JP2014040225A - 制駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度な制駆動力制御を行うこと。
【解決手段】車輪速度に基づいて車両の制駆動力を制御する制駆動力制御部と、検出された或る車輪の車輪速度を当該車輪速度と他の車輪の車輪速度とに基づいて補正する車輪速度補正部と、検出された車体加減速度を用いて自車の走行路が坂路であるのか否かを判定する坂路判定部と、自車が坂路を走行している場合、車輪速度の補正を禁止する補正禁止部と、を電子制御装置1に備え、坂路判定部は、車体加減速度の検出精度が低下している場合、自車の所有する又は外部との通信によって取得した自車の走行路情報に基づいて、自車の走行路が坂路であるのか否かを判定すること。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の制駆動力の制御を行う制駆動力制御装置に関する。
従来、この種の制駆動力制御装置としては、車両挙動等の車両の状態に応じて制御対象輪の制駆動力を制御するものが知られている。例えば、その制駆動力制御装置は、EBD制御、ABS制御やTRC制御等の車両制御を行う際に、車輪速度センサで検出された車輪速度や当該車輪速度に基づき推定された車体速度及び車輪のスリップ率等を監視しながら制御対象輪の制動力や駆動力の調整を行う。ここで、車両の各車輪は、その磨耗等により必ずしも全てが工場出荷時の均等な車輪径(車輪半径又は車輪直径)の差を保つとは限らない。そして、磨耗等で車輪径の変動した車輪においては、検出された車輪速度が実際の車輪速度(以下、「実車輪速度」と云う。)に対してずれてしまう可能性がある。また、車輪径の変動等に起因して各車輪の車輪径が異なることになった場合には、車輪速度の検出誤差が車体速度やスリップ率の演算値の誤差にも繋がるので、精度の高い制駆動力制御が行えなくなる可能性がある。
そこで、従来は、車輪速度を補正する為の技術が存在している。その車輪速度の補正技術としては、車両が定常走行(定速での直進走行)を行っているときに車輪毎の所定の補正値を演算し、検出された車輪速度に当該車輪用の補正値を乗算や加算等で織り込むことによって、各車輪の車輪速度の補正を行うものが知られている。例えば、下記の特許文献1の車輪速度補正装置は、車輪毎に車輪半径を含む係数を補正し、この補正された係数を用いることで、磨耗や旋回動作に伴う車輪径の変動が考慮された車輪速度に補正する。また、下記の特許文献2の車輪速度補正の方法及び装置は、各車輪の移動距離に対応する値と他の少なくとも1つの車輪の移動距離に対応する値との比を補正係数として演算し、車両が直進状態のときにその補正係数で各車輪の車輪速度を補正している。
特開平4−283665号公報 特開平10−67313号公報
ところで、各車輪の接地荷重は、荷物の積載量の増減に伴い変化する。そして、走行状況如何では、駆動輪の接地荷重が小さくなっているときに、駆動輪のスリップ率が従動輪のスリップ率よりも高くなってしまう可能性があり、また、駆動輪が従動輪に対してロック傾向を示す可能性もある。この様な走行状況の下では、上述した補正値の演算等、車輪速度の補正を実行したとしても、その補正の精度が低く、制駆動力制御を高精度に実施することができない虞がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、高精度に制駆動力制御を行い得る制駆動力制御装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、車輪速度に基づいて車両の制駆動力を制御する制駆動力制御部と、検出された或る車輪の車輪速度を当該車輪速度と他の車輪の車輪速度とに基づいて補正する車輪速度補正部と、検出された車体加減速度を用いて自車の走行路が坂路であるのか否かを判定する坂路判定部と、自車が坂路を走行している場合、前記車輪速度の補正を禁止する補正禁止部と、を備え、前記坂路判定部は、前記車体加減速度の検出精度が低下している場合、自車の所有する又は外部との通信によって取得した自車の走行路情報に基づいて、自車の走行路が坂路であるのか否かを判定することを特徴としている。
また、上記目的を達成する為、本発明は、車輪速度に基づいて車両の制駆動力を制御する制駆動力制御部と、検出された全ての車輪の車輪速度を所定速度に合わせる為の車輪速度補正量を車輪毎に演算し、検出された車輪の車輪速度を当該車輪の車輪速度補正量で補正する、又は、検出された全ての車輪の車輪径を所定車輪径に合わせる為の車輪径補正量を車輪毎に演算し、検出された車輪の車輪速度を当該車輪の車輪径補正量を用いて補正する車輪速度補正部と、検出された車体加減速度を用いて自車の走行路が坂路であるのか否かを判定する坂路判定部と、を備え、前記車輪速度補正部は、自車が坂路を走行している場合、車輪速度補正量の補正値又は車輪径補正量の補正値を演算して、演算された前記車輪速度補正量を前記車輪速度補正量の補正値で補正する又は演算された前記車輪径補正量を前記車輪径補正量の補正値で補正し、前記坂路判定部は、前記車体加減速度の検出精度が低下している場合、自車の所有する又は外部との通信によって取得した自車の走行路情報に基づいて、自車の走行路が坂路であるのか否かを判定することを特徴としている。
ここで、前記自車の所有する自車の走行路情報は、自車のカーナビゲーションシステムにおける地図情報と自車位置情報とに基づいて取得することが望ましい。
また、前記外部との通信によって取得する自車の走行路情報は、路車間通信又はセンタ間とのインターネットによる通信を介して受信することが望ましい。
本発明に係る制駆動力制御装置は、車体加減速度の検出精度が低下していようといまいと、自車が坂路走行中であるのか否かを判別することができる。これが為、この制駆動力制御装置は、坂路走行中に車輪速度の補正を禁止させる又は車輪速度補正量若しくは車輪径補正量のずれを補正させることができる。従って、この制駆動力制御装置は、誤差のある車輪速度に基づいた要求制動力又は要求駆動力の設定を回避でき、精度の高い制駆動力制御の実施が可能になる。
