JPH10182320A - 野生獣食害忌避剤およびそれを含有する分散液 - Google Patents

野生獣食害忌避剤およびそれを含有する分散液

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JPH10182320A
JPH10182320A JP34960196A JP34960196A JPH10182320A JP H10182320 A JPH10182320 A JP H10182320A JP 34960196 A JP34960196 A JP 34960196A JP 34960196 A JP34960196 A JP 34960196A JP H10182320 A JPH10182320 A JP H10182320A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】動物に対して忌避効果が高く、上記のように、
不快臭や、刺激性、毒性あるいは引火性もなく、さら
に、造林木等に対して害もなく、しかも、長期にわたっ
て忌避効果を奏することのできる野生獣食害忌避剤を提
供する。 【解決手段】芯部がイソチオシアン酸アリルを含有する
ゲル状ポリウレタン樹脂1で形成され、上記芯部がポリ
ウレア樹脂製の殻部2で被覆されたマイクロカプセルを
含有する野生獣食害忌避剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イソチオシアン酸
アリルを内包して優れた残効効力を発揮し、造林木を野
生獣から守るための、マイクロカプセルを有効成分とす
る野生獣食害忌避剤およびそれを含有する分散液に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ニホンジカ、ノウサギ、カモシカ等の草
食獣、イノシシ、クマ等の草雑食獣等の野生獣は、造林
木に害を与えるため、これら野生獣の忌避が望まれてい
る。
【0003】このような野生獣の忌避に関して、従来か
ら、哺乳動物用の忌避剤が使用されており、例えば、桂
皮アルデヒド、ケトン等(特公昭57−25521号公
報、特開昭61−289003号公報)、グザジン(特
開昭57−67507号公報)、グリコールエーテル類
(特開昭61−194001号公報)、カラシ配糖体
(特開昭61−291507号公報)、ビス(2−クロ
ロイソプロピルエーテル)(特開昭62−12702号
公報)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような各種忌避剤は、人間に対して不快臭があったり、
刺激性、毒性あるいは引火性を有していたり、また、農
耕物あるいは造林木等に薬害を与えるものが多く、さら
には、その効果の持続性にも劣るものであった。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、動物に対して忌避効果が高く、上記のように、
不快臭や、刺激性、毒性あるいは引火性もなく、さら
に、造林木等に対して害もなく、しかも、長期にわたっ
て忌避効果を奏することのできる野生獣食害忌避剤およ
びそれを含有する分散液の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、芯部がイソチオシアン酸アリルを含有す
るゲル状ポリウレタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆
する殻部がポリウレア樹脂で形成されているマイクロカ
プセルを含有する野生獣食害忌避剤を第1の要旨とし、
上記イソチオシアン酸アリルを内包したマイクロカプセ
ルが、水性媒体中に分散含有されている野生獣食害忌避
剤含有分散液を第2の要旨とする。さらに、上記野生獣
食害忌避剤含有分散液中に、水溶性ポリウレタン樹脂、
および、合成樹脂の水性エマルジョンの少なくとも一方
を含有する野生獣食害忌避剤含有分散液を第3の要旨と
する。
【0007】この発明者は、まず、動物に対して忌避効
果が高く、上記のように、不快臭や、刺激性、毒性ある
いは引火性もなく、さらに、造林木等に対して害もない
忌避成分を突き止めるべく検討を重ねた結果、抗菌効果
を有するイソチオシアン酸アリルが動物に対して高い忌
避効果を発揮することを見出した。そして、上記イソチ
オシアン酸アリルに着目し、これを用いてその高い忌避
効果を長期にわたって持続させる態様を見出すべくさら
に研究を重ねた結果、上記イソチオシアン酸アリルをゲ
ル状のポリウレタン樹脂に含有させて、これをポリウレ
ア樹脂製の特定のマイクロカプセル中に内包させると、
内包したイソチオシアン酸アリルは、長期間の徐放性を
奏し、長期にわたってその忌避効果を持続することを見
出し本発明に到達した。
【0008】このようなイソチオシアン酸アリルを内包
したマイクロカプセルを水性媒体中に分散させた分散液
は、紙製基材や布製基材等に、塗布、噴霧あるいは含浸
させる等、様々な形態をとり利用することができる。
【0009】また、上記イソチオシアン酸アリル内包マ
イクロカプセルを水性媒体中に分散させた分散液におい
て、水溶性ポリウレタン樹脂および合成樹脂の水性エマ
ルジョンの少なくとも一方を含有した分散液は、内包す
るイソチオシアン酸アリルの優れた徐放性という点に関
してより一層の向上が実現する。
【0010】なお、本発明の野生獣食害忌避剤において
対象とする野生獣とは、造林木に対して害を及ぼす野生
獣の全てをいい、例えば、ニホンジカ,ノウサギ,カモ
シカ等の草食獣、イノシシ,クマ等の草雑食獣、および
これらに加えて、サル、モグラ等をも含む造林木のある
山中に生息し、造林木に食害を与える動物をいう。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて詳しく説明する。
【0012】本発明の野生獣食害忌避剤は、イソチオシ
アン酸アリルを内包したマイクロカプセルを有効成分と
するものであって、このマイクロカプセルは、芯部が殻
部で被覆された芯−殻構造であり、上記芯部がイソチオ
シアン酸アリルを含有するゲル状ポリウレタン樹脂で形
