JPH10185916A - 前駆型ペプチドの測定法 - Google Patents

前駆型ペプチドの測定法

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JPH10185916A
JPH10185916A JP34438696A JP34438696A JPH10185916A JP H10185916 A JPH10185916 A JP H10185916A JP 34438696 A JP34438696 A JP 34438696A JP 34438696 A JP34438696 A JP 34438696A JP H10185916 A JPH10185916 A JP H10185916A
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ligand
substance
site
peptide
precursor peptide
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JP34438696A
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Takuji Morimoto
卓二 森本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】前駆型ペプチドと変換物質との被疑混入物
を還元条件下にて、そのジスルフィド結合の開裂を行う
工程と、前記第1の部位に対して特異的に結合する第1
のリガンドの固相化物と、第2の部位に対して特異的に
結合する第2のリガンドとを用いて、該前駆型ペプチド
と該変換物質を区別する工程を含むことにより、第1の
リガンドと第2のリガンドの両方に結合する物質または
第1のリガンドには結合せず第2のリガンドには結合す
る物質のいずれかの量を測定する該前駆型ペプチドまた
は該変換物質の測定法。 【効果】 生理学的意義の全く違う2つの蛋白質の混入
物において、一方を特異的に測定することが可能であっ
て、診断学、臨床医学、生理学や医薬品の製造開発分野
に大きく貢献できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は診断学、基礎医学、
医薬品の製造開発において、ヒト由来検体、医薬品およ
び医薬品製造工程由来検体中の特定の物質、すなわち前
駆型ペプチドまたは該前駆型ペプチドからの変換物質を
特異的に測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ペプチド結合とジスルフィド結合を有す
る前駆型ペプチドと、該前駆型ペプチドが特定の切断反
応による特定のペプチド結合部位の切断により少なくと
も第1の部位と第2の部位に分けられるが、ジスルフィ
ド結合により1つの物質を構成する前記前駆型ペプチド
からの変換物質との混入が疑われる検体(被疑混入物と
略すことがある)中において、該前駆型ペプチドまたは
該変換物質を測定する需要は高い。例えば血栓溶解剤と
して上市されている1本鎖組織プラスミノーゲンアクチ
ベータ(以降組織プラスミノーゲンアクチベータをtP
Aと略すことがある)やプロウロキナーゼ等を臨床に使
用した時、患者において1本鎖tPAと2本鎖tPAの
血中濃度を測定したり、またプロウロキナーゼとウロキ
ナーゼの血中濃度を測定することにより、その生理学的
挙動を明確にする必要がある場合がある。またtPAや
プロウロキナーゼ等の血栓溶解剤の製造工程において、
原体や製剤中の1本鎖tPAと2本鎖tPAの含有比や
プロウロキナーゼとウロキナーゼの含有比を明らかにす
る必要がある場合も想定される。
【0003】ちなみに1本鎖tPAは、ペプチド結合と
ジスルフィド結合を有する前駆型ペプチドとして、正常
細胞やメラノーマ細胞、さらには遺伝子操作された形質
転換細胞から産出され、プラスミンまたはカリクレイン
により1本のペプチド鎖が、クリングル構造を持つ部位
とセリンプロテアーゼ活性を持つ部位との間に存在する
リジンとイソロイシン間のペプチド結合が切断され、2
本のペプチド鎖となるが、ジスルフィド結合により依然
として物質としては一つである2本鎖tPA(変換物
質)となる。またプロウロキナーゼは、正常細胞や遺伝
子操作された形質転換細胞から産出され、そのものは特
別の生理活性を示さず、後述のウロキナーゼに変換され
て、フィブリン溶解活性を示すものであって、該プロウ
ロキナーゼは1本のペプチド鎖が、クリングル構造を持
つ部位とセリンプロテアーゼ活性を持つ部位との間に存
在する、リジンとイソロイシン間のペプチド結合が、プ
ラスミン、カリクレインまたはトリプシンにより切断さ
れ、A鎖とB鎖からなる2本のペプチド鎖となるが、ジ
スルフィド結合により依然として物質としては一つであ
る分子量約5万の高分子ウロキナーゼ(変換物質)、ま
たは、上記のリジンとイソロイシン間のペプチド結合の
切断に加え、さらにプラスミンにより、前記のリジンと
クリングル構造を持つ部位との間に存在する、リジンと
リジンの間のペプチド結合が切断され、クリングル構造
を持つ部位は欠くが、ジスルフィド結合により依然とし
て物質としては一つである分子量約3万の低分子ウロキ
ナーゼ(変換物質)となる。本願では特に言及しない限
り、高分子ウロキナーゼと低分子ウロキナーゼの両方を
合わせてウロキナーゼと表示する。
【0004】1本鎖tPAと2本鎖tPAの混合物、プ
ロウロキナーゼとウロキナーゼの混合物において、それ
ぞれの物質の濃度を測る従来の測定法は次のような方法
である。すなわち1本鎖tPAと2本鎖tPAの混入物
においては、tPAに比較的特異的な合成基質を用い、
1本鎖tPAと2本鎖tPAのこの合成基質に対する分
解能の差を指針にしてその含有比を測定していた。また
