JPH09299786A - 表面処理装置 - Google Patents

表面処理装置

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JPH09299786A
JPH09299786A JP8123469A JP12346996A JPH09299786A JP H09299786 A JPH09299786 A JP H09299786A JP 8123469 A JP8123469 A JP 8123469A JP 12346996 A JP12346996 A JP 12346996A JP H09299786 A JPH09299786 A JP H09299786A
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JP
Japan
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gas
nozzle
plasma
substrate
sectional area
Prior art date
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Application number
JP8123469A
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English (en)
Inventor
Naoya Tsurumaki
直哉 鶴巻
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一かつ高効率で信頼性の高い薄膜形成およ
びエッチングに適用することのできるプラズマ発生装置
を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の第1の特徴は、内部を通過した
反応性ガスを一端から噴射するように構成されたノズル
1と、前記ノズルの流路の一部を通過する反応性ガスを
プラズマ励起し、ガスプラズマを生成するプラズマ生成
手段5とを具備し、被処理基体の表面に前記ガスプラズ
マを噴射することにより前記被処理基体の表面処理を行
うようにした表面処理装置において、前記プラズマ生成
手段近傍あるいはこれよりも上流側に、前記反応性ガス
にノズルの中心軸から円周方向に向かう旋回流を生成す
る旋回流生成手段8を配設したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理装置に係
り、特に、均一なガスプラズマを生成し、表面処理の均
一化をはかるようにした表面処理装置に関する。
【0002】
【従来技術】インダクションプラズマ法やDCプラズマ
ジェット法により、ガスをプラズマ化して、活性化し反
応性を高めた状態で、このプラズマ化されたガスを被処
理基体表面に向けて高速で噴射させることにより、薄膜
形成あるいはエッチングなどの表面処理を行うという技
術は既に公知であり、半導体薄膜の形成あるいはエッチ
ング等に広く利用されている。
【0003】ところで、プラズマを用いた薄膜形成を行
う場合には、プラズマ化され反応性が高められたガス
を、処理対象である被処理基体まで、超音速で短時間に
到達するように導く必要がある。これは次のような理由
による。プラズマ化されたガスを短時間で被処理基体ま
で導くことができないと、励起状態(活性状態)を維持
することができず、被処理基体と反応生成物との密着性
が低下し、反応生成物の剥離等の不都合が生じたり、ま
た、成膜速度が低下し、作業効率が低下することになる
からである。また、エッチングの場合にはエッチング速
度が低下するなどの不都合が生じることもある。
【0004】また、プラズマ化されたガスは、非常に温
度が高いため、ガスが被処理基体上に到達した時点で
は、被処理基体が耐え得る温度まで降温された状態とな
っていなければならない。仮に、高温のまま被処理基体
表面に到達すると、被処理基体表面が損傷を受けるのみ
ならず、成膜不良が生じることもある。
【0005】また、プラズマ化された反応性ガス中への
不純物の混入を防ぐことも要求される。不純物の混入
は、膜質低下の原因となるからである。
【0006】そこで本発明者らは、上記要求を満たし、
作業効率の向上、膜質およびエッチング特性の向上をは
かることを企図した、改良構造の表面処理装置を提案し
ている。
【0007】この装置は、図5に示すように、ラバール
ノズル(末広ノズルともいう)1に高周波誘導コイルを
巻回したものである。このラバールノズル1は、断面積
が徐々に小さくなるように構成されたガス導入部2と、
ガス導入部2に接続され、ノズル全体で最小の断面積
A1(直径d1)となるように構成されたスロート部(喉
部)3と、該スロート部3に接続され、所定の広がり角
をもって断面積が徐々に拡大し、最大断面積A2(直径
d2)となるように構成されたガス噴射部4とから構成
