JPH10183017A - 水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物 - Google Patents

水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物

Info

Publication number
JPH10183017A
JPH10183017A JP34561096A JP34561096A JPH10183017A JP H10183017 A JPH10183017 A JP H10183017A JP 34561096 A JP34561096 A JP 34561096A JP 34561096 A JP34561096 A JP 34561096A JP H10183017 A JPH10183017 A JP H10183017A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
range
chipping
coating composition
average particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34561096A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunitsugu Iwamoto
邦嗣 岩本
Chikako Kosuge
千香子 小菅
Hiroshi Okazaki
裕志 岡崎
Mayumi Morita
真由美 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKYO KAGAKU TORYO KK
Press Kogyo Co Ltd
Original Assignee
TOKYO KAGAKU TORYO KK
Press Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKYO KAGAKU TORYO KK, Press Kogyo Co Ltd filed Critical TOKYO KAGAKU TORYO KK
Priority to JP34561096A priority Critical patent/JPH10183017A/ja
Publication of JPH10183017A publication Critical patent/JPH10183017A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来より薄くても耐チッピング性に優れた被覆
膜を形成できる水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物
を提供する。 【解決手段】60重量%であって平均粒子径が100n
m以上400nm以下の範囲内の共役ジエン重合体ラテ
ックス及び40重量%であって平均粒子径が80nm以
上150nm以下の範囲内のアクリル酸エステル重合体
エマルジョンからなる、固形分換算で100重量部の水
分散性エマルジョンに、0.2重量部の消泡剤と、0.
2重量部の増粘剤とを添加し、混合機で攪拌しながら、
粉質充填材であるタルクを100重量部、リン酸塩系防
錆顔料を9重量部、カーボンブラックを1重量部添加
し、更に、10重量部の水を添加した。この組成物を充
分に攪拌して水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物を
製造した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車、建
設用車輛などの車輛類の外板下廻りや足廻り部品用の鋼
材等を保護する被覆膜として用いられる耐チッピング性
に優れた水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車輛類の外板下廻りや足廻り部品に用い
られる鋼材などでは、一般に、防錆を目的として、めっ
き、電着塗装、又は浸漬塗装などによって表面が被覆さ
れている。ところが、このように鋼材の表面を覆う被覆
膜に、車輛類が走行中に撥ね上げた小石などが衝突し、
この衝突の衝撃によって被覆膜が損傷(チッピング)を
受けることがある。被覆膜にチッピングが発生すると、
その損傷部位から錆が発生して鋼材が腐食される。
【0003】そこで、このようなチッピングを防止する
ために、耐チッピング性を有する被覆膜で鋼材表面を保
護している。耐チッピング性を有する被覆膜としては、
例えば、溶剤型ワックス単独あるいはワックスに粉質充
填材が配合された塗料組成物(コーティング組成物)を
エアレス塗装などによって鋼材表面に塗布することによ
り形成される被覆膜が実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の水性常
温速乾型耐チッピング塗料組成物では、良好な耐チッピ
ング性を得るために300μm〜500μm程度の厚さ