成され、上記殻部がポリウレア樹脂で形成されている。
【0013】上記芯部のゲル状ポリウレタン樹脂に含有
されるイソチオシアン酸アリルは、CH2 =CHCH2
−N=C=Sで表されるもので人体に対して毒性はない
が、本発明の使用対象となる野生獣の忌避性に優れたも
のである。
【0014】そして、本発明の食害忌避剤において、有
効成分である、イソチオシアン酸アリルを内包したマイ
クロカプセルは、芯部に含有されるイソチオシアン酸ア
リル、あるいはイソチオシアン酸アリルを含む疎水性媒
体中に、多官能性イソシアネート、水不溶性のポリオー
ルおよび触媒を溶解して油相とし、これを乳化剤を添加
した水(水相)中に乳化分散した後、油滴界面およびそ
の内部で反応させることにより得られる。
【0015】上記反応では、20〜40℃で0.5〜2
時間程度で反応が完了し、従来に比べて極めて短時間お
よび低温下で、イソチオシアン酸アリルを内包したマイ
クロカプセルを製造することができる。
【0016】まず、油相を構成する各成分について述べ
る。
【0017】上記油相は、イソチオシアン酸アリル、あ
るいはイソチオシアン酸アリルを含む疎水性媒体と、多
官能性イソシアネートと、水不溶性のポリオールと、触
媒を用いて構成される。
【0018】上記イソチオシアン酸アリルはそのまま用
いてもよいが、上記のように疎水性媒体中に含有させて
もよい。好ましくは、残効性という点から、イソチオシ
アン酸アリルをそのまま用いることである。
【0019】上記疎水性媒体としては、イソチオシアン
酸アリルの揮発性防止剤として用いられ、例えば、安息
香酸ベンジル、フタル酸ジオクチル等のエステル類、鉱
物油類、綿実油類等の植物油類があげられる。
【0020】上記殻部およびゲル状の芯部を形成するた
めに用いられる多官能性イソシアネートとしては、フェ
ニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリ
フェニルメタントリイソシアネート等、さらには、上記
多官能性イソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビ
ュレット変性体や、トリメチロールプロパン、ヘキサン
トリオールのようなポリオールとの付加物であるイソシ
アネートプレポリマー等があげられる。これらは単独で
もしくは2種以上併せて用いられる。
【0021】上記トリメチロールプロパン、ヘキサント
リオール以外のポリオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等の脂肪
族ポリオール、キシリレングリコール等の芳香族ポリオ
ール、ハイドロキノン、カテコール等の多価フェノー
ル、あるいはこれら多価フェノールとアルキレンオキシ
ドとの縮合物、ポリエステルポリオール、ポリエーテル
ポリオール等のポリオールプレポリマー等があげられ
る。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられ
る。そして、これらポリオールのなかでも、残効性に優
れたイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルが得
られるという点から、トリメチロールプロパンを用いる
ことが好ましい。
【0022】そして、上記多官能性イソシアネートのな
かでも、無黄変型のイソチオシアン酸アリル内包マイク
ロカプセルを得るという点および経済的であるという点
から、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネートを用いることが好ましい。
【0023】上記多官能性イソシアネートとともに用い
られる水不溶性のポリオールとしては、具体的には、ヒ
マシ油、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラ
メチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオー
ル、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエ
ステルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリエ
ステルポリオール等があげられる。これらは単独でもし
くは2種以上併せて用いられる。そして、これら水不溶
性のポリオールのなかでも、反応性および残効性という
点からヒマシ油を用いることが好ましい。上記水不溶性
のポリオールの配合量は、上記多官能性イソシアネート
100重量部(以下「部」と略す)に対して10〜30
0部に設定することが好ましく、特に好ましくは50〜
200部である。この水不溶性のポリオールの配合量が
10部未満、あるいは300部を超えると、すなわち、
上記配合量の範囲外では、目的とする芯部がゲル状のイ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルを得ること
が困難となる傾向がみられる。そして、これら水不溶性
のポリオールにおいては、水酸基を少なくとも2個有す
るものを使用する必要がある。すなわち、水酸基が1個
では架橋せずに芯部がゲル化状態にはならないからであ
る。また、水に溶解するポリオールを用いるとマイクロ
カプセルの生成が困難となり使用には適さない。このよ
うな点から、上述の水不溶性のポリオールが使用され
る。
【0024】さらに、上記多官能性イソシアネートおよ
び水不溶性のポリオールとともに用いられる触媒として
は、有機スズ化合物が用いられ、例えば、トリ−n−ブ
チルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、
ジメチルチンジクロライド、ジブチルチンジラウレー
ト、トリメチルチンハイドロオキサイド等があげられ
る。これら触媒はそのまま用いてもよいし、酢酸エチル
等の溶剤に、濃度が0.1〜20重量%(以下「%」と
略す)となるように溶解して、油相中、イソシアネート
成分である多官能性イソシアネート100部に対して、
固形分として0.01〜1部となるよう添加してもよ
