JPH10182311A - 抗菌性吸水剤および抗菌性吸収性物品 - Google Patents

抗菌性吸水剤および抗菌性吸収性物品

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JPH10182311A
JPH10182311A JP9316060A JP31606097A JPH10182311A JP H10182311 A JPH10182311 A JP H10182311A JP 9316060 A JP9316060 A JP 9316060A JP 31606097 A JP31606097 A JP 31606097A JP H10182311 A JPH10182311 A JP H10182311A
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正久 藤田
Masanori Koike
政法 小池
Kenjiro Tsubota
健治郎 坪田
Kenji Tanaka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収性能、抗菌性能および粉体流動性に優
れ、特に尿、血液、体液などを吸収する目的で使用され
る吸収性物品に有用な抗菌性吸水剤を得る。 【解決手段】 側鎖に酸基を有する吸水性樹脂中の酸基
が下記一般式で示される第4級アンモニウム塩の形で存
在する樹脂であり、第4級窒素原子の含有量が2×10
-4〜0.8質量%の吸水性樹脂からなる抗菌性吸水剤で
ある。 [X-は該吸水性樹脂のポリマー鎖に共有結合したアニ
オン基;R1、R2、R3、R4は有機基であり、これらの
内の少なくとも1個は炭素数5〜20の脂肪族炭化水素
基である]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術】本発明は、吸収性能、抗菌性能お
よび粉体流動性に優れ、特に尿、血液、体液などを吸収
する吸収性物品に有用な抗菌性吸水剤およびこれを用い
た吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】吸水性樹脂は、その吸収性能、保水能、
ゲル化能を利用して、紙おむつ、失禁パッド、生理用ナ
プキン、母乳用パッド等の吸収性物品や、ペット用シー
ト、ペット用床砂、排泄物処理剤、廃血液ゲル化剤、ド
リップ吸収剤、鮮度保持剤などの各種用途で使用されて
いる。しかしながら、従来の吸水性樹脂は尿、血液、体
液などを吸収・保水する能力に優れるものの、抗菌機能
は有していない。
【0003】したがって、従来の吸水性樹脂が尿、血
液、体液などの液体を吸収した場合、被吸収液に含まれ
る有機物が菌類や微生物などによって分解され、この分
解生成物が悪臭発生や皮膚刺激、かぶれ等の原因となる
という問題がある。更に空気中のバクテリア等によって
も吸水ゲルが腐敗しやすく、腐敗によって悪臭を発散す
ることがある。
【0004】以上のことから、衛生面および安全性の観
点から、吸水機能と抗菌機能の双方に優れた材料の出現
が望まれてきた。特に、寝たきり老人や病人などに使用
される大人用紙おむつや失禁者用パッドなどの吸収性物
品では、悪臭やかぶれの問題は深刻であり、解決が望ま
れている。さらに使用済みの吸収性物品を廃棄する際
に、病原菌などによる感染を防止する目的からも優れた
抗菌機能を有する吸水性樹脂の出現が望まれている。
【0005】上記に近い効果を発現させる方法として、 吸水性樹脂とゼオライトとの粉体同士の混合物(特開
昭57−25813号公報、特開昭59−179114
号公報、特開昭59−189854号公報)、 活性炭を吸水性樹脂でコーティングした組成物(特開
昭56−31425号公報)、 吸水性樹脂とツバキ科植物から抽出された消臭成分と
から成る組成物(特開昭60−158861号公報)、 特定の殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、グルコン酸ク
ロルヘキシジン)を含有した吸水性樹脂組成物(特公平
4−17058号公報)、 燐酸塩化合物を含有した吸水性樹脂組成物(特開平5
−179053号公報)、並びに、これらの吸収性物品
への適用が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
〜の組成物は、吸収性物品に適用するには必ずしも
満足のいく悪臭発生防止効果や腐敗抑制効果が得られな
かったり、腐敗などにより吸収性能が低下するという問
題点があった。さらに、抗菌機能または消臭機能を満足
させるために、これらの機能を有する物質を吸水性樹脂
に後処理する必要があるが、この後処理によって得られ
る組成物の粉体流動性が低下するという問題点があっ
た。
【0007】すなわち、吸水性樹脂とゼオライトとの混
合物は、発生した悪臭はある程度吸着して消臭効果を
発揮することができるものの、吸水性樹脂およびゼオラ
イトともに抗菌機能を持たないことから、微生物や菌類
による有機物の分解や腐敗を抑制し、悪臭の発生を防止
することができない。したがって、吸収性物品に適用し
ても有機物の分解による皮膚刺激やかぶれ等を抑えるこ
とはできなかった。また、振動や衝撃によってゼオライ
トが吸水性樹脂と分離することで発塵度が高くなった
り、消臭機能にバラツキが見られた。
【0008】活性炭を吸水性樹脂でコーティングした組
成物や、吸水性樹脂とツバキ科植物から抽出された消
臭成分とから成る組成物の場合、活性炭およびツバキ
科植物から抽出された消臭成分が抗菌機能を示さないこ
とから、上記のゼオライトの場合と同様の結果となり、
微生物や菌類による有機物の腐敗を抑制することができ
なかった。また、のゼオライトのような吸着剤、の
ツバキ科植物から抽出された消臭剤を用いる場合、これ
らを吸水性樹脂に固定化するために、特別な操作を必要