の被覆膜を形成する。このため、成膜までに常温で長時
間放置する必要があり、作業性が劣りコストも高くなる
という問題がある。
【0005】本発明は、上記事情に鑑み、従来より薄く
ても耐チッピング性に優れた被覆膜を形成できる水性常
温速乾型耐チッピング塗料組成物を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物は、
(1)60重量%以上90重量%以下の範囲内であって
平均粒子径が100nm以上400nm以下の範囲内の
共役ジエン重合体ラテックス、及び、10重量%以上4
0重量%以下の範囲内であって平均粒子径が80nm以
上150nm以下の範囲内のアクリル酸エステル重合体
エマルジョン及び/又はメタクリル酸エステル重合体エ
マルジョンからなる、固形分換算で100重量部の水分
散性エマルジョン(2)粒子径が1μm以上100μm
以下の範囲内であって、平均粒子径が5μm以上60μ
m以下の範囲内である、20重量部以上400重量部以
下の範囲内の粉質充填材からなることを特徴とするもの
である。
【0007】ここで、(3)平均粒子径が5μm以上6
0μm以下の範囲内の上記粉質充填材に代えて、平均粒
子径が15μm以上50μm以下の範囲内の粉質充填材
を用いることが好ましい。
【0008】また、(4)20重量部以上400重量部
以下の範囲内の上記粉質充填材に代えて、50重量部以
上300重量部以下の範囲内の粉質充填材を用いること
がより好ましい。
【0009】さらに、(5)20重量部以上400重量
部以下の範囲内の上記粉質充填材に代えて、80重量部
以上300重量部以下の範囲内の粉質充填材を用いるこ
とが最も好ましい。
【0010】ここで、共役ジエン重合体ラテックスと
は、共役ジエン共重合体ラテックスも含む概念であり、
具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体ラッテク
ス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテッ
クス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテック
ス、ポリブタジエンラテックスなどが挙げられる。
【0011】このような共役ジエン重合体ラテックスを
含有した本発明の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成
物は、一般的なラテックスエマルジョンに比べ、鋼材な
どに塗装された後に常温に放置された場合、成膜までの
時間が非常に早く短時間で硬化する特徴を有する。ま
た、本発明の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物で
は、共役ジエン重合体ラテックスの平均粒子径を100
nm以上400nm以下の範囲内としたので、硬化まで
の時間がいっそう短い。さらに、固形分換算で100重
量部の共役ジエン重合体ラテックスに対して活性剤の添
加量を1重量%以下とした場合は、硬化までの時間がさ
らにいっそう短い。
【0012】また、アクリル酸エステル重合体エマルジ
ョン及び/又はメタクリル酸エステル重合体エマルジョ
ンとは、アクリル酸エステル重合体エマルジョン単独、
メタクリル酸エステル重合体エマルジョン単独、もしく
は、これら双方を混合したもののうちのいずれかを意味
する。
【0013】アクリル酸エステル重合体エマルジョン又
はメタクリル酸エステル重合体エマルジョンとして具体
的には、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸、
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、
アクリル酸n−ノニルなどが挙げられる。
【0014】このようなアクリル酸エステル重合体エマ
ルジョン又はメタクリル酸エステル重合体エマルジョン
の平均粒子径80nm以上150nm以下の範囲内とし
た本発明の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物は、
一般的なエマルジョンに比べ、鋼材などに塗装された後
に常温に放置された場合、成膜までの時間が非常に早く
短時間で硬化する特徴を有する。ここで、固形分換算で
100重量部のアクリル酸エステル重合体エマルジョン
及び/又はメタクリル酸エステル重合体エマルジョンに
対して活性剤の添加量を0.5重量%〜2.0重量%と
し、さらに、活性剤としてアニオン系のもののみを使用
した場合は、硬化までの時間がいっそう短くなる。
【0015】また、本発明にいう粉質充填材としては、
周知のものから適宜に選択して用いることができる。粉
質充填材の例としては、タルク、炭酸カルシウム、珪藻
土、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、アルミナ、珪酸酸カルシウム
などが挙げられる。また、酸化チタン、カーボンブラッ
