JPH10188379A - 光磁気記録媒体、及びその再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体、及びその再生方法

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JPH10188379A
JPH10188379A JP9034709A JP3470997A JPH10188379A JP H10188379 A JPH10188379 A JP H10188379A JP 9034709 A JP9034709 A JP 9034709A JP 3470997 A JP3470997 A JP 3470997A JP H10188379 A JPH10188379 A JP H10188379A
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JP9034709A
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Masahiro Furuta
正寛 古田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな再生磁界で磁気超解像再生を可能と
し、C/N値が高く、記録速度が速く、高密度記録した
情報を確実に再生することが可能なダブルマスクタイプ
の磁気超解像再生が可能な光磁気記録媒体及びその再生
方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも再生層、再生スイッチング
層、及びメモリー層の順に3層の磁性層を有し、前記各
層は希土類金属及び遷移金属を主体とする磁性体からな
る光磁気記録媒体において、再生スイッチング層は、所
定の温度以下では面内磁化し、前記所定の温度以上では
垂直磁化し、かつ、厚さを30nm以上とすることで、再生
磁界の強さを抑えた磁気超解像可能な光磁気記録媒体と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気記録媒体、
及びその再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高密度に情報を記録することが可能で、
かつ、高速に再生することが可能な光記録媒体は、オー
ディオや画像の用途、更にコンピュータ用の記録媒体と
して注目されている。再生専用のCDはオーディオ用と
して広く普及し、また、近年になってコンピュータ用と
しても急速に普及が広がっている。また、1回のみ情報
の記録が可能なライトワンスタイプや、一旦記録した情
報を何度も書換えることが可能な書き換え可能タイプ
(re-writableタイプ)も普及してきている。特に、書
き換え可能タイプの1種である光磁気記録媒体は、100
万回以上の情報の書き換えが可能であり、主としてコン
ピュータ用の記録媒体として普及が進んでいる。
【0003】この光磁気記録再生方法で使用されるオー
バーライト可能な光磁気記録媒体は、情報を記録するた
めの層として、垂直磁気異方性(perpendicular magneti
c layer or layers) を有する多層の磁性層からなる。
この磁性層は、例えば非晶質のTbFe、TbFeCo、GdFe、Gd
FeCo、DyFe、DyFeCo等のように、希土類金属−遷移金属
非晶質合金からなり、磁性層内部においては、希土類金
属の磁化(RE副格子磁化)と遷移金属の磁化(TM副
格子磁化)が互いに反対向きとなっている。これら2つ
の副格子磁化の差が、磁性層としての磁化の大きさと方
向を表わす。RE副格子磁化の方がTM副格子磁化より
大きい場合REドミナント(REリッチ)と呼び、逆
に、TM副格子磁化の方がRE副格子磁化より大きい場
合TMドミナント(TMリッチ)と呼ぶ。RE副格子磁
化とTM副格子磁化の大きさが等しいとき補償組成とい
う。RE副格子磁化とTM副格子磁化は共に温度上昇に
伴って小さくなるが、その減少の割合はRE副格子磁化
の方がTM副格子磁化よりも大きい。従って、室温でR
Eドミナントのものの中には温度の上昇と共に、一旦補
償組成となり、その後、TMドミナントになるものがあ
る。補償組成となる温度を補償温度という。
【0004】ところで、最近では、画像情報のような多
くの情報量を記録あるいは再生する機会が増加してい
る。このような状況において、光記録媒体に、より多く
の情報を記録し、あるいは、その情報を正確に再生した
いという要求が高まっている。そして、その要求を満た
すための様々なアプローチがなされている。まず、ディ
スクにおいては径方向の記録密度を上げるにはトラック
ピッチを詰めるという方法がある。このためには、記録
マーク幅を小さくする必要がある。これまでトラックピ
ッチは1.6μmが標準であったが、最近ではトラックピ
ッチを狭くする試みがなされており、1.4μmや1.2μ
m、更に1.0μmが報告されている。次に、周方向の記
録密度を上げるには、記録マーク長さを小さくする必要
がある。記録マークの幅や長さを小さくするには、記録
ビームの中心付近のエネルギーの高い領域でのみ記録マ
ークが形成されるように記録媒体の感度設定を行うこと
で、原理的には相当小さなマークが形成できる。即ち、
記録する際、記録ビーム中心付近の高温部分でのみ記録
マークが形成されるように磁性層の組成設計を行えば、
高密度記録はできるのである。
【0005】しかし、問題は再生にある。再生は、ビー
ムスポット内のマークを光学的に検出することにより行
われる。従って、常にビーム内には基本的に一個のマー
クしかないようにする必要がある。もし、ビーム内に複
数個のマークが存在すると、情報が混ざり合ってしまっ
て、必要な情報を正しく再生することができないからで
ある。このようにビームスポット内の情報が混ざり合う
ことを光クロストークという。即ち、光クロストークの
ために、ビームスポットの一部分にあるマークが表わす
