JPH10190074A - 熱電材料の製造方法およびこれを用いた熱電素子の製造方法 - Google Patents

熱電材料の製造方法およびこれを用いた熱電素子の製造方法

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JPH10190074A
JPH10190074A JP8347920A JP34792096A JPH10190074A JP H10190074 A JPH10190074 A JP H10190074A JP 8347920 A JP8347920 A JP 8347920A JP 34792096 A JP34792096 A JP 34792096A JP H10190074 A JPH10190074 A JP H10190074A
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nozzle
plasma
thermoelectric
sectional area
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JP8347920A
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Ikuhito Aoyama
生人 青山
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Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶形態および結晶粒径を調整し、ド―ピン
グ制御が容易で製造歩留りの高い熱電材料を提供する。 【解決手段】 本発明では、断面積が徐々に小さくなる
ように構成されたガス導入部と、前記ガス導入部に接続
され、ノズル全体で最小の断面積をもつように構成され
たスロート部と、前記スロート部に接続され、所定の広
がり角をもって断面積が徐々に拡大し、最大断面積をと
るように構成されたガス噴射部とからなり、該ノズル内
を通過するガスが断熱膨張せしめられてガス噴射部から
音速よりも大きい流速で噴射されるように加速するガス
流路を構成する超音速ノズルのガス導入部に原料元素を
含む反応性ガスを供給する工程と、これを熱励起するこ
とにより、ガスラジカルを生成する工程と、前記ガスラ
ジカルを断熱膨張させて音速よりも大きい流速となるよ
うに所望の方向に加速する工程と、加速された前記ガス
ラジカルを基体の表面に向けて噴射させる工程とを具備
し前記基体表面に熱CVD(化学的気相成長)法により
熱電材料を形成するようにしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電材料の製造方
法およびこれを用いた熱電素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ペルチェ効果、あるいはエッチングスハ
ウゼン効果を利用した電子冷却素子、あるいはゼ―ベッ
ク効果を利用した熱電発電素子は、構造が簡単で、かつ
取扱いいが容易で安定な特性を維持できることから、広
範囲にわたる利用が注目されている。特に電子冷却素子
としては、局所冷却および室温付近の精密な温度制御が
可能であることから、オプトエレクトロニクス、半導体
レーザなどの恒温化などに向けて広く研究が進められて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この電子冷却に用いる
熱電材料は、通常結晶材で作られるため、量産性に問題
があり、これが汎用化を阻む問題となっている。すなわ
ち、電子冷却素子として一般に用いられる結晶材は、テ
ルル化ビスマス(Bi2Te3)、テルル化アンチモン
(Sb2Te3)および不純物としてのセレン化ビスマス
(Bi2Se3)の混晶系であるが、テルル化ビスマス、
テルル化アンチモン、セレン化ビスマスの結晶は著しい
劈開性を有しており、インゴットから熱電素子を得るた
めのスライシング、ダイシング工程等を経ると、割れや
欠けのために歩留りが極めて低くなるという問題があっ
た。このように、テルル化ビスマス、テルル化アンチモ
ン、セレン化ビスマスなどの結晶材を用いる場合、結晶
固有の劈開性が著しいため、機械での取扱いは困難であ
り、人手による取扱いに頼っているのが現状である。
【0004】そこで、機械的強度の向上のために粉末焼
結素子を形成する試みがなされている。このように結晶
