JPH10192004A - 靴用接着シート及び、それを用いた靴の製造方法 - Google Patents
靴用接着シート及び、それを用いた靴の製造方法Info
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- JPH10192004A JPH10192004A JP8358395A JP35839596A JPH10192004A JP H10192004 A JPH10192004 A JP H10192004A JP 8358395 A JP8358395 A JP 8358395A JP 35839596 A JP35839596 A JP 35839596A JP H10192004 A JPH10192004 A JP H10192004A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 有機溶剤の使用を削減できるとともに、靴工
程上煩雑な作業であった接着剤やプライマーの塗布作業
を簡素化する。 【解決手段】 末端水酸基含有ポリエステル生成物1当
量に対し、ジイソシアネート化合物0.9〜1.1当量
を反応してなるポリエステルウレタン樹脂に、架橋剤と
して3官能以上のイソシアネート化合物を前記ポリエス
テルウレタン樹脂100重量部に対して0.5〜20重
量部を添加し、シート状に形成した靴用接着シートであ
り、セメント式製靴方法で製造する靴製造方法におい
て、プライマーを塗布した靴底又は靴甲被のいずれか一
方の接着面に、靴底の接着ゲージに合致するように裁断
した接着シートを載置する工程と、靴底の接着面及び靴
甲被の接着面とを加熱して前記靴用接着シートを熱活性
させる工程と、靴底の接着面と靴甲被の接着面とを当接
し圧着する工程とからなる靴製造方法。
程上煩雑な作業であった接着剤やプライマーの塗布作業
を簡素化する。 【解決手段】 末端水酸基含有ポリエステル生成物1当
量に対し、ジイソシアネート化合物0.9〜1.1当量
を反応してなるポリエステルウレタン樹脂に、架橋剤と
して3官能以上のイソシアネート化合物を前記ポリエス
テルウレタン樹脂100重量部に対して0.5〜20重
量部を添加し、シート状に形成した靴用接着シートであ
り、セメント式製靴方法で製造する靴製造方法におい
て、プライマーを塗布した靴底又は靴甲被のいずれか一
方の接着面に、靴底の接着ゲージに合致するように裁断
した接着シートを載置する工程と、靴底の接着面及び靴
甲被の接着面とを加熱して前記靴用接着シートを熱活性
させる工程と、靴底の接着面と靴甲被の接着面とを当接
し圧着する工程とからなる靴製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無溶剤型の靴用接着シー
ト及び該靴用接着シートを用いた靴製造方法に関するも
のであり、環境衛生面で各種有機溶剤の取扱が厳しく規
制されいる今日、有機溶剤を含まない本発明に係る靴用
接着シートは有機溶剤の使用量を削減するために有効で
ある。また、本発明に係る靴用接着シートは、プラスチ
ック、天然皮革、人工皮革等広範な被着体に対し非常に
優れた接着力を有するため、多様な素材を組み合わせて
用いる靴製造方法の靴底接着に特に有効である。更に、
本発明に係る靴製造方法は、製靴工程において比較的熟
練を要する接着剤の塗布作業を削減ができ、製造コスト
の削減のために有効である。
ト及び該靴用接着シートを用いた靴製造方法に関するも
のであり、環境衛生面で各種有機溶剤の取扱が厳しく規
制されいる今日、有機溶剤を含まない本発明に係る靴用
接着シートは有機溶剤の使用量を削減するために有効で
ある。また、本発明に係る靴用接着シートは、プラスチ
ック、天然皮革、人工皮革等広範な被着体に対し非常に
優れた接着力を有するため、多様な素材を組み合わせて
用いる靴製造方法の靴底接着に特に有効である。更に、
本発明に係る靴製造方法は、製靴工程において比較的熟
練を要する接着剤の塗布作業を削減ができ、製造コスト
の削減のために有効である。
【0002】
【従来の技術】靴製造業界では一般に有機溶剤型接着剤
を使用しているが、元来接着剤に含まれる有機溶剤は構
成素材とはならず、むしろ、不要成分であり、また、乾
燥工程という煩雑な工程を要するといった製造工程上の
問題点がある。また、従来の靴製造工程中、靴底と甲被
を接着する場合、若しくはアウトソールとミッドソール
といった靴底構成部材を接着する場合、通常両方の接着
面にプライマー処理をした後、接着剤を塗布し、圧着す
るといった作業を必要としていた。例えば、靴底と甲被
とを接着する際、靴底の接着面を2回、甲被の接着面を
少なくとも1回プライマー処理した後、それぞれの接着
面に2回ずつ接着剤を塗布し、有機溶剤を乾燥させた
後、加熱し熱活性させて圧着するといった工程を必要と
していた。更に、有機溶剤の大気中への飛散による作業
環境、衛生面の問題点があり、これらの改善が非常に望
まれている。
を使用しているが、元来接着剤に含まれる有機溶剤は構
成素材とはならず、むしろ、不要成分であり、また、乾
燥工程という煩雑な工程を要するといった製造工程上の
問題点がある。また、従来の靴製造工程中、靴底と甲被
を接着する場合、若しくはアウトソールとミッドソール
といった靴底構成部材を接着する場合、通常両方の接着
面にプライマー処理をした後、接着剤を塗布し、圧着す
るといった作業を必要としていた。例えば、靴底と甲被
とを接着する際、靴底の接着面を2回、甲被の接着面を
少なくとも1回プライマー処理した後、それぞれの接着
面に2回ずつ接着剤を塗布し、有機溶剤を乾燥させた
後、加熱し熱活性させて圧着するといった工程を必要と
していた。更に、有機溶剤の大気中への飛散による作業
環境、衛生面の問題点があり、これらの改善が非常に望
まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、これらの
問題点を解決すべく種々検討した結果、無溶剤型の靴用
接着シートを使用することにより接着剤成分である有機
溶剤の乾燥という煩雑な工程をなくすことができ、それ
にともなって有機溶剤の大気中への飛散による作業環
境、衛生面悪化の問題点を解決できることがわかった。
更に、靴製造工程上の課題としては、熟練した人手を要
する接着剤の塗布作業工程を削減することが製造コスト
削減のため必要である。
問題点を解決すべく種々検討した結果、無溶剤型の靴用
接着シートを使用することにより接着剤成分である有機
溶剤の乾燥という煩雑な工程をなくすことができ、それ