情報のみを取り出して再生することはできないのであ
る。
【0006】ビームスポット径は、例えば赤外レーザの
場合、理想的な光学系によっても1.0μm程度に絞るの
が限界である。このため、径方向では、トラックピッチ
を1.4μm程度より狭くすると、隣接するトラックに記
録されているマークを同時に再生してしまうし、また、
マーク長さやマーク間隔が1.0μm を相当下回るように
すると、前後のマークを同時に再生してしまう。
【0007】そこで、再生ビームの波長を短くすること
が考えられる。ビームをどこまで小さく絞れるかは、ビ
ームの波長に比例することが知られている。この手段に
より再生ビームスポットサイズをより小さくし、それに
よって、高密度に記録した情報の再生を可能にするとい
うものである。これが実現すれば、光クロストークの問
題は避けられるのである。しかし、光ピックアップの光
源に使用可能な半導体レーザーの波長は、その出力や安
定性の面から限界がある。例えば、従来は波長830nmの
半導体レーザが一般的であったが、かなりの期間を要し
て短波長化が図られたにもかかわらず、最近になってや
っと波長680nmが主流になった程度である。つまり、こ
の短波長化によるビームサイズの減少率はわずか18%で
ある。従って、この手段により、ビームスポットサイズ
を現状の1/2や1/3まで飛躍的に減少させることは
困難である。
【0008】しかし、再生ビームスポットのサイズは従
来通りでも、相当な高密度に記録された情報を正確に再
生することが可能な記録再生方法及び媒体が発明され
た。これは超解像再生及び媒体と呼ばれる。この方法の
基本的な考え方は、およそ次の通りである。再生ビーム
の照射により記録媒体の温度は上昇するが、媒体は移動
しているので、再生ビームスポット内の後ろ側の温度が
畜熱作用により相対的に高温になる。この温度分布の特
性を利用してビームスポット内の一部をマスクし、マス
クされない部分のみ再生すれば、スポット内の小さな部
分の情報のみ再生することができる。つまり、実質的に
再生ビームスポットサイズを小さくしたことになる。即
ち、相当に高密度記録された情報を正確に再生できるの
である。マスク生成の原理は、磁気的結合力の変化によ
る磁化方向変化を利用した磁気超解像再生によるものが
提案されており、この他に、相変化による透過率の変化
によるものについても発表されている。
【0009】具体的には、(1)再生ビームスポット内の
低温部分、即ち、ビームスポット内の進行方向に対して
前方が開口となる(高温部分がマスクになる)FADタ
イプ(特開平3-93056)と、(2)高温部分、即ち、ビーム
スポット内の後方が開口となる(低温部分がマスクにな
る)RADタイプやCADタイプがあり、更に、(3)低
温部分と高温部分の両方がマスクになり、一層小さな開
口を実現するダブルマスクタイプが提案されている。
【0010】ここで、磁気的結合力の変化による磁化方
向変化を利用した磁気超解像再生の原理を簡単に説明す
る。まず、CADタイプについて図11を用いて説明す
る。図11(b) は、このタイプの光磁気記録媒体の主要
部分の断面と再生ビームが照射された部分の温度分布を
示している。光磁気記録媒体は2層の磁性層を有してお
り、情報はメモリー層の垂直磁化方向の形で記録され
る。メモリー層の上には再生層が設けられている。再生
層の磁化は所定の温度以下の領域(低温領域)では面内
磁化であるが、所定の温度以上の領域(高温領域)では
メモリー層の磁化との交換結合力によりメモリー層の磁
化と同じ向きの垂直磁化となる。前記の所定の温度は、
再生ビームの照射により垂直磁化する領域が、温度分布
の中心付近の小さな領域になるように設定される。その
結果、図11(a)に示すように、再生ビームスポットの
一部分の高温領域のみ再生層にマークが形成され、その
情報のみ読み出される。そして、再生ビームスポット内
のマークであっても、高温領域から外れたマークは読み
出されない。
【0011】次に、FADタイプについて図12を用い
て説明する。図12(b)は、このタイプの光磁気記録媒
体の主要部分の断面と再生ビームが照射された部分の温
度分布を示している。光磁気記録媒体は3層の磁性層を
有しており、情報はメモリー層の垂直磁化方向の形で記
録される。メモリー層の上には再生スイッチング層(R
S層:オーバーライトのスイッチング層と区別するため
にこのように呼ぶ)、及び再生層を有している。メモリ
ー層の磁化は、所定の温度以下では再生スイッチング層
を通して再生層に転写される。しかし、再生スイッチン
グ層のキュリー温度以上では、その磁化が消失するため
にメモリー層の磁化の影響は再生層に及ばず、この温度
領域では再生層の磁化は再生磁界の影響で再生磁界に倣
う。即ち、高温領域では再生層の磁化が再生磁界の向き
に揃ってしまうので、この領域ではメモリー層のマーク
は再生されず、低温領域では再生層にメモリー層の磁化
が現れるので、この領域に入るマークのみが再生される
ことになる。
【0012】次に、ダブルマスクタイプについて図13
を用いて説明する。図13(b)は、このタイプの光磁気
記録媒体の主要部分の断面と再生ビームが照射された部
分の温度分布を示している。光磁気記録媒体は3層の磁
性層を有しており、情報はメモリー層の垂直磁化方向の
形で記録される。メモリー層の上には再生スイッチング
層(RS層:オーバーライトのスイッチング層と区別す
るためにこのように呼ぶ)、及び再生層を有している。
再生スイッチング層の磁化は、所定の温度以下の領域
(低温領域)では面内磁化であるが、所定の温度以上の
領域(高温領域)では垂直磁化を示し、再生スイッチン
グ層のキュリー温度以上ではその磁化は消失する。従っ
て、所定の温度以下では、メモリー層の磁化は、再生ス
イッチング層の磁化が面内方向なので、再生層には及ば
ず、この温度領域では再生層の磁化は再生磁界の影響で
再生磁界に倣う。所定の温度以上から再生スイッチング
層のキュリー温度までの温度範囲では、メモリー層の磁