されている。そして、ガス導入部2の開口端のガス導入
口2aから反応性ガス6が導入されると、ガス導入部2
内では、ガスの進行に伴い断面積が徐々に小さくなり、
スロート部で安定化された後、ガス噴射部4で断熱膨張
により加速され、音速よりも大きい流速をもってプラズ
マ化された反応性ガスが、ノズル出口4aに対向するよ
うに設けられた被処理基体Sに対して噴射されるように
したものである。
【0008】ここで、スロート部3の外周には、誘導コ
イル5が巻き付けられており、該誘導コイル5に高周波
電流が通電され得るようになっている。このため、誘導
コイル5に通電がなされるとスロート部3内に誘導電磁
場が形成され、高密度化されてスロート部3を通過する
ガスが加熱され、プラズマ励起される。そしてプラズマ
励起された高密度ガスは、下流側のガス噴出管4のノズ
ル径の広がりによって膨張して加速され、ガス噴射口4
aから超音速プラズマジェット7となって噴射される。
【0009】ここでは、誘導電磁場を利用した無電極の
プラズマ装置を用いているため、直流(DC)プラズマ
装置を用いた場合のように、プラズマガスと電極が直接
接触してしまい、この結果、電極の消耗に伴って電極材
料(タングステン等)がプラズマガス中に混入してしま
うようなことがなくなり、不純物の混入を防止すること
ができる。
【0010】いま、ガス導入口2aからラバールノズル
1内部に被処理基体Sに噴射すべき高密度の混合ガス6
が供給されたものとする。すると、上述したようにスロ
ート部3においては、高周波誘導コイル5に高周波電流
が通電されているため、管内に誘導電磁場が発生し、こ
の場のエネルギーによって高密度のガスが、加熱され、
プラズマ化される。
【0011】そして、加熱、プラズマ化された高密度ガ
スは、下流側のガス噴出管4によるノズルの広がりのた
めに膨張加速され、ガス噴射口4aから超音速プラズマ
ジェット(プラズマ流)7となって被処理基体に向けて
噴射される。
【0012】このような表面処理装置を用いることによ
り、作業効率の向上、膜質およびエッチング特性の向上
をはかることが可能となる。
【0013】ところで、反応性ガスを高周波誘導コイル
によりプラズマ化し、これをラバールノズルで加速して
超音速流として被処理基体に対して噴射するように構成
された前記表面処理装置においては、ノズル出口下流で
活性種がノズル中心部から外側へ拡散し、その密度がノ
ズル中心軸上で最大になり、端にいく程小さくなるとい
う現象がおきる。この表面処理装置を成膜に用いる場合
には、ノズル出口の中心部で膜厚が最大になり、端にい
く程薄くなるという現象が発生し、膜厚のみならず膜質
も不均一となることがあった。この問題は、成膜のみな
らず、エッチングや表面改質等においても発生してい
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このようにラバールノ
ズルのスロート部等に高周波誘導コイルを配置した表面
処理装置では、ノズル出口下流で活性種がノズル中心部
から外側へ拡散し、その密度がノズル中心軸上で最大に
なり、端にいく程小さくなるという現象がおきるため、
成膜速度あるいはエッチング速度などの処理速度のみな
らず得られる膜質等も不均一となることがあった。本発
明は、前記実情に鑑みてなされたもので、均一でかつ高
効率の薄膜形成およびエッチングに適用することのでき
る表面処理装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の第1の特
徴は、内部を通過した反応性ガスを一端から噴射するよ
うに構成されたノズルと、前記ノズルの流路の一部を通
過する反応性ガスをプラズマ励起し、ガスプラズマを生
成するプラズマ生成手段とを具備し、被処理基体の表面
に前記ガスプラズマを噴射することにより前記被処理基
体の表面処理を行うようにした表面処理装置において、
前記プラズマ生成手段近傍あるいは前記プラズマ生成手
段よりも上流側に旋回流生成手段を配設し、前記反応性
ガスにノズルの中心軸から円周方向に向かう旋回力を付
与し旋回流を生成するようにしたことにある。
【0016】また本発明の第2の特徴は、断面積が徐々
に小さくなるように構成されたガス導入部と、ガス導入
部に接続され、ノズル全体で最小の断面積をもつように
構成されたスロート部と、該スロート部に接続され、所
定の広がり角をもって断面積が徐々に拡大し、最大断面
積をとるように構成されたガス噴射部とからなり、該ノ
ズル内を通過するガスが断熱膨張せしめられてガス噴射
部から音速よりも大きい流速で噴射されるように加速す
るガス流路を構成する超音速ノズルと、前記超音速ノズ
ルの流路の一部でノズル内を通過するガスをプラズマ励
起するプラズマ生成手段とを具備し、被処理基体の表面
にガスプラズマを噴射することにより前記被処理基体の
表面処理を行うようにした表面処理装置において、前記
プラズマ生成手段近傍あるいは前記プラズマ生成手段よ
りも上流側に、前記反応性ガスにノズルの中心軸から円