図1は、本発明に係る制駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。 図2は、車両重量と駆動輪の接地荷重との比について説明する図である。 図3は、駆動輪の接地荷重に応じたスリップ率と駆動力との関係について説明する図である。 図4は、登坂路走行中の車両に作用する力を説明する図である。 図5は、実施例における制駆動力制御装置の動作の一例を説明するフローチャートである。 図6は、変形例における制駆動力制御装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
以下に、本発明に係る制駆動力制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る制駆動力制御装置の実施例を図1から図6に基づいて説明する。
本実施例の制駆動力制御装置は、動力源10の出力する駆動力や制動装置20の出力する制動力を制御するものであり、その演算処理機能が電子制御装置(ECU)1の一機能として用意されている。
動力源10は、機関や回転電機等であり、車両走行時の駆動力を発生させる。その駆動力は、電子制御装置1の制駆動力制御部によって制御され、変速機等の動力伝達装置(図示略)を介して駆動輪に伝達される。機関は、例えば内燃機関や外燃機関等の所謂エンジンである。回転電機は、電動機や電動発電機等である。車両は、この動力源10として機関と回転電機の内の少なくとも1つを搭載している。
制動装置20は、車輪Wfi,Wri(i=l,r)毎の制動力発生部(キャリパ等)21fi,21ri(i=l,r)にブレーキ液圧を供給し、そのブレーキ液圧に応じた制動力を各車輪Wfi,Wriに発生させる。そのWfiは、左前輪Wflと右前輪Wfrを表している。また、Wriは、左後輪Wrlと右後輪Wrrを表している。21fiは、左前輪Wflの制動力発生部21flと右前輪Wfrの制動力発生部21frを表している。また、21riは、左後輪Wrlの制動力発生部21rlと右後輪Wrrの制動力発生部21rrを表している。
この制動装置20は、制動力を車輪Wfi,Wri毎に制御するブレーキ液圧調整部としてのアクチュエータ22を備える。そのアクチュエータ22は、電子制御装置1の制駆動力制御部によって制御され、運転者によるブレーキペダル25の操作量(ペダルストローク、ペダル踏力等)に応じたブレーキ液圧をそのまま又は調圧して制動力発生部21fi,21riに供給することができる。このアクチュエータ22は、各車輪Wfi,Wriの内の特定の車輪(制御対象輪)のみへの制動力の付与も可能である。
この制駆動力制御装置は、EBD制御、ABS制御、TRC制御、VSC制御等の車両制御を行う際に、制御対象輪の制駆動力を制御する。
EBD(Electronic Brake force Distribution)制御は、各車輪Wfi,Wriの車輪速度を監視し、走行状況に応じた適切な各車輪Wfi,Wriの目標制動力配分で各車輪Wfi,Wriに制動力を発生させる制御である。例えば、平坦路や降坂路でのブレーキ操作時には、後輪Wriのスリップ率が前輪Wfiのスリップ率よりも高くならないように、全ての車輪Wfi,Wriが均等なスリップ率となる目標制動力配分で制動力が制御される。
夫々の車輪速度は、車輪Wfi,Wri毎に設けた車輪速度検出装置としての車輪回転角センサ31fi,31ri(i=l,r)で検出する。その31fiは、左前輪Wflの車輪回転角センサ31flと右前輪Wfrの車輪回転角センサ31frを表している。また、31riは、左後輪Wrlの車輪回転角センサ31rlと右後輪Wrrの車輪回転角センサ31rrを表している。その車輪回転角センサ31fi,31riは、例えば各車輪Wfi,Wriの夫々の車軸の回転角を検出するものである。電子制御装置1は、車輪回転角センサ31fi,31riの検出信号を受信し、その検出信号に基づいて車輪速度を演算する。例えば、電子制御装置1は、前述した様に、その検出信号から車軸の回転角速度を求め、この回転角速度を車輪半径に応じた換算値によって換算することで、車輪Wfi,Wri毎に車輪速度を演算する。また、この電子制御装置1は、その検出信号に基づいて、車輪加減速度(車輪速度の微分値)、車体速度(車速)や走行距離を演算することもできる。
ABS(Anti-lock Brake System)制御は、運転者のブレーキ操作による車両制動時に制御対象輪の制動力を増減させることで当該制御対象輪のロックを防ぐ制御であり、各車輪Wfi,Wriの車輪速度を監視し、ロック傾向を示す制御対象輪の制動力の調整を行う。
TRC(TRaction Control)制御は、車両発進時や車両加速時に動力源10の駆動力を減少させることで駆動輪の空転を防ぐ制御であり、その制御対象輪の車輪速度と車体速度(車速)等に基づいて駆動力の調整を行う。
車体速度は、車速検出装置32によって検出する。その車速検出装置32としては、動力伝達装置(例えば変速機)の出力軸の回転角を検出する回転角センサ、自車位置の移動距離の把握が可能なGPS(Global Positioning System)等を利用することができる。尚、この例示では、上記の車輪回転角センサ31fi,31riを車速検出装置32としても利用する。電子制御装置1は、例えば、車輪回転角センサ31fi,31riの検出信号に基づき得られた各車輪Wfi,Wriの車輪速度の平均値を求め、この車輪速度の平均値に基づいて車体速度の演算を行えばよい。但し、駆動輪は、駆動力の発生に伴いスリップが発生し、車輪速度に変動が生じる可能性がある。これが為、この例示では、車輪速度の変動が少ない従動輪の車輪速度の平均値を求め、この車輪速度の平均値に基づいて車体速度を演算する。その際、車体速度は、1本の従動輪の車輪速度から演算してもよく、これよりも精度を上げるべく、全ての従動輪の車輪速度の平均値から演算してもよい。電子制御装置1は、車速検出装置32の検出信号に基づいて、車体加減速度(車体前後方向の加減速度であって車体速度の微分値)や走行距離(車体速度の積分値)を演算することもできる。