にともなって有機溶剤の大気中への飛散による作業環
境、衛生面悪化の問題点を解決できることがわかった。
更に、靴製造工程上の課題としては、熟練した人手を要
する接着剤の塗布作業工程を削減することが製造コスト
削減のため必要である。
【0004】また、有機溶剤型接着剤は、通常塗布作業
の直前にイソシアネート化合物等の架橋剤をを添加して
用いるが、架橋剤添加後、数十分から数時間で接着剤の
ゲル化に起因する増粘現象により塗布作業ができなくな
り、残った接着剤を捨てて新たに調製し直さなければな
らず接着剤の無駄を生じ、ひいては製造コスト増につな
がるといった問題点もあった。加えて、従来の有機溶剤
型接着剤を用いた場合、靴製造工程上、必ず有機溶剤の
乾燥時間を確保しなければならず、製造効率上も問題が
あった。
の直前にイソシアネート化合物等の架橋剤をを添加して
用いるが、架橋剤添加後、数十分から数時間で接着剤の
ゲル化に起因する増粘現象により塗布作業ができなくな
り、残った接着剤を捨てて新たに調製し直さなければな
らず接着剤の無駄を生じ、ひいては製造コスト増につな
がるといった問題点もあった。加えて、従来の有機溶剤
型接着剤を用いた場合、靴製造工程上、必ず有機溶剤の
乾燥時間を確保しなければならず、製造効率上も問題が
あった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、靴製造にお
ける接着作業で、ポリエステルウレタン樹脂をベースと
した靴用接着シートを用いることにより、従来より使用
されている有機溶剤型接着剤と比べ、接着剤の塗布、有
機溶剤の乾燥といった煩雑な工程がなくなり、また、有
機溶剤の大気中への飛散による作業環境、衛生面での問
題点も解消でき、加熱圧着後、十分な接着強度を発現で
きることがわかった。また、本発明に係る靴用接着シー
トは保存安定性においても有機溶剤型接着剤より優れて
いる。そのため、有機溶剤型接着剤に架橋剤を添加した
場合の増粘現象による接着剤塗布作業への弊害を除去す
ることも可能である。
ける接着作業で、ポリエステルウレタン樹脂をベースと
した靴用接着シートを用いることにより、従来より使用
されている有機溶剤型接着剤と比べ、接着剤の塗布、有
機溶剤の乾燥といった煩雑な工程がなくなり、また、有
機溶剤の大気中への飛散による作業環境、衛生面での問
題点も解消でき、加熱圧着後、十分な接着強度を発現で
きることがわかった。また、本発明に係る靴用接着シー
トは保存安定性においても有機溶剤型接着剤より優れて
いる。そのため、有機溶剤型接着剤に架橋剤を添加した
場合の増粘現象による接着剤塗布作業への弊害を除去す
ることも可能である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に係る靴用接着シート、及
びそれを用いた靴の製造方法の実施の形態について説明
する。即ち、本発明に係る靴用接着シートは、水酸価が
少なくとも100以下の末端水酸基含有ポリエステル生
成物の水酸基1当量に対し、ジイソシアネート化合物
0.9〜1.1当量を反応してなるポリエステルウレタ
ン樹脂に、架橋剤として3官能以上のイソシアネート化
合物を前記ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対
して0.5〜20重量部を添加し、それをシート状に形
成したことを特徴とする靴用接着シート、及びそれを用
いた靴の製造方法に関するものである。本発明に係る靴
接着用シートに用いる末端水酸基含有ポリエステル生成
物としては、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有す
るものが好ましい。
びそれを用いた靴の製造方法の実施の形態について説明
する。即ち、本発明に係る靴用接着シートは、水酸価が
少なくとも100以下の末端水酸基含有ポリエステル生
成物の水酸基1当量に対し、ジイソシアネート化合物
0.9〜1.1当量を反応してなるポリエステルウレタ
ン樹脂に、架橋剤として3官能以上のイソシアネート化
合物を前記ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対
して0.5〜20重量部を添加し、それをシート状に形
成したことを特徴とする靴用接着シート、及びそれを用
いた靴の製造方法に関するものである。本発明に係る靴
接着用シートに用いる末端水酸基含有ポリエステル生成
物としては、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有す
るものが好ましい。
【0007】これらの例を挙げると、[1] アジピン酸、
ピメリン酸、スベリン酸、セバチン酸のような少なくと
も6個以上の炭素数を有するアルカンジカルボン酸と、
ブタン-1,4- ジオール、ペンタン-1,5- ジオール及びヘ
キサン-1,6- ジオールのような少なくとも4個以上の炭
素数を有するアルカンジオールから公知の方法によるポ
リエステル化反応により得られるポリエステルジオー
ル、[2] ヘキサン-1,6-ジオールを基にしたポリカーボ
ネートジオール、及び上記[1] と[2] を混合してなるジ
オール混合物を挙げることができる。
ピメリン酸、スベリン酸、セバチン酸のような少なくと
も6個以上の炭素数を有するアルカンジカルボン酸と、
ブタン-1,4- ジオール、ペンタン-1,5- ジオール及びヘ
キサン-1,6- ジオールのような少なくとも4個以上の炭
素数を有するアルカンジオールから公知の方法によるポ
リエステル化反応により得られるポリエステルジオー
ル、[2] ヘキサン-1,6-ジオールを基にしたポリカーボ
ネートジオール、及び上記[1] と[2] を混合してなるジ
オール混合物を挙げることができる。
【0008】本発明において靴用接着シートに求められ
る溶融性は、本靴用接着シートが靴の接着用途に用いら
れるため靴甲被への熱の影響を考慮して、70℃以下の
温度で溶融し接着性を確保する必要があり、靴接着作業
時において70℃以下の温度で溶融することが必要であ
る。本発明に係る靴用接着シートに用いられる、末端水
酸基含有ポリエステル生成物の水酸価について言及すれ
ば、公知の方法によるポリエステル化反応により得られ
る水酸価100以下のものが適しており、水酸価100
よりも大きくなるとジイソシアネートとの反応により得
られる本発明のポリエステルウレタン樹脂が70℃以下
の温度で溶融しないため、接着性を確保することができ
ない。