化は交換結合力によって再生スイッチング層を通して再
生層に転写される。そして、再生スイッチング層のキュ
リー温度以上では、再生スイッチング層の磁化が消失す
るためにメモリー層の磁化は再生層に及ばず、この温度
領域では再生層の磁化は再生磁界の影響で再生磁界に倣
う。即ち、低温領域と高温領域では再生層の磁化が再生
磁界の向きに揃ってしまうので、これらの領域ではメモ
リー層のマークは再生されず、その中間の領域では再生
層にメモリー層の磁化が転写されるので、この領域に入
るマークのみが再生されることになる。
【0013】このタイプでは、他のタイプに比べて開口
領域をより小さくできるので、より高密度に記録した情
報の再生にも対応できる利点がある。また、開口領域が
ビームスポットの中心に近い位置にあるので、再生信号
レベルが高い利点もある。しかも、再生ビーム強度の変
動に伴って、高温領域が増大する時は低温領域は減少
し、逆に、高温領域が減少する時は低温領域は増大する
ので、開口領域は変化しない。再生信号特性の再生ビー
ム強度変動による影響は受けにくいという利点も併せ持
つ。
【0014】ところで、従来、光磁気記録媒体に一旦記
録した情報を新たな情報に書き換えるには、まず、記録
してあった情報を消去した後に、新たな情報を記録する
ことが原理的に必要であった。即ち、磁気記録媒体の情
報書き換えのように、一旦記録した情報を消去すること
なしに、直接新たな情報に書き換える重ね書き(オーバ
ーライト)は不可能であった。
【0015】従って、情報を消去するのに要する分だ
け、情報の書き換えに要する時間が長くなること、即
ち、情報の書き換え速度が遅いことが短所とされてい
た。この短所を克服するために、記録ビーム強度を変調
するだけでオーバーライトが可能な、光変調オーバーラ
イト記録方法、並びに、それに使用される装置及び媒体
が発明された。この発明は複数国に特許出願され、この
うち米国では既に特許登録されている(特開昭62-17594
8=DE3,619,618A1 =USP 5,239,524 )。以下、この発
明を「基本発明」と引用する。以下にこの発明について
簡単に説明する。
【0016】この光磁気記録再生方法で使用されるオー
バーライト可能な光磁気記録媒体は情報を記録する層と
して、垂直磁気異方性(perpendicular magnetic layer
orlayers) を有する多層の磁性層からなる。この磁性層
は、例えば非晶質のTbFe、TbFeCo、GdFe、GdFeCo、DyF
e、DyFeCo等のように、希土類金属−遷移金属非晶質合
金からなり、磁性層内部においては、希土類金属の磁化
(RE副格子磁化)と遷移金属の磁化(TM副格子磁
化)が互いに反対向きとなっている。これら2つの副格
子磁化の差が、磁性層としての磁化の大きさと方向を表
わす。
【0017】磁性層としては、基本的に垂直磁化可能な
磁性薄膜からなる記録及び再生層として機能する層(以
下、メモリー層またはM層という)と、同じく垂直磁化
可能な磁性薄膜からなる記録補助層(以下、記録層また
はW層という)とを含み、両層は交換結合しており(exc
hange-coupled) 、かつ、室温でM層の磁化の向きは変
えないでW層の磁化のみを所定の向きに向けておくこと
ができるオーバーライト可能な多層光磁気記録媒体であ
る。
【0018】W層は、M層に比べて室温において低い保
磁力Hc と高いキュリー温度Tc を持つ。そして、情報
をM層(場合によりW層にも)における基板に垂直な方
向(「A向き」とする)の磁化を有するマークとその反
対方向(「逆A向き」とする)の磁化を有するマークに
より記録する。この媒体は、W層が磁界手段(例えば初
期化磁界Hini. )によって、その磁化の向きを一方向に
揃えることができる。しかも、そのとき、M層の磁化の
向きは反転せず、更に、一旦一方向に揃えられたW層の
磁化の向きは、M層からの交換結合力を受けても反転せ
ず、逆にM層の磁化の向きは、一方向に揃えられたW層
からの交換結合力を受けても反転しない。
【0019】基本発明の記録方法では、記録媒体は記録
前までに磁界手段によりW層の磁化の向きだけが一方向
に揃えられるようにする。その上で、2値化情報に従い
パルス変調されたビームを媒体に照射する。ビームの強
度は、高レベルPH と低レベルPL の2値に制御され、
これはパルスの高レベルと低レベルに相当する。この低
レベルは、再生時に媒体を照射する再生レベルPR より
も高い。既に知られているように、記録をしない時に
も、例えば媒体における所定の記録場所をアクセスする
ためにレーザーを「非常な低レベル」で点灯することが
一般的である。この非常な低レベルも、再生レベルPR
と同一又は近似のレベルである。
【0020】低レベルのビームを媒体に照射した場合に
媒体が達する温度においては、W層の磁化の向きは変わ
らず、M層の磁化の向きは、M層とW層との間に磁壁が
存在しない状態の向きになる。これを低温プロセス(L
プロセス)といい、このプロセスが起こる温度領域を低
温プロセス温度(Lプロセス温度)TL という。一方、
高レベルのビームを媒体に照射した場合に媒体が達する
更に高い温度においては、W層の磁化の向きは記録磁界
の方向に倣い、M層の磁化の向きは、M層とW層との間
に磁壁が存在しない状態の向きになる。これを高温プロ
セス(Hプロセス)といい、このプロセスが起こる温度
領域を高温プロセス温度(Hプロセス温度)TH とい
う。
【0021】ビームの照射後は、磁界手段により、高レ
ベルのビーム照射によって記録磁界の方向に倣ったW層
の磁化は、再び磁界手段の向きに倣う。従って、磁界手
段の磁化の向きと記録磁界の向きを逆にしておけば、既
に記録されているM層に、新たな記録が繰り返し記録
(即ち、オーバーライト)できるのである。これが光変
調オーバーライト光磁気記録の原理である。
【0022】以上説明した内容を、若干表現を換えれ
ば、高レベルのビーム照射によって記録マークを形成
し、低レベルのビーム照射によって記録マークを消去す
