JPH10179546A - 静磁場発生装置 - Google Patents
静磁場発生装置Info
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- JPH10179546A JPH10179546A JP8356387A JP35638796A JPH10179546A JP H10179546 A JPH10179546 A JP H10179546A JP 8356387 A JP8356387 A JP 8356387A JP 35638796 A JP35638796 A JP 35638796A JP H10179546 A JPH10179546 A JP H10179546A
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Abstract
配置する領域を最小限にとどめ、かつ磁場均一度の良好
な静磁場発生装置を提供する。 【解決手段】 静磁場発生装置(1)では、撮影空間
(2)を間に挾んで上下方向に対向して超電導コイル
(4)とその冷却容器(5)を具備する静磁場発生源
(3)が配置され、撮影空間(2)内に静磁場を発生す
る。超電導コイル(4)で発生した磁束線は板状の強磁
性体(11)に集められ、柱状の強磁性体(7)を帰路
として戻る。板状の強磁性体(11)の中心部に円形穴
(12)を設けて、板状の強磁性体(11)内の磁束線
の流れを調整することにより、撮影空間(2)内の静磁
場を補正する。また、円形穴(12)内には冷凍機(1
3)を配置する。
Description
グ装置(以下、MRI装置という)などに用いられる静
磁場発生装置に係り、特に静磁場発生装置が作る静磁場
の磁場均一度を改善するための磁場補正手段に関する。
手段としては、X線CT装置や超音波画像診断装置など
が広く利用されている。それらの中で、核磁気共鳴(以
下、NMRという)現象を用いて人体内部を画像化する
ことができるMRI装置は、放射線の被曝がなく良質な
画像が得られるという特徴をもっている。
と、人体内部の固有の磁気モーメントをもつ原子核の集
団は、静磁場中に置かれたときに、その静磁場と同じ方
向を向き、特定の周波数で回転する。この回転運動はラ
ーモア歳差運動と呼ばれ、静磁場の磁束密度をB0、特
定の周波数(ラーモア周波数)をfとした場合、両者の
間には式(1)の関係がある。
と、上記の原子核の集団は励起され、検出器を静磁場と
垂直な方向に置くことにより、特定の原子核から放出さ
れるNMR信号が得られる。
は位置情報が得られないため、式(1)を利用して静磁
場に一時的に磁場傾斜を与える傾斜磁場を加えることで
位置情報を付与し、位置情報に対応する周波数ごとに人
体内部から放出されるNMR信号の強度分布データを収
集し、そのNMR信号をフーリエ変換することで人体内
部の画像化を行う。そのため、MRI装置によって作ら
れる画像は、静磁場、傾斜磁場、高周波磁場の3つの磁
場の磁場特性によって直接的に影響を受ける。たとえ
ば、傾斜磁場の特性が悪いと画像の歪みが生じ、高周波
磁場の特性が悪いと画像のぼけが生じる。その中にあっ
て、静磁場の特性は、画像の歪み、画像のぼけ、S/N
に直接影響を与え、MRI装置における基本性能を決め
る最重要な特性である。そのため、撮影空間(計測空間
ともいう)内の静磁場としては、数100ppmオーダ
ーの高均一性と高安定性が要求されている。この高均一
で安定度の高い静磁場を発生するために静磁場発生装置
が使用される。
磁場を発生させることにより、装置外部に多くの磁場が
漏洩するという問題が生じる。一般に、これを漏洩磁場
と呼んでいる。この漏洩磁場が大きい場合には、この影
響を受けて、装置の周囲にある電気的または磁気的機
器、部品などが正常に動作しなくなる。例えば、MRI
装置のディスプレイ、コンピュータ、時計などが誤動作
する場合がある。特に、病院では、心臓病の患者が多い
ため、心脈数を制御するペースメーカーを持ち歩いてい
る人たちにとっては生死にかかわる問題であり、漏洩磁
場に関しては特に配慮が必要である。
発生源から発した磁束線の通路(磁路)を作り、その磁
路に磁束線を収束することにより装置外部への磁場の漏
洩を少なくしようとしている。一般に、この磁束線の通
路のことを磁気回路と呼んでいる。
示す。図21は静磁場発生装置の全体斜視図である。図
