JPH10181564A - 車両のトラクション制御装置 - Google Patents

車両のトラクション制御装置

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JPH10181564A
JPH10181564A JP35044496A JP35044496A JPH10181564A JP H10181564 A JPH10181564 A JP H10181564A JP 35044496 A JP35044496 A JP 35044496A JP 35044496 A JP35044496 A JP 35044496A JP H10181564 A JPH10181564 A JP H10181564A
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JP
Japan
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wheel
vehicle speed
reference vehicle
detecting
speed
Prior art date
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Application number
JP35044496A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Matsuno
浩二 松野
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】4輪駆動車の場合のグリップ、スリップ等の際
でも、継続して、誤差が累積することなく正確に車両速
度を算出して、精度良く制御できる。 【解決手段】トルコンでのトルク比演算部31,駆動輪
トルク演算部32で車両の走行状態を基に車両の各駆動
輪に伝達する駆動輪トルクを演算し、車速検出用制動輪
選択部34で基準車速を検出する車輪を選択し、目標制
動力設定部35で選択車輪に伝達している駆動輪トルク
に応じ、上記選択車輪を自由転動状態にする目標制動力
を算出設定し、制動信号出力部36で目標制動力を選択
車輪に付加するようにブレーキ駆動部18へ信号出力す
る。グリップ判定および基準車速設定部37で、選択車
輪のグリップを判定し、グリップ状態での車輪速度から
車両の基準車速を設定して基準車速を算出設定する。ト
ラクションコントロール用制御部38は、この基準車速
と車両の走行状態とから駆動力の制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の走行状態と
制御の基準とする正確な基準車速とを求めて駆動力の制
御を行う車両のトラクション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両にはトラクション制御装置が
多く採用されてきており、このトラクション制御装置で
は一般に走行状態と車両速度とを求めて駆動力の制御を
行うため、その制御の基準となる車両速度(基準車速)
を正確に求めることが必要である。
【0003】車両速度を正確に算出する方法としては、
例えば特開昭63−258255号公報で、ブレーキ作
動時に車両の前後方向加速度を検出し、この検出値の絶
対値を積分して車両速度を推定するものが示されてい
る。
【0004】しかしこの技術では、ブレーキ作動時に車
輪ロックの有無を判断する車両速度を一時的に設定する
ものであるため、車両速度を継続して算出することがで
きず、また、4輪駆動車の場合のグリップ、スリップ等
の際の車両速度を正確に算出できない等の問題があっ
た。
【0005】このため、本出願人は特開平6−2220
66号公報で、4輪駆動走行時に4輪の車輪速度におけ
る最低車輪速度の変化量、最高車輪速度の変化量及び前
後加速度の積分値を求め、最低車輪速度の変化量と前後
加速度の積分値の差と大小関係とにより4輪のグリップ
またはスリップを判断し、最高車輪速度の変化量と前後
加速度の積分値の差と大小関係とにより4輪ロックを判
断して、4輪グリップ時は最低車輪速度の変化量を増減
して車両速度を算出し、4輪スリップ時と4輪ロック時
はいずれも前後加速度の積分値を増減して車両速度を算
出する技術を提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、速度変
化を時々刻々積分していくので演算上、あるいはセンサ
値のオフセット等による誤差が累積してしまう可能性が
あり、上記技術においても車輪の回転速度と比較して補
正する方法も示されているが、トラクション制御中に確
実に行える保証がなかった。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、4輪駆動車の場合のグリップ、スリップ等の際であ
っても、継続して、誤差が累積することなく正確に車両
速度を算出することができ、精度良く制御可能な車両の
トラクション制御装置を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の本発明による車両のトラクション制御装
置は、車両の走行状態と制御の基準とする基準車速とを
求めて駆動力の制御を行う車両のトラクション制御装置
において、車両の走行状態を基に車両の各駆動輪に伝達
する駆動輪トルクを演算する駆動輪トルク演算手段と、
基準車速を検出する車輪を選択する基準車速検出用車輪
選択手段と、上記基準車速検出用車輪選択手段で選択し
た車輪に伝達している上記駆動輪トルク演算手段で演算
した駆動輪トルクに応じ、この選択した車輪を自由転動
状態にする目標制動力を算出設定する目標制動力設定手
段と、この目標制動力設定手段で算出設定した目標制動
力を上記基準車速検出用車輪選択手段で選択した車輪に
付加するようにブレーキ駆動部へ信号出力する制動信号
出力手段と、上記目標制動力設定手段からの信号と上記
制動信号出力手段からの信号に基づき、上記基準車速検
出用車輪選択手段で選択した車輪のグリップを判定し、
グリップ状態での上記選択した車輪の速度から車両の基
準車速を設定する基準車速設定手段とを備えて上記基準
車速を算出設定するものである。
【0009】また、請求項2記載の本発明による車両の
トラクション制御装置は、請求項1記載の車両のトラク
ション制御装置において、上記基準車速検出用車輪選択
手段は、上記制動信号出力手段から上記ブレーキ駆動部
への出力値の中で最も小さい値の車輪を基準車速を検出
する車輪として選択するものである。
【0010】さらに、請求項3記載の本発明による車両
のトラクション制御装置は、請求項1記載の車両のトラ
クション制御装置において、上記基準車速検出用車輪選
択手段は、車輪速度の最も小さい車輪を基準車速を検出
する車輪として選択するものである。
【0011】また、請求項4記載の本発明による車両の
トラクション制御装置は、請求項1記載の車両のトラク
ション制御装置において、上記基準車速検出用車輪選択
手段は、車両の走行状態がアンダステア傾向かオーバス
テア傾向かを演算して、アンダステア傾向の場合に旋回
内側前輪を基準車速を検出する車輪として選択する一
方、オーバステア傾向の場合に旋回内側後輪を検出する
車輪として選択するものである。
【0012】さらに、請求項5記載の本発明による車両
のトラクション制御装置は、請求項1記載の車両のトラ
クション制御装置において、上記基準車速検出用車輪選
択手段は、走行中の左後輪と右後輪のそれぞれの接地荷
重を演算するとともに、車両の走行状態がアンダステア
傾向かオーバステア傾向かを演算して、アンダステア傾
向の場合に旋回内側前輪を基準車速を検出する車輪とし
て選択する一方、オーバステア傾向でかつ旋回内側後輪
の接地荷重が設定値以上の場合に旋回内側後輪を基準車
速を検出する車輪として選択し、また、オーバステア傾
向でかつ旋回内側後輪の接地荷重が設定値より小さい場
合に旋回外側後輪を基準車速を検出する車輪として選択
するものである。
【0013】また、請求項6記載の本発明による車両の
トラクション制御装置は、請求項1記載の車両のトラク
ション制御装置において、上記基準車速検出用車輪選択
手段は、路面とタイヤとの間の摩擦係数が左輪側と右輪
側とで異なる路面を走行中であるか否かを検出し、路面
とタイヤとの間の摩擦係数が左輪側と右輪側とで設定以
上に異なる路面を走行中の場合は摩擦係数が大きい側の
後輪を基準車速を検出する車輪として選択するものであ
る。
【0014】上記請求項1記載の車両のトラクション制
御装置は、駆動輪トルク演算手段で車両の走行状態を基
に車両の各駆動輪に伝達する駆動輪トルクを演算し、基
準車速検出用車輪選択手段で基準車速を検出する車輪を
選択し、目標制動力設定手段で上記基準車速検出用車輪