プロウロキナーゼとウロキナーゼの混入物においては、
ウロキナーゼの濃度はウロキナーゼに比較的特異的な合
成基質を用いて測定し、プロウロキナーゼの濃度はプラ
スミンによってプロウロキナーゼをウロキナーゼに変換
し、変換後の全ウロキナーゼの濃度を測定し、その濃度
から変換前のウロキナーゼを引くことによってプロウロ
キナーゼの濃度を測定していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の測定法は用いる合成基質の特異性が必ずしも厳密
ではないこと、酵素の合成基質の分解能が測定バッファ
ーの温度、pHやイオン強度など多くの変動因子に大き
く依存することなど、その特異性や精度の点で満足のい
くものではなく、これらの正確性を期するためには、測
定条件の正確な管理や多くの予備実験を必要とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ペプチド
結合とジスルフィド結合を有する前駆型ペプチドと、該
前駆型ペプチドが特定の切断反応による特定のペプチド
結合部位の切断により少なくとも第1の部位と第2の部
位に分けられるがジスルフィド結合により依然1つの物
質を構成する該前駆型ペプチドからの変換物質という、
構造が極めて類似しているがその生理学的意義の全く違
う2種類の物質の混入物において、一方を特異的に測定
するという課題を解決すべく、鋭意検討して本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、ペプチド結合と
ジスルフィド結合を有する前駆型ペプチドと、特定の切
断反応による該前駆型ペプチドの特定のペプチド結合部
位の切断により少なくとも第1の部位と第2の部位に分
けられるが、ジスルフィド結合により1つの物質を構成
するその前駆型ペプチドからの変換物質との混入が疑わ
れる検体中での、該前駆型ペプチドまたは該変換物質の
測定法であって、前駆型ペプチドと変換物質との被疑混
入物を還元条件下にて、そのジスルフィド結合の開裂を
行う工程と、前記第1の部位に対して特異的に結合する
第1のリガンドの固相化物と、第2の部位に対して特異
的に結合する第2のリガンドとを用いて、該前駆型ペプ
チドと該変換物質を区別する工程を含むことにより、第
1のリガンドと第2のリガンドの両方に結合する物質ま
たは第1のリガンドには結合せず第2のリガンドには結
合する物質のいずれかの量を測定することを特徴とする
該前駆型ペプチドまたは該変換物質の測定法である。
【0007】本発明で、前駆型ペプチドとはペプチド結
合とジスルフィド結合を有するものであって、この前駆
型ペプチドから特定のペプチド結合が切断されて、何ら
かの変換物質となり得るものを意味する。この切断され
るべきペプチド結合は、特定の切断反応、例えば酵素反
応によって、特定の位置において行われるものが好まし
く、酵素反応としては、生理的環境下に存在する各種の
プロテアーゼ、例えばセリンプロテアーゼ、チオールプ
ロテアーゼ、カルボキシルプロテアーゼ、メタロプロテ
アーゼ等が挙げられ、特にセリンプロテアーゼが好まし
い。セリンプロテアーゼとしては、プラスミン、カリク
レイン、トリプシンが例示される。
【0008】前駆型ペプチドのペプチドとは一般に言う
蛋白質やポリペプチドを含むものであって、場合によっ
てオリゴペプチドであっても良い。また糖鎖等が付くこ
とも特に問題とはならない。すなわち少なくともペプチ
ド結合とジスルフィド結合の結合を含むものであればよ
くに限定されない。前駆型ペプチドとしては1本鎖tP
A、プロウロキナーゼ、プラスミノーゲンが具体例とし
て挙げられる。
【0009】また、変換物質とは前記前駆型ペプチドの
特定のペプチド結合が切断され、少なくとも第1の部位
と第2の部位に分かれたもので、ジスルフィド結合によ
り依然として物質としては一つの物質であるものを意味
し、具体的には、2本鎖tPA、ウロキナーゼ、プラス
ミンが例示される。上記のペプチド結合の切断部位は、
1箇所であっても複数の箇所であっても良く、第1の部
位、第2の部位の他、それ以上の部位となっている場合
も含む。また複数の箇所のペプチド結合の切断により、
前駆型ペプチドのアミノ酸配列と変換物質のアミノ酸配
列を比べたときに、1つまたは2つ以上のアミノ酸配列
が結果的に欠損している場合もある。具体例として、変
換物質が低分子ウロキナーゼである場合が挙げられる。
【0010】第1の部位と第2の部位は好ましくは生理
的に意義のある活性中心またはその近傍であることが好
ましく、tPAにおいてはクリングル領域、セリンプロ
テアーゼ活性部位、グロースファクター領域が挙げら
れ、プロウロキナーゼにおいても、クリングル領域、セ
リンプロテアーゼ活性部位、グロースファクター領域が
挙げられる。
【0011】本願で検体とは、前記前駆型ペプチドと変
換物質との混入が疑われるものであれば特に限定されな
いが、例えば原薬用原体や製剤の溶解液が挙げられる。
また血漿や血清等においても測定可能であって、この場
合は前駆ペプチドから変換物質への変換反応が進行しな
いように、何らかの処理をほどこすことが好ましく、例
えば、阻害剤等を添加することが特に好ましい。
【0012】阻害剤としては、測定しようとする前駆型
ペプチドや変換物質により適宜選択すれば良く、例えば
tPA、プロウロキナーゼにおいてはアプロチニン、ジ
イソプロピルフルオロリン酸が例示される。これらの被
疑混入物を還元条件下にてジスルフィド結合の開裂を行
う工程の詳細な説明は次の通りである。
【0013】還元条件として、2−メルカプトエタノー
ル、1,4−ジチオスレイオールまたはトリ−n−ブチ
ルホスフィンからなる群より選ばれた1つ以上の還元剤
を用いる方法がある。これらの群の中で、ジスルフィド
結合の開裂に最もよく使用される2−メルカプトエタノ
ールを用いるのが好ましい。還元剤の濃度としては0.