としてではなく、粉末焼結体として用いると劈開性の問
題はなくなるが、焼結密度が上がらず、半田付けを行な
うと内部に半田がしみ込み性能低下をひきおこすという
問題がある。
【0005】また、粉末焼結体にすると粒界が増加し、
キャリアの移動度が低下する。このため、焼結体の電気
抵抗が増大し、ジュール熱が増加し、冷却能が低下する
という問題があった。
【0006】ところで、この熱電材料の冷却能は、物質
固有の定数であるゼーベック係数αと比抵抗ρと熱伝導
率κによって表わされる性能指数 Z(=α2/ρκ)の
大小で決まる。ここで、性能指数の大きい熱電材料を得
るためには、αが大きく、ρとκが小さい程望ましい。
ここでαは1Kの温度差を熱電材料の両端に与えたとき
に生じる熱起電力であり、キャリアとフォノンの移動に
依存する。
【0007】ρは電気伝導率σの逆数で表され、キャリ
アの移動に依存するものであるが、同時にκもまた、キ
ャリアとフォノンの移動に依存するものであり、何れも
独立パラメータではないことに注意しなければならな
い。さてこれらのパラメータは、材料そのものの組成に
依存するが、同じ組成の材料においてさえ、結晶形態や
結晶粒径にも依存する。そしてまた、多結晶体における
結晶粒界は先述した機械的強度の他に、κにも影響を及
ぼす、多結晶体における結晶粒界は、熱の大部分を運ぶ
フォノンを散逸させ、熱伝導率を低下させる効果を有す
る。よって多結晶体における結晶粒径が小さいほど、熱
電材料として性能は向上する。しかしながら、前述した
ような紛体プロセスにおいては、結晶粒の粒径制御にお
いて限界があり、10μm以下にすることが困難であっ
た。
【0008】さらに、粉末の場合、ド―ピング制御が困
難であり一定量の不純物を添加してもキャリア濃度が一
定にならないという問題があった。すなわち、粉末焼結
体を実際に製造するに際しては、同じ組成、同じ条件で
製造しても再現性よく所望の特性を得るのは極めて困難
であるという問題があった。
【0009】本発明は、前記実情に鑑みてなされたもの
で、結晶形態および結晶粒径を調整し、ド―ピング制御
が容易で製造歩留りの高い熱電材料を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明では、従来
の紛体プロセスとは異なり、原料ガスを超音速に加速す
るプロセスを用いて化学的気相成長法(CVD)を用い
ることにより、結晶粒径が小さくかつ高配向(軸方向の
揃った)多結晶体を高速成長させるようにしたことを特
徴とする。
【0011】すなわち、本発明では、断面積が徐々に小
さくなるように構成されたガス導入部と、前記ガス導入
部に接続され、ノズル全体で最小の断面積をもつように
構成されたスロート部と、前記スロート部に接続され、
所定の広がり角をもって断面積が徐々に拡大し、最大断
面積をとるように構成されたガス噴射部とからなり、該
ノズル内を通過するガスが断熱膨張せしめられてガス噴
射部から音速よりも大きい流速で噴射されるように加速
するガス流路を構成する超音速ノズルのガス導入部に、
原料元素を含む反応性ガスを供給する工程と、これを励
起することにより、ガスラジカルを生成する工程と、前
記ガスラジカルを断熱膨張させて音速よりも大きい流速
となるように所望の方向に加速する工程と、加速された
前記ガスラジカルを基体の表面に向けて噴射させる工程
とを具備し前記基体表面に熱CVD(化学的気相成長)
法により熱電材料を形成するようにしたことを特徴とす
る。
【0012】望ましくは、さらに前記基体から前記熱電
材料を引き離す工程を含むことを特徴とする。
【0013】さらに望ましくは、前記熱電材料を選択エ
ッチングによりパターニングする工程を含むことを特徴
とする。
【0014】本発明の第2では、断面積が徐々に小さく
なるように構成されたガス導入部と、前記ガス導入部に
接続され、ノズル全体で最小の断面積をもつように構成
されたスロート部と、前記スロート部に接続され、所定
の広がり角をもって断面積が徐々に拡大し、最大断面積
をとるように構成されたガス噴射部とからなり、該ノズ
ル内を通過するガスが断熱膨張せしめられてガス噴射部
から音速よりも大きい流速で噴射されるように加速する
ガス流路を構成する超音速ノズルのガス導入部に原料元
素を含む反応性ガスを供給する工程と、前記超音速ノズ
ルの流路の一部でノズル内を通過するガスをプラズマ励
起することにより、ガスプラズマを生成する工程と、前
記ガスプラズマを断熱膨張させて音速よりも大きい流速