選択手段で選択した車輪に伝達している上記駆動輪トル
ク演算手段で演算した駆動輪トルクに応じ、この選択し
た車輪を自由転動状態にする目標制動力を算出設定し、
制動信号出力手段で上記目標制動力設定手段で算出設定
した目標制動力を上記基準車速検出用車輪選択手段で選
択した車輪に付加するようにブレーキ駆動部へ信号出力
する。そして、基準車速設定手段で上記目標制動力設定
手段からの信号と上記制動信号出力手段からの信号に基
づき、上記基準車速検出用車輪選択手段で選択した車輪
のグリップを判定し、グリップ状態での上記選択した車
輪の速度から車両の基準車速を設定することにより基準
車速を算出設定する。この基準車速を制御の基準として
用い、また車両の走行状態とから駆動力の制御を行う。
【0015】また、上記請求項2記載の車両のトラクシ
ョン制御装置は、請求項1記載の車両のトラクション制
御装置において、上記基準車速検出用車輪選択手段は、
上記制動信号出力手段から上記ブレーキ駆動部への出力
値の中で最も小さい値の車輪を基準車速を検出する車輪
として選択する。
【0016】さらに、上記請求項3記載の車両のトラク
ション制御装置は、請求項1記載の車両のトラクション
制御装置において、上記基準車速検出用車輪選択手段
は、車輪速度の最も小さい車輪を基準車速を検出する車
輪として選択する。
【0017】また、上記請求項4記載の車両のトラクシ
ョン制御装置は、請求項1記載の車両のトラクション制
御装置において、上記基準車速検出用車輪選択手段は、
車両の走行状態がアンダステア傾向かオーバステア傾向
かを演算して、アンダステア傾向の場合に旋回内側前輪
を基準車速を検出する車輪として選択する一方、オーバ
ステア傾向の場合に旋回内側後輪を検出する車輪として
選択する。
【0018】さらに、上記請求項5記載の車両のトラク
ション制御装置は、請求項1記載の車両のトラクション
制御装置において、上記基準車速検出用車輪選択手段
は、走行中の左後輪と右後輪のそれぞれの接地荷重を演
算するとともに、車両の走行状態がアンダステア傾向か
オーバステア傾向かを演算して、アンダステア傾向の場
合に旋回内側前輪を基準車速を検出する車輪として選択
する一方、オーバステア傾向でかつ旋回内側後輪の接地
荷重が設定値以上の場合に旋回内側後輪を基準車速を検
出する車輪として選択し、また、オーバステア傾向でか
つ旋回内側後輪の接地荷重が設定値より小さい場合に旋
回外側後輪を基準車速を検出する車輪として選択する。
【0019】また、上記請求項6記載の車両のトラクシ
ョン制御装置は、請求項1記載の車両のトラクション制
御装置において、上記基準車速検出用車輪選択手段は、
路面とタイヤとの間の摩擦係数が左輪側と右輪側とで異
なる路面を走行中であるか否かを検出し、路面とタイヤ
との間の摩擦係数が左輪側と右輪側とで設定以上に異な
る路面を走行中の場合は摩擦係数が大きい側の後輪を基
準車速を検出する車輪として選択する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図5は本発明の実施の形態
1を示し、図1はトラクション制御装置の機能ブロック
図、図2はトラクション制御装置の概略構成を示す説明
図、図3はトラクション制御における基準車速算出のフ
ローチャート、図4は基準車速補正ルーチンのフローチ
ャート、図5は速度比とトルコンでのトルク比との関係
図である。
【0021】図2において、符号1はエンジンを示し、
このエンジン1の出力側には自動変速機2が配設され、
上記エンジン1からの駆動力は、上記自動変速機2のト
ルクコンバータ(以下、トルコンと略称)3、変速機構
部4からセンターディファレンシャル装置5に伝達され
るように構成されている。
【0022】上記センターディファレンシャル装置5
は、例えば、複合プラネタリギヤ式で、歯車諸元により
入力された駆動力を等トルク配分または不等トルク配分
するようになっており、駆動力は、このセンターディフ
ァレンシャル装置5から、リヤドライブ軸6、プロペラ
シャフト7、ドライブピニオン軸部8を介して後輪終減
速装置9に入力される一方、トランスファドライブギヤ
10、トランスファドリブンギヤ11、ドライブピニオ
ン軸部となっているフロントドライブ軸12を介して前
輪終減速装置13に入力されるように構成されている。
ここで、上記トルコン3、変速機構部4、センターディ
ファレンシャル装置5および前輪終減速装置13等は、
一体にケース14内に設けられている。
【0023】上記後輪終減速装置9に入力された駆動力
は、後輪左ドライブ軸15rlを経て左後輪16rlに、後
輪右ドライブ軸15rrを経て右後輪16rrに伝達される
一方、上記前輪終減速装置13に入力された駆動力は、
前輪左ドライブ軸15flを経て左前輪16flに、前輪右
ドライブ軸15frを経て右後輪16frに伝達されるよう
になっている。
【0024】上記エンジン1は、エンジン制御部17
で、エアフローセンサによる吸入空気量,水温センサに
よるエンジン水温,クランク角センサによるエンジン回
転数Ne およびクランク角度位置等(上述の各センサ図
示せず)を基に、また、各センサからの信号に基づきエ
ンジン出力トルクTe 等の演算がなされ、必要な様々な
パラメータの設定が行われ、燃料噴射制御、スロットル
制御、点火時期制御、気筒カット制御、過給圧制御等の
各制御が行なわれてエンジン出力の低下、上昇が行なわ
れる。
【0025】一方、符号18は車両のブレーキ駆動部を
示し、このブレーキ駆動部18には、ドライバにより操
作されるブレーキペダル19と接続されたマスターシリ
ンダ20が接続されており、ドライバが上記ブレーキペ
ダル19を操作するとマスターシリンダ20により、上
記ブレーキ駆動部18を通じて、4輪(左前輪16fl,
右前輪16fr,左後輪16rl,右後輪16rr)の各ホイ
ールシリンダ(左前輪ホイールシリンダ21fl,右前輪
ホイールシリンダ21fr,左後輪ホイールシリンダ21
rl,右後輪ホイールシリンダ21rr)にブレーキ圧が導
入され、これにより4輪にブレーキがかかって制動され
るようになっている。
【0026】上記ブレーキ駆動部18は、加圧弁、減圧
弁、増圧弁等を備えたハイドロリックユニットで、入力
信号に応じて、上記各ホイールシリンダ21fl,21f
r,21rl,21rrに対して、それぞれ独立にブレーキ
圧を導入自在に形成されている。
【0027】また、符号22は自動変速機制御部を示
し、各種センサやスイッチ(いずれも図示せず)からの
入力信号を基に、また、例えばギヤ比i等の種々の必要
なパラメータを求めて、変速制御、ロックアップ制御、
オーバランニングクラッチ制御、ライン圧制御、オート
パターンセレクト制御、変速タイミング制御等の各制御
を行う。
【0028】上記各車輪16fl,16fr,16rl,16
rrは、それぞれの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが左
前輪速度センサ23fl,右前輪速度センサ23fr,左後
輪速度センサ23rl,右後輪速度センサ23rrにより検
出されるようになっている。
【0029】符号30は、マイクロコンピュータとその
周辺回路で形成された制御装置を示し、この制御装置3
0には、上記各車輪速度センサ23fl,23fr,23r
l,23rrが接続されるとともに、上記エンジン制御部
17からエンジン出力トルクTe 信号とエンジン回転数
Ne 信号が入力され、上記自動変速機制御部22からギ
ヤ比i信号が入力されて、上記エンジン制御部17に対
しエンジン出力信号を出力するとともに、上記ブレーキ
駆動部18に駆動信号を出力する。
【0030】上記制御装置30は、図1に示すように、
トルコンでのトルク比演算部31,駆動輪トルク演算部
32,ブレーキ液圧推定/検出部33,車速検出用制動
輪選択部34,目標制動力設定部35,制動信号出力部
36,グリップ判定および基準車速設定部37が基準車
速Vbを算出設定するために設けられ、さらに、算出設
定した基準車速Vbと車両の走行状態に応じて駆動力の
制御と制動力の制御とを行うトラクションコントロール
用制御部38が設けられて主要に構成されている。
【0031】上記トルコンでのトルク比演算部31は、
上記各車輪速度センサ23fl,23fr,23rl,23rr
から、それぞれの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが入
力されるとともに、上記エンジン制御部17からエンジ
ン回転数Ne が、上記自動変速機制御部22からギヤ比
iが入力されてトルコンでのトルク比tを演算し、この
トルコンでのトルク比tを上記駆動輪トルク演算部32
に出力するようになっている。
【0032】ここで、トルコンでのトルク比tは、ター
ビン(トランスミッション入力軸)回転数Nt とエンジ