ク等の着色材も挙げられる。さらに、リン酸塩系防錆顔
料、モリブデン酸塩系防錆顔料などの無毒性顔料も挙げ
られる。
【0016】このような粉質充填材としては、粒子径が
1μm以上100μm以下の範囲内であって、平均粒子
径が5μm以上60μm以下(好ましくは15μm以上
50μm以下)の範囲内にあるものを用いる。粒子径が
1μm未満の粉質充填材では、水性常温速乾型耐チッピ
ング塗料組成物を鋼材などに塗装した場合、塗装膜が緻
密すぎるので、塗装膜からの水分の蒸発が遅れて作業効
率が低下する。一方、粒子径が100μmを超える粉質
充填材では、水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物を
鋼材などに塗装して被覆膜を形成した場合、被覆膜の表
面に凸凹が生じて平滑性のある被覆膜が形成されない。
さらには、塗装時に塗装機のノズルが詰る原因となる。
また、平均粒子径を5μm以上60μm以下の範囲内と
した理由は、この範囲内が通常の利用範囲内だからであ
る。
【0017】上述した各種の粉質充填材は単独で用いら
れるか、あるいは2種類以上のものが併用される。本発
明の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物にはこれら
の粉質充填材が、固形分換算で100重量部の水分散性
エマルジョンに対し20重量部以上400重量部以下の
範囲内で含有されている。粉質充填材の含有量は、好ま
しくは50重量部以上300重量部以下の範囲内、さら
に好ましくは80重量部以上300重量部以下の範囲内
である。
【0018】20重量部未満の粉質充填材が配合された
水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物が鋼材などに塗
装された場合、塗装膜の硬化時間に長時間を要し作業効
率が低下する。さらに、この場合、形成された被覆膜が
軟らかくて被覆膜の表面が損傷を受け易く、損傷部位か
ら発生した錆によって鋼材などが腐食する。また、40
0重量部以上の粉質充填材が配合された水性常温速乾型
耐チッピング塗料組成物が鋼材などに塗装された場合、
鋼材と被覆膜との密着性が低下する不具合の他、耐チッ
ピング性や耐摩耗性が著しく低下する不具合が生じる。
【0019】また、本発明の水性常温速乾型耐チッピン
グ塗料組成物の固形分濃度は通常55〜80重量%、好
ましくは60〜75重量%程度である。この理由は、固
形分濃度を55%未満にした場合、塗装後の硬化時間が
長くなり作業効率が低下するからである。また、固形分
濃度が80%を超える場合、塗料の粘度が高すぎて塗装
作業性が大幅に劣ることとなる。
【0020】なお、本発明の水性常温速乾型耐チッピン
グ塗料組成物には、上述した配合物以外に、必要に応じ
て分散剤、消泡剤、増粘剤、湿潤剤などの添加剤、エチ
レングリコールやトリエチルアミンなどの有機溶剤など
といった周知の添加物を配合することも可能である。
【0021】本発明の水性常温速乾型耐チッピング塗料
組成物を用いて耐チッピング性の優れた被覆膜を形成す
る手順の一例を説明する。
【0022】先ず、電着塗装や浸漬塗装などが施された
鋼材表面などに、エアスプレー装置やエアレス・スプレ
ー装置などの塗装装置を用いて、本発明の水性常温速乾
型耐チッピング塗料組成物を厚さ約150〜200μm
塗装する。次に、常温で7日間放置し、完全に硬化させ
て被覆膜を形成する。
【0023】本発明の水性常温速乾型耐チッピング塗料
組成物を用いて形成された被覆膜は、塗装後の指触乾燥
時間が常温で10分間以内の短さであることを特徴とし
ている。また、成膜された被覆膜は、後述するように、
耐チッピング性、耐摩耗性、防振性、防音性など優れた
性能を発揮する。なお、本発明の水性常温速乾型耐チッ
ピング塗料組成物を鋼材表面に塗装した後、塗装膜に6
0℃〜80℃の範囲内の温度で10分間以上の強制焼付
を施すことも可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水性常温速乾型耐
チッピング塗料組成物を比較例と共に説明する。
【0025】表1に、実施例と比較例の水性常温速乾型
耐チッピング塗料組成物の組成を示す。
【0026】
【表1】 (実施例1)表1に示す配合処方に従って、60重量%
であって平均粒子径が100nm以上400nm以下の
範囲内の共役ジエン重合体ラテックス及び40重量%で
あって平均粒子径が80nm以上150nm以下の範囲
内のアクリル酸エステル重合体エマルジョンからなる、
固形分換算で100重量部の水分散性エマルジョンに、
0.2重量部の消泡剤と、0.2重量部の増粘剤とを添
加し、混合機で攪拌しながら、粉質充填材であるタルク
(粒子径20μm、日本タルク(株)製 DN−2)を
100重量部、リン酸塩系防錆顔料(菊地色素(株)製
303W)を9重量部、カーボンブラック(三菱カー
ボン(株)製 MA−100)を1重量部徐々に添加
し、更に、10重量部の水を添加した。この組成物を充
