eV)以下の5価
以上の原子をドナー原子として添加すれば良いことにな
り、この条件に合致するドナー不純物の有力な候補は図
5においてSe,S,Br,Iであると結論できる。
なドナー原子は、電気陰性度がC原子のそれよりも大き
く、且つイオン化ポテンシャルがC原子のそれよりも余
り大きくない、具体的にはSiC半導体を構成するSi
原子とC原子の単結合のそれ以下、更に具体的には例え
ばメチルシラン(H3SiCH3)のそれ(12.296eV)以下の5価
以上の原子をドナー原子として添加すれば良いことにな
り、この条件に合致するドナー不純物の有力な候補は図
5においてSe,S,Br,Iであると結論できる。
【0036】
【課題を解決するための手段】この発明は、以上のよう
な本願発明者らが得た知見に基づいてシリコンカーバイ
ト半導体中に、電気陰性度がC原子のそれよりも大き
く、且つイオン化ポテンシャルがSi原子とC原子の単
結合のそれ以下で、5価以上の原子をドナー原子として
添加したn型シリコンカーバイト半導体を提案するもの
である。
な本願発明者らが得た知見に基づいてシリコンカーバイ
ト半導体中に、電気陰性度がC原子のそれよりも大き
く、且つイオン化ポテンシャルがSi原子とC原子の単
結合のそれ以下で、5価以上の原子をドナー原子として
添加したn型シリコンカーバイト半導体を提案するもの
である。
【0037】ここで、好ましいドナー原子としてはS
e,S,Br,Iを挙げることができる。
e,S,Br,Iを挙げることができる。
【0038】
【実施例】以下、この発明の実施例を示す。 実施例1 高純度(99.9999%)のテトラメチルシランガス(CH3)4Si
に、高純度(99.999%) のセレン化水素ガス(H2Se)を極少
量添加したソースガスを、高純度(99.99999%) の水素ガ
ス(H2)で希釈し、マイクロ波プラズマCVD反応炉内に
搬送し、900 ℃以上に予加熱したシリコン単結晶基板上
にシリコンカーバイド(SiC) 半導体膜を成膜させた。作
成した薄膜を4端子法及びHall測定により、抵抗率が約
1.0 ×10-1Ωcmの良好なn型シリコンカーバイド半導体
膜が作成されていることを確認できた。
に、高純度(99.999%) のセレン化水素ガス(H2Se)を極少
量添加したソースガスを、高純度(99.99999%) の水素ガ
ス(H2)で希釈し、マイクロ波プラズマCVD反応炉内に
搬送し、900 ℃以上に予加熱したシリコン単結晶基板上
にシリコンカーバイド(SiC) 半導体膜を成膜させた。作
成した薄膜を4端子法及びHall測定により、抵抗率が約
1.0 ×10-1Ωcmの良好なn型シリコンカーバイド半導体
膜が作成されていることを確認できた。
【0039】実施例2 微量のトリブロロシラン(SiHBr3)及びトリブロロエタン
(CH3CBr3) を希釈した高純度のメタンガス(CH4) に、高
純度のモノシラン(SiH4)ガスを混合したものをソースガ
スとして、マイクロ波プラズマCVD反応炉に搬送し、
予加熱したシリコン基板上にシリコンカーバイド(SiC)
半導体膜を成膜させた。作成した薄膜を4端子法及びHa
ll測定により、抵抗率が約1.5 ×10-3Ωcmの良好なn型
シリコンカーバイド半導体膜が作成されていることを確
認できた。
(CH3CBr3) を希釈した高純度のメタンガス(CH4) に、高
純度のモノシラン(SiH4)ガスを混合したものをソースガ
スとして、マイクロ波プラズマCVD反応炉に搬送し、
予加熱したシリコン基板上にシリコンカーバイド(SiC)
半導体膜を成膜させた。作成した薄膜を4端子法及びHa
ll測定により、抵抗率が約1.5 ×10-3Ωcmの良好なn型
シリコンカーバイド半導体膜が作成されていることを確
認できた。
【0040】
【発明の効果】以上要するに、この発明によれば本願発
明者らの得た理論的な考察に基づいて従来では考えられ
なかった原子をドナーとして良好なn型シリコンカーバ
イト半導体を得ることができた。
明者らの得た理論的な考察に基づいて従来では考えられ
なかった原子をドナーとして良好なn型シリコンカーバ
イト半導体を得ることができた。
【図1】 従来の理論に基づくn型或はp型シリコン半
導体の原理説明図で、(a)は不純物をドープしない状
態、(b)はP原子をドープしてn型にした状態、
(c)はAl原子をドープしてp型にした状態。
導体の原理説明図で、(a)は不純物をドープしない状
態、(b)はP原子をドープしてn型にした状態、
(c)はAl原子をドープしてp型にした状態。
【図2】 計算に用いたSiCの分子モデルを示す図
【図3】 HOMOとLUMOのエネルギーレベルを示
す図
す図
【図4】 Si−Cの結合における荷電子電荷の分布状
態を示す図
態を示す図
【図5】 各種原子の電気陰性度とイオン化ポテンシャ
ルをプロットした図
ルをプロットした図
Claims (2)
- 【請求項1】 シリコンカーバイト半導体中に、電気陰
性度がC原子のそれよりも大きく、且つイオン化ポテン
シャルがSi原子とC原子の単結合のそれ以下で、5価
以上の原子をドナー原子として添加したことを特徴とす
るn型シリコンカーバイト半導体。 - 【請求項2】 ドナー原子がSe,S,Br,Iから選