ン回転数Ne の速度比e(e=Nt /Ne )から、予め
設定しておいた図5を参照して求めることができる。
【0033】また、タービン回転数Nt は、以下の
(1)式により求めることができる。 Nt =k1 ・((ωfl+ωfr+ωrl+ωrr)/4)・i …(1) k1 は定数である。
【0034】上記駆動輪トルク演算部32は、上記エン
ジン制御部17からエンジン出力トルクTe が、上記自
動変速機制御部22からギヤ比iが入力されるととも
に、上記トルコンでのトルク比演算部31からトルコン
でのトルク比tが入力されて、トルコンからの出力トル
クTt が演算され、このトルコンからの出力トルクTt
が各駆動輪に付加されている各駆動輪トルクTFL,T
FR,TRL,TRRを演算するように形成されてい
る。トルコンからの出力トルクTt は、以下の(2)式
により求められる。 Tt =t・Te …(2) すなわち、上記トルコンでのトルク比演算部31と上記
駆動輪トルク演算部32とにより各駆動輪に伝達される
駆動輪トルクが演算され、駆動輪トルク演算手段が構成
されている。
【0035】上記ブレーキ液圧推定/検出部33は、上
記制動信号出力部36から入力される各車輪に対するブ
レーキ液圧の信号を推定されるブレーキ液圧BFL,B
FR,BRL,BRRの信号として上記車速検出用制動
輪選択部34と上記グリップ判定および基準車速設定部
37とに出力するようになっている。
【0036】上記車速検出用制動輪選択部34は、上記
各車輪速度センサ23fl,23fr,23rl,23rrか
ら、それぞれの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが入力
されるとともに、上記ブレーキ液圧推定/検出部33か
ら各車輪に対するブレーキ液圧BFL,BFR,BR
L,BRRの信号が入力され、4輪のブレーキ液圧BF
L,BFR,BRL,BRRの中で最も小さい値が予め
設定しておいたブレーキ液圧BPC以下の場合に車輪速
度が最も低い車輪速度の車輪を基準車速Vbを検出する
車輪として選択する一方、上記設定値BPCより大きい
場合には上記ブレーキ液圧の最も小さい値の車輪を基準
車速Vbを検出する車輪として選択する基準車速検出用
車輪選択手段としてのものである。この車速検出用制動
輪選択部34での選択の結果は上記目標制動力設定部3
5と上記グリップ判定および基準車速設定部37とに出
力される。このように、ブレーキ液圧の中で最も小さい
値の車輪を基準に車輪速度も考慮して制動車輪の選択す
ることにより、目標とする制動力も小さくてすむことに
なる。
【0037】上記目標制動力設定部35は、上記駆動輪
トルク演算部32から各駆動輪トルクTFL,TFR,
TRL,TRRが入力され、上記車速検出用制動輪選択
部34から基準車速Vbを検出する車輪の選択結果が入
力されて、上記車速検出用制動輪選択部34で選択した
車輪に伝達している駆動輪トルクに応じ、この選択した
車輪を自由転動状態にする目標制動力、すなわち選択し
た車輪に伝達している駆動輪トルクの逆トルクを目標制
動力として算出設定し、上記制動信号出力部36と上記
グリップ判定および基準車速設定部37とに出力する目
標制動力設定手段としてのものである。
【0038】上記制動信号出力部36は、上記ブレーキ
駆動部18に対し、各車輪に設定される制動力に応じた
ブレーキ液圧信号を出力するようになっており、上記目
標制動力設定部35からの目標制動力の信号が入力され
ると、上記車速検出用制動輪選択部34で選択した車輪
に対する制動力が目標制動力になるようにブレーキ液圧
の信号を上記ブレーキ駆動部18へ出力する制動信号出
力手段としてのものである。また、この制動信号出力部
36から上記ブレーキ駆動部18へ出力される各車輪に
対するブレーキ液圧の信号は、上記ブレーキ液圧推定/
検出部33に対しても出力される。
【0039】上記グリップ判定および基準車速設定部3
7は、上記各車輪速度センサ23fl,23fr,23rl,
23rrから、それぞれの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ω
rrが入力されるとともに、上記目標制動力設定部35か
ら目標制動力の信号が目標ブレーキ液圧の信号として入
力され、上記ブレーキ液圧推定/検出部33から推定さ
れるブレーキ液圧の信号が、上記車速検出用制動輪選択
部34から基準車速Vbを検出する車輪の選択結果が入
力されて、これらのデータから一定条件の基で基準車速
を補正する基準車速設定手段としてのものである。すな
わち、基準車速を検出する車輪において、目標制動力に
相当するブレーキ液圧が設定範囲内にまで達成され、か
つ車輪速度の変化が所定値以下の際に、この選択した車
輪は自由転動状態状態でグリップ状態にあると判定し、
この車輪の速度を車速に換算して、基準車速Vbとして
補正するようになっている。尚、今までの基準車速Vb
をグリップ状態の車輪から算出した新しい基準車速Vb
に急に変更するのではなく、新しい基準車速Vbに今ま
での基準車速Vbを一定の変化量で近づくようにしても
良い。このグリップ判定および基準車速設定部37を経
て設定される基準車速Vbはトラクションコントロール
用制御部38に入力される。
【0040】このトラクションコントロール用制御部3
8は、上記各車輪速度センサ23fl,23fr,23rl,
23rrから、それぞれの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ω
rrが入力され、上記グリップ判定および基準車速設定部
37から基準車速Vbが入力され、また、図示しない他
のセンサ、スイッチ等から車両の運転状態・走行状態を
示す信号が入力されて、4輪のスリップ量を算出する一
方、車両の運転状態・走行状態から目標とするスリップ
量を算出し、実際のスリップ量が目標スリップ量になる
ように目標制動力と目標エンジントルクを設定して、上
記目標制動力設定部33とエンジン制御部17にそれぞ
れ信号出力するように形成されている。尚、このトラク
ションコントロール用制御部38は目標エンジントルク
のみを設定してエンジン制御部17に信号出力する制御
部であっても良い。
【0041】次に、上記構成の作用について説明する。
通常の車両走行時には、ドライバのアクセル操作やエン
ジン制御部17により制御されるエンジン1の駆動力
は、自動変速機2のトルコン3を介し、変速機構部4に
入力されて変速され、センターディファレンシャル装置
5に伝達して、前輪側と後輪側とに等トルク配分または
不等トルク配分される。
【0042】上記センターディファレンシャル装置5か
ら後輪側に配分された駆動力は、リヤドライブ軸6、プ
ロペラシャフト7、ドライブピニオン軸部8を介して後
輪終減速装置9に入力され、この後輪終減速装置9から
後輪左ドライブ軸15rlを経て左後輪16rlに、また、
後輪右ドライブ軸15rrを経て右後輪16rrに伝達され
る。
【0043】上記センターディファレンシャル装置5か
ら前輪側に配分された駆動力は、トランスファドライブ
ギヤ10、トランスファドリブンギヤ11、フロントド
ライブ軸12を介して前輪終減速装置13に入力され、
この前輪終減速装置13から前輪左ドライブ軸15flを
経て左前輪16flに、前輪右ドライブ軸15frを経て右
後輪16frに伝達される。
【0044】こうして4輪駆動している車両がハンドル
操作されて旋回時に4輪の旋回軌跡が異なる場合は、後
輪終減速装置9と前輪終減速装置13により、左右輪間
の回転差が吸収されてスムーズに旋回する。
【0045】また通常は、センターディファレンシャル
装置5の差動制限機構はフリー又は弱い結合であって、
このセンターディファレンシャル装置5により前輪側と
後輪側の回転差が吸収され、これにより4輪駆動の状態
でハンドル操作に応じて自由に旋回する。
【0046】一方、ブレーキ駆動部18に接続されたマ
スターシリンダ20と4輪の各ホイールシリンダ21f
l,21fr,21rl,21rrは、通常は連通した状態に
なっており、ドライバがブレーキペダル19を操作する
と、上記マスタシリンダ20により上記4輪のホイール
シリンダ21fl,21fr,21rl,21rrにブレーキ圧
が導入され、これにより4輪にブレーキがかかって任意
に制動する。
【0047】次に、4輪駆動走行でのトラクション制御
を説明する。本発明の実施の形態1によるトラクション
制御では、まず、基準車速Vbの算出設定が行われる。
これを図3のフローチャートで説明する。このフローチ
ャートはトラクションコントロール作動中の、ある一定
時間毎に行われ、ステップ(以下Sと略称)101で、
基準車速の算出を実行するか否か判定され、基準車速の
算出を実行する場合はS102に進み、基準車速の算出
を実行しない場合にはプログラムを終了する。上記S1