VSC(Vehicle Stability Control)制御は、制御対象輪の制動力や駆動力を制御して、アンダーステア方向又はオーバーステア方向のヨーモーメントを車体に発生させることで車体の横滑りを防ぐ車両安定化制御である。このVSC制御では、各車輪Wfi,Wriの車輪速度や車体横加速度等を監視し、制駆動力の制御対象となる制御対象輪を決める。
車体横加速度は、車体横加速度センサ33で検出する。電子制御装置1には、この車体横加速度センサ33の検出信号が入力される。
この様に、車両制御においては、車輪速度の情報が必要になる。ところが、各車輪Wfi,Wriは、必ずしも全てが均等に磨耗していくとは限らず、例えば前輪Wfiと後輪Wriとで車輪径(車輪半径又は車輪直径)やグリップが異なるものになっていくことがある。また、車両の所有者は、前輪Wfiと後輪Wriとで異なる車輪径のものに履き替えることもある。
ここで、車輪径が変動した場合には、検出された車輪速度が実車輪速度に対してずれてしまう可能性がある。そして、この場合には、この車輪速度の検出誤差によってスリップ率の演算値もずれる虞がある。また、上述した様に、車体速度は、各車輪Wfi,Wriの車輪速度の平均値に基づき求めているので、各車輪Wfi,Wriの車輪径の変動や夫々の車輪径の相違によって、実際の車体速度に対してずれてしまう可能性がある。従って、車輪速度に検出誤差が発生しているときには、実際よりもずれている車輪速度、スリップ率や車体速度等に基づいて要求制動力や要求駆動力が演算されてしまうので、実際に必要とされているよりも制動力や駆動力が過大又は過小になり、制駆動力制御の精度を低下させてしまう虞がある。その際、喩え車体速度を車輪速度に依ることなく高精度に検出したとしても、制駆動力制御の精度は、車輪速度やスリップ率の誤差によって低下してしまう可能性がある。つまり、検出された車輪速度がずれている場合には、制駆動力制御の精度を低下させてしまうことで、精度の良い車両制御が実行されない可能性がある。
そこで、電子制御装置1には、車輪回転角センサ31fi,31riで検出された車輪速度を補正する又は車輪径を補正することで当該車輪回転角センサ31fi,31riで検出された車輪速度を補正する車輪速度補正部が設けられている。この例示では車輪速度補正部を制駆動力制御装置の一機能として設けるが、その車輪速度補正部は、車輪速度補正装置として設けてもよい。
その車輪速度の補正制御は、この技術分野で周知の方法によって実行される。例えば、車輪速度補正部は、前述した様に、車両が定常走行を行っているときに車輪Wfi,Wri毎の所定の車輪速度補正量KSfi,KSri(i=l,r)を演算する。そのKSfiは、左前輪Wflの車輪速度補正量KSflと右前輪Wfrの車輪速度補正量KSfrを表している。また、KSriは、左後輪Wrlの車輪速度補正量KSrlと右後輪Wrrの車輪速度補正量KSrrを表している。
その車輪速度補正量KSfi,KSriは、例えば、検出された全ての車輪Wfi,Wriの車輪速度を所定速度に合わせる為のものである。その所定速度は、例えば、各車輪Wfi,Wriの車輪速度の平均値等であって、実車輪速度に相当する。この例示では、検出された車輪速度に当該車輪Wfi,Wri用の車輪速度補正量KSfi,KSriを乗算や加算等で織り込むことによって、各車輪Wfi,Wriの車輪速度の補正を行う。車輪速度補正部は、車軸の回転角が検出された或る車輪の車輪速度を演算する際に、例えば、その車軸の回転角に応じて演算された車輪速度を当該車輪の車輪速度補正量KSfi(KSri)で補正することによって、この車輪の車輪速度を他の車輪の車輪速度と同じ上記の所定速度に補正する。これにより、この車輪の補正後の車輪速度は、その車輪速度補正量KSfi,KSriで実車輪速度に近づくよう補正されたものとして検出される。
また、車輪径の補正制御は、この技術分野で周知の方法によって実行される。例えば、車輪速度補正部は、車両が定常走行を行っているときに車輪Wfi,Wri毎の所定の車輪径補正量KRfi,KRri(i=l,r)を演算する。そのKRfiは、左前輪Wflの車輪径補正量KRflと右前輪Wfrの車輪径補正量KRfrを表している。また、KRriは、左後輪Wrlの車輪径補正量KRrlと右後輪Wrrの車輪径補正量KRrrを表している。
その車輪径補正量KRfi,KRriは、例えば、検出された全ての車輪Wfi,Wriの車輪径を所定車輪径に合わせる為のものである。その所定車輪径は、例えば、各車輪Wfi,Wriの車輪径の平均値等であって、実車輪径に相当する。この例示では、車輪速度の演算用パラメータに当該車輪Wfi,Wriの車輪径補正量KRfi,KRriを乗算や加算等で織り込むことによって、車輪径の補正制御を行う。その車輪速度の演算用パラメータとは、検出された車軸の回転角に基づき車輪速度を演算する際に用いている車輪Wfi,Wri毎のパラメータのことであり、車輪径の情報を含むものである。この例示では、上記の換算値等が車輪速度の演算用パラメータに該当する。車輪速度補正部は、例えば、この車輪径補正量KRfi,KRriで車輪速度の演算用パラメータを予め補正しておき、車輪の車輪速度を検出する際に、補正後の車輪径の情報が含まれている当該車輪の演算用パラメータと当該車輪の車軸の回転角とに基づいて当該車輪の車輪速度を演算する。これにより、この演算された車輪の車輪速度は、その車輪径補正量KRfi,KRriで実車輪速度に近づくよう補正されたものとして検出される。
