JPH10186367A - 液晶表示素子およびその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子およびその製造方法

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JPH10186367A
JPH10186367A JP35034396A JP35034396A JPH10186367A JP H10186367 A JPH10186367 A JP H10186367A JP 35034396 A JP35034396 A JP 35034396A JP 35034396 A JP35034396 A JP 35034396A JP H10186367 A JPH10186367 A JP H10186367A
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crystal display
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display device
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JP35034396A
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English (en)
Inventor
Nobukazu Nagae
伸和 長江
Nobuaki Yamada
信明 山田
Bunichi Shimoshikiriyou
文一 下敷領
Shuichi Kanzaki
修一 神崎
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広視野角特性を有する大画面液晶表示素子及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 軸対称配向状態の液晶領域を有する液晶
層を挟持する一対の基板の少なくとも一方の基板の該液
晶領域に接する表面に、液晶分子との相互作用が弱く、
該液晶分子の軸対称配向を阻害しない下地層を形成し、
そのことによって、軸対称配向を有する大きな液晶領域
を安定に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子およ
びその製造方法に関する。特に、パーソナルコンピュー
タ、ワープロ、アミューズメント機器、テレビジョン装
置などの平面ディスプレイやシャッタ効果を利用した表
示板、窓、扉、壁などに好適に用いられる広視野角特性
を有する液晶表示素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、TN(ツイスティッドネマティッ
ク)モードの液晶表示素子が広く利用されている。TN
モードの液晶表示素子は視角特性が劣る(視角が狭い)
という問題がある。図1(a)に示したように、TNモ
ードの液晶表示素子100の中間調表示状態において、
液晶分子102は一定の方向にチルトしている。その結
果、図1中の矢印AおよびBの視角方向からTNモード
の液晶表示素子100を観察した場合、見かけの光透過
率が方向によって異なる。従って、TNモードの液晶表
示素子100の表示品質(例えば、コントラスト比)
は、視角に大きく依存する。
【0003】液晶分子の配向状態を制御して、液晶表示
素子の視角特性を改良するためには、絵素内で少なくと
も2以上の方向に液晶分子を配向させることが必要であ
る。例えば、中間調状態において、図1(b)に示すよ
うに、2つの異なる方向に液晶分子が配向した液晶表示
素子を矢印AおよびBで示される視角方向から見た場
合、見かけの光透過率が平均化される。その結果、Aお
よびBの視角方向における光透過率が等しくなり、TN
モードに比べて視角特性が改善される。
【0004】広視角モードの液晶表示素子の具体例とし
て、下記の(1)〜(6)を挙げることができる。
【0005】(1) 液晶セル内に高分子壁を有し、偏光
板を要さず、しかも配向処理を不要とするものとして、
液晶の複屈折を利用し、透明又は、白濁状態を電気的に
コントロールする方法が提案されている。この方法は基
本的には液晶分子の常光屈折率と支持媒体の屈折率とを
一致させ、電圧を印加して液晶の配向が揃うときには、
透明状態を表示し、電圧無印加には、液晶の配向のみだ
れによる光散乱状態を表示するものてある。
【0006】提案されている方法としては、特表昭61
−502128号公報に液晶と光または熱硬化性樹脂と
を混合し、その後、樹脂を硬化することにより液晶を析
出させ樹脂中に液晶滴を形成させる方法が開示されてい
る。さらに、該素子と互いに直交する偏光板を組み合わ
せた広視角モードが特開平4−338923号公報、特
開平4−212928号公報に開示されている。
【0007】(2) 非散乱型で偏光板を用いて液晶セル
の視角特性を改善する方法として、特開平5−2724
2号公報に液晶と光硬化性樹脂との混合物からの相分離
により、液晶と高分子の複合材料を作製する方法が開示
されている。この方法は、形成した高分子体により液晶
ドメインの配向状態が乱されランダム状態になり、電圧
印加時に個々のドメインて液晶分子の立ち上がる方向が
異なるために、各方向から見た見かけ上の透過率(Δn
・dが平均化されるため)が等しくなり中間調状態での
視角特性が改善されるものである。
【0008】(3) さらに基板表面に結晶性高分子であ
りかつ球晶構造を有する高分子膜を形成し、その軸対称
な配向規制力を生かした広視角表示モードを特開平6−
308496号公報に出願している。
【0009】(4) 基板上に配向膜を塗布し、ラビング
などの配向処理を行わず、液晶分子をランダム方向に配
向させる方法が特開平6−194655号公報に報告さ
れている。
【0010】しかし、(3)、(4)ともに絵素内の液晶分子
が異なった方向に向いているためディスクリネーション
ラインが発生し、コントラストを低下させる。
【0011】(5) 特開平6−265902号公報、特
開平6−324337号公報に軸対称状の配向を配向処
理により作製する方法が開示されている。前者は、概念
的な発明で具体例がなく、後者は、基板上に軸対称状の
細溝を形成して、軸対称状の配向状態を実現するもので
ある。後者は、液晶分子のプレチルトを制御することが
難しく、ディスクリネーションラインの発生につながっ
たり、軸対称配向が不安定になったりする。
【0012】(6) 本願発明者らは、絵素内てディスク
リネーションラインを発生させない方法として、絵素内
の液晶分子を軸対称方向に配向させた表示モード(Axia
llySymmetric Aligned Microcell Mode:ASMモー
ド)を特開平6−301015号公報や特開平7−12
0728号公報に開示している。光重合時にホトマスク
などの光制御することにより液晶分子が絵素領域内で軸
対称状の配向状態(渦巻状など)となり、液晶分子が電
圧で制御されることにより、渦巻状配向が、ホメオトロ
ピック状態に変化するように動作をし、視角特性が著し
く改善される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特開平6−301015号公報及び特開平7−1207
28号公報に開示された軸対称配向を有するASMモー
ドの液晶表示素子を製造する際、絵素領域内に液晶滴
(すなわち液晶相:典型的にはネマチック相)を成長・
拡大させる場合に、液晶滴の直径(液晶パネル面内)が
約100μm以上になると、液晶滴の成長が不安定にな
り、液晶滴内の液晶分子の軸対称配向が崩れる場合があ
るという問題があった。この問題は、大きな絵素(約1
00μm以上)を用いる大画面液晶パネルの製造におい
て、特に問題となっていた。ASMモードの液晶表示素
子において、高分子壁によって実質的に包囲された液晶
領域内の液晶分子の配向が軸対称配向からずれると、広
視角方向から観察した場合に、ざらついて見える等、表
示品質の低下を招いていた。
【0014】本願発明者が検討した結果、以下のことが
明らかとなった。液晶滴の成長過程において、液晶分子
の配向が不安定となる現象は、液晶層に接する表面の状
態に関係があることが分かった。液晶層に接するように
形成されている透明電極は、典型的には、ITO(イン
ジュウムと錫との酸化物混合体)層から形成されてい
る。ITO層の表面は、液晶分子をランダムな方向に配
向させる力を有し、その結果、液晶分子の配向が軸対称
配向から乱される。この力の強さは、ITO層の表面自