01での判定の条件は、予め定めておいた条件で、例え
ば、前回基準車速を補正してから所定時間が経過した場
合に基準車速の算出を実行し(S102以下に進み)、
経過していない場合は基準車速の算出は行わないようす
る(プログラムを終了させる)。
【0048】上記S101で上記条件を満たし(前回基
準車速を補正してから所定時間が経過し)、S102に
進むと、上記エンジン制御部17からエンジン出力トル
クTe 信号とエンジン回転数Ne 信号が、上記自動変速
機制御部22からギヤ比i信号が、上記各車輪速度セン
サ23fl,23fr,23rl,23rrから4輪の車輪速度
ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが読み込まれる。
【0049】次いで、S103に進み、上記トルコンで
のトルク比演算部31で、4輪の車輪速度ωfl,ωfr,
ωrl,ωrrとエンジン回転数Ne とギヤ比iとによりト
ルコンでのトルク比tの演算が行われ、S104に進ん
で上記駆動輪トルク演算部32で、エンジン出力トルク
Te ,ギヤ比i,トルコンでのトルク比tを基に、各駆
動輪トルクTFL,TFR,TRL,TRRの演算が行
われる。
【0050】次に、S105に進み、上記ブレーキ液圧
推定/検出部33で、上記制動信号出力部36から入力
される各車輪に対するブレーキ液圧の信号を推定される
ブレーキ液圧BFL,BFR,BRL,BRRの信号と
して検出し、S106に進んで上記車速検出用制動輪選
択部34で、4輪の車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrr,
4輪のブレーキ液圧BFL,BFR,BRL,BRRか
ら、4輪のブレーキ液圧BFL,BFR,BRL,BR
Rの中で最も小さい値が予め設定しておいたブレーキ液
圧BPC以下の場合に車輪速度が最も低い車輪速度の車
輪を基準車速を検出する車輪として選択する一方、上記
設定値BPCより大きい場合には上記ブレーキ液圧の最
も小さい値の車輪を基準車速を検出する車輪として選択
する。
【0051】次いで、S107に進み、上記目標制動力
設定部35で、各駆動輪トルクTFL,TFR,TR
L,TRRと上記車速検出用制動輪選択部34からの基
準車速を検出する車輪の選択結果とから、上記車速検出
用制動輪選択部34で選択した車輪に伝達している駆動
輪トルクに応じ、この選択した車輪を自由転動状態にす
る目標制動力、すなわち選択した車輪に伝達している駆
動輪トルクの逆トルクを目標制動力として算出設定す
る。
【0052】そして、S108に進み、上記制動信号出
力部36で、上記車速検出用制動輪選択部34で選択し
た車輪に対する制動力が、上記目標制動力設定部35か
らの目標制動力になるようにブレーキ液圧の信号を上記
ブレーキ駆動部18へ出力し、各車輪に設定される制動
力に応じたブレーキ液圧信号を出力する。
【0053】その後、S109に進んで、図4に示す手
順に従って、上記車速検出用制動輪選択部34で選択し
た車輪がグリップ状態にあるか判定し、グリップ状態に
ある場合に、この車輪の速度を車速に換算し、基準車速
Vbとして補正してプログラムを終了する。
【0054】図4はS109の基準車速補正ルーチン
で、S201で上記車速検出用制動輪選択部34で選択
した車輪,車輪の車輪速度,上記目標制動力設定部35
で設定された目標ブレーキ液圧,上記制動信号出力部3
6から出力される推定ブレーキ液圧を読み込み、S20
2に進んで、選択した車輪について目標ブレーキ液圧と
推定ブレーキ液圧とを比較する。
【0055】すなわち、このS202では、目標ブレー
キ液圧と推定ブレーキ液圧の偏差が所定値(予め設定し
ておいた値)より大きく、目標ブレーキ液圧と推定ブレ
ーキ液圧との差が大きい場合はグリップ状態ではないと
判定してルーチンを抜け、目標ブレーキ液圧と推定ブレ
ーキ液圧の偏差が所定値以下の場合はS203に進み、
車輪速度の変化量(車輪速変化)を演算し、S204に
進む。
【0056】上記S204では、車輪速変化の判定が行
われ、車輪速変化が所定値(予め設定しておいた値)よ
り大きい場合は、未だ安定していないのでグリップ状態
ではないと判定してルーチンを抜け、車輪速変化が所定
値以下の場合はグリップ状態と判定してS205に進
み、この車輪の速度を車速に換算して、基準車速Vbと
して補正する。尚、新しい基準車速Vbに今までの基準
車速Vbを一定の変化量で近づくようにしてスムーズな
制御にすることもできる。
【0057】上述のように基準車速の算出設定の処理が
行われ、上記トラクションコントロール用制御部38で
は、上記各車輪速度センサ23fl,23fr,23rl,2
3rrから、それぞれの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrr
が入力され、上記グリップ判定および基準車速設定部3
7から基準車速Vbが入力され、また、他のセンサ、ス
イッチ等から車両の運転状態・走行状態を示す信号が入
力されて、4輪のスリップ量を算出する一方、車両の運
転状態・走行状態から目標とするスリップ量を算出し、
実際のスリップ量が目標スリップ量になるように目標制
動力と目標エンジントルクを設定して、上記目標制動力
設定部35とエンジン制御部17にそれぞれ信号出力す
る。
【0058】このように、本発明の実施の形態1では、
4輪駆動車の場合のグリップ、スリップ等の際であって
も、継続して、誤差が累積することなく正確に車両速度
を算出することができ、精度良く制御可能な車両のトラ
クション制御が行える。
【0059】また、ブレーキ液圧の中で最も小さい値の
車輪を基準に車輪速度も考慮して制動車輪の選択すると
いう、比較的簡単な制御で実現でき、目標とする制動力
も小さくてすむ。
【0060】次に、図6〜図9は本発明の実施の形態2
を示し、図6はトラクション制御装置の機能ブロック
図、図7はトラクション制御装置の概略構成を示す説明
図、図8はトラクション制御における基準車速算出のフ
ローチャート、図9は基準車速検出用制動輪選択ルーチ
ンのフローチャートである。尚、本発明の実施の形態2
は、トラクション制御における基準車速算出について、
主に基準車速を検出する車輪の選択が異なり、前記発明
の実施の形態1と同様の部分についてはその説明を省略
する。
【0061】すなわち、図7に示すように、車両のステ
アリングホイール24のステアリングコラムにはハンド
ル角θを検出するハンドル角センサ25が設けられ、ま
た、車両の実際のヨーレート(実ヨーレート)γを検出
するヨーレートセンサ26が設けられて制御装置40に
それぞれ接続されている。上記各センサ25,26は前
記発明の実施の形態1に加えて設けられている。
【0062】上記制御装置40は、前記各車輪速度セン
サ23fl,23fr,23rl,23rrが接続され、上記ハ
ンドル角センサ25,ヨーレートセンサ26が接続され
るとともに、上記エンジン制御部17からエンジン出力
トルクTe 信号とエンジン回転数Ne 信号が入力され、
上記自動変速機制御部22からギヤ比i信号が入力され
て、上記エンジン制御部17に対しエンジン出力信号を
出力する一方、上記ブレーキ駆動部18に駆動信号を出
力するようになっている。
【0063】この制御装置40は、図6に示すように、
トルコンでのトルク比演算部31,駆動輪トルク演算部
32,ブレーキ液圧推定/検出部33,目標制動力設定
部35,制動信号出力部36,グリップ判定および基準
車速設定部37,前輪舵角算出部41,目標ヨーレート
算出部42,ヨーレート偏差算出部43,車速検出用制
動輪選択部44が基準車速を算出設定するために設けら
れ、さらに、算出設定した基準車速と車両の走行状態に
応じて駆動力の制御と制動力の制御とを行うトラクショ
ンコントロール用制御部38が設けられて主要に構成さ
れている。
【0064】上記前輪舵角算出部41は、ハンドル角セ
ンサ25からの信号(ハンドル角θ)が入力され、ハン
ドル角θから実際の前輪舵角(実舵角δf)をステアリ
ングギヤ比n等を考慮して算出し、上記目標ヨーレート
算出部42に出力するようになっている。
【0065】上記目標ヨーレート算出部42は、上記グ
リップ判定および基準車速設定部37からの基準車速V
bと、上記前輪舵角算出部41からの実舵角δfを基
に、車両の諸元と応答遅れを考慮して目標ヨーレート
γ' を算出し、この目標ヨーレートγ' を上記ヨーレー
ト偏差算出部43に出力するものである。
【0066】目標ヨーレートγ' の算出は、時定数を
T,ラプラス演算子をsとして、 γ' =(1/(1+T・s))・Gγδf(0)・δf …(3) で得られる。上記(1)式中のGγδf(0)は、車両
の定常円旋回時の実舵角δfに対するヨーレートの値
(ヨーレート定常ゲイン)で、ホイールベースをL,車