ることで、新しい情報を古い情報の上にオーバーライト
(重ね書き)するとも言える。その後、M層とW層の間
に、両者の間に働く交換結合力を調整するための中間層
(I層)を設けることが提案された。これにより、より
安定にオーバーライト動作を実現できるようになった。
また、M層に接してビーム照射側に、より光磁気効果の
大きな磁性層である再生層(R層)を設け、M層の情報
をこの層に磁気転写して再生することも提案された。こ
れにより、より良好な再生信号が得られるようになっ
た。
【0023】更に、初期化磁界の代わりに初期化層(In
i.層)と呼ぶ磁性層と、 Ini.層とW層の間の交換結合
力をコントロールするスイッチング層(S層)と呼ぶ磁
性層を設けることにより、W層の初期化を行うことを実
現したタイプのもの(特開昭63-268103=USP4,878,13
2)が発明され、既に実用化が始まっている。ところ
で、オーバーライト可能であって、かつ、磁気超解像再
生可能な光磁気記録媒体も提案されている(特開平6-13
9639)。これは、既に記載した最近商品化されたオーバ
ーライト可能な光磁気記録媒体の6層の磁性層構成(R
層/M層/I層/W層/S層/ Ini.層)に加えて、R
層とM層の間に、両者の交換結合をコントロールするた
めの磁性層である再生スイッチング層(RS層)を設
け、7層の磁性層構成としている。この媒体のオーバー
ライト記録動作については、既に記載した最近商品化さ
れた6層の磁性層によるオーバーライト可能な光磁気記
録媒体と全く同じである。即ち、高レベルのビームを照
射した際(即ち、Hプロセス時)には、ビームの照射時
間に対応した長さのマークが記録層(W層)に形成され
る。記録層に形成されたマークは、ビーム照射終了後、
媒体の温度がLプロセス温度まで低下した時点で、メモ
リー層(M層)、再生スイッチング層(RS層)、再生
層(R層)に磁気転写される。そして、更に媒体の温度
が低下すると、予め所定の方向に揃えてある初期化層の
磁化の作用により、記録層の磁化も所定の方向に揃う。
即ち、初期化される。また、低レベルのビームを照射し
た場合(即ち、Lプロセス時) 、所定の方向に揃った
記録層の磁化の作用により、磁化がメモリー層、再生ス
イッチング層、再生層に転写される。
【0024】一方、再生時には、再生層、再生スイッチ
ング層、メモリー層の3層は、既に12を用いて説明し
たFADタイプの磁気超解像再生と同じ働きをする。即
ち、6層のオーバーライト光磁気記録媒体に、メモリー
層に比べてそのキュリー温度が低い磁性層である再生ス
イッチング層を付加することにより、磁気超解像再生可
能なオーバーライト光磁気記録媒体となる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気超解像
再生においては、RAD、CAD及びFADの各タイプ
では、再生時の照射ビーム強度の変動により開口領域
(あるいはマスク領域)が変化するため、再生ビーム強
度の変動により再生信号特性が変動するという問題があ
る。
【0026】ダブルマスクタイプでは、既に説明したよ
うに、再生信号特性の再生ビーム強度変動による影響は
受けにくい。しかし、このタイプでは、再生磁界により
再生層の磁化を所定の方向に揃える必要があるため再生
磁界が強くなければならないとするという問題がある。
また、磁気超解像再生に光変調オーバーライト光磁気記
録を組み合わせようとすると、次のような問題がある。
即ち、光変調オーバーライトを行うには、記録時の2値
の記録ビーム強度である高レベルPH及び低レベルPL
と再生時の再生ビーム強度Prの3つのレベルにビーム
強度を変調する必要がある。これは、光変調オーバーラ
イト光磁気記録再生におけるビーム強度の変調レベル数
は、従来の非オーバーライト光磁気記録再生におけるビ
ーム強度の変調レベル数より1つ多いことを意味する。
一方、光源として一般的な半導体レーザーから出射でき
るビーム強度には当然のことながら上限がある。このた
め、それぞれの変調レベルとして設定できる強度範囲
(パワーマージン)は、光変調オーバーライト光磁気記
録再生の方が、従来の非オーバーライト光磁気記録再生
に比べて狭い。言い換えると、光変調オーバーライト光
磁気記録再生の場合には、再生レベルとして設定できる
強度範囲は、低レベルが高レベルと再生レベルの中間に
存在する分だけ低い側に狭い。しかるに、再生信号のC
/Nを高くするには、再生ビーム強度が高いほど有利な
ので、この点で光変調オーバーライト光磁気再生はこの
点で不利である。
【0027】また、磁気超解像再生においては、既に説
明したように再生ビームスポット内の温度分布を利用す
るため、原理的にこの温度分布を所定の大きさより大き
くする必要がある。しかし、光変調オーバーライト光磁
気記録再生は、低レベルの存在により原理的に再生ビー
ム強度の上限が低く抑える必要があるので、光変調オー
バーライト光磁気記録再生と磁気超解像再生を組み合わ
せることは難しい。
【0028】本発明は上記問題点を解決し、小さな再生
磁界で磁気超解像再生を可能とし、C/N値が高く、記
録速度が速く、高密度記録した情報を確実に再生するこ
とが可能なダブルマスクタイプの磁気超解像再生が可能
な光磁気記録媒体及びその再生方法の提供を目的とす
る。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記問題点の解決のた
め、本発明では、少なくとも再生層、再生スイッチング
層、及びメモリー層の順に3層の磁性層を有し、前記各
層は希土類金属及び遷移金属を主体とする磁性体からな
る光磁気記録媒体において、再生スイッチング層は、所
定の温度Tdet.RS以下では面内磁化し、前記所定の温度
Tdet.RS以上では垂直磁化し、かつ、厚さを30nm以上と
することで、再生磁界の強さを抑えた磁気超解像可能な
光磁気記録媒体とする。また、上記の構成に加えて、メ
モリー層の上に、更に、希土類金属及び遷移金属を主体