とするという問題点があった。
【0009】塩化ベンザルコニウムやグルコン酸クロル
ヘキシジンを含有した吸水性樹脂組成物、あるいは燐
酸塩化合物を含有した吸水性樹脂組成物は、ある程度
の殺菌作用が認められるものの、殺菌効用の対象となる
菌類や微生物の種類に限定があり、必ずしも満足のでき
るものではなかった。特に塩化ベンザルコニウムは、大
腸菌やカンジダ菌に対する抗菌効果は優れるものの、ア
ンモニア産生菌(Providentica rettgeri)に対する抗
菌作用が比較的低いことから、尿中の有機物が分解する
ことによるアンモニアの発生を完全には抑制できず、残
存するアンモニアによって尿のpHがアルカリ性に変化
し、その結果吸水性能が低下するという問題点がある。
さらに、これらの抗菌剤で処理して得られる抗菌性の吸
水性樹脂組成物は、抗菌剤の処理量によっては粉体流動
性が低下するという問題点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑みて、吸収性能および粉体流動性に優れ、特にア
ンモニア産生菌に対して優れた抗菌作用を発現し、尿を
吸収した状態においても吸収性能の低下がなく、尿、血
液、体液などを吸収する目的で使用される吸収性物品に
有用な抗菌性吸水剤について鋭意検討した結果、本発明
に到達した。
【0011】すなわち本発明は、下記[1]、[2]の
抗菌性吸水剤および[3]の抗菌性吸収性物品である。 [1] 側鎖に酸基を有し、酸基の少なくとも一部が第
4級アンモニウム塩の形で存在し、第4級窒素原子の含
有量が2×10-4〜0.8質量%である吸水性樹脂
(A)からなる抗菌性吸水剤。 [2] 生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶
液)に対する吸収量が30g/g以上の少なくとも1種
の吸水性樹脂からなる吸水剤であり、 吸水性樹脂の少なくとも1種が側鎖に酸基を有し、 吸水剤成分中に第4級窒素原子を2×10-4〜0.8
質量%含有し、 吸水剤にアンモニア産生菌を接種して2時間培養した
後の混和平面培養法で測定した生菌株数が初期の生菌株
数の1万分の1以下の抗菌作用を有し、かつ、 人尿中で10時間保持した後の吸収量が、30g/g
以上であることを特徴とする抗菌性吸水剤。 [3] 上記[1]または[2]項記載の抗菌性吸水剤
が吸収性の繊維状支持体中に保持された層を有する抗菌
性吸収性物品。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌性吸水剤[1]にお
いて、吸水性樹脂(A)は、側鎖に酸基を有し、酸基の
少なくとも一部が第4級アンモニウム塩の形で存在す
る。従って、吸水性樹脂(A)は、吸水性樹脂の有する
吸水性能と、第4級アンモニウム塩の形で存在する酸基
の作用による抗菌性能とが兼備された樹脂である。
【0013】この吸水性樹脂(A)中の第4級アンモニ
ウム塩の形で存在する酸基の抗菌性能の観点で好適な例
としては、下記の一般式(1)で示される基が挙げられ
る。 [式中、X-は吸水性樹脂(A)中のポリマー鎖に共有
結合したアニオン基であり、R1〜R4は有機基であり、
1〜R4から選ばれる2つの基が相互に結合して環を形
成していてもよい。R1〜R4のうち少なくとも1つは炭
素数5〜20の脂肪族炭化水素基である。]
【0014】すなわち、該吸水性樹脂(A)中のポリマ
ー鎖に共有結合した酸基の少なくとも1つが、第4級ア
ンモニウムカチオンの対アニオン基X-となって塩を形
成した構造である。X-としては、ポリマー鎖に共有結
合したアニオン基であればよく、特に制限はないが、カ
ルボキシルアニオン基−COO-、スルホン酸アニオン
基−SO3 -、硫酸アニオン基、燐酸アニオン基等が挙げ
られ、好ましいものはカルボキシルアニオン基及びスル
ホン酸アニオン基、特にカルボキシルアニオン基であ
る。R1、R2、R3、R4は、抗菌性能の観点で、好まし
くは炭化水素基、より好ましくは脂肪族炭化水素基、特
にアルキル基であり、且つ、少なくとも1つは炭素数5
〜20のアルキル基であることが好ましい。
【0015】吸水性樹脂(A)は、第4級窒素原子の含
有量が通常2×10-4〜0.8質量%となる範囲で、酸
基の少なくとも一部が第4級アンモニウム塩の形で存在
している。該吸水性樹脂(A)中の第4級アンモニウム
塩の形の酸基の含有量は、該樹脂の質量に対する第4級
窒素原子の含有量に換算して、通常2×10-4〜0.8
質量%、好ましくは1×10-3〜0.4質量%、特に2
×10-3〜0.1質量%である。
【0016】第4級アンモニウム塩の形ではない残りの
酸基は、通常、未中和の酸基および/またはアルカリ金
属塩、アンモニウム塩もしくはアミン塩に中和された酸
基である。該吸水性樹脂(A)中の酸基としては、カル
ボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基およびこ
れらの塩から選ばれる1種以上が挙げられ、上記のよう
にこれらが未中和のままのもの、アルカリ金属塩などと
して中和されたもの、第4級アンモニウム塩の形で存在
しているものが側鎖として混在している。
【0017】該吸水性樹脂(A)は、カルボキシル基お
よび/またはアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミ
ン塩に中和されたカルボキシル基を側鎖として有するも
の、特にカルボキシル基および/またはアルカリ金属塩
に中和されたカルボキシル基を側鎖として有するものが
好ましい。第4級アンモニウム塩の形で存在する酸基を
除いて残存する中和ないし未中和のカルボキシル基は、
臭気成分の一種であるアンモニアなどを吸着するという
付随効果が得られる。
【0018】(A)の形状は吸水性能の観点から粉末状