となるように所望の方向に加速する工程と、加速された
前記ガスプラズマを前記噴射部から基体の表面に向けて
噴射させる工程とを具備し前記基体表面に熱電材料を形
成するようにしたことを特徴とする。
【0015】本発明の第3では、熱伝導性基板表面に、
第1の電極パターンを形成する工程と、前記熱伝導性基
板上に、CVD法により、P型およびN型の熱電パター
ンからなるPN素子対を形成する熱電パターン形成工程
と、この上層に第2の電極パターンを形成する工程とを
含み、前記熱電パターン形成工程が、前記原料元素を含
む反応性ガスをプラズマ励起することにより、ガスプラ
ズマを生成し、前記ガスプラズマを断熱膨張させて音速
よりも大きい流速となるように所望の方向に加速し、加
速された前記ガスプラズマを前記熱伝導性基板の電極パ
ターン上に向けて噴射させ、P型およびN型の熱電パタ
ーンをそれぞれ所望の領域に形成する工程とを具備し前
記基体表面に熱電素子を形成するようにしたことを特徴
とする。すなわち、本発明では、原料ガスを圧縮膨張さ
せ、高速で基体表面に搬送し、活性化してCVD法によ
り配向性の高い薄膜形成を行うようにしたことを特徴と
する。
【0016】本発明の方法によれば、ガスラジカルを高
速で基体表面に導くことにより、配向性が高く、信頼性
の高い熱電材料薄膜を得ることが可能となる。熱電材料
としては、ビスマス・テルル系、鉛・ゲルマニウム・テ
ルル系、シリコン・ゲルマニウム系、セレン化合物、鉄
珪化物などがあるが、これらの多結晶体では、結晶粒界
がストレスを吸収し、曲げや引っ張りに対する強度をあ
げるため、機械的強度が高い。しかしながら、多結晶構
造とはいっても異方性を有しており、結晶粒界がκを大
きく左右する。しかしながら、本発明の方法によれば、
粒径を揃え、極めて高精度で信頼性の高い薄膜形成が可
能となり、ドーピングについても、反応性ガスにドーピ
ングガスを添加するのみで、キャリア濃度を極めて再現
性よく制御することが可能となる。
【0017】このように本発明によれば、薄膜工程によ
り、熱電パターンが形成され、ドーピングガスを添加す
るのみで、ド―ピング制御が極めて容易となる。また、
粒界の分布も均一となり、粒界から発生すると考えられ
る電子も一定となるため、電子濃度の再現性も焼結法を
用いた従来の方法に比べて格段に向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】熱電素子の形成に際しては、基体
表面に上述したような熱CVDあるいはプラズマCVD
プロセスを用いて、高配向の熱電パターンを形成し、基
体を除いてチップ状に成形し、これに電極を形成するか
または、基体表面に電極パターンを形成した後、上述し
たような熱CVDあるいはプラズマCVDプロセスを用
いて、高配向の熱電パターンを形成、さらにこの上層に
電極パターンを形成する方法等により、極めて容易に信
頼性の高い熱電素子を得ることが可能となる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しつつ詳細に説明する。
【0020】まず、n型熱電材料を形成する方法につい
て説明する。この方法では、図1に示すように、ラバー
ルノズル1を用いて熱電材料薄膜を形成する。この装置
では、ノズル内を通過する反応性ガスが断熱膨張せしめ
られてノズル出口4aから音速 aよりも大きい流速uで
噴射されるように、後述する条件の下で、超音速ノズル
であるラバールノズル(末広ノズルともいう)1が構成
されている。ラバールノズル1は、中細のノズルであ
り、被処理基体としてのセラミック基板14の表面に噴
射すべき反応性ガス6( 例えばBi(Ph)3ビスマス
トリフェニル、(CH33Teジメチルテルル、 Sb
3水素化アンチモンの混合ガスが不純物ガスとしての
ハロゲンガスとともにガス導入口2a(50mmΦ)か
ら導入され、ガス進行に伴い断面積が徐々に小さくなる
よう構成されたガス導入管2と、ノズル全体で最小の断
面積A1(直径d1:16mmΦ)をなすスロート部(喉
部)3と 一定の広がり角をもって断面積が徐々に拡大
し、最大断面積A2(直径d2 :40mmΦ)のガス噴
射口4aからプラズマ流7が噴射されるガス噴射管4と
から構成されている。そして、被処理基体としてのセラ
ミック基板10は、ラバールノズル1の噴射口4aから
噴射されるプラズマ流7に対向するように支持手段(図
示せず)によって支持されている。
【0021】スロート部3の外周には、プラズマ生成手
