JPH10190797A - 盲人用の携帯電話 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストを低減して、盲人とそうでない人
の両者が便利に使用できるようにする。 【解決手段】 盲人用の携帯電話は、携帯電話本体１
と、この携帯電話本体１が脱着自在に収納されるケース
２とを備える。ケース２は、携帯電話本体１の操作ボタ
ン３の表面を可撓性シート材４で被覆している。この可
撓性シート材４の表面には、裏面に位置する操作ボタン
３に対応する点字５を突出して設けている。この点字５
が設けられた可撓性シート材４を局部的に押して、携帯
電話本体１の操作ボタン３が操作されるように構成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ケースに収納され
ている携帯電話に関する。

【０００２】

【従来の技術】携帯電話は、数字ボタン等を含む複数の
操作ボタンを表面に設けている。それぞれの操作ボタン
は、その表面に、１、２、３、４・・・等の数字や、＃
等のマークを表示している。操作ボタンの表面に表示さ
れる数字等を見て、電話番号を押し、あるいはその他の
操作をする。

【０００３】ところが、操作ボタンの表面に数字等を表
示している携帯電話は、盲人が使用できない欠点があ
る。携帯電話を盲人が使用できるようにするためには、
操作ボタンの表面に、数字等の表示に変わって点字を表
示する必要がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、操作ボタン
の表面に点字を表示した携帯電話は、製造コストが高く
なる欠点がある。とくに、携帯電話は多数の機種が使用
されるので、点字用の携帯電話を特別に製造すると、そ
の数が少なくなって製造コストは非常に高くなる。盲人
でない人も使用できるように、操作ボタンの表面に、数
字等に加えて点字を表示すると、使用者が盲人に特定さ
れず、多数の人が使用できる。ただ、点字が併記される
と、数字等を鮮明に表示できなくなるので、盲人でない
使用者が便利に使用できなくなる。さらに、このタイプ
の携帯電話は、ほとんどが盲人でない人に使用されるの
で、全体的に製造コストを高くする欠点がある。

【０００５】操作ボタンの表面に、点字のみを表示する
盲人専用の携帯電話は、数字を表示しないので、１台の
製造コストを低減できるが、盲人以外の人は全く使用で
きなくなる。このため、全体としての使用台数が少な
い、盲人用の携帯電話は、多種類のタイプのものを製造
するのが難しくなる。

【０００６】本発明は、このような欠点を解決すること
を目的に開発されたものである。本発明の重要な目的
は、製造コストを低減して、盲人とそうでない人の両者
が便利に使用できる盲人用の携帯電話を提供することに
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の盲人用の携帯電
話は、前述の目的を達成するために下記の構成を備え
る。携帯電話は、携帯電話本体１と、この携帯電話本体
１を脱着自在に収納しているケース２とを備える。ケー
ス２は、携帯電話本体１の操作ボタン３の表面を可撓性
シート材４で被覆している。さらに、この可撓性シート
材４は、その表面に、裏面に位置する操作ボタン３に対
応する点字５を突出して設けている。盲人によって、ケ
ース２の点字５を設けられた可撓性シート材４が局部的
に押されると、携帯電話本体１の操作ボタン３が操作さ
れて、携帯電話として使用されるように構成している。

【０００８】さらに、本発明の請求項２に記載する携帯
電話は、可撓性シート材４の表面に、裏面に位置する操
作ボタン３の位置を表示する凹凸１７を設けている。操
作ボタン３の位置を表示する凹凸１７は、操作ボタン３
の外形に沿って凸条を設け、あるいは、溝を設けて成形
される。

【０００９】

【作用】本発明の携帯電話を、盲人が使用するときは、
携帯電話本体１をケース２に入れ、可撓性シート材４の
表面に設けた点字５を押して操作ボタン３を操作する。
携帯電話本体１の操作ボタン３は、可撓性シート材４の
点字５で操作されるので、携帯電話本体１の操作ボタン
３に点字５を表示する必要がない。このため、携帯電話
本体１には、すでに市販され、あるいはこれから開発さ
れる多種多用の携帯電話をそのまま使用できる。このた
め、ケース２を入れ換えて、盲人でない人が使用される
携帯電話となる。また、ケース２から取り出して、普通
の携帯電話と同じように使用できる。さらにまた、点字
５を表示するケース２の可撓性シート材４に、透明シー
トを使用すると、可撓性シート材４を透過して、携帯電
話本体１の操作ボタン３を操作して、使用することもで
きる。