両の諸元で決まるスタビリティファクタをA0 とする
と、ヨーレート定常ゲインGγδf(0)は以下の式で
算出される。 Gγδf(0)=(1/(1+A0 ・Vb2 ))・Vb/L …(4) また、上記スタビリティファクタA0 は、車両質量を
m,前軸と重心間の距離をLf ,後軸と重心間の距離を
Lr ,前輪の等価コーナリングパワーをCPf ,後輪の
等価コーナリングパワーをCPr とすると次式で求めら
れる。 A0 =(−m・(Lf ・CPf −Lr ・CPr )) /(2・L2 ・CPf ・CPr ) …(5) 尚、上記(3)式は、2次系で表現される車両の応答遅
れを1次系に近似した式であり、また時定数Tは、例え
ば下式で得られる。 T=m・Lf ・Vb/(2・L・CPr ) …(6) 上記ヨーレート偏差算出部43では、前記ヨーレートセ
ンサ26で検出した実ヨーレートγから、上記目標ヨー
レート算出部42より出力された目標ヨーレートγ' を
減算し、ヨーレート偏差Δγ(=γ−γ' )を求め、こ
のヨーレート偏差Δγを上記車速検出用制動輪選択部4
4に出力するようになっている。
【0067】上記車速検出用制動輪選択部44は、上記
各車輪速度センサ23fl,23fr,23rl,23rrから
それぞれの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが、上記ヨ
ーレートセンサ26から実ヨーレートγが入力されると
ともに、上記ブレーキ液圧推定/検出部33から各車輪
に対するブレーキ液圧BFL,BFR,BRL,BRR
の信号が、上記ヨーレート偏差算出部43からヨーレー
ト偏差Δγが入力され、実ヨーレートγから旋回方向を
判定し、ヨーレート偏差Δγを基に車両の走行状態がア
ンダステア傾向かオーバステア傾向かを判定して、アン
ダステア傾向の場合に旋回内側前輪を基準車速を検出す
る車輪として選択する一方、オーバステア傾向の場合に
旋回内側後輪を検出する車輪として選択するようになっ
ている。また、大きなアンダステア傾向やオーバステア
傾向ではない場合には、4輪のブレーキ液圧BFL,B
FR,BRL,BRRの中で最も小さい値が予め設定し
ておいたブレーキ液圧BPC以下の場合に車輪速度が最
も低い車輪速度の車輪を基準車速Vbを検出する車輪と
して選択する一方、上記設定値BPCより大きい場合に
は上記ブレーキ液圧の最も小さい値の車輪を基準車速V
bを検出する車輪として選択する基準車速検出用車輪選
択手段としてのものである。この車速検出用制動輪選択
部44での選択の結果は上記目標制動力設定部35と上
記グリップ判定および基準車速設定部37とに出力され
る。
【0068】すなわち、トラクション制御作動中にある
一輪を強制的に自由転動状態にすると、その車輪の駆動
力は略0となる反面、横方向のグリップは最大限に発揮
できる状態となる。このため、車両の走行状態が、アン
ダステア傾向の場合に旋回内側前輪を基準車速を検出す
る車輪として選択する一方、オーバステア傾向の場合に
旋回内側後輪を検出する車輪として選択すれば、車両の
アンダステア傾向およびオーバステア傾向を抑制するこ
とになり、車両の走行安定性を向上させることができる
ようになる。
【0069】次に、本発明の実施の形態2によるトラク
ション制御における基準車速算出について、主に基準車
速を検出する車輪の選択を図8,図9のフローチャート
で説明する。
【0070】図8は前記発明の実施の形態1の図3に対
応するトラクション制御における基準車速算出のフロー
チャートで、S101で基準車速算出実行と判定され、
S301に進むと、上記各車輪速度センサ23fl,23
fr,23rl,23rrから4輪の車輪速度ωfl,ωfr,ω
rl,ωrrが、ハンドル角センサ25からハンドル角θ
が、上記ヨーレートセンサ26から実ヨーレートγが入
力されるとともに、上記エンジン制御部17からエンジ
ン出力トルクTe 信号とエンジン回転数Ne 信号が、上
記自動変速機制御部22からギヤ比i信号が、上記制御
装置40のグリップ判定および基準車速設定部37から
前回設定した車速Vbが読み込まれる。
【0071】次いで、S302に進み、上記制御装置4
0の前輪舵角算出部41で、ハンドル角θから実舵角δ
fをステアリングギヤ比n等を考慮して演算し、S30
3に進み、目標ヨーレート算出部42で基準車速Vbと
実舵角δfを基に、車両の諸元と応答遅れを考慮して目
標ヨーレートγ' を演算してS304に進み、ヨーレー
ト偏差算出部43で実ヨーレートγから目標ヨーレート
γ' を減算し、ヨーレート偏差Δγ(=γ−γ' )を演
算した後、S103に進む。
【0072】上記S103に進むと、上記トルコンでの
トルク比演算部31で、4輪の車輪速度ωfl,ωfr,ω
rl,ωrrとエンジン回転数Ne とギヤ比iとによりトル
コンでのトルク比tの演算が行われ、S104に進んで
上記駆動輪トルク演算部32で、エンジン出力トルクT
e ,ギヤ比i,トルコンでのトルク比tを基に、各駆動
輪トルクTFL,TFR,TRL,TRRの演算が行わ
れる。
【0073】次に、S105に進み、上記ブレーキ液圧
推定/検出部33で、上記制動信号出力部36から入力
される各車輪に対するブレーキ液圧の信号を推定される
ブレーキ液圧BFL,BFR,BRL,BRRの信号と
して検出してS305に進む。
【0074】上記S305は上記車速検出用制動輪選択
部44で、後述する基準車速検出用制動輪選択ルーチン
(図9)によって基準車速を検出する車輪を選択するも
ので、このS305で車速を検出する車輪を選択した
後、S107へ進み、上記目標制動力設定部35で、各
駆動輪トルクTFL,TFR,TRL,TRRと上記車
速検出用制動輪選択部44からの基準車速を検出する車
輪の選択結果とから、上記車速検出用制動輪選択部44
で選択した車輪に伝達している駆動輪トルクに応じ、こ
の選択した車輪を自由転動状態にする目標制動力、すな
わち選択した車輪に伝達している駆動輪トルクの逆トル
クを目標制動力として算出設定する。
【0075】そして、S108に進み、上記制動信号出
力部36で、上記車速検出用制動輪選択部44で選択し
た車輪に対する制動力が、上記目標制動力設定部35か
らの目標制動力になるようにブレーキ液圧の信号を上記
ブレーキ駆動部18へ出力し、各車輪に設定される制動
力に応じたブレーキ液圧信号を出力する。
【0076】その後、S109に進んで、前記発明の実
施の形態1の図4に示す手順に従って、上記車速検出用
制動輪選択部44で選択した車輪がグリップ状態にある
か判定し、グリップ状態にある場合に、この車輪の速度
を車速に換算し、基準車速Vbとして補正してプログラ
ムを終了する。
【0077】図9に示す基準車速検出用制動輪選択ルー
チンでは、S401で、実ヨーレートγが設定値ε(予
め実験あるいは計算等から求めた略0に近い正の数)よ
りも大きいか否か、すなわち、ある程度大きな左旋回状
態か否かの判定が行なわれ、実ヨーレートγがε以下の
場合には、S402に進み、実ヨーレートγが−εより
も小さいか否か、すなわち、ある程度大きな右旋回状態
か否かの判定が行なわれる。
【0078】このS402で、ある程度大きな右旋回状
態ではないと判定される実ヨーレートγの範囲(ε≧γ
≧−ε)では、運動状態が略直進運動状態であるのでS
411に進む。
【0079】上記S401で、γ>εで、ある程度大き
な左旋回状態と判定されるとS403に進み、ヨーレー
ト偏差Δγと設定値εΔγ(予め実験あるいは計算等か
ら求めた略0に近い正の数)とを比較し、ヨーレート偏
差Δγが|Δγ|≦εΔγで0に近く、略ニュートラル
ステアの場合には上記S411に進み、これ以外の場合
(アンダーステア傾向あるいはオーバーステア傾向の場
合)はS404に進む。
【0080】このS404は、アンダーステア傾向かオ
ーバーステア傾向であるかを判定するステップで、Δγ
>εΔγか否かの判定が行なわれ、Δγ≦εΔγであり
ヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号と
異なる負の場合は、目標ヨーレートγ' に対してアンダ
ーステア傾向と判定してS405に進み、旋回内側前輪
である左前輪を基準車速を検出する車輪として選択して
ルーチンを抜け、また、Δγ>εΔγでありヨーレート
偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号と同じ正の場
合は、目標ヨーレートγ' に対してオーバーステア傾向
と判定してS406に進み、旋回内側後輪である左後輪
を基準車速を検出する車輪として選択してルーチンを抜
ける。
【0081】一方、上記S402で、γ<−εで、ある
程度大きな右旋回状態と判定されるとS407に進み、
ヨーレート偏差Δγが|Δγ|≦εΔγで0に近く、略