01%〜10%の濃度の範囲が例示され、0.1〜2%
が好ましく、特に約1%が好ましい。還元条件下に置く
時間は通常1時間以内で十分であり、5分が好ましい例
として挙げられる。還元条件における温度は室温で十分
であるが、還元剤の量や対象物に応じて、冷却下で行う
こともできる。この工程によって前駆型ペプチドおよび
その変換物質のジスルフィド結合の開裂を行うことがで
きる。なお、このジスルフィド結合の開裂反応は、存在
するジスルフィド結合の全てを切断しなければならない
ものではなく、複数のペプチド鎖同志が離れる程度であ
ればよいが、できるだけ全てのジスルフィド結合を開裂
する方が、確実な測定結果を与えることとなることから
好ましい。この開裂の工程は後記の第1の部位に対する
リガンドと第2の部位に対するリガンドを用いる工程の
前に実施することが好ましく、例えば被疑混入物として
検討検体を用い、これに還元剤を添加することが具体的
に例示される。
【0014】またジスルフィド結合の開裂後、第1のリ
ガンドの固定化物または第2のリガンドを接触させる場
合、ジスルフィド結合の開裂工程で用いた還元剤は取り
除くか、または十分希釈して用いることが好ましい。第
1の部位に対して特異的の結合するリガンドの固相化物
と第2の部位に特異的に結合するリガンドを用いて、前
駆型ペプチドとその変換物質を区別する工程の詳細な説
明は次の通りである。
【0015】第1の部位に対して特異的の結合するリガ
ンドの固相化物と第2の部位に特異的に結合するリガン
ドを用いて、前駆型ペプチドとその変換物質を区別する
工程は種々の態様が考えられる。典型的な方法として
は、先に述べた検体を予め還元条件下にて、ジスルフィ
ド結合を開裂し、これを第1のリガンドの固相化物へと
接触させる。接触後、検体と固相化物を分離し、好まし
くは固相化物を適宣の溶液により洗浄することが例示さ
れる。この分離法としては、デカンテーションや遠心分
離法やカラムによる方法が例示される。第1のリガンド
に検体中の前駆型ペプチドのジスルフィド結合開裂物が
結合するとともに、変換物質がジスルフィド結合開裂工
程により、第1の部位と第2の部位に分離しているた
め、変換物質からの第1の部位が第1のリガンドに結合
している。分離後固相化物に対し、第2のリガンドを接
触させる。第2のリガンドが結合するものは固相化物の
前駆型ペプチドのジスルフィド結合開裂物のみであり、
以上の工程により、前駆型ペプチドと変換物質を区別す
ることができる。
【0016】第1のリガンドと第2のリガンドの用い方
の他の例は、例えば、前記と同様に検体を予めジスルフ
ィド結合の開裂工程を行った後、第2のリガンドを反応
させ、次いでこれを第1のリガンドの固相化物と接触さ
せる方法により、前駆型ペプチドと変換物質を区別する
ことができる。またジスルフィド結合の開裂工程を、第
1のリガンドの固相化物と第2のリガンドを用いる工程
とを組み合わせる方法も考慮させる。例えば、検体を先
ず第1のリガンドの固相化物と接触させ、固相化物と検
体を分離し、必要に応じて固相化物を洗浄し、次いでこ
の固相化物に対して、ジスルフィド結合の開裂工程を行
い、必要に応じて固相化物を洗浄後、第2のリガンドを
この固相化物に接触させることにより、前駆型ペプチド
と変換物質を区別することができる。また、予め第2の
リガンドと検体を接触させ、反応させた後にジスルフィ
ド結合の開裂を行い、その後第1のリガンドの固相化物
と接触させ、必要に応じて洗浄を行う方法もある。その
他にも、検体を先ず第1のリガンドの固相化物と接触さ
せ、固相化物と検体を分離し、必要に応じて固相化物を
洗浄し、次いでこの固相化物に対して、第2のリガンド
をこの固相化物に接触させ、必要に応じて洗浄し、その
後、ジスルフィド結合の開裂を行い、必要に応じて洗浄
する方法もある。この方法も、予め検体を第2のリガン
ドと接触させた後、第1のリガンドの固相化物と接触さ
せ、必要に応じて洗浄して得た固相化物に対して、ジス
ルフィド結合の開裂工程を行い、必要に応じて洗浄する
ことで前駆型ペプチドと変換物質を区別することができ
る。
【0017】しかし、上述の各種方法において、リガン
ドの種類によっては、選択が難しかったり、還元条件の
微妙な調整が必要な場合もある。例えば、リガンドがジ
スルフィド結合を有する物質で、上述のジスルフィド結
合の開裂工程により、リガンドのジスルフィド結合が切
断され、第1のリガンドと第1の部位との結合に影響を
与えるもの、例えば抗体においては注意が必要である。
これらにおいては、第1のリガンドと第2のリガンドが
