JPH10182317A - 植物根の生育促進剤 - Google Patents
植物根の生育促進剤Info
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Abstract
根の生育促進剤。
Description
別が明らかな植物の根の生育促進剤、より詳細には、イ
ノシンを有効成分とするこのような植物の根の生育促進
剤、及びイノシンを有効成分として施用することを特徴
とするこのような植物の根の生育促進方法に関する。
は、いくつか知られている。
は、β−インドール酢酸などと核酸の分解により得られ
るプリン塩基、ピリミジン塩基、ヌクレオシド及びヌク
レオチドの群から選択された少なくとも1種とを有効成
分とする植物生長調整剤を開示している。
ては、核酸分解により得られる、分解程度の異なる核酸
塩基、ヌクレオシド及びヌクレオチドは、全て、これら
の間の区別のない同効物として取り扱われており、しか
も、これらの核酸分解生成物は、プリン塩基に属する或
種のものを除き実質的な植物生長調整作用を有しない、
と記載されているところから明らかなように、β−イン
ドール酢酸などと核酸分解物との併用を必須要件とする
組成物(植物生長調整剤)である。加えて、この植物生
長調整剤の施用方法は、その薬液中に種子、幼根、種芋
などを浸漬する、それを幼菌、幼果、花器、葉面などに
噴霧する、又はこれらの施用方法を処理時期を適宜に選
んで併用する(例えば、種子を浸漬処理し、かつその後
に葉面散布処理する)、等によるものであり、植物の根
の生育を直接に促進する仕方での本発明の生育促進剤の
施用方法とは明らかに異なる。
フェノキシ酢酸などの植物ホルモン剤と未分解の核酸又
はその分解により得られるピリミジン塩基、プリン塩
基、ヌクレオシド及びヌクレオチド群から選ばれる少な
くとも1種とを有効成分とする果菜類用生長調整剤を開
示している。
おいては、未分解の核酸そのものと分解程度の異なる各
種分解生成物とが同列に取り扱われており、しかも、こ
れらの核酸関連物質は、前記植物ホルモン剤の施用によ
る作物の各種生理的障害の発生を軽減するとともに植物
ホルモン剤施用の所期の効果を増大させるために使用さ
れる旨の記載から明らかなように、植物ホルモン剤と核
酸関連物質との併用は必須要件とされている。加えて、
この果菜類用生長用調整剤の薬液は、植物体に散布処理
するのが望ましく、この散布処理は、一般に開花期に花
房ないし花器が濡れる程度におこない、噴霧器を用いて
花房ないし花器に対し或いは作物体全面に散布したり、
塗布又は浸漬法により花房ないし花器に対して処理する
ものであり、明らかに本発明の植物根の生育促進剤の施
用方法とは異なる。
オチド類及び(イノシンを例示する)ヌクレオシド類の
1種または2種以上を成熟した観葉植物の葉、または葉
の茎、あるいは葉の柄の切口に接触させることを特徴と
する観葉植物の葉持ちを向上せしめる方法を開示してい
る。
上せしめる方法においても、各種のヌクレオチド類及び
ヌクレオシド類が同列に取扱われ、しかも、有効成分の
薬液の施用方法は、前記の通りであって、本発明のそれ
とは明らかに異なる。
オチド類、(イノシンを例示する)ヌクレオシド類及び
核酸塩基の単独又は2種以上の混合溶液を蕾期の果樹花
蕾に散布することを特徴とする果樹花粉の発芽を促進す
る方法を開示している。
法においても、各種のヌクレオチド類及びヌクレオシド
類が同列に扱われており、しかも、有効成分の薬液の施
用方法は、上記の通りであって、本発明のそれとは明ら
かに異なる。
ンと塩化カルシウムの混合溶液を(生花店頭での生花用
の水又は水盤若しくは花瓶の水などとして)生花に使用
する切り花を長持ちさせる方法を開示している。
は、イノシンに対する塩化カルシウムの併用を必須要件
としており、しかも、有効成分の施用方法は、根の生育
促進に関連する本発明のそれとは明らかに異なる。
た例は、従来知られているが、それらは、これらの物質
と他の物質との併用が必須要件とされており、核酸関連
物質が単独に使用されていても、種々の核酸関連物質は
なんら区別されることなく同効物として取り扱われてい
たりするものであり、加えて有効物質の施用方法は本発
明のそれとは明らかに全く異なるものである。