ところで、車両においては、一般的に車両の前後何れか一方に荷室が設けられているので、荷物の積載量が多いときと少ないときとで車輪Wfi,Wriの接地荷重が変わる。例えば、後輪駆動で車両後部側に荷室を有する車両では、荷物の積載量が少なくなるほど、従動輪Wfiよりも駆動輪Wriにおいて接地荷重が小さくなっていく。つまり、この車両では、荷物の積載量が少なくなったときに、従動輪Wfiの接地荷重の減少度合いと比較して駆動輪Wriの接地荷重の減少度合いの方が大きくなる。このことは、トラック等に代表される荷物の積載量の増減の幅が大きい輸送車両において顕著に表れる。
図2には、車両重量を駆動輪の接地荷重で除した値(以下、「重量比」と云う。)が百分率で示されている。この図2に示す軽積時とは、荷物の積載量が少ないときのことである。また、定積時とは、規定積載量(最大積載量)の荷物を積んでいるときのことである。上記の様な車両後部側に荷室を有する後輪駆動車(ここではFR車)においては、軽積時の重量比が定積時の重量比よりも大きくなる傾向にある。そして、この車両では、荷物の積載量の増減の幅が大きいほど、荷物の積載量が少なくなるにつれて軽積時の重量比が定積時の重量比よりも大きくなっていく。この図2のFR車(a)は、一般的な乗用車であり、トランクルームが荷室として用意されている。FR車(b)は、キャビンの後方に荷台又は荷室が設けられた輸送車両である。FR車(c)は、そのFR車(b)よりも荷物の積載量の増減の幅が大きい輸送車両である。
また、この図2には、前輪駆動で車両後部側に荷室を有する車両(ここではFF車)も表している。そのFF車は、所謂2BOX車と云われる小型車であり、後席の後方に荷室が設けられている。この車両では、荷物の積載量の減少により各車輪Wfi,Wriの接地荷重が小さくなるが、荷室に近い従動輪Wriの接地荷重の減少度合いの方が駆動輪Wfiの接地荷重の減少度合いよりも大きい。また、この車両においては、動力源10が駆動輪Wfiの上に配置されているので、軽積時の重量比が定積時の重量比よりも小さくなっている。
ここで、車両を平坦路で走行させる際には、路面抵抗(=摩擦係数×接地荷重)や空気抵抗による夫々の力に対抗する駆動力を駆動輪に発生させればよい。また、車両を坂路で走行させる際には、路面抵抗と空気抵抗と重力による夫々の力に対抗する駆動力を駆動輪に発生させればよい。尚、ここでは、走行路の勾配の有無に拘わらず、路面に対する垂直方向の荷重を接地荷重とする。
この様に、車両の走行には、接地荷重が大きければ大きな要求駆動力が必要とされ、接地荷重が小さければ小さな要求駆動力で済む。しかしながら、接地荷重を把握できない車両においては、接地荷重の大きさに応じた要求駆動力の演算は難しく、例えば或る所定の大きさの接地荷重が作用しているものと仮定し、その仮定の下で路面抵抗(摩擦係数)の推定を行うことによって、要求駆動力を求める。この為、駆動輪の接地荷重が所定の大きさの接地荷重よりも小さくなっている車両においては、過大な要求駆動力となり、その駆動輪のスリップ率が高くなってしまう可能性がある。つまり、駆動輪のスリップ率は、同じ大きさの駆動力を発生させるのであれば、駆動輪の接地荷重が小さいほど高くなる(図3)。
例えば、車両後部側に荷室を有する後輪駆動車では、平坦路や坂路での定常走行において、荷室の荷物の減少により駆動輪Wriの接地荷重が小さくなる(軽積時の重量比が大きくなる)ので、駆動輪Wriのスリップ率が高くなる。一方、従動輪Wfiにおいては、荷室の荷物の減少による影響を駆動輪Wriほどは受けないので、駆動輪Wriと比較して接地荷重の減少やスリップ率の低下が少ない。これが為、荷室の荷物が減少したときには、駆動輪Wriの接地荷重の減少度合いの方が従動輪Wfiの接地荷重の減少度合いよりも大きくなるので、その荷物が少なくなるほど駆動輪Wriのスリップ率が従動輪Wfiのスリップ率よりも高くなる。従って、駆動輪Wriの車輪速度は、荷室の荷物が減るにつれて、従動輪Wfiの車輪速度よりも高くなっていく。つまり、駆動輪Wriと従動輪Wfiとの間では、荷室の荷物が減少していくと、接地荷重、スリップ率及び車輪速度の夫々の差が拡がっていく。
図4に示す登坂路走行中の後輪駆動車においては、平坦路を走行しているときよりも駆動輪Wriのスリップ率が高くなる。そして、この車両は、登坂路を定常走行で登っていくこともある。これが為、この車両においては、登坂路走行中に上述した車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算が行われる可能性がある。しかしながら、この車両は、登坂路の定常走行中に、荷室の荷物の減少によって駆動輪Wriのスリップ率が従動輪Wfiのスリップ率より高くなっていることもある。従って、この走行状況下で演算された駆動輪Wriの車輪速度補正量KSri又は車輪径補正量KRriは、これを用いて検出された駆動輪Wriの車輪速度を実際よりも低く検出してしまう可能性がある。また、この走行状況下で演算された従動輪Wfiの車輪速度補正量KSfi又は車輪径補正量KRfiは、これを用いて検出された従動輪Wfiの車輪速度を実際よりも高く検出してしまう可能性がある。
また、後輪駆動車は、各車輪Wfi,Wriに制動力を発生させて降坂路を定常走行で下っていくこともある。ここで、この車両は、この走行状況下において駆動輪Wriが従動輪Wfiと比較してロック傾向を示す可能性がある。その制動力の発生要因は、制動装置20とエンジンブレーキの内の少なくとも一方である。特に、この車両は、荷室の荷物の減少によって駆動輪Wriのスリップ率が従動輪Wfiのスリップ率よりも高くなっていると、駆動輪Wriがロックする可能性が高くなる。従って、この走行状況下で演算された駆動輪Wriの車輪速度補正量KSri又は車輪径補正量KRriは、これを用いて検出された駆動輪Wriの車輪速度を実際よりも高く検出してしまう可能性がある。また、特にエンジンブレーキだけで降坂路を定常走行している状況下で演算された従動輪Wfiの車輪速度補正量KSfi又は車輪径補正量KRfiは、これを用いて検出された従動輪Wfiの車輪速度を実際よりも低く検出してしまう可能性がある。