周方向に向かう旋回力を付与し旋回流を生成する旋回流
生成手段を配設したことにある。
【0017】なお、本発明の装置において、厳密には
「断熱」状態は作り得ないが、熱の出入りを極めて少な
くした状態という意味で「断熱」という語を用いてい
る。
【0018】このようにプラズマ活性化領域あるいはそ
れよりも上流側でノズルの中心軸に垂直な断面の円周方
向あるいはそれを含む方向に反応性ガスを噴射し、反応
性ガスをノズル内面に沿った旋回流として供給する。こ
のように反応性ガス流が旋回成分をもつと、遠心力によ
ってガス粒子はノズル内壁に押し遣られる。このためガ
ス粒子密度、活性種密度はノズル中心軸上で小さく、端
にいく程大きくなる。このため前述したノズル出口下流
で活性種がノズル中心部から外側へ散逸する現象(散逸
効果)を補償することになり、結果として均一な膜厚を
得ることができるようになる。
【0019】また、高周波コイルにより生成される円周
電場はノズル中心軸上で小さく、端にいく程大きくなる
ので、より多くのガス粒子が強い電場領域に存在するこ
とにになり、投入パワーが有効に利用される。その結果
反応性ガスの活性度が高くなり、表面処理速度が高めら
れ、良好な処理をおこなうことが可能となる。
【0020】さらにまたノズル内壁面でのガス粒子密度
が高くなるので、誘導加熱されるノズルの冷却効果も高
められることになり、ノズル保護にも役立つ。
【0021】また、誘導電磁場を形成する高周波コイル
を、ノズルの中心軸とコイルの中心軸とがほぼ垂直とな
るように配設せしめるようにすれば、すべての粒子が等
しく最大電場領域を通過することができ、均一性の高い
ガスプラズマを得ることができる。また、このようなコ
イル配置をとることにより、ノズルの大部分が円周電場
の比較的小さい領域に存在することになるため、ノズル
の誘導加熱は低減される。そして成膜の場合、管内壁に
膜pは生成されるものの、膜により形成される電流経路
と円周電場は図4に示すように直交しており、電流は流
れない。従ってジュール熱の発生もなく、良好なプラズ
マ生成がなされる。
【0022】さらにまた、コイルを、ノズル径とほぼ等
しい長さを短軸としノズルのプラズマ発生領域の長さを
長軸とする楕円をなすように巻回することにより、プラ
ズマ活性領域が増大し、活性化効率が高められる。
【0023】また望ましくは、コイルを、ノズルの中心
軸に沿って多段構造となるように配設することにより、
よりプラズマ活性領域が増大し活性化効率が高められ
る。
【0024】本発明によれば、被処理基体Sの表面に噴
射すべき反応性ガスが、プラズマ化され、反応性の高い
状態(励起状態、活性状態)となる。そして、加熱、プ
ラズマ化されたガスが超音速ノズルによって断熱膨張さ
れて音速よりも大きい流速をもつように加速されるとと
もに効率良く、プラズマ化されこの加速されたガスが被
処理基体Sの表面に向けて噴射される。こうして、加
熱、プラズマ化され高反応性状態となったガスすなわち
プラズマ流が、噴射対象である被処理基体Sまで短時間
で到達する。
【0025】この結果、高い反応性状態を維持したまま
の状態で、プラズマ流が被処理基体Sの表面と反応し、
例えばこの装置を成膜に用いる場合には、被処理基体S
と反応生成物との密着性が向上するとともに、ノズル内
壁材料の消耗等という不都合を回避することが可能とな
る。また、短時間で被処理基体表面にプラズマ流が到達
するため、成膜速度が高まり、作業効率も向上すること
となる。さらに、加熱、プラズマ化されたガスの温度
は、断熱膨張によって被処理基体Sが耐えられる温度に
まで低下せしめられるため、被処理基体Sの劣化を防止
することができる。 また、プラズマ生成手段をノズル
の外側に巻回した高周波誘導コイルで構成するようにす
れば、プラズマガスと直接接触する電極を使用すること
なく、反応性ガスを加熱、プラズマ化することができ、
成膜に際しては膜質が向上する。また、エッチングに際
しては清浄なエッチング表面を得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】本発明実施例の表面処理装置は、図1およ
び図2に示すように、ラバールノズル1を用いて形成し
たガスプラズマにより成膜をおこなうに際し、ノズルの
中心軸に垂直な断面の円周方向に反応性ガス6を噴射
し、反応性ガス6をノズル内面に沿った旋回流として供
給するスワラー8をガス導入管2の近傍に配設したこと
を特徴とする。このスワラー8は、図2に断面拡大図を
示すように、ノズルの中心軸方向からノズル内壁の接線
方向に向かう孔径2mmの孔hを4個具備しており、か
かる構成により、ガス供給口2aから供給された反応性
ガス6はスワラー8の孔hをとおって円周方向に噴射せ
しめられ、円周に沿った旋回流となる。
【0028】この装置では、ノズル内を通過する反応性
ガスが断熱膨張せしめられてノズル出口4aから音速 a
よりも大きい流速uで噴射されるように、後述する条件