とする磁性体からなる記録層、スイッチング層及び初期
化層の順に少なくとも3層の磁性層を更に形成して、光
変調オーバーライトも可能な光磁気記録媒体とする。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明により何故問題点が解決さ
れるのかその詳細は不明である。しかし実験により、希
土類金属及び遷移金属を主体とする磁性体からなる再生
層、再生スイッチング層、及びメモリー層の少なくとも
3層の磁性層を有する光磁気記録媒体において、再生ス
イッチング層は、所定の温度Tdet.RS以下では面内磁化
し、前記所定の温度Tdet.RS以上では垂直磁化し、か
つ、厚さを30nm以上とすることにより再生磁界の強さを
低減できることが確認できる。
【0031】また、再生層も所定の厚さより厚くするこ
とにより同じく再生磁界の強さを低減でき、遂には再生
磁界を不要とすることが可能であるという事実を確認で
きる。ただし、複数の磁性層の合計の厚さが厚くなるに
従って記録感度が低下する。従って、使用するレーザー
等の光源の出力により磁性層の合計の厚さを決めること
になり、再生層の厚さは30nm以上であることが望まし
く、70nm以下であることは更に望ましい。また、再生ス
イッチング層の厚さは80nm以下であることが望ましい。
【0032】再生スイッチング層の組成は、Gdを原子%
で27〜32%含有する、GdFeまたはGdFeCoが望ましい。更
に、再生スイッチング層は、希土類金属主体の層と遷移
金属主体の層が交互に積層した構造からなっており、前
記希土類金属主体の層及び前記遷移金属主体の層の厚さ
は共に0.5nm以下であることが望ましい。再生層は、室
温においてはREドミナントであり、室温Tambと再生
層のキュリー温度TcRの間に補償温度Tcomp.Rが存在
し、かつ、前記所定の温度Tdet.RSに対して Tdet.RS < Tcomp.R を満足することが望ましい。この場合には、再生時の磁
化状態は図1に示すようになる。
【0033】また、再生層の補償温度Tcomp.Rは、再生
スイッチング層のキュリー温度TcRSに対して、 Tcomp.R < TcRS を満足することが更に望ましい。この場合の再生時の磁
化状態は図2に示すようになる。
【0034】更に、再生層は、希土類金属主体の層と遷
移金属主体の層が交互に積層した構造からなっており、
前記希土類金属主体の層及び前記遷移金属主体の層の厚
さは共に0.5nm以下であることが望ましい。また、メモ
リー層のキュリー温度をTcMとして、 TcRS < TcR かつ TcRS < TcM を満足することが望ましい。なお、メモリー層は、室温
においてREドミナントであることがより望ましい。更
に、室温Tambとメモリー層のキュリー温度TcMの間に
補償温度Tcomp.Mが存在し、かつ、前記メモリー層の補
償温度Tcomp.Mは、 Tdet.RS < Tcomp.M を満足することがより望ましい。更に、メモリー層は、
希土類金属主体の層と遷移金属主体の層が交互に積層し
た構造からなっており、前記希土類金属主体の層及び前
記遷移金属主体の層の厚さは共に0.2〜1.2nmであること
を特徴とする光磁気記録媒体。
【0035】また、再生層の、再生スイッチング層とは
反対側の面上に、室温においてTMドミナントである再
生補助層を有することも好ましい結果を生ずる。そし
て、再生補助層は、希土類金属主体の層と遷移金属主体
の層が交互に積層した構造からなっており、前記希土類
金属主体の層及び前記遷移金属主体の層の厚さは共に0.
5nm以下であることがより望ましい。この場合の再生時
の磁化状態は図3に示すようになる。
【0036】メモリー層の上に、希土類金属及び遷移金
属を主体とする磁性体からなる記録層、スイッチング層
及び初期化層の順に少なくとも3層の磁性層を更に形成
すると、光変調オーバーライト可能な光磁気記録媒体と
なる。この場合、メモリー層と記録層の間に、希土類金
属及び遷移金属を主体とする磁性体からなる中間層を形
成すると更に好ましい。
【0037】また、初期化層の上に金属層を形成する
と、その熱拡散性により磁性層の組成の設計マージンが
広がるので望ましい。また、その場合、初期化層と金属
層の間に誘電体層を形成することが耐久性の面で望まし
い。金属層の厚さは10nm以上がよく、金属はAlが望まし
い。また、AlにTiを含有させると耐久性の面で更に望ま
しい。
【0038】また、上記の光磁気記録媒体を再生する
際、媒体に再生レベルのビームを照射すると共に、絶対
値で300 Oe以下の強さの再生磁界を印加しながら再生す
ることが望ましく、この際、再生位置における媒体の線
速度が、前記媒体の全面または複数の領域毎に一定とな
るように再生することで再生の諸条件を一定とすること
ができる。
【0039】以下、実施例により詳細に説明するが、本
発明はこれに限られるものではない。
【0040】
【実施例1】スパッタリング装置を用意する。直径90mm
のポリカーボネート基板を、スパッタリング装置の基板
キャリアにセットする。この上記基板の表面には、ピッ
チ1.1μmのガイド溝がスパイラル状に形成されてい
る。次に、基板がセットされている基板キャリアをスパ
ッタリング装置のスパッタリングチャンバー内に搬送す
る。
【0041】次に、チャンバー内を5×exp(−5)Pa
以下の真空度まで排気した後、アルゴンガスと窒素ガス
をチャンバー内に導入し、シリコンターゲットにより反
応性スパッタリングを行い、窒化シリコン層を厚さ70nm
成膜する。次に、基板キャリアを別のスパッタリングチ
ャンバーに移動し、再びアルゴンガスを導入しながら、
GdFeCoの合金ターゲットによりスパッタリングを行い、
Gd25Fe60Co15(原子%で、Gd25%、Fe60%、Co15%、以
下同じ)による再生層を窒化シリコン層の上に厚さ20〜
80nmの種々の厚さに成膜する。
【0042】次に、Gd、Fe及びCoターゲットにより同時