い。このように、上記触媒の配合量は、そのまま、ある
いは溶剤に溶解した状態のいずれの場合においても、固
形分として、多官能性イソシアネート100部に対して
0.01〜1部となるように設定することが好ましく、
特に好ましくは0.05〜0.5部である。すなわち、
触媒の配合量が、0.01部未満のように少な過ぎる
と、芯部のゲル状ポリウレタン樹脂が形成されるまで
に、多官能性イソシアネートが殻部の形成反応に使用さ
れて先に殻部が形成されてしまい、逆に1部を超える
と、芯部の形成が極端に速くなり、目的とするイソチオ
シアン酸アリル内包マイクロカプセルが得られ難いとい
う傾向がみられるからである。
【0025】上記触媒を添加することにより、油相中の
多官能性イソシアネートと水不溶性のポリオールとの反
応が、多官能性イソシアネートと、水相中の水との反応
よりも速やかに反応する。したがって、芯−殻構造のマ
イクロカプセルの形成において、芯部が、イソチオシア
ン酸アリルを含有するゲル状のポリウレタン樹脂に形成
され、その芯部の外周(殻部)がポリウレア樹脂に形成
されることから、本発明の特殊な構造を有するイソチオ
シアン酸アリル内包マイクロカプセルが得られる。
【0026】ついで、上記油相を乳化分散させる水相に
ついて述べる。
【0027】上記水相に添加される乳化剤としては、ア
ニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各水溶性高
分子物質、各種界面活性剤を用いることができる。
【0028】上記アニオン性高分子物質としては、アラ
ビアゴム、アルギン酸等の天然高分子、カルボキシメチ
ルセルロース、硫酸化セルロース、フタル化ゼラチン等
の半合成高分子、カルボキシ変性ポリビニルアルコー
ル、スチレンスルホン酸系重合体および共重合体、無水
マレイン酸系共重合体等の合成高分子があげられる。
【0029】また、上記カチオン性高分子物質として
は、カチオン化デンプン等があげられる。
【0030】上記ノニオン性高分子物質としては、ポリ
ビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、キサンタンガム等があげられ、上記両性
高分子物質としては、ゼラチンがあげられる。
【0031】さらに、上記各種界面活性剤としては、ラ
ウリル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、アル
キルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性
剤、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型等の
両性界面活性剤があげられる。
【0032】そして、これら乳化剤は、一般に、水に対
して、水溶液濃度が1〜20%となるよう添加して調製
し、水相とする。
【0033】本発明における、特殊なイソチオシアン酸
アリル内包マイクロカプセル分散液は、例えば、つぎの
ようにして製造される。すなわち、上述の各成分を用い
て、油相液および水相をそれぞれ調製する。そして、上
記調製した油相液を、上記水相に加え、所定の条件で攪
拌し反応させることにより、芯部が殻部で被覆された芯
−殻構造で、しかも、上記芯部がイソチオシアン酸アリ
ルを含有するゲル状ポリウレタン樹脂で形成され、上記
殻部がポリウレア樹脂で形成された特殊なイソチオシア
ン酸アリル内包マイクロカプセルが分散されたイソチオ
シアン酸アリル内包マイクロカプセル分散液が製造され
る。つづいて、この分散液から所定の方法によって水分
を分離することによりイソチオシアン酸アリル内包マイ
クロカプセルが得られる。
【0034】上記のようにして得られた本発明のイソチ
オシアン酸アリル内包マイクロカプセル分散液におい
て、分散液中のイソチオシアン酸アリル内包マイクロカ
プセルの含有量は、例えば、造林木等に塗布、噴霧およ
び含浸させて用いる際の期待する薬効、残効性を考慮し
て、分散液中1〜70%の範囲に設定することが好まし
い。
【0035】上記油相液と水相との混合割合は、重量比
で、油相1に対して水相0.5〜50となるように設定
することが好ましい。特に好ましくは油相1に対して水
相0.8〜1.5である。すなわち、油相1に対して水
相が0.5未満では、水を連続相とすることが困難であ
る。また、水相が50を超えると、マイクロカプセル濃
度の低過ぎる製品しか得られないという傾向がみられる
からである。
【0036】上記攪拌条件としては、一般に、500〜
5000rpmに設定され、特に好ましくは1000〜
3000rpmである。さらに、上記反応条件として
は、前述のように、20〜40℃で0.5〜2時間程度
の短時間に設定される。
【0037】また、イソチオシアン酸アリル内包マイク
ロカプセル分散液中から水分を分離してイソチオシアン
酸アリル内包マイクロカプセルを得る方法としては、特
に限定するものではなく、従来公知の方法、例えば、遠
心分離法、加圧濾過法、減圧吸引濾過法等があげられ
る。さらに、上記分離により得られたイソチオシアン酸
アリル内包マイクロカプセルを、従来公知の方法、例え
ば、加熱乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等によっ
て適宜に乾燥してもよい。
【0038】このように、特殊なイソチオシアン酸アリ
ル内包マイクロカプセルが得られる生成機構について、
この発明者は、一連のマイクロカプセルの研究により得
た知見から、つぎのように推察している。すなわち、上
記油相を構成する成分の一つである触媒の存在により、
この触媒を含有する油相液を水相に添加し攪拌すると、
油相中の多官能性イソシアネートと水不溶性のポリオー
ルとの反応が、多官能性イソシアネートと水との反応よ
りも速やかに反応する。このため、芯−殻構造のマイク
ロカプセルの形成において、まず、芯部となるイソチオ
シアン酸アリルを含有するゲル状のポリウレタン樹脂が
反応生成し、その後、その表面で、多官能性イソシアネ
ートと水とが反応してポリウレア樹脂が反応生成して殻