が好ましく、例えば、粒状、顆粒状、造粒状、リン片
状、塊状、パール状、微粉末状などのいずれの形状であ
ってもよいが、特に好ましくは、粒状、顆粒状、造粒
状、リン片状および塊状である。粒度あるいは粒度分布
についても特に限定はないが、好ましくは90重量%以
上が1mm以下であり、更に好ましくは90重量%以上
が0.1〜0.9mm、特に95重量%以上が0.1〜
0.9mmである。
【0019】(A)の生理食塩水(0.9%の塩化ナト
リウム水溶液)に対する吸収能は、好ましくは30g/
g以上、更に好ましくは35〜80g/g、特に40〜
75g/gである。なお、吸収能は後述する方法で測定
される。
【0020】吸水性樹脂(A)は、例えば、側鎖に酸基
を有する吸水性樹脂(a)の酸基の少なくとも一部を第
4級アンモニウム塩の形とする操作により得られる。吸
水性樹脂(A)の好適な製法を例示すると、側鎖に酸基
を有する吸水性樹脂(a)と、第4級アンモニウム炭酸
塩(b)とを水の存在下で反応させることにより、吸水
性樹脂(A)が得られる。
【0021】この反応は、(b)を構成する炭酸アニオ
ンと、(a)中の酸基の少なくとも1つとがアニオン交
換する、即ち、(a)のアニオンが、(b)の第4級ア
ンモニウムカチオンの対アニオンとなる反応により進行
し、炭酸アニオンは反応により炭酸ガスとなって気化す
るため、副成物の残存がなく、純度の高い第4級アンモ
ニウム塩基含有吸水性樹脂が得られる利点がある。な
お、上記の反応は必ずしも100%反応させるという意
味ではなく、未反応の(b)がある程度(A)に残存し
ていてもよい。すなわち、第4級アンモニウムカチオン
として塩を形成した状態と第4級アンモニウム炭酸塩の
状態とが共存していても良い。また、(a)の酸基と反
応し得る官能基を2個以上有する架橋剤を共存させて、
(a)と(b)との反応と同時に架橋構造を導入するこ
ともできる。
【0022】吸水性樹脂(A)の製造に使用できる上記
吸水性樹脂(a)としては、側鎖に未中和の酸基および
/またはアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩
に中和された酸基を有するものが好適に使用され、吸水
性樹脂(a)中の酸基の中和度は、好ましくは50〜8
0当量%、特に60〜75当量%である。ここで当量%
の値は、酸基のうちの中和された基の%をいう。側鎖に
酸基を有する吸水性樹脂(a)としては、その構成単位
にカルボキシル基、スルフォン酸基、硫酸基、リン酸基
などの未中和の酸基および/またはこれらがアルカリ金
属塩、アンモニウム塩又はアミン塩として中和された基
を側鎖に有する吸水性樹脂であれば種類および製造方法
は特に限定されない。通常、(a)中の中和されていな
い酸基が、第4級アンモニウム炭酸塩(b)との反応に
あずかる。
【0023】吸水性樹脂(a)の好適な例としては、カ
ルボキシル基および/またはその塩を有する吸水性樹脂
(a1)、スルホン酸基および/またはその塩を有する
吸水性樹脂(a2)、リン酸基および/またはその塩を
有する吸水性樹脂(a3)などが挙げられ、これらの具
体例は以下の通りである。カルボキシル基および/また
はその塩を有する吸水性樹脂(a1)の例としては、 ・特公昭53−46199号、特公昭53−46200
号各公報などに記載のデンプン−アクリル酸(塩)共重
合体の架橋物、 ・特公昭54−30710号、特開昭56−26909
号各公報などに記載の逆相懸濁重合法による架橋あるい
は自己架橋されたポリアクリル酸塩、 ・特開昭55−133413号公報などに記載の水溶液
重合(断熱重合、加圧重合、薄膜重合、噴霧重合など)
により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)、 ・特開昭52−14689号、特開昭52−27455
号各公報などに記載のビニルエステルと不飽和カルボン
酸またはその誘導体との共重合体ケン化物、 ・イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物、デン
プン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物、架橋カ
ルボキシメチルセルロース誘導体、アクリル酸(塩)と
アクリルアミドとの共重合体架橋物、アクリルアミド重
合体架橋物あるいはその部分加水分解物などが挙げられ
る。上記吸水性樹脂(a1)は2種以上併用してもよ
い。また、上記吸水性樹脂(a1)の粉末の表面近傍を
更に表面架橋せしめた表面架橋型吸水性樹脂も本発明に
好適に使用できる。表面架橋の方法(表面架橋剤の種類
と添加量、架橋させる条件など)は公知の方法が適用で
きる。
【0024】スルフォン酸基および/またはその塩を有
する吸水性樹脂(a2)の具体例としては、特開昭58
−2312号、特開昭61−36309号各公報などに
記載のスルホン酸基含有モノマーを共重合した架橋ポリ
アクリル酸(塩)などが挙げられる。このような吸水性
樹脂中のカルボキシル基の一部をスルフォン酸基に置換
した吸水性樹脂に使用されるスルフォン酸基を有する単
量体の例としては、脂肪族または芳香族ビニルスフォン
酸[ビニルベンゼンスルフォン酸、アリルスルフォン
酸、ビニルトルエンスルフォン酸、スチレンスルフォン
酸など]、(メタ)アクリルスルフォン酸[(メタ)ア
クリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロ
ピルなど]、(メタ)アクリルアミドスルフォン酸[2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸]
などが挙げられる。
【0025】リン酸基および/またはその塩を有する吸
水性樹脂(a3)の具体例としては、前述の架橋ポリア
クリル酸(塩)中のカルボキシル基の一部をリン酸基を