由エネルギーの大きさと関連しており、ある大きさ以上
の表面自由エネルギーを有する表面が液晶滴と接する
と、液晶滴(軸対称状)が成長する段階において、軸対
称配向に乱れを生じさせる。
【0015】さらに、ITO層の表面は、その製造方法
にもよるが、凹凸が激しく、液晶分子の配向を乱しやす
い。
【0016】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、広視野角特
性を有する大画面液晶表示素子及びその製造方法を提供
することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子
は、一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶層と
を有し、該液晶層は、高分子壁によって実質的に包囲さ
れ、絵素領域に対応して設けられた液晶領域とを有し、
該液晶領域内の液晶分子が軸対称状に配向している液晶
表示素子であって、該一対の基板の少なくとも一方の基
板の該液晶領域に接する表面に、該液晶分子との相互作
用が弱く、該液晶分子の軸対称配向を阻害しない下地層
が形成されており、そのことによって上記目的が達成さ
れる。
【0018】前記下地層の表面自由エネルギーγS-P
35mN/m以上で45mN/m以下であることが好ま
しい。
【0019】前記下地層は、前記一対の基板の間に形成
されるギャップが前記絵素領域の中央で最大となるよう
な断面形状を有していることが好ましい。
【0020】前記下地層の断面形状は、前記絵素領域の
中心に対して回転対称性を有していることが好ましい。
【0021】前記少なくとも一方の基板の前記表面は、
前記液晶領域の周囲に凸部を有することが好ましい。
【0022】前記凸部を包含するように前記高分子壁が
形成されていることが好ましい。
【0023】前記下地層の表面自由エネルギーと前記凸
部の表面自由エネルギーとが概ね等しいことが好まし
い。
【0024】前記凸部が感光性高分子から形成されてい
ることが好ましい。
【0025】前記下地層は前記凸部の上に形成されてい
てもよく、前記凸部は前記下地層の上に形成されていて
もよい。
【0026】前記一対の基板の少なくとも一方の基板
は、アクティブマトリクス基板であって、前記凸部は、
該アクティブマトリクス基板のバスライン上に形成され
てもよい。
【0027】前記一対の基板の少なくとも一方の基板
は、カラーフィルター基板であって、前記凸部は、該カ
ラーフィルター基板が有する複数のカラーフィルタの境
界に形成されていてもよい。
【0028】前記下地層は、環化ゴム系感光性高分子材
料から形成されていてもよい。
【0029】前記下地層は、プラズマ重合膜から形成さ
れていてもよい。
【0030】前記プラズマ重合膜は、シロキサンポリマ
ーからなる膜であってもよい。
【0031】前記下地層は、シランカップリング剤から
形成されていてもよい。
【0032】前記液晶表示素子はプラズマアドレス型の
液晶表示素子であって、前記下地層は、プラズマアドレ
ス基板側に形成されていてもよい。
【0033】前記液晶領域の大きさが、150μm以上
であってもよい。
【0034】本発明の液晶表示素子の製造方法は、一対
の基板と、該一対の基板に挟持された液晶層とを有し、
該液晶層は、高分子壁によって実質的に包囲され、絵素
領域に対応して設けられた液晶領域とを有し、該液晶領
域内の液晶分子が軸対称状に配向している液晶表示素子
の製造方法であって、該一対の基板の間に、液晶材料と
光重合性樹脂組成物とを含む前駆体混合物を注入する工
程と、該前駆体混合物から相分離によって液晶滴を生成
させる工程と、該液晶滴内の液晶分子の配向を軸対称配
向とする工程と、該前駆体混合物の温度を低下させて、
該液晶滴を成長させる工程と、該光重合性樹脂組成物を
硬化させ、該液晶領域と該高分子壁とを形成する工程
と、を包含し、該一対の基板の少なくとも一方の基板の
該液晶領域に接する表面に、該液晶分子との相互作用が
弱い下地層を形成する工程を包含し、そのことによっ
て、該液晶滴の成長工程において、該液晶分子の軸対称
配向を乱さない、液晶表示素子の製造方法であり、その
ことによって上記目的が達成される。
【0035】前記下地層を形成する工程は、表面自由エ
ネルギーγS-Pが35mN/m以上で45mN/m以下
の下地層を形成する工程であることが好ましい。
【0036】前記下地層を形成する工程は、前記一対の
基板の間に形成されるギャップが前記絵素領域の中央で
最大となるような断面形状を有する下地層を形成する工
程であることが好ましい。
【0037】前記下地層を形成する工程は、断面形状が
前記絵素領域の中心に対して回転対称性を有する前記下
地層を形成する工程であることが好ましい。
【0038】前記少なくとも一方の基板の前記表面に、
前記液晶領域を囲むように凸部を形成する工程を更に包
含することが好ましい。
【0039】前記液晶領域と前記高分子壁とを形成する
工程は、前記凸部を包含するように、前記光重合性樹脂
組成物を硬化させる工程であることが好ましい。
【0040】前記下地層および前記凸部を形成する材料
に、同じ材料を用いてもよい。
【0041】前記凸部を感光性高分子を用いて形成する
ことが好ましい。
【0042】前記下地層を形成する工程は、前記凸部を
形成した後に行われてもよく、前記凸部を形成する工程
は、前記下地層を形成した後に行われてもよい。
【0043】前記一対の基板の少なくとも一方の基板
は、アクティブマトリクス基板であって、前記凸部を形
成する工程は、該アクティブマトリクス基板のバスライ
ンをマスクとしたフォトリソグラフィ工程で、ポジ型フ
ォトレジストを用いて該記凸部を形成する工程であって
もよい。
【0044】前記一対の基板の少なくとも一方の基板
は、カラーフィルター基板であって、前記凸部を形成す
る工程は、該カラーフィルター基板が有する複数のカラ
ーフィルタの境界に形成されている透光部をマスクとし
たフォトリソグラフィ工程で、ネガ型フォトレジストを
用いて該記凸部を形成する工程であってもよい。
【0045】前記下地層を環化ゴム系感光性高分子材料
を用いて形成してもよい。
【0046】前記下地層をプラズマ重合法を用いて形成
してもよい。
【0047】前記下地層をシロキサン系モノマを用いた
プラズマ重合法で形成してもよい。
【0048】前記下地層をシランカップリング剤処理に
よって形成してもよい。
【0049】前記液晶表示素子はプラズマアドレス型の
液晶表示素子であって、プラズマアドレス基板の表面を
シランカップリング剤処理することによって前記下地層
を形成してもよい。
【0050】前記液晶滴を成長させる工程は、液晶滴を
150μm以上の大きさまで成長させる工程であっても
よい。
【0051】以下、本発明の作用を説明する。
【0052】本発明による液晶表示素子は、軸対称配向
した液晶分子からなる液晶領域と、液晶分子との相互作
用の小さい下地層を有している。この下地層は、軸対称
配向を有する液晶滴が成長するときに、液晶分子をラン
ダムに向けようとする基板表面の力を低下させるので、
液晶滴内の液晶分子の軸対称配向が乱されることを抑制
・防止する。その結果、大きいサイズ(少なくとも一辺
の長さが150〜400μm)の絵素領域に対して、軸
対称配向を有する液晶領域を安定に形成することが可能
となる。
【0053】絵素領域内の液晶分子と接する基板表面の
表面自由エネルギーγs-p(mN/m)は、約35mN
/m≦γs-p≦約45mN/mの範囲が好ましい。γs-p
<約35mN/mの場合、液晶分子が垂直配向しやす
く、例えば、TN(ツイスティッドネマチック)モード
の液晶表示素子を作製できなくなる。また、γs-p>約
45mN/mの場合、液晶領域と基板表面との相互作用
が大きく、軸対称配向が崩壊する。軸対称配向の崩壊と
は、液晶領域内に軸対称配向の以外の配向が形成され、
絵素領域内の液晶領域内にディスクリネーションライン
が発生するので、好ましくない。
【0054】さらに、液晶材料と重合性樹脂組成物との
相分離を引き起こす際、絵素領域の表面自由エネルギー
γs-pと絵素領域の周辺に設けられた突起部の表面自由
エネルギーγs-wとを等しく(γs-p−γs-w=0)し、
絵素部と凸部との段差(セルギャップの違い)を利用し
て、液晶滴が形成される位置を制御することが好まし
い。絵素領域の表面自由エネルギーγs-pと突起部の表
面自由エネルギーγs-wとがγs-w>γs-pであると、突
起部の領域に液晶が析出しやすくなり、絵素領域に高分
子が集まる等の不具合を生じるので、好ましくない。