存在する時にジスルフィド結合の開裂を行う工程は避け
た方がより好ましいと理解される。
【0018】ジスルフィド結合の開裂反応を行った後
に、酸化により再びジスルフィド結合が生じる可能性も
あるため、その後の工程や処理においては還元条件の中
で処理を行うことが好ましい。勿論、先に説明した通
り、第1のリガンドや第2のリガンド等に影響を与えな
いように、強すぎない還元条件下とすることも容易に理
解される。具体的例としては、還元条件として還元剤を
用いる場合、その濃度を0.05%以下にすることで強
すぎない還元条件下の中で処理を行うことができる。強
すぎないが、再びジスルフィド結合を生じさせない還元
条件として、0.05%の還元剤を用いることがより好
ましい。
【0019】以下に第1のリガンドの固相化物について
さらに説明する。第1のリガンドとは、第1の部位に特
異的に結合するもので、通常両者の結合関係は共有結合
ではなく、水素結合のような非共有結合であることが普
通である。具体的には、抗体、レクチン、細胞膜上レセ
プター、基質、補酵素が挙げられ、これら群の中で抗体
が好ましく、モノクローナル抗体がより好ましい。
【0020】第1の部位に特異的に結合する第1のモノ
クローナル抗体の作製方法は公知の方法、例えば次の通
りである。第1の部位からなるペプチドを適宜な方法に
より取得し、必要に応じて担体と結合せしめ、所望によ
りアジュバンドとともに、マウスを免疫する。そのマウ
スから取得した脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とをポ
リエチレングリコールを用いて融合させ、作成したハー
ブリドーマの培養上清を以下の方法によりチェックす
る。例えば前述の如く取得した第1の部位からなるペプ
チドを後述の適宜の方法により水不溶化担体に固定化し
て調整した固相化物と接触させる。必要に応じて洗浄
し、その後固相化物と酵素標識したウサギ抗マウスIg
G抗体を接触させる。必要に応じて洗浄し、標識酵素に
応じた基質を用いて酵素反応させる。ハイブリドーマの
培養上清中に第1の部位に特異的に結合するモノクロー
ナル抗体が存在すれば発色反応がおこる。コントロール
として第2の部位からなるペプチドの固相化物について
同様に行えば、第1の部位に特異的に結合するが、第2
の部位に結合しない、第1の部位に特異的に結合するモ
ノクローナル抗体を作製することができる。
【0021】第1の部位に特異的なポリクローナル抗体
の取得方法は次の通りである。同様に取得した第1の部
位からなるペプチド、または必要に応じて担体と結合し
たもので動物を免疫し、抗血清を得る。抗血清から抗体
を精製する過程で、第1の部位からなるペプチドを固相
化したカラムによるアフィニティ精製と第2の部位から
なるペプチドを固相化したカラムによるアフィニティ精
製を行う。第1の部位からなるペプチドを固相化したカ
ラムに結合し、第2の部位からなるペプチドを固相化し
たカラムを素通りする分画を得て、第1に部位に特異的
に結合するポリクローナル抗体を取得できる。
【0022】本発明で第1のリガンドの固相化物とは、
水不溶性担体に第1のリガンドを固相化したものであっ
て、水不溶性担体は、ポリスチレンらのプラスティック
やガラス等を素材にするものであって、固相化方法は、
共有結合、イオン結合等の化学的結合やファンデルワー
ルス結合、疎水結合等の物理吸着結合や、それらの結合
の組合せが採用でき、特に限定されない。具体的にはポ
リスチレンを水不溶性担体に用いた場合のイオン結合と
疎水結合の組合せが例示させる。固相化物の形状は特に
限定されず、容器壁面やビーズであってもよく、好まし
くはマイクロプレートが良い。
【0023】第2のリガンドは第2の部位に特異的に結
合するもので、第1のリガンドおよび第1の部位と区別
されるものであるが、例示させるリガンドの種類、その
結合方法やその作製方法は第1のリガンドと同様であ
る。第2のリガンドは多くの場合、予め標識しておくこ
とが好ましい。標識物として、酵素、ラジオアイソトー
プ等が挙げられ、具体的にはペルオキシダーゼ、ヨウ素
125やビオチン等が挙げられる。
【0024】リガンドに接触させる方法は、リガンドを
接触させる検体を、予めバッファーに溶解するか希釈し
て、リガンドに接触させる。検体を溶解するか希釈する
バッファーについては限定されないが、好ましくは前述
の通り微量の還元剤を含むもので、pHは中性が良く、
検体中の前駆型ペプチドや変換物質の容器壁面への吸着
を防ぐために、界面活性剤を含むものが良い。具体的に
は、例えば0.05%2−メルカプトエタノール、0.
