JPH1018015A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH1018015A JP16807396A JP16807396A JPH1018015A JP H1018015 A JPH1018015 A JP H1018015A JP 16807396 A JP16807396 A JP 16807396A JP 16807396 A JP16807396 A JP 16807396A JP H1018015 A JPH1018015 A JP H1018015A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】主として自動車の外板に使用される、めっき皮
膜の密着性にすぐれた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法の提供。 【解決手段】めっき前の鋼板表面を鋼量として片面あた
り 1〜 8 g/m2研削し、次いで加熱し還元または還元焼
鈍して溶融亜鉛めっきを施した後、 2.0〜 7.0 kgf/mm
2 の張力を付加しつつ合金化処理をおこなうことを特徴
とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。さらに、
このめっきの母材鋼板として、Siを0.05〜 0.5%含有
する鋼を用いることを特徴とする請求項1の合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、とくに自動車用鋼
板、あるいはめっきの上に塗装して使用される用途に好
適な、めっき皮膜の母材鋼板への密着性にすぐれた合金
化溶融亜鉛めっきの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家電、建材、及び自動車の産業分
野においては亜鉛系のめっき鋼板が大量に使用されてい
るが、とりわけ、防錆機能、塗装後の性能、経済性等に
すぐれているとして合金化溶融亜鉛めっき鋼板が広く用
いられている。
【0003】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、表面のめっ
き皮膜がFe−Znの金属間化合物皮膜の平均Fe濃度
は一般に重量%で 7〜18%である。合金化させるのは、
めっき皮膜の上にさらに塗装を施す場合、塗料の密着性
が通常の溶融亜鉛めっきに比較してすぐれ、その上塗装
後の耐食性が格段に向上するためである。この合金化溶
融亜鉛めっき鋼板は、通常、連続的に溶融亜鉛めっきを
施した後に、合金化用熱処理炉にて 500〜 600℃の雰囲
気温度で 3〜30s加熱保持し、亜鉛めっき層を母材と反
応させFe−Zn合金とすることにより製造される。
【0004】このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板を自
動車用として用いる場合に、問題となるのはパウダリン
グと低温チッピングである。
【0005】パウダリングというのは、鋼板のプレス加
工時に圧縮変形を受ける領域において、めっき皮膜が粉
状に剥離する現象であり、その部分の耐食性が劣化する
ばかりでなく、剥離した粉末が型(ダイス)に付着し成
形品の表面疵の原因になる。亜鉛めっき鋼板の耐食性
は、めっき皮膜の厚さすなわち目付量が大きいほどすぐ
れており、溶融亜鉛めっき法は、電気めっき法に比較
し、より経済的に目付量を大きくすることが容易であ
る。しかしながら合金化処理をおこなった場合、目付量
が大きくなるほど耐パウダリング性は劣ってくるので、
合金化溶融亜鉛めっきでは目付量が限定される。さら
に、めっき浴中のAl濃度の管理、合金化度の制限、合
金化温度や時間を選定することによる合金層の組織や組
成の管理、などによって耐パウダリング性の改善がはか
られてきた。
【0006】低温チッピングは、たとえば自動車の外面
にめっき鋼板が使用され表面が塗装されている場合、冬
季の厳寒期、走行中に小石が塗装面に衝突したとき、そ
の衝撃で塗装の下のめっき皮膜から剥離する現象であ
り、とくに寒冷な地域で使用される自動車において問題
となる。この低温チッピングもパウダリングもめっき皮
膜の密着性に係るものであり、耐パウダリング性を向上
させることによって、耐低温チッピング性も向上すると
考えられた。しかしながら耐パウダリング性を向上させ
ても、必ずしも耐低温チッピング性が改善されるとは限
らない。