【0055】また、絵素領域の中央がセルギャップ最大
となるような断面形状(例えば、円錐形状または楕円錐
形状)の下地層を形成することによって、液晶分子の軸
対称配向の中心軸の位置を絵素領域の中央に制御するこ
とができるとともに、中心軸を基板に垂直に立てること
ができる。その結果、このことにより広視角方向からの
ざらつきがなくなるため、表示品位がより均一で優れた
ものとなる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。
【0057】本発明の液晶表示素子は、高分子壁によっ
て実質的に包囲された液晶領域を有する。この液晶領域
内の液晶分子は、高分子壁との相互作用によって、軸対
称配向(例えば、放射状、同心円状(tangential)、渦
巻き状など)している。液晶領域は、典型的には、絵素
領域に対応するように形成されている。但し、縦横比の
大きな矩形の絵素の場合には、1つの絵素に2以上の液
晶領域を形成してもよい。液晶分子が絵素に相当する単
位で軸対称配向しているので、視角特性の優れた表示を
提供することができる。すなわち、表示品質が、視角
(表示面法線からの傾き角)が大きい方向から観察して
も低下しない。また、表示品質は、観察方向の方位角
(表示面内の方向:時計の文字盤の12時方向が方位角
0°、6時方向が方位角180°)に依存しない。
【0058】本発明の液晶表示素子の液晶層(表示媒体
層)は、液晶材料と硬化性樹脂材料との前駆体混合物を
相分離させることによって形成される。この液晶層を挟
持する基板の液晶層と接する面には、液晶分子との相互
作用の小さい下地層が形成されている。この下地層は、
液晶滴が前駆体混合物から相分離し、成長(大きくな
る)する過程において、液晶分子の配向が基板表面の有
する配向規制力によって乱されるのを抑制・防止する。
従って、軸対称配向を有する液晶滴を安定に成長させる
ことが可能となり、約150μm(一辺の長さ)を越え
る液晶領域を形成できる。従って、本発明の液晶表示素
子は、十分に明るい表示を実現するために、約150μ
m以上の大きさの絵素が必要とされる大画面表示素子
に、好適に適用される。
【0059】液晶分子との相互作用の弱い下地層は、以
下の方法によって形成することができる。また、下地層
の材料は、下地層の表面自由エネルギーが約35〜45
mN/mの範囲となる材料を用いることが好ましい。
【0060】(1)コーティング方法 樹脂材料の溶液を用いて、公知のコーティング方法を用
いて成膜することができる。例えば、スピンコート法
や、スクリーン印刷等の印刷法を利用することができ
る。樹脂材料は、硬化性樹脂材料であってもよい。ま
た、感光性樹脂(ポジ型・ネガ型フォトレジスト)を利
用しても良い。また、配向膜として用いられる縮合系樹
脂を用いても良い。特に、フォトレジスト材料を用いる
と、リソグラフィー技術を用いて、簡便に所望の形状に
加工できるので、後述する凸部と同じ材料を用いて下地
層を形成する場合に、好ましい。環化ゴム系のフォトレ
ジスト(例えば、東京応化社製のOMR83)は、表面
自由エネルギーが上記の範囲にあり好適に用いられる。
【0061】(2)プラズマ重合法 プラズマ重合は、真空中でガスを外部電場によりプラズ
マ状態とし、その中に、重合させるモノマーを導入し、
モノマーをラジカル状態として基板上で重合させる薄膜
形成方法である。プラズマ重合法は、緻密な膜を形成で
きるので、凹凸の激しいITO(インジウム錫酸化物)
をピンホールなく覆うことができる。
【0062】また、液晶分子との相互作用を弱くするた
めには、モノマーを適宜選択すればよい。相互作用のう
ち結合力が強い水素結合成分や極性結合成分が、極力低
い薄膜を形成するための材料(モノマー)を選定するこ
とが好ましい。具体的には、薄膜の表面にアルキル基が
向く、アルキルシロキサン系モノマー、エチレン、メタ
ン、エタン、プロパン、アセチレンなどのハイドロカー
ボン系、及び、これらの化合物の水素原子の少なくとも
一部をハロゲン化(例えば、フッ素化または塩素化)し
たモノマーを使用することができる。
【0063】なお、下地層を透明電極上に形成すると、
下地層による電圧降下により、液晶層に印加される電圧
が低下するので、下地層の膜厚は、薄いほど好ましく、
実用的な範囲としては、約0.1μm以下であることが
好ましい。また、下地層の膜厚が薄すぎると、ITOの
凹凸の影響で下地層の表面に凹凸が形成され液晶分子の
配向を乱す場合があるので、下地層の膜厚は、約0.0
1μm以上であることが好ましい。
【0064】液晶層に電圧を印加するための表面が平坦
な場合には、液晶層に接する表面を改質できれば良いの
で、下地層の厚さの下限に特に制限はない。表面の性質
を改質する方法としては、シランカッブリング処理を挙
げることができる。シランカップリング剤は、ガラスの
表面など、表面水酸基を有する表面を効果的に改質でき
るので、実施例において詳述するプラズマアドレス型液
晶表示素子の下地層として、好適に用いられる。
【0065】シランカップリング剤は、ガラス基板など
親水性の表面上の吸着水により加水分解され、Si−O
Hを発生させ、ガラス基板上のSiに結合し、Si−O
−の結合を介して、ガラス基板の表面を改質する。Si
−O−に結合する官能基により表面性状が左右される。
本発明の場合、アルキル基(例えば、メチル基やエチル
基)など極性の小さい官能基が好ましい。また、シラン
カップリング剤の加水分解を受ける官能基としては、ハ
ロゲン原子、アルコキシル基、アセトキシ基などを使用
することができる。具体的には、アルキルクロルシラ
ン、アルキルトリメトキシシラン、アルキルアセトキシ
シランなどを使用できる。
【0066】さらに、本発明の液晶表示素子の製造方法
の相分離過程において、液晶滴が形成される位置を制御
するために、絵素領域を包囲するように凸部を形成する
ことが好ましい。凸部が形成された領域の基板間のギャ
ップは、凸部によって包囲された領域(すなわち、絵素
領域)よりも狭くなるので、液晶滴は、絵素領域に形成
され易くなる。
【0067】凸部は樹脂材料を用いて形成することがで
きる。特に、フォトレジスト材料を用いると、絵素領域
を囲む所望のパターンを容易に形成できる利点がある。
また、この凸部にスペーサ機能を持たせることが好まし
い。そのことによって、絵素領域内にスペーサが存在す
ることによる表示品質の低下を防止することができる。
【0068】例えば、粒状のスペーサを混合したレジス
ト材料を用いて、凸部を形成することによって、絵素領
域内にスペーサが存在しない液晶表示素子を作製するこ
とができる。さらに、粒状のスペーサが液晶材料と接触
し、液晶分子の配向を阻害しないように、さらに、フォ
トレジスト材料でスペーサを覆う2層構造にすることが
好ましい。また、粒状スペーサを用いずにレジストのみ
を用いて、スペーサ機能を有する凸部を形成することも
できる。
【0069】さらに、本発明によると、凸部をホトマス
クを使用しないで作製することができる。本発明を適用
してアクティブマトリクス型の液晶表示素子を製造する
場合には、バスライン(走査信号を供給するためのゲー
トバスライン及び表示信号を供給するためのソースバス
ライン)を凸部形成用のフォトマスク(以下、マスクと
称す)として用いることができる。また、カラーフィル
タ層を用いた液晶表示素子を製造する場合には、カラー
フィルタ層を凸部形成用マスクとして利用することがで
きる。このカラーフィルタ層は、液晶領域を包囲する高
分子壁を光重合法を用いて形成する際のフォトマスクと
しても利用できる。
【0070】アクティブマトリクス基板に形成されたバ
スラインをマスクとして用いる場合には、ポジ型レジス
トをアクティブ素子が形成された表面に塗布し、基板の
反対側の面から光照射、現像を行うことによって、バス
ラインに対応したパターンの凸部を形成することができ
る。
【0071】対向基板に形成されたカラーフィルタ層を
フォトマスクとして用いる場合には、ネガ型レジストを
用いて、以下のようにして、凸部を形成することができ
る。カラーフィルタ層は、それぞれの絵素に対応して、
典型的にはR,G,Bの色のカラーフィルタを有してい
る。それぞれのカラーフィルタの境界に遮光部を有する
ブラックマスク(BM)が設けられている。このブラッ
クマスクの遮光部の一部に、形成すべき凸部に対応する
ように透光領域を形成する。カラーフィルタ層の上にネ
ガ型レジストを塗布し、カラーフィルタ層を介して光照
射、現像することによって、凸部を形成することができ
る。ネガ型レジストからなる凸部が、液晶層を形成する