の下で、超音速ノズルであるラバールノズル(末広ノズ
ルともいう)1が構成されている。
【0029】ラバールノズル1は、中細のノズルであ
り、被処理基体Sの表面に噴射すべき反応性ガス6(例
えばSiH4とH2の混合ガス)がガス導入口2a(50
mmΦ)から導入され、ガス進行に伴い断面積が徐々に
小さくなるよう構成されたガス導入管2と、ノズル全体
で最小の断面積A1(直径d1:16mmΦ)をなすスロ
ート部(喉部)3 と、所定の広がり角をもって断面積
が徐々に拡大し、 最大断面積A2(直径d2:40mm
Φ)のガス噴射口4aからプラズマ流7が噴射されるガ
ス噴射管4とから構成されている。そして、被処理基体
Sとしてのガラス基板に向けて、ラバールノズル1の噴
射口4aからプラズマ流7が噴射されるように構成され
ている。
【0030】この装置では、スワラーを用いているた
め、反応性ガス6は旋回成分をもつ。従って、この遠心
力によってガス粒子はノズル内壁に押し遣られ、ガス粒
子密度、活性種密度はノズル中心軸上で小さく、端にい
く程大きくなる。このため、ノズル出口下流で活性種が
ノズル中心部から外側へ散逸する現象(散逸効果)を補
償することになり、成膜に用いた場合には、結果として
均一な膜厚を得ることができるようになる。またエッチ
ングに用いた場合にも均一なエッチングをおこなうこと
が可能となる。
【0031】また、高周波コイルにより生成される円周
電場はノズル中心軸上で小さく、端にいく程大きくなる
ので、より多くのガス粒子が強い電場領域に存在するこ
とにになり、投入パワーが有効に利用される。その結果
反応性ガスの活性度が高くなり、表面処理速度が高めら
れ、良好な処理をおこなうことが可能となる。
【0032】さらにまたノズル内壁面でのガス粒子密度
が高くなるので、誘導加熱されるノズルの冷却効果も高
められることになり、ノズル保護にも役立つ。
【0033】スロート部3の外側には、プラズマ生成手
段として誘導コイル5(コイル径:16mm、コイル巻
き数:5)が巻回されており、該誘導コイル5に高周波
電流が通電されるとスロート部3内に誘導電磁場が形成
され、スロート部3を通過するガスが加熱されるととも
に、プラズマ化される。ここでは、誘導電磁場を利用し
た無電極のプラズマ生成手段を用いているため、DCプ
ラズマ装置のように、プラズマガスと電極が直接接触し
てしまい、電極の消耗に伴って電極材料(タングステン
等)がプラズマガス中に混入してしまうようなこともな
く、不純物の混入を防止することができる。
【0034】まず、被処理基体Sとしてガラス基板をノ
ズルのガス噴出管4の出口に設置し、基板温度を400
℃とする。そして、ガス導入口2aからラバールノズル
1内部に、SiH4とH2の混合ガス(SiH4:5scc
m、H2:500sccm)を不純物ガスとしてのB26
と共に供給する。そして、スロート部3においては、高
周波誘導コイル5に高周波電流(750W、13.56
MHz)が流れると、管内にノズル軸と直交する方向に
軸をもつ誘導電磁場が発生し、この場のエネルギーによ
って高密度のガスが、加熱され、プラズマ化される。
【0035】そして、加熱、プラズマ化された高密度ガ
スは、下流側のガス噴出管4によるノズルの広がりのた
めに膨張加速され、ガス噴射口4aから超音速のプラズ
マ流7となって噴射される。このプラズマ流7をガラス
基板s上に導くことにより均一な膜厚の多結晶シリコン
層が形成される。
【0036】スワラーを設けない従来方式の装置では中
心部の膜厚と端部の膜厚との比が1:0.6であったの
に対し、この装置では1:0.95とほぼ均一となって
いることがわかる。
【0037】さて、気体力学の理論によれば、たとえば
2原子気体の場合、導入された反応性ガス6のよどみ圧
P0と噴射口4aの下流の圧力P1との比P1/P0が、約
0.52以下、スロート部3の断面積A1と噴射口4a
の断面積A2の比(末広比)A2/A1が1を越える場合
に、ガスが断熱膨張されて、噴射流速が超音速、つまり
音速aよりも大きい流速uとなる。
【0038】また、スロート部3の前後の広がり角は、
あまり大きいと壁面で境界層の剥離が発生するので、適
切な大きさ、たとえば15°程度とする必要がある。
【0039】スロート部3において加熱、プラズマ化さ
れた高密度の反応性ガスは、その熱によって反応性の高
い、つまりガラス基板上において反応し易い状態に励起
される。ただし、この高反応性ガスは、温度が非常に高
く、場合によっては1万数千度にも達するため、これを
ガラス基板上に噴射した場合には、ガラス基板がこの温
度に耐えられないことがある。
【0040】しかしながら、ラバールノズル1は、上述
するように内部を通過する反応性ガスが断熱膨張せしめ
られるように設計されているため、この断熱膨張過程に
おいて急冷され、ガラス基板表面に達するまでにはガラ
ス基板の劣化を生じない程度の適切な温度になる。この
ときの温度は、上記末広比A2/A1(この例では0.