21において、静磁場発生装置1は撮影空間2を間に挾
んで上下に配置された静磁場発生源3により撮影空間2
内に高い静磁場を発生させている。静磁場発生源3は超
電導コイル4とこれを超電導状態まで冷却する冷却容器
5から構成されている。上下の超電導コイル4が発生す
る上下方向の磁束線BZ は静磁場発生源3の上下に配置
された板状の強磁性体6によって受け止められ、さらに
静磁場発生源3の側方に設けられた柱状の強磁性体7を
帰路として超電導コイル4に戻るように磁気回路が構成
されている。また、柱状の強磁性体7は、磁束線の帰路
としての役割とともに、撮影空間2の上下に配置された
構造物を機械的に支持する働きもしている。板状の強磁
性体6や柱状の強磁性体7の材料としては、機械的な強
度や原価の面から一般に鉄が使用されている。
2方向が開放されているため、撮影空間2に挿入された
被検体は閉塞感を受けずに済み、検査者も前方または、
後方から容易に被検体にアクセスすることができる。ま
た、柱状の強磁性体7が撮影空間2に発生される磁束線
の帰路となっているために、磁束が装置から離れて遠く
まで広がることがなく、漏洩磁場を少なくすることがで
きる。しかし、柱状の強磁性体7のような複数の帰路を
もつ磁気回路においては、この柱状の強磁性体7が撮影
空間2内の磁場均一性を阻害する要因となる。
は、磁気回路がソレノイド形状をしており、帰路が対称
に配置されているので、柱状部の磁気モーメントも周方
向に一様になっている。これに対し図21のような柱状
の強磁性体7からなる帰路をもつ磁気回路の場合には、
磁束線の分布が柱状の強磁性体7の有る方向と無い方向
とで異なるため、周方向の磁場分布が変化する。その結
果、この周方向の磁場分布の変化に起因して撮影空間2
内の静磁場が不均一となるので、設計段階から、この不
均一磁場成分の補正が考慮されており、図21の従来例
では、冷却容器5の表面に強磁性体片8を配置して磁場
補正が行われている。
の評価する球面上に測定点をとり、その測定点における
磁場の値を式(2)のルジャンドル関数で展開して評価
する方法が良く知られている。
し、rは座標中心からの距離、θはZ軸となす角度、φ
はZ軸を中心とする回転角度である。式(2)におい
て、A(m、n)項の値が、静磁場項A(0、0)の値
に対して小さければ小さい程、磁場均一度が良いことに
なる。以下、「A(0、0)項に対する各展開項の係数
の比」のことを展開係数比と呼ぶことにする。
く分けて「軸対称成分」と「軸非対称成分」とに分ける
ことができる。軸対称成分とは、Z軸(静磁場方向)に
関して対称な磁場成分で、(r、θ)の座標のみに依存
する。数学的には、ルジャンドル関数のm=0の項のこ
とである。軸非対称成分とは、(r、θ、φ)の全ての
座標に依存し、ルジャンドル関数のm≠0の項のことで
ある。
る手段として、対向する冷却容器5の対向する側の表面
に、強磁性体片(鉄を用いているので、以下鉄片と呼
ぶ)8を配置する。鉄片8の位置は、不均一磁場成分を
消去するように決定される。そのため、不均一磁場成分
が大きい程、鉄片8の量が多く必要となり、鉄片8を配
置するための広い領域が必要となる。その結果、傾斜磁
場コイル(GC)や高周波コイル(RFコイル)などを
配置する領域(クリアボア)内を有効に利用できなくな
る。
を広げることで、鉄片8を配置する領域を大きくするこ
とも考えられるが、冷却容器5の対向間隔が広くなると
その中の超電導コイル4の対向間隔も広くなってしま
う。超電導コイル4の対向間隔が大きくなると、その大
きさの3乗〜5乗に比例して、所望の静磁場強度を発生
させるための起磁力が増加する。この起磁力が増加する
と、機械的な構造も複雑化し、コスト的にも上昇し大き
な問題となる。
来の静磁場発生装置では、鉄片8によって静磁場内の不
均一磁場を精度良く補正しようとすると、補正のための
領域が大きくなり、装置外形が大型化し、製造コストも
上昇するという問題があった。本発明では、静磁場を補
正する鉄片の総重量および鉄片を配置する領域を最小限
にとどめ、かつ磁場均一度の良好な静磁場発生装置を提
供することを目的とする。
に、本発明の静磁場発生装置は、有限の領域に第1の方
向に向かう静磁場を発生させる電流を流す電流搬送手段
と、該電流搬送手段を収容し支持する容器とを有する静
磁場発生源と、第1の方向とほぼ直交するように配置さ