段として誘導コイル5(コイル径:16mm、コイル巻
き数:5)が巻き付けられており、該誘導コイル5に高
周波電流が通電されるとスロート部3内に誘導電磁場が
形成され、スロート部3を通過するガスが加熱されると
ともに、プラズマ化される。
【0022】そしてさらにノズル1の出口圧P1を任意
の圧力に調整して圧力比 P1/P0を任意の値に設定す
ることができるように、少なくともノズル1の出口を、
所望の圧力P1 に制御されたチャンバー18内に、この
ノズルは配置されている。この真空チャンバ18内のエ
アは、排気ポンプ23によって排気される。そして、ガ
ス導入管2への供給ガス量は、ガス供給管16に配設さ
れたガス供給量調整用の第1の調整弁21によって調整
され、噴射プラズマ流7の出口圧P1 は、 P1調整用
の第2の調整弁22によって調整される。ガス導入管2
内の圧力P0は P0測定ゲージ19によって検出されると
ともに、ガス噴射管4の出口圧P1はP1測定ゲージ20
によって検出され、これら検出結果をフィードバック信
号として、上記各第1および第2の調整弁21、22の
調整がなされて、圧力比P1/P0が所定の値に設定され
る。なお、17は、高周波誘導コイル5に電流を通電す
る高周波電源である。
【0023】この装置を用いて図2に示すような熱電装
置を形成する。この熱電装置は、ラバールノズルを用い
たプラズマCVD法によってアルミナセラミック基板1
12の表面に薄膜プロセスを実行することにより同一チ
ャンバー内で形成されるもので、銅薄膜パターン115
からなる第1の電極と、この上層に形成されたビスマス
テルルセレン薄膜らなるP型熱電パターン113aと、
HCl(ハロゲン)ドープのビスマステルルセレン薄膜
からなるn型熱電パターン113bと、さらにこれらの
上層に貼着形成される、銅薄膜パターンからなる第2の
電極114を表面に形成した第2のアルミナセラミック
基板111とで構成されている。
【0024】製造に際しては、まず、図1に示した装置
に、アルミナセラミック基板112を設置し、ラバール
ノズルのガス導入口2aに銅錯体を含む有機金属ガスを
導入し、銅薄膜からなる第1の電極115を形成する
(図3(a))。
【0025】続いて、ラバールノズルのガス導入口2a
から、 Bi(Ph)3ビスマストリフェニル、(C
33Teジメチルテルル、 SbH3水素化アンチモン
の混合ガスを 不純物ガスとしての塩化水素ガスおよび
希釈ガスとしてのH2とともに導入し、 図3(b)に示す
ように、このアルミナセラミック基板112表面に、ビ
スマステルルセレン薄膜からなるn型熱電パターン11
3b を形成する。 続いて、Bi(Ph)3ビスマスト
リフェニル、(CH33Teジメチルテルル、SbH3
水素化アンチモンの混合ガスをH2希釈しつつ導入口 2
aに導入し、図3(c)に示すように、ビスマステルルセ
レン薄膜からなるn型熱電パターン113bと並ぶよう
に、p型熱電パターン113aを形成する。さらに図3
(d)に示すように、銅薄膜からなる第2の電極114を
形成したセラミック基板111を貼着し、図2に示した
ような熱電装置が形成される。
【0026】ここでは、熱電パターンの形成に際し、基
板温度を300℃とする。そして、ガス導入口2aから
ラバールノズル1内部に、 混合ガスを供給する。 そし
て、スロート部3においては、高周波誘導コイル5に高
周波電流(500W、13.56MHz)が流れると、
管内に誘導電磁場が発生し、この場のエネルギーによっ
て高密度のガスが、加熱され、プラズマ化される。
【0027】そして、加熱、プラズマ化された高密度ガ
スは、下流側のガス噴出管4によるノズルの広がりのた
めに膨張加速され、ガス噴射口4aから超音速のプラズ
マ流7となって噴射される。このプラズマ流7をアルミ
ナセラミック基板上に導くことによりビスマステルルセ
レン薄膜からなる熱電薄膜が形成される。
【0028】さて、気体力学の理論によれば、たとえば
2原子気体の場合、導入された反応性ガス6のよどみ圧
P0と噴射口4aの下流の圧力P1との比P1/P0が、約
0.52以下、スロート部3の断面積A1と噴射口4a
の断面積A2の比(末広比)A2/A1が1を越える場合
に、ガスが断熱膨張されて、噴射流速が超音速、つまり
音速aよりも大きい流速uとなる。
【0029】また、スロート部3の前後の広がり角α
は、あまり大きいと壁面で境界層の剥離が発生するの
で、適切な大きさ、たとえば15°程度とする必要があ
る。
【0030】スロート部3において加熱、プラズマ化さ