分に攪拌して実施例1の水性常温速乾型耐チッピング塗
料組成物(以下、塗料組成物1という)を製造した。こ
の組成物の固形分濃度は65%であった。
【0027】(実施例2)表1に示す配合処方に従っ
て、75重量%であって平均粒子径が100nm以上4
00nm以下の範囲内の共役ジエン重合体ラテックス及
び25重量%であって平均粒子径が80nm以上150
nm以下の範囲内のアクリル酸エステル重合体エマルジ
ョンからなる、固形分換算で100重量部の水分散性エ
マルジョンを使用した以外は、実施例1と同様にして実
施例2の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物(以
下、塗料組成物2という)を製造した。
【0028】(実施例3)表1に示す配合処方に従っ
て、90重量%であって平均粒子径が100nm以上4
00nm以下の範囲内の共役ジエン重合体ラテックス及
び10重量%であって平均粒子径が80nm以上150
nm以下の範囲内のアクリル酸エステル重合体エマルジ
ョンからなる、固形分換算で100重量部の水分散性エ
マルジョンを使用した以外は、実施例1と同様にして実
施例3の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物(以
下、塗料組成物3という)を製造した。
【0029】(比較例1)表1に示す配合処方に従っ
て、40重量%であって平均粒子径が100nm以上4
00nm以下の範囲内の共役ジエン重合体ラテックス及
び60重量%であって平均粒子径が80nm以上150
nm以下の範囲内のアクリル酸エステル重合体エマルジ
ョンからなる、固形分換算で100重量部の水分散性エ
マルジョンを使用した以外は、実施例1と同様にして比
較例1の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物(以
下、塗料組成物4という)を製造した。
【0030】(比較例2)表1に示す配合処方に従っ
て、100重量%であって平均粒子径が100nm以上
400nm以下の範囲内の共役ジエン重合体ラテックス
からなる、固形分換算で100重量部の水分散性エマル
ジョンを使用した以外は、実施例1と同様にして比較例
2の水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物(以下、塗
料組成物5という)を製造した。
【0031】(比較例3)表1に示す配合処方に従っ
て、75重量%であって平均粒子径が100nm以上4
00nm以下の範囲内の共役ジエン重合体ラテックス及
び25重量%であって平均粒子径が80nm以上150
nm以下の範囲内のアクリル酸エステル重合体エマルジ
ョンからなる、固形分換算で100重量部の水分散性エ
マルジョンに、0.2重量部の消泡剤と、0.2重量部
の増粘剤とを添加し、混合機で攪拌しながら、粉質充填
材であるタルク(粒子径20μm、日本タルク(株)製
DN−2)を10重量部、リン酸塩系防錆顔料(菊地
色素(株)製 303W)を9重量部、カーボンブラッ
ク(三菱カーボン(株)製 MA−100)を1重量部
添加した。また、水は添加されていない。この組成物を
充分に攪拌して比較例3の水性常温速乾型耐チッピング
塗料組成物(以下、塗料組成物6という)を製造した。
この組成物の固形分濃度は60%であった。
【0032】(比較例4)表1に示す配合処方に従っ
て、75重量%であって平均粒子径が100nm以上4
00nm以下の範囲内の共役ジエン重合体ラテックス及
び25重量%であって平均粒子径が80nm以上150
nm以下の範囲内のアクリル酸エステル重合体エマルジ
ョンからなる、固形分換算で100重量部の水分散性エ
マルジョンに、0.2重量部の消泡剤と、0.2重量部
の増粘剤とを添加し、混合機で攪拌しながら、粉質充填
材であるタルク(粒子径20μm、日本タルク(株)製
DN−2)を450重量部、リン酸塩系防錆顔料(菊
地色素(株)製 303W)を9重量部、カーボンブラ
ック(三菱カーボン(株)製 MA−100)を1重量
部添加し、更に、水を100重量部を添加した。この組
成物を充分に攪拌して比較例4の水性常温速乾型耐チッ
ピング塗料組成物(以下、塗料組成物7という)を製造
した。この組成物の固形分濃度は75%であった。
【0033】(比較例5)表1に示す配合処方に従っ
て、平均粒子径が100nm以上400nm以下の範囲
内の共役ジエン重合体ラテックス75重量%及び平均粒
子径が50nmの小さなアクリル酸エステル重合体エマ
ルジョン25重量%からなる、固形分換算で100重量
部の水分散性エマルジョンを使用した以外は、実施例1
と同様にして比較例5の水性常温速乾型耐チッピング塗
料組成物(以下、塗料組成物8という)を製造した。
【0034】(比較例6)表1に示す配合処方に従っ
て、平均粒子径が50nmの小さな共役ジエン重合体ラ
テックス75%重量及び平均粒子径が50nmの小さな
アクリル酸エステル重合体エマルジョン25重量%から
なる、固形分換算で100重量部の水分散性エマルジョ