る溶融性は、本靴用接着シートが靴の接着用途に用いら
れるため靴甲被への熱の影響を考慮して、70℃以下の
温度で溶融し接着性を確保する必要があり、靴接着作業
時において70℃以下の温度で溶融することが必要であ
る。本発明に係る靴用接着シートに用いられる、末端水
酸基含有ポリエステル生成物の水酸価について言及すれ
ば、公知の方法によるポリエステル化反応により得られ
る水酸価100以下のものが適しており、水酸価100
よりも大きくなるとジイソシアネートとの反応により得
られる本発明のポリエステルウレタン樹脂が70℃以下
の温度で溶融しないため、接着性を確保することができ
ない。
【0009】上記物性を有する末端水酸基含有ポリエス
テル生成物としては、例えば、日本ポリウレタン製のニ
ッポラン4010、135、4073、4070(商品名)あるいは武田薬
品製タケラックU-2420(商品名)として市販されている
ものを使用することができる。
テル生成物としては、例えば、日本ポリウレタン製のニ
ッポラン4010、135、4073、4070(商品名)あるいは武田薬
品製タケラックU-2420(商品名)として市販されている
ものを使用することができる。
【0010】上記末端水酸基含有ポリエステル生成物と
反応させるジイソシアネート化合物としては、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネ
ート、2,6-トリレンジイソシアネート、フェニレンジイ
ソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3'
- ジクロロ -4,4'- ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシア
ネートや1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、4,4'- ジシクロヘキサメタンジ
イソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート等
の脂肪族または脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
反応させるジイソシアネート化合物としては、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネ
ート、2,6-トリレンジイソシアネート、フェニレンジイ
ソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3'
- ジクロロ -4,4'- ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシア
ネートや1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、4,4'- ジシクロヘキサメタンジ
イソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート等
の脂肪族または脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0011】特にジイソシアネート化合物としては、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソ
シアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、 1,6- ヘ
キサメチレンジイソシアネート等が好ましい。ジイソシ
アネート化合物の量としては末端水酸基含有ポリエステ
ル生成物の水酸基1当量に対し、0.9〜1.1当量の
イソシアネートを反応させてポリエステルウレタン樹脂
を合成する。当量比で0.9以下では成形したシートが
脆いといった欠点を有し、また、1.1以上では反応物
がゲル状になりシート状に成形することが困難となると
いう欠点を有する。
フェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソ
シアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、 1,6- ヘ
キサメチレンジイソシアネート等が好ましい。ジイソシ
アネート化合物の量としては末端水酸基含有ポリエステ
ル生成物の水酸基1当量に対し、0.9〜1.1当量の
イソシアネートを反応させてポリエステルウレタン樹脂
を合成する。当量比で0.9以下では成形したシートが
脆いといった欠点を有し、また、1.1以上では反応物
がゲル状になりシート状に成形することが困難となると
いう欠点を有する。
【0012】本発明においては、上記のポリエステルウ
レタン樹脂を合成するにあたり、用いる末端水酸基含有
ポリエステル生成物の20当量%未満の範囲で鎖延長剤
に置き換えて合成することもできる。かかる末端水酸基
含有ポリウレタン生成物が20当量%以上であると、得
られるポリエステルウレタン樹脂が70℃以下の温度で
溶融しないため、接着性を確保することができない。鎖
延長剤としては、例えば分子量62〜600のジオール
を挙げることができる。かかるジオールとしては、例え
ばブタン-1,4- ジオール、ペンタン-1,5- ジオール、ヘ
キサン-1,6- ジオールのようなアルカンジオール、及び
カプロラクトンジオールなどがある。
レタン樹脂を合成するにあたり、用いる末端水酸基含有
ポリエステル生成物の20当量%未満の範囲で鎖延長剤
に置き換えて合成することもできる。かかる末端水酸基
含有ポリウレタン生成物が20当量%以上であると、得
られるポリエステルウレタン樹脂が70℃以下の温度で
溶融しないため、接着性を確保することができない。鎖
延長剤としては、例えば分子量62〜600のジオール
を挙げることができる。かかるジオールとしては、例え
ばブタン-1,4- ジオール、ペンタン-1,5- ジオール、ヘ
キサン-1,6- ジオールのようなアルカンジオール、及び
カプロラクトンジオールなどがある。
【0013】本発明のポリエステルウレタン樹脂として
は、末端水酸基含有ポリエステル生成物として前記した
ポリエステルジオールを用い、これとジイソシアネート
化合物とを反応させて得られるものが好ましい。この
際、用いるポリエステルジオールの一部を前記の鎖延長
剤に置き換えてもよい。
は、末端水酸基含有ポリエステル生成物として前記した
ポリエステルジオールを用い、これとジイソシアネート
化合物とを反応させて得られるものが好ましい。この