れて前記静磁場発生源が発生する磁束線を集めるための
1対の磁束収束手段と、前記1対の磁束収束手段を磁気
的に接続して磁束線を通す磁気回路を形成する少なくと
も1個以上の磁束通過手段とを具備する静磁場発生装置
において、前記磁束収束手段の一部に前記有限の領域の
静磁場の磁場補正する磁場補正手段が設けられ、概磁場
補正手段が少なくとも1個以上の比透磁率の低い物質を
充填した部分または/および空隙穴を有している(請求
項1)。
補正手段である比透磁率の低い物質を充填した部分また
は/および空隙穴を設けることにより、磁束収束手段内
の磁束線の流れが変化し、その結果として撮影空間であ
る有限の領域内の静磁場が磁場補正される。
透磁率の低い物質を充填した部分または空隙穴は円形状
で、前記磁束収束手段のほぼ中心部に、ほぼ第1の方向
に沿って設けられている(請求項2)。この構成では、
磁場補正手段が円形状のものであるので、加工性が良
く、コスト低減に寄与し、補正効果も大きいという効果
がある。
透磁率の低い物質で充填した部分または空隙穴は楕円形
状または長方形状で、前記磁束収束手段のほぼ中心部
に、ほぼ第1の方向に沿って設けられている(請求項
3)。また、前記磁束通過手段が前記静磁場発生源の第
1の方向に沿った中心軸に対し左右に配置されており、
前記楕円形状のものまたは長方形状のものの長手方向が
前記磁束通過手段の存在する方向にほぼ平行になるよう
に構成されている(請求項8)。
たは長方形状で、その長手方向が磁束通過手段の有る側
と平行になるので、磁束線の流れの変化が大きく、磁場
補正効果が大きい。
透磁率の低い物質を充填した部分または/および空隙穴
が、前記静磁場の中心を通り前記第1の方向に平行な軸
を中心軸として半径方向に前記中心軸から離れた位置に
複数個設けられている(請求項4)。また、前記の比透
磁率の低い物質で充填した部分または/および空隙穴が
ほぼ第1の方向に沿って設けられた扇形状のものまたは
円形状のものであり(請求項5)、あるいは前記中心軸
に関し対称の位置に配置されている(請求項6)。
中心軸から離れた位置に設けられているので、局部的な
磁場補正に有効である。また、磁場補正手段が複数個設
けられ、さらに対称の位置に配置されると大きな磁場補
正が可能となる。
隙穴の1個以上をねじ穴とし、該ねじ穴のうちの1個以
上に、全体または一部が強磁性体からなるボルトを挿入
したものである(請求項7)。この構成では、磁場補正
手段であるねじ穴に強磁性体からなるボルトを挿入し
て、ねじ穴部に存在する強磁性体の量を調整して磁場補
正するものであり、磁場の微調整が可能となる。強磁性
体の量が多くなれば磁場補正量は大きく、強磁性体の量
が少なくなれば磁場補正量は小さくなる。
透磁率の低い物質を充填した部分または/および空隙穴
の深さ方向にテーパ加工または段付き加工などの断面積
を変化させる加工を施したものである(請求項8)。こ
の構成では、テーパ加工または段付き加工を行うこと
で、単純な穴などの場合よりも、調整幅のある磁場補正
をすることができる。
形の直径(請求項10)、前記楕円形または長方形の長
径および短径(請求項11)、前記比透磁率の低い物質
で充填した部分または/および空隙穴の個数、位置、大
きさ(請求項12)、前記ねじ穴の個数、位置、ねじ穴
に挿入する強磁性体の量(請求項13)、前記テーパ加
工部または段付加工部の断面積(請求項14)が前記磁
束収束手段における磁束線の流れと関連付けて決められ
ている。
収束手段内の磁束線の流れを変化させ、その結果として
静磁場の磁場補正が行われることに鑑み、この構成で
は、磁束収束手段の磁束線の流れと関連付けて、上掲の
諸元を決めるようにしたものである。
流搬送手段として超電導体を用い、前記容器として前記
超電導体を超電導状態にまで冷却し維持する冷媒を内包
する冷却容器を用い、前記冷却容器を冷却するための冷
凍機を具備するものである(請求項15)。また、前記
冷凍機は、前記比透磁率の低い物質を充填した部分また
は空隙穴中に配置したものである(請求項16)。この
構成では、静磁場発生源を超電導方式とすることによ
り、高強度かつ高均一の静磁場を実現すると共に、磁場
補正手段を冷凍機の取付け場所として活用している。
の本発明の静磁場発生装置を用いたものである(請求項
17)。
を用いて具体的に説明する。本発明の静磁場発生装置の