この様に、坂路走行中に演算された車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriは正確性が低くなっている可能性があるので、この場合には、この車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriを用いて車輪速度の検出を行うと、制駆動力制御を高精度に実行することができず、車両制御の精度を低下させてしまう虞がある。これについては、荷物の積載量の増減の幅が大きい輸送車両において顕著に表れる。
そこで、本実施例の制駆動力制御装置は、定常走行中であっても、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算精度の低下に伴い車輪速度の補正の精度が低下する走行状況下において、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算を禁止する。つまり、坂路走行中においては、喩え定常走行を行っていたとしても、車輪速度の補正制御(車輪速度補正量KSfi,KSriの演算)又は車輪径の補正制御(車輪径補正量KRfi,KRriの演算)の実行を禁止し、その演算値によって補正された車輪速度が誤った値として検出されないようにする。
電子制御装置1は、平坦路走行中に車輪速度の補正制御又は車輪径の補正制御の実行を許可し、平坦路を定常走行しているときに車輪速度又は車輪径の補正制御が実行されるようにして、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriによって補正された車輪速度が正しい値として検出されるようにする。一方、この電子制御装置1には、坂路走行中の車輪速度の補正制御又は車輪径の補正制御の実行を禁止させることで、車輪速度の誤った値への補正を禁止する補正禁止部を設けている。具体的に、その補正禁止部は、坂路走行中に車輪速度の補正制御又は車輪径の補正制御の実行を禁止し、喩え定常走行中でも坂路走行中であれば車輪速度の補正制御又は車輪径の補正制御が実行されないようにする。これにより、車輪速度については、正確な値に対してずれが生じている可能性のある坂路走行中の車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算値に基づいた補正が禁止される。
電子制御装置1には、自車の走行路が坂路(登坂路又は降坂路)であるのか否かを判定する坂路判定部を設けている。その坂路判定部は、車体速度情報から推定した推定車体加減速度G0と車体前後加速度センサ34で検出した検出車体加減速度G1との差の絶対値が所定値αを超えているのか否か、そして、その絶対値が所定値αを超えている状態が所定時間続いているのか否かの判定を行うことで、自車が坂路走行中であるのか否かを判断する。この例示の車体前後加速度センサ34は、登坂路における定常走行時又は車両停止時に正の値を出力し、降坂路における定常走行時又は車両停止時に負の値を出力する。
その所定値αは、例えば、坂路の定常走行中に車体前後加速度センサ34で検出された検出車体加減速度G1の絶対値に設定すればよい。坂路を定常走行しているときには、推定車体加減速度G0が0又は略0となる一方、その坂路の勾配に相当する車両前後方向の検出車体加減速度G1が車体前後加速度センサ34によって検出されるからである。また、坂路を加速走行又は減速走行していたとしても、このときには、推定車体加減速度G0が加減速走行に応じた値になると共に、その加減速走行に応じた車体加減速度と坂路の勾配に相当する車体加減速度との和が車体前後加速度センサ34によって検出されるからである。
ここで、この所定値αは、平坦路と坂路とを判別できる値に設定してもよい。しかしながら、極僅かな勾配の坂路の場合には、夫々の車輪Wfi,Wriが平坦路と略同等の動作を示すと考えられる。従って、所定値αは、例えば、車輪速度補正量KSfi,KSri等の演算精度が低下してしまう最小勾配の坂路を走行しているときの検出車体加減速度G1の絶対値に設定する。この最小勾配は、同じ車両であっても、車速や路面摩擦係数等によって変わる。この為、所定値αは、車速や路面摩擦係数等に応じた可変値にしてもよい。
坂路判定部は、坂路と判断し得る状態(推定車体加減速度G0と検出車体加減速度G1との差の絶対値が所定値αを超えている状態)が所定時間続いているのか否か観ている。これは、例えば、従動輪Wfiの車輪回転角センサ31fiや車体前後加速度センサ34におけるノイズ等の誤差を除外する為のものである。従って、その所定時間としては、電子制御装置1の演算周期、車輪回転角センサ31fiや車体前後加速度センサ34の検出周期等に基づいて決めればよい。例えば、この所定時間としては、一時的なノイズ等の誤差を除外すべく、複数の演算周期又は複数の検出周期に合わせて設定すればよい。
この様に、この坂路判定部は、推定車体加減速度G0と検出車体加減速度G1とを用いて坂路走行中であるのか否かの判定を行う。しかしながら、その検出車体加減速度G1の検出精度が低下している場合には、坂路走行中であるのか否かの判定結果の正確性を低下させてしまう。検出車体加減速度G1の検出精度が低下している状態とは、例えば、車体前後加速度センサ34の経年変化、車体前後加速度センサ34と電子制御装置1との間の信号伝達経路の経年変化等の様々な理由によって、正確な値の検出車体加減速度G1を検出できなくなっているとき又は検出車体加減速度G1の検出自体ができなくなっているときである。