部が形成されるものと考えられる。
【0039】本発明に用いるイソチオシアン酸アリル内
包マイクロカプセルの他の製法として、下記の方法もあ
げられる。すなわち、有機スズ化合物を含有する前記油
性液を、少なくとも2個のアミノ基を有する多価アミン
化合物および乳化剤を含有する水性液に添加して乳化分
散させる方法である。この方法によると、上記水性液中
に多価アミンを含有するため、油滴界面において、油相
中の多官能性イソシアネートと水性液中の多価アミンと
が極めて速く反応して、ポリウレア樹脂製の殻部が形成
され、遅れて、有機スズ化合物の触媒作用により、多官
能性イソシアネートと水不溶性ポリオールとが反応し
て、殻部の内部のゲル化が始まり、イソチオシアン酸ア
リルを含有するゲル状ポリウレタン樹脂製芯部が形成さ
れ、イソチオシアン酸アリル含有のゲル状ポリウレタン
樹脂からなる芯部が殻部で形成された本発明に用いるイ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルが得られ
る。
【0040】このようにして得られる本発明のイソチオ
シアン酸アリル内包マイクロカプセルの模式図を図1に
示す。図示のように、芯部であるイソチオシアン酸アリ
ルを含有するゲル状ポリウレタン樹脂1の外周を、ポリ
ウレア樹脂製の殻部2によって被包された、芯−殻構造
となっている。また、本発明のイソチオシアン酸アリル
内包マイクロカプセルの粒子径については特に限定する
ものではないが、一般に、0.5〜500μmの範囲に
設定される。
【0041】本発明のイソチオシアン酸アリル内包マイ
クロカプセルにおいて、芯部がゲル化状態であること
は、得られたイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプ
セルの断面を電子顕微鏡で観察することにより確認する
ことができる。また、得られたイソチオシアン酸アリル
内包マイクロカプセルを用いて溶媒により残存水不溶性
ポリオールの抽出操作を行った結果、抽出物が得られな
いことから、水不溶性のポリオールが多官能性イソシア
ネートと完全に反応し、内部がゲル化状態となっている
と判断される。さらに、イソチオシアン酸アリルと、多
官能性イソシアネートと、水不溶性のポリオールと、触
媒を、20〜40℃で混合し、0.5〜2時間放置する
と流動性がなくなりゲル化状態となることからも推察さ
れる。
【0042】このような特定のマイクロカプセルを有効
成分とする本発明の野生獣食害忌避剤は、例えば、この
マイクロカプセルを含有する分散液を造林木の表面に塗
布、あるいは噴霧するか、または造林木中に加圧して注
入する等の適宜の方法を用いて適用することができる。
【0043】つぎに、本発明のイソチオシアン酸アリル
内包マイクロカプセル分散液に、バインダー成分とし
て、水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水性
エマルジョンの少なくとも一方を配合することにより、
本発明の課題である薬効成分の徐放性に関して、より一
層の向上効果が得られ、さらに長期間にわたってイソチ
オシアン酸アリルを放出させることができるマイクロカ
プセル含有分散液(野生獣食害忌避剤)が得られる。
【0044】上記水溶性ポリウレタン樹脂としては、下
記の(B1)および(B2)の少なくとも一方を用いる
ことが好ましい。
【0045】(B1)下記の(a1)と(b1)とを反
応させてなる反応生成物の、末端イソシアネート基をブ
ロック化剤でブロックした熱反応水溶性ポリウレタン樹
脂。 (a1)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
リオールの少なくとも一方。 (b1)ジイソシアネート成分。 (B2)下記の(a2)と(b2)とを反応させてなる
反応生成物の、末端イソシアネート基を、水およびアミ
ンの少なくとも一方で架橋してなる水溶性ポリウレタン
樹脂。 (a2)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
リオールの少なくとも一方。 (b2)ジイソシアネート成分。
【0046】まず、熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(B
1)について述べる。
【0047】上記(a1)のポリエーテルポリオールと
しては、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの
ブロック重合物、またはこれらのランダム付加重合物、
グリセリンのプロピレンオキシド、エチレンオキシドあ
るいはそのランダム付加重合物、プロピレンオキシドの
付加重合物等があげられる。
【0048】上記(a1)のポリエステルポリオールと
しては、無水マレイン酸と1,4−ブタンジオールとの
ポリエステルポリオール、無水マレイン酸と1,6−ヘ
キサンジオールとのポリエステルポリオール等があげら
れる。
【0049】上記(b1)であるイソシアネート成分と
しては、脂肪族ジイソシアネートが黄変防止の点から好
ましく用いられ、具体的には、ヘキサメチレンジイソシ
アネート(HMDI)、トリメチルキシレンジイソシア
ネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)等があげられる。
【0050】さらに、上記(B1)における、上記(a
1)と(b1)とを反応させてなる反応生成物の、末端
イソシアネート基をブロックするブロック化剤として
は、無水重亜硫酸ソーダ、メチルエチルケトオキシム等
があげられる。
【0051】上記熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(B
1)は、例えば、つぎのようにして得られる。すなわ
ち、上記(a1)と(b1)とを90〜100℃で反応
させ(末端イソシアネート基が約3〜4%となるま
で)、この未反応の末端イソシアネート基を上記ブロッ
ク化剤で封鎖し、冷却した後、必要に応じて活性剤を添
加する。つぎに、これに水を添加して乳化体とする。