第1の実施例を図1〜図3に示す。図1は全体斜視図、
図2は上面図、図3は縦断面図である。本実施例の静磁
場発生装置1は垂直磁場方式の超電導磁石を有するもの
で、先ず、撮影空間2に静磁場を発生するための超電導
コイル4を内包する静磁場発生源3が、撮影空間2の上
下に対向して配置されている。超電導コイル4は冷却容
器5内に保持され、所定の超電導特性が得られる温度に
冷却される。超電導コイル4は一般に複数個のコイルの
組合せからなり、冷却容器5内に支持体にて保持されて
いるが、図では簡単のため支持体を省略してある。超電
導コイル4の材料としては多くの場合NbTi線材が使
用されているので、冷却容器5は冷媒としての液体ヘリ
ウムを収納する冷媒容器を具備し、その他に熱の対流を
防ぐために冷媒容器全体を内包する真空容器と、熱の輻
射を防ぐための熱シールド(図示せず)などから構成さ
れている。超電導コイル4はこの冷却容器5の中に収納
された状態で使用される。
は装置中央部の均一磁場発生領域である撮影空間2を挾
んで上下方向に対称に配置される。それに応じて、超電
導コイル4を収納する冷却容器5も円筒形状のものが上
下対称に配置され、両冷却容器5はその間にある支柱1
4によって所定の距離を維持して支持される。この支柱
14は、上下の冷却容器5を機械的に支える働きをして
いるが、必要によっては、上下の冷媒容器を熱的に接続
させる働きを持たせてもよい。そうすることで、冷凍機
13を上下に1台ずつ設置する必要はなくなり、システ
ムに1台の冷凍機13で間に合わせることが可能にな
る。また、支柱14の本数も図示の2本に限定する必要
はなく、3本、4本と増やすこともできるし、開放感を
得るためには、片持ちの1本の支柱14としてもよい。
イルの組からなる。その働きは装置中央部の撮影空間2
内に高強度でかつ均一度の良い静磁場を発生させること
である。コイル断面の最も大きい超電導コイル(以下、
主コイルという)4Aにより主な静磁場を発生してお
き、コイル断面の小さい超電導コイル(以下、調整コイ
ルという)4Bによって磁場の均一性が得られるように
各コイルの配置および起磁力の設定をしている。また、
調整コイル4Bの電流の向きは、主コイル4Aによって
発生する磁場の不均一成分に応じて各コイル毎に決定す
ればよく、一定方向に限定する必要はない。さらに、超
電導コイル4のコイルの個数は図示の4個ずつに限定さ
れることはなく、磁場の不均一成分と製造原価との兼ね
合いで最適となるように決定される。一般に、主コイル
4Aの直径が大きいほど磁場不均一成分は少なくなるの
で、調整コイル4Bの個数、あるいは起磁力を少なくす
ることができる。
体7によって、従来例の場合と同様に、装置外部に発生
する漏洩磁場が効果的に低減されている。さらに、本実
施例では、板状の強磁性体11の中心部に上下方向に沿
って円形の穴12が設けられている。この穴12は、撮
影空間2内の静磁場の磁場補正のために設けられたもの
である。この穴12を設けることにより、板状の強磁性
体11内の磁束密度の分布が変化し、その結果として、
撮影空間2内の磁場分布が変化する。従って、この穴1
2の直径を変化させることで、撮影空間2内の静磁場の
磁場分布を調整することができる。この穴12の働き
は、以下に説明する如く、超電導コイル4のうちの主コ
イル4Aとは逆向きの電流を流す調整コイル4Bと同様
な働きである。発明者達は、この穴12の働きを確認す
るために、図3に示される磁気回路において、板状の強
磁性体11の中心に円形の穴12をあけ、穴径を364
〜900mmの範囲で変化させた場合の解析を行った。
ては、撮影空間として半径22.5cmの球を考え、こ
の球表面および内部(12層の球面を設定)の評価点に
おける磁場強度を計算し、その結果をルジャンドル関数
(式(2)参照)で展開して評価値を出すことにした。
(m、n)/A(0、0)またはB(m、n)/A
(0、0))としては、以下の項のものを選択した。 軸対称成分 :A(0、2)項、A(0、4)項 軸非対称成分:A(2、2)項、A(2、4)項、A
(4、4)項 静磁場成分 :A(0、2)項
穴12の無いモデルに対する差分値を図5(a)〜図5
(c)にグラフ化した。図5(a)は軸対称成分を、図
5(b)は軸非対称成分を、図5(c)は静磁場成分を
それぞれ示している。各図で、軸対称成分と軸非対称成
