JPH10193067A - 鋼の連続鋳造法 - Google Patents

鋼の連続鋳造法

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JPH10193067A
JPH10193067A JP34940596A JP34940596A JPH10193067A JP H10193067 A JPH10193067 A JP H10193067A JP 34940596 A JP34940596 A JP 34940596A JP 34940596 A JP34940596 A JP 34940596A JP H10193067 A JPH10193067 A JP H10193067A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼の連続鋳造法において、最終凝固部近傍に
未凝固層の閉塞の発生を防止するとともに濃化溶鋼の流
動を抑制して鋳片の中心偏析を改善する。 【解決手段】 連続鋳造法によって鋳片を鋳造するに際
して、鋳型出口における鋳片形状を鋳片幅中央側の厚み
が鋳片短辺側に比較して拡大した形状とし、次いで、二
次冷却帯における凝固完了までの期間に厚み拡大部にロ
ール圧下を加える。その際、厚み拡大部の鋳片幅方向の
範囲、拡大量、及び、厚み拡大部の形状を限定すること
が望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳片の中心偏析を
低減する鋼の連続鋳造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造法において、鋳片は内部に
鋳造方向に伸長した未凝固相を有して多数のロール間を
引き抜かれるので、溶鋼静圧によるロール間における鋳
片の膨らみ(以下、「バルジング」と記す)や凝固収縮
のために溶鋼体積の変化が生じ、この溶鋼体積の変化分
を補うために溶質元素の濃化した濃化溶鋼が鋳片中心に
集積し、中心偏析が生成する。
【0003】そのために、中心偏析の低減を意図して、
低温鋳造や電磁攪拌による鋳造組織の改善等、数多くの
技術が提案実施されており、今日、これらの多くの技術
のなかから有効な手段として未凝固鋳片に軽圧下を施す
ことが実用化されている。
【0004】特公平3−6855号公報(以下、「先行
技術1」と記す)には、鋳片の中心が液相線温度となる
時点から流動限界固相率(固相率0.6ないし0.8)
となる時点までの領域で0.5mm/minないし2.
0mm/minの割合で未凝固鋳片を連続的に圧下する
ことが開示されている。先行技術1によれば、この圧下
により凝固収縮量を補償することができ、中心偏析のみ
ならずV偏析や逆V偏析の発生を防止することが可能と
している。
【0005】特公昭62−34461号公報(以下、
「先行技術2」と記す)には、鋳型と鋳片の液相線クレ
ータエンドとの間の凝固シェルを積極的にバルジングさ
せて鋳片中央側の未凝固層の厚さを増大させ、次いで液
相線クレータエンドと固相線クレータエンドとの間の鋳
片に圧下を加えることが開示されている。先行技術2に
よれば、中心偏析の発生原因とならない領域で鋳片を積
極的にバルジングさせ、未凝固層を厚くしてその後圧下
するので、未凝固層の閉塞を防止でき、中心偏析を大幅
に低減することが可能としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし先行技術1で
は、鋳片幅が1800mmを超える広幅の場合には、鋳
片幅方向の凝固の不均一性に起因して、未凝固層が鋳片
幅方向で閉塞されるため、鋳片の全幅に渡って中心偏析
を大きく改善することが不可能である。更に、凝固の完
了した鋳片両短辺側も圧下されるために、大きな圧下力
を必要とする。
【0007】又、先行技術2では、鋳片短辺側は圧下さ
れず、且つ鋳片幅中央側の未凝固層が厚いため、先行技
術1における上記の2つの問題点は解決されるが、積極
的にバルジングさせることによる鋳造の不安定性と、バ