01%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート含有
リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)が挙げられる。ま
たリガンドに接触させる温度や時間についても特に限定
されないが、測定する前駆型ペプチド、変換物質の種類
や安定性、用いるリガンドの種類によって決まるので、
好ましくは予備実験によって設定することが良く、通常
30分から3時間、4℃から37℃が例示される。固相
化物と検体の分離の方法はデカンテーション、遠心分離
やカラムによる方法が挙げられ、具体的には、マイクロ
プレートを水不溶性担体として用いた場合、検体をデカ
ンテーションにより除去した後に、洗浄液をマイクロプ
レートに添加し、直ちに洗浄液を除去し再び洗浄液を添
加する方法が例示される。洗浄液については限定されな
いが、具体例として、0.01%ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生理食塩水が挙げ
られる。
【0025】次いて、第1のリガンドと第2のリガンド
の両方に結合する物質または第1のリガンドには結合せ
ず第2のリガンドに結合する物質のいずれかの量を測定
する方法について説明する。第1のリガンドと第2のリ
ガンドの両方に結合する物質は、上記のジスルフィド結
合の開裂を行う工程の後も、第1の部位と第2の部位の
両方の部位を有する、前駆型ペプチドに対応する物質で
ある。第1のリガンドには結合せず第2のリガンドに結
合する物質は、ジスルフィド結合の開裂を行う工程の
後、第1の部位と第2の部位をつなげていたジスルフィ
ド結合が開裂したため、第1の部位を有せず第2の部位
を有する、変換物質に対応する物質である。
【0026】量の測定には、第2のリガンドが標識され
ている場合には、その標識を検出に用いればよい。また
後述の通り第2のリガンドを認識する第3のリガンドを
用いる方法も存在する。第1の部位と第2の部位の両方
に結合した物質を検出する場合には、固相上の標識物の
量を測定すれば良い。また、第1のリガンドには結合せ
ず第2のリガンドに結合する物質を検出する場合は、ジ
スルフィド結合の開裂を行う工程後、第1の部位と第2
の部位をつなげていたジスルフィド結合が開裂したため
第1の部位を有せず第2の部位を有す変換物質に対応す
る物質に結合している第2のリガンドの標識物を検出に
用いればよい。
【0027】標識物としては、酵素やラジオアイソトー
プ等が挙げられ、具体的にはペルオキシダーゼ、ヨウ素
125やビオチンが挙げられることは前述の通りであ
る。また、第2のリガンドを予め標識することの他に、
第2のリガンドに特異的に結合する第3のリガンドを用
い、この第3のリガンドを標識しておいても良い。この
場合、第3のリガンドは第1のリガンドには結合しない
ことが求められる。このようなリガンドとして、抗体が
好ましい例として挙げられる。例えば第1のリガンドと
第2のリガンドの由来動物を変え、第2のリガンドに特
異的な抗体を第3のリガンドとすることができる。具体
的例として、第1のリガンドとしてマウス由来抗体を用
い、第2のリガンドとしてウサギ由来抗体を用い、第3
のリガンドとしてラット由来抗ウサギ抗体抗体を用いる
例が挙げられる。
【0028】標識物の量の測定は、標識物が酵素の場合
は、酵素に応じた基質を適宜のバッファーに適宜の基質
に応じた濃度で溶解し、酵素と基質溶解液を接触させる
ことにより、基質の酵素反応を行う方法がある。酵素反
応の温度と時間は特に限定しないが、多くの場合温度は
室温で良く、時間は1時間以内である。標識物がビオチ
ンの場合は、酵素標識したアビジンか、酵素標識したビ
オチンとアビジンをプレインキュベーションしたものを
標識ビオチンと接触させ、結合反応を行い、必要の応じ
て洗浄を行う。次にアビジンまたはビオチンとアビジン
を介して、標識ビオチンに結合した酵素の酵素反応を行
うことで、標識物であるビオチンの濃度を測定する。酵
素反応の条件は前記と同様である。標識物がラジオアイ
ソトープの場合は、放射線カウンターによって、該ラジ
オアイソトープから放出される放射線量を測定すること
で標識物であるラジオアイソトープ量を測定する。測定
は既知量の前駆型ペプチドまたは既知量変換物質を用い
て検量線を作成し、測定値を算出する。測定対象物の濃
度は、測定する前駆型ペプチド、変換物質の種類や用い
るリガンドの種類等の条件によって変わり、好ましくは
予備実験によってその濃度範囲を設定することが好まし
いが、通常1ng/ml〜1μg/ml程度が例示され
る。
【0029】
【発明の実施の形態】好ましい具体的な方法として、前
駆型ペプチドの測定例を下記に示す。予め第1のリガン
ドである抗体を、10μg/mlの濃度になるように5
0mM炭酸バッファー(pH9.6)に溶解し、溶解液
を酵素免疫測定用マイクロプレートに、各ウェルの12
5μlずつ分注し、4℃で1昼夜静置する。マイクロプ
レートに分注してある抗体溶解液をデカンテーションに
より除去し、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を各
ウェルに200μlずつ分注し、直ちに除去する。この
ような洗浄を数回行う。最終濃度が1%となるように、
2−メルカプトエタノールを含むバッファーを被疑混入
物に添加する。室温で5分間程静置して、ジスルフィド
結合の開裂を行う。検体を0.01%ポリオキシエチレ
ンソルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生理食塩水
(pH7.4)で20倍希釈し、希釈液を上記のマイク
ロプレートの各ウェルに100μlずつ分注する。この
方法により、酵素免疫測定用マイクロプレートに固相化
した第1の抗体の固相化物とジスルフィド結合の開裂工
程後の検体を接触させる。予備実験によって設定した温
度と時間で静置させ、第1の抗体と第1の部位の結合反
応を行う。反応後デカンテーションにより検体を除去
し、各ウェルに0.01%ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノオレート含有リン酸緩衝生理食塩水(pH7.
4)を250μlずつ分注し、直ちに除去する。この洗
浄操作を数回行う。第2のリガンドである、ペルオキシ
ダーゼ標識した抗体を0.01%ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生理食塩水(pH
7.4)で希釈し、洗浄液を除去したマイクロプレート
の各ウェルに標識抗体希釈液を100μl分注する。予
備実験によって設定した温度と時間で静置させ、上記の
洗浄操作を数回行う。1,2−ベンゼンジアミンを1m
g/mlの濃度のなるように、50mMクエン酸、10
0mMリン酸バッファーと0.06%過酸化水素水を等
量混合したバッファー(pH5.0)に溶解し、洗浄液
を除去したマイクロプレートの各ウェルに100μlず
つ分注する。室温で10分間反応させた後、1規定の塩
酸を各ウェルに100μlずつ分注し、反応を停止させ
る。各ウェルの発色度はマイクロプレートリーダー用い
て、検出波長492nmで測定する。検量線として、既
知量の該前駆型ペプチドを用いて作成した検量線から、
この被疑混入物中の該前駆型ペプチド濃度を算出する。
【0030】変換物質の測定実施例は下記の通りであ
る。予め第1のリガンド(抗体)を10μg/mlの濃
度になるよう、50mM炭酸バッファー(pH9.6)
に溶解し、溶解液を酵素免疫測定用マイクロプレート
に、各ウェルの125μlずつ分注し、4℃で1昼夜静
置する。マイクロプレートに分注してあるリガンドをデ
カンテーションにより除去し、リン酸緩衝生理食塩水
(pH7.4)を各ウェルに250μlずつ分注し、直
ちに除去する。このような洗浄を数回行う。検体を0.