は、その後の生育の重要な基本をなす。根の健全な成育
があってこそ葉が伸び、花芽をつけて受精し、結実し、
果実が肥大する。
進せしめることのできる新たな物質(組成物)または新
たな方法の開発が待たれるところ、本発明は、植物根の
新たなの生育促進剤組成物を提供し、延いては、植物根
の新たな生育促進方法を提供することを目的とする。
達成すべく鋭意研究の結果、イノシンが植物全般の根の
育成に顕著な効果を示すことを初めて発見し、このよう
な知見に基づいて本発明を完成した。
として含有することを特徴とする植物根の生育促進剤、
及びこのような植物根の生育促進剤を土壌に又は水耕の
場合は水耕水に加えて施用することを特徴とする植物根
の生育促進方法に関する。
べき植物は、根、茎及び葉が分化し、これらの区別が明
らかな植物全般を含み、これには、葉菜、果菜、根菜、
花、果樹、穀物などが含まれる。
なく、副作用のない限りは、イノシン発酵液そのもの、
その濃縮液、濃縮乾燥物、イノシン発酵液から分離した
イノシンの粗製品、あるいは、核酸を分解して核酸関連
物質(ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸塩基など)を
取得する際の中間処理画分であってイノシンを含有する
するもの、イノシン酸発酵液の処理液でイノシンを含有
する画分、などの形態のものでもよい。ただし、水耕水
に加えて施用する場合は、水耕水を汚染して腐敗せしめ
ないためには、そのような汚染腐敗の原因となる不純物
を伴わない形態のイノシンが好ましいことはいうまでも
ない。
育促進剤は、土壌や水耕水を介して施用するに便宜なよ
うに、適宜水などの適当な溶媒に溶解又は分散した液剤
の剤形に調製することもできるし、また適宜の増量剤、
バインダーなどを使用して粉剤や顆粒の剤形に調製する
こともできる。特に、腐敗防止や溶解度を上げるという
見地からは、NaOH、KOHなどのアルカリ金属水酸
化物やMg(OH)2などのアルカリ土類金属水酸化物で
例示される無機アルカリやリジン、アルギニンなどの塩
基性アミノ酸、等を使用してイノシンのアルカリ性水溶
液に調製するのが好ましい。なお、KOHなどのK含有
化合物を使用する場合は、そのK成分が根の生育に好ま
しい影響をもつものと考えられる。
としては、例えば、播種前の土壌に施用してこれに播種
する方法や、水耕栽培の場合は水耕水に加えて溶解して
おく方法がある。また、イチゴやメロンなどの果菜類の
成り疲れを防止するために、成り疲れの特徴の見られる
ときや具体的な徴候が見られなくとも成り疲れの予想さ
れる時期に前もって果菜の根元の土壌に施用し、または
水耕水に添加する方法など、生育の適当な時期に施用す
る方法を挙げることができる。
度、生育段階などにより異なるが、要するに、本発明の
植物根の生育促進剤を使用した植物の発根または根の生
育の程度が、本発明の植物根の生育促進剤を施用しない
ことを除いては全く同様の条件で栽培された植物の発根
または根の生育の程度に優る量であり、この量は、当業
者の容易に行うことのできる予備比較実験で定めること
ができるが、例えば、播種前の土壌の場合、土壌100
トン当たり5〜50g(0.05〜0.5ppm)のイ
ノシン量という低濃度とすることができる。また、水耕
栽培の場合は、土壌の場合のイノシン量とは異なり、水
耕水当たり0.1〜2ppmとすることができる。すな
わち、このような低濃度で植物の発根または根の生育促
進作用が奏されるのである。
は、成長ホルモンであるが、使用時の濃度設定を間違え
ると、すなわち、濃いと障害がでるし、不足すると効き
目が全くない。このことは、一般に植物ホルモンについ
ていわれることである。
0には、植物ホルモン施用の害について、クロルフェノ
キシ酢酸系及びβ−ナフトキシ酢酸系化合物は、いわゆ
る植物ホルモン剤として知られており、例えば果菜類に
適用して果実の肥大化増進、熱期促進などの効果をもた
らす。しかしながら、一方においてこれらの植物ホルモ
ン剤の施用により作物に各種の生理的障害が発生する憾
みがある。例えば、茎葉が異常に屈曲したり、葉が縮ん
だり、茎葉、果梗などにカルスが発生したり、果実が変
型したり空洞果の発生が多くなったりする。本発明は、
クロルフェノキシ酢酸系又は(及び)β−ナフトキシ酢