【００１０】さらに、可撓性シート材４に、裏面の操作
ボタン３の位置を表示する凹凸１７を設けたものは、凹
凸１７で操作ボタン３の位置を識別できる。このため、
たとえば「５」のボタンを点字５で検出した後は、この
ボタンを基準にして他のボタンの位置を経験的に推察し
て操作することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明
の技術思想を具体化するための盲人用の携帯電話を例示
するものであって、本発明は、盲人用の携帯電話を下記
のものに特定しない。

【００１２】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、「作用の欄」、および
「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付
記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、
実施例の部材に特定するものでは決してない。

【００１３】図１と図２に示す盲人用の携帯電話は、携
帯電話本体１と、この携帯電話本体１を脱着自在に収納
している専用のケース２とを備える。

【００１４】携帯電話本体１は、一般に市販されている
携帯電話の機器である。携帯電話本体１は、その表面に
複数の操作ボタン３が設けられている。操作ボタン３
は、ダイヤルボタン、送信ボタン、停止ボタン、電源ボ
タン等の各種機能ボタンを備える。ダイヤルボタンは、
１、２、３・・・の数字や、＊、＃等のマークが表示さ
れている。さらに、携帯電話本体１の表面には、通話を
するための、スピーカー６、マイク７等に加えて、ダイ
ヤル情報等を表示する表示画面８も設けられている。さ
らにまた、携帯電話本体１の上面には、引出し自在なア
ンテナ９を上面から突出して設けている。

【００１５】ケース２は、携帯電話本体１を挿入できる
方形の筒状に成形されている。ケース２は、挿入した携
帯電話本体１が抜け落ちないように、底面が閉塞されて
おり、上方の開口部から携帯電話本体１を挿入する。ケ
ース２は、合成皮革のシート材を縫合して、筒状に成形
されている。図に示すケース２は、表面シート２Ａと、
背面シート２Ｂと、両側面及び底面を形成する側面シー
ト２Ｃの３枚のシート材を縫い合わせて筒状に成形して
いる。これ等の縫合部分、及び、表面シート２Ａと背面
シート２Ｂの端縁は、装飾片１０を縫着して、外観を綺
麗に仕上げると同時に、これ等の部分を補強している。
ケースは、図示しないが、表面シートと背面シートを１
枚のシート材で形成し、両側面に２枚の側面シートを縫
合して筒状に成形することも、あるいは、５枚のシート
材を縫合して筒状とすることもできる。

【００１６】筒状のケース２は、挿入する携帯電話本体
１の全長とほぼ等しい深さに成形されると共に、携帯電
話本体１を隙間なく挿入できる内形に成形されている。
さらに、ケース２は、携帯電話本体１をケース２内の定
位置に固定するために、表面シート２Ａの上端を延長し
て連結片２Ｄを設けている。連結片２Ｄは、携帯電話本
体１を挿入した後、折曲されてケース２の上面を押圧す
る状態で、背面シート２Ｂに連結される。連結片２Ｄと
背面シート２Ｂは、図２で示すように、ホック１１で連
結される。連結片と背面シートは、マジックテープ（登
録商標）で連結することもできる。連結片２Ｄと背面シ
ート２Ｂの連結位置は、挿入される携帯電話本体１を連
結片２Ｄが押圧状態で保持できる位置に決定される。携
帯電話本体１は、筒状のケース２に隙間なく挿入される
と共に上面を連結片２Ｄで押圧されて、ケース２内の定
位置に固定される。

【００１７】さらに、ケース２は、図１と図３に示すよ
うに、その表面に、ケース２の外部から携帯電話本体１
を操作するための操作窓１２と、携帯電話本体１の表示
画面の内容を確認するための表示窓１３と、スピーカー
孔１４と、マイク孔１５とを備える。

【００１８】操作窓１２は、ケース２に挿入される携帯
電話本体１の操作ボタン３群に位置して、ケース２の表
面シート２Ａを方形状に切り抜いて設けられている。操
作窓２Ａは、この開口部に可撓性シート材４を縫着し
て、操作窓１２の全体を閉塞する構造としている。可撓
性シート材は、操作窓の開口部に接着して操作窓を閉塞
することもできる。盲人用の携帯電話は、操作窓１２の
可撓性シート材４を介して、操作ボタン３を押して、携
帯電話本体１を操作する。