分についてはppm単位で、静磁場成分についてはガウ
ス単位で表示されている。
ついての評価を図6に示す。漏洩磁場の評価は通常5ガ
ウスラインの位置で行われるが、今回の評価では漏洩磁
場の変化が微量であったため、図6(a)に示す如く磁
場中心からZ=2.5mの位置での磁場強度で評価し、
その結果を図6(b)に示した。
設けることで、A(0、2)項は約2,500ppm程
度減少する。また、穴径をさらに大きくすると、穴径に
ほぼ比例して、−26.7ppm/mmの割合で大きく
減少して行く。一方、A(0、4)項はその減少量がA
(0、2)項の1/10以下で、−2.2ppm/mm
程度しか変化しない。以上のことから、穴12を用い
て、その直径を適当に選択することにより、軸対称成分
A(0、2)項を効果的に補正することができることが
わかる。
ることで、A(2、2)項は90ppm程度増加する。
一方、A(2、4)項、A(4、4)項は、2ppm程
度しか変化しない。軸非対称成分の穴径の変化による変
化量は少なく、軸対称成分と比べてオーダー的に見て2
桁以上少なくなっていることが分かる。
磁場強度(約0.75テラス)が40ガウス程度低下し
た。穴径をさらに大きくすると、磁場強度の低下の割合
が増加し、直径900mmの穴12の場合には、400
ガウス程度の低下を生じている。静磁場強度を100ガ
ウス程度上昇させる場合には超電導コイル4の電流を上
昇することで対応できるので、穴径は500mm以下と
した方がよい。一方、静磁場強度を100ガウス以上上
昇する場合には、強磁性体内の磁束線量が変化し磁気飽
和などの現象が起こることもあるので、磁気回路を見直
し、必要な場合は再設計した方がよい。
心部で受け止められるはずの磁束線がZ軸方向に漏れる
ため、Z軸方向の漏洩磁場が増加する。穴12の直径が
500mm以下では、漏洩磁場は最大2.5ガウス程度
でほとんど変化しないが、穴12の直径を700mm以
上にすると急激に増加する。
の強磁性体11の中心に設けた穴12の直径を変化させ
ることで、静磁場の軸対称成分A(0、2)項を1,0
00ppmオーダーで制御することができ、穴径を50
0mm程度までに制限すれば漏洩磁場の増加量も少な
く、静磁場強度にも殆ど影響を与えることなく、効果的
な磁場補正を行うことができる。
を設けた構造の静磁場発生装置では、撮影空間2の静磁
場強度を従来と同じとしたとき、静磁場発生源3の超電
導コイル4の総起磁力を従来より下げることができる。
この理由を以下に説明する。図3に示される超電導コイ
ル4において、主コイル4Aは、正のA(0、2)項を
発生する。一般に、主コイル4Aによって発生された正
のA(0、2)項を打ち消すように、主コイル4Aの内
側に逆向きの電流を流す調整コイル4Bが設けられる。
これに対し、本実施例の場合、板状の強磁性体11に穴
12を設けることにより、正のA(0、2)項を打ち消
すような働きをさせることができる。このことは、板状
の強磁性体11に穴12を設けることが、主コイル4A
とは逆向きの電流を流す調整コイル4Bを設けることに
相当し、負のA(0、2)項を発生し、A(0、2)項
の不均一磁場成分を消去することができることを意味す
る。
生する調整コイル4Bの起磁力を下げることができるの
で、超電導コイル4の総起磁力も下げることができる。
調整コイル4Bの起磁力を下げることにより、コイルの
寸法も小さくでき、従って、静磁場発生源3も小さくで
きるので、静磁場発生装置の設置スペースも小さくな
る。
して超電導コイル4を用いる静磁場発生装置の場合に
は、冷却容器5の外部に冷凍機13が取り付けられる。
この冷凍機13を板状の強磁性体11の下側に配置する
と、この冷凍機13のスペース部分だけ無駄な領域がで
き、静磁場発生装置の寸法が大きくなってしまう。
1に設けた穴12の中に冷凍機13を配置したものであ
る。設計の段階で、穴12の位置および直径を、撮影空
間2内の磁場均一度が良好になるように決定した後、こ
の穴12の中に冷凍機13が全部または部分的に入るよ
うにすることで、効果的なスペース配置を行うことがで
き、装置も大きくならず、静磁場の磁場均一度も良好に
することができる。
ある。この変更例では、第1の実施例と同様に、板状の
強磁性体11に円形の穴12を設け、この穴12に比透
磁率の低い物質15を充填したものである。ここで、比