ニュートラルステアであるか否かの判定が行なわれる。
【0082】そして、上記S407で、|Δγ|≦εΔ
γであり、略ニュートラルステアと判定されるとS41
1に進み、これ以外の場合(アンダーステア傾向あるい
はオーバーステア傾向の場合)はS408に進む。
【0083】このS408は、アンダーステア傾向かオ
ーバーステア傾向であるかを判定するステップで、Δγ
<−εΔγか否かの判定が行なわれ、Δγ≧−εΔγで
ありヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符
号と異なる正の場合は、目標ヨーレートγ' に対してア
ンダーステア傾向と判定してS409に進み、旋回内側
前輪である右前輪を基準車速を検出する車輪として選択
してルーチンを抜け、また、Δγ<−εΔγでありヨー
レート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号と同じ
負の場合は、目標ヨーレートγ' に対してオーバーステ
ア傾向と判定してS410に進み、旋回内側後輪である
右後輪を基準車速を検出する車輪として選択してルーチ
ンを抜ける。
【0084】上記S402,S403あるいはS407
からS411に進むと、4輪のブレーキ液圧BFL,B
FR,BRL,BRRの中で最も小さい値が予め設定し
ておいたブレーキ液圧BPC以下か否か判定され、ブレ
ーキ液圧BPC以下の場合はS412に進み車輪速度が
最も低い車輪速度の車輪を基準車速を検出する車輪とし
て選択する一方、ブレーキ液圧BPCより大きい場合は
S413に進み、ブレーキ液圧の最も小さい値の車輪を
基準車速を検出する車輪として選択する。このS411
〜S413は、前記発明の実施の形態1で行われる処理
と同じものである。
【0085】このように本発明の実施の形態2では、実
ヨーレートγから旋回方向を判定し、ヨーレート偏差Δ
γを基に車両の走行状態がアンダステア傾向かオーバス
テア傾向かを判定して、アンダステア傾向の場合に旋回
内側前輪を基準車速を検出する車輪として選択する一
方、オーバステア傾向の場合に旋回内側後輪を検出する
車輪として選択することにより、車両のアンダステア傾
向およびオーバステア傾向を抑制して車両の走行安定性
を向上させながら、基準車速を検出する車輪が選択でき
るようになっている。
【0086】次に、図10〜図14は本発明の実施の形
態3を示し、図10はトラクション制御装置の機能ブロ
ック図、図11はトラクション制御装置の概略構成を示
す説明図、図12はトラクション制御における基準車速
算出のフローチャート、図13は基準車速検出用制動輪
選択ルーチンのフローチャート、図14はスプリットμ
路走行判定ルーチンのフローチャートである。尚、本発
明の実施の形態3は、トラクション制御における基準車
速算出について、主に基準車速を検出する車輪の選択が
異なり、前記発明の実施の形態1,2と同様の部分につ
いてはその説明を省略する。
【0087】すなわち、図11に示すように、横加速度
ayを検出する横加速度センサ27が前記発明の実施の
形態2に加えて設けられ、制御装置50に接続されてい
る。
【0088】上記制御装置50は、前記各車輪速度セン
サ23fl,23fr,23rl,23rrが接続され、上記ハ
ンドル角センサ25,ヨーレートセンサ26,横加速度
センサ27が接続されるとともに、上記エンジン制御部
17からエンジン出力トルクTe 信号とエンジン回転数
Ne 信号が入力され、上記自動変速機制御部22からギ
ヤ比i信号が入力されて、上記エンジン制御部17に対
しエンジン出力信号を出力する一方、上記ブレーキ駆動
部18に駆動信号を出力するようになっている。
【0089】この制御装置50は、図10に示すよう
に、トルコンでのトルク比演算部31,駆動輪トルク演
算部32,ブレーキ液圧推定/検出部33,目標制動力
設定部35,制動信号出力部36,グリップ判定および
基準車速設定部37,前輪舵角算出部41,目標ヨーレ
ート算出部42,ヨーレート偏差算出部43,車速検出
用制動輪選択部51が基準車速を算出設定するために設
けられ、さらに、算出設定した基準車速と車両の走行状
態に応じて駆動力の制御と制動力の制御とを行うトラク
ションコントロール用制御部38が設けられて主要に構
成されている。
【0090】上記車速検出用制動輪選択部51は、上記
各車輪速度センサ23fl,23fr,23rl,23rrから
それぞれの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが、上記ヨ
ーレートセンサ26から実ヨーレートγが、上記横加速
度センサ27から横加速度ayが入力されるとともに、
上記ブレーキ液圧推定/検出部33から各車輪に対する
ブレーキ液圧BFL,BFR,BRL,BRRの信号
が、上記ヨーレート偏差算出部43からヨーレート偏差
Δγが入力され、実ヨーレートγから旋回方向を判定
し、ヨーレート偏差Δγを基に車両の走行状態がアンダ
ステア傾向かオーバステア傾向かを判定して、アンダス
テア傾向の場合に旋回内側前輪を基準車速を検出する車
輪として選択する。
【0091】一方、走行状態がオーバステア傾向の場
合、さらに車両のローリング状態を考慮して、旋回内側
後輪の荷重移動による接地荷重が設定値Wcr以上の場合
には、旋回内側後輪を基準車速を検出する車輪として選
択し、接地荷重が設定値Wcrより小さい場合には、旋回
外側後輪を基準車速を検出する車輪として選択する。
【0092】また、大きなアンダステア傾向やオーバス
テア傾向ではない場合には、スプリットμ路走行の場合
に高μ路側後輪を基準車速を検出する車輪として選択
し、通常の路面走行の場合には、4輪のブレーキ液圧B
FL,BFR,BRL,BRRの中で最も小さい値が予
め設定しておいたブレーキ液圧BPC以下の場合に車輪
速度が最も低い車輪速度の車輪を基準車速Vbを検出す
る車輪として選択する一方、上記設定値BPCより大き
い場合には上記ブレーキ液圧の最も小さい値の車輪を基
準車速Vbを検出する車輪として選択する基準車速検出
用車輪選択手段としてのものである。この車速検出用制
動輪選択部51での選択の結果は上記目標制動力設定部
35と上記グリップ判定および基準車速設定部37とに
出力される。
【0093】すなわち、トラクション制御作動中にある
一輪を強制的に自由転動状態にすると、その車輪の駆動
力は略0となる反面、横方向のグリップは最大限に発揮
できる状態となる。このため、車両の走行状態が、アン
ダステア傾向の場合に旋回内側前輪を基準車速を検出す
る車輪として選択する一方、オーバステア傾向の場合に
旋回内側後輪を検出する車輪として選択すれば、車両の
アンダステア傾向およびオーバステア傾向を抑制するこ
とになり、車両の走行安定性を向上させることができる
ようになる。
【0094】ここで、オーバステア傾向の際に旋回内側
の後輪を選択し自由転動状態にすれば、3輪による駆動
になっても、ローリングにより、もともと接地荷重の小
さい車輪なので、トラクション性能の低下は最小限に抑
えられる。しかし、場合によってはこの車輪が浮上して
しまっている場合もあり、自由転動状態に維持すること
が不可能な場合もある。一方、旋回外側の後輪は接地状
態が安定しており、確実な車体速検出が期待できる。更
に、駆動力を0としたことによるヨーモーメントも車両
のヨーイングを抑える方向に働き好都合となるが、トラ
クション性能の低下が大きくなる。このようなことか
ら、旋回中の後輪の接地荷重を選択の際の条件として、
トラクション性能の低下を防止し、基準車速を検出する
車輪を確実に選択できるようになっているのである。
【0095】後輪側でのロールによる荷重移動量ΔWr
は、次式で与えられる。前後懸架装置のロール剛性をそ
れぞれKφf,Kφr,地面からのロールセンタ高さを
hr,後輪のトレッドをdr,車体重心点とロール軸間
距離をhs,前軸と重心間の距離をLf,ホイールベー
スをL,車体重量をWsとし、横加速度ayがay=ρ
・g(gは重力加速度)で与えられるとすると、 ΔWr=(ρ・Ws/dr) ・(hs/(1+(Kφf/Kφr)−(Ws・hs/Kφr)) +(Lf/L)・hr) …(7) また、大きなアンダステア傾向やオーバステア傾向では
ない場合、スプリットμ路走行の場合に高μ路側後輪を
基準車速を検出する車輪として選択し、自由転動状態に
した車輪速度から確実に基準車速が検出できるようにな
っている。
【0096】次に、本発明の実施の形態3によるトラク
ション制御における基準車速算出について、主に基準車
速を検出する車輪の選択を図12〜図14のフローチャ
ートで説明する。
【0097】図12は前記発明の実施の形態2の図8に
対応するトラクション制御における基準車速算出のフロ
ーチャートで、S101で基準車速算出実行と判定さ
れ、S501に進むと、上記各車輪速度センサ23fl,