従って、この坂路判定部には、検出車体加減速度G1の検出精度が低下している場合、この技術分野で考えられ得る周知のあらゆる方法を用いて、坂路走行中であるのか否かを判定させる。例えば、この坂路判定部は、自車の所有する自車の走行路情報に基づいて、自車の走行路が坂路であるのか否かを判定する。その自車の所有する自車の走行路情報は、例えば、カーナビゲーションシステム41における地図情報と自車位置情報とに基づいて取得することができる。また、この自車の所有する自車の走行路情報は、自車の走行履歴とGPSによる自車位置情報とに基づいて取得することもできる。更に、この坂路判定部は、路車間通信、センタ間とのインターネットによる通信等の如き外部との通信を利用して自車の走行路情報を受信し、その走行路情報に基づいて自車の走行路が坂路であるのか否かを判定してもよい。尚、センタとは、自車の走行路情報等の各種運転支援情報を通信によって提供する運転支援サービスにおける施設や当該施設のサーバ等のことである。
以下に、この制駆動力制御装置における演算処理動作について図5のフローチャートに基づき説明する。
電子制御装置1は、先ず、検出車体加減速度G1の検出精度の低下の有無を判定する(ステップST1)。この判定は、例えば、車体前後加速度センサ34からの信号の入力の有無に基づき行うことができる。この場合、電子制御装置1は、車体前後加速度センサ34からの信号を受信していれば、検出車体加減速度G1の検出精度の低下が無いと判定し、その信号を受信できなければ、検出車体加減速度G1の検出精度が低下していると判定する。また、このステップST1の判定は、例えば、平坦路を定常走行しているときの推定車体加減速度G0と検出車体加減速度G1とのずれ量に基づいて行うこともできる。平坦路を定常走行しているときには、推定車体加減速度G0と検出車体加減速度G1とが共に0又は略0になる。従って、電子制御装置1は、検出車体加減速度G1が推定車体加減速度G0に対してずれている場合、検出車体加減速度G1の検出精度が低下していると判定し、その様なずれが無い場合又はずれが小さい場合(つまり、ずれが検出誤差や演算誤差の範囲内の場合)、検出車体加減速度G1の検出精度の低下が無いと判定する。
電子制御装置1の坂路判定部は、検出車体加減速度G1の検出精度が低下している場合、上述した各種の方法によって坂路走行中であるのか否かの判定を行う。この例示の坂路判定部は、カーナビゲーションシステム41における地図情報と自車位置情報とを取得し(ステップST2)、この地図情報と自車位置情報とに基づいて坂路走行中であるのか否かを判定する(ステップST3)。
自車が坂路走行中の場合、電子制御装置1の補正禁止部は、車輪速度の補正制御又は車輪径の補正制御の実行を禁止する(ステップST4)。つまり、補正禁止部は、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算を禁止することで、車輪速度の誤った値への補正を禁止する。
一方、自車が坂路走行中でない場合、電子制御装置1は、車輪速度の補正制御又は車輪径の補正制御の実行を許可する(ステップST5)。つまり、ここでは、自車が定常走行を行っていれば、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算が実行される。従って、電子制御装置1は、その車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriを用いて車輪速度の補正を実行する。
さて、この電子制御装置1の坂路判定部は、検出車体加減速度G1の検出精度の低下が無い場合、推定車体加減速度G0と検出車体加減速度G1との差の絶対値が所定値α(>0)を超えているのか否かを判定する(ステップST6)。このステップST6では、従動輪の車輪速度のみに基づいて車体速度を演算し、この車体速度に基づいて推定車体加減速度(車体速度の微分値)G0を求める。尚、上述したGPSを利用して車体速度を演算している場合には、この車体速度に基づいて推定車体加減速度G0を演算させてもよく、上記の様に従動輪の車輪速度のみから得た車体速度に基づいて推定車体加減速度G0を演算させてもよい。
電子制御装置1は、推定車体加減速度G0と検出車体加減速度G1との差の絶対値が所定値αを超えていれば、この状態のまま所定時間が経過したのか否かを判定する(ステップST7)。
この例示では、そのステップST6,7を経て、推定車体加減速度G0と検出車体加減速度G1との差の絶対値が所定値αを超えており、この状態が所定時間続いているときに(ST6でYes→ST7でYes)、坂路走行中であると判定する。その判定が為された場合には、上記のステップST4に進む。一方、この例示では、そのステップST6,7を経て、推定車体加減速度G0と検出車体加減速度G1との差の絶対値が所定値αを超えていても、この状態が所定時間続かないとき(ST6でYes→ST7でNo→ST6でNo)、又は、そのステップST6で上記の絶対値が所定値αを超えていないときに(ST6でNo)、坂路走行中ではないと判定する。その判定が為された場合には、上記のステップST5に進む。
この様に、この制駆動力制御装置は、検出車体加減速度G1の検出精度が低下していたとしても、自車が坂路を走行しているのか否かを把握することができる。つまり、この制駆動力制御装置は、検出車体加減速度G1の検出精度が低下していようといまいと、自車が坂路走行中であるのか否かを知ることができる。この為、この制駆動力制御装置は、検出車体加減速度G1の検出精度の低下の有無に拘わらず、その様な精度低下を招く走行状況下での車輪速度又は車輪径の補正制御の実行を禁止することができる。従って、この制駆動力制御装置は、誤差のある車輪速度に基づいた要求制動力又は要求駆動力の設定を防ぐことができ、精度の高い制駆動力制御の実施が可能になる。また、この制駆動力制御装置は、車両制御においても高精度の制駆動力制御を実施でき、必要の無い車両制御の介入や過剰な車両制御の介入等を回避できるので、車両制御の精度向上を図ることができる。これらの有用な効果は、荷物の積載量の増減が大きいトラック等の輸送車両において、より顕著なものとして得ることができる。