れた高密度の反応性ガスは、その熱によって反応性の高
い、つまり基板上において反応し易い状態に励起され
る。以上説明した現象は、一次元流体力学の理論により
次のように説明される。
【0031】すなわち、完全気体の断熱流れにおける流
体温度と流速の関係は次式により表される。
【0032】 T0=T+(1/2)・{(γ―1)/(γ・R)}・(u)2 …(1) あるいは、 T0/T=1+{(γ―1)/2}・(M)2 …(2) ここに、 T0:流れの全温度(加熱部であるスロート部3の温度
にほぼ等しい) T:流れの静温度(いわゆる温度) γ:ガスの比熱比 R:ガス定数 u:流れの流速 M:マッハ数 である。
【0033】上記(2)式は、上記(1)式をマッハ数
(u/a、a:音速)を用いて書き換えたものである。
また、マッハ数 Mは、末広比 A2/A1の関数として一
義的に決定される。
【0034】上記(1)式より断熱膨張過程では、全温
度T0の値が一定に保たれるため、流速uの増加ととと
もに、静温度Tの低下が起こることがわかる。つまり、
流れの速度が大きいほど、急速な温度低下が起こる。
【0035】また、上記(2)式より、温度比 T0/T
の値は、マッハ数Mの2乗に比例して増加する。たとえ
ば、2原子気体(γ=1.4)の場合、マッハ数M=5
のとき、温度比 T0/T=6となる。すなわち、高温に
加熱された反応性プラズマをラバールノズル1を用いて
高マッハ数まで断熱膨張加速させることにより、プラズ
マ温度Tを被処理基体に適する温度まで下げることがで
きるのがわかる。 また、このときプラズマ粒子は極め
て高速に加速されるため(たとえば、T=1500
(K)、γ=1.4、R=500(J/kgK)、M=
5の場合、u=5123(m/s)となる)、基体に到
達するまでの時間が非常に短く、プラズマは初期活性状
態をほぼ維持したまま低温で基体に到達することができ
る。
【0036】そして、この高活性度を持つ低温・高速プ
ラズマ流7は、指向性の良い粒子束として基体に供給さ
れるため、配向性が極めて高くまた、原料ガスの使用効
率が極めて高いという特徴も具備している。このよう
に、この実施例によれば、高精度で配向性の高い熱電材
料薄膜が形成され、膜厚の制御性も良好で信頼性の高い
ものとなる。
【0037】さらにまた、この装置によれば、高密度で
反応性の高いガスを、任意の温度にまで低下させて、基
体上に導くことでき、この結果作業効率のみならず膜質
を大幅に向上することができる。 なお、この実施例で
は、コイル5をスロート部3に配設しているが、これに
限定されることなくノズル1の任意の場所に設けること
ができる。
【0038】なお、前記実施例では、電極パターンもす
べてラバールノズルを用いて形成したが、電極について
は、スパッタリングを用いる等他の方法を用いてもよ
い。
【0039】また熱電材料薄膜の形成に際し、プラズマ
CVD法を用いるようにしたが、熱CVDを用いてもよ
い。さらに、これらの薄膜のパターニングに際しては、
エッチングを用いてもよいし、リフトオフ法を用いても
よい。またメタルマスクを介して成膜することにより直
接パターン形成を行うことも可能である。
【0040】さらにまた、本発明の第2の実施例とし
て、図4に示すように、基体表面に熱電材料薄膜を形成
し、形成後、基体を剥離除去することにより、熱電材料
を形成し、これに電極を形成したのち、ダイシングし、
実装するようにしてもよい。
【0041】図4(a)に示すように、 図1に示したラバ
ールノズルを用いて、基体S表面に熱電材料13aを形
成する。ついで基体を除去し、 図4(b)に示すように、
表面および裏面に銅薄膜アルミ薄膜、あるいはニッケル
薄膜14からなる電極層を形成する。
【0042】そして図4(c)に示すように、ダイシング
を行うことにより所望の大きさのチップに分割する。
【0043】このようにして順次n型およびp型の熱電
素子を形成し、熱交換基板表面に導電性接着剤等を介し
て固着することにより図2に示したような熱電装置が形
成される。
【0044】また本発明の第3の実施例として直流アー
ク法を用いた熱電装置の製造方法も有効である。チャン
バー、排気系については前記第1の実施例とまったく同
様であるが、直流アーク法においては、基板はプラズマ
化されることによって加熱しすぎるので、水冷機構を必
要とする。この方法では、水素およびアルゴンガスを直
流アークにより励起した後に原料ガスを混入し、超音速
ノズルを通して加速させ、基板に到達させる。これは原