ルジングに伴う鋳片内部割れの発生とが懸念されるた
め、大きなバルジングを生じさせること、即ち大きな圧
下量を確保することが困難であり、必ずしも中心偏析の
改善が十分でない。
【0008】本願発明は上記事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは鋳型出口での鋳片幅中央側
の未凝固層厚みを厚くすることで、最終凝固部近傍に未
凝固層の閉塞の発生を防止するとともに濃化溶鋼の流動
を可能な限り抑制し、鋳片の中心偏析を大幅に改善する
ことができる鋼の連続鋳造法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願請求項1に係る鋼の
連続鋳造法は、連続鋳造法によって鋳片を鋳造するに際
して、鋳型出口における鋳片形状を鋳片幅中央側の鋳片
厚みが鋳片短辺側に比較して拡大した形状とし、次い
で、二次冷却帯における凝固完了までの期間に鋳片厚み
の拡大部にロール圧下を加えることを特徴とするもので
ある。
【0010】本発明では、鋳片幅方向中央側の鋳片厚み
が厚くなる鋳型を用いて鋳型内凝固を進行させ、鋳型出
口での鋳片形状を鋳片中央側の鋳片厚みの厚い形状、即
ち、鋳片中央側の未凝固層の厚い形状としているので、
鋳型直下で更にバルジングさせる必要はなく、そのた
め、鋳型直下にてバルジングさせることによる鋳造の不
安定性と、バルジングに伴う鋳片内部割れの発生とを解
消することができる。又、鋳型の形状を変更するだけ
で、鋳片厚み拡大量を任意に且つ大きくすることができ
るため、最終凝固部近傍での未凝固層の閉塞の発生を防
止すると共に、鋳片の圧下を十分に行なうことが可能と
なり、中心偏析の改善効果が大きい。そして中心偏析を
防止するためには鋳片厚みの拡大部のみを圧下すればよ
く、従って溶鋼静圧よりわずかに大きい圧下力で圧下可
能となる。
【0011】本願請求項2に係る鋼の連続鋳造法は、請
求項1に記載の鋼の連続鋳造法において、鋳片幅をW、
鋳片短辺での鋳片厚みをDとしたときに、鋳片幅中央側
の少なくともW−2.4Dの範囲の鋳片厚みを拡大させ
ることを特徴とするものである。
【0012】連続鋳造法では次工程の要求により、種々
の鋳片幅を鋳造する必要がある。本発明では鋳片の幅中
央側の鋳片厚みが厚くなる鋳型を用いて鋳造するが、鋳
型幅全体に渡って鋳片厚みを拡大すると、鋳造する鋳片
幅の変更毎に鋳型を交換しなければならず、極めて非効
率である。そこで本発明では、鋳片短辺側に鋳片厚みの
平坦な範囲を設け、この平坦部で鋳片幅の変更を行な
い、同一鋳型で種々の幅の鋳片の鋳造を可能とすること
を検討した。しかしこの平坦部が広くなると未凝固層が
閉塞し、ロール圧下による中心偏析の改善効果が低下す
る。そこで鋳片厚みの拡大部の範囲を鋳片幅方向で種々
に変更して中心偏析改善効果と対比して調査した結果、
鋳片幅をW、鋳片短辺での鋳片厚みをDとしたときに、
鋳片厚みの拡大部が少なくともW−2.4Dの範囲確保
されれば、中心偏析の改善効果を損なわないことが判明
した。即ち、その外側の鋳片厚みは平坦としてもよいこ
とが分かった。鋳片厚みの拡大部の範囲がW−2.4D
未満となると、鋳片短辺側に未凝固層の閉塞が発生して
圧下効果が少なくなり、鋳片短辺側の中心偏析の改善が
十分にできず、望ましくない。
【0013】このように、鋳片短辺側の片側当たり、最
大で鋳片短辺での鋳片厚みの1.2倍分の長さを平坦部
とすることが可能となり、この平坦部で鋳片幅の変更を
行なうことができる。例えば短辺での鋳片厚みが230
mmの鋳片において、2150mm幅を最大幅とする鋳
型であれば、鋳片厚みの拡大部は幅中央側の1598m
mとなり、片側276mmの範囲が平坦部となり、従っ
て、この鋳型で2150mmから1600mmの幅の鋳
片まで鋳造することができる。
【0014】本願請求項3に係る鋼の連続鋳造法は、請
求項1又は請求項2に記載の鋼の連続鋳造法において、
鋳片幅をW、鋳片短辺での鋳片厚みをD、そしてメニス
カスから固相線クレータエンドまでの距離をLとしたと