【0007】また、自動車用鋼板に適用する場合はプレ
ス成形性が要求されるが、それに加えて高強度化するこ
とも安全性や軽量化の要求から重要である。この高強度
化のために母材に添加される合金元素は、耐パウダリン
グ性や耐低温チッピング性を劣化させる要因となること
があり、この点も配慮する必要がある。
【0008】従来の耐パウダリング性向上の対策は、上
述のようにめっき皮膜の目付量制限、合金化度の限定、
合金層の組織変更など、主として皮膜の性質の改善に主
体がおかれてきた。これに対し、チッピングは主として
皮膜と母材との界面での剥離によっており、界面の密着
性の向上が必要である。
【0009】この、めっき皮膜と母材との境界層に着目
し、その密着性を向上させようとした例として、特開平
2-97653号公報には、合金めっき皮膜に接する母材表面
の結晶粒界に亜鉛が拡散侵入した組織を持つ鋼板の発明
が提示されている。これは溶融亜鉛めっき浴のAl濃度
を通常よりもかなり高く設定してめっきをおこない、よ
り高温側で合金化処理して製造するものである。しか
し、一般に溶融亜鉛めっき浴のAlは、めっき皮膜の母
材に接する境界におけるFeとの合金生成を抑止するた
めに添加するものであり、この濃度を高めれば、合金化
処理にはより高温かつ長時間を要すると推測される。そ
の上、耐パウダリング性には有効としているが、耐低温
チッピング性に対してはその効果は明らかでない。
【0010】また、鋼の組成がめっき皮膜の密着性に影
響するとして、特開平 6-81009号公報にはPを 0.007%
以下に限定して密着性を向上させた発明が提示されてい
る。さらに、鋼によってはSiの少量添加が密着性向上
に効果があるとした報告(W.van Koesveld,他:GALVAT
ECH`95 CONFERENCE PROCEEDINGS,p.343-355)もある。
しかしながら、これら合金元素の含有量は母材の鋼の強
度や加工性に影響を及ぼすので、効果のある範囲の選定
には限界がある。
【0011】このように、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と
して、耐パウダリング性と耐低温チッピング性の両方の
性能共十分すぐれたものが得られているとはいい難い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は耐パウダリン
グ性および耐低温チッピング性の両方とも良好な合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を得ることを課題としてなされたも
のであり、その目的は、とくにめっき皮膜と母材との界
面を改善して皮膜の密着性を向上させる製造方法を提供
することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の合金化しためっき皮膜の密着性を向
上させるため、製造条件に関する種々の検討をおこなっ
た。密着性とは、具体的には、前述のように耐パウダリ
ング性と耐低温チッピング性であるが、耐パウダリング
性は、めっき付着量と合金化度の管理からある程度対処
可能であった。しかし耐低温チッピング性の向上は、め
っき皮膜の改善のみでは必ずしも有効でなく、母材鋼板
の合金元素量の管理などによるめっき皮膜と鋼板の界面
状況の改善が必要と考えられた。しかしながら、鋼板の
合金元素量の変更は、鋼の強度や加工性、時にはめっき
被膜の合金化度に影響を及ぼすので、必ずしも最適範囲
の含有量を採用できないことがある。
【0014】そこで、鋼の合金元素の管理による以外の
方法での耐低温チッピング性の改善方法を種々試みた結
果、溶融めっきの前に鋼板の表面を片面あたり 1 g/m2
以上研削することが効果的であり、さらにこの研削を施
した後、合金化の際に適度の張力を付加すればさらに一
層耐低温チッピング性が向上することが見いだされた。
このようにして耐低温チッピング性を向上させた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板は、耐パウダリング性も改善されて
いる。単にめっき前の研削のみ、あるいは合金化の際の
張力付加のみでは、それほど目立った改善は見られない
が、この両方を組合わせることによって、密着性が大幅
に改善されるのである。
【0015】ここで、耐低温チッピング性の評価法は次
のようなものである。まず、合金化処理した溶融亜鉛め
っき鋼板から切出した板片に浸漬式リン酸塩処理液にて
