JPH09306695A - プラズマ発生装置およびこれを用いた表面処理装置 - Google Patents

プラズマ発生装置およびこれを用いた表面処理装置

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JPH09306695A
JPH09306695A JP8123470A JP12347096A JPH09306695A JP H09306695 A JPH09306695 A JP H09306695A JP 8123470 A JP8123470 A JP 8123470A JP 12347096 A JP12347096 A JP 12347096A JP H09306695 A JPH09306695 A JP H09306695A
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JP
Japan
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nozzle
gas
plasma
induction coil
frequency induction
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JP8123470A
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English (en)
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Naoya Tsurumaki
直哉 鶴巻
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長寿命でかつ高効率で信頼性の高い薄膜形成
およびエッチングに適用することのできるプラズマ発生
装置を提供することを目的とする。 【解決手段】本発明の第1の特徴は、ガスを噴射するよ
うに構成されたノズル1の管壁に高周波誘導コイル5を
配設してガスプラズマを生成するように構成されたプラ
ズマ発生装置において、プラズマを生成するプラズマ生
成部が、該ノズルの中心軸とコイルの中心軸とがほぼ垂
直となるように配設せしめられていることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ発生装置
およびこれを用いた表面処理装置に係り、特に、均一な
ガスプラズマを生成することができ、長寿命化をはかる
ことのできる装置に関する。
【0002】
【従来技術】インダクションプラズマ法やDCプラズマ
ジェット法により、ガスをプラズマ化して、活性化し反
応性を高めた状態で、このプラズマ化されたガスを被処
理基体表面に向けて高速で噴射させることにより、薄膜
形成あるいはエッチングなどの表面処理を行うという技
術は既に公知であり、半導体薄膜の形成あるいはエッチ
ング等に広く利用されている。
【0003】ところで、プラズマを用いた薄膜形成を行
う場合には、プラズマ化され反応性が高められたガス
を、処理対象である被処理基体まで、超音速で短時間に
到達するように導く必要がある。これは次のような理由
による。プラズマ化されたガスを短時間で被処理基体ま
で導くことができないと、励起状態(活性状態)を維持
することができず、被処理基体と反応生成物との密着性
が低下し、反応生成物の剥離等の不都合が生じたり、ま
た、成膜速度が低下し、作業効率が低下することになる
からである。また、エッチングの場合にはエッチング速
度が低下するなどの不都合が生じることもある。
【0004】また、プラズマ化されたガスは、非常に温
度が高いため、ガスが被処理基体上に到達した時点で
は、被処理基体が耐えられる温度まで降温された状態と
なっていなければならない。仮に高温のまま到達する
と、被処理基体表面が損傷を受けるのみならず、成膜不
良が生じることもある。
【0005】また、プラズマ化された反応性ガス中への
不純物の混入を防ぐことも要求される。不純物の混入
は、膜質低下の原因となるからである。
【0006】そこで本発明者らは、上記要求を満たし、
作業効率の向上、膜質およびエッチング特性の向上をは
かることを企図した、改良構造の表面処理装置を提案し
ている。