【0052】このようにして得られる熱反応水溶性ポリ
ウレタン樹脂(B1)としては、熱反応性の点から、重
量平均分子量が5000〜2万のものが好ましい。
【0053】つぎに、水溶性ポリウレタン樹脂(B2)
について述べる。
【0054】上記(a2)のポリエーテルポリオールと
しては、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキ
シドプロピレンオキシドのランダム付加重合物、あるい
はこれらのランダム付加重合物、プロピレンオキシドの
付加重合物、ビスフェノールAのエチレンオキシドの付
加重合物、ビスフェノールAのプロピレンオキシドの付
加重合物、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプ
ロパン等があげられる。
【0055】上記(a2)のポリエステルポリオールと
しては、ブチレンアジペート、ヘキシレンカーボネー
ト、エチレンテレフタレート等があげられる。
【0056】上記(b2)であるイソシアネート成分と
しては、トリレンジイソシアネート−80(TDI−8
0)、HMDI、ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)、IPDI等があげられる。
【0057】さらに、上記(B2)における、上記(a
2)と(b2)とを反応させてなる反応生成物の、末端
イソシアネート基を架橋させるアミンとしては、エチレ
ンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン等があ
げられる。
【0058】上記水溶性ポリウレタン樹脂(B2)は、
例えば、つぎのようにして得られる。すなわち、上記
(a2)に対して、(b2)を溶媒中で反応させ(70
〜75℃)、所望の末端イソシアネート基量まで反応さ
せる。つぎに、冷却し、必要に応じて活性剤を添加し、
さらに大量の水を添加して、上記末端イソシアネート基
を水架橋させる。このときジアミンを添加して効率的に
架橋させることもできる。
【0059】このようにして得られる水溶性ポリウレタ
ン樹脂(B2)としては、徐放性の点から、重量平均分
子量が3万以上のものが好ましい。さらに好ましくは重
量平均分子量が10万以上のものである。
【0060】そして、本発明における、イソチオシアン
酸アリル内包マイクロカプセル分散液に配合する水溶性
ポリウレタン樹脂として、上記(B1)および(B2)
のうち、徐放性という点から、特に(B1)を用いるこ
とが好ましい。上記(B1)成分については、ほかにバ
インダー力を高めるために、前記の有機スズ化合物をマ
イクロカプセル分散液に対し0.5〜1.0%添加する
ことが好ましい。
【0061】本発明において、上記水溶性ポリウレタン
樹脂を含有する分散液は、先に述べたイソチオシアン酸
アリル内包マイクロカプセルの分散液に、上記(B1)
および(B2)の少なくとも一方を添加することにより
得られる。
【0062】上記(B1)および(B2)の少なくとも
一方の添加量は、イソチオシアン酸アリル内包マイクロ
カプセルの分散液の固形分に対して、固形分で30〜1
00%、より好ましくは50〜80%の割合に設定され
る。
【0063】上記合成樹脂の水性エマルジョンとして
は、例えば、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共
重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂、アクリル
樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル−エ
チレン−塩化ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル−マレート
共重合樹脂、アクリル−エチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂等の水性エマルジョンがあげられる。これら合成樹脂
は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかで
も、徐放性という点から、酢酸ビニル−エチレン共重合
樹脂の水性エマルジョンを用いることが好ましい。
【0064】上記合成樹脂の水性エマルジョンは、濃度
30〜60%のものとして使用され、その添加量は、イ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルの分散液の
固形分に対して、固形分比で、30〜100%に設定す
ることが好ましく、より好ましくは50〜80%の割合
に設定される。
【0065】このようなイソチオシアン酸アリル内包マ
イクロカプセルと、水溶性ポリウレタン樹脂および合成
樹脂の水性エマルジョンの少なくとも一方を含有する本
発明の野生獣食害忌避剤含有分散液も、前記分散液と同
様の適用方法で用いられる。
【0066】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0067】まず、実施例に先立って、イソチオシアン
酸アリルを内包したマイクロカプセルを製造した。
【製造例1】イソチオシアン酸アリル100部、ヘキサ
メチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの
付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)12
0部(イソシアネート成分)、ジブチルチンジラウレー
ト(触媒)の10%酢酸エチル溶液1部、ヒマシ油12
0部(水不溶性のポリオール)を混合溶解して油相液を
調製した。ついで、この油相液を、25℃の部分ケン化
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、ゴーセ
ノールKM−11、ケン化度80%)の10%水溶液3
50部に加え、オートホモミキサー(特殊機化工業社
製)により1000rpmで5分間攪拌することにより
乳化液を得た。引き続き、この乳化液を、25℃で1.