下地処理した後、カチオン型電着塗料による下塗り、中
塗りおよび上塗りの、塗膜合計厚さ約 100μm の3コー
ト塗装を施した試験片を準備する。この塗装した試験片
を−20℃に冷却し、直径 4〜 6mmの砂利石を速度 100〜
150 km/hの速度で衝突させ、各衝突点での塗装膜の剥
離径を測定する。この剥離は通常、鋼板とめっき被膜の
境界面で生じており、境界面での被膜結合力の向上が重
要と考えられる。
【0016】耐パウダリング性の評価は、鋼板より採取
したブランクをプレスにて円筒カップに深絞り成型し、
加工を受けたカップ壁のめっき皮膜を粘着テープで剥離
させ、剥離量を調べる。この場合、皮膜の加工性劣化の
ための剥離が主であると推定されるが、境界面での密着
性が向上すれば、剥離量も低減すると考えられる。
【0017】この研削と合金化処理時の張力の付加が、
めっき皮膜の密着性を向上させる理由は明らかではない
が、次のような効果があるためと推定される。まず、研
削は、母材鋼板の表面に残存しめっき皮膜と鋼との接触
を阻害する異物、たとえば、熱延時のスケールの残存な
どを除去でき、表面を清浄化する効果があり、それが密
着性向上に寄与することが予想される。しかしながら、
清浄化の効果は、すでに前工程の酸洗によって表面の異
物が除去されているので、それ程大きいとは考えられな
い。
【0018】それよりも、研削によって、鋼板の極く表
面に導入される大きな歪の影響が大きいと考えられる。
この研削による歪は極表層部分に集中しており、しかも
その部分の歪は、圧延や切削による歪よりもはるかに大
きい。溶融めっきの前に導入されたこの極表層の歪部
は、還元のための加熱によって内部の鋼よりも速やかに
再結晶や粒成長が進行し、内部の鋼板全体とは大きく異
なった結晶粒組織となる。
【0019】溶融亜鉛の付着後、再加熱して合金化させ
る際に張力を加えると、鋼の極表層の部分は、その下部
の鋼全体とは異なった結晶粒組織であるため、張力によ
る変形や歪分布の局所的偏在が大きくなる。これが鋼表
面での亜鉛の不均一な侵入を促進して投錨効果を増大
し、密着性の大幅向上がもたらされるのではないかと推
定される。
【0020】耐パウダリング性は、めっき被膜中のFe
濃度を制御することによって改善できる。その場合、こ
のめっき前の研削を実施し、合金化の際に張力を加える
ことと、Fe濃度を 8〜18%の範囲に管理することとを
組合わせれば、さらに一層改善されることがわかった。
【0021】また、母材鋼板のSiの含有量を増すと合
金化した皮膜の密着性が向上することが知られている
が、Siを添加した鋼板にこのめっき前の研削、合金化
の際の張力付加、および合金化のFe濃度管理を施すこ
とによって、耐低温チッピング性および耐パウダリング
性はさらに一層向上する。Siの添加は母材鋼板の強度
ばかりでなくめっき皮膜の密着性を向上させるので、と
くに高強度の皮膜密着性のすぐれた合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造に効果的である。これは、Siの含有によ
って、上述の研削による表層の再結晶組織の変化、およ
び合金化処理時の張力の効果が増進されるためと考えら
れる。
【0022】以上の知見に基づき、研削量の最適範囲、
合金化の際の張力の適正値の限界、さらには効果的なS
i量の含有範囲、等を明確にし本発明の製造方法を完成
させた。すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
【0023】(1) めっき前の鋼板表面を鋼量として片面
あたり 1〜 8 g/m2研削し、次いで加熱し還元焼鈍して
溶融亜鉛めっきを施した後、 2.0〜 7.0 kgf/mm2 の張
力を付加しつつ合金化処理をおこなうことを特徴とする
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0024】(2) めっきの母材鋼板として、Siを0.05
〜0.5 %含有する鋼を用いることを特徴とする上記(1)
の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0025】本発明は、たとえば通常の合金化亜鉛めっ
き鋼板の製造ラインにて実施できる。その一般的製造ラ
インの構成は、次の通りである。まずペイオフリールの
コイルから出た素材の鋼板は電解脱脂などの表面洗浄装
置を通り、焼鈍炉に導かれる。焼鈍炉は加熱帯と還元帯
に分けられ、まず鋼板は大気中または無酸化ないしは弱