有する単量体に置換した吸水性樹脂が挙げられる。リン
酸基を有する単量体の具体例としては、メタクリロイド
キシエチルフォスフェート、アクリロイドキシエチルフ
ォスフェートなどが挙げられる。
【0026】(a1)〜(a3)のうち好ましいもの
は、カルボキシル基および/またはその塩を有する吸水
性樹脂(a1)であり、更に好ましいものは、比較的大
きな吸収能力を発揮し、第4級アンモニウム塩を形成さ
せる際に反応性が優れるという点で、アクリル酸および
アクリル酸塩を主構成単位とする水不溶性の吸水性樹脂
である。なお、該吸水性樹脂(a)中の酸基を中和した
塩とは、通常ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金
属塩であるが、用途によってはアンモニウム塩、アミン
塩などの有機塩であってもよい。
【0027】カルボキシル基および/またはその塩を有
する吸水性樹脂(a1)において、カルボキシル基の中
和度は、前記のとおり、好ましくは50〜80%、特に
60〜75%である。吸水性樹脂(a1)を用いれば、
誘導される吸水性樹脂(A)がカルボキシル基を有する
ことにより、前述のとおり、カルボキシル基が第4級ア
ンモニウム塩の形で存在する部分を除いて残存するカル
ボキシル基が臭気成分の一種であるアンモニアなどを吸
着するという付随効果が得られる。カルボキシル基の中
和度が50%未満の場合、吸収性能が低下してくると共
に、得られる抗菌性吸水剤のpHが酸性となり、皮膚に
対する安全性の面でも好ましくない。カルボキシル基中
和度が80%を越える場合、アンモニアなどを吸着する
効果が乏しくなるとともに、得られる抗菌性吸水剤のp
Hがアルカリ性となり、この場合も皮膚に対する安全性
の面で好ましくない。
【0028】吸水性樹脂(A)の製造に使用できる上記
第4級アンモニウム炭酸塩(b)の例としては下記一般
式(2)または(3)で示される化合物が挙げられる。
【0029】 [各式中、R1〜R4は有機基、R5は低級アルキル基で
あり、R1〜R4から選ばれる2つの基が相互に結合して
環を形成していてもよい。]
【0030】(b)が一般式(2)の化合物の場合は、
(a)との反応により炭酸ガスと共に低級アルコール類
も生成するが、水に溶解するか気化するため、やはり副
成物の残存がなく純度の高い樹脂(A)が得られる。一
般式(2)または(3)で示される化合物は例えば、炭
素数5〜20の脂肪族アルキル基を少なくとも1個有す
る3級アミン(b1)と炭酸ジエステル(b2)の反応
により合成することができる。
【0031】(b1)としてはオクチルジメチルアミ
ン、デシルジメチルアミン、ラウリルジメチルアミン、
ミリセチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、ス
テアリルジメチルアミン、ジヘキシルメチルアミン、ジ
オクチルメチルアミン、ジデシルメチルアミン、ジドデ
シルメチルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエ
チルイミダゾリンなどが挙げられる。好ましいものは炭
素数5〜20の脂肪族アルキル基を2個有する3級アミ
ンであり、更に好ましいものはジオクチルメチルアミン
およびジデシルメチルアミンである。(b2)としては
炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸
ジプロピルなどが挙げられるが、アルキル基の炭素数の
少ない炭酸ジメチルが反応性に優れるので好ましい。
【0032】第4級アンモニウム炭酸塩(b)の製造時
における3級アミン(b1)と炭酸ジエステル(b2)
とのモル比は、通常1:(0.3〜4.0)、好ましくは
1:(0.5〜2.5)であり、反応温度は通常30〜
150℃、好ましくは50〜120℃である。必要によ
りメタノールやエタノールのような溶媒、あるいはこれ
らと水との混合溶媒が使用できる。
【0033】該吸水性樹脂(A)を製造する際の吸水性
樹脂(a)と第4級アンモニウム炭酸塩(b)との比率
は、(A)の中の第4級窒素原子の含有量が、前記範囲
内となるような比率とすればよく、目的とする吸収性能
と抗菌性能とのバランスによって種々変化させることが
できる。通常(a):(b)の比率は、(a)中の酸基
と(b)の当量比で1:(3×10-5〜0.3)、好ま
しくは1:(1×10-4〜0.1)、さらに好ましくは
1:(3×10-4〜8×10-2)である。(b)の当量
比が3×10-5未満では、得られる組成物の抗菌効果が
乏しくなる。一方(b)の当量比が0.3で十分な抗菌
効果を発揮するため、これ以上比率を高めても抗菌効果
は殆ど増加しないことから不必要である。
【0034】酸基を有する吸水性樹脂(a)と第4級ア
ンモニウム炭酸塩化合物(b)とを水の存在下で反応さ
せて該吸水性樹脂(A)を得る更に具体的な方法として
は、例えば、下記(1)〜(4)の方法が挙げられ、
(1)および(4)の方法が好ましい。 (1)吸水性樹脂(a)の粉末に第4級アンモニウム炭
酸塩(b)の水性液を混合した後、反応させて、吸水性
樹脂の粉末の表面近傍に第4級アンモニウム塩を形成さ
せる方法。 (2)(a)の製造工程で得られる含水ゲル状重合体に
(b)を混練した後、加熱して反応および乾燥させて粉
砕する方法。 (3)(a)に水を吸収させて吸水ゲルを作成した後、
(b)をで混練し、加熱して反応および乾燥させて粉砕
する方法。 (4)(a)に(b)の水溶液を吸収させて含水ゲルを
作成し、混練した後、加熱して反応および乾燥させて粉
砕する方法が挙げられる。
【0035】(1)〜(4)の方法において用いる水の
量は、通常(a)100質量部に対して1〜500質量
部、好ましくは5〜450質量部である。水の量が1質