EBD制御においては、例えば、誤差のある車輪速度に基づいた各車輪Wfi,Wriの目標制動力配分のずれを回避でき、このずれに伴う各車輪Wfi,Wriでバランスの欠けた制動力制御の実施が回避される。これが為、この制駆動力制御装置は、無用なヨーモーメントの変化に伴う車両挙動の変化を防ぐことができる。
ABS制御においては、例えば、誤差のある車輪速度に基づいて、車輪Wfi,Wriが実際にロック傾向を示しているにも拘わらずロック傾向に無いと判定してしまう事態、又は、車輪Wfi,Wriが実際にロック傾向を示していないのにロック傾向にあると判定してしまう事態を回避できる。これが為、この制駆動力制御装置は、必要とされるときにABS制御を介入させることで、車両挙動の安定化を図ることができ、必要とされないときにABS制御を介入させないので、停止までの距離が無駄に長くなる可能性を減らすことができる。
TRC制御においては、例えば、誤差のある車輪速度に基づいて、駆動輪が実際に空転しているにも拘わらず空転していないと判定してしまう事態、又は、駆動輪が実際に空転していないにも拘わらず空転していると判定してしまう事態を回避できる。これが為、この制駆動力制御装置は、必要とされるときにTRC制御を介入させることで、車両挙動の安定化を図ることができ、必要とされないときにTRC制御を介入させないので、無用な駆動力減少による加速度不足を回避できる。
VSC制御においては、例えば、誤差のある車輪速度に基づいた制御対象輪の過不足のある要求制駆動力の設定を回避できる。これが為、この制駆動力制御装置は、無用なヨーモーメントの変化に伴う車両挙動の変化を防ぐことができる。
ここで、車輪速度又は車輪径の補正制御は、定常走行時に実施する。これが為、図5の例示では、ステップST1の判定を行う前に、自車が定常走行中であるのか否か判定させてもよい。この判定においては、例えば、定速で走行しており、且つ、操舵輪Wfiが転舵していないときに、定常走行中であるとの判定を行う。定速走行であるのか否かについては、例えばステップST6の推定車体加減速度G0に基づいて判定すればよく、この推定車体加減速度G0が0又は略0のときに定速走行中であるとの判定を行う。操舵輪Wfiが転舵しているのか否かは、ステアリングホイール(図示略)の操舵角に基づき判定すればよく、その操舵角が0又は略0のときに直進走行中であると判断する。
電子制御装置1は、自車が定常走行中でなければ、車輪速度又は車輪径の補正制御の実施条件に該当しないので、この図5の一連の演算処理を一旦終わらせる。一方、電子制御装置1は、自車が定常走行中であれば、ステップST1に進む。
[変形例]
前述した実施例では、坂路走行中に車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算を禁止させた。従って、坂路走行中には、検出された車輪速度の精度が低下してしまう虞がある。本変形例では、坂路走行中の場合、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの補正を行うことで、このときの車輪速度の検出精度の低下を抑える。具体的に、電子制御装置1の車輪速度補正部は、車輪速度補正量KSfi,KSriの補正値CS又は車輪径補正量KRfi,KRriの補正値CRの演算を行う。その補正値CS又は補正値CRは、車輪速度補正量KSfi,KSri等の演算精度の低下の原因が坂路走行にある場合、その坂路の勾配に応じた値になる。
その演算処理の一例を図6のフローチャートに基づき説明する。尚、その図6におけるステップST11−ST13,ST16,ST17は、前述した図5のステップST1−ST3,ST6,ST7と同じなので、ここでの詳細な説明を省略する。
電子制御装置1は、検出車体加減速度G1の検出精度が低下している状態で坂路走行中と判定されなかった場合に(ステップST13でNo)、通常通り平坦路を定常走行しているときに車輪速度又は車輪径の補正制御を行うことになるので、この演算処理を一旦終わらせる。尚、この場合には、下記の如く乗算又は除算される補正値CS又は補正値CRを「1」にしてもよい。
これに対して、電子制御装置1は、検出車体加減速度G1の検出精度が低下している状態で坂路走行中と判定した場合(ステップST13でYes)、補正量(車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRri)の補正値を演算する(ステップST14)。車輪速度補正に車輪速度補正量KSfi,KSriを用いる場合、車輪速度補正部は、車輪速度補正量KSfi,KSriの補正が必要となる坂路であると判断して、その補正値CSを演算する。また、車輪速度補正に車輪径補正量KRfi,KRriを用いる場合、車輪速度補正部は、車輪径補正量KRfi,KRriの補正が必要となる坂路であると判断して、その補正値CRを演算する。
ここで例示する補正値CS(>0)又は補正値CR(>0)は、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriに対して除算又は乗算されるものとする。登坂路の場合、駆動輪Wriにおいては車輪速度を上昇させる方向への補正が必要とされ、従動輪Wfiにおいては車輪速度を低下させる方向への補正が必要とされる。これが為、補正値CS又は補正値CRは、登坂路の場合、勾配が大きくなるほど1よりも大きな値とする。また、降坂路の場合、駆動輪Wriにおいては車輪速度を低下させる方向への補正が必要とされ、従動輪Wfiにおいては車輪速度を上昇させる方向への補正が必要とされる。これが為、補正値CS又は補正値CRは、降坂路の場合、勾配が大きくなるほど1よりも小さな値とする。