ための光を十分に透過する場合には、カラーフィルタ層
を介して、液晶材料と光硬化性樹脂材料に光照射するこ
とによって、凸部に対応する位置に高分子壁を形成する
ことができる。
【0072】以下に、本願発明を実施例について、さら
に詳細に説明する。 (実施例1)実施例1の液晶表示素子200の模式的な
部分断面図を図2に示す。液晶表示素子200におい
て、ITOからなる透明電極(不図示)が形成された一
対の基板202と204との間に挟持された液晶層(表
示媒体層)は、高分子壁206によって実質的に包囲さ
れた液晶領域208を有する。液晶表示素子200の一
対の基板202および204の液晶層に接する表面に
は、液晶分子との相互作用を低下させる下地層214お
よび216が透明電極上に形成されている。下地層21
4および216は、相分離過程において液晶滴が成長す
る過程(後に詳述)で、液晶分子の軸対称配向が乱され
ることを防止する。その結果、液晶領域208内の液晶
分子は、対称軸208aを中心に軸対称配向し、液晶表
示素子200は優れた広視角特性を有している。
【0073】液晶表示素子200において、液晶領域2
08は絵素領域に対応するように形成されている。基板
202の液晶層側の表面には、絵素領域を包囲するよう
に、凸部213が形成されている。この凸部213は、
相分離過程において液晶滴が絵素領域で成長するように
作用する。液晶表示素子200において、凸部213
は、スペーサ210bを混合したフォトレジスト210
aとからなる第1凸層210と、この第1凸層を覆う第
2凸層212とから形成されている。スペーサ210b
は一対の基板202と204との間のギャップを保持す
る。凸部213を覆って基板表面全体に下地層214が
形成されている。
【0074】なお、「絵素」は、一般に、表示を行う最
小単位として定義され、表示素子の構成と直接関係がな
い。本願明細書において用いられる「絵素領域」という
用語は、「絵素」に対応する表示素子の一部の領域を指
す。
【0075】以下に、液晶表示素子200の製造方法を
説明する。本実施例による製造方法の特徴は、凸部21
3を形成した後に下地層214を形成することにある。
【0076】ITO(厚さ:約50nm)層からなる透
明電極(不図示)を有するガラス基板202(厚さ:
1.1mm)を用意する。透明電極は必要に応じて、パタ
ーン化されている。基板202の透明電極が形成された
表面に、セルギャップ保持用のスペーサ210b(径
4.5μm)を0.5wt%(重量%)混合したフォト
レジスト210a(例えば、OMR83)を塗布する。
所望のパターンを有するホトマスクを用いて、フォトレ
ジスト210aを露光後、現像することによって、図3
(a)および(b)に示すようなパターンを有する第1
凸層210を基板202上に形成する。フォトレジスト
210aの高さやスペーサの添加量は必要に応じて調節
できる。
【0077】次に、得られた基板の表面を全体を覆うよ
うに、さらに、フォトレジスト(例えば、OMR83)
を塗布し、所望のパターンのホトマスクを用いて露光、
現像工程を行うことによって、図4(a)及び(b)に
示すようなパターンの凸部213を形成する。第2凸層
212は、フォトレジスト層210aから露出されたス
ペーサ210bを基板面内方向において覆い、スペーサ
210bが液晶材料に接しないようにする。このように
して、第1凸層210及び第2凸層212からなる凸部
213を形成する。本実施例では、凸部213によって
包囲される領域は、250x350μmの大きさを有し
ており、この領域が絵素領域となる。凸部213を覆っ
て、基板全面に、フォトレジスト(例えば、OMR8
3)を用いて下地層214(厚さ:約0.3μm)を形
成する。
【0078】他方の基板204の透明電極が形成された
面にも、フォトレジスト(例えば、OMR83)を用い
て、下地層216(厚さ:約0.5μm)を形成する。
得られた基板の周辺部に、ギャップ制御用のガラスファ
イバー(直径:約4.5μm)を混合したシール剤(例
えば、ストラクトボンドXN−21S)を印刷し、2枚
の基板を貼り合わせて、液晶セルを作製する。
【0079】上記の例では、凸部213、下地層214
及び216をフォトレジストOMR83を用いて形成し
たが、これに限られない。それぞれに、異なる材料を用
いてもよい。なお、凸部213を形成する工程はパター
ニング工程を含むので、フォトレジスト材料を用いるこ
とによって、製造工程を簡略化することができる。下地
層214および216の形成工程は、パターニング工程
を含まないので、その材料に感光性は必要ない。下地層
214および216の材料としてフォトレジストOMR
83を用いた理由は、後述するように、液晶材料との相
互作用が弱い点にある。OMR83は環化ゴムタイプの
高分子材料であり、これ以外の感光性を有さない環化ゴ
ムタイプの高分子材料も好適に用いることができる。
【0080】得られた液晶セルに、液晶層を形成するた
めの前駆体混合物を注入する。本実施例では、光重合相
分離法によって、高分子壁によって実質的に包囲された
液晶領域を有する液晶層を形成することができる前駆体
混合物を用いる。この前駆体混合物は、光重合性樹脂組
成物と液晶材料とを含む。光重合性樹脂組成物は、アク
リルモノマで代表される光重合性モノマ(但し、必要に
応じてオリゴマーを含んでもよい)と光開始剤とを含
む。光開始剤は省略することもできる。液晶材料として
は、公知の液晶材料を広く用いることができる。本実施
例においては、光重合性樹脂として、R−684(日本
化薬社製)0.1g、p‐フェニルスチレン0.1g及
び下記(化1)で表される化合物1を0.06gの混合
物を、光開始剤として、Irgacure 651(チバガイギ社
製)0.02gを、液晶材料として、ZLI−4792
(メルク社製、カイラル剤S−811を0.4重量%含
有)3.74gを用いて、前駆体混合物を調製する。
【0081】
【化1】
【0082】得られた前駆体混合物を液晶セルに注入す
る。前駆体混合物に、軸対称配向操作を施し、軸対称配
向を有する液晶滴を絵素領域に形成した後、所望の2次
元強度分布を有する光を前駆体混合物に照射し、光重合
性樹脂組成物を硬化する。その結果、図2に示したよう
に、軸対称配向した液晶分子を有する液晶領域208を
実質的に包囲する高分子壁206が形成され、液晶層の
構造が固定される。この過程を、図5を参照しながら、
さらに詳しく説明する。(a)〜(d)は、それぞれの
工程における液晶相の状態を偏光顕微鏡(クロスニコル
状態)で観察した結果を模式的に示す図である。
【0083】図5(a)は、液晶セルが前駆体混合物の
相溶化温度以上に加熱されている状態を示す(本実施例
では、100℃)。前駆体混合物は、均一状態(等方
相)にある。クロスニコル状態の偏光顕微鏡で観察する
と、等方相は暗視野として観察されるが、図では見やす
さのために明視野として表している。
【0084】均一な相溶状態の前駆体混合物を冷却する
と、図5(b)に示したように、相分離が起こり、等方
相中に液晶相が液晶滴として形成される(本実施例で
は、72℃)。液晶滴は、凸部213で包囲された領域
(絵素領域)内に形成される。液晶滴はその表面エネル
ギーが最小(表面積が最小な球状)となるように形成さ
れるので、基板間のギャップが広い領域に形成される。
このとき、液晶滴内の液晶分子の配向方向は、種々の方
向を向いている。図5(b)の状態の液晶滴に電圧を印
加することによって、液晶分子の配向を軸対称配向にす
る。電圧の印加には、それぞれの基板に形成された電極
を用いて行う。液晶分子は電場に平行に配向し、基板に
垂直な軸を中心に軸対称配向した状態が得られる。電圧
の印加に代えて、磁場を印加してもよい。電圧や磁場の
印加は、それぞれの絵素領域に1つの液晶滴が形成され
ている状態で行うのが、好ましい。
【0085】その後、前駆体混合物を冷却することによ
って、それぞれの液晶滴が絵素領域全体に広がるまで液
晶滴を成長させる(本実施例では0.3℃/minの冷却
速度により室温まで冷却)。本発明によると、液晶滴と
接する基板の表面には、表面エネルギーの低い下地層2
14及び216が形成されているので、この成長過程に
おいて、液晶滴中の液晶分子の軸対称配向は乱されるこ
とがない。
【0086】従って、絵素領域毎に軸対称配向を有する
液晶滴が形成される。軸対称配向の中心軸は、絵素領域
の中心に位置し、基板に垂直である。
【0087】この後、絵素領域を取り囲む領域に形成さ
れた高分子相(前駆体混合物からの相分離によって形成
された)に紫外線を照射(本実施例では、25℃で2.