透磁率の低い物質を充填した部分15は、空隙穴12と
同じ働きをするので、第1の実施例と同じ効果をあげる
ことができる。従って、空隙穴12と比透磁率の低い物
質を充填した部分15とは磁場補正効果上同一視するこ
とができる。本変更例では、更に比透磁率の低い物質を
充填した部分15の中に冷凍機13を埋設したものであ
る。このような構造にすることにより、冷凍機13の固
定が容易に行うことができる。また、この変更例では、
比透磁率の小さい円板15に冷凍機13を取り付けて、
この円板15を穴12に挿入してもよい。
図7〜図9に示す。図7は全体斜視図、図8は上面図、
図9は縦断面図である。本実施例は、板状の強磁性体1
1の中心軸に対し対称の位置に4個の扇状の穴12Aを
設けたもので、他の部分は第1の実施例と同様である。
本実施例では、扇状の穴12Aの大きさおよび位置を変
化させることで、撮影空間2内の静磁場の磁場補正を行
うことができる。図8には、扇状の穴12Aの大きさお
よび位置の一例を示す。扇状の穴12Aの位置は内径R
2と、開放側の軸線からの角度θとで表わされ、穴12
Aの大きさは内径R2と外径R1と角度θ1とで表わさ
れる。図示の例では、R1=546mm、R2=425
mm、θ1=11.25°である。
に穴12をあけた場合の磁場解析例を示す。図10
(a)は中心のみに円形穴12をあけたモデルのもの、
図10(b)は中心の円形穴12と扇状の穴12Aとを
あけたモデルのものである。これらの図は、板状の強磁
性体11および柱状の強磁性体7の強磁性体として鉄材
を用いた場合のもので、対称形状の板状の強磁性体11
を4分割した部分における磁束密度の等高線と磁束線の
向きを示している。図10(b)においては、半径方向
に設けた扇状の穴12Aの周辺で磁束線の向きが歪めら
れる傾向がある。この効果によって、撮影空間2内の静
磁場の磁場補正を行うことができる。
と同様の方法で、静磁場における不均一磁場の評価を行
った。評価結果を図11および図12に示す。穴12A
の効果を明確にするために、穴12Aが無いモデルに対
する差分値を図11(a)〜図11(c)にグラフ化し
た。図11(a)は軸対称成分を、図11(b)は軸非
対称成分を、図11(c)は静磁場成分を、それぞれ示
している。各図で、軸対称成分と軸非対称成分について
はppm単位で、静磁場成分についてはガウス単位で表
示されている。
る漏洩磁場の評価については、図6(a)と同様に磁場
中心からZ=2.5mの位置での磁場強度で評価し、そ
の結果を図12に示した。
2)項が+8ppmから−30ppmに減少する。ま
た、A(0、4)項は穴の位置を変化させても変化量は
小さく、2.5ppmしか変動しない。穴の位置をθ=
25°の付近に設ければ、A(0、2)項を変化させず
に、A(0、4)項のみを調整できるという効果も得ら
れる。
2)項が+100ppmから−78ppmに減少し、変
化量は178ppmで最も大きい。この項は、X、Y座
標に対しては対称性があるので、中間の45°付近で0
になっている。また、A(2、4)項は34ppm程
度、A(4、4)項は7ppm程度の変化であった。
比較すると、第1の実施例ではA(2、2)項の変化量
が大きいだけでなく、軸対称項の変化量も大きくなって
いる。このため、A(2、2)項を制御するのには本実
施例の方が利用しやすい。
軸から扇形穴12Aまでの距離R2を固定しているが、
この距離R2を変化させることによっても軸非対称成分
の発生比率を変化させることができる。この場合、距離
R2を大きくすると軸対称成分にも大きな影響を与える
ので、軸非対称成分のみの補正を行う場合には、距離R
2を小さくした方が微小な補正が可能となる。
−3ppmから−6ppmまでの間にあり、非常に少な
いので、漏洩磁場に対する影響も小さくなっている。
0.3ガウス程度しか変化がなく、第1の実施例よりも
漏洩磁場への影響は非常に小さい。また、本実施例の場
合でも穴12Aを大きくすると漏洩磁場は増加する。特
に、板状の強磁性体11と柱状の強磁性体7とが接続さ
れる部分付近には磁束線が集中しているため、この付近
に穴12Aを設けると漏洩磁場への影響が大きくなるの
で、このような場合には穴12Aの大きさを小さくした
方がよい。
の強磁性体11に設ける穴12Aは4個の扇形の穴であ
ったが、この穴の形状、個数はこれに限定されることは