ンを使用した以外は、実施例1と同様にして比較例6の
水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物(以下、塗料組
成物9という)を製造した。
【0035】(比較例7)表1に示す配合処方に従っ
て、平均粒子径が50nmの小さな共役ジエン重合体ラ
テックス75重量%及び平均粒子径が80nm以上15
0nm以下の範囲内のアクリル酸エステル重合体エマル
ジョン25重量%からなる、固形分換算で100重量部
の水分散性エマルジョンを使用した以外は、実施例1と
同様にして比較例7の水性常温速乾型耐チッピング塗料
組成物(以下、塗料組成物10という)を製造した。
【0036】各実施例及び各比較例では、共役ジエン重
合体ラテックスとしては、具体的に上述したいずれのも
のを用いてもよく、同様の効果が得られた。また、アク
リル酸エステル重合体エマルジョンとしては、具体的に
上述したいずれのものを用いてもよく、同様の効果が得
られた。また、アクリル酸エステル重合体エマルジョン
に代えて、メタクリル酸エステル重合体エマルジョンを
用いても同様の効果が得られた。さらに、アクリル酸エ
ステル重合体エマルジョンとメタクリル酸エステル重合
体エマルジョンとの混合物(混合割合は任意でよい)を
用いても同様の効果が得られた。
【0037】上述した各実施例及び各比較例の塗料組成
物1〜10を、電着塗装や浸漬塗装などが施された鋼板
表面にエアスプレー装置を用いて厚さ約150〜200
μm塗装し、温度20℃、湿度65%の条件下で各塗料
組成物を硬化させ、7日間放置した。このようにして膜
厚150〜200μmの被覆膜を鋼材表面に形成し、塗
料組成物1〜10によって形成された被覆膜について各
種試験を行った。
【0038】(試験例1 指触乾燥時間の評価)塗料組
成物1〜10によって形成された被覆膜の指触乾燥時間
を評価した。この試験では、塗装後、温度20℃、湿度
65%の条件下で塗面の中央に指先で軽く触れて、指先
が汚れない状態となる指触乾燥時間(分)を測定した。
この測定結果が表2に示されており、数値が小さいほど
指触乾燥時間に優れ、数値が大きいほど指触乾燥時間に
劣る。
【0039】(試験例2 密着性の評価)塗料組成物1
〜10によって形成された被覆膜の密着性を碁盤目試験
によって評価した。カッターナイフ用いて被覆膜の中央
部に、素地に達して互いに直交する縦横11本ずつの平
行線を2mmの間隔で引き、碁盤目に作る。次に碁盤目
に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン(株)製)を
密着させたのち、一気にセロハンテープを剥ぎ取る。残
った碁盤目上の被覆膜の数を表2に示す。数値の大きい
ほど密着性に優れ、数値が小さいほど密着性に劣る。
【0040】(試験例3 耐チッピング性の評価)塗料
組成物1〜10によって形成された被覆膜の耐チッピン
グ性を評価した。この評価のために、グラベロメーター
SAE・J−400の規定に準拠した装置を用いた。シ
ョット材として人造石500gをエアー圧4.0kgf
/cm2 で被覆膜に吹き付けた。その後、塩水噴霧試験
機JIS・Z・2371を用いて72時間、被覆膜に塩
水を噴霧した。このようにして錆の発生を促進させ、錆
の発生程度を見本板と見比べた。表2に示すグレード
は、グレード10が最も優れ、グレード1が最も劣って
いることを表す。
【0041】(試験例4 耐摩耗性の評価)塗料組成物
1〜10によって形成された被覆膜の耐摩耗性を評価し
た。この評価のために、内径38mmの塩化ビニール製
パイプを、被覆膜が形成された鋼板表面に対して45度
の角度をなすように配置しておき、M−4ナットを2m
の高さから上記のパイプ内を通して連続的に被覆膜に落
下させた。この落下によって電着塗装の素地または浸漬
塗装の素地が露出した時点におけるM−4ナットの総重
量(kg)を測定した。この測定結果が表2に示されて
おり、数値が大きいほど耐摩耗性に優れ、数値が小さい
ほど耐摩耗性に劣る。
【0042】(試験例5 防振性の評価)塗料組成物1
〜10によって形成された被覆膜の防振性を評価した。
この試験では、試験片のサイズを厚さ0.8mm、幅2
0mm、長さ200mmとし、試験片の長手方向の一端
から30mmまでの部分を除いた部分に各塗料組成物1
〜10の被覆膜を形成した。
【0043】防振性の評価に当っては、図1に示す装置
を用いた。図1を参照して、防振性の評価方法を説明す
る。
【0044】先ず、上述の試験片10を、この試験片1
0と同じサイズの試験板12に密着させて固定してお
き、電磁加振器14に100Hz〜200Hzの電流を
流す。これにより試験片10を共振させ、試験片10の
振幅を振動変速ピックランプ16で測定し、増幅器18
で増幅する。試験片10の振幅が最大となるときの周波
数(fo)を測定し、この測定の際、高速度レベルコー
ダ20にて周波数−dB曲線を描かせる。
【0045】次に、この周波数−dB曲線の両側で振幅