料ガスと直流アーク陰極との反応による劣化を避けるた
めに行われる。直流アーク電流は20A、電圧は130
Vである。ここで原料ガスとしては、p型の場合、 B
i(Ph)3ビスマストリフェニル1000sccm、
(CH32Teジメチルテルル1500sccm、 H2
Seセレン化水素150sccm、の混合ガスを用い
る。また、金属錯体ガスにジエチル化合物例えば(C2
52Teあるいは(C252Zn、トリメチル化合
物例えば(CH33TeあるいはGa(CH33、ハロ
ゲン化合物例えばSeF6等を用いてもよい。一方n型
の場合、 Bi(Ph)3ビスマストリフェニル500s
ccm、(CH32Teジメチルテルル3000scc
m、 PF5五フッ化リン1500sccmを用いる。た
だしp型と同様に金属錯体ガスにジエチル化合物やジメ
チル化合物、ハロゲン化合物を用いるようにしてもよ
い。このようにしてDCアーク法でも良好な熱電薄膜が
形成される。
【0045】なお、実施例では、高周波誘導コイル5、
DCアークのプラズマ装置によってガスをプラズマ化し
ているが、ECRプラズマ、ヘリコンプラズマ,を使用
してもよいし、また熱励起法を用いるにようにしてもよ
い。
【0046】また、実施例では、被処理基体に噴射すべ
きすべてのガス6を、第1の実施例では、ノズル1の入
口である導入口2aから、そして第2の実施例では、供
給管16を介して導入口2aから供給しているが、ガス
6の供給位置としては、ガス6が加熱、プラズマ化され
る位置であるコイル5の配設位置よりもガス流路の上流
側であれば任意の位置に設けることができる。
【0047】また、半導体膜を成長させる場合、不純物
を添加する際には、ドナーあるいはアクセプタとなるド
ーピング材料を、原料ガスと混合させ、かかる混合ガス
6を、加熱、プラズマ化される位置であるコイル5より
も上流の位置から供給するようにすればよい。
【0048】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば極めて制御性良く性能指数の高い熱電装置を得ること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いられる薄膜形成装置を示
す図
【図2】本発明の第1の実施例の方法で形成される熱電
装置を示す図
【図3】同装置の製造工程図
【図4】本発明の第2の実施例の熱電素子の製造工程を
示す図
【符号の説明】
1 ラバールノズル 2 ガス導入管 3 スロート部(喉部) 4 ガス噴射管 5 高周波誘導コイル 6 反応性ガス 7 プラズマ流 16 ガス供給管 17 高周波電源 18 真空チャンバ 19 P0測定ゲージ 20 P1測定ゲージ 21 第1の調整弁 22 第2の調整弁 23 排気ポンプ 111、112 熱交換基板 113a p型熱電材料薄膜 113b n型熱電材料薄膜 114 第2の電極 115 第1の電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面積が徐々に小さくなるように構成さ
    れたガス導入部と、前記ガス導入部に接続され、ノズル
    全体で最小の断面積をもつように構成されたスロート部
    と、前記スロート部に接続され、所定の広がり角をもっ
    て断面積が徐々に拡大し、最大断面積をとるように構成
    されたガス噴射部とからなり、該ノズル内を通過するガ
    スが断熱膨張せしめられてガス噴射部から音速よりも大
    きい流速で噴射されるように加速するガス流路を構成す
    る超音速ノズルに、原料元素を含む反応性ガスを導入す
    る工程と、 このノズル内で前記反応性ガスを熱励起することによ
    り、ガスラジカルを生成する工程と、 前記ガスラジカルを断熱膨張させて音速よりも大きい流
    速となるように所望の方向に加速する工程と、 加速された前記ガスラジカルを基体の表面に向けて噴射
    させる工程とを具備し前記基体表面に熱CVD(化学的
    気相成長)法により熱電材料を形成するようにしたこと
    を特徴とする熱電材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 さらに前記基体から前記熱電材料を引き
    離す工程を含むことを特徴とする請求項1記載の熱電材
    料の製造方法。
  3. 【請求項3】 さらに前記熱電材料を選択エッチングに
    よりパターニングする工程を含むことを特徴とする請求