01%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート含有
リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で希釈し、希釈液
をマイクロプレートの各ウェルに100μlずつ分注す
る。この方法により、酵素免疫測定用マイクロプレート
に固相化した第1のリガンドの固相化物と検体を接触さ
せる。4℃で1昼夜の間静置させ、第1のリガンドと第
1の部位の結合反応を行う。反応後デカンテーションに
より検体を除去し、各ウェルに0.01%ポリオキシエ
チレンソルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生理食塩
水(pH7.4)を200μlずつ分注し、直ちに除去
する。この洗浄操作を数回行う。第2のリガンドであ
る、ペルオキシダーゼ標識した抗体を0.01%ポリオ
キシエチレンソルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生
理食塩水(pH7.4)で希釈し、洗浄液を除去したマ
イクロプレートの各ウェルに標識リガンド希釈液を10
0μl分注する。25℃で2時間静置させ、上記の洗浄
操作を数回行う。洗浄液を除去したマイクロプレートに
1%2−メルカプトエタノール含有リン酸緩衝生理食塩
水(pH7.4)を添加し、室温で5分程静置させ、ジ
スルフィド結合の開裂を行う。1,2−ベンゼンジアミ
ンを2mg/mlの濃度のなるように、100mMクエ
ン酸、200mMリン酸バッファーと0.12%過酸化
水素水を等量混合したバッファー(pH5.0)に溶解
する。マイクロプレートの各ウェルに分注してあるジス
ルフィド結合の開裂を行った溶液を蒸留水で20倍希釈
した希釈液50μlと上記1,2−ベンゼンジアミン溶
解液を50μl混合する。室温で60分間反応させた
後、1規定の塩酸を各反応液に100μlずつ添加し、
反応を停止させる。各反応液の発色度はマイクロプレー
トリーダー用いて、検出波長492nmで測定する。既
知量の該変換物質を用いて作成した検量線と既知量の該
前駆型ペプチドを用いて得られたバックグランドから、
この被疑混入物中の該変換物質濃度を算出する。
【0031】
【実施例】以下に実施例を上げて、本発明を更に説明す
るが、これらの実施例により、本発明は何ら限定される
ものではない。
【0032】
【実施例1】 1本鎖tPAの測定 1.酵素免疫測定用マイクロプレートの作成 tPAの測定に用いた酵素免疫測定用マイクロプレート
の作成法は次の通りである。第1のリガンド(第1の抗
体)として、抗tPAモノクローナル抗体(1VPA、
テクノクローン社、オーストリア)を用いた。この抗体
を10μg/mlになるよう50mM炭酸バッファー
(pH9.8)で調整した。このモノクローナル抗体は
1本鎖tPAが2本鎖化し、2本鎖tPAに変換した時
の2つのポリペプチド鎖の内、セリンプロテアーゼ活性
を持つポリペプチド鎖に対する抗体である。この第1の
抗体溶液を酵素免疫測定用マイクロプレート(ヌンク
社、デンマーク)に、1ウェルに125μlずつ分注
し、4℃で1昼夜静置する。その後第1の抗体溶液を廃
棄し、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)(日水製薬
社、日本)を1ウェルに250μlずつ分注し、すぐに
廃棄した。この洗浄操作を4回繰り返した後、各ウェル
に250μlずつリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)
が分注されている状態で、マイクロプレート用シール
(住友ベークライト社、日本)で酵素免疫測定用マイク
ロプレートにふたをし、使用時まで4℃に冷蔵保存し
た。 2.組織プラスミノーゲンアクチベータの測定 測定サンプルとして1本鎖tPA(アメリカンダイアゴ
ノスチック社、アメリカ)、1本鎖tPAと2本鎖tP
A(アメリカンダイアゴノスチック社、アメリカ)の混
合物、2本鎖tPAを測定した。1本鎖tPAを1μg
/mlになるように、また1本鎖tPAと2本鎖tPA
を同濃度ずつ含有する混合物を、各々の濃度が1μg/
mlになるように、2本鎖tPAを1μg/mlになる
ように、1%2−メルカプトエタノール(ナカライテス
ク社、日本)、0.01%ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノオレート(和光純薬社、日本)含有リン酸緩衝生
理食塩水(pH7.4)で希釈した。各検体を室温で5
分間静置させた後、2−メルカプトエタノール、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生
理食塩水(pH7.4)で希釈し、1本鎖tPAを最終
濃度が10、7、5、3、0ng/mlになるように、
1本鎖tPAと2本鎖tPAの混合物を、各々の最終濃
度が10、7、5、3、0ng/mlになるように、2
本鎖tPAを10、7、5、3、0ng/mlになるよ
うに、2−メルカプトエタノールの濃度が0.05%、
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートの濃度が
0.01%になるように調整した。酵素免疫測定用マイ
クロプレートのウェルに上記のサンプルを100μl添
加した。1つのサンプルに対して4つのウェルにサンプ
ルを添加した。その後20℃で2時間静置し、サンプル
を廃棄後、各ウェルに250μlの0.01%ポリオキ
シエチレンソルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生理
食塩水(pH7.4)を分注し、直ちに廃棄した。この
洗浄操作を5回繰り返し、第2のリガンド(第2の抗
体)としてペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体