量部未満では(a)と(b)との反応が十分に進行せ
ず、一方、500質量部を越えると、(a)と(b)と
の反応には支障はないが、その後に多量の水を蒸発させ
ねばならず経済的でない。
【0036】上記(1)〜(4)の方法において、
(a)と(b)とを混合する工業的な装置については特
に限定はなく、従来から公知の装置が使用できる。例え
ば(a)の粉末と(b)の水溶液を混合する工業的な装
置としては、万能混合機、タービュライザー、ナウター
型混合機、リボンブレンダー、コニカルブレンダー、V
型混合機、スクリュー式混合機、流動層式混合機、スプ
レー混合機、モルタルモキサーなどが挙げられる。
(a)の含水ゲルまたは吸水ゲルに(b)を混練する工
業的な装置としては、例えば、ニーダー、一軸あるいは
双軸の押し出し混合機、万能混合機、ギアコンパウンダ
ー、ミンチ機、ナウター型混合機およびスクリュー型混
合機などが挙げられる。
【0037】(a)と(b)とを反応させる温度につい
ては特に限定はないが、下記との方法が例示でき
る。 上記(1)の方法のように、反応させる際の(a)が
粉末状の場合は、好ましくは1〜150℃、特に10〜
130℃である。 上記(2)〜(4)の方法のように、反応させる際の
(a)が含水ゲル状であり反応と共に乾燥が必要な場合
は、好ましくは40〜150℃、特に40〜130℃で
ある。必要により減圧下で反応および乾燥を行わせるこ
ともできる。温度が0℃以下では水の凝固が起こり好ま
しくなく、一方、150℃を越えると(b)の種類によ
っては分解を生じることがあり、好ましくない。
【0038】本発明の吸水剤[1]は、該吸水性樹脂
(A)と共に、第4級アンモニウム基を有しない通常の
吸水性樹脂(A’)を含有するものであってもよく、但
しこの場合は、均一な抗菌性能が発揮されるよう両者は
均一に混合されていることが好ましい。またこの場合
は、抗菌性能の観点から、吸水性樹脂(A)、(A’)
の合計質量中の(A)が有する第4級窒素原子の含有量
を2×10-4質量%以上とする必要があり、この量は、
好ましくは1×10-3質量%以上、特に2×10-3質量
%以上である。
【0039】吸水性樹脂(A’)の生理食塩水に対する
吸収能の好ましい範囲は、吸水性樹脂(A)と同様であ
り、樹脂の種類についても特に限定はない。この吸水性
樹脂(A’)の代表例が、前記に例示した側鎖に酸基を
有する吸水性樹脂(a)であり、(a)中の好ましいも
のや、中和度も前記と同様である。又、吸水性樹脂
(A’)の形状や粒度、粒度分布の範囲は、吸水性樹脂
(A)と同様である。
【0040】本発明の吸水剤[2]は、生理食塩水
(0.9%塩化ナトリウム水溶液)に対する吸収量が3
0g/g以上の少なくとも1種の吸水性樹脂からなり、
この吸水性樹脂の少なくとも1種は側鎖に酸基を有す
る。また、吸水剤[2]の成分中に第4級窒素原子を2
×10-4〜0.8質量%含有することを特徴とする。
【0041】本発明の吸水剤[2]は、塩化ベンザルコ
ニウムを使用する公知の抗菌性吸水性樹脂組成物(例え
ば特公平4−17058号公報に記載の組成物)と比較
して、大腸菌に対する抗菌作用だけでなく、アンモニア
産生菌に対する抗菌作用にも優れている。即ち、アンモ
ニア産生菌を接種して2時間培養した後に混和平面培養
法で測定した生菌株数は、初期の生菌株数の1万分の1
以下に低減され、アンモニアの発生を防止できるという
優れた作用を有する。なお、抗菌効果およびアンモニア
発生量の評価は後述する方法で測定される。
【0042】本発明の吸水剤[2]の、人尿中で10時
間保持した後の吸収量は、通常30g/g以上、好まし
くは35〜80g/g、特に40〜75g/gである。
なお人尿中で10時間保持した後の吸収量は後述する方
法で測定される。
【0043】上記ような構成と吸水性能および抗菌性能
における特徴を有する本発明の吸水剤[2]の実施態様
例としては、以下のものが例示される。 (1)前記吸水性樹脂(A)[生理食塩水に対する吸収
量が30g/g以上のものを選択]からなる吸水剤。 (2)(A)と前記吸水性樹脂(A’)の均一な混合物
[第4級窒素原子が2×10-4〜0.8質量%となる混
合比。(A)および(A’)は生理食塩水に対する吸収
量が30g/g以上のものを選択] (3)(A)[生理食塩水に対する吸収量が30g/g
以上のものを選択]と前記第4級アンモニウム炭酸塩
(b)[前記R1、R2、R3、R4の有機基を有するも
の]との均一な混合物。 (4)(A)と(A’)と(b)との均一な混合物[第
4級窒素原子が2×10-4〜0.8質量%となる混合
比。(A)、(A’)、(b)は(2)、(3)項と同
様のもの]
【0044】本発明の吸水剤[1]、[2]は、その吸
水性能、抗菌性能などの作用効果を損なわない範囲で、
必要により吸水性樹脂と共に、任意の工程で増量剤、添
加剤として有機質粉体(例えばパルプ粉末、セルロース
誘導体、天然多糖類など)、無機物質(二酸化ケイ素、
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニ
ウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムなど)、
酸化防止剤、還元剤、キレート化剤、界面活性剤、消臭
剤、着色剤、香料などを配合したものとすることができ
る。これらの量は、吸水性樹脂の質量に対して通常10
質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
【0045】本発明の吸水剤[1]および/または
[2]を各種の吸収性物品に適用することにより、吸水
効果と抗菌効果の双方に優れた吸収性物品が得られる。
吸収性物品に吸水剤[1]および/または[2]を適用
する方法としては、吸水剤[1]および/または[2]
が吸水性の支持体中に保持された層を形成しておればよ