【0007】この装置は、図9に示すように、ラバール
ノズル(末広ノズルともいう)1に高周波誘導コイルを
巻回したものである。このラバールノズル1は、断面積
が徐々に小さくなるように構成されたガス導入部2と、
ガス導入部2に接続され、ノズル全体で最小の断面積
A1(直径d1)となるように構成されたスロート部(喉
部)3と、該スロート部3に接続され、所定の広がり角
θをもって断面積が徐々に拡大し、最大断面積A2(直
径d2)となるように構成されたガス噴射部4とから構
成されている。そして、ガス導入部2の開口端のガス導
入口2aから反応性ガス6が導入されると、ガス導入部
2内では、ガスの進行に伴い断面積が徐々に小さくな
り、スロート部で安定化された後、ガス噴射部4で断熱
膨張により加速され、音速よりも大きい流速をもってプ
ラズマ化された反応性ガスが、ノズル出口4aに対向す
るように設けられた被処理基体Sに対して噴射されるよ
うにしたものである。
【0008】ここで、スロート部3の外周には、誘導コ
イル5が巻き付けられており、該誘導コイル5に高周波
電流が通電され得るようになっている。このため、誘導
コイル5に通電がなされるとスロート部3内に誘導電磁
場が形成され、高密度化されてスロート部3を通過する
ガスが加熱され、プラズマ励起される。そしてプラズマ
励起された高密度ガスは、下流側のガス噴出管4のノズ
ル径の広がりによって膨張して加速され、ガス噴射口4
aから超音速プラズマジェット7となって噴射される。
【0009】ここでは、誘導電磁場を利用した無電極の
プラズマ装置を用いているため、直流(DC)プラズマ
装置を用いた場合のように、プラズマガスと電極が直接
接触してしまい、この結果、電極の消耗に伴って電極材
料(タングステン等)がプラズマガス中に混入してしま
うようなことがなくなり、不純物の混入を防止すること
ができる。
【0010】いま、ガス導入口2aからラバールノズル
1内部に被処理基体Sに噴射すべき高密度の反応性ガス
6が供給されたものとする。すると、上述したようにス
ロート部3においては、高周波誘導コイル5に高周波電
流が通電されているため、管内に誘導電磁場が発生し、
この場のエネルギーによって高密度のガスが、加熱さ
れ、プラズマ化される。
【0011】そして、加熱、プラズマ化された高密度ガ
スは、下流側のガス噴出管4によるノズルの広がりのた
めに膨張加速され、ガス噴射口4aから超音速プラズマ
ジェット7となって被処理基体に向けて噴射される。
【0012】このような表面処理装置を用いることによ
り、作業効率の向上、膜質およびエッチング特性の向上
をはかることが可能となる。
【0013】ところで、反応性ガスを高周波誘導コイル
によりプラズマ化し、これをラバールノズルで加速して
超音速流として被処理基体に対して噴射するように構成
された前記表面処理装置において、高周波誘導コイルは
コイルの中心軸とノズルの中心軸とがほぼ同軸になるよ
うに配置されている。従ってこの装置ではコイル内部に
発生する円周電場はコイル中心軸から外側にいくに従っ
て強くなり、コイルの内側近傍でもっとも強くなる。こ
のため、図9に示した装置構成では電場のもっとも強い
領域にノズルが配置されるのでスロート部3が強く誘導
加熱されることになる。また、この表面処理装置を成膜
装置として用いる場合、ノズル出口近傍に設けられた基
板上に膜を形成することになるが、活性化された原料ガ
スがノズル内壁に接触してここにも膜が形成される。こ
の膜に導電性がある場合、図10に示すように、コイル
により誘起された円周電場によって膜に円周方向の電流
が流れ、ジュール熱が発生する。これらの熱によってノ
ズル内壁材料が消耗し、ノズルの寿命を短くしてしま
う。また、消耗したノズル材料は、原料ガスプラズマ中
に溶けこみ、基板上に形成される膜の不純物となり、膜
質を低下させることになる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このようにラバールノ
ズルのスロート部に高周波誘導コイルを配置したプラズ
マ発生装置では、コイルの内側近傍でもっとも電場が強
くなり、活性が高められるため、内壁に膜が付着しやす
いという問題があった。またエッチング装置として用い
る場合にも、ノズルの内壁が高温となり活性が高くなる