5時間、100〜500rpmで攪拌し反応を完結させ
ることによりイソチオシアン酸アリル内包のマイクロカ
プセルを得た。このマイクロカプセルの粒子を遠心分離
により取り出し、電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−
T300)で観察したところ、粒子径5μmの粒子が観
察された。さらに、このマイクロカプセルを割ったもの
を電子顕微鏡で観察したところ、芯部がゲル化状態であ
ることが確認された。このことから、イソチオシアン酸
アリルを含有するゲル状のポリウレタン樹脂(芯部)
が、ポリウレア樹脂製の殻部によって被包された芯−殻
構造をとる特殊マイクロカプセルであることがわかる
(図1参照)。
【0068】また、得られたイソチオシアン酸アリル内
包マイクロカプセルを用い、テトラヒドロフランにて残
存ヒマシ油(水不溶性のポリオール)の抽出操作を行っ
たところ、ヒマシ油は検出されなかった。この結果から
も、ヒマシ油が芯部に存在せず、イソシアネート成分と
完全に反応しており、芯部がゲル状のポリウレタン樹脂
であることがわかる。
【0069】さらに、上記調製した油相液を、25℃で
1.5時間そのまま放置したところ、流動性がなくなり
ゲル化状態となった。
【0070】これらのことから、製造例1で得られたイ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルの、芯部は
ゲル化していることは明らかである。
【0071】
【製造例2〜6】イソチオシアン酸アリル、イソシアネ
ート成分、触媒および水不溶性のポリオールとして、下
記の表1に示す材料を同表に示す割合で用い、上記製造
例1と同様にして目的とするイソチオシアン酸アリル内
包マイクロカプセル分散液を作製した。そして、得られ
たイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルを遠心
分離により取り出して、製造例1と同様、電子顕微鏡の
観察により粒子径を測定し下記の表1に併せて示した。
【0072】また、製造例1と同様にしてマイクロカプ
セルを割り電子顕微鏡写真を撮ったところ、いずれも芯
部がゲル化していることが確認された。さらに、上記と
同様にして、水不溶性のポリオールの抽出操作、および
油相液のみを反応させたところ、製造例1と同様の結果
が得られた。これらのことから、製造例2〜6のイソチ
オシアン酸アリル内包マイクロカプセルの、芯部はゲル
化していることは明らかである。
【0073】
【比較製造例1】製造例1で油相液を調製する際に、水
不溶性のポリオールであるヒマシ油、および触媒である
ジブチルチンジラウレートを用いなかった。それ以外は
製造例1と同様の操作を行った。得られた乳化液を遠心
分離したところ、マイクロカプセルは得られなかった。
さらに、この乳化液を、25℃で8時間攪拌して反応を
完結させることにより、イソチオシアン酸アリルを内包
したマイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルの
粒子を遠心分離により取り出し、製造例1と同様にして
電子顕微鏡で観察したところ、粒子径4μmの粒子が観
察された。そして、このマイクロカプセルを割ったもの
を電子顕微鏡で観察したところ、芯部にイソチオシアン
酸アリルのみが存在しており、単に、イソチオシアン酸
アリルが内包された芯−殻構造をとるマイクロカプセル
であることがわかる。
【0074】また、上記油相液を、25℃で10時間そ
のまま放置したが、ゲル化状態とはならず液状のままで
あった。
【0075】これらのことから、比較製造例1で得られ
たマイクロカプセルは、芯部がイソチオシアン酸アリル
のみである従来のマイクロカプセルであることが明らか
である。
【0076】
【表1】
【0077】
【実施例1〜6、比較例】前記製造例1〜6および比較
製造例1で得られたイソチオシアン酸アリル内包マイク
ロカプセル分散液を各々造林木処理薬剤とした。このと
きの各々のマイクロカプセルの分散液中の含有量はいず
れも全体の1.0重量%に調整した。
【0078】そして、上記調製した造林木処理薬剤を用
いて下記の条件にて、シカ・ノウサギの複合被害を測定
しその忌避効果を評価した。これらの結果を下記の表2
に示した。
【0079】〔シカ・ノウサギの複合被害の評価方法〕 上記造林木処理薬剤の散布量:40ml/本 散布部位:本枝葉主体に散布 対象樹木:ヒノキの2年生苗 調査時期:平成7年5月(散布から4ヶ月後)
【0080】
【表2】
【0081】上記表2の結果から、全実施例における、
ノウサギおよびシカによる被害本数は、無処理および比
較例と比べて被害本数がはるかに少なく、長期にわたっ
て内包されたイソチオシアン酸アリルの優れた忌避効果
を発揮したことがわかる。
【0082】つぎに、イソチオシアン酸アリル内包マイ
クロカプセル分散液に水溶性ポリウレタン樹脂が配合さ
れた例について述べる。
【0083】
【製造例7】 〔水溶性ポリウレタン樹脂の製造〕グリセリンに、エチ
レンオキシドおよびプロピレンオキシドを付加重合させ