く、例えば、層状に配置されたパルプ、熱融着性繊維あ
るいはこれらの混合物などの繊維状物の層の間に散粒す
る方法、パルプおよび/または熱融着性繊維などの繊維
状物と混合する方法、二枚以上の吸水紙や不織布でサン
ドイッチする方法などが挙げられる。
【0046】本発明の吸水剤[1]および/または
[2]は粉体流動性が良好で、従来の吸水性樹脂と同様
のハンドリング適性を有していることから、従来から公
知の設備で吸収性物品を製造することができる。吸収性
物品への抗菌性吸水剤の添加量は、吸収性物品の種類や
サイズ、目標とする吸収性能に応じて種々変化させるこ
とができる。例えば、吸収性物品が紙おむつ、失禁パッ
ド、手術用アンダーパッド、産褥用マットなどの場合、
通常3〜20g/枚の添加量であり、吸収性物品が生理
用ナプキン、パンティーライナー、母乳パッド、創傷面
保護用ドレッシング材などの場合、通常0.2〜3g/
個である。二枚以上の吸水紙や不織布でサンドイッチし
たシート状物に適用する場合、通常10〜80g/m2
程度が適当である。
【0047】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに説明するが、本発明はこれらに限定されない。抗菌
性吸水剤そのものの吸収量、抗菌効果および抗菌性吸水
剤を使用した吸収性物品の効果確認テストは下記の方法
により測定した。以下特に定めない限り、%は質量%を
示す。
【0048】(1)吸収量:250メッシュのナイロン
ネット製ティーバッグに試料1.0gを入れ、これを過
剰の生理食塩水(0.90%食塩水)中に1時間浸して
吸収させた後、引き上げて垂直に吊すことによって15
分間水切りを行い、増加重量を測定する。この増加重量
を吸収量とした。
【0049】(2)粉体流動性:粉体流動性の評価は安
息角を測定した。安息角の測定はパウダーテスター(ホ
ソカワミクロン株式会社製)を使用し、試料を篩い(目
開き710μm)中に適当量を静かに入れた後、振動・
タッピングをしながら篩いの下にセットした付属のガラ
ス製ロートの先端から付属の円盤の上に流出させる。堆
積した粉体の稜線が一定の角度になったら試料の流出を
止めて、堆積した粉体の稜線に分度器の直線部が平行に
なるように分度器を動かし安息角を求めた。安息角が大
きいほど粉体流動性に劣ることを表す。
【0050】(3)抗菌性吸水剤の抗菌性テスト:30
0ccフラスコに感受性ブイヨン培地3.45gと水1
50mlを入れ溶解した後、オートクレーブ滅菌する。
この培地に試験試料1.0gを添加して攪拌しながら膨
潤させた後、初期の菌株数が1×106個/mlとなる
ように大腸菌(菌番号:JCM1649)を接種した。
このサンプルを37℃で振とう培養して、2時間後およ
び10時間後にサンプリングし、必要に応じて滅菌生食
水にて段階希釈を行う。このサンプリング品または希釈
品を滅菌シャーレに1mlずつ入れた後、寒天培地を2
0ml注ぎ、シャーレ上に均一に分散固化させ、37℃
で2日間培養する。培養後にコロニーカウントし、希釈
倍率をかけて生菌株数とする。なお、生菌株数測定は、
混和平面培養法にて行う。一方、ブランクとして試料を
添加せず、大腸菌のみを接種した場合の生菌株数は、2
時間後で5×108個/ml、10時間後で6×109
/mlであった。同様にしてアンモニア産生菌について
も抗菌性をテストした。この場合、初期の菌株数が1×
107個/mlとなるようにアンモニア産生菌(Provide
ntica rettgeri;菌番号:IFO13501)を接種し
た。一方、ブランクとして試料を添加せず、アンモニア
産生菌のみを接種した場合の生菌株数は、2時間後で8
×107個/ml、10時間後で4×109個/mlであ
った。
【0051】(4)人尿中で10時間保持した後の吸収
量:300mlのビーカーに新鮮人尿(5名の人尿を混
ぜ合わせた尿)150mlと前述のアンモニア産生菌を
添加して混合し、液温を37℃に調整する。250メッ
シュのナイロンネット製ティーバッグに試料1.0gを
入れ、これを上記の液中に10時間浸して吸収、保存し
た後、引き上げて垂直に吊すことによって15分間水切
りを行い、増加重量を測定する。この増加重量を人尿中
で10時間保持した後の吸収量とした。
【0052】(5)抗菌性吸水剤を適用した吸収性物品
の効果確認テスト: ・吸収性物品の作成:14cm×35cmの長方形に裁
断したポリエチレンシートに、同じ大きさのティシュペ
ーパーと坪量100g/m2のフラッフパルプ層を重ね
る。次いで試料2.94gをフラッフパルプ上に均一に
散布し、更に坪量100g/m2のフラッフパルプ層と
ティッシュペーパーおよび不織布をこの順で重ねる。こ
の積層物を5kg/cm2の圧力で90秒間プレスする
ことによりモデル紙おむつを作成する。 ・悪臭防止効果テスト:抗菌性吸水剤を適用したモデル
紙おむつの中央部に新鮮尿80mlを加えて吸収させ、
5リットルの広口瓶に入れて密閉する。これを40℃に
設定した恒温槽内で10時間保管する。その後、無臭室
内で広口瓶の蓋を開けて臭いを嗅ぎ、次の6段階で臭気
強度を評価する。評価はT&Tオルファクトメーター法
にて臭気判定能力確認済みの10人のパネラーで実施
し、平均値を求める。
【0053】 0:無臭 1:やっと感知できる臭い(感知イキ値濃度) 2:何の臭いかわかる弱い臭い(認知イキ値濃度) 3:楽に感知できる臭い 4:強い臭い 5:強烈な臭い
【0054】(6)吸収性物品の性能テスト: ・吸収量:モデル紙おむつを過剰の生理食塩水中に30
分間浸漬し、その後金網上に乗せ、10Kgの荷重をかけ
て20分間水切りし、増加重量を測定して吸収量とし
た。 ・リウェット量:人工尿50mlをモデル紙おむつの中
央部に注ぐ。10分後、紙おむつの中央部に10cm×
10cmの濾紙10枚を重ねて置き、濾紙の上から3.