ため、ノズルが損傷を受けることがあった。
【0015】さらにまた、導電性膜を形成する場合に
は、管壁に導電性膜が付着し、円周方向に電流が流れジ
ュール熱が発生し、ノズル内壁材料が消耗し、不純物と
なって膜質低下の原因となっていた。
【0016】本発明は、前記実情に鑑みてなされたもの
で、長寿命でかつ高効率で信頼性の高い薄膜形成および
エッチングに適用することのできるプラズマ発生装置を
提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の第1の特
徴は、ガスを噴射するように構成されたノズルの外壁に
高周波誘導コイルを配設してガスプラズマを生成するよ
うに構成されたプラズマ発生装置において、前記高周波
誘導コイルが、該ノズルの中心軸とコイルの中心軸とが
ほぼ垂直となるように配設せしめられていることを特徴
とする。
【0018】また本発明の第2の特徴は、断面積が徐々
に小さくなるように構成されたガス導入部と、ガス導入
部に接続され、ノズル全体で最小の断面積をもつように
構成されたスロート部と、該スロート部に接続され、所
定の広がり角をもって断面積が徐々に拡大せしめられ、
最大断面積をとるように構成されたガス噴射部とからな
り、該ノズル内を通過するガスが断熱膨張せしめられて
ガス噴射部から音速よりも大きい流速で噴射されるよう
に加速するガス流路を構成する超音速ノズルと、前記超
音速ノズルの流路の一部でノズル内を通過するガスを加
熱、プラズマ化するプラズマ生成手段とを具備し、被処
理基体の表面にガスプラズマを噴射することにより前記
被処理基体の表面処理を行うようにした表面処理装置に
おいて、該プラズマ生成手段が、該ノズルの中心軸とコ
イルの中心軸とがほぼ垂直となるように配設せしめられ
た高周波誘導コイルで構成されていることを特徴とす
る。望ましくは、前記高周波誘導コイルは、ノズル径と
ほぼ等しい長さを短軸とするとともにノズルのプラズマ
発生領域の長さを長軸とする楕円をなすように巻回せし
められてなることを特徴とする。
【0019】また望ましくは、前記高周波誘導コイル
は、ノズルの中心軸に沿って多段構造となるように配設
せしめられてなることを特徴とする。
【0020】なお、本発明の装置において、厳密には
「断熱」状態は作り得ないが、熱の出入りを極めて少な
くした状態という意味で「断熱」という語を用いてい
る。
【0021】このようなコイル配置をとることにより、
ノズルの大部分が円周電場の比較的小さい領域に存在す
ることになるため、ノズル1の誘導加熱は低減される。
そして成膜の場合、管内壁に膜pは生成されるものの、
膜により形成される電流経路と円周電場は図4に示すよ
うに直交しており、電流は流れない。従ってジュール熱
の発生もなく、良好なプラズマ生成がなされる。
【0022】さらにまた、コイルを、ノズル径とほぼ等
しい長さを短軸としノズルのプラズマ発生領域の長さを
長軸とする楕円をなすように巻回することにより、プラ
ズマ活性領域が増大し、活性化効率が高められる。
【0023】また望ましくは、コイルを、ノズルの中心
軸に沿って多段構造となるように配設することにより、
よりプラズマ活性領域が増大し活性化効率が高められ
る。
【0024】さらにまた、前記高周波誘導コイルを、ノ
ズルの中心軸に沿って2段構造となるように配設せし
め、互いに異なる方向に巻回せしめることにより、より
均一で高効率のガスプラズマ生成をおこなうことができ
る。
【0025】また望ましくは、前記高周波誘導コイル
を、ノズルの中心軸に沿って2段構造となるように配設
せしめ、互いに等しい方向に巻回せしめることにより、
より高効率のガスプラズマ生成をおこなうことができ
る。
【0026】本発明によれば、被処理基体Sの表面に噴
射すべき反応性ガスが、プラズマ化され、反応性の高い
状態(励起状態、活性状態)となる。そして、加熱、プ
ラズマ化されたガスが超音速ノズルによって断熱膨張さ
れて音速よりも大きい流速をもつように加速されるとと
もに効率良く、プラズマ化されこの加速されたガスが被
処理基体Sの表面に向けて噴射される。こうして、加
熱、プラズマ化され高反応性状態となったガスすなわち
プラズマ流が、噴射対象である被処理基体Sまで超音
速、短時間で到達する。