が半分(最大振幅から3dB下がった振幅)になる点の
周波数(f1,f2)を測定する。これらの測定値に基
づいて、下記の式から防振性を求める。
【0046】 d=(f2−f1)/f0 d:防振係数 S=πd S:対数減衰率,π:係数=3.14 表2に示すように防振性は対数減衰率Sで表わされ、数
値の大きいほど防振性に優れ、数値の小さいほど防振性
に劣る。 (試験例6 防音性の評価)塗料組成物1〜10によっ
て形成された被覆膜の防音性を評価した。
【0047】防音性の評価に当っては、図2に示す装置
を用いた。図2を参照して、防音性の評価方法を説明す
る。
【0048】45°に傾斜した斜面32が形成され、内
部に集音マイク34が配置された遮音箱30を用いて実
験を行った。斜面32に試験板36を配置し、この試験
板36の上に試験片を重ねた。試験片は、試験例4で用
いたものと同様のものであり、厚さ0.8mm、幅20
mm、長さ200mmのサイズで、各試験片の長手方向
の一端から30mmまでの部分を除いた部分に各塗料組
成物1〜10の被覆膜が形成されたものである。また、
遮音箱30の内部に配置された集音マイク34は、1/
3オクターブ実時間分析機38に接続されており、この
分析機38は、分析結果を印刷するプリンタ40に接続
されている。また、内径24mmの塩化ビニール製パイ
プ42を、試験板36に対して45度の角度をなすよう
に試験板36の上方に配置しておく。
【0049】試験に当っては、塗料組成物1の被覆膜が
形成された試験片44を試験板36に重ねて固定し、鉄
球(重量8.3g,直径12.6mm)を1mの高さか
ら上記のパイプ42の内部を通して試験片44に落下さ
せた。鉄球が試験片44に落下したときの衝撃音を集音
マイク34で測定した。塗料組成物1の被覆膜が形成さ
れた試験片44の次は、塗料組成物2の被覆膜が形成さ
れた試験片について同様の実験を行い、順次、塗料組成
物10までについて同様の実験を行った。実験結果とし
ては4000Hzでのデータをプリンタ40で印刷し
た。
【0050】表2に示すように防音性はdBで表わさ
れ、数値の大きいほど防音性に劣り、数値の小さいほど
防音性に優れる。
【0051】
【表2】 表2に示すように、塗料組成物1〜3によって形成され
た被覆膜は、その膜厚が150〜200μmであって
も、指触乾燥時間が10分以内と短くて作業効率が良
い。また、被覆膜は、優れた密着性、耐摩耗性、防振
性、防音性を発揮する。
【0052】これに対し、比較例の塗料組成物4は、共
役ジエン重合体ラテックス及び/又はメタクリル酸エス
テル重合体エマルジョンの添加量が本発明の範囲を超え
る例であり、この塗料組成物4によって形成された被覆
膜では、指触乾燥時間が長い。また、被覆膜の耐チッピ
ング性が劣り、更に耐摩耗性、防音性が顕著に劣る。
【0053】比較例の塗料組成物5では、水分散性エマ
ルジョンとして共役ジエン重合体ラテックスが単独で用
いられており、この共役ジエン重合体ラテックスの重量
%は本発明の範囲を超えている。この塗料組成物5によ
って形成された被覆膜の耐チッピング性、防振性は顕著
に劣る。
【0054】比較例の塗料組成物6は、タルクの添加量
が本発明の範囲を下回る例である。この塗料組成物6に
よって形成された被覆膜の指触乾燥時間は長い。また、
被覆膜の耐チッピング性、防振性、防音性は顕著に劣
る。
【0055】比較例の塗料組成物7は、タルクの添加量
が本発明の範囲を超える例である。この塗料組成物7に
よって形成された被覆膜の指触乾燥時間は短い。しか
し、被覆膜の耐チッピング性、耐摩耗性、防音性は顕著
に劣る。
【0056】比較例の塗料組成物8は、アクリル酸エス
テル重合体エマルジョンの平均粒子径が50μmであり
本発明の範囲を下回る例である。この塗料組成物8によ
って形成された被覆膜の指触乾燥時間は顕著に劣る。
【0057】比較例の塗料組成物9は、共役ジエン重合
体ラテックスの平均粒子径が50nmであって、アクリ
ル酸エステル重合体エマルジョンの平均粒子径が50n
mであり、これらの平均粒子径が共に本発明の範囲を下
回る例である。この塗料組成物9によって形成された被
覆膜の指触乾燥時間は顕著に劣る。
【0058】比較例の塗料組成物10は、共役ジエン重
合体ラテックスの平均粒子径が50nmであり本発明の
範囲を下回る例である。この塗料組成物10によって形
成された被覆膜の指触乾燥時間は顕著に劣る。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水性常温
速乾型耐チッピング塗料組成物によれば、60重量%以
上90重量%以下の範囲内であって平均粒子径が100
nm以上400nm以下の範囲内の共役ジエン重合体ラ
テックス、及び、10重量%以上40重量%以下の範囲
内であって平均粒子径が80nm以上150nm以下の
範囲内のアクリル酸エステル重合体エマルジョン及び/
又はメタクリル酸エステル重合体エマルジョンからな
る、固形分換算で100重量部の水分散性エマルジョン
と、粒子径が1μm以上100μm以下の範囲内であっ