際、用いるポリエステルジオールの一部を前記の鎖延長
剤に置き換えてもよい。
【0014】本発明に係るポリエステルウレタン樹脂の
架橋剤として添加する3官能以上のイソシアネート化合
物としてはトリメチロールプロパンにトリレンジイソシ
アネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート等のジイソシ
アネートを反応させてなるもの、(例えば、日本ポリウ
レタン製のコロネートL(商品名)、コロネートHL
(商品名)等がある。)、又はトリレンジイソシアネー
ト、1,6-ヘキサンジイソシアネート等を三量化したもの
(例えば、日本ポリウレタン製のコロネートHX(商品
名)等がある。)等を単独あるいは併用して使用するこ
とができる。これら架橋剤の添加量としてはポリエステ
ルウレタン樹脂100重量部に対して0.5〜20重量
部までが適当であり、0.5重量部以下では高温接着力
が悪く、20重量部以上ではシート成型性が劣る。
架橋剤として添加する3官能以上のイソシアネート化合
物としてはトリメチロールプロパンにトリレンジイソシ
アネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート等のジイソシ
アネートを反応させてなるもの、(例えば、日本ポリウ
レタン製のコロネートL(商品名)、コロネートHL
(商品名)等がある。)、又はトリレンジイソシアネー
ト、1,6-ヘキサンジイソシアネート等を三量化したもの
(例えば、日本ポリウレタン製のコロネートHX(商品
名)等がある。)等を単独あるいは併用して使用するこ
とができる。これら架橋剤の添加量としてはポリエステ
ルウレタン樹脂100重量部に対して0.5〜20重量
部までが適当であり、0.5重量部以下では高温接着力
が悪く、20重量部以上ではシート成型性が劣る。
【0015】前記ポリエステルウレタン生成物に前記3
官能以上のイソシアネート化合物を添加し混合した後、
従来から用いられている押し出し加工あるいはカレンダ
ー加工で、厚さ0.05mm以上、好ましくは0.2〜
0.5mmのシートに成型し、本発明に係る靴接着用シ
ートを得る。
官能以上のイソシアネート化合物を添加し混合した後、
従来から用いられている押し出し加工あるいはカレンダ
ー加工で、厚さ0.05mm以上、好ましくは0.2〜
0.5mmのシートに成型し、本発明に係る靴接着用シ
ートを得る。
【0016】ところで、本発明の検討において、靴接着
用シートの下記に示す優位点をも見いだした。すなわ
ち、従来から使用されている有機溶剤型接着剤は、接着
特性向上のためイソシアネート等の架橋剤を添加してい
るが、架橋剤を混合後、数時間で接着剤溶液のゲル化に
起因する増粘現象により接着剤塗布作業ができなくなる
といった問題点があった。しかし、本発明に係る靴接着
用シートは、架橋剤を含有しているにも拘らず接着作業
時の保存安定性が極めて優れているため接着剤の増粘化
を問題とせず、更に、湿気を遮断した状態下で数カ月の
長期保存安定性を有することも見いだした。
用シートの下記に示す優位点をも見いだした。すなわ
ち、従来から使用されている有機溶剤型接着剤は、接着
特性向上のためイソシアネート等の架橋剤を添加してい
るが、架橋剤を混合後、数時間で接着剤溶液のゲル化に
起因する増粘現象により接着剤塗布作業ができなくなる
といった問題点があった。しかし、本発明に係る靴接着
用シートは、架橋剤を含有しているにも拘らず接着作業
時の保存安定性が極めて優れているため接着剤の増粘化
を問題とせず、更に、湿気を遮断した状態下で数カ月の
長期保存安定性を有することも見いだした。
【0017】ここで、接着特性の保存安定性は靴接着用
シートをメチルエチルケトンに溶解し、残渣のゲル分を
重量パーセントで示して評価することができる。本発明
に係る靴用接着シートにおいては、ゲル分を80重量%
以下にする必要があり、それ以上になると接着剤の50
〜70℃程度の低温で熱活性した場合の接着力低下が起
こる。
シートをメチルエチルケトンに溶解し、残渣のゲル分を
重量パーセントで示して評価することができる。本発明
に係る靴用接着シートにおいては、ゲル分を80重量%
以下にする必要があり、それ以上になると接着剤の50
〜70℃程度の低温で熱活性した場合の接着力低下が起
こる。
【0018】本発明に係る靴用接着シートを用いる接着
方法としては、あらかじめ被着体の表面の汚れ等を払拭
した後、プライマーにより表面処理し、接着シートを載
置し50℃以上70℃以下の温度で加熱して熱活性させ
る。熱活性されて接着シートに粘着性が出た状態で他の
接着面と当接し、加圧圧着し、放冷固化することにより
強固な接着強度を得ることができる。
方法としては、あらかじめ被着体の表面の汚れ等を払拭
した後、プライマーにより表面処理し、接着シートを載
置し50℃以上70℃以下の温度で加熱して熱活性させ
る。熱活性されて接着シートに粘着性が出た状態で他の
接着面と当接し、加圧圧着し、放冷固化することにより
強固な接着強度を得ることができる。
【0019】ここで用いられるプライマーとしては、ポ
リエステルウレタン、エポキシウレタン等をベースとし
て、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル)、ケトン(ア
セトン、メチルエチルケトン)、エーテル(ジオキサ
ン、テトラヒドロンフラン)、またはジメチルホルムア
ミド等の溶剤に溶かしたものを使用すれば良好な接着性
を得られる。
リエステルウレタン、エポキシウレタン等をベースとし
て、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル)、ケトン(ア
セトン、メチルエチルケトン)、エーテル(ジオキサ
ン、テトラヒドロンフラン)、またはジメチルホルムア
ミド等の溶剤に溶かしたものを使用すれば良好な接着性
を得られる。
【0020】本発明に係る靴用接着シートは、熱活性さ
れて一旦接着可能な状態となった後、接着する前に冷え
てしまい接着活性を失ったとしても、再度加熱すること
により再び接着活性を与えることができる特性を有す
る。よって、本発明に係る靴用接着シートを用いた靴製
造工程中、何らかの原因で失活してしまった場合であっ
ても、有機溶剤型接着剤のように再び接着剤を塗布し直
すといった煩雑な作業は不要であり、再び加熱するだけ
で接着可能な状態に賦活することができるものである。
また、この特性を利用することにより、例えば、靴底に
靴用接着シートのみ貼着する前加工を施し、該靴底と靴