23fr,23rl,23rrから4輪の車輪速度ωfl,ωf
r,ωrl,ωrrが、ハンドル角センサ25からハンドル
角θが、上記ヨーレートセンサ26から実ヨーレートγ
が横加速度センサ27から横加速度ayが入力されると
ともに、上記エンジン制御部17からエンジン出力トル
クTe 信号とエンジン回転数Ne 信号が、上記自動変速
機制御部22からギヤ比i信号が、上記制御装置50の
グリップ判定および基準車速設定部37から前回設定し
た車速Vbが読み込まれる。
【0098】その後、S302で実舵角δfを演算し、
S303で目標ヨーレートγ' を演算し、S304でヨ
ーレート偏差Δγを演算してS103に進み、このS1
03でトルコンでのトルク比tを演算し、S104で各
駆動輪トルクTFL,TFR,TRL,TRRを演算
し、S105でブレーキ液圧BFL,BFR,BRL,
BRRの信号として検出して(以上S302〜S105
まで前記発明の実施の形態2に同じ)、S502に進
む。
【0099】上記S502は上記車速検出用制動輪選択
部51で、後述する基準車速検出用制動輪選択ルーチン
(図13)によって基準車速を検出する車輪を選択する
もので、このS502で車速を検出する車輪を選択した
後、S107へ進み、上記目標制動力設定部35で、各
駆動輪トルクTFL,TFR,TRL,TRRと上記車
速検出用制動輪選択部51からの基準車速を検出する車
輪の選択結果とから、上記車速検出用制動輪選択部51
で選択した車輪に伝達している駆動輪トルクに応じ、こ
の選択した車輪を自由転動状態にする目標制動力、すな
わち選択した車輪に伝達している駆動輪トルクの逆トル
クを目標制動力として算出設定する。
【0100】そして、S108に進み、上記制動信号出
力部36で、上記車速検出用制動輪選択部51で選択し
た車輪に対する制動力が、上記目標制動力設定部35か
らの目標制動力になるようにブレーキ液圧の信号を上記
ブレーキ駆動部18へ出力し、各車輪に設定される制動
力に応じたブレーキ液圧信号を出力する。
【0101】その後、S109に進んで、前記発明の実
施の形態1の図4に示す手順に従って、上記車速検出用
制動輪選択部51で選択した車輪がグリップ状態にある
か判定し、グリップ状態にある場合に、この車輪の速度
を車速に換算し、基準車速Vbとして補正してプログラ
ムを終了する。
【0102】図13に示す基準車速検出用制動輪選択ル
ーチンでは、S401で、実ヨーレートγが設定値εよ
りも大きいか否か、すなわち、ある程度大きな左旋回状
態か否かの判定が行なわれ、実ヨーレートγがε以下の
場合には、S402に進み、実ヨーレートγが−εより
も小さいか否か、すなわち、ある程度大きな右旋回状態
か否かの判定が行なわれる。
【0103】このS402で、ある程度大きな右旋回状
態ではないと判定される実ヨーレートγの範囲(ε≧γ
≧−ε)では、運動状態が略直進運動状態であるのでS
601に進む。
【0104】上記S401で、γ>εで、ある程度大き
な左旋回状態と判定されるとS403に進み、ヨーレー
ト偏差Δγと設定値εΔγとを比較し、ヨーレート偏差
Δγが|Δγ|≦εΔγで0に近く、略ニュートラルス
テアの場合には上記S601に進み、これ以外の場合
(アンダーステア傾向あるいはオーバーステア傾向の場
合)はS404に進む。
【0105】このS404は、アンダーステア傾向かオ
ーバーステア傾向であるかを判定するステップで、Δγ
>εΔγか否かの判定が行なわれ、Δγ≧εΔγであり
ヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号と
異なる負の場合は、目標ヨーレートγ' に対してアンダ
ーステア傾向と判定してS405に進み、旋回内側前輪
である左前輪を基準車速を検出する車輪として選択して
ルーチンを抜ける。
【0106】また、上記S404で、Δγ>εΔγであ
りヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号
と同じ正の場合は、目標ヨーレートγ' に対してオーバ
ーステア傾向と判定してS602に進み、左後輪の接地
荷重Wrlの演算を行いS603に進んで、接地荷重Wrl
と設定値Wcrとを比較し、左後輪の接地荷重Wrlが設定
値Wcr以上(Wrl≧Wcr)であり、浮き上がるような状
態ではなく十分正確に基準車速を検出する車輪と判断で
きる場合にはS604に進んで左後輪を基準車速を検出
する車輪として選択してルーチンを抜け、左後輪の接地
荷重Wrlが設定値Wcrより小さく(Wrl<Wcr)、浮き
上がるような状態で、正確に基準車速を検出する車輪と
は判断できない場合にはS605に進んで右後輪を基準
車速を検出する車輪として選択してルーチンを抜ける。
【0107】一方、上記S402で、γ<−εで、ある
程度大きな右旋回状態と判定されるとS407に進み、
ヨーレート偏差Δγが|Δγ|≦εΔγで0に近く、略
ニュートラルステアであるか否かの判定が行なわれる。
【0108】そして、上記S407で、|Δγ|≦εΔ
γであり、略ニュートラルステアと判定されるとS60
1に進み、これ以外の場合(アンダーステア傾向あるい
はオーバーステア傾向の場合)はS408に進む。
【0109】このS408は、アンダーステア傾向かオ
ーバーステア傾向であるかを判定するステップで、Δγ
<−εΔγか否かの判定が行なわれ、Δγ≧−εΔγで
ありヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符
号と異なる正の場合は、目標ヨーレートγ' に対してア
ンダーステア傾向と判定してS409に進み、旋回内側
前輪である右前輪を基準車速を検出する車輪として選択
してルーチンを抜ける。
【0110】また、上記S408で、Δγ<−εΔγで
ありヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符
号と同じ負の場合は、目標ヨーレートγ' に対してオー
バーステア傾向と判定してS606に進み、右後輪の接
地荷重Wrrの演算を行いS607に進んで、接地荷重W
rrと設定値Wcrとを比較し、右後輪の接地荷重Wrrが設
定値Wcr以上(Wrr≧Wcr)であり、浮き上がるような
状態ではなく十分正確に基準車速を検出する車輪と判断
できる場合にはS608に進んで右後輪を基準車速を検
出する車輪として選択してルーチンを抜け、右後輪の接
地荷重Wrrが設定値Wcrより小さく(Wrr<Wcr)、浮
き上がるような状態で、正確に基準車速を検出する車輪
とは判断できない場合にはS609に進んで左後輪を基
準車速を検出する車輪として選択してルーチンを抜け
る。
【0111】上記S402,S403あるいはS407
からS601に進むと、車両の走行が、非スプリットμ
路走行か、左側路面が高μ路のスプリットμ路走行か、
あるいは、右側路面が高μ路のスプリットμ路走行かの
判定が、後述するスプリットμ路走行判定ルーチン(図
14)によって行われ、S610に進む。
【0112】スプリットμ路走行の場合には、このS6
10により、S611に進み、右側高μ路のスプリット
μ路走行の場合はS612に進んで右後輪を基準車速を
検出する車輪として選択してルーチンを抜け、左側高μ
路のスプリットμ路走行の場合はS613に進んで左後
輪を基準車速を検出する車輪として選択してルーチンを
抜ける。
【0113】車両の走行が、非スプリットμ路走行の場
合は、上記S610からS411に進み、4輪のブレー
キ液圧BFL,BFR,BRL,BRRの中で最も小さ
い値が予め設定しておいたブレーキ液圧BPC以下か否
か判定され、ブレーキ液圧BPC以下の場合はS412
に進み車輪速度が最も低い車輪速度の車輪を基準車速を
検出する車輪として選択する一方、ブレーキ液圧BPC
より大きい場合はS413に進み、ブレーキ液圧の最も
小さい値の車輪を基準車速を検出する車輪として選択す
る。このS411〜S413は、前記発明の実施の形態
1で行われる処理と同じものである。
【0114】図14に示すスプリットμ路走行判定ルー
チンでは、S701で、前輪側の左右のブレーキ液圧差
BFL−BFRが予め設定しておいた値BCより大きい
か否か判定され、設定値BCより大きい(BFL−BF
R>BC)場合、S702に進み、後輪側の左右のブレ
ーキ液圧差BRL−BRRが設定値BCより大きいか否
か判定され、設定値BCより大きい(BRL−BRR>
BC)場合、すなわち前輪側、後輪側共に左側車輪の方
が右側車輪よりブレーキ液圧が設定値BCより大きい場
合はS705に進み、右側高μ路のスプリットμ路走行
状態と判定する。
【0115】上記S701でBFL−BFR≦BC、あ
るいは、S702でBRL−BRR≦BCの場合、S7
03に進み、前輪側で右車輪の方が左車輪よりブレーキ