(3VPA、テクノクローン社、オーストリア)を各ウ
ェルに100μlずつ分注した。この第2のリガンド、
すなわち第2の抗体は0.01%ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生理食塩水(pH
7.4)で抗体濃度が1μg/mlになるように使用時
に調整した。この第2の抗体は1本鎖tPAが2本鎖化
し、2本鎖tPAに変換した時の2つのポリペプチド鎖
の内、クリングル構造を持つポリペプチド鎖に対するモ
ノクローナル抗体である。20℃で2時間静置後、洗浄
操作を5回繰り返す。各ウェルに1mg/ml1,2−
ベンゼンジアミン(シグマ社、アメリカ)を100μl
ずつ分注した。1,2−ベンゼンジアミンは50mMク
エン酸、100mMリン酸バッファーと0.06%過酸
化水素水を等量混合したバッファー(pH5.0)に使
用時に溶解して調整した。室温で10分間反応させた
後、1規定の塩酸(和光純薬社、日本)を各ウェルに1
00μlずつ分注し、反応を停止した。各ウェルの発色
度はマイクロプレートリーダー(マルチスキャンバイク
ロマティック、ラボシステム社、フィンランド)を用い
て、検出波長492nmで測定した。
【0033】結果は表1に示す。1本鎖tPAを測定対
象とした場合、1本鎖tPAのみの検体では、その量に
対応して検量線が示され、1本鎖tPAと2本鎖tPA
の半々の混合物でも1本鎖tPAの量の従って検量線が
示された。しかし2本鎖tPAの検体では、2本鎖tP
Aの量に依存しては標識物の量は増えなかった。従っ
て、2本鎖tPAの混入条件においても、2本鎖tPA
の存在に影響されず、1ng/ml以上の1本鎖tPA
が測定できることが確認された。
【0034】
【実施例2】 プロウロキナーゼの測定 1.酵素免疫測定用マイクロプレートの作成 プロウロキナーゼの測定の用いた酵素免疫測定用マイク
ロプレートの作成法は次の通りである。第1のリガンド
(第1の抗体)として、抗プロウロキナーゼモノクロー
ナル抗体(MUK1、バイオプール社、スエーデン)を
用いた。この抗体を10μg/mlになるよう50mM
炭酸バッファー(pH9.8)で調整した。このモノク
ローナル抗体はプロウロキナーゼが2本鎖化し、活性型
酵素ウロキナーゼに変換した時の2つのポリペプチド鎖
の内のA鎖に対する抗体である。この第1の抗体溶液を
酵素免疫測定用マイクロプレート(ヌンク社、デンマー
ク)に、1ウェルに125μlずつ分注し、4℃で1昼
夜静置する。その後第1の抗体溶液を除去し、リン酸緩
衝生理食塩水(pH7.4)(日水製薬社、日本)を1
ウェルに250μlずつ分注し、すぐに除去した。この
洗浄操作を4回繰り返した後、各ウェルに250μlず
つリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)が分注されてい
る状態で、マイクロプレート用シール(住友ベークライ
ト社、日本)で酵素免疫測定用マイクロプレートにふた
をし、使用時まで4℃に冷蔵保存した。 2.ビオチン化した第2のリガンド(第2の抗体)の作
成 1mg/mlの抗プロウロキナーゼモノクローナル抗体
(MUK4、バイオプール社、スエーデン)250μl
とエヌエッチティー−ビオチンエステル(ピアス社、ア
メリカ)25μlを混入し、室温で30分静置した。こ
の第2の抗体はプロウロキナーゼが2本鎖化し、ウロキ
ナーゼに変換した時の2つのポリペプチド鎖の内のB鎖
に対する抗体であり、エヌエッチティー‐ビオチンエス
テルは1mgを75μlのジメチルスルホオキシドに溶
解させた溶液である。その後蛋白質濃縮器のモルカット
(分画分子量1万、日本ミリポア社、日本)で約100
μlになるまで濃縮し、リン酸緩衝生理食塩水(pH
7.4)で約1mlまで希釈した。このダイアフィルト
レーション操作を3回繰り返し、最終250μlの溶液
に調整し、使用時まで4℃に冷蔵保存した。 3.プロウロキナーゼの測定 測定サンプルとしてプロウロキナーゼ(トロンボリーゼ
注1500、ミドリ十字社、日本)と対照サンプルとし
てウロキナーゼ(ウロキナーゼ24万、ミドリ十字社、
日本)を測定した。測定サンプルを最終1μg/mlに
なるように、1%2−メルカプトエタノール(ナカライ
テスク社、日本)、0.01%ポリオキシエチレンソル
ビタンモノオレート(和光純薬社、日本)含有リン酸緩
衝生理食塩水(pH7.4)で希釈した。プロウロキナ
ーゼの重量はプロウロキナーゼの比活性を450U/m
gとし活性量から算定した。ウロキナーゼの重量もその
比活性を16万U/mgとして活性より算定した。室温
で5分間静置させた後、2−メルカプトエタノール、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレート含有リン酸緩
衝生理食塩水(pH7.4)で希釈し、プロウロキナー
ゼの最終濃度が50、30、10、5、0ng/ml、
2−メルカプトエタノールの濃度が0.05%、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノオレートの濃度が0.01
%になるよう調整した。酵素免疫測定用マイクロプレー
トのウェルに上記のサンプルを100μl添加した。一
つのサンプルに対して4つのウェルにサンプルを添加し
た。その後20℃で2時間静置し、サンプルを除去後、
各ウェルに250lの0.01%ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生理食塩水(pH
7.4)を分注し、直ちに除去した。この洗浄操作を5
回繰り返し、ビオチン化第2の抗体を各ウェルに100
μlずつ分注した。ビオチン化第2抗体は前記で取得保
存していたビオチン化した第2の抗体をを0.01%ポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレート含有リン酸緩