甲被を接着する際に、再び熱活性させて接着することも
できる。
れて一旦接着可能な状態となった後、接着する前に冷え
てしまい接着活性を失ったとしても、再度加熱すること
により再び接着活性を与えることができる特性を有す
る。よって、本発明に係る靴用接着シートを用いた靴製
造工程中、何らかの原因で失活してしまった場合であっ
ても、有機溶剤型接着剤のように再び接着剤を塗布し直
すといった煩雑な作業は不要であり、再び加熱するだけ
で接着可能な状態に賦活することができるものである。
また、この特性を利用することにより、例えば、靴底に
靴用接着シートのみ貼着する前加工を施し、該靴底と靴
甲被を接着する際に、再び熱活性させて接着することも
できる。
【0021】本発明に係る靴用接着シートを用いた靴製
造方法の実施の形態を以下に示す。本発明に係る靴製造
方法は、靴底と靴甲被を接着剤で固着する所謂セメント
式製靴方法で適用される。即ち、本発明に係る靴製造方
法は、まず、接着剤の投錨効果を向上させるために、靴
底の接着面及び靴甲被の接着面とに前記プライマーを塗
布する。甲被材が天然皮革等を用いたものである場合、
甲被接着面にプライマーを塗布する代りに所謂バフ処理
を施して皮革の銀面を落としておくことも可能である。
次に、プライマーを塗布した靴底又は靴甲被のいずれか
一方の接着面に、靴底の接着ゲージに合致するように裁
断した靴用接着シートを載置し、靴底の接着面及び靴甲
被の接着面とを加熱して前記靴用接着シートを熱活性さ
せた後、両接着面を当接し圧着する工程とからなる靴製
造方法である。
造方法の実施の形態を以下に示す。本発明に係る靴製造
方法は、靴底と靴甲被を接着剤で固着する所謂セメント
式製靴方法で適用される。即ち、本発明に係る靴製造方
法は、まず、接着剤の投錨効果を向上させるために、靴
底の接着面及び靴甲被の接着面とに前記プライマーを塗
布する。甲被材が天然皮革等を用いたものである場合、
甲被接着面にプライマーを塗布する代りに所謂バフ処理
を施して皮革の銀面を落としておくことも可能である。
次に、プライマーを塗布した靴底又は靴甲被のいずれか
一方の接着面に、靴底の接着ゲージに合致するように裁
断した靴用接着シートを載置し、靴底の接着面及び靴甲
被の接着面とを加熱して前記靴用接着シートを熱活性さ
せた後、両接着面を当接し圧着する工程とからなる靴製
造方法である。
【0022】前記靴製造方法において、前記靴用接着シ
ートを予め帯状に形成しておいて、プライマーを塗布し
た靴底等の接着面の外周縁に沿って帯状に載置すること
もできる。
ートを予め帯状に形成しておいて、プライマーを塗布し
た靴底等の接着面の外周縁に沿って帯状に載置すること
もできる。
【0023】他の靴製造方法として、特に靴底の接着面
が巻上形状やシェル構造といった立体形状を有する場
合、セメント式製靴方法で製造する靴製造方法におい
て、まず靴底の接着面にプライマーを塗布し、靴甲被の
接着面にプライマーを塗布するかあるいはバフ処理をし
ておく。プライマーを塗布した靴底の接着面上を靴底の
外周縁よりやや大きめの前記靴用接着シートで被い、上
面より温風を吹きつけるなどして加熱し、軟化した靴用
接着シートを靴底の接着面の立体形状に沿わして貼着し
た後、靴底の外周縁からはみ出した靴用接着シートを切
除する工程により前加工された靴底を予め準備してお
く。該前加工された靴底の接着面及び靴甲被の接着面と
を加熱して前記靴用接着シートを熱活性させ、両接着面
を当接し圧着する工程とからなる靴製造方法である。
が巻上形状やシェル構造といった立体形状を有する場
合、セメント式製靴方法で製造する靴製造方法におい
て、まず靴底の接着面にプライマーを塗布し、靴甲被の
接着面にプライマーを塗布するかあるいはバフ処理をし
ておく。プライマーを塗布した靴底の接着面上を靴底の
外周縁よりやや大きめの前記靴用接着シートで被い、上
面より温風を吹きつけるなどして加熱し、軟化した靴用
接着シートを靴底の接着面の立体形状に沿わして貼着し
た後、靴底の外周縁からはみ出した靴用接着シートを切
除する工程により前加工された靴底を予め準備してお
く。該前加工された靴底の接着面及び靴甲被の接着面と
を加熱して前記靴用接着シートを熱活性させ、両接着面
を当接し圧着する工程とからなる靴製造方法である。
【0024】本発明に係る靴用接着シートは、アウトソ
ール、ミッドソール、ソールウエッジ、踵積上げ等の靴
底構成部材を積層一体化するために用いることもでき
る。
ール、ミッドソール、ソールウエッジ、踵積上げ等の靴
底構成部材を積層一体化するために用いることもでき
る。
【0025】本発明に係る靴用接着シートは、本来靴の
製造に用いる目的で創作されたものであるが、被着体に
よっては、靴の製造以外にも使用できる可能性がある。
製造に用いる目的で創作されたものであるが、被着体に
よっては、靴の製造以外にも使用できる可能性がある。
【0026】以上の如く、本発明に係る靴用接着シート
を使用することにより、特に靴製造工程において有害な
有機溶剤の大気中への飛散による作業環境の悪化を最小
限に抑制することができ、衛生面での問題を解決するこ
とができる。更に、靴製造工程上、接着剤の塗布工程及
び溶剤乾燥工程が簡素化され、製造工程の簡略化及び生
産効率の向上が図れるという大きな効果を持つ。
を使用することにより、特に靴製造工程において有害な
有機溶剤の大気中への飛散による作業環境の悪化を最小
限に抑制することができ、衛生面での問題を解決するこ
とができる。更に、靴製造工程上、接着剤の塗布工程及
び溶剤乾燥工程が簡素化され、製造工程の簡略化及び生
産効率の向上が図れるという大きな効果を持つ。
【0027】
(1) ポリエステルウレタン樹脂の合成 本発明に係る靴用接着シートに用いられるポリエステル
ウレタン樹脂は、表1に示した配合(当量)でポリエス
テルジオール(末端水酸基含有ポリエステル生成物)、
ジオール(鎖延長剤)及びジイソシアネート化合物を1
00℃で10〜15分間反応混合し、熱い溶融物をテフ
ロン製の容器に注ぎ、次いで、110℃で12時間加熱
反応させて得られる。この生成物は、メチルエチルケト
ンに溶解し15%濃度、25℃で2〜20ポイズ程度の
粘度を有する。
ウレタン樹脂は、表1に示した配合(当量)でポリエス
テルジオール(末端水酸基含有ポリエステル生成物)、
ジオール(鎖延長剤)及びジイソシアネート化合物を1
00℃で10〜15分間反応混合し、熱い溶融物をテフ
ロン製の容器に注ぎ、次いで、110℃で12時間加熱