【0027】この結果、高反応性状態を維持したままの
状態で、プラズマ流が被処理基体Sの表面と反応し、例
えばこの装置を成膜に用いる場合には、被処理基体Sと
反応生成物との密着性が向上するとともに、ノズル内壁
材料の消耗等という不都合を回避することが可能とな
る。また、短時間で被処理基体表面にプラズマ流が到達
するため、成膜速度が高まり、作業効率も向上すること
となる。さらに、加熱、プラズマ化されたガスの温度
は、断熱膨張によって被処理基体Sが耐えられる温度に
まで低下せしめられるため、被処理基体Sの劣化を防止
することができる。また、プラズマ生成手段をノズルの
外側に巻回した高周波誘導コイルで構成するようにすれ
ば、プラズマガスと直接接触する電極を使用することな
く、反応性ガスを加熱、プラズマ化することができ、成
膜に際しては膜質が向上する。また、エッチングに際し
ては清浄なエッチング表面を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照しつつ詳細に説明する。
【0029】本発明実施例の表面処理装置は、図1およ
び図2に概要説明図を示すように、ラバールノズル1を
用いて成膜をおこなうに際し、ノズル1の中心軸とコイ
ル5の中心軸とがほぼ垂直となるように配設せしめられ
ていることを特徴とする。この装置では、図2の下部に
A方向からみた電場強度を示すように、すべての粒子が
等しく最大電場領域を通過することができ、均一性の高
いプラズマを得ることができる。
【0030】この装置は図3(a)および(b)(図3(b)は
図3(a)の側面図)にノズルの全体図を示すように、こ
の装置では、ノズル内を通過する反応性ガスが断熱膨張
せしめられてノズル出口4aから音速 aよりも大きい流
速uで噴射されるように、後述する条件の下で、超音速
ノズルであるラバールノズル(末広ノズルともいう)1
が構成されている。
【0031】ラバールノズル1は、中細のノズルであ
り、被処理基体Sの表面に噴射すべき反応性ガス6(例
えばSiH4とH2の混合ガス)がガス導入口2a(50
mmΦ)から導入され、ガス進行に伴い断面積が徐々に
小さくなるよう構成されたガス導入管2と、ノズル全体
で最小の断面積A1(直径d1:16mmΦ)をなすスロ
ート部(喉部)3 と、所定の広がり角をもって断面積
が徐々に拡大せしめられ、最大断面積A2(直径d2:4
0mmΦ)のガス噴射口4aからプラズマ流7が噴射さ
れるガス噴射管4とから構成されている。そして、被処
理基体Sとしてのガラス基板に向けて、ラバールノズル
1の噴射口4aからプラズマ流7が噴射されるように構
成されている。
【0032】スロート部3の外側には、プラズマ生成手
段として誘導コイル5(コイル径:16mm、コイル巻
き数:3)がノズルの軸に直交するように巻回されてお
り、該誘導コイル5に高周波電流が通電されるとスロー
ト部3内に誘導電磁場が形成され、スロート部3を通過
するガスが、プラズマ化される。ここでは、誘導電磁場
を利用した無電極のプラズマ生成手段を用いているた
め、DCプラズマ装置のように、プラズマガスと電極が
直接接触してしまい、電極の消耗に伴って電極材料(タ
ングステン等)がプラズマガス中に混入してしまうよう
なこともなく、不純物の混入を防止することができる。
【0033】まず、被処理基体Sとしてガラス基板をノ
ズルのガス噴出管4の出口に設置し、基板温度を400
℃とする。そして、ガス導入口2aからラバールノズル
1内部に、SiH4とH2の混合ガス(SiH4:5scc
m、H2:500sccm)を不純物ガスとしてのB26
と共に供給する。そして、スロート部3においては、高
周波誘導コイル5に高周波電流(750W、13.56
MHz)が流れると、管内にノズル軸と直交する方向に
軸をもつ誘導電磁場が発生し、この場のエネルギーによ
って高密度のガスが、加熱され、プラズマ化される。
【0034】そして、加熱、プラズマ化された高密度ガ
スは、下流側のガス噴出管4によるノズルの広がりのた
めに膨張加速され、ガス噴射口4aから超音速のプラズ
マ流7となって噴射される。このプラズマ流7をガラス
基板s上に導くことにより多結晶シリコンp層12pが
形成される。この装置では等電界強度線がガス流と直交
するため、すべての粒子が同様に最大電場領域を通過す