スパッタリングを行い、GdFeCoによる再生スイッチング
層を再生層の上に厚さ20〜80nmの種々の厚さに成膜す
る。この際、同時スパッタリングの条件を種々変更し
て、Gdの比率が原子%で25〜35%の範囲で種々の値をと
るように、また、Coの比率が同じく原子%で0〜10%の
範囲で種々の値をとるように成膜する。この再生スイッ
チング層は、室温では面内磁化であるが、ある温度以上
では垂直磁化する。
【0043】次に、希土類金属であるTbのターゲットと
遷移金属であるFe及びCoによる合金ターゲットにより同
時スパッタリングを行いながら、基板及び基板キャリア
を同時に回転させ、Tb主体の領域とFeCo主体の領域が交
互に積層する構造を有するTb21Fe63Co16によるメモリー
層を再生スイッチング層の上に厚さ50nm成膜する。次
に、最初の窒化シリコン層の成膜と同様の手順により、
窒化シリコン層を初期化層の上に厚さ70nm成膜する。
【0044】以上の手順でスパッタリングによる成膜を
行った後、更に樹脂保護膜を塗布し、図4に示す磁性層
構成を有する光磁気ディスクを作成し、更に、外部磁場
により磁化方向を所定の方向に揃えて初期化を行う。次
に、光磁気記録再生装置を用意する。この装置は、強さ
を変化させることのできる記録磁界も兼ねる再生磁界と
波長680nmの半導体レーザを光源に持つ光ピックアップ
を有する。
【0045】上記の光磁気ディスクを光磁気記録再生装
置にセットして、9.0m/sの線速度で回転させる。光ピッ
クアップの対物レンズにより集光されたレーザービーム
を、8.0mWと1.0mWの間でデューティー比50%に変調しな
がらディスク面に照射し、マーク長さ0.35μm、マーク
間距離0.35μmとなるように記録を行う。その後、再生
磁界の強さを種々に変化させながら3.5mWのビーム強度
で再生し、C/N値を測定する。
【0046】まず、図7に再生スイッチング層の厚さと
再生磁界の強さの関係を示す。なお、このときの再生層
の厚さは30nmである。図7より、再生スイッチング層の
厚さを30nm以上にすると300 Oe以下の小さな再生磁界に
抑えることが可能であることがわかる。次に、図8に再
生層の厚さと再生磁界の強さの関係を示す。なお、この
ときの再生スイッチング層の厚さは30nmである。図8よ
り、再生層の厚さを30nm以上にすると再生磁界を300 Oe
以下にすることができ、特に、再生層の厚さが50nm以上
では再生磁界が不要となることがわかる。
【0047】次に、図9に再生層の厚さとC/N値の関
係を示す。なお、このときの再生層の厚さは30nm、再生
スイッチング層の厚さは50nmである。図9より、再生層
の厚さを30nm以上とすると高いC/Nが得られることが
わかる。再生スイッチング層の組成に関しては、GdFeま
たはGdFeCoにおいてGdの含有率が原子%で27〜32%の場
合にダブルマスクを生成することがわかる。
【0048】
【実施例2】基板の上に窒化シリコン層を成膜するとこ
ろまでは、実施例1と全く同様の手順で行う。次に、基
板キャリアを別のスパッタリングチャンバーに移動し、
再びアルゴンガスを導入しながら、希土類金属であるGd
のターゲットと遷移金属であるFe及びCoターゲットによ
り同時スパッタリングを行いながら、基板及び基板キャ
リアを同時に回転させ、GdFeCoによる再生層を窒化シリ
コン層の上に厚さ20〜80nmの種々の厚さに成膜する。こ
の際、同時スパッタリングの条件を種々変更することで
組成を変化させ、種々のキュリー温度及び補償温度を有
する再生層を成膜する。また、Gd(希土類金属)とFe及
びCo(遷移金属)の積層周期も変化させ、種々の積層周
期を持った再生層を成膜する。
【0049】次に、希土類金属であるGdのターゲットと
遷移金属であるFe及びCoターゲットにより同時スパッタ
リングを行いながら、基板及び基板キャリアを同時に回
転させ、GdFeCoによる再生スイッチング層を再生層の上
に厚さ20〜90nmの種々の厚さに成膜する。この際、同時
スパッタリングの条件を種々変更して、Gdの比率が原子
%で25〜35%の範囲で種々の値をとるように、また、Co
の比率が同じく原子%で0〜10%の範囲で種々の値をと
るように成膜する。また、GdとFe及びCoの積層周期も変
化させ、種々の積層周期を持った再生スイッチング層を
成膜する。この再生スイッチング層は、室温では面内磁
化であるが、ある温度以上では垂直磁化する。
【0050】次に、希土類金属であるTbのターゲットと
遷移金属であるFe及びCoによる合金ターゲットにより同
時スパッタリングを行いながら、基板及び基板キャリア
を同時に回転させ、Tb主体の領域とFeCo主体の領域が交
互に積層する構造を有するTb21Fe63Co16によるメモリー
層を再生スイッチング層の上に厚さ50nm成膜する。次
に、最初の窒化シリコン層の成膜と同様の手順により、
窒化シリコン層を初期化層の上に厚さ70nm成膜する。
【0051】以上の手順でスパッタリングによる成膜を
行った後、更に樹脂保護膜を塗布し、図4に示す磁性層
構成を有する光磁気ディスクを作成し、更に、外部磁場
により磁化方向を所定の方向に揃えて初期化を行う。次
に、実施例1で用いたものと同じ光磁気記録再生装置を
用意する。そして、実施例1と同じ手順で測定を行う。
【0052】再生スイッチング層の厚さと再生磁界の関
係は実施例1(図7)とほぼ同様である。即ち、再生ス
イッチング層の厚さを30nm以上にすると300 Oe以下の小
さな再生磁界に抑えることが可能であることがわかる。
ただし、記録感度の関係から80nm以下とすることが望ま
しい。再生層の厚さと再生磁界の関係も実施例1(図
8)とほぼ同様である。即ち、再生層の厚さを30nm以上
にすると再生磁界を300 Oe以下にすることができ、特
に、再生層の厚さが50nm以上では再生磁界が不要となる
ことがわかる。ただし、記録感度の関係から70nm以下と
することが望ましい。
【0053】次に、再生層の厚さとC/N値の関係も実