酸系化合物と核酸ないしはその分解生成物との混用によ
り、前記生理的障害の発生が軽減できると共に所期の効
果を増大させ得ることの知見に基づき、農業経営上有用
な果菜類用生長調整剤を提供せんとするものである、と
記載されている。
はなく、施用濃度の幅が広く、過剰であっても、植物に
対する特別の障害はみられず、土壌微生物にすぐに利用
され、土壌改良に役立つことはあっても害にはならない
のである。
する。
するので、その間健全に根を維持することは大変重要で
ある。根が痛むとその後本園に移植してからの成育に悪
い影響を与える点で、農家が一番神経を使う作業であ
り、関心事である。
ように散水を行うが、その際0.05〜0.5ppmの
濃度となるようにイノシンを溶解した水を散水すること
で根の成長を明らかに促進できた(イノシンを溶解して
いない水を散水したポットと比較して)。詳述すると、
ポットの底が不透水性のビニール等に直接接する場合、
往々にして根が痛み、黒い色を呈することが観察される
が、上記濃度でイノシンを供給することにより明らかに
その被害が軽減され、白い根が多数出てきていて、イノ
シンを投与しなかった場合と顕著な差を認めた。
成り疲れの徴候が見られたので10a(土約100ト
ン)当たり20gのイノシン量となるようにイノシンを
塩化カリウム溶解液(pH10.5)として大量の水と
共に根元に施用したところ、数日後には新芽が伸びてき
た。一方、肥大期に差し掛かっていた果実は着実に肥大
を始めた。被検種のイチゴは色素が強すぎる傾向のある
イチゴであるにも拘わらず、色素が追いつかないという
事態には至らなかった。
葉の展開は充分であり、6月初めまで収穫が出来た。ま
た、7月末までこの親株からランナーを取り苗を作る作
業を行っていたが、この時期でもなお健全な葉を維持
し、元気よいランナーが走っていた。
0a当たり20gのイノシン量となるようにイノシンを
溶解した水溶液を根元に投与した。3日後にはマルチン
グの下をめくると白い根が多数表面にでてくるのが見え
た(イノシン非投与区では、マルチングをめくっても白
い根は殆ど見えなかった)。その後は、新芽が目に見え
て伸び始め、花芽も付き、かつ着果していた果実が肥大
を始めた。
低温で蔓の伸びが悪い区にイノシンを投与したら元気を
取り戻し、花芽が多数付くと共に果実の肥大は申し分な
かった。
している。使用する球根は小型で、本来ならば花を切り
落として次年度4〜5個の花を付ける大型の球根に育て
るのが通例である。
促進の意味で10a当たり20g相当のイノシンを溶解
液で根から投与した。その後順調に成長し、背丈も充分
な大きさに達したが、予期せざることに、花芽が多数付
き、通常2個が平均で4個になった。その花の形も大型
で見事な大きさであった。
た土に小松菜を植えて37日後に収穫して根の重さを乾
燥してから測定した。対照区だけはイノシンを加えなか
った。なお、土は鹿沼土を4メッシュの篩で篩ったの
ち、全ての試験区共アミノ酸系普通肥料である「エスサ
ン肥料」を400g当たり1200mgを加えたもので
ある。根の重さの測定結果も、同様に併せて示す。
なくとも0.05ppm、好ましくは0.5ppm添加
することで小松菜の根の発育は顕著に増加した。
水洗後の写真を示す。この写真からは、小松菜の地上部
の生育の差は必ずしも明らかでないが、地下部の生育は
明らかにイノシン添加区が根の長さ及び本数においては
対照区に対して優位であり、延いては地上部(葉部)の
葉菜としての質もよかった。このようにして、100t
の土に対して僅か5〜20gのイノシンの添加で効果が
あることが分かった。
向上) 秋作のネットメロンは、九州のような暖地で9月初旬に
定植した場合は、収穫期である11月頃、果実の肥大に
耐えきれず、瞬時に立枯れが起こることがしばしばあ
る。この立枯れの被害は恐ろしく、例えば、ハウスが2
〜3日で全滅するのが通例である。このような立枯れの
原因は、温暖時に根が充分伸びきれないまま栽培を続け
ていると、果実の肥大時に予想以上の養分や水の要求が
起こり、根がそれに付いていけずに立枯れが起こるメカ
ニズムであると考えられる。
加の対照区にアールス系ネットメロンの苗をそれぞれ1
0株植えた。イノシン施用区には、栽培初期に、10a
(土約100t相当)当たり、イノシン20gの量を水