て、平均粒子径が5μm以上60μm以下の範囲内であ
る、20重量部以上400重量部以下の範囲内の粉質充
填材とからなるので、密着性、耐チッピング性、耐摩耗
性、防振性、防音性の優れた被覆膜を形成できる。ま
た、形成された被覆膜はその膜厚が薄い場合(150〜
200μm)でも充分な密着性、耐チッピング性、耐摩
耗性、防振性、防音性を有する。このため、電着塗装や
浸漬塗装などが施された鋼材表面に本発明の水性常温速
乾型耐チッピング塗料組成物の被覆膜を形成して、車輛
類の外板下廻りや足廻り部品に用いた場合は、車輛が走
行中に撥ね上げた小石などの衝撃による損傷や振動を防
止し、また防音にも優れる。
【0060】ここで、平均粒子径が5μm以上60μm
以下の範囲内の粉質充填材に代えて、平均粒子径が15
μm以上50μm以下の範囲内の粉質充填材を用いた場
合は、従来よりも短い時間で硬化する速乾性の被覆膜を
得ることができる。
【0061】また、20重量部以上400重量部以下の
範囲内の粉質充填材に代えて、50重量部以上300重
量部以下の範囲内の粉質充填材を用いた場合は、いっそ
う速乾性で硬い被覆膜を得ることができる。
【0062】さらに、20重量部以上400重量部以下
の範囲内の粉質充填材に代えて、80重量部以上300
重量部以下の範囲内の粉質充填材を用いた場合は、さら
にいっそう速乾性で硬い被覆膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】防振性を評価するために使用した防振性測定装
置を示す模式図である。
【図2】防音性を評価するために使用した防音性測定装
置を示す模式図である。
【符号の説明】
10,44 試験片 14 電磁加振器 20 高速度レベルコーダ 30 遮音箱 34 集音マイク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小菅 千香子 神奈川県藤沢市遠藤2003番地の1 プレス 工業株式会社藤沢工場内 (72)発明者 岡崎 裕志 神奈川県相模原市渕野辺1丁目21番23号 東京化学塗料株式会社内 (72)発明者 森田 真由美 神奈川県相模原市渕野辺1丁目21番23号 東京化学塗料株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 60重量%以上90重量%以下の範囲内
    であって平均粒子径が100nm以上400nm以下の
    範囲内の共役ジエン重合体ラテックス、及び、10重量
    %以上40重量%以下の範囲内であって平均粒子径が8
    0nm以上150nm以下の範囲内のアクリル酸エステ
    ル重合体エマルジョン及び/又はメタクリル酸エステル
    重合体エマルジョンからなる、固形分換算で100重量
    部の水分散性エマルジョンと、 粒子径が1μm以上100μm以下の範囲内であって、
    平均粒子径が5μm以上60μm以下の範囲内である、
    20重量部以上400重量部以下の範囲内の粉質充填材
    とからなることを特徴とする水性常温速乾型耐チッピン
    グ塗料組成物。
  2. 【請求項2】 平均粒子径が5μm以上60μm以下の
    範囲内の前記粉質充填材に代えて、平均粒子径が15μ
    m以上50μm以下の範囲内の粉質充填材を用いること
    を特徴とする請求項1記載の水性常温速乾型耐チッピン
    グ塗料組成物。
  3. 【請求項3】 20重量部以上400重量部以下の範囲
    内の前記粉質充填材に代えて、50重量部以上300重
    量部以下の範囲内の粉質充填材を用いることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の水性常温速乾型耐チッピング塗
    料組成物。
  4. 【請求項4】 20重量部以上400重量部以下の範囲
    内の前記粉質充填材に代えて、80重量部以上300重
    量部以下の範囲内の粉質充填材を用いることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の水性常温速乾型耐チッピング塗
    料組成物。
JP34561096A 1996-12-25 1996-12-25 水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物 Pending JPH10183017A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34561096A JPH10183017A (ja) 1996-12-25 1996-12-25 水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34561096A JPH10183017A (ja) 1996-12-25 1996-12-25 水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10183017A true JPH10183017A (ja) 1998-07-07