【００１９】可撓性シート材４は、透明のプラスチック
シートである。透明の可撓性シート材は、ケース２の外
部から操作ボタン３を見ることができるので、盲人でな
い一般の人も使用できる特長がある。ただ、可撓性シー
ト材には、透明でないのプラスチックシートを使用する
こともできる。それは、使用者を盲人に限定する場合、
操作ボタンを目で確認することが無いからである。さら
に、可撓性シート材４は、好ましくは、柔らかい材質の
ものを使用する。柔らかい材質の可撓性シート材４は、
弾性変形しやすく、操作ボタン３を確実に押すことがで
きるからである。

【００２０】さらに、可撓性シート材４は、その表面
に、表面から突出して、複数の点字５を設けている。こ
れらの点字５は、図４の拡大断面図に示すように、ケー
ス２内の定位置に固定された携帯電話本体１の操作ボタ
ン３に対向する位置に設けられている。さらに、これら
の点字５は、裏側に位置する操作ボタン３に対応する数
字やマークや言葉が表示されている。点字５を設けた可
撓性シート材４が、図の矢印で示すように局部的に押さ
れると、携帯電話本体１の操作ボタン３が操作されて、
携帯電話として使用される。

【００２１】さらに、可撓性シート材４は、図５に示す
ように、点字５の裏面に位置して凸部４Ａを設けること
もできる。このように、点字５の裏面に凸部４Ａを有す
る可撓性シート材４は、軽いタッチで操作ボタン３を押
すことができる特長がある。さらに、操作ボタン３の上
面に位置する凸部４Ａを介して当接するボタンを押すの
で、目的のボタンを確実に押すことができる特長もあ
る。

【００２２】さらにまた、図１と図３に示す携帯電話
は、可撓性シート材４の表面に、裏面に位置する操作ボ
タン３の位置を表示する凹凸１７を設けている。凹凸１
７は、操作ボタン３の外周に沿って設けた凸条、あるい
は溝である。凹凸１７を溝とする可撓性シート材４は、
内側に凸条が突出するので、この凸条の間に操作ボタン
３を嵌入して定位置に配設できる特長がある。

【００２３】表示窓１３は、ケース２に挿入される携帯
電話本体１の表示画面８に位置して設けられている。表
示窓１３は、操作窓１２と同様に、ケース２の表面を方
形状に切り抜いて、この部分に可撓性シート材４を縫着
あるいは接着して設けられている。表示窓１３に配設さ
れる可撓性シート材４は、透明のシート材を使用する。
透明の可撓性シート材１４は、ケース２の外部から表示
画面８の内容を見ることができるので盲人でない一般の
人も便利に使用できる特長がある。ただ、携帯電話の使
用者を盲人に限定する場合は、必ずしも表示窓を設ける
必要はない。

【００２４】スピーカー孔１４とマイク孔１５は、ケー
ス２に挿入される携帯電話本体１のスピーカー６とマイ
ク７の位置にそれぞれ対応して設けられている。スピー
カー孔１４とマイク孔１５は、表面シート２Ａを貫通す
る貫通孔で、スピーカー孔１４には複数個の貫通孔を、
マイク孔１５には１つの貫通孔を設けている。スピーカ
ー６から出力される音声と、マイク７に入力される音声
は、スピーカー孔１４とマイク孔１５によって、正確に
伝達される。

【００２５】さらに、ケースは、図６に示す構造とする
こともできる。この図に示すケース２は、合成皮革のシ
ート材を縫着して、背面が開口された箱型に成形してい
る。このケース２は、背面シート２Ｂを折曲自在に縫着
し、この背面シート２Ｂで、ケース２の背面開口部を閉
塞する。背面シート２Ｂは、先端部分にマジックテープ
１６を縫着しており、携帯電話本体１をケース２に挿入
した後、背面シート２Ｂを折曲してケース２を閉塞する
状態で側面シート２Ｃに連結する。背面シートは、図示
しないが、背面シートの端縁とケースの開口縁にチャッ
クを設けて閉塞することも、あるいは、ホックで閉塞す
ることもできる。箱型のケース２に装着される携帯電話
本体１は、上下左右をケース２の側面に押圧される状態
でケース２内の定位置に固定される。したがって、携帯
電話本体１をケース２に装着した状態で、操作ボタン３
と可撓性シート材４に設けた点字５の位置がずれにく
く、操作ボタン３を正確に操作できる特長がある。

【００２６】以上に示すケースは、合成皮革で成形され
ているが、本発明は、ケースの材質を合成皮革に特定し
ない。ケースは、天然皮革、布地、ビニール、プラスチ
ックシート等で成形することも、あるいは、これ等を積
層したシート材で成形することもできる。天然皮革のケ
ースは、高級感があり、外観を綺麗にできる特長があ
る。布地あるいはビニール製のケースは、軽くて柔らか
く、しかも、安価に製造できる特長がある。プラスチッ
クシート製のケースは、表面に直接点字を設けて簡単に
製造することもできる。とくに、ビニール及びプラスチ
ックシート製のケースは、防水製に優れている特長もあ
る。