たもの、および、プロピレンオキシドとエチレンオキシ
ドのランダム付加重合体の混合物(重量比20:80)
を、HMDIと反応させて(90〜100℃)ポリウレ
タン化し、末端イソシアネート基を、メチルエチルケト
オキシム(MEKO)でブロックし、さらに冷却して水
を添加して熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(重量平均分
子量1万5千)が分散した分散体(B1)を作製した。
【0084】〔食害忌避剤含有分散液の製造〕つぎに、
前記製造例1で得られたイソチオシアン酸アリル内包マ
イクロカプセルを含有した分散液(マイクロカプセル固
形分20%)100部に対して、上記熱反応水溶性ポリ
ウレタン樹脂が分散した分散体(B1)を40部添加
し、さらにジブチルチンジラウレートを0.8%添加
し、攪拌することによって目的とする分散液を得た。こ
の分散液の固形分濃度は25%であった。
【0085】
【製造例8〜12】まず、下記に示す製法に従って、水
溶性ポリウレタン樹脂α〜εを作製した。
【0086】〔水溶性ポリウレタン樹脂α〕グリセリン
にプロピレンオキシドを付加重合させたもの、および、
プロピレンオキシドとエチレンオキシドのランダム付加
重合体の混合物(重量比20:80)を、HMDIと反
応させて(90〜100℃)ポリウレタン化し、末端イ
ソシアネート基を、無水重亜硫酸ソーダでブロックし、
さらに冷却して水を添加して水溶性ポリウレタン樹脂α
が分散した分散体α(B1)を作製した。
【0087】〔水溶性ポリウレタン樹脂β〕無水マレイ
ン酸と1,6−ヘキサンジオールとのポリエステルポリ
オールと、ポリエチレングリコールの混合物(重量比
5:1)を、HMDIと反応させて(90〜100℃)
ポリウレタン化し、末端イソシアネート基を、無水重亜
硫酸ソーダでブロックし、さらに冷却して水を添加して
水溶性ポリウレタン樹脂βが分散した分散体β(B1)
を作製した。
【0088】〔水溶性ポリウレタン樹脂γ〕グリセリン
にプロピレンオキシドを付加重合させたもの、および、
グリセリンにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシ
ドをランダム付加重合させたもの(エチレンオキシドと
プロピレンオキシドの重量比13:87)の混合物(重
量比50:50)を、HMDIと反応させて(90〜1
00℃)ポリウレタン化し、末端イソシアネート基を、
無水重亜硫酸ソーダでブロックし、さらに冷却して水を
添加して水溶性ポリウレタン樹脂γが分散した分散体γ
(B1)を作製した。
【0089】〔水溶性ポリウレタン樹脂δ〕ブチレンア
ジペートと、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの
ランダム付加重合体と、ポリカプロラクトンの混合物
(重量比12:4:1)を、HMDIと反応させて(9
0〜100℃)ポリウレタン化し、水を添加して、末端
イソシアネート基の一部をアミノエチルスルホン酸ソー
ダと反応させ、さらに冷却して水溶性ポリウレタン樹脂
δが分散した分散体δ(B2)を作製した。
【0090】〔水溶性ポリウレタン樹脂ε〕ポリテトラ
メチレングリコールと、プロピレンオキシドとエチレン
オキシドのランダム付加重合体と、ポリエチレングリコ
ールと、1,4−ブタンジオールと、トリメチロールプ
ロパンの混合物(重量比50:4:4:4:1.5)
を、水添MDIと反応させて(90〜100℃)ポリウ
レタン化し、さらに活性剤(ジスチレン化フェノールの
エチレンオキシド付加物)を固形分100部に対して5
部添加して、ついで、大量の水を添加し乳化させ、末端
イソシアネート基をエチレンジアミンで架橋させて水溶
性ポリウレタン樹脂εが分散した分散体ε(B2)を作
製した。
【0091】そして、前記製造例2〜6で作製した各イ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセル分散液(マ
イクロカプセル固形分20%)100部に対して、上記
各水溶性ポリウレタン樹脂α〜εが分散した分散体α〜
εを固形分が10部となるよう40部添加した。各製造
例8〜12に対して用いた水溶性ポリウレタン樹脂α〜
ε(分散体α〜ε)の組み合わせを、各水溶性ポリウレ
タン樹脂α〜εの重量平均分子量とともに下記の表3に
示す。なお、製造例8〜10に関しては、上記分散体を
添加した後、さらにジブチルチンジラウレートを0.8
%添加し、攪拌することによって目的とする食害忌避剤
を含有する分散液を得た。
【0092】
【表3】
【0093】つぎに、イソチオシアン酸アリル内包マイ
クロカプセル分散液に、合成樹脂の水性エマルジョンが
配合された例について述べる。
【0094】
【製造例13】前記製造例1のイソチオシアン酸アリル
内包マイクロカプセルが分散した液(マイクロカプセル
固形分20%)100部に対して、酢酸ビニル−エチレ
ン共重合樹脂の水性エマルジョン(濃度50%、ヘキス
ト合成社製「モビニール180E」)を固形分が10部
となるように20.0部添加した。この分散液の固形分
濃度は25%であった。