5kgの荷重を均等に乗せる。3分後に濾紙の増加重量
を測定し、この値をリウェット量とする。リウェット量
が少ないほどモデル紙おむつのドライ感は良好である。 ・人尿中で10時間保持した後の吸収量:モデル紙おむ
つをアンモニア産生菌を添加した37℃の新鮮人尿(5
名の人尿を混ぜ合わせた尿)中に10時間浸して吸収、
保存した後、金網上に乗せ、10Kgの荷重をかけて2
0分間水切りし、増加重量を測定して人尿中で10時間
保持した後の吸収量とした。
【0055】実施例1 容量1リットルのガラス製反応容器にアクリル酸ナトリ
ウム76.6g、アクリル酸23g、N,N'-メチレン
ビスアクリルアミド0.4gおよび脱イオン水295g
を仕込み、攪拌・混合しながら内容物の温度を5℃に保
った。内容物に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以
下とした後、過酸化水素の1%水溶液1g、アスコルビ
ン酸の0.2%水溶液1.2gおよび2,2'-アゾビス
アミジノプロパンジハイドロクロライドの2%水溶液
2.4gを添加して重合を開始させ、約5時間重合する
ことにより吸水性樹脂濃度25%の含水ゲル状重合体
(1)を得た。この含水ゲル状重合体(1)400部を
ニーダーで混練しながらジデシルジメチルアンモニウム
炭酸塩の30%メタノール/水混合溶液(メタノール/
水比=50/50質量%)3部を添加して均一に混練し
た。この混練物を90℃で減圧乾燥し、ピンミルで粉砕
した後、850〜150ミクロンの粒度が約95%とな
るように粒度調整して抗菌性吸水剤を得た。この抗菌
性吸水剤の性能測定結果を表1および表2に示す。
【0056】実施例2 実施例1において、ジデシルジメチルアンモニウム炭酸
塩の30%メタノール/水混合溶液に代えて、ジドデシ
ルジメチルアンモニウム炭酸塩の30%メタノール/水
混合溶液を同量使用する以外は実施例1と同様にして抗
菌性吸水剤を得た。この抗菌性吸水剤の性能測定結
果を表1および表2に示す。
【0057】実施例3 市販の吸水性樹脂(「サンウェットIM−1000」三
洋化成工業製;デンプン−アクリル酸ナトリウム塩共重
合体の架橋物;中和度70モル%)100部に水400
部を吸収させて含水ゲル状物を得た。この含水ゲル状物
に実施例1と同じジデシルジメチルアンモニウム炭酸塩
(30%メタノール溶液)3部を添加してニーダーで均
一に混練後、実施例1と同様にして乾燥、粉砕、粒度調
整して抗菌性吸水剤を得た。この抗菌性吸水剤の性
能測定結果を表1および表2に示す。
【0058】実施例4 市販の吸水性樹脂(「サンウェットIM−5800」三
洋化成工業製;架橋ポリアクリル酸の72モル%中和ナ
トリウム塩を表面架橋した表面架橋型吸水性樹脂)10
0部を家庭用ミキサーで高速攪拌しながら、ジデシルジ
メチルアンモニウム炭酸塩の20%メタノール/水混合
溶液(メタノール/水比=50/50質量%)4.5部
を少しづつ添加して均一に混合し、抗菌性吸水剤を得
た。この時の混合温度は24℃であった。この抗菌性吸
水剤の性能測定結果を表1および表2に示す。
【0059】実施例5 実施例4において、ジデシルジメチルアンモニウム炭酸
塩の20%メタノール/水混合溶液に代えて、オクチル
トリメチルアンモニウム炭酸塩の20%メタノール/水
混合溶液を同量使用する以外は実施例4と同様にして抗
菌性吸水剤を得た。この抗菌性吸水剤の性能測定結
果を表1および表2に示す。
【0060】実施例6および7 実施例4において、ジデシルジメチルアンモニウム炭酸
塩(20%メタノール/水混合溶液)の添加量を0.4
5部(実施例6)、あるいは9部(実施例7)に代える
以外は実施例4と同様にして抗菌性吸水剤およびを
得た。これらの抗菌性吸水剤の性能測定結果を表1およ
び表2に示す。
【0061】試験例 実施例1及び実施例3〜7で得られた抗菌性吸水剤を、
各々の坪量が100g/m2である2層のパルプ間に6
0g/m2の割合で均一に散布してサンドイッチし、5k
g/cm2の圧力でプレスした。この下層にポリエチレ
ンフィルムを、上層にポリプロピレン不織布を重ね合わ
せた後、14cm(幅)×35cm(長さ)のサイズに
切断することにより吸収性物品を作成した。実施例1の
抗菌性吸水剤および実施例3〜7の抗菌性吸水剤〜
を使用して得られた吸収性物品(a)、(b)、
(c)、(d)、(e)および(f)の性能測定結果を
表3に示す。
【0062】比較例1 実施例1で得た含水ゲル状重合体(1)を90℃で減圧
乾燥し、ピンミルで粉砕した後、850〜150ミクロ
ンの粒度が約95%となるように粒度調整して比較の吸
水性樹脂粉粒体<1>を得た。<1>の性能測定結果を
表1および表2に示す。
【0063】比較例2および3 「サンウェットIM−1000」および「サンウェット
IM−5800」の性能測定結果を比較例2および比較
例3として表1および表2に示す。
【0064】比較例4 実施例4において、市販の吸水性樹脂(三洋化成工業
製、「サンウェットIM−5800」)100部を家庭
用ミキサーで高速攪拌しながら、塩化ベンザルコニウム
の10%水溶液9部を噴霧添加して均一に混合し乾燥さ
せて、比較の抗菌性吸水剤<2>を得た。可能な限り均