衝生理食塩水(pH7.4)で500倍に希釈して使用
した。20℃で2時間静置後、洗浄操作を5回繰り返
す。各ウェルに5μg/mlのアビジン化ペルオキシダ
ーゼ(ベクター社、アメリカ)を100μl分注した。
アビジン化ペルオキシダーゼは5mg/mlの濃度で4
℃に保存し、使用時に0.01%ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレート含有リン酸緩衝生理食塩水(pH
7.4)で調整した。20℃で2時間静置後、洗浄操作
を5回繰り返す。各ウェルに1mg/ml1,2−ベン
ゼンジアミン(シグマ社、アメリカ)を100μlずつ
分注した。1,2−ベンゼンジアミンは50mMクエン
酸、100mMリン酸バッファーと0.06%過酸化水
素水を等量混合したバッファー(pH5.0)に使用時
に溶解して調整した。室温で10分間反応させた後、1
規定の塩酸(和光純薬社、日本)を各ウェルに100μ
lずつ分注し、反応を停止した。各ウェルの発色度はマ
イクロプレートリーダー(マルチスキャンバイクロマテ
ィック、ラボシステム社、フィンランド)を用いて、検
出波長492nmで測定した。
【0035】結果は表2に示す。プロウロキナーゼのみ
の検体においては、測定値に濃度依存性があり測定でき
るが、ウロキナーゼのみの検体においては、測定値の濃
度依存性がなく、測定値に影響を与えないことが示され
た。従って、この方法により、ウロキナーゼの混入条件
においても、ウロキナーゼを検出せず、プロウロキナー
ゼを特異的に測定できることが確認された。
【0036】
【実施例3】 生体由来検体中のプロウロキナーゼ濃度の測定例 表3に記載の濃度のプロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、
プラスミン、アプロチニン、トロンビンおよび可溶化フ
ィブリンを混在して、モデル生体由来検体を作成し、こ
の検体を用い、実施例2の方法により検体中のプロウロ
キナーゼの濃度を測定した。この結果はウロキナーゼや
その他の混入物が存在する検体においても、プロウロキ
ナーゼを特異的に測定できることが示された。
【0037】
【発明の効果】生理学的に意義のあるペプチド、例えば
酵素の多くは、最初1本鎖の蛋白質である活性が微弱か
活性のないプロ型(前駆型)酵素として生体内に存在
し、そのペプチド結合が1箇所開裂し、2本鎖化するこ
とで活性型酵素と変換する。これらのペプチドは互いに
極めて構造的に近似しているが、生体由来検体や医薬品
の製造工程由来検体中にこれらプロ型酵素と活性型酵素
は混在することが多い。
【0038】本発明によれば、生理学的意義の全く違う
前駆型ペプチドと変換物質との混入物において、一方を
特異的に測定することが可能であって、診断学、臨床医
学、生理学や医薬品の製造開発分野に大きく貢献でき
る。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペプチド結合とジスルフィド結合を有す
    る前駆型ペプチドと、特定の切断反応による該前駆型ペ
    プチド特定のペプチド結合部位の切断により少なくとも
    第1の部位と第2の部位に分けられるが、ジスルフィド
    結合により1つの物質を構成するその前駆型ペプチドか
    らの変換物質との混入が疑われる検体中での、該前駆型
    ペプチドまたは該変換物質の測定法であって、前駆型ペ
    プチドと変換物質との被疑混入物を還元条件下にて、そ
    のジスルフィド結合の開裂を行う工程と、前記第1の部
    位に対して特異的に結合する第1のリガンドの固相化物
    と、第2の部位に対して特異的に結合する第2のリガン
    ドとを用いて、該前駆型ペプチドと該変換物質を区別す
    る工程を含むことにより、第1のリガンドと第2のリガ
    ンドの両方に結合する物質または第1のリガンドには結
    合せず第2のリガンドには結合する物質のいずれかの量
    を測定することを特徴とする該前駆型ペプチドまたは該
    変換物質の測定法。
  2. 【請求項2】 前駆型ペプチドと変換物質との被疑混入
    物を還元条件下にて、そのジスルフィド結合の開裂を行
    う工程の後、第1のリガンドの固相化物と第2のリガン
    ドを用いることを特徴とする請求項1に記載の測定法。
  3. 【請求項3】 第1および第2のリガンドが抗体である
    請求項1または2に記載の測定法。
  4. 【請求項4】 還元条件が、2−メルカプトエタノー
    ル、1,4−ジチオスレイオールまたはトリ−n−ブチ
    ルホスフィンからなる群より選ばれた1つ以上の還元剤
    を用いるものである請求項1〜3のいずれかに記載の測
    定法。
  5. 【請求項5】 還元剤が0.01%〜10%の濃度であ
    る請求項4に記載の測定法。
  6. 【請求項6】 前駆型ペプチドが、1本鎖組織プラスミ
    ノーゲンアクチベータ、プロウロキナーゼまたはプラス
    ノーゲンである請求項1〜5のいずれかに記載の測定法
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の測定方
    法のための測定用キット。
JP34438696A 1996-12-25 1996-12-25 前駆型ペプチドの測定法 Withdrawn JPH10185916A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004108914A (ja) * 2002-09-18 2004-04-08 Kudo Norio コラーゲンの測定方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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