ばれる請求項1記載のn型シリコンカーバイト半導体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34904996A JP2958443B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | n型シリコンカーバイト半導体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34904996A JP2958443B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | n型シリコンカーバイト半導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10194896A true JPH10194896A (ja) | 1998-07-28 |
JP2958443B2 JP2958443B2 (ja) | 1999-10-06 |
Family
ID=18401151
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34904996A Expired - Lifetime JP2958443B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | n型シリコンカーバイト半導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2958443B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013150822A1 (ja) * | 2012-04-02 | 2013-10-10 | 住友電気工業株式会社 | 炭化珪素基板、半導体装置およびこれらの製造方法 |
US9105756B2 (en) | 2011-07-20 | 2015-08-11 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon carbide substrate, semiconductor device, and methods for manufacturing them |
JP2016155757A (ja) * | 2016-05-20 | 2016-09-01 | 住友電気工業株式会社 | 炭化珪素基板、半導体装置およびこれらの製造方法 |
-
1996
- 1996-12-26 JP JP34904996A patent/JP2958443B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9105756B2 (en) | 2011-07-20 | 2015-08-11 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon carbide substrate, semiconductor device, and methods for manufacturing them |
US9484416B2 (en) | 2011-07-20 | 2016-11-01 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon carbide substrate, semiconductor device and methods for manufacturing them |
US9728612B2 (en) | 2011-07-20 | 2017-08-08 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon carbide substrate, semiconductor device and methods for manufacturing them |
WO2013150822A1 (ja) * | 2012-04-02 | 2013-10-10 | 住友電気工業株式会社 | 炭化珪素基板、半導体装置およびこれらの製造方法 |
JP2013212951A (ja) * | 2012-04-02 | 2013-10-17 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 炭化珪素基板、半導体装置およびこれらの製造方法 |
US9184246B2 (en) | 2012-04-02 | 2015-11-10 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon carbide substrate, semiconductor device, and methods for manufacturing them |
US9437690B2 (en) | 2012-04-02 | 2016-09-06 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon carbide substrate, semiconductor device, and methods for manufacturing them |
US9722028B2 (en) | 2012-04-02 | 2017-08-01 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon carbide substrate, semiconductor device, and methods for manufacturing them |
JP2016155757A (ja) * | 2016-05-20 | 2016-09-01 | 住友電気工業株式会社 | 炭化珪素基板、半導体装置およびこれらの製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP2958443B2 (ja) | 1999-10-06 |
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