一な分散状態を得ようとしたが、多少の塊状物の生成が
認められた。<2>の性能測定結果を表1および表2に
示す。
【0065】比較例5 実施例4において、市販の吸水性樹脂(三洋化成工業
製、「サンウェットIM−5800」)100部を家庭
用ミキサーで高速攪拌しながら、セチルトリメチルアン
モニウムクロライドの20%メタノール/水混合溶液
(メタノール/水比=50/50質量%)4.5部を添
加して均一に混合し、比較の抗菌性吸水剤<3>を得
た。<3>の性能測定結果を表1および表2に示す。
【0066】比較試験例 試験例に記載の内容と同様にして、比較例1〜5の吸水
性樹脂粉粒体または抗菌性吸水剤を使用して吸収性物品
(g)、(h)、(i)、(j)および(k)を得た。
これらの比較の吸収性物品の性能測定結果を表3に示
す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】本発明の抗菌性吸水剤は次のような特徴
および効果を有する。 優れた吸収機能と、優れた抗菌機能とを同時に発現す
る。特に、アンモニア産生菌に対する抗菌作用に優れる
ことから、アンモニア臭の発生が防止できる。 吸水剤に吸収された尿、血液、体液などに含まれる有
機物が菌類、微生物、バクテリアなどの作用によって腐
敗するのを抑制することができる。また、腐敗が抑制さ
れる結果、悪臭の発生が少ない。 人尿中においても長時間にわたって安定した吸収性能
を発現する。 従来の吸水性樹脂と吸着成分や消臭成分を単に混合し
たものでは、振動や衝撃によって両者の分離を生じた
り、吸収性物品に適用した際に吸収性物品内で吸水性樹
脂と吸着成分あるいは消臭成分とが遍在を起こす心配が
あったが、本発明の吸水剤は抗菌剤成分が吸水性樹脂に
固定されているため、粉体特性(粉体流動性、発塵性な
ど)の悪化がなく、分離や偏在の心配が無い。 紙おむつ、生理用品などの吸収性物品に適用すること
により、吸収性物品に抗菌機能を付与することができて
悪臭の発生を抑制し、皮膚刺激やかぶれの発生が少なく
なると共に、吸収性物品の吸収性能も長時間にわたって
良好である。
【0071】上記効果を奏することから、本発明の抗菌
性吸水剤は、大人および子供用の紙おむつ、失禁者用パ
ッド、生理用ナプキン、パンティーライナー、母乳パッ
ド、産褥用マット、医療用アンダーパッドなど、各種吸
収性物品に特に有用である。さらに、ペット尿や廃血液
など、腐敗により悪臭を発生する各種体液のゲル化剤や
排泄物処理剤に有用である。また、ペット尿吸収シー
ト、ドリップ吸収材などのシート状あるいはテープ状の
吸収性物品を製造する際にも有用である。その他、吸水
性樹脂に水を吸水させたゲルを利用する用途(例えば、
保冷材、人工雪、ウオーターベッドなど)やヘドロ固化
剤、結露防止壁材など、腐敗により悪臭の発生を伴う用
途にも有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 健治 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖に酸基を有し、酸基の少なくとも一
    部が第4級アンモニウム塩の形で存在し、第4級窒素原
    子の含有量が2×10-4〜0.8質量%である吸水性樹
    脂(A)からなる抗菌性吸水剤。
  2. 【請求項2】 吸水性樹脂(A)中の第4級アンモニウ
    ム塩の形で存在する酸基が、下記一般式(1)で示され
    る基である請求項1記載の抗菌性吸水剤。 [式中、X-は吸水性樹脂(A)中のポリマー鎖に共有
    結合したアニオン基であり、R1〜R4は有機基であり、
    1〜R4から選ばれる2つの基が相互に結合して環を形
    成していてもよい。R1〜R4のうち少なくとも1つは炭
    素数5〜20の脂肪族炭化水素基である。]
  3. 【請求項3】 吸水性樹脂(A)が、第4級アンモニウ
    ム塩の形で存在する酸基と、未中和の酸基および/また
    はアルカリ金属塩に中和された酸基とを側鎖に有する吸
    水性樹脂である請求項1または2記載の抗菌性吸水剤。
  4. 【請求項4】 生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム
    水溶液)に対する吸収量が30g/g以上の少なくとも
    1種の吸水性樹脂からなる吸水剤であり、 吸水性樹脂の少なくとも1種が側鎖に酸基を有し、 吸水剤成分中に第4級窒素原子を2×10-4〜0.8
    質量%含有し、 吸水剤にアンモニア産生菌を接種して2時間培養した
    後の混和平面培養法で測定した生菌株数が初期の生菌株
    数の1万分の1以下の抗菌作用を有し、かつ、 人尿中で10時間保持した後の吸収量が、30g/g
    以上であることを特徴とする抗菌性吸水剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の抗菌性吸
    水剤が、吸収性の繊維状支持体中に保持された層を有す
    る抗菌性吸収性物品。
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