Family

ID=18377767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34561096A Pending JPH10183017A (ja) 1996-12-25 1996-12-25 水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10183017A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6531541B1 (en) 2000-05-19 2003-03-11 Ppg Industries Ohio, Inc. Coating compositions, coated substrates and methods for inhibiting sound transmission through a substrate
US7795338B2 (en) 2002-02-04 2010-09-14 Aisin Kako Kabushiki Kaisha Baking-drying water damping paint composition
JP2011162665A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Kikusui Chemical Industries Co Ltd 水系塗料組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6531541B1 (en) 2000-05-19 2003-03-11 Ppg Industries Ohio, Inc. Coating compositions, coated substrates and methods for inhibiting sound transmission through a substrate
US7795338B2 (en) 2002-02-04 2010-09-14 Aisin Kako Kabushiki Kaisha Baking-drying water damping paint composition
JP2011162665A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Kikusui Chemical Industries Co Ltd 水系塗料組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3951356B2 (ja) 制振性水性塗料組成物
JPS62262777A (ja) 防食塗膜形成法
JP2014530954A (ja) 耐腐食性、耐チップ性、及び耐燃料油性組成物
CN108333105A (zh) 一种用于钢桥高强螺栓连接面的涂料抗滑移性能检验方法
CA2177561C (en) Method for forming a metal spray coating
JPH10183017A (ja) 水性常温速乾型耐チッピング塗料組成物
JPH09151335A (ja) 水系制振塗料
JPH0471110B2 (ja)
JPH07166093A (ja) 水性エマルジョン型の自動車用耐チッピング塗料
JP2000160059A (ja) 焼付硬化型エマルジョン塗料組成物
JP7453869B2 (ja) 塗材仕上げ工法
JP2008195742A (ja) 水性顔料ペースト及び水性塗料組成物
JP2001064545A (ja) 水系防音塗料
JPH11310735A (ja) エポキシ樹脂防食塗料組成物
JP3390643B2 (ja) 騒音防止用アンダーコート剤
JP2782362B2 (ja) 制振用焼付乾燥型塗料
JP6749737B2 (ja) 防錆水性塗料組成物
KR101038871B1 (ko) 제진 도료 조성물 및 그의 제조 방법
JP3142165B2 (ja) 水性耐チッピング塗料組成物
JP3586857B2 (ja) 亜鉛処理鉄管類
JP2020139309A (ja) 塗材仕上げ工法
JPS62227966A (ja) 防振用塗膜形成材料
JP2673756B2 (ja) 鉄道車両外板の塗装方法
JPH0741701A (ja) 油面防錆性水系樹脂塗料組成物
JPS6097072A (ja) 車体の耐チツピング塗装法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060111

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060116

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060515

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02