反応させて得られる。この生成物は、メチルエチルケト
ンに溶解し15%濃度、25℃で2〜20ポイズ程度の
粘度を有する。
【0028】なお、表1には本発明に係るポリエステル
ウレタン樹脂の合成結果、及び接着シートとしての適応
性を観るために、樹脂シート強度及び60℃における溶
融性について評価した結果を示した。すなわち、合成例
1〜6においては、ゲル化が起こらず合成結果も良好
で、かつ、樹脂シート強度も実用に耐え得るものであっ
た。また、60℃の溶融性についても合成例1〜6は接
着可能なまでに溶融し、比較的低温での熱活性で十分接
着性を発揮することがわかった。一方、比較例1又は4
においては60℃では溶融せず、比較例2においてはシ
ート状に形成した際、脆くて実用に耐え得るものではな
かった。更に、比較例3においてはポリエステルウレタ
ンの合成時にゲル化してしまう。
ウレタン樹脂の合成結果、及び接着シートとしての適応
性を観るために、樹脂シート強度及び60℃における溶
融性について評価した結果を示した。すなわち、合成例
1〜6においては、ゲル化が起こらず合成結果も良好
で、かつ、樹脂シート強度も実用に耐え得るものであっ
た。また、60℃の溶融性についても合成例1〜6は接
着可能なまでに溶融し、比較的低温での熱活性で十分接
着性を発揮することがわかった。一方、比較例1又は4
においては60℃では溶融せず、比較例2においてはシ
ート状に形成した際、脆くて実用に耐え得るものではな
かった。更に、比較例3においてはポリエステルウレタ
ンの合成時にゲル化してしまう。
【0029】
【表1】
【0030】(2) 靴用接着シートの成型 表2は、表1に示した合成例のうち合成例1、2、5に
ついて架橋剤の配合を変えて実施例1〜5並びに比較例
1、2を合成し、シート状に形成した際のシート成形性
について示したものである。シートの成形方法は、表2
に示した配合(重量部)で各合成例に係るポリエステル
ウレタン樹脂に所定の架橋剤として3官能以上のイソシ
アネート化合物をミキシングロールあるいはニーダーに
て温度80〜150℃で混合する。その後、温度80〜
150℃で押し出し加工あるいはカレンダー加工により
厚さ0.3mmのシート状に成型して接着シートを得
る。
ついて架橋剤の配合を変えて実施例1〜5並びに比較例
1、2を合成し、シート状に形成した際のシート成形性
について示したものである。シートの成形方法は、表2
に示した配合(重量部)で各合成例に係るポリエステル
ウレタン樹脂に所定の架橋剤として3官能以上のイソシ
アネート化合物をミキシングロールあるいはニーダーに
て温度80〜150℃で混合する。その後、温度80〜
150℃で押し出し加工あるいはカレンダー加工により
厚さ0.3mmのシート状に成型して接着シートを得
る。
【0031】すなわち、表2に示すように、合成例1に
おいて架橋剤の割合が2〜16重量部の場合はそれぞれ
良好なシート成形性を示すことがわかる。一方、比較例
2において架橋剤の割合が25重量部の場合には接着シ
ート中のゲル分が飛躍的に増大し、シート成形時の成形
性が極端に悪くなっていることがわかる。また、比較例
1において架橋剤の割合が0.2重量部の場合には、シ
ート成形性は良いものの60℃で熱活性した場合の接着
特性が悪くなり、靴製造に用いることができない。よっ
て、本発明に係るポリエステルウレタン樹脂に添加され
る架橋剤の割合は、おおむね0.5〜20重量部が適当
であると推察される。
おいて架橋剤の割合が2〜16重量部の場合はそれぞれ
良好なシート成形性を示すことがわかる。一方、比較例
2において架橋剤の割合が25重量部の場合には接着シ
ート中のゲル分が飛躍的に増大し、シート成形時の成形
性が極端に悪くなっていることがわかる。また、比較例
1において架橋剤の割合が0.2重量部の場合には、シ
ート成形性は良いものの60℃で熱活性した場合の接着
特性が悪くなり、靴製造に用いることができない。よっ
て、本発明に係るポリエステルウレタン樹脂に添加され
る架橋剤の割合は、おおむね0.5〜20重量部が適当
であると推察される。
【0032】
【表2】
【0033】(3) 靴用接着シートのゲル分測定方法 接着シート1gを精秤し、50ccのメチルエチルケト
ンに室温で24時間浸漬した後、不溶解分を100℃で
2時間乾燥する。乾燥後に残った不溶解分を精秤し、下
記の式によりゲル分を求めた。 ゲル分(%)=Wt/Wo×100 Wo:靴用接着シートの初期重量 Wt:靴用接着シートの不溶解分の重量
ンに室温で24時間浸漬した後、不溶解分を100℃で
2時間乾燥する。乾燥後に残った不溶解分を精秤し、下
記の式によりゲル分を求めた。 ゲル分(%)=Wt/Wo×100 Wo:靴用接着シートの初期重量 Wt:靴用接着シートの不溶解分の重量
【0034】(4) 靴用接着シートの保存性 表3は、本発明に係る靴用接着シートをシリカゲルを入
れたデシケータ中で室温にて180日保存後、接着性に
ついて保存前のものと比較した結果を示したものであ
る。表3からわかるように本発明に係る接着シートは、
180日保存後も十分な接着強度を保持していることが
わかった。一方、現行有機溶剤型接着剤に架橋剤を添加
したものでは、架橋剤配合後約5時間後には増粘してゲ
ル状となり、塗布不可であった。
れたデシケータ中で室温にて180日保存後、接着性に
ついて保存前のものと比較した結果を示したものであ
る。表3からわかるように本発明に係る接着シートは、
180日保存後も十分な接着強度を保持していることが
わかった。一方、現行有機溶剤型接着剤に架橋剤を添加
したものでは、架橋剤配合後約5時間後には増粘してゲ
ル状となり、塗布不可であった。
【0035】
【表3】
【0036】(5)靴製造方法 本発明に係る靴製造方法の一実施例を以下に説明する。
本実施例に係る靴製造方法は、人工皮革からなる靴甲被
と、天然革底とEVAスポンジからなるソールウエッジ
とを積層一体化した靴底を接着剤で固着するセメント式
製靴方法に関するものである。
本実施例に係る靴製造方法は、人工皮革からなる靴甲被
と、天然革底とEVAスポンジからなるソールウエッジ
とを積層一体化した靴底を接着剤で固着するセメント式
製靴方法に関するものである。
【0037】即ち、本発明に係る靴製造方法は、まず、
接着剤の投錨効果を向上させるた0めに、靴底の接着面
及び靴甲被の接着面とに前記プライマーをそれぞれ1回
ずつ塗布する。本実施例の靴底の接着面は天然皮革とE
VAスポンジからなるが、それら素材にかかわらず前記
プライマーを全面にほぼ均一に塗布する。本実施例の甲