ない。 穴の形状は、円形、三角形、四角形、多角形な
どでもよく、図13、図14に示す如くテーパを持って
いる穴12Bでもよく、また、図15に示す如く段付き
の穴12Cであってもよい。穴の大きさを変化させてよ
いことも当然である。加工性の面からは円形のものがよ
い。穴の形状を図14のテーパ穴12Bや図15の段付
き穴12Cの如くすることにより、磁束線の流れを制御
し、さらに複雑な磁場補正をすることができる。
てもよい。この個数は、補正したい展開係数項に合わせ
て設定するのがよい。また、上記の穴12A〜12Cに
は比透磁率の低い物質を充填して、穴を埋めた構造にし
てもよい。穴があいていると具合の悪い場合には有効で
ある。
柱側の軸線上に配置してもよい。また、穴の個数が増加
する場合には、他の穴と同じ半径方向に設けてもよい
し、他の方向に設けてもよい。また、穴の大きさも、第
2の実施例では同一としたが、異なる寸法のものを配置
してもよい。また、穴の方向は通常上下方向に沿ってあ
けられるが、磁束線の流れを調整する上で必要な場合に
は斜めの方向にあけてもよい。
組み合わせて実施すること、すなわち中心部に円形の
穴、半径方向に複数個の扇状の穴を設けることで磁場補
正することが可能である。
図16、図17に示す。図16は上面図、図17は縦断
面図である。全体斜視図は第1の実施例の図1とほぼ同
じであるので省略した。本実施例では板状の強磁性体1
1に上下方向に沿って楕円形の穴12Dが設けられてい
る。この楕円形の穴12Dは柱側が長軸P1で、開放側
が短軸P2である。本実施例では、長軸P1と短軸P2
の大きさおよび両者の相対比を変化させることにより、
静磁場の磁場補正を行うことができ、円形の穴12の場
合よりも広い範囲の補正を行うことができる。これは、
穴の形状を楕円形にしたことにより、磁束線の流れが柱
側方向と開放側方向とで非対称で流れるため、軸非対称
成分への影響も大きくすることができるためである。
は、穴の形状を長方形や、楕円形に近い形状の多角形に
してもよい。さらに、本実施例と第2の実施例を組み合
わせることも可能である。また、本実施例においても、
楕円形の穴12Dに比透磁率の低い物質を充填して穴を
埋めることや、穴12Dの中に冷凍機を配置してよいこ
とは言うまでもない。
図18〜図20に示す。図18は上面図、図19は縦断
面図、図20は一部品であるボルトの全体斜視図であ
る。装置の全体斜視図は第3の実施例の場合と同様省略
した。本実施例では、板状の強磁性体11にねじ穴15
を設け、このねじ穴15に板状の強磁性体11の外側か
ら強磁性体のボルト16をねじ込み、そのねじ込み長さ
を調整することで、静磁場の磁場補正を行うものであ
る。従って、本実施例での磁場補正は、ねじ穴の個数、
位置、大きさ、ボルトのねじ込み長さを調整することに
よって行うことができる。図20は本実施例で適用する
ボルトの例を示したもので、図20(a)のボルト16
は全体が強磁性体からなるもの、図20(b)のボルト
16Aはねじ頭からねじ切り部までを非磁性の物質また
は比透磁率の低い物質で作り、先端部に鉄片などの強磁
性体片17を取り付けたものである。ボルト16の材料
を板状の強磁性体11の材料と同じものを使用した場
合、ねじ込むときに機械的に噛んでしまい出し入れがで
きなくなることがあるので、そのような場合にはねじ切
り部の材料が異なるボルト16Aを使用するとよい。
強磁性体片17を取り付けることになるが、この強磁性
体片17の長さは補正する磁場の大きさに合わせて調整
する。この強磁性体片17は、長さの短い小片を作って
おき、必要な長さに応じて複数個重ねて取り付けてもよ
い。
じ材料の強磁性体ボルト16を出し入れして、そのねじ
込み長さによって磁束線の流れを調整するものであるか
ら、静磁場の微調整が可能である。これに対し、第1〜
第3の実施例における穴は大きな磁場補正を目的とする
ものであり、設計段階で穴の位置を設定する必要があ
る。従って、第1〜第3の実施例と第4の実施例を組み
合わせることにより、大きな磁場補正は穴を設けること
で行い、小さな磁場補正は本実施例のねじの調整機構を
設けることで行うことができる。特に、製作誤差により
非対称な磁場が発生した場合などに、本実施例により後
からでも微小な磁場補正ができるという効果がある。
影空間内の静磁場の磁場補正を、板状の強磁性体上で行