5mW/cm2(365nm)の紫外線を20分間照
射)することによって硬化することによって、図2に示
した構造が固定される。また、液晶領域208内の液晶
分子の配向状態は、この硬化工程によって変化せず、図
5(d)に示した軸対称配向を有する液晶領域208が
形成される。
【0088】得られたセルの前後に、偏光軸が互いに直
交する2枚の偏光板を貼り合わせて液晶表示素子(ノー
マリホワイト)を作製した。作製したセルを電圧印加し
ながら、偏光顕微鏡で絵素領域を観察したところ、電圧
印加時においても絵素領域内にディスクリネーションラ
インが発生せず全体に黒くなっていく様子が観察され
た。本実施例による液晶表示素子の種々の視角方向にお
ける電気光学特性を、図6(a)〜(d)に示した。こ
の測定では、偏光軸を互いに平行にした2枚の偏光板の
透過率をブランク(100%)とた。また、各電気光学
特性の観察方向は図6(f)に示した配置に基づいて示
した。比較のために、従来のTNモードの液晶表示素子
の電気光学特性の視角依存性を同様に図7(a)〜
(f)に示す。
【0089】図6から本発明液晶表示素子は、従来のT
Nモードの液晶表示素子で見られるようなコントラスト
比の反転現象は見られず、電圧飽和時における広視角方
向での透過率の増加も見られない。さらに、中間調表示
状態においても、ざらつきは観察されず、表示面全体に
均一な表示が得られた。
【0090】本実施例において下地層214および21
6は、OMR83を用いて形成した。下地層214およ
び216の表面自由エネルギーγs-pは、約40.1m
N/mであった。表面自由エネルギーγs-pは、以下の
ようにして求めた。
【0091】表面自由エネルギーが既知の液体(例え
ば、水、エチレングリコール、MeI)の膜上での接触
角θを測定し、この値をフォークスの拡張濡れ理論式
(1)に適応して得られる3元連立方程式から、式
(2)から表面自由エネルギーγsを算出した。なお、
下地層の表面自由エネルギーをγs-pで、凸部の表面自
由エレルギーをγs-wで、それぞれ表が、何れも、下記
式のγsとして、求められる。
【0092】
【数1】 γL(1+cosθ)=2(γsd+γld1/2+2(γsp+γlp1/2 +2(γsh+γlh1/2 ・・・(1) ここで、γLは、液体の既知の表面自由エネルギー、右
辺のγの添字s及びlはそれぞれ固体(下地層)及び液
体を示し、dは分散項成分、pは双極子成分、hは水素
結合成分をそれぞれ表す。
【0093】
【数2】 γS=γsd+γsp+γsh ・・・(2) 上述した液晶セルにおける絵素領域(すなわち、凸部2
13で包囲される領域)の大きさのみを変化さた液晶セ
ルを作製し、軸対称配向を有する液晶滴が安定に成長す
る限界サイズを求めた結果を表1に示す。なお、表1
は、表面自由エネルギーの異なる下地層をもちいて、同
様の検討を行った比較例1及び2についての結果を合わ
せて示す。
【0094】
【表1】 表面自由エネルギーγs(mN/m) 安定成長限界サイズ(μm) 実施例1 40.1 約300〜400 比較例1 33.1 約140 比較例2 49.6 約100 表1の結果から、明らかなように、実施例1による液晶
セルにおいては、絵素サイズが約300μm以上まで、
軸対称配向が乱れることがない。従って、本発明の液晶
表示素子は、大画面表示素子に好適に適用される。ま
た、本願発明の液晶表示素子は軸対称配向を有する液晶
領域を備えるので、優れた視角特性を有し、大画面表示
を異なる方向から観察する複数の観察者に、優れた表示
品質の表示を提供することができる。また、ほとんど全
ての絵素領域において、軸対称配向の中心軸が、絵素領
域の中央部に位置し、また基板面に対して垂直に立って
いるので、ざらつきのない表示が観察される。
【0095】上記実施例においては、対向基板の液晶相
側の表面には、平坦な下地層216を形成したが、図8
(c)に示すように、絵素領域の中央部が窪んだ断面を
有する下地層316を基板304上に形成することによ
って、さらに、表示品質を向上させることができる。上
記断面構造を有する下地層は、液晶滴の軸対称配向の中
心軸を絵素領域の中心に位置させるように機能するとと
もに、中心軸が基板に垂直な方向に形成されるように作
用する。その結果、液晶領域における軸対称配向の均一
性が更に向上するので、表示品質の視角依存性がさらに
向上する。
【0096】図8(c)に示した下地層316は、例え
ば、以下のようにして形成することができる。対向基板
302上に高分子材料(例えば、フォトレジストOMR
83)を塗布し(厚さ:約2μm)(図8(a))、高
分子材料の軟化温度以上に加熱した状態(OMR83に
ついては、例えば約120℃)で、所望の形状を有する
型320を押し当てる(図8(b))ことによって、所
望の形状の断面形状を有する下地層316を形成するこ
とができる。下地層316の断面形状は、典型的には逆
円錐状であるが、これに限られない。下地層316が形
成された面を上にして見たとき、絵素領域の中央部が最
も低く(セルギャップが広く)、絵素周辺に向かって連
続的に高くなっている断面形状を有することが好まし
い。また、断面形状は絵素中央部について回転対称性を
有していることが好ましい。すなわち、下地層316の
等高線が、絵素の中心に対して、同心円状となることが
好ましい。但し、等高線の形状は絵素の形状に対応して
変化してもよく、楕円形や長方形であってもよい。ま
た、連続的に高さが異なる領域の面積(基板面に投影し
た面の面積)は、絵素全体の約90%以上であれば上述
した効果が得られる。
【0097】(比較例1)実施例1の液晶表示素子20
0における凸部213及び下地層214及び216を形
成する材料として、OMR83に代えて、γs-pが低い
フォトレジスト材料Aを用いた以外は、実施例1と同様
にして、比較例1の液晶セルを作製した。
【0098】実施例1と同様に評価した表面自由エネル
ギーと安定成長限界サイズの結果を表1に示す。レジス
ト材料Aの表面自由エネルギーの値は33.1mN/m
であり、安定成長限界サイズは約140μmであった。
【0099】比較例1の液晶セルの製造工程において、
軸対称配向状態の液晶滴が成長する過程(図5の(c)
から(d)の過程)で、液晶滴の大きさが約140μm
を越えると、徐々に軸対称配向が乱される現象が偏光顕
微鏡で観察された。また、表面自由エネルギーの低い表
面によって、液晶分子は垂直配向させられるので、室温
まで冷却されたときの絵素領域は暗視野となった。下地
層の表面自由エネルギーの値が約35mN/m未満にな
ると、上述の不具合を生じるので好ましくない。
【0100】以下、実施例1と同様にして作製した液晶
表示素子を広視角方向から観察すると、ざらついた表示
が観察された。
【0101】(比較例2)実施例1の液晶表示素子20
0における凸部213及び下地層214及び216を形
成する材料として、OMR83に代えて、γs-pが高い
フォトレジスト材料Bを用いた以外は、実施例1と同様
にして、比較例2の液晶セルを作製した。
【0102】実施例1と同様に評価した表面自由エネル
ギーと安定成長限界サイズの結果を表1に示す。レジス
ト材料Bの表面自由エネルギーの値は49.6mN/m
であり、安定成長限界サイズは約100μmであった。
【0103】比較例2の液晶セルの製造工程において、
軸対称配向状態の液晶滴が成長する過程で、液晶滴の大
きさが約100μmを越えると、徐々に軸対称配向が乱
される現象が偏光顕微鏡で観察された。室温まで冷却し
た状態の絵素領域を観察した結果を図9に示す。
【0104】以下、実施例1と同様にして作製した液晶
表示素子を広視角方向から観察すると、ざらついた表示
が観察された。
【0105】(実施例2)実施例2の液晶表示素子40
0の部分断面図を模式的に図10示す。液晶表示素子4
00は、基板402上に形成された下地層414の上に
凸部413が形成されていることにおいて、実施例1の
液晶表示素子200と異なる。また、対向基板404上
には、先に説明したコーン状の断面形状を有する下地層
416が形成されている。液晶表示素子400の液晶領
域408内の液晶分子は、下地層416のコーンの中心
(絵素領域の中心)から基板404、414に垂直に延
びる軸408aを中心に軸対称配向している。その結
果、液晶表示素子400は、実施例1の液晶表示素子と
同様に優れた視角特性を有している。
【0106】下地層416の凸部413に対向する絵素
領域外の部分は、平坦になっているが、勿論、図8
(c)に示した断面形状を有する下地層316や、図2
に示した平坦な下地層216を用いることもできる。ま
た、図10において、液晶表示素子400の凸部413
は基本的に実施例と同様なので、簡単のために詳細な構
造(レジストの2層構造およびスペーサ)は省略してい
る。
【0107】液晶表示素子400は、例えば、実施例1
における凸部形成工程の前に下地層を形成すことによっ
て、製造できる。軸対称配向領域が安定に成長する限界
サイズも実施例1と同様であった。本実施例の液晶表示
素子400の製造過程において、液晶滴が凸部413と
接する可能性があるので、凸部413の材料は、下地層
414と同様に、液晶材料との相互作用が小さいことが
好ましい。また、その表面自由エネルギーの値は、下地
層414及び416の表面自由エネルギーの値と等しい
ことが好ましい。同じ材料を用いて凸部及び下地層を形