【００２７】さらに、ケースは、硬質プラスチック等で
成形することもできる。硬質プラスチックで成形される
ケースは、ケース表面に、点字を配設した可撓性のシー
トを接着あるいは溶着して設け、この部分から携帯電話
本体を操作する。このケースは、硬い外装部分で携帯電
話本体を保護できると共に、挿入される携帯電話本体を
より確実に定位置に固定できる特長がある。

【００２８】

【発明の効果】本発明の盲人用の携帯電話は、盲人とそ
うでない人の両者が便利に使用できる特長がある。それ
は、本発明の携帯電話が、携帯電話本体を脱着自在に収
納できるケースを備え、このケースは、携帯電話本体の
操作ボタンの表面を可撓性シート材で被覆して、この可
撓性シート材の表面には、裏面に位置する操作ボタンに
対応する点字を突出して設けているからである。この構
造の携帯電話は、盲人が使用するときには、携帯電話本
体をケースに挿入し、点字が設けられた可撓性シート材
を局部的に押して、携帯電話本体の操作ボタンを操作す
る。さらに、盲人でない一般の人が使用するときのは、
ケースを取り外してあるいはケースを交換して使用す
る。したがって、簡単かつ容易に、しかも有効に、盲人
とそうでない人の両者が便利に使用できる特長がある。

【００２９】さらに、本発明の盲人用の携帯電話は、盲
人が使用するときには、携帯電話本体をケースに入れ、
可撓性シート材に設けた点字で操作するので、携帯電話
本体の操作ボタンに点字を表示する必要がない。このた
め、携帯電話本体には、すでに市販され、あるいはこれ
から開発される多種多用の携帯電話をそのまま使用でき
る特長がある。操作ボタンに点字を設けた携帯電話本体
を特別に製造することなく盲人が使用できる本発明の携
帯電話は、その数が少なくなることがなく、製造コスト
の低減が実現できる。

【００３０】さらに、本発明の請求項２に記載する携帯
電話は、可撓性シート材に操作ボタンの位置を表示する
凹凸を設けているので、何れかの操作ボタンを基準し
て、点字を識別することなく他のボタンを操作できる。
それは、携帯電話は操作ボタンの配列が決っているの
で、たとえば、「５」の操作ボタンを点字で識別し、そ
の右隣の操作ボタンを「６」、左隣を「４」と識別でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例にかかる盲人用の携帯電話の携
帯電話本体とケースの脱着状態を示す斜視図

【図２】本発明の実施例の盲人用の携帯電話の背面斜視
図

【図３】図１に示すケースの正面図

【図４】本発明の実施例にかかる可撓性シート材の点字
部分と操作ボタンを示す拡大断面図

【図５】本発明の他の実施例にかかる可撓性シート材の
点字部分と操作ボタンを示す拡大断面図

【図６】本発明の他の実施例にかかる盲人用の携帯電話
の携帯電話本体とケースの脱着状態を示す背面斜視図

【符号の説明】

１…携帯電話本体 ２…ケース ２Ａ…表面シート
２Ｂ…背面シート ２Ｃ…側面シート ２Ｄ…連結片 ３…操作ボタン ４…可撓性シート材 ４Ａ…凸部 ５…点字 ６…スピーカー ７…マイク ８…表意画面 ９…アンテナ １０…装飾片 １１…ホック １２…操作窓 １３…表示窓 １４…スピーカー孔 １５…マイク孔 １６…マジックテープ １７…凹凸

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 携帯電話本体(1)と、この携帯電話本体
   (1)が脱着自在に収納されるケース(2)とを備える盲人用
   の携帯電話において、 ケース(2)は、携帯電話本体(1)の操作ボタン(3)の表面
   を可撓性シート材(4)で被覆しており、この可撓性シー
   ト材(4)の表面には、裏面に位置する操作ボタン(3)に対
   応する点字(5)を突出して設けており、この点字(5)が設
   けられた可撓性シート材(4)を局部的に押して、携帯電
   話本体(1)の操作ボタン(3)が操作されるように構成され
   てなることを特徴とする盲人用の携帯電話。
2. 【請求項２】 可撓性シート材(4)の表面には、裏面に
   位置する操作ボタン(3)の位置を表示する凹凸(17)が設
   けられている請求項１に記載される盲人用の携帯電話。