施例1(図9)とほぼ同様である。即ち、再生層の厚さ
を30nm以上とすると高いC/Nが得られることがわか
る。なお、このときの再生層の厚さは30nm、再生スイッ
チング層の厚さは50nmである。再生スイッチング層の組
成に関しても実施例1と同様に、GdFeまたはGdFeCoにお
いてGdの含有率が原子%で27〜32%の場合にダブルマス
クを生成することがわかる。
【0054】次に、再生層の補償温度の違いが、再生磁
界とC/Nの関係に与える影響について、図10に示
す。図10の中で、再生磁界の符号は、記録方向を+、
消去方向を−としている。また、 (a)は補償温度が約15
0℃の場合、(b)は補償温度が室温以下、即ち、室温では
遷移金属ドミナントの場合、そして、(c)は補償温度が
約230℃の場合を示している。図10より、(b)は再生磁
界が300 Oe付近でC/Nが大きく落ち込むことがわか
る。(c)は全体的にC/Nが低く、特に、再生磁界が−3
00 Oe以下の領域で低い。これらに対して、(a) のC/
Nは350 Oe付近で落ち込むものの、落ち込みの程度は
(b)に比べて小さく、また、再生磁界が−の領域では高
いC/Nを示す。即ち、全域にわたって高いC/Nを示
す。
【0055】
【実施例3】基板の上に窒化シリコン層を成膜するとこ
ろまでは、実施例1と全く同様の手順で行う。次に、基
板キャリアを別のスパッタリングチャンバーに移動し、
再びアルゴンガスを導入しながら、希土類金属であるGd
のターゲットと遷移金属であるFe及びCoターゲットによ
り同時スパッタリングを行いながら、基板及び基板キャ
リアを同時に回転させ、 GdFeCoによる再生補助層を窒
化シリコン層の上に厚さ15nmの厚さに成膜する。この
際、同時スパッタリングの条件を種々変更することで、
Gd(希土類金属)とFe及びCo(遷移金属)の積層周期を
変化させ、種々の積層周期を持った再生層を成膜する。
この再生補助層の組成はGd23Fe58Co19(組成が原子%で
Gdが23%、Feが58%、Coが19%)であり、室温において
遷移金属(TM)ドミナントである。
【0056】上記の再生補助層の上には実施例1と全く
同様に、スパッタリングにより再生層、再生スイッチン
グ層、メモリー層、及び窒化シリコン層を積層した後、
更に樹脂保護膜を塗布して光磁気ディスクを作成する。
更に、外部磁場により磁化方向を所定の方向に揃えて初
期化を行う。次に、実施例1で用いたものと同じ光磁気
記録再生装置を用意する。そして、実施例1と同じ手順
で測定を行う。
【0057】再生補助層の希土類金属主体の層及び前記
遷移金属主体の層の厚さが、共に0.5nm以下である場合
には、この再生補助層の付加により、カー回転角を大き
くし、再生信号特性をより向上させることができる。
【0058】
【実施例4】メモリー層の成膜までは実施例1と全く同
様の手順で行う。次に、希土類金属であるDyのターゲッ
トと遷移金属であるFe及びCoによる合金ターゲットによ
り、2元同時スパッタリングを行いながら、基板及び基
板キャリアを同時に回転させ、Dy主体の領域とFeCo主体
の領域が交互に積層する構造を有するDy24Fe49Co27によ
る記録層を中間層の上に厚さ20nm成膜する。なお、な
お、この際、基板キャリアの回転数を変化させ、数種類
の異なる積層周期を有するサンプルを作成する。この記
録層のキュリー温度は300℃である。
【0059】次に、TbFeCoの合金ターゲットによりスパ
ッタリングを行い、Tb17Fe76Co7によるスイッチング層
を記録層の上に厚さ12nm成膜する。次に、希土類金属で
あるTbのターゲットと遷移金属であるFeCoのターゲット
により、2元同時スパッタリングを行ながら、基板及び
基板キャリアを同時に回転させ、Tb主体の領域とFeCo主
体の領域が交互に積層する構造を有するTb22Fe16Co62に
よる初期化層を厚さ20nm成膜する。
【0060】次に、最初の窒化シリコン層の成膜と同様
の手順により、窒化シリコン層を初期化層の上に厚さ30
nm成膜する。最後に、Alターゲットによりスパッタリン
グを行い、Alによる金属層を窒化シリコン層の上に成膜
する。この際、表4に示した厚さのAl層を有する複数の
サンプルを作成する。以上の手順でスパッタリングによ
る成膜を行った後、更に樹脂保護膜を塗布し、図5に示
す磁性層構成を有する光磁気ディスクを作成する。
【0061】次に、光変調オーバーライト光磁気記録可
能な記録再生装置を用意する。この装置は強さを変化さ
せることのできる記録磁界も兼ねる再生磁界と、波長68
0nmの半導体レーザを光源に持つ光ピックアップを有す
る。上記の光磁気ディスクを光磁気記録再生装置にセッ
トして、9.0m/sの線速度で回転させる。光ピックアップ
の対物レンズにより集光されたレーザービームを、PH
=8.5mW、PL=4.5mW、デューティー比50%の第1基準
信号で変調しながらディスク面に照射し、マーク長さ5
μm、マーク間距離5μmとなるように記録を行う。
【0062】次に、周波数とデユーテイーを変更して第
2基準信号とし、この信号により、マーク長さ2μm、
マーク間距離5μmとなるようにオーバーライト記録を
行う。その後、1.5mWのビーム強度で再生し、C/N値
を測定する。 C/N値によりオーバーライト動作が良
好に行われたかどうかを判定できる。次に、再び周波数
とデユーテイーを変更して第3基準信号とし、この信号
により、マーク長さ0.35μm、マーク間距離0.35μmと
なるように再度オーバーライト記録を行う。その後、50
0(Oe)の磁場を印加した状態で2.5mWのビーム強度で再生
し、C/N値を測定する。 C/N値により超解像再生
が良好に行われたかどうかを判定できる。
【0063】更に、磁場の向きを逆方向(消去方向)に
してから、ビームを12.0 mWの一定強度で(変調せず
に)照射しながらディスクを50000回転させた後に、第
3基準信号によりマーク長さ0.35μm、マーク間距離0.