電子制御装置1は、その補正値を用いて補正量の補正を行う(ステップST15)。車輪速度補正に車輪速度補正量KSfi,KSriを用いる場合、車輪速度補正部は、従動輪Wfiの車輪速度補正量KSfiを補正値CSで除算すると共に(KSfi←KSfi/CS)、駆動輪Wriの車輪速度補正量KSriを補正値CSで乗算する(KSri←KSri*CS)。また、車輪速度補正に車輪径補正量KRfi,KRriを用いる場合、車輪速度補正部は、従動輪Wfiの車輪径補正量KRfiを補正値CRで除算すると共に(KRfi←KRfi/CR)、駆動輪Wriの車輪径補正量KRriを補正値CRで乗算する(KRri←KRri*CR)。
一方、検出車体加減速度G1の検出精度の低下が無い状態で坂路走行中と判定されなかった場合には(ステップST16でNo)、通常通り平坦路を定常走行しているときに車輪速度又は車輪径の補正制御を行うことになるので、この演算処理を一旦終わらせる。尚、この場合にも補正値CS又は補正値CRを「1」にしてもよい。
これに対して、電子制御装置1は、検出車体加減速度G1の検出精度の低下が無い状態で坂路走行中と判定した場合(ステップST17でYes)、上記のステップST14に進む。
この様に、この変形例の制駆動力制御装置は、検出車体加減速度G1の検出精度が低下していようといまいと、自車が坂路走行中であるのか否かを知ることができる。この為、この制駆動力制御装置は、検出車体加減速度G1の検出精度の低下の有無に拘わらず、その様な精度低下を招く走行状況下において、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriのずれを補正することができる。従って、この制駆動力制御装置は、実施例と同様の効果を得ることができるだけでなく、実施例とは異なり車輪速度又は車輪径の補正制御の実行を禁止させないので、車輪速度の検出精度をより高めることができる。
ここで、車輪速度補正部は、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算を定常走行時に実施する。これが為、図6の例示では、ステップST11の判定を行う前に、自車が定常走行中であるのか否か判定させてもよい。電子制御装置1は、自車が定常走行中でなければ、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriの演算条件に該当しないので、この図6の一連の演算処理を一旦終わらせる。一方、電子制御装置1は、自車が定常走行中であれば、ステップST11に進む。
ところで、上述した実施例や変形例の制駆動力制御装置においては後輪駆動車を例に上げて説明したが、これらで説明した技術は、後輪駆動車の場合と同じ様に前輪駆動車にも適用可能である。
更に、別の変形例としては、図5のステップST7で肯定判定(Yes)となった場合、図6のステップST14,ST15に進ませて、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriのずれを補正してもよい。また、更に別の変形例としては、図5のステップST3で肯定判定(Yes)となった場合に、図6のステップST14,ST15に進ませて、車輪速度補正量KSfi,KSri又は車輪径補正量KRfi,KRriのずれを補正してもよい。これらの変形例の制駆動力制御装置においても、上述した実施例や変形例と同様の効果を得ることができる。
1 電子制御装置
10 動力源
20 制動装置
31fl,31fr,31rl,31rr 車輪回転角センサ
32 車速検出装置
33 車体横加速度センサ
34 車体前後加速度センサ
41 カーナビゲーションシステム
Wfl,Wfr,Wrl,Wrr 車輪

Claims (4)

  1. 車輪速度に基づいて車両の制駆動力を制御する制駆動力制御部と、
    検出された或る車輪の車輪速度を当該車輪速度と他の車輪の車輪速度とに基づいて補正する車輪速度補正部と、
    検出された車体加減速度を用いて自車の走行路が坂路であるのか否かを判定する坂路判定部と、
    自車が坂路を走行している場合、前記車輪速度の補正を禁止する補正禁止部と、
    を備え、
    前記坂路判定部は、前記車体加減速度の検出精度が低下している場合、自車の所有する又は外部との通信によって取得した自車の走行路情報に基づいて、自車の走行路が坂路であるのか否かを判定することを特徴とした制駆動力制御装置。
  2. 車輪速度に基づいて車両の制駆動力を制御する制駆動力制御部と、
    検出された全ての車輪の車輪速度を所定速度に合わせる為の車輪速度補正量を車輪毎に演算し、検出された車輪の車輪速度を当該車輪の車輪速度補正量で補正する、又は、検出された全ての車輪の車輪径を所定車輪径に合わせる為の車輪径補正量を車輪毎に演算し、検出された車輪の車輪速度を当該車輪の車輪径補正量を用いて補正する車輪速度補正部と、
    検出された車体加減速度を用いて自車の走行路が坂路であるのか否かを判定する坂路判定部と、
    を備え、
    前記車輪速度補正部は、自車が坂路を走行している場合、車輪速度補正量の補正値又は車輪径補正量の補正値を演算して、演算された前記車輪速度補正量を前記車輪速度補正量の補正値で補正する又は演算された前記車輪径補正量を前記車輪径補正量の補正値で補正し、
    前記坂路判定部は、前記車体加減速度の検出精度が低下している場合、自車の所有する又は外部との通信によって取得した自車の走行路情報に基づいて、自車の走行路が坂路であるのか否かを判定することを特徴とした制駆動力制御装置。
  3. 前記自車の所有する自車の走行路情報は、自車のカーナビゲーションシステムにおける地図情報と自車位置情報とに基づいて取得することを特徴とした請求項1又は2に記載の制駆動力制御装置。
  4. 前記外部との通信によって取得する自車の走行路情報は、路車間通信又はセンタ間とのインターネットによる通信を介して受信することを特徴とした請求項1又は2に記載の制駆動力制御装置。
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