被材は人工皮革であり、前記プライマーと同じプライマ
ーを甲被の接着面にほぼ均一に塗布する。本実施例で用
いられるプライマーは、ポリエステルウレタンをベース
として、メチルエチルケトンに溶解したものを使用す
る。甲被材が天然皮革等を用いたものである場合、甲被
の接着面にプライマーを塗布する代りに、所謂バフ処理
を施して皮革の銀面を落としておくことも可能である。
接着剤の投錨効果を向上させるた0めに、靴底の接着面
及び靴甲被の接着面とに前記プライマーをそれぞれ1回
ずつ塗布する。本実施例の靴底の接着面は天然皮革とE
VAスポンジからなるが、それら素材にかかわらず前記
プライマーを全面にほぼ均一に塗布する。本実施例の甲
被材は人工皮革であり、前記プライマーと同じプライマ
ーを甲被の接着面にほぼ均一に塗布する。本実施例で用
いられるプライマーは、ポリエステルウレタンをベース
として、メチルエチルケトンに溶解したものを使用す
る。甲被材が天然皮革等を用いたものである場合、甲被
の接着面にプライマーを塗布する代りに、所謂バフ処理
を施して皮革の銀面を落としておくことも可能である。
【0038】次に、プライマーを塗布した靴底の接着面
が若干濡れている状態で、靴底の接着ゲージに合致する
ように裁断した靴用接着シートを該接着面に載置し、数
分間自然乾燥させる。続いて、靴用接着シートを載置し
た靴底の接着面及びプライマーを塗布した靴甲被の接着
面を電熱式ヒーター内で加熱して前記靴用接着シートを
熱活性させる。加熱条件は、シート表面の温度を約60
℃で数秒間保持し、ヒーターから出した後、直ちに両接
着面を当接し、上下圧着機で圧着する。
が若干濡れている状態で、靴底の接着ゲージに合致する
ように裁断した靴用接着シートを該接着面に載置し、数
分間自然乾燥させる。続いて、靴用接着シートを載置し
た靴底の接着面及びプライマーを塗布した靴甲被の接着
面を電熱式ヒーター内で加熱して前記靴用接着シートを
熱活性させる。加熱条件は、シート表面の温度を約60
℃で数秒間保持し、ヒーターから出した後、直ちに両接
着面を当接し、上下圧着機で圧着する。
【0039】本発明の靴製造方法の他の実施例として、
以下の方法を採ることも可能である。本実施例に係る方
法は、特に靴底の接着面が上方甲被側に向かって立ち上
がった巻上形状やシェル構造といった立体形状を有する
場合に有効である。即ち、セメント式製靴方法で製造す
る靴製造方法において、まず靴底の接着面にプライマー
を塗布し、靴甲被の接着面にプライマーを塗布するかあ
るいはバフ処理をしておく。次に、プライマーを塗布し
た靴底の接着面上を靴底の外周縁よりやや大きめの前記
靴用接着シートで被い、上面より温風を吹きつけるなど
して加熱し、軟化した靴用接着シートを靴底の接着面に
押しつけて接着面の立体形状に沿わし貼着した後、靴底
の外周縁からはみ出した靴用接着シートを鋏やナイフで
切除する工程により前加工された靴底を予め準備してお
く。該前加工された靴底の接着面及び靴甲被の接着面と
をヒータ内で加熱して前記靴用接着シートを熱活性さ
せ、両接着面を当接し圧着する工程とからなる靴製造方
法である。本発明に係る靴用接着シートは、前加工時に
一度加熱されていたとしても接着特性を失わず、ヒータ
ー内で再度加熱して熱活性させると良好な接着性を発揮
する。
以下の方法を採ることも可能である。本実施例に係る方
法は、特に靴底の接着面が上方甲被側に向かって立ち上
がった巻上形状やシェル構造といった立体形状を有する
場合に有効である。即ち、セメント式製靴方法で製造す
る靴製造方法において、まず靴底の接着面にプライマー
を塗布し、靴甲被の接着面にプライマーを塗布するかあ
るいはバフ処理をしておく。次に、プライマーを塗布し
た靴底の接着面上を靴底の外周縁よりやや大きめの前記
靴用接着シートで被い、上面より温風を吹きつけるなど
して加熱し、軟化した靴用接着シートを靴底の接着面に
押しつけて接着面の立体形状に沿わし貼着した後、靴底
の外周縁からはみ出した靴用接着シートを鋏やナイフで
切除する工程により前加工された靴底を予め準備してお
く。該前加工された靴底の接着面及び靴甲被の接着面と
をヒータ内で加熱して前記靴用接着シートを熱活性さ
せ、両接着面を当接し圧着する工程とからなる靴製造方
法である。本発明に係る靴用接着シートは、前加工時に
一度加熱されていたとしても接着特性を失わず、ヒータ
ー内で再度加熱して熱活性させると良好な接着性を発揮
する。
【0040】
【発明の効果】本発明に係る靴用接着シート及びそれを
用いた靴製造方法は以下の効果を奏する。即ち、本発明
に係る靴用接着シートは、接着剤自体に有害な有機溶剤
を使用していないため、有機溶剤の大気中への飛散によ
る作業環境の悪化等を飛躍的に減少させ、衛生面の問題
点を有効に解決することができる。更に、本発明に係る
靴製造方法を採用することにより、従来より熟練を要す
る作業とされていた接着剤の塗布作業を省くことができ
るうえ、製靴工程では必須であった有機溶剤の乾燥工程
をも省くことができ、製造コストの削減と生産効率の向
上を実現することができる。また、接着剤に架橋剤を添
加したり、攪拌したりといった煩雑な作業も必要としな
い。加えて、靴用接着シートは所謂ポットライフを問題
としないため、接着剤自体に無駄を生じることもなく、
ひいては製造コストの削減に寄与することもできる。
用いた靴製造方法は以下の効果を奏する。即ち、本発明
に係る靴用接着シートは、接着剤自体に有害な有機溶剤
を使用していないため、有機溶剤の大気中への飛散によ
る作業環境の悪化等を飛躍的に減少させ、衛生面の問題
点を有効に解決することができる。更に、本発明に係る
靴製造方法を採用することにより、従来より熟練を要す
る作業とされていた接着剤の塗布作業を省くことができ
るうえ、製靴工程では必須であった有機溶剤の乾燥工程
をも省くことができ、製造コストの削減と生産効率の向
上を実現することができる。また、接着剤に架橋剤を添
加したり、攪拌したりといった煩雑な作業も必要としな
い。加えて、靴用接着シートは所謂ポットライフを問題
としないため、接着剤自体に無駄を生じることもなく、
ひいては製造コストの削減に寄与することもできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09J 175/04 A43B 10/00 101C 175/06 (72)発明者 為広 敏明 大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番35 号 美津濃株式会社内