成することによって、表面自由エネルギーを同じにでき
る。
【0108】(実施例3、比較例3)本実施例では、下
地層をプラズマ重合法を用いて形成する。プラズマ重合
は、真空中でガスを外部電場によりプラズマ状態とし、
その中に、重合させるモノマーを導入し、モノマーをラ
ジカル状態として基板上で重合させる薄膜形成方法であ
る。本実施例の液晶表示素子は、実施例1の液晶表示素
子200と実質的に同じ構造を有しているので、図2を
参照しながら、本実施例による液晶表示素子の製造方法
を説明する。
【0109】ITO(酸化インジュウムおよぴ酸化スズ
の混合物、150nm)を透明電極とする1.1mm厚
のガラス基板上に、直径4μmのスペーサ210b(ミ
クロパール:積水化学社製)を散布し、その上にOMR
−83レジストを塗布し、フォトリソグラフィ工程によ
って、第1凸層210を形成する。さらに、スペーサ2
10bを覆うために、実施例1と同様にして第2凸層2
12を形成し、200×200μm□の凸部213を形
成した。
【0110】得られた基板の表面に、ヘキサメチルシロ
キサンモノマーをプラズマ重合し、約0.06μmの膜
厚の下地層214を形成した。対向基板のITOを形成
した表面にも、同様に、ヘキサメチルシロキサンのプラ
ズマ重合体からなる下地層216(厚さ:0.06μ
m)を形成した。ヘキサメチルシロキサプラズマ重合膜
の表面自由エネルギーは、約35mN/mであった。
【0111】シール版でシール材料をスクリーン印刷
し、前記2枚の基板を貼り合わせ、液晶セルを作製し、
得られた液晶セル中に、R−684 0.20g、p−
フェニルスチレン0.20g、前記化合物1 0.10
g、さらに液晶材料ZLI−4792(メルク社製:△
n=0.094:カイラルピッチが90°になるよう
に、S−811で調整)4.5gと、光開始剤Irgacure
651 0.025gからなる前駆体混合物を注入した。
【0112】その後、実施例1と同様にして、軸対称配
向状態の液晶滴を絵素領域毎のに形成した(図5参
照)。軸対称配向を有する液晶滴を温度を下げることに
よって成長させる過程(図5(c)〜(d))におい
て、軸対称配向状態の液晶領域は、配向乱れを起こすこ
となく成長した。
【0113】この状態で液晶分子の配向状態を固定する
ために電圧を印加(UV照射後2分後から2分間電圧印
加:電圧値5V、周波数60Hz)しながら、高圧水銀
ランブ下3mW/cm2(365nm)のところで40
分光照射した。得られた液晶セルに偏光軸が互いに直交
するようにセルの両面に偏光板を貼り、液晶表示素子を
作製した。偏光板の偏光軸は、セルの上下、左右方向
(絵素の直交する2辺の方向に沿って)に貼るのが、視
角特性の観点から好ましい。得られた液晶表示素子は、
実施例1と同様に優れた視角特性を有していた。
【0114】実施例3におけるプラズマ重合による下地
層214及び216を形成しなかった以外は、実施例3
と同様にして比較例3の液晶表示素子を形成した。比較
例3の液晶表示素子の製造工程の、軸対称配向を有する
液晶滴を成長させる過程(図5(c)〜(d))におい
て、液晶滴の大きさが約120μm付近で、軸対称配向
に乱れを生じるものがあり、軸位置のずれが観察され
た。また、得られた液晶表示素子は、ざらつきのある表
示を提供した。
【0115】実施例3では、2層構造の凸部213を形
成した後に、下地層214を形成したが、図10に示し
たように、逆の構成にしてもよい。また、第1凸層を形
成した上に、下地層を形成し、下地層の上から第2凸層
を形成することもできる。また、第2凸層を省略しても
よい。
【0116】(実施例4)本実施例においては、プラズ
マアドレス型液晶表示素子(PALC)に、シランカッ
プリング剤処理を適用して製造した例を説明する。
【0117】本実施例のPALC500の断面図を模式
的に図11に示す。PALC500は、PA基板520
と対向基板510の間に挟持された液晶層を有してい
る。液晶層は、中心軸508aを中心に軸対称配向して
いる液晶領域508とそれを実質的に包囲する高分子壁
506を備えている。
【0118】PA基板520は、PAガラス基板524
と、その液晶層側に設けられた誘電体シート502と、
誘電体シート502上に形成された下地層514を有し
ている。PAガラス基板524は、互いに平行なカソー
ド522及びアノード527が形成された溝525を有
する。溝525が形成された面を誘電体シート502が
覆い、プラズマ室522が形成されている。カソード5
22及びアノード527は、プラズマ室522内のガス
(例えば、Ne、Kr)をイオン化し、プラズマを発生させ
る。このカソード522及びアノード527は、対向基
板510に形成されている透明電極529と直交するよ
うに配置されており、プラズマ室522と透明電極52
9との交差部が絵素に対応する。誘電体シート502の
液晶層側に下地層514が形成されている。対向基板5
04の液晶層表面に設けられた透明電極529(例え
ば、ITO層)の表面には凸部513が形成されてお
り、さらに、その凸部を覆って下地層516が形成され
ている。PALCの動作については、例えば、特開平4
−265931号公報に開示されている。
【0119】本実施例では、PA基板520の誘電体シ
ート502上にシランカップリング剤処理を施すことに
よって、下地層514を形成した。PA基板は公知の方
法を用いて形成することができる。
【0120】シランカップリング剤(エチルトリクロロ
シラン:n−ヘキサン溶液)に、下地層を形成する前の
PA基板をディッピングすることによって表面改質し、
下地層514を形成した。得られた表面の表面自由エネ
ルギーは、約35.5mN/mであった。対向基板51
0の凸部513および下地層516は、先の実施例で説
明した方法によって形成できる。
【0121】以下、実施例1と同様の工程を用いて、液
晶表示素子500を作製した。得られた液晶表示素子5
00は、実施例1の液晶表示素子と同様に、優れた視角
特性を有していた。また、シランカップリング剤による
表面改質によって形成された下地層514は、前述の実
施例における下地層と同等の効果を有しており、軸対称
配向した液晶領域を安定に成長させることができた。
【0122】本実施例のように、基板の表面の凹凸が少
なく、シランカップリング剤等を用いて表面改質できる
場合には、上述したようにディッピング処理で容易に、
所望の特性の表面を得ることができるので、製造工程を
簡略化できる。勿論、基板表面を平坦化する工程とシラ
ンカップリング処理とを併用することもできる。
【0123】(実施例5)本実施例では、アクティブマ
トリクス基板に形成されたバスラインをマスクとして利
用して、凸部を形成する方法を説明する。
【0124】バスラインは、通常遮光性の金属材料(例
えば、Ta、Al)が使用されており、マスクとして使
用することができる。また、近年の液晶表示素子の高開
口率化に伴い、バスラインの形状が格子状になって来て
いる。特に、特開平4−120516号公報に開示され
ている、バスラインと絵素電極の間に層間絶縁層(有機
樹脂層)を形成し、絵素電極とTFT(薄膜トランジス
タ)のドレインとを層間絶縁層に形成されたコンタクト
ホールを介して接続した超高開口率(以降SHA方式と
記載)液晶表示素子においては、基板面内で図12に示
すように、絵素電極がバスライン上に重なって形成され
ているので、特に好ましい。さらに、バスライン上にT
FT素子を持つ素子構造の場合、レジスト壁の水平面内
での構造が最終的に格子状となり、特に好ましい。
【0125】本実施例のSHA構造を有する液晶表示素
子のアクティブマトリクス基板600を図12に示す。
図12(a)は、アクティブマトリクス基板600の上
面図、(b)は模式的な断面図である。格子状に形成さ
れたソースバスライン603とゲートバスライン602
とが交差する点の近傍にTFT素子604が形成されて
いる。TFT素子604のソース電極604aはソース
バスライン603に接続されており、ドレイン電極60
4bは、コンタクトホール606を介して絵素電極60
6に接続されている。また、ドレイン電極504bに
は、付加容量電極607aに接続された接続電極607
が接続されている。付加容量電極607aとそれに対向
する付加容量対向電極(付加容量共通電極)608は、
液晶層に印加される電圧を保持する付加容量を形成す
る。層間絶縁膜610は、TFT604やゲートバスラ
イン602及びソースバスライン603を覆うように形
成されている。絵素電極606は、図中に破線で示した
ように、その周辺部において、層間絶縁膜610を介し
て、ゲートバスライン602及びソースバスライン60
3の一部と重なるように構成されている。このゲートバ
スライン602及びソースバスライン603をマスクに
用いて、ゲートバスライン602及びソースバスライン
603上に、絵素領域を包囲する凸部(不図示)を以下
のように形成する。
【0126】図13は、本実施例によるアクティブマト
リクス基板の製造方法を模式的に示す断面図である。透
光性を有する基板(例えばガラス基板)601に遮光性
を有する材料を用いてゲートバスライン602およびソ
ース603を形成する(a)。なお、TFT604を形
成する工程は、公知の方法を用いて実施することができ
るので、簡単のために省略する。
【0127】ゲートバスライン602およびソース60