きに、鋳型出口における鋳片幅中央位置の鋳片厚みの拡
大量dが(1)式を満足することを特徴とするものであ
る。 d>D(W−2.4D)/2L ……(1)
【0015】鋳片厚みの拡大量は、最終凝固位置近傍で
の濃化溶鋼の流動が可能な限り定常状態に近い状況を実
現させることを意図して、その値を決定する必要があ
る。
【0016】図5に示すように、鋳片幅をW、鋳片短辺
での鋳片厚みをD、鋳片幅方向の鋳片厚みの拡大部の範
囲をW−2.4D、鋳型出口における鋳片幅中央位置の
鋳片厚みの拡大量をdとすると、鋳片幅方向の未凝固層
角度φ(ラジアン)は(3)式で近似される。 φ≒2d/(W−2.4D) ……(3)
【0017】又、図6に示すように、鋳片短辺での鋳片
厚みをD、メニスカスから固相線クレータエンドまでの
距離をLとすると、鋳造方向の未凝固層角度θ(ラジア
ン)は(4)式で近似される。 θ≒D/L ……(4)
【0018】最終凝固位置近傍での鋳片幅方向の濃化溶
鋼の流動を定常状態に近い流れとするため、即ち、凝固
収縮等による溶鋼体積の変化が生じた場合にも、濃化溶
鋼は流動せずに、固相率が低く濃化されていない溶鋼が
流動して溶鋼体積の不足分を補充するためには、鋳片幅
方向の未凝固層角度φを鋳造方向の未凝固層角度θより
大きくすることが望ましい。鋳片幅方向の未凝固層角度
φを鋳造方向の未凝固層角度θより大きくする条件とし
て、(3)式及び(4)式から鋳型出口における鋳片幅
中央位置の鋳片厚みの拡大量dが(1)式として導かれ
る。
【0019】本願請求項4に係る鋼の連続鋳造法は、請
求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の鋼の連続鋳
造法において、鋳型出口における鋳片厚みの鋳片幅方向
の形状を(2)式に従い定めることを特徴とするもので
ある。 y=K〔(x/lo)2 −2(x/lo)3 +(x/lo)4 〕 ……(2)
【0020】但し、(2)式においてyは、鋳片厚みの
平坦な面を基準とした鋳片厚みの拡大方向への変位量
で、鋳片厚みの拡大量の1/2に等しく、xは、鋳片厚
みが拡大を開始した位置を起点とした鋳片幅方向への距
離、及び、loは、鋳片厚みの拡大部の鋳片幅方向の長さ
であり、又、Kは定数で、鋳型幅の1/2における鋳片
厚みの拡大量をdとしたとき、鋳型幅の1/2、即ちx
=lo/2における変位量yが、鋳片厚みの拡大量dの1
/2に等しいとしてKを決定する。
【0021】本発明では鋳片厚みが幅方向で一定でない
ために、鋳型直下において溶鋼静圧によるバルジングで
鋳片に局所的な変形を発生させる懸念がある。局所的な
変形を発生させると、鋳片に割れを生じ、ブレークアウ
ト等の操業異常が発生するので、鋳型出口での鋳片の形
状は、バルジングによる変形が発生しても局所的な変形
の発生しない形状とすることが望ましい。そこで、鋳型
直下においてバルジングしたときの形状を予め与えてお
くと、バルジングによる変形は鋳片幅方向で均等にな
り、局所的な変形を防止することができる。鋳片のバル
ジング形状と最も近い曲線は、両端固定の梁に均等荷重
が作用したときの梁の変形曲線であるので、両端固定の
梁に均等荷重が作用したときの梁の変形曲線、即ち、
(2)式を採用して鋳型出口での鋳片の形状と定めるこ
ととする。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明を適用した鋳片断面が矩形
型の連続鋳造機の鋳片幅中央位置の側断面の概要図を図
2に、又、鋳型の平断面の概要図を図3に示す。
【0023】図3に示すように本発明で用いる鋳型1
は、銅製で水冷構造の対向する一対の鋳型長辺15と、
鋳型長辺15に挟まれた銅製で水冷構造の対向する一対
の鋳型短辺16とから構成されている。そして、対向す
る鋳型長辺15間の間隔は、幅の中央側が鋳型短辺16
側に比較して広くなり、鋳片厚みの拡大部17を形成
し、その外側は対向する鋳型長辺15間の間隔は一定の
平坦部18、18aとなっている。鋳型短辺16は、こ