液圧が設定値BCより大きいかが(BFL−BFR<−
BC)判定され、設定値BCより大きい場合、S704
に進み、後輪側で右車輪の方が左車輪よりブレーキ液圧
が設定値BCより大きいかが(BRL−BRR<−B
C)判定され、設定値BCより大きい場合、すなわち前
輪側、後輪側共に右側車輪の方が左側車輪よりブレーキ
液圧が設定値BCより大きい場合はS706に進み、左
側高μ路のスプリットμ路走行状態と判定する。
【0116】そして上記S703でBFL−BFR≧−
BC、あるいは、S704でBRL−BRR≧−BCの
際はS707に進み、非スプリットμ路走行状態と判定
する。
【0117】このように、本発明の実施の形態3では、
車両の走行状態がアンダーステア傾向かオーバーステア
傾向か判定し、オーバーステア傾向の際には荷重移動も
考慮して基準車速を検出する車輪の選択を行うので、ト
ラクション性能の低下を最小限に、かつ、確実に基準車
速を検出する車輪の選択が行える。
【0118】また、スプリットμ路走行であっても高μ
路側の後輪を選択するようになっており、正確な基準車
速の検出を行える。
【0119】さらに、様々な状況に応じた基準車速を検
出する車輪の選択を行うことで、それぞれの状況に応じ
た緻密な制御が行える。
【0120】尚、基準車速を検出する車輪の選択は、上
記各発明の実施の形態に限ることなく、単独で設定する
もの(例えばスプリットμ路走行判定のみ)やこれらを
組み合わせて設定するもの等の多くがあることはいうま
でもない。
【0121】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
4輪駆動車の場合のグリップ、スリップ等の際であって
も、継続して、誤差が累積することなく正確に車両速度
を算出することができ、精度良く制御することが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるトラクション制御
装置の機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1によるトラクション制御
装置の概略構成を示す説明図
【図3】本発明の実施の形態1によるトラクション制御
における基準車速算出のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1による基準車速補正ルー
チンのフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1による速度比とトルコン
でのトルク比との関係図
【図6】本発明の実施の形態2によるトラクション制御
装置の機能ブロック図
【図7】本発明の実施の形態2によるトラクション制御
装置の概略構成を示す説明図
【図8】本発明の実施の形態2によるトラクション制御
における基準車速算出のフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2による基準車速検出用制
動輪選択ルーチンのフローチャート
【図10】本発明の実施の形態3によるトラクション制
御装置の機能ブロック図
【図11】本発明の実施の形態3によるトラクション制
御装置の概略構成を示す説明図
【図12】本発明の実施の形態3によるトラクション制
御における基準車速算出のフローチャート
【図13】本発明の実施の形態3による基準車速検出用
制動輪選択ルーチンのフローチャート
【図14】本発明の実施の形態3によるスプリットμ路
走行判定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速機 16fl,16fr,16rl,16rr 4輪 17 エンジン制御部 18 ブレーキ駆動部 21fl,21fr,21rl,21rr ホイールシリンダ 22 自動変速機制御部 23fl,23fr,23rl,23rr 車輪速度センサ 30 制御装置 31 トルコンでのトルク比演算部(駆動輪トルク演
算手段) 32 駆動輪トルク演算部(駆動輪トルク演算手段) 33 ブレーキ液圧推定/検出部 34 車速検出用制動輪選択部(基準車速検出用車輪
選択手段) 35 目標制動力設定部(目標制動力設定手段) 36 制動信号出力部(制動信号出力手段) 37 グリップ判定および基準車速設定部(基準車速
設定手段) 38 トラクションコントロール用制御部 代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行状態と制御の基準とする基準
    車速とを求めて駆動力の制御を行う車両のトラクション
    制御装置において、 車両の走行状態を基に車両の各駆動輪に伝達する駆動輪
    トルクを演算する駆動輪トルク演算手段と、基準車速を
    検出する車輪を選択する基準車速検出用車輪選択手段
    と、上記基準車速検出用車輪選択手段で選択した車輪に
    伝達している上記駆動輪トルク演算手段で演算した駆動
    輪トルクに応じ、この選択した車輪を自由転動状態にす
    る目標制動力を算出設定する目標制動力設定手段と、こ
    の目標制動力設定手段で算出設定した目標制動力を上記
    基準車速検出用車輪選択手段で選択した車輪に付加する
    ようにブレーキ駆動部へ信号出力する制動信号出力手段
    と、上記目標制動力設定手段からの信号と上記制動信号
    出力手段からの信号に基づき、上記基準車速検出用車輪
    選択手段で選択した車輪のグリップを判定し、グリップ
    状態での上記選択した車輪の速度から車両の基準車速を
    設定する基準車速設定手段とを備えて上記基準車速を算
    出設定することを特徴とする車両のトラクション制御装
    置。
  2. 【請求項2】 上記基準車速検出用車輪選択手段は、上
    記制動信号出力手段から上記ブレーキ駆動部への出力値
    の中で最も小さい値の車輪を基準車速を検出する車輪と
    して選択することを特徴とする請求項1記載の車両のト
    ラクション制御装置。
  3. 【請求項3】 上記基準車速検出用車輪選択手段は、車
    輪速度の最も小さい車輪を基準車速を検出する車輪とし
    て選択することを特徴とする請求項1記載の車両のトラ
    クション制御装置。
  4. 【請求項4】 上記基準車速検出用車輪選択手段は、車
    両の走行状態がアンダステア傾向かオーバステア傾向か
    を演算して、アンダステア傾向の場合に旋回内側前輪を
    基準車速を検出する車輪として選択する一方、オーバス
    テア傾向の場合に旋回内側後輪を検出する車輪として選
    択することを特徴とする請求項1記載の車両のトラクシ
    ョン制御装置。
  5. 【請求項5】 上記基準車速検出用車輪選択手段は、走
    行中の左後輪と右後輪のそれぞれの接地荷重を演算する
    とともに、車両の走行状態がアンダステア傾向かオーバ
    ステア傾向かを演算して、アンダステア傾向の場合に旋
    回内側前輪を基準車速を検出する車輪として選択する一
    方、オーバステア傾向でかつ旋回内側後輪の接地荷重が
    設定値以上の場合に旋回内側後輪を基準車速を検出する
    車輪として選択し、また、オーバステア傾向でかつ旋回
    内側後輪の接地荷重が設定値より小さい場合に旋回外側
    後輪を基準車速を検出する車輪として選択することを特
    徴とする請求項1記載の車両のトラクション制御装置。
  6. 【請求項6】 上記基準車速検出用車輪選択手段は、路
    面とタイヤとの間の摩擦係数が左輪側と右輪側とで異な
    る路面を走行中であるか否かを検出し、路面とタイヤと
    の間の摩擦係数が左輪側と右輪側とで設定以上に異なる
    路面を走行中の場合は摩擦係数が大きい側の後輪を基準
    車速を検出する車輪として選択することを特徴とする請
    求項1記載の車両のトラクション制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6640178B2 (en) 2000-11-15 2003-10-28 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Process for estimating drive torque in vehicle
JP2012051425A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Advics Co Ltd 車重推定装置および車両の運転制御装置
KR20190069971A (ko) * 2017-12-12 2019-06-20 주식회사 만도 차량 제어 장치 및 차량 제어 방법

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