【0095】
【実施例7〜13】前記製造例7〜13で得られたイソ
チオシアン酸アリル内包マイクロカプセル分散液とバイ
ンダー成分(各水溶性ポリウレタン樹脂および合成樹脂
の水性エマルジョン)とを配合した分散液を造林木処理
薬剤とした。このときの各々のマイクロカプセルの分散
液中の含有量はいずれも全体の1.0重量%に調整し
た。
【0096】そして、上記調製した造林木処理薬剤を用
い、前記と同様、下記の条件にて、シカ・ノウサギの複
合被害を測定しその忌避効果を評価した。これらの結果
を下記の表4に示した。
【0097】〔シカ・ノウサギの複合被害の評価方法〕 上記造林木処理薬剤の散布量:40ml/本 散布部位:本枝葉主体に散布 対象樹木:ヒノキの2年生苗 調査時期:平成7年7月(散布から6ヶ月後)
【0098】
【表4】
【0099】上記表4の結果から、全実施例の処理した
造林木処理薬剤において、ノウサギおよびシカによる被
害率は極僅かであって、長期にわたって内包されたイソ
チオシアン酸アリルの優れた忌避効果を発揮したことが
わかる。
【0100】
【発明の効果】以上のように、本発明は、イソチオシア
ン酸アリルを含有するゲル状ポリウレタン樹脂からなる
芯部が、ポリウレア樹脂からなる殻部で被覆された特殊
な芯部構造を有するイソチオシアン酸アリル内包マイク
ロカプセルを含有する野生獣食害忌避剤である。このよ
うな特殊な芯部構造をとることにより、ゲル状ポリウレ
タン樹脂に含有されたイソチオシアン酸アリルはポリウ
レタン樹脂から経時的に徐々にしか放出されず、したが
って、イソチオシアン酸アリルの殻部の通過量が抑制さ
れ、その結果、優れた残効性を備えるようになる。この
ため、薬効および残効性に優れた忌避剤となる。特に、
上記イソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセル含有
分散液は、造林木に対して、塗布、噴霧あるいは含浸さ
せる等、様々な形態をとって使用可能となり、上記優れ
た残効性を有効に発揮することができる。
【0101】さらに、上記イソチオシアン酸アリル内包
マイクロカプセル含有分散液に、バインダー成分として
の、水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水性
エマルジョンの少なくとも一方を含有することにより、
上記成分のバインダー効果により、より一層優れた徐放
性を備えるようになり、長期にわたって忌避効果を発揮
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイソチオシアン酸アリル内包マイクロ
カプセルの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 ゲル状ポリウレタン樹脂 2 ポリウレア樹脂製の殻部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯部がイソチオシアン酸アリルを含有す
    るゲル状ポリウレタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆
    する殻部がポリウレア樹脂で形成されているマイクロカ
    プセルを含有することを特徴とする野生獣食害忌避剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のイソチオシアン酸アリル
    を内包したマイクロカプセルが、水性媒体中に分散含有
    されていることを特徴とする野生獣食害忌避剤含有分散
    液。
  3. 【請求項3】 分散液中に、水溶性ポリウレタン樹脂、
    および、合成樹脂の水性エマルジョンの少なくとも一方
    を含有する請求項2記載の野生獣食害忌避剤含有分散
    液。
  4. 【請求項4】 水溶性ポリウレタン樹脂が、下記の(B
    1)および(B2)の少なくとも一方である請求項3記
    載の野生獣食害忌避剤含有分散液。 (B1)下記の(a1)と(b1)とを反応させてなる
    反応生成物の、末端イソシアネート基をブロック化剤で
    ブロックした熱反応水溶性ポリウレタン樹脂。 (a1)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
    リオールの少なくとも一方。 (b1)ジイソシアネート成分。 (B2)下記の(a2)と(b2)とを反応させてなる
    反応生成物の、末端イソシアネート基を、水およびアミ
    ンの少なくとも一方で架橋してなる水溶性ポリウレタン
    樹脂。 (a2)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
    リオールの少なくとも一方。 (b2)ジイソシアネート成分。
  5. 【請求項5】 合成樹脂の水性エマルジョンが、酢酸ビ
    ニル−エチレン共重合樹脂の水性エマルジョンである請
    求項3または4記載の野生獣食害忌避剤含有分散液。
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