酸化性雰囲気の加熱帯にて急速加熱され、次に水素を多
く含むH2 −N2 雰囲気の高温の還元帯にて表面の鉄酸
化物が還元される。冷間圧延ままの母材鋼板であれば、
ここで焼鈍再結晶がおこなわれ、鋼の化学組成に基づき
温度と時間を選定することにより、強度や加工性を所要
のレベルに調整できる。
【0026】高温で還元または還元焼鈍(還元のみでも
めっきは可能であるが、圧延まま鋼板の焼鈍もおこなわ
せる場合は還元焼鈍となる)された鋼板を、H2 −N2
雰囲気中にて冷却し、温度調節後、溶融亜鉛浴に浸漬し
てめっきする。鋼板は浴から引き上げられる際に、ガス
ワイピングと称して、空気や窒素などの気体を吹き付け
てその圧力で亜鉛を絞り落とし、目付量が制御される。
合金化する場合は、亜鉛を付着させた直後、さらに合金
化炉と称する加熱帯にて再加熱し、母材鋼板の鉄と付着
亜鉛を反応させる。合金化は合金化度計にてその進行を
監視しつつ制御される。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施に際し、その形態や
条件の範囲およびそれを設定した理由を以下に述べる。
その際の鋼およびめっき層の化学組成はすべて重量%で
ある。
【0028】めっき前の研削は、製造ラインにてめっき
する前に別のラインでおこなってもよいが、製造ライン
内の表面洗浄過程の前か後の、還元または還元焼鈍する
過程の前でおこなう方が工程を増さずにすむ。研削は、
ワイヤーブラシ、砥粒入りブラシ等、鋼板表面を連続的
に所定量研削できる方法であれば何でもよい。
【0029】表面の研削量は鋼量として片面で 1〜 8 g
/m2とする。これは、研削量が 1 g/m2未満では研削に
よる密着性向上効果が不十分であり、また表面の場所に
よる密着性の不均一が起きやすいためである。一方、 8
g/m2を超えて研削してもその効果は飽和し、工具の摩
耗、消費動力の増加、さらには研削による鉄粉量の増大
等、コストの増加をきたす。
【0030】表面洗浄および研削された鋼板は、加熱さ
れ還元または還元焼鈍される。還元または還元焼鈍は、
水素を含む還元性雰囲気中にて 600〜 900℃の温度範囲
でおこなう。この場合、温度が 600℃未満では還元不十
分で不めっきが生じる危険性があり、 900℃を超える温
度では、焼鈍後の鋼板のプレス加工性が劣化する。通
常、上記温度範囲内で10〜 100s間保持される。
【0031】めっきの亜鉛目付量は、一般に鋼板片面で
20〜70 g/m2が選ばれる。これは20g/m2未満は、耐食
性が不十分となるばかりでなく、現状はガスワイピング
で安定して製造することが困難であり、70 g/m2を超え
ると、合金化処理した鋼板の耐パウダリング性が劣化す
るためである。
【0032】めっき後の合金化処理は 480〜 600℃でお
こなうが、本発明の方法においては、この合金化処理の
間 2.0〜 7.0 kgf/mm2 の張力を付加する。めっき前の
表面研削とこの張力付加により、耐低温チッピング性お
よび耐パウダリング性が大きく向上するからである。張
力は、たとえば合金化炉の後のブライドルロールにより
付加すればよい。合金化の際の張力は、 2.0 kgf/mm2
未満では密着性改善効果が小さく、 7.0 kgf/mm2 を超
えるとその効果が飽和するばかりでなく、その張力を付
加するための設備が大掛かりとなり、コスト高になる。
【0033】合金化は、皮膜のFe濃度を 8〜18%とす
ることが望ましい。これはFe濃度が 8%未満では、塗
装性や溶接性が不十分であり、18%を超えると耐パウダ
リング性が劣化するためである。
【0034】以上の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法において、とくに耐低温チッピング性および耐パウダ
リング性を向上させる本発明の方法のもっとも特徴とす
るところは、めっき前の表面研削と、合金化処理時の張
力の付加であり、この2つの組合わせが本発明で定める
範囲にあれば、その他の条件は通常適用されるものであ
ればよい。
【0035】本発明の製造方法では、母材の鋼板の化学
組成はとくに定めなくても通常使用されている範囲で十
分な効果を発揮するが、Siを添加しその含有量を規制
することによって、さらに皮膜の密着性を向上させるこ
とができる。そのSiの含有量は0.05〜0.5 %である。
これは、0.05%未満の含有ではその添加の効果が発揮さ
れず、他方 0.5%を超える含有では還元後の亜鉛浴浸漬