    項1記載の熱電材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 断面積が徐々に小さくなるように構成さ
    れたガス導入部と、前記ガス導入部に接続され、ノズル
    全体で最小の断面積をもつように構成されたスロート部
    と、前記スロート部に接続され、所定の広がり角をもっ
    て断面積が徐々に拡大し、最大断面積をとるように構成
    されたガス噴射部とからなり、該ノズル内を通過するガ
    スが断熱膨張せしめられてガス噴射部から音速よりも大
    きい流速で噴射されるように加速するガス流路を構成す
    る超音速ノズルに原料元素を含む反応性ガスを供給する
    工程と、 前記超音速ノズルの流路の一部でノズル内を通過するガ
    スをプラズマ励起することにより、ガスプラズマを生成
    する工程と、 前記ガスプラズマを断熱膨張させて音速よりも大きい流
    速となるように所望の方向に加速する工程と、 加速された前記ガスプラズマを前記噴射部から基体の表
    面に向けて噴射させる工程とを具備し、 前記基体表面にプラズマCVD(化学的気相成長)法に
    より熱電材料を形成するようにしたことを特徴とする熱
    電材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 断面積が徐々に小さくなるように構成さ
    れたガス導入部と、前記ガス導入部に接続され、ノズル
    全体で最小の断面積をもつように構成されたスロート部
    と、前記スロート部に接続され、所定の広がり角をもっ
    て断面積が徐々に拡大し、最大断面積をとるように構成
    されたガス噴射部とからなり、該ノズル内を通過するガ
    スが断熱膨張せしめられてガス噴射部から音速よりも大
    きい流速で噴射されるように加速するガス流路を構成す
    る超音速ノズルに原料元素を含む反応性ガスを供給する
    工程と、 前記超音速ノズルの流路の一部でノズル内を通過するガ
    スをプラズマ励起することにより、ガスプラズマを生成
    する工程と、 前記ガスプラズマを断熱膨張させて音速よりも大きい流
    速となるように所望の方向に加速する工程と、 加速された前記ガスプラズマを前記噴射部から基体の表
    面に向けて噴射させる工程とを具備し、 さらに基体のバイアスをプラズマに対して負に保ための
    マイナスバイアス印加電極を具備し、 前記基体表面にプラズマCVD法により熱電材料を形成
    するようにしたことを特徴とする熱電材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱伝導性基板表面に、第1の電極パター
    ンを形成する工程と、 前記熱伝導性基板上に、CVD法により、P型およびN
    型の熱電パターンからなるPN素子対を形成する熱電パ
    ターン形成工程と、 この上層に第2の電極パターンを形成する工程とを含
    み、 前記熱電層形成工程が、 前記原料元素を含む反応性ガスを励起することにより、
    ガスラジカルを生成し、前記ガスラジカルを断熱膨張さ
    せて音速よりも大きい流速となるように所望の方向に加
    速し、加速された前記ガスラジカルを前記熱伝導性基板
    の電極パターン上に向けて噴射させ、P型およびN型の
    熱電パターンをそれぞれ所望の領域に形成する工程とを
    具備しCVD法により前記基体表面に熱電素子を形成す
    るようにしたことを特徴とする熱電素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003087429A1 (en) * 2002-04-06 2003-10-23 Jung Joong Lee Automatic valve control system in plasma chemical vapor deposition system and chemical vapor deposition system for deposition of nano-scale multilayer film
CN114485896A (zh) * 2022-01-25 2022-05-13 重庆医科大学 基于聚偏氟乙烯压电薄膜的波导管声速测量装置及方法

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