の平坦部18、18aでのみ鋳型長辺15内を摺動し、
鋳片幅(W)の変更が可能となっている。鋳片厚みは、
鋳型短辺16側の鋳片厚み(D)から徐々に拡大し、鋳
型長辺15の中央位置で最も拡大して鋳片厚み(D+
d)となり、鋳片厚みは鋳型長辺15の中心線で実質的
に左右対称の形状となっている。
【0024】そして図2に示すように、タンディッシュ
12内の溶鋼11は、タンディッシュ12の底部に設け
られ、先端がメニスカス14に浸漬する浸漬ノズル13
を介して鋳型1内に連続的に注入される。鋳型1内に注
入された溶鋼11は鋳型1に接触して冷却され外周に凝
固層7を形成し、次いで凝固層7は鋳型1下方の二次冷
却帯2に設けたサポートロール3、ガイドロール4、及
び圧下ロール5を通り、下方に連続的に引き抜かれる。
二次冷却帯2は水スプレー又はエアーミストスプレーに
よる冷却帯となっており、鋳型1より引き抜かれた凝固
層7の表面は冷却され、凝固相7の内部の未凝固層8の
厚みを減少させ、固相線クレータエンド10にて凝固を
完了して、鋳片6となる。尚、図2に示す破線は液相線
温度であり、液相線温度の先端位置、即ち液相線クレー
タエンド9より引き抜き方向下方で、鋳片厚み中心にお
いて固相が出現して、固液共存層となる。
【0025】この二次冷却帯2での引き抜き中の凝固完
了までの期間に、鋳片厚みの拡大部17に圧下ロール5
にてロール圧下を加える。その際に、鋳片中央側と鋳片
短辺側との鋳片厚みが実質的に同一になるまで圧下する
と、鋳片6の次工程へのハンドリングが容易になるので
望ましい。図4は、鋳片6の二次冷却帯2におけるロー
ル圧下による形状変化を模式的に示したもので、図4の
(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図2にお
けるI−I断面、II−II断面、III−III断面、及びIV−
IV断面に対応する。
【0026】ロール圧下は、鋳片幅中央位置における鋳
片厚み中心の固相率が0.01から0.75の範囲を、
0.5mm/minないし2.5mm/minの割合で
連続的に行なうことが望ましい。
【0027】鋳片幅中央位置における鋳片厚み中心の固
相率が0.01未満では溶鋼11が容易に流動して、中
心偏析が発生しないため圧下する効果なく、又、鋳片幅
中央位置における鋳片厚み中心の固相率が0.75を超
えると固液共存層中の未凝固層8の流動が不可能とな
り、ロール圧下しても未凝固層8が移動しないために、
圧下する効果がないためである。
【0028】ロール圧下の速度が、0.5mm/min
未満では圧下量が不足して中心偏析の改善効果が十分に
得られず、又、2.5mm/minを超えると、凝固層
7の変形が大きくなり内部割れが発生するためである。
【0029】図1は、上記の本発明を適用したときの、
鋳片厚みの拡大部17と鋳片短辺側の平坦部18、18
aとにおける鋳片厚みの推移の例をメニスカス14から
の距離に対して示したものである。鋳片厚みの拡大部1
7は固相率が0.01から0.75の範囲で連続的にロ
ール圧下され、固相率0.75の位置では鋳片6は幅全
体に渡り実質的に平坦な形状となる。尚、図1において
鋳片短辺側の鋳片厚みも連続的に減少しているが、これ
は凝固後の温度低下に伴う体積収縮により鋳片厚みが収
縮するためである。
【0030】鋳片厚みの拡大部17の幅方向長さ(lo)
は、鋳片幅をW、鋳片短辺での鋳片厚みをDとしたとき
に、鋳片幅中央側の少なくともW−2.4Dの範囲を確
保することが望ましい。従って鋳型1において、鋳造可
能な最大幅に対して、(最大幅−2.4×鋳片厚み)の
範囲を鋳片厚みの拡大部17とすれば、鋳型1にて鋳片
幅が最大幅から(最大幅−2.4×鋳片厚み)の幅まで
鋳造可能となる。鋳造する幅の格差が大きく、一つの鋳
型1では全ての鋳造幅に対応できない場合には、上記に
従って最大幅の異なる鋳型1を複数個準備すればよい。
【0031】鋳片6の幅中央位置における鋳片厚みの拡
大量(d)は、鋳片幅(W)、鋳片短辺での鋳片厚み