の際不めっきが生じやすくなるからである。
【0036】
【実施例】表1に化学組成を示す鋼を実験室にて溶製
し、熱間圧延および冷間圧延して厚さ 0.8mmの母材とな
る鋼板とした。これらの鋼板から幅80mm、長さ 200mmの
板片を切出し、ホタニ(株)製ブラシロール試験機を用
いて表面の研削をおこなった。ブラシは主として8S-500
-AH ブラシを使用し、仕上用としは12S-100-3Hブラシを
用いた。研削量は研削前後に板片重量を秤量して確認し
た。
【0037】
【表1】
【0038】次に、溶融めっきシミュレーター(レスカ
社製)を使用して合金化溶融亜鉛めっき鋼板試験片を作
製した。研削後脱脂洗浄した板片にて、窒素雰囲気中で
550℃まで15℃/sで昇温し、その後、還元焼鈍とし
て、露点−60℃以下の10%水素−窒素雰囲気中で 800℃
まで15℃/sにて昇温し、約20s間保持後 440〜 520℃
まで冷却してから溶融めっきをおこなった。めっきの条
件は、浴の温度を 460℃、浴中Al濃度を0.08〜0.12%
とし、浸漬時間を 1〜 5sの範囲とした。
【0039】めっき後の試験片は、油圧シリンダーで張
力を加えつつ、直接通電により 480〜 600℃の範囲に加
熱して合金化をおこない、合金化溶融亜鉛めっき鋼板試
片とした。合金化の程度は、インヒビター(朝日化学製
イビット:0.01%)を含む 6%のHCl水溶液で皮膜を
溶解し、Fe濃度を化学分析した。
【0040】表2にこれら試験片のめっき前の表面研削
量、めっきの目付量、合金化処理時の付加張力および合
金化皮膜のFe濃度の分析結果を示す。
【0041】
【表2】
【0042】耐低温チッピング性は、次のようにして評
価した。合金化処理後の試験片から幅70mm、長さ 150mm
の板片を切出し、これに浸漬式りん酸塩処理液(日本パ
ーカライジング社製:PBL-8080)による下地処理後、カ
チオン型電着塗料(日本ペイント社製:U-80)の付着量
約20μm の下塗り、付着量35〜40μm の中塗り(関西ペ
イント社製:TP-37 )、および付着量35〜40μm の上塗
り(日本ペイント社製:ネオ63)の、合計膜厚 100μm
の3コート塗装を施した。これら塗装した試験片を−20
℃に冷却し、グラベロ試験機により、直径 4〜 6mmの砂
利石10個を、空気圧 2.0km/cm2 とし、速度 100〜150
km/hの速度で衝突させ、各衝突点での塗装の剥離径を
測定し、平均剥離径を求めた。
【0043】耐パウダリング性は、合金化処理後の鋼板
から直径60mmの円盤を打抜き、ポンチ径30mm、ダイス肩
R 3mmの金型で円筒カップをプレス成形し、カップの壁
の外面にて粘着テープによる剥離をおこない、めっきの
総剥離重量を測定した。
【0044】表2には、以上の各試験結果も併せて示し
た。これらの結果から、めっき前の表面研削の量と、合
金化処理時の張力とが本発明の定める範囲にある時は、
すぐれた耐低温チッピング性および耐パウダリング性を
有する鋼板が得られることがわかる。また、試験番号1
8、34および41と、他の表面研削および合金化時の張力
が本発明で定める範囲であるものとの比較から、Si含
有量が0.05%以上の鋼では、耐低温チッピング性がより
すぐれていることも明らかである。
【0045】
【発明の効果】本発明の方法により製造することよっ
て、とくに自動車の外板に要望されている、耐低温チッ
ピング性がすぐれ、かつ耐パウダリング性のすぐれた合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を容易に得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】めっき前の鋼板表面を鋼量として片面あた
    り 1〜 8 g/m2研削し、次いで加熱し還元または還元焼
    鈍して溶融亜鉛めっきを施した後、 2.0〜 7.0 kgf/mm
    2 の張力を付加しつつ合金化処理をおこなうことを特徴
    とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】めっきの母材鋼板として、Siを0.05〜
    0.5%含有する鋼を用いることを特徴とする請求項1の
    合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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