酸化カリウムでpH10.5として大量の水と共に根元
に数度施用して生育せしめたところ、メロンの樹は全体
の2〜3割が立ち枯れした。しかし、メロンの葉の一部
に枯れがあっても完全には枯死せず、萎凋した葉になり
つつも果実の生長は続き、全株とも収穫でき、果実10
個を収穫した。
は、メロンの樹の立ち枯れが非常に多く、6株は完全に
枯れ、果実の収穫量は4個と、イノシン施用区と比較し
て半分以下であった。根の生育については、図2から明
らかなように、イノシン施用区(同図(a))のメロンの
方が太さの点において非常に優位であった((b)は無添
加区(対照区))。
高かった。すなわち、イノシン施用区及び無添加区でそ
れぞれ得られた果実のうち、形の良い、おいしそうな3
個をそれぞれ選択して、10人に甘味の評価を行わせ
た。この結果、対照区のメロンと比較して、イノシン施
用区のメロンの方が、10人とも甘味が強く、おいしい
との評価をした。
状態の差異を示す写真を掲げる。(a)は、定植後イノ
シンの2%溶液を10a当たり1L投与した場合の例で
あり、そして(b)は対照例である。
験)) (財)日本肥糧検定協会によりしゅんぎく(根張り中葉
新菊)の栽培試験を行った。
7.5cm(ポリエチレン製))に供試土壌を詰めて共
通肥料と水を加えて畑状態に調整し、しゅんぎくを播種
して発根が認められた後、所定量のイノシン溶液を施用
してその他の施用効果を調査した。
各試験区の施用量を下記第2表に示す。
O5及びK2Oとして、それぞれ、20mgに相当する量
のリン酸一アンモニウム、硫酸アンモニウム及び塩化カ
リウムの水溶液を加えた。栽培条件は加温温室とした。
施用時の生育状態は草丈5cm、葉数2枚であった。
栽培期間は全期間44日とし、イノシン施用後25日と
した。
に示す。
すなわち、図3Aの(a)に育苗(間引き後)の状態
を、同(b)に試験終了時の地上部を、図3Bの(a)
に試験終了時の根張りと茎葉を、そして(b)に根の状
態を示す。
り、しゅんぎくの根及び茎葉(地上部)の生育に施用効
果の認められることが明らかである。
び床土を使用した。
苗専用セルポット」を使用。床土は、セルポット専用の
床土を使用(1ポット当たりの充填量は17g)。試験
区および対照区とも施肥せず。イノシンの施用時期は、
発芽開始3日後。平成8年9月19日播種、9月23日
イノシン施用、そして10月1日収穫調査。
した。
区毎に、キュウリの苗8本について地上部(高さ及び重
量)並びに地下部(重量)の測定を行い、平均値を算出
し、これを同表に記載した。なお、根の重量は、乾燥し
たものを測定した。
シン施用区が対照区(無施用区)を上回った。また、イ
ノシンの施用量としては、20〜30g/10aが最も
効果的と思われる。
に鉢上げの状態を、そして図4Cに根部水洗後の状態の
写真を示す。これらの写真からもイノシン施用の効果が
理解できる。
行った結果は、対照区(無施用区)を100としたと
き、イノシン30g/10a及び50g/10aにおい
て、茎葉の重量は107及び120並びに根の重量は1
20及び120であって、イノシン施用効果が認められ
た。
易に行われ得るところとなり、延いては、葉、花芽、結
実、果実などの生育、肥大も容易に行われうるところと
なった。
である(実施例5)。
である(実施例6)。
す写真である(実施例7)。
す写真である(実施例7)。
写真である(実施例8)。
写真である(実施例8)。
写真である(実施例8)。
成り疲れの徴候が見られたので10a(土約100ト
ン)当たり20gのイノシン量となるようにイノシンを
水酸化カリウム溶解液(pH10.5)として大量の水
と共に根元に施用したところ、数日後には新芽が伸びて
きた。一方、肥大期に差し掛かっていた果実は着実に肥
大を始めた。被検種のイチゴは色素が強すぎる傾向のあ
るイチゴであるにも拘わらず、色素が追いつかないとい
う事態には至らなかった。
Claims (2)
- 【請求項1】 イノシンを有効成分として含有すること
を特徴とする植物根の生育促進剤。 - 【請求項2】 請求項1記載の植物根の生育促進剤を土
壌に又は水耕の場合は水耕水に加えて施用することを特
徴とする植物根の生育促進方法。
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