Claims (8)
- 【請求項1】 水酸価が少なくとも100以下の末端水
酸基含有ポリエステル生成物1当量に対し、ジイソシア
ネート化合物0.9〜1.1当量を反応してなるポリエ
ステルウレタン樹脂に、架橋剤として3官能以上のイソ
シアネート化合物を前記ポリエステルウレタン樹脂10
0重量部に対して0.5〜20重量部を添加し、シート
状に形成したことを特徴とする靴用接着シート。 - 【請求項2】 請求項1記載の靴用接着シート中のゲル
分が80%以下であることを特徴とする靴用接着シー
ト。 - 【請求項3】 セメント式製靴方法で製造する靴製造方
法において、靴底の接着面及び靴甲被の接着面とにプラ
イマーを塗布する工程と、プライマーを塗布した靴底又
は靴甲被のいずれか一方の接着面に、靴底の接着ゲージ
に合致するように裁断した接着接着シートを載置する工
程と、靴底の接着面及び靴甲被の接着面とを加熱して前
記靴用接着シートを熱活性させる工程と、靴底の接着面
と靴甲被の接着面とを当接し圧着する工程とからなる靴
製造方法。 - 【請求項4】 セメント式製靴方法で製造する靴製造方
法において、靴底の接着面にプライマーを塗布する工程
と、靴甲被の接着面をバフ処理する工程と、プライマー
を塗布した靴底の接着面に靴底の接着ゲージに合致する
ように裁断した靴用接着シートを載置する工程と、靴底
の接着面及び靴甲被の接着面とを加熱して前記靴用接着
シートを熱活性させる工程と、靴底の接着面と靴甲被の
接着面とを当接し圧着する工程とからなる靴製造方法。 - 【請求項5】 前記靴製造方法において、前記靴用接着
シートを接着面の外周縁に沿って帯状に形成したことを
特徴とする請求項3又は4記載の靴製造方法。 - 【請求項6】 セメント式製靴方法で製造する靴製造方
法において、靴底の接着面及び靴甲被の接着面にプライ
マーを塗布する工程と、プライマーを塗布した靴底の接
着面上を前記靴用接着シートで被い、加熱して軟化した
靴用接着シートを靴底の接着面の立体形状に沿わして貼
着した後、靴底の外周縁からはみ出した靴用接着シート
を切除する工程により前加工された靴底を予め準備して
おき、該前加工された靴底の接着面及び靴甲被の接着面
とを加熱して前記靴用接着シートを熱活性させる工程
と、靴底の接着面と靴甲被の接着面とを当接し圧着する
工程とからなる靴製造方法。 - 【請求項7】 靴底構成部材を前記靴用接着シートを用
いて積層一体化したことを特徴とする靴底。 - 【請求項8】 アウトソールとミッドソールを前記靴用
接着シートを用いて積層一体化したことを特徴とする靴
底。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8358395A JPH10192004A (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 靴用接着シート及び、それを用いた靴の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8358395A JPH10192004A (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 靴用接着シート及び、それを用いた靴の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10192004A true JPH10192004A (ja) | 1998-07-28 |
Family
ID=18459073
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8358395A Pending JPH10192004A (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 靴用接着シート及び、それを用いた靴の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10192004A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1114592A2 (en) | 2000-01-06 | 2001-07-11 | Kuraray Co., Ltd. | Artificial leather shoe and artificial leather suited therefor |
JP2004275772A (ja) * | 2003-03-14 | 2004-10-07 | Worthen Industries Inc | 履物アセンブリの靴底製造用接着剤被覆スラブ |
JP2008050511A (ja) * | 2006-08-28 | 2008-03-06 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 加硫型水性接着剤及びその用途 |
WO2019155925A1 (ja) * | 2018-02-08 | 2019-08-15 | 株式会社クラレ | ホットメルトポリウレタン接着剤フィルム及び積層繊維構造体 |
-
1996
- 1996-12-27 JP JP8358395A patent/JPH10192004A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1114592A2 (en) | 2000-01-06 | 2001-07-11 | Kuraray Co., Ltd. | Artificial leather shoe and artificial leather suited therefor |
JP2004275772A (ja) * | 2003-03-14 | 2004-10-07 | Worthen Industries Inc | 履物アセンブリの靴底製造用接着剤被覆スラブ |
JP2008050511A (ja) * | 2006-08-28 | 2008-03-06 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 加硫型水性接着剤及びその用途 |
WO2019155925A1 (ja) * | 2018-02-08 | 2019-08-15 | 株式会社クラレ | ホットメルトポリウレタン接着剤フィルム及び積層繊維構造体 |
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