4)によって決まるので、ノズル1の設計条件によって
任意の温度を得ることができる。
【0041】さらに、プラズマ流7は、超音速をもつた
め、ガラス基板に到達するまでの時間が極めて短く、ガ
ラス基板に到達するまでに、加熱、プラズマ化によって
励起された状態が元の状態に戻ってしまうことがない。
このように、いわゆる励起状態を維持したまま温度を適
温まで下げることができる。したがって、膜質を向上さ
せることができる。また、短時間で噴射が終了するた
め、成膜速度が高まり、作業効率も向上することとな
る。
【0042】以上説明した現象は、一次元流体力学の理
論により次のように説明される。
【0043】すなわち、完全気体の断熱流れにおける流
体温度と流速の関係は次式により表される。
【0044】 T0=T+(1/2)・{(γ―1)/(γ・R)}・(u)2 …(1) あるいは、 T0/T=1+{(γ―1)/2}・(M)2 …(2) ここに、 T0:流れの全温度(加熱部であるスロート部3の温度
にほぼ等しい) T:流れの静温度(いわゆる温度) γ:ガスの比熱比 R:ガス定数 u:流れの流速 M:マッハ数 である。
【0045】上記(2)式は、上記(1)式をマッハ数
(u/a、a:音速)を用いて書き換えたものである。
また、マッハ数 Mは、末広比 A2/A1の関数として一
義的に決定される。
【0046】上記(1)式より断熱膨張過程では、全温
度T0の値が一定に保たれるため、流速uの増加ととと
もに、静温度Tの低下が起こることがわかる。つまり、
流れの速度が大きいほど、急速な温度低下が起こる。
【0047】また、上記(2)式より、温度比 T0/T
の値は、マッハ数Mの2乗に比例して増加する。たとえ
ば、2原子気体(γ=1.4)の場合、マッハ数M=5
のとき、温度比 T0/T=6となる。すなわち、高温に
加熱された反応性プラズマをラバールノズル1を用いて
高マッハ数まで断熱膨張加速させることにより、プラズ
マ温度Tを被処理基体Sに適する温度まで下げることが
できるのがわかる。また、このときプラズマ粒子は極め
て高速に加速されるため(たとえば、T=1500
(K)、γ=1.4、R=500(J/kgK)、M=
5の場合、u=5123(m/s)となる)、被処理基
体S(ガラス基板)に到達するまでの時間が非常に短
く、プラズマは初期活性状態をほぼ維持したまま低温度
で被処理基体Sに到達することができる。
【0048】前述した装置ではノズルをスロート部3に
巻回したが、図3(a)および(b)に示すように、ノズルの
軸に対してコイルの軸を直交させるように構成しても良
く、これにより、ガス流が旋回成分をもつと共に、等電
界強度線がガス流と直交するため、すべての粒子が同様
に最大電場領域を通過することになり、より均一に活性
化される。さらにまたスワラー8はスロート部3の端部
に配設してもよい。またこの時図4にノズルの断面説明
図を示すようにノズル1内壁にも導電性である多結晶シ
リコン層pは形成されるが、誘導電磁場はこの付着方向
とは直交する方向に形成されるため、この膜に誘導電流
が流れるのは防止され、従ってジュール熱の発生も抑制
され、ノズル内壁材料の消耗を大幅に低減することが可
能となる。
【0049】さらにまた、本発明の表面処理装置によれ
ば、高密度で反応性の高いガスを、任意の温度にまで低
下させて、被処理基体S上に導くことでき、この結果作
業効率のみならず膜質を大幅に向上することができる。
なお、前記実施例では多結晶シリコン薄膜の形成例につ
いて説明したが、同様にして、例えばCH4とH2の混合
気体を用いれば、グラファイト薄膜、またNH4ガスと
26ガス等を原料ガス(反応性ガス)として用いれ
ば、c-BNを成膜することができる。
【0050】また、反応性ガスを変えることにより、同
様の装置を用いて、エッチング、酸化、窒化等の各種表
面処理を行うこともできる。
【0051】なお、実施例では、高周波誘導コイル5に
よってガスを加熱、プラズマ化しているが、ECRプラ
ズマ、ヘリコンプラズマ等、他の無電極のプラズマ装置
を使用してもよい。
【0052】また、図1に示した実施例では、被処理基
体Sに噴射すべきすべてのガス6を、導入口2aから供