(D)、及び、メニスカス14から固相線クレータエン
ド10までの距離(L)から(1)式の右辺を算出し、
算出された値より大きな値とすることが望ましい。ここ
でメニスカス14から固相線クレータエンド10までの
距離(L)は、二次冷却帯2の冷却強度によりその都度
凝固係数を測定して算出すれば正確に求めることができ
るが、鋳造方向の未凝固層角度θは、二次冷却強度が高
い時の方が大きくて二次冷却強度の低い範囲をカバーす
るので、二次冷却強度が高い時の凝固係数(約30mm
/min1/2 )を用いればよい。
【0032】尚、鋳片厚みの拡大量(d)の上限は、そ
の後のロール圧下に伴う内部割れが発生しない範囲にお
いて、経済性を考慮した実用的な範囲で決定すればよ
い。
【0033】鋳型出口における鋳片厚みの鋳片幅方向の
形状は、(2)式に従い定めることが望ましい。この場
合、予め鋳片幅の中央位置における鋳片厚みの拡大量
(d)と、鋳片厚みの拡大部17の鋳造幅方向の長さ
(lo)とを決めておき、(2)式にy=d/2、x=lo
/2を代入して、定数Kを定め、その後、任意の位置
(x)における変位量(y)を算出すれば、鋳片幅方向
の形状が決定する。
【0034】尚、鋳型1を出た後、圧下を開始する前に
更にバルジングさせてから圧下してもよい。
【0035】
【実施例】図2に示す連続鋳造機と図3に示す鋳型とを
用いて本発明を実施した。対象鋼種はC:0.15wt
%、Si:0.2wt%、Mn:0.5wt%の40キ
ロ級Alキルド鋼で、鋳造速度が1.8m/min、タ
ンディッシュ内での溶鋼過熱度は25〜35℃であっ
た。
【0036】本発明で用いた鋳型は、短辺側の鋳片厚み
が230mmで、鋳造可能な最大幅は2150mmであ
る。そこで(5)式により鋳片厚みの拡大部の最小幅を
算出して、その結果から鋳型の幅中央位置を挟んで16
00mmの範囲を鋳片厚みの拡大部と定め、2150m
m幅と1600mm幅の鋳片を鋳造した。 2150−2.4×230=1598(mm) ……(5)
【0037】次に、メニスカスから固相線クレータエン
ドまでの距離(L)を、凝固係数=30mm/min
1/2 を用いて(6)式により算出し、算出した距離
(L)から(1)式の右辺を(7)式により算出して鋳
片厚みの拡大量(d)を20mmと決めた。 L=[(230/(2×30)]2×1800=26450(mm) ……(6) d>[230×(2150−2.4×230)]/(2×26450)=6.9(mm) ……(7)
【0038】そして(2)式において、lo=1600m
m、x=800mmにおける変位量(y)が10mmと
して定数K=160mmを求め、任意の位置(x)にお
ける変位量(y)を算出して鋳片厚みの形状を定め、そ
の形状に沿って鋳型長辺を加工した。
【0039】鋳片厚みの拡大部へのロール圧下は、幅中
央位置の鋳片厚み中心の固相率が0.05と推定される
場所から開始し、固相率が0.75と推定される場所ま
で行い、そしてこの間の圧下速度が1.8mm/min
の一定速度となるように、一定割合で圧下ロールのロー
ル間隔を減少させて設定し、この間で鋳片厚みは実質的
に平坦な形状となる。この時の圧下ロールの圧下荷重は
圧下ロール一対当たり62トン、97トン、及び123
トンの三水準で行い、圧下荷重の影響も調査した。尚、
設定値以上のロール反力が作用した場合は、その圧下ロ
ールはバランス位置まで後退する構造となっている。
【0040】鋳造された鋳片は1600mm幅及び21
50mm幅のいずれも、凝固完了近くまで鋳片幅方向に
液相が開放されるので、溶鋼の定常流れが確保されて濃
化溶鋼の集積が発生しないため、中心偏析及びセンター
ポロシティの発生程度が鋳片幅全体に渡って大幅に改善
された。尚、中心偏析とセンターポロシティの発生状況
に及ぼす圧下荷重の影響は、圧下ロール一対当たり62
トンで十分効果が認められており、123トンの場合に
は若干の鋳片厚みの減少が認められ、完全に鋳片が平坦
になった後も圧下されていたと推定される。このように
圧下ロール一対当たりの圧下荷重を最適値に制御するこ