3を少なくとも覆うように、ポジ型レジスト(例えば、
TFR−B2(東京応化社製))をスピンコート法によ
り塗布し、溶媒を加熱除去し、その後、背面(図中矢
印)から露光(10mW/cm2の紫外線を約3秒間照
射)した(b)。現像工程、リンス工程を引きつづき行
い、ゲートバスライン602およびソース603上に凸
部613を形成した(c)。凸部613を覆うように、
得られた基板上に、例えば、OMR−83(東京応化社
製)レジストを塗布し、下地層614を形成し、アクテ
ィブマトリクス基板を完成させた(d)。
【0128】なお、(a)と(b)との工程の前に、絵
素領域外にのみスペーサを配置する工程を実施すること
が好ましい。例えば、以下の方法で、絵素領域外にのみ
スペーサを設けることができる。例えば、感光性ポリイ
ミド(例えば、PSI−P:チッソ社製)を塗布し、所
望のパターンを有するマスクを用いて、絵素領域外の所
定の領域に、スペーサ柱(高さ4.5μm)を形成す
る。この工程においては、前面(図中の上部)から露光
する。また、この工程を、実施例1における第1凸層を
形成する工程を実施しても良い。
【0129】対向基板側の液晶層側の表面に、OMR8
3を用いて下地層を形成し、以下実施例1と同様にし
て、液晶セルを作製した。得られ液晶セルに、実施例3
と同じ前駆体混合物を注入した。その後、一旦、温度を
上げて均一相にし(図5(a))、温度を降下させて液
晶滴が絵素領域に対して1つになるようにした(図5
(b))。その後、透明電極間に電圧を印加し、ディス
クリネーションラインを消した後、電圧を降下させ軸対
称配向状態とした(図5(c))。さらに、軸対称配向
状態の液晶滴を降温することにより成長させ軸対称配向
した絵素領域を形成した(図5(d))。このとき、軸
対称配向状態の液晶滴は、配向乱れを起こすことなく成
長した。図5(d)に示した状態の状態で配向状態を固
定するために、本実施例では、電圧を印加(UV照射後
2分後から2分間電圧印加)しながら高圧水銀ランブ下
3mW/cm2(365nm)のところで40分照射し
た。
【0130】以下、実施例1と同様にして液晶表示素子
を形成し、評価した結果、本実施例による液晶表示素子
は、実施例1と同様に優れた視角特性を有することが確
認された。
【0131】(実施例6)本実施例においては、実施例
5における下地層614および対向基板に形成する下地
層を、プラズマ重合法を用いて形成した。それぞれの下
地層の形成は、実施例3と同様、ヘキサメチルシロキサ
ンをモノマーとして用い、厚さ約0.06μmのプラズ
マ重合体膜を形成した。ヘキサメチルシロキサプラズマ
重合膜の表面自由エネルギーは、約35mN/mであっ
た。
【0132】以下、実施例3と同様にして、液晶表示素
子を作製し、評価した結果、実施例3と同様の良好な結
果が得られた。
【0133】(実施例7)本実施例では、カラーフィル
ター基板のブラックマスクをフォトマスクとして利用
し、カラーフィルタ基板に凸部を形成した。
【0134】図14に示すカラーフィルタ基板700
は、それぞれの絵素領域に対応するように配置されたカ
ラフィルター704a、704b及び704c(例え
ば、これらはそれぞれR,G,Bのカラーフィルタ)と
それぞれのカラーフィルター間に設けられたブラックマ
スク706とを有している。ブラックマスク706は、
遮光部706aと透光部706bとを有している。
【0135】このカラーフィルタ700の全面にネガ型
レジスト(例えば、東京応化社製OMR−83)をスピ
ンコート法により塗布し、溶媒を加熱除去した。さら
に、背面(図中下)より露光(10mW/cm2の紫外
線を約15秒間照射)後、現像、リンスを引きつづき行
い、凸部713を形成した(図15)。さらに、得られ
た基板上に、例えば、OMR−83(東京応化社製)レ
ジストを塗布し、下地層714を形成し、図15に示す
カラーフィルタ基板710を作製した。
【0136】一方、TFT基板の液晶側表面にも、OM
R−83をコーティングし、上記2枚の基板を貼り合わ
せ、液晶表示セルを作製した。その後、実施例1と同様
にして、液晶表示素子を作製し、評価した結果、実施例
1と同様の良好な結果が得られた。
【0137】(駆動法)作製されたセルは単純マトリク
ス駆動、a−Si,TFT,p−Si TFT,MIM
などのアクティブマトリクス駆動などの駆動法、また、
プラズマ発光により制御するプラズマアドレス方式(P
ALC)で駆動でき本発明では、特に限定しない。本シ
ステムに使用する液晶表示素子の特性に合わせて、上記
駆動法から選定することができる。
【0138】(基板材料)基板材料としては、透明固体
であるガラス、高分子フィルムなどが利用できる。プラ
スチック基板としては、可視光に吸収を持たない材料が
好ましく、PET、アクリル系ポリマー、ポリスチレ
ン、ポリカーボネートなどが使用できる。さらに、これ
らの基板を2種組み合わせて異種基板でセルを作製する
こともでき、また、同種異種に問わず基板厚みの異なっ
た基板を2枚組み合わせて使用することもできる。
【0139】また、プラスチック基板の場合、基板自身
に偏光能を持たせることにより偏光板を一体化した液晶
表示素子を作製することができる。
【0140】
【発明の効果】本発明による液晶表示素子は、軸対称配
向した液晶分子からなる液晶領域と、液晶分子との相互
作用の小さい下地層を有している。この下地層は、軸対
称配向を有する液晶滴が成長するときに、液晶分子をラ
ンダムに向けようとする基板表面の力を低下させるの
で、液晶滴内の液晶分子の軸対称配向が乱されることを
抑制・防止する。その結果、大きいサイズ(少なくとも
一辺の長さが150〜400μm)の絵素領域に対し
て、軸対称配向を有する液晶領域を安定に形成すること
が可能となる。従って、本発明によると、大面積の広視
野角型液晶表示素子を提供することができる。
【0141】さらに、本発明によると、軸対称配向を作
製するために必要な高分子壁を、ホトマスクを使用する
ことなく、基板上に有する遮光パターンを利用して、安
価に液晶表示素子を製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示素子の視角特性を説明するための模式
図である。
【図2】本発明による液晶表示素子の部分断面図であ
る。
【図3】実施例1の液晶表示素子に用いられる基板の製
造過程を示す図である。(a)は平面図、(b)は
(a)の3B−3B線に沿った部分断面図である。
【図4】実施例1の液晶表示素子に用いられる基板の製
造過程を示す図である。(a)は平面図、(b)は
(a)の4B−4B線に沿った部分断面図である。
【図5】本発明による液晶表示素子の製造方法におい
て、軸対称配向の液晶領域を形成する工程を説明する図
である。(a)〜(d)は、それぞれの工程における液
晶相の状態を偏光顕微鏡で観察した結果を模式的に示す
図である。
【図6】実施例1の液晶表示素子の電気光学特性の視角
依存性を示す図である。
【図7】従来のTNモードの液晶表示素子の電気光学特
性の視角依存性を示す図である。
【図8】本発明の液晶表示素子に用いられる逆円錐形状
の断面を有する下地層を形成する工程を示す図である。
【図9】比較例2の液晶表示素子の絵素領域を偏光顕微
鏡で観察した結果を示す図である。
【図10】実施例2の液晶表示素子の部分断面図であ
る。
【図11】実施例4のプラズマアドレス型液晶表示素子
の部分断面図である。
【図12】実施例5のSHA構造を有する液晶表示素子
のアクティブマトリクス基板を示す図である。(a)は
上面図、(b)は模式的な断面図である。
【図13】実施例5によるアクティブマトリクス基板の
製造方法を模式的に示す断面図である。
【図14】実施例7で用いられるカラーフィルター基板
の部分断面図である。
【図15】実施例7のカラーフィルター基板の部分断面
図である。
【符号の説明】
200 液晶表示素子 202、204 基板 206 高分子壁 208 液晶領域 208a 対称軸 210 第1凸層 210a フォトレジスト 210b スペーサ 212 第2凸層 213 凸部 214、216 下地層
フロントページの続き (72)発明者 神崎 修一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板と、該一対の基板に挟持され
    た液晶層とを有し、 該液晶層は、高分子壁によって実質的に包囲され、絵素
    領域に対応して設けられた液晶領域とを有し、該液晶領
    域内の液晶分子が軸対称状に配向している液晶表示素子
    であって、 該一対の基板の少なくとも一方の基板の該液晶領域に接
    する表面に、該液晶分子との相互作用が弱く、該液晶分
    子の軸対称配向を阻害しない下地層が形成されている液
    晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記下地層の表面自由エネルギーγS-P
    が35mN/m以上で45mN/m以下である請求項1
    に記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 前記下地層は、前記一対の基板の間に形
    成されるギャップが前記絵素領域の中央で最大となるよ
    うな断面形状を有している請求項1または2に記載の液
    晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記下地層の断面形状は、前記絵素領域
    の中心に対して回転対称性を有している請求項1から3
    のいずれかに記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 前記少なくとも一方の基板の前記表面
    は、前記液晶領域の周囲に凸部を有する請求項1から4
    のいずれかに記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記凸部を包含するように前記高分子壁
    が形成されている請求項1から5のいずれかに記載の液
    晶表示素子。
  7. 【請求項7】 前記下地層の表面自由エネルギーと前記
    凸部の表面自由エネルギーとが概ね等しい請求項5また
    は6のいずれかに記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 前記凸部が感光性高分子から形成されて
    いる請求項5から7のいずれかに記載の液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 前記下地層は前記凸部の上に形成されて
    いる請求項5から8のいずれかに記載の液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 前記凸部は前記下地層の上に形成され
    ている請求項5から8のいずれかに記載の液晶表示素
    子。
  11. 【請求項11】 前記一対の基板の少なくとも一方の基
    板は、アクティブマトリクス基板であって、前記凸部
    は、該アクティブマトリクス基板のバスライン上に形成
    されている請求項5から10に記載の液晶表示素子。
  12. 【請求項12】 前記一対の基板の少なくとも一方の基
    板は、カラーフィルター基板であって、前記凸部は、該
    カラーフィルター基板が有する複数のカラーフィルタの
    境界に形成されている請求項5から10に記載の液晶表
    示素子。
  13. 【請求項13】 前記下地層は、環化ゴム系感光性高分
    子材料から形成されている請求項1から12に記載の液
    晶表示素子。
  14. 【請求項14】 前記下地層は、プラズマ重合膜から形
    成されている請求項1から12に記載の液晶表示素子。
  15. 【請求項15】 前記プラズマ重合膜は、シロキサンポ
    リマーからなる膜である請求項14に記載の液晶表示素
    子。
  16. 【請求項16】 前記下地層は、シランカップリング剤
    から形成されている請求項1から12に記載の液晶表示
    素子。
  17. 【請求項17】 前記液晶表示素子はプラズマアドレス
    型の液晶表示素子であって、前記下地層は、プラズマア
    ドレス基板側に形成されている請求項16に記載の液晶
    表示素子。
  18. 【請求項18】 前記液晶領域の大きさが、150μm
    以上である請求項1から17に記載の液晶表示素子。
  19. 【請求項19】 一対の基板と、該一対の基板に挟持さ
    れた液晶層とを有し、 該液晶層は、高分子壁によって実質的に包囲され、絵素
    領域に対応して設けられた液晶領域とを有し、該液晶領
    域内の液晶分子が軸対称状に配向している液晶表示素子
    の製造方法であって、 該一対の基板の間に、液晶材料と光重合性樹脂組成物と
    を含む前駆体混合物を注入する工程と、 該前駆体混合物から相分離によって液晶滴を生成させる
    工程と、 該液晶滴内の液晶分子の配向を軸対称配向とする工程
    と、 該前駆体混合物の温度を低下させて、該液晶滴を成長さ
    せる工程と、 該光重合性樹脂組成物を硬化させ、該液晶領域と該高分
    子壁とを形成する工程と、を包含し、 該一対の基板の少なくとも一方の基板の該液晶領域に接
    する表面に、該液晶分子との相互作用が弱い下地層を形
    成する工程を包含し、そのことによって、該液晶滴の成
    長工程において、該液晶分子の軸対称配向を乱さない、
    液晶表示素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記下地層を形成する工程は、表面自
    由エネルギーγS-Pが35mN/m以上で45mN/m
    以下の下地層を形成する工程である請求項19に記載の
    液晶表示素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記下地層を形成する工程は、前記一
    対の基板の間に形成されるギャップが前記絵素領域の中
    央で最大となるような断面形状を有する下地層を形成す
    る工程である請求項19または20に記載の液晶表示素
    子の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記下地層を形成する工程は、断面形
    状が前記絵素領域の中心に対して回転対称性を有する前
    記下地層を形成する工程である請求項19から21のい
    ずれかに記載の液晶表示素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記少なくとも一方の基板の前記表面
    に、前記液晶領域を囲むように凸部を形成する工程を更
    に包含する請求項19から22のいずれかに記載の液晶
    表示素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記液晶領域と前記高分子壁とを形成
    する工程は、前記凸部を包含するように、前記光重合性
    樹脂組成物を硬化させる工程である請求項19から23
    のいずれかに記載の液晶表示素子の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記下地層および前記凸部を形成する
    材料に、同じ材料を用いる請求項23または24のいず
    れかに記載の液晶表示素子の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記凸部を感光性高分子を用いて形成
    する請求項23から25のいずれかに記載の液晶表示素
    子の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記下地層を形成する工程は、前記凸
    部を形成した後に行われる請求項23から25のいずれ
    かに記載の液晶表示素子の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記凸部を形成する工程は、前記下地
    層を形成した後に行われる請求項23から25のいずれ
    かに記載の液晶表示素子の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記一対の基板の少なくとも一方の基
    板は、アクティブマトリクス基板であって、 前記凸部を形成する工程は、該アクティブマトリクス基
    板のバスラインをマスクとしたフォトリソグラフィ工程
    で、ポジ型フォトレジストを用いて該記凸部を形成する
    工程である請求項23から28に記載の液晶表示素子の
    製造方法。
  30. 【請求項30】 前記一対の基板の少なくとも一方の基
    板は、カラーフィルター基板であって、 前記凸部を形成する工程は、該カラーフィルター基板が
    有する複数のカラーフィルタの境界に形成されている透
    光部をマスクとしたフォトリソグラフィ工程で、ネガ型
    フォトレジストを用いて該記凸部を形成する工程である
    請求項23から30に記載の液晶表示素子の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記下地層を環化ゴム系感光性高分子
    材料を用いて形成する請求項19から30に記載の液晶
    表示素子の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記下地層をプラズマ重合法を用いて
    形成する請求項19から30に記載の液晶表示素子の製
    造方法。
  33. 【請求項33】 前記下地層をシロキサン系モノマを用
    いたプラズマ重合法で形成する請求項32に記載の液晶
    表示素子の製造方法。
  34. 【請求項34】 前記下地層をシランカップリング剤処
    理によって形成する請求項19から30に記載の液晶表
    示素子の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記液晶表示素子はプラズマアドレス
    型の液晶表示素子であって、プラズマアドレス基板の表
    面をシランカップリング剤処理することによって前記下
    地層を形成する請求項34に記載の液晶表示素子の製造
    方法。
  36. 【請求項36】 前記液晶滴を成長させる工程は、液晶
    滴を150μm以上の大きさまで成長させる工程である
    請求項19から35に記載の液晶表示素子の製造方法。
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