給しているが、スワラーを配設してガスを供給する位置
としては、図3に示すようにスロート部3でも良く、ガ
スが、加熱、プラズマ化される位置であるコイル5の配
設位置よりもガス流路の上流側であれば、任意の位置に
設けることができる。
【0053】加えて、前記実施例では、成膜方法につい
て説明したが、成膜に限定されることなく、エッチング
にも適用可能であることはいうまでもない。エッチング
に際しては、下地材料に損傷を与えることなく、高効率
のエッチングを達成することが可能となる。
【0054】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、極めて制御性良く膜質が良好で均一な成膜をおこな
うことができるとともに、エッチングの場合には下地に
損傷を与えることなくかつ制御性良く均一なエッチング
をおこなうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の表面処理装置を示す図
【図2】同断面拡大図
【図3】本発明の他の実施例の表面処理装置の断面図お
よび側面図
【図4】同装置のノズル内壁説明図
【図5】従来例の表面処理装置を示す図
【符号の説明】
1 ラバールノズル 2 ガス導入管 3 スロート部(喉部) 4 ガス噴射管 5 誘導コイル 6 ガス 7 プラズマ流 S 被処理基体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部を通過した反応性ガスを一端から噴
    射するように構成されたノズルと、前記ノズルの流路の
    一部を通過する反応性ガスをプラズマ励起し、ガスプラ
    ズマを生成するプラズマ生成手段とを具備し、被処理基
    体の表面に前記ガスプラズマを噴射することにより前記
    被処理基体の表面処理を行うようにした表面処理装置に
    おいて、 前記プラズマ生成手段近傍あるいは前記プラズマ生成手
    段よりも上流側に旋回流生成手段を配設し、 前記反応性ガスにノズルの中心軸から円周方向に向かう
    旋回力を付与し旋回流を生成するようにしたことを特徴
    とする表面処理装置。
  2. 【請求項2】 断面積が徐々に小さくなるように構成さ
    れたガス導入部と、ガス導入部に接続され、ノズル全体
    で最小の断面積をもつように構成されたスロート部と、
    該スロート部に接続され、所定の広がり角をもって断面
    積が徐々に拡大し、最大断面積をとるように構成された
    ガス噴射部とからなり、該ノズル内を通過するガスが断
    熱膨張せしめられてガス噴射部から音速よりも大きい流
    速で噴射されるように加速するガス流路を構成する超音
    速ノズルと、前記超音速ノズルの流路の一部でノズル内
    を通過するガスをプラズマ励起するプラズマ生成手段と
    を具備し、被処理基体の表面にガスプラズマを噴射する
    ことにより前記被処理基体の表面処理を行うようにした
    表面処理装置において、 前記プラズマ生成手段近傍あるいは前記プラズマ生成手
    段よりも上流側に、前記反応性ガスにノズルの中心軸か
    ら円周方向に向かう旋回力を付与し旋回流を生成する旋
    回流生成手段を配設したことを特徴とする表面処理装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2442990A (en) * 2004-10-04 2008-04-23 C Tech Innovation Ltd Microwave plasma apparatus
CN114051306A (zh) * 2021-11-15 2022-02-15 安徽工业大学 一种束流直径可调的大气压等离子体射流发生器及使用方法

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CN114051306B (zh) * 2021-11-15 2024-02-06 安徽工业大学 一种束流直径可调的大气压等离子体射流发生器及使用方法

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