ることになり、均一に活性化される。またこの時図4に
示すようにノズル1内壁にも導電性である多結晶シリコ
ンp層pは形成されるが、誘導電磁場はこの付着方向と
は直交する方向に形成されるため、この膜に誘導電流が
流れるのは防止され、従ってジュール熱の発生も抑制さ
れ、ノズル内壁材料の消耗を大幅に低減することが可能
となる。さて、気体力学の理論によれば、たとえば2原
子気体の場合、導入された反応性ガス6のよどみ圧P0
と噴射口4aの下流の圧力P1との比P1/P0が、約
0.52以下、スロート部3の断面積A1と噴射口4a
の断面積A2の比(末広比)A2/A1が1を越える場合
に、ガスが断熱膨張されて、噴射流速が超音速、つまり
音速aよりも大きい流速uとなる。
【0035】また、スロート部3の前後の広がり角α
は、あまり大きいと壁面で境界層の剥離が発生するの
で、適切な大きさ、たとえば15°程度とする必要があ
る。
【0036】スロート部3において加熱、プラズマ化さ
れた高密度の反応性ガスは、その熱によって反応性の高
い、つまりガラス基板上において反応し易い状態に励起
される。ただし、この高反応性ガスは、温度が非常に高
く、場合によっては1万数千度にも達するため、これを
ガラス基板上に噴射した場合には、ガラス基板がこの温
度に耐えられないことがある。
【0037】しかしながら、ラバールノズル1は、上述
するように内部を通過する反応性ガスが断熱膨張せしめ
られるように設計されているため、この断熱膨張過程に
おいて急冷され、ガラス基板表面に達するまでにはガラ
ス基板の劣化を生じない程度の適切な温度になる。この
ときの温度は、上記末広比A2/A1(この例では0.
4)によって決まるので、ノズル1の設計条件によって
任意の温度を得ることができる。
【0038】さらに、プラズマ流7は、超音速をもつた
め、ガラス基板に到達するまでの時間が極めて短く、ガ
ラス基板に到達するまでに、加熱、プラズマ化によって
励起された状態が元の状態に戻ってしまうことがない。
このように、いわゆる励起状態を維持したまま温度を適
温まで下げることができる。したがって、膜質を向上さ
せることができる。また、短時間で噴射が終了するた
め、成膜速度が高まり、作業効率も向上することとな
る。
【0039】以上説明した現象は、一次元流体力学の理
論により次のように説明される。
【0040】すなわち、完全気体の断熱流れにおける流
体温度と流速の関係は次式により表される。
【0041】 T0=T+(1/2)・{(γ―1)/(γ・R)}・(u)2 …(1) あるいは、 T0/T=1+{(γ―1)/2}・(M)2 …(2) ここに、 T0:流れの全温度(加熱部であるスロート部3の温度
にほぼ等しい) T:流れの静温度(いわゆる温度) γ:ガスの比熱比 R:ガス定数 u:流れの流速 M:マッハ数 である。
【0042】上記(2)式は、上記(1)式をマッハ数
(u/a、a:音速)を用いて書き換えたものである。
また、マッハ数 Mは、末広比 A2/A1の関数として一
義的に決定される。
【0043】上記(1)式より断熱膨張過程では、全温
度T0の値が一定に保たれるため、流速uの増加ととと
もに、静温度Tの低下が起こることがわかる。つまり、
流れの速度が大きいほど、急速な温度低下が起こる。
【0044】また、上記(2)式より、温度比 T0/T
の値は、マッハ数Mの2乗に比例して増加する。たとえ
ば、2原子気体(γ=1.4)の場合、マッハ数M=5
のとき、温度比 T0/T=6となる。すなわち、高温に
加熱された反応性プラズマをラバールノズル1を用いて
高マッハ数まで断熱膨張加速させることにより、プラズ
マ温度Tを被処理基体Sに適する温度まで下げることが
できるのがわかる。また、このときプラズマ粒子は極め
て高速に加速されるため(たとえば、T=1500
(K)、γ=1.4、R=500(J/kgK)、M=
5の場合、u=5123(m/s)となる)、被処理基
体S(ガラス基板)に到達するまでの時間が非常に短
く、プラズマは初期活性状態をほぼ維持したまま低温度
で被処理基体Sに到達することができる。
【0045】この装置ではノズルの軸に対してコイルの
軸を直交させるように構成しているためノズルの赤熱も
なく、膜中の酸素濃度をSIMSで測定した結果、 6.