35μmとなるように再度オーバーライト記録を行う。そ
の後、500(Oe)の磁場を印加した状態で2.5mWのビーム強
度で再生し、C/N値を測定する。 C/N値により記
録耐久性が評価できる。なお、ここで消去方向に磁場を
印加するのは、初期化層の磁化反転を防ぐためである。
以上の結果、オーバーライト記録が正常に行われている
ことが確認できる。
【0064】次に、再生を実施例1と同じ手順で行った
ところ、実施例1とほぼ同じ結果が得られる。
【0065】
【実施例5】メモリー層と記録層の間に、次の手順によ
り中間層を成膜したこと以外は、実施例3と全く同様の
手順で図6に示す磁性層構成を有する光磁気ディスクを
作成する。即ち、GdFeCoの合金ターゲットによりスパッ
タリングを行い、Gd32Fe65Co3による中間層をメモリー
層の上に厚さ10nm成膜する。
【0066】この光磁気ディスクに対して、実施例3と
同じ手順で記録及び再生を行う。結果は実施例2とほぼ
同様である。
【0067】
【実施例6】メモリー層の成膜までは実施例2と全く同
様の手順で行う。中間層、記録層、スイッチング層、及
び初期化層の成膜は、実施例4と全く同様の手順で行
う。結果は実施例2とほぼ同様である。
【0068】
【発明の効果】本発明により、磁気超解像再生の際、再
生磁界を低く抑えることができ、また、C/N値が高
く、記録速度が速く、高密度記録した情報を確実に再生
することが可能な光磁気記録媒体及びその再生方法の提
供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光磁気記録媒体の再生原理を説
明する垂直断面図である。
【図2】 本発明に係る光磁気記録媒体の別の再生原理
を説明する垂直断面図である。
【図3】 本発明に係る光磁気記録媒体の別の再生原理
を説明する垂直断面図である。
【図4】 本発明に係る光磁気記録媒体の構成を説明す
る垂直断面図である。
【図5】 本発明に係る光磁気記録媒体の構成を説明す
る垂直断面図である。
【図6】 本発明に係る光磁気記録媒体の構成を説明す
る垂直断面図である。
【図7】 再生スイッチング層の厚さと再生磁界の強さ
の関係を説明するグラフである。
【図8】 再生層の厚さと再生磁界の強さの関係を説明
するグラフである。
【図9】 再生層の厚さとC/N値の関係を説明するグ
ラフである。
【図10】 再生層の補償温度が、再生磁界とC/N値
の関係に与える影響を説明するグラフである。
【図11】 CADタイプの磁気超解像再生可能な光磁
気記録媒体の再生原理を説明する概念図である。
【図12】 FADタイプの磁気超解像再生可能な光磁
気記録媒体の再生原理を説明する概念図である。
【図13】 ダブルマスクタイプの磁気超解像再生可能
な光磁気記録媒体の再生原理を説明する概念図である。

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも再生層、再生スイッチング
    層、及びメモリー層の順に3層の磁性層を有し、前記各
    層は希土類金属及び遷移金属を主体とする磁性体からな
    る光磁気記録媒体において、 前記再生スイッチング層は、所定の温度Tdet.RS以下で
    は面内磁化し、前記所定の温度Tdet.RS以上では垂直磁
    化し、かつ、厚さは30nm以上であることを特徴とする光
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 再生スイッチング層の厚さは80nm以下であることを特徴
    とする光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 再生層の厚さは30nm以上であることを特徴とする光磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 再生層の厚さは70nm以下であることを特徴とする光磁気
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 再生スイッチング層が、Gdを原子%で27〜32%含有す
    る、GdFeまたはGdFeCoからなることを特徴とする光磁気
    記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 再生層は、室温においてはREドミナントであり、室温
    Tambと再生層のキュリー温度TcRの間に補償温度Tco
    mp.Rが存在し、かつ、前記所定の温度Tdet.RSに対して Tdet.RS < Tcomp.R を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 再生層の補償温度Tcomp.Rは、再生スイッチング層のキ
    ュリー温度TcRSに対して、 Tcomp.R < TcRS を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 TcRS < TcR かつ TcRS < TcM を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。ただし、
    TcMはメモリー層のキュリー温度とする。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 メモリー層は、室温においてREドミナントであること
    を特徴とする光磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の光磁気記録媒体にお
    いて、 メモリー層は、室温Tambとキュリー温度TcMの間に補
    償温度Tcomp.Mを有し、かつ、前記メモリー層の補償温
    度Tcomp.Mは、 Tdet.RS < Tcomp.M を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の光磁気記録媒体にお
    いて、 再生層は、希土類金属主体の層と遷移金属主体の層が交
    互に積層した構造からなっており、前記希土類金属主体
    の層及び前記遷移金属主体の層の厚さは共に0.5nm以下
    であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の光磁気記録媒体にお
    いて、 再生スイッチング層は、希土類金属主体の層と遷移金属
    主体の層が交互に積層した構造からなっており、前記希
    土類金属主体の層及び前記遷移金属主体の層の厚さは共
    に0.5nm以下であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載の光磁気記録媒体にお
    いて、 メモリー層は、希土類金属主体の層と遷移金属主体の層
    が交互に積層した構造からなっており、前記希土類金属
    主体の層及び前記遷移金属主体の層の厚さは共に0.2〜
    1.2nmであることを特徴とする光磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 請求項1に記載の光磁気記録媒体にお
    いて、 再生層の、再生スイッチング層とは反対側の面上に、室
    温においてTMドミナントである再生補助層を有するこ
    とを特徴とする光磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、 再生補助層は、希土類金属主体の層と遷移金属主体の層
    が交互に積層した構造からなっており、前記希土類金属
    主体の層及び前記遷移金属主体の層の厚さは共に0.5nm
    以下であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】 請求項1及び14に記載の光磁気記録
    媒体において、 メモリー層の上に、記録層、スイッチング層及び初期化
    層の順に少なくとも3層の磁性層を更に形成し、前記各
    層は希土類金属及び遷移金属を主体とする磁性体からな
    ることを特徴とする光磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、 メモリー層と記録層の間に、中間層を形成し、前記中間
    層は希土類金属及び遷移金属を主体とする磁性体からな
    ることを特徴とする光磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、 初期化層の上に金属層を形成することを特徴とする光磁
    気記録媒体。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、 初期化層と金属層の間に誘電体層を形成することを特徴
    とする光磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 請求項18に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、 金属層の厚さは10nm以上であることを特徴とする光磁気
    記録媒体。
  21. 【請求項21】 請求項18に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、 金属層はAlからなることを特徴とする光磁気記録媒体。
  22. 【請求項22】 請求項18に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、 金属層はAlとTiからなることを特徴とする光磁気記録媒
    体。
  23. 【請求項23】 請求項1、14及び16の光磁気記録
    媒体を再生する再生方法において、 前記媒体に再生レベルのビームを照射すると共に、絶対
    値で300 Oe以下の強さの再生磁界を印加しながら再生す
    ることを特徴とする光磁気記録媒体の再生方法。
  24. 【請求項24】 請求項23記載の光磁気記録媒体を再
    生する再生方法において、 再生位置における前記媒体の線速度が、前記媒体の全面
    または複数の領域毎に一定であることを特徴とする光磁
    気記録媒体の再生方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001080230A1 (fr) * 2000-04-19 2001-10-25 Sanyo Electric Co., Ltd. Unite de disque magneto-optique capable de reproduction par expansion du domaine magnetique sous champ magnetique continu et procede de reproduction
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