とにより、所望する固相率範囲を的確に圧下することが
可能で、最終凝固直前の不要圧下を避けることができ
る。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、鋳造の不安定性やバル
ジングに伴う鋳片内部割れの発生を懸念することなく鋳
片中央側の鋳片厚みを拡大することが可能となり、その
ため、鋳片幅中央側の未凝固層厚みを厚くすることで、
最終凝固部近傍に未凝固層の閉塞の発生を防止するとと
もに定常的な溶鋼流動を発生させて濃化溶鋼の流動を可
能な限り抑制するので、鋳片の中心偏析を大幅に改善す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したときの鋳片幅中央側の鋳片厚
みの拡大部と鋳片短辺側の平坦部とにおける鋳片厚みの
推移の例を示した図である。
【図2】本発明を適用した鋳片断面が矩形型の連続鋳造
機の鋳片幅中央位置の側断面の概要図である。
【図3】本発明を適用した鋳型の平断面の概要図であ
る。
【図4】本発明を適用した際の、二次冷却帯におけるロ
ール圧下による鋳片の形状変化を模式的に示した図であ
り、(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ図2に
おけるI−I断面、II−II断面、III−III断面、及びIV
−IV断面に対応する。
【図5】鋳片幅方向の未凝固層角度φを模式的に示す図
である。
【図6】鋳造方向の未凝固層角度θを模式的に示す図で
ある。
【符号の説明】
1 鋳型 2 二次冷却帯 3 サポートロール 4 ガイドロール 5 圧下ロール 6 鋳片 7 凝固層 8 未凝固層 9 液相線クレータエンド 10 固相線クレータエンド 11 溶鋼

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造法によって鋳片を鋳造するに際
    して、鋳型出口における鋳片形状を鋳片幅中央側の鋳片
    厚みが鋳片短辺側に比較して拡大した形状とし、次い
    で、二次冷却帯における凝固完了までの期間に鋳片厚み
    の拡大部にロール圧下を加えることを特徴とする鋼の連
    続鋳造法。
  2. 【請求項2】 鋳片幅をW、鋳片短辺での鋳片厚みをD
    としたときに、鋳片幅中央側の少なくともW−2.4D
    の範囲の鋳片厚みを拡大させることを特徴とする請求項
    1に記載の鋼の連続鋳造法。
  3. 【請求項3】 鋳片幅をW、鋳片短辺での鋳片厚みを
    D、メニスカスから固相線クレータエンドまでの距離を
    Lとしたときに、鋳型出口における鋳片幅中央位置の鋳
    片厚みの拡大量dが(1)式を満足することを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載の鋼の連続鋳造法。 d>D(W−2.4D)/2L ……(1)
  4. 【請求項4】 鋳型出口における鋳片厚みの鋳片幅方向
    の形状を(2)式に従い定めることを特徴とする請求項
    1ないし請求項3の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造
    法。 y=K〔(x/lo)2 −2(x/lo)3 +(x/lo)4 〕 ……(2) 但し、(2)式においてyは、鋳片厚みの平坦な面を基
    準とした鋳片厚みの拡大方向への変位量で、鋳片厚みの
    拡大量の1/2に等しく、xは、鋳片厚みが拡大を開始
    した位置を起点とした鋳片幅方向への距離、及び、lo
    は、鋳片厚みの拡大部の鋳片幅方向の長さであり、又、
    Kは定数で、鋳型幅の1/2における鋳片厚みの拡大量
    をdとしたとき、鋳型幅の1/2、即ちx=lo/2にお
    ける変位量yが、鋳片厚みの拡大量dの1/2に等しい
    としてKを決定する。
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