5・1018cm-3となった。ちなみに従来の方式ではノズ
ルの赤熱があり、また、膜中の酸素濃度は2.4・10
19cm-3であった。また、この高活性度を持つ低温・高速
プラズマ流7は、指向性の良い粒子束として被処理基体
に供給されるため、反応性ガス(原料ガス)の使用効率
が極めて高いという特徴も具備している。さらにまた、
前述したようにプラズマ中に電極材料に起因する汚染が
生じることがない。
【0046】さらにまた、本発明の表面処理装置によれ
ば、高密度で反応性の高いガスを、任意の温度にまで低
下させて、被処理基体S上に導くことでき、この結果作
業効率のみならず膜質を大幅に向上することができる。
なお、この実施例では、コイル5をスロート部3の片側
に配設しているが、これに限定されることなく図5に示
すようにスロート部3の両側に対称となるようにコイル
5を配設してもよい。図6に示すように1本のコイルで
両側に位置するように配設してもよい。
【0047】配置またノズル1の任意の場所に設けるこ
とができる。
【0048】さらにまた図7(a) 乃至(c)に示すよう
に、コイル5を、ノズル径とほぼ等しい長さを短軸とし
ノズルのプラズマ発生領域の長さを長軸とする楕円をな
すように巻回する様にしてもよい。例えば、長軸を従来
のコイル径の2倍となるようにしたところシランガスの
分解活性化の度合が向上し、成膜速度が1.5倍となっ
た。
【0049】かかる構造によれば、プラズマ活性領域が
増大し、活性化効率が高められる。また、図8に示すよ
うに、コイル5を、ノズルの中心軸に沿って2段構造と
なるように配設することにより、よりプラズマ活性領域
が増大し活性化効率が高められ、図5に示した1段構造
の場合に比べ成膜速度が1.4倍に増大した。
【0050】なお、前記実施例では何れもシリコン薄膜
の形成例について説明したが、同様にして、例えばCH
4とH2の混合気体を用いれば、グラファイト薄膜、また
NH4ガスとB26ガス等を原料ガス(反応性ガス)と
して用いれば、c-BNを成膜することができる。
【0051】また、原料ガスの種類によっては、エッチ
ング、酸化、窒化等の各種表面処理を行うこともでき
る。
【0052】なお、実施例では、高周波誘導コイル5に
よってガスを加熱、プラズマ化しているが、ECRプラ
ズマ、ヘリコンプラズマ等、他の無電極のプラズマ装置
を使用してもよい。
【0053】また、被処理基体Sに噴射すべきすべての
ガス6を、第1の実施例では、ノズル1の入口である導
入口2aから、そして第2の実施例では、供給管16を
介して導入口2aから供給しているが、ガス6の供給位
置としては、ガス6が加熱、プラズマ化される位置であ
るコイル5の配設位置よりもガス流路の上流側であれば
任意の位置に設けることができる。
【0054】また、半導体膜を成長させる場合、不純物
を添加する際には、ドナーあるいはアクセプタとなるド
ーピング材料を、SiH4等のガスと混合させ、かかる混
合ガスを、加熱、プラズマ化される位置であるコイル5
よりも上流の位置から供給するようにすればよい。ただ
し、ドーピング材料のみを上記コイル5すなわちプラズ
マ生成手段の配設位置よりも下流の位置から供給しても
よい。これはドーピング材料は微量であるため、他のS
iH4等のガスが断熱膨張することを阻害することはな
い。
【0055】なお、前記実施例では、ラバールノズルに
ついて説明したが、 直管構造のノズルを用いてもよいこ
とはいうまでもない。
【0056】加えて、前記実施例では、成膜装置につい
て説明したが、成膜に限定されることなく、エッチング
にも適用可能であることはいうまでもない。エッチング
に際しては、下地材料に損傷を与えることなく、高効率
のエッチングを達成することが可能となる。
【0057】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、極めて制御性良く膜質の良好な成膜をおこなうこと
ができるとともに、エッチングの場合には下地に損傷を
与えることなくかつ制御性良くエッチングをおこなうこ
とができ、極めて長寿命のプラズマ発生装置を提供する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ発生装置の概念図
【図2】同説明図
【図3】同装置を用いた表面処理装置の断面図および側
面図
【図4】同装置のノズル内壁説明図
【図5】本発明の他の実施例の表面処理装置を示す図
【図6】本発明の他の実施例の表面処理装置を示す図
【図7】本発明の他の実施例の表面処理装置を示す図
【図8】本発明の他の実施例の表面処理装置を示す図
【図9】従来例の表面処理装置を示す図
【図10】従来例の表面処理装置のノズル内壁を示す図
【符号の説明】
1 ラバールノズル 2 ガス導入管 3 スロート部(喉部) 4 ガス噴射管 5 高周波誘導コイル 6 反応性ガス 7 プラズマ流 s 被処理基体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部を通過した反応性ガスを一端から噴
    射するように構成されたノズルの外壁に高周波誘導コイ
    ルを配設して前記ノズルを通過する反応性ガスをプラズ
    マ励起しガスプラズマを生成するように構成されたプラ
    ズマ発生装置において、 前記高周波誘導コイルが、該ノズルの中心軸と前記コイ
    ルの中心軸とがほぼ垂直となるように配設せしめられて
    いることを特徴とするプラズマ発生装置。
  2. 【請求項2】 断面積が徐々に小さくなるように構成さ
    れたガス導入部と、ガス導入部に接続され、ノズル全体
    で最小の断面積をもつように構成されたスロート部と、
    該スロート部に接続され、所定の広がり角をもって断面
    積が徐々に拡大せしめられ、最大断面積をとるように構
    成されたガス噴射部とからなり、該ノズル内を通過する
    ガスが断熱膨張せしめられてガス噴射部から音速よりも
    大きい流速で噴射されるように加速するガス流路を構成
    する超音速ノズルと、前記超音速ノズルの流路の一部で
    ノズル内を通過するガスを加熱、プラズマ化するプラズ
    マ生成手段とを具備し、被処理基体の表面にガスプラズ
    マを噴射することにより前記被処理基体の表面処理を行
    うようにした表面処理装置において、 前記プラズマ生成手段が、該ノズルの中心軸とコイルの
    中心軸とがほぼ垂直となるように配設せしめられた高周
    波誘導コイルから構成されていることを特徴とする表面
    処理装置。
  3. 【請求項3】 前記高周波誘導コイルは、ノズル径とほ
    ぼ等しい長さを短軸とするとともにノズルのプラズマ発
    生領域の長さを長軸とする楕円をなすように巻回せしめ
    られてなることを特徴とする請求項2記載の表面処理装
    置。
  4. 【請求項4】 前記高周波誘導コイルは、ノズルの中心
    軸に沿って多段構造となるように配設せしめられたこと
    を特徴とする請求項2記載の表面処理装置。
  5. 【請求項5】 前記高周波誘導コイルは、ノズルの中心
    軸に沿って2段構造となるように配設せしめられ、各段
    が互いに異なる方向に巻回せしめられてなることを特徴
    とする請求項4記載の表面処理装置。
  6. 【請求項6】 前記高周波誘導コイルは、ノズルの中心
    軸に沿って2段構造となるように配設せしめられ、各段
    が互いに等しい方向に巻回せしめられてなることを特徴
    とする請求項4記載の表面処理装置。
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