うことができるので、撮影空間の近くに配置する磁場補
正のための鉄片の量およびその配置する領域を激減さ
せ、最小限度にとどめることができ、かつ磁場均一度も
向上させることができる。その結果、広い撮影空間をも
ち、磁場均一度の良い静磁場発生装置を提供することが
できる。
斜視図。
図。
面図。
例。
図。
洩磁場。
斜視図。
図。
面図。
例。
図。
漏洩磁場。
更例1の上面図。
更例1の縦断面図。
更例2の縦断面図。
面図。
断面図。
面図。
断面図。
用するボルトの例。
Claims (17)
- 【請求項1】 有限の領域に第1の方向に向かう静磁場
を発生させる電流を流す電流搬送手段と、該電流搬送手
段を収容し支持する容器とを有する静磁場発生源と、第
1の方向とほぼ直交するように配置されて前記静磁場発
生源が発生する磁束線を集めるための1対の磁束収束手
段と、前記1対の磁束収束手段を磁気的に接続して磁束
線を通す磁気回路を形成する少なくとも1個以上の磁束
通過手段とを具備する静磁場発生装置において、前記磁
束収束手段の一部に前記有限の領域の静磁場の磁場補正
する磁場補正手段が設けられ、該磁場補正手段が少なく
とも1個以上の比透磁率の低い物質を充填した部分また
は/および空隙穴を有することを特徴とする静磁場発生
装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の静磁場発生装置におい
て、前記比透磁率の低い物質を充填した部分または空隙
穴はほぼ円形状で、前記磁束収束手段のほぼ中心部に、
ほぼ第1の方向に沿って設けられていることを特徴とす
る静磁場発生装置。 - 【請求項3】 請求項1記載の静磁場発生装置におい
て、前記比透磁率の低い物質で充填した部分または空隙
穴は楕円形状または長方形状で、前記磁束収束手段のほ
ぼ中心部に、ほぼ第1の方向に沿って設けられているこ
とを特徴とする静磁場発生装置。 - 【請求項4】 請求項1乃至3記載の静磁場発生装置に
おいて、前記比透磁率の低い物質を充填した部分または
/および空隙穴が、前記静磁場の中心を通り前記第1の
方向に平行な軸を中心軸として半径方向に前記中心軸か
ら離れた位置に複数個設けられていることを特徴とする
静磁場発生装置。 - 【請求項5】 請求項4記載の静磁場発生装置におい
て、前記比透磁率の低い物質を充填した部分または/お
よび空隙穴が、ほぼ第1の方向に沿って設けられた扇形
状のものまたは円形状のものであることを特徴とする静
磁場発生装置。 - 【請求項6】 請求項4および5記載の静磁場発生装置
において、前記比透磁率の低い物質で充填した部分また
は/および空隙穴が、前記中心軸に関し対称の位置に配
置されていることを特徴とする静磁場発生装置。 - 【請求項7】 請求項1、2、4乃至6記載の静磁場発
生装置において、前記空隙穴の1個以上をねじ穴とし、
該ねじ穴のうちの1個以上に、全体または一部が強磁性
体からなるボルトを挿入したことを特徴とする静磁場発
生装置。 - 【請求項8】 請求項1乃至6記載の静磁場発生装置に
おいて、前記比透磁率の低い物質を充填した部分または
/および空隙穴の深さ方向にテーパ加工または段付き加
工などの断面積を変化させる加工を施したことを特徴と
する静磁場発生装置。 - 【請求項9】 請求項3記載の静磁場発生装置におい
て、前記磁束通過手段が前記中心軸に対し左右に配置さ
れており、前記楕円形状のものまたは長方形状のものの
長手方向が前記磁束通過手段の存在する方向とほぼ平行
になるように構成されていることを特徴とする静磁場発
生装置。 - 【請求項10】 請求項2記載の静磁場発生装置におい
て、前記円形の直径が前記磁束収束手段における磁束線
の流れと関連付けて決められていることを特徴とする静
磁場発生装置。 - 【請求項11】 請求項3および9記載の静磁場発生装
置において、前記楕円形または長方形の長径および短径
が前記磁束収束手段における磁束線の流れと関連付けて
決められていることを特徴とする静磁場発生装置。 - 【請求項12】 請求項4乃至6記載の静磁場発生装置
において、前記比透磁率の低い物質を充填した部分また
は/および空隙穴の個数、位置、大きさが前記磁束収束
手段における磁束線の流れと関連付けて決められている
ことを特徴とする静磁場発生装置。 - 【請求項13】 請求項7記載の静磁場発生装置におい
て、前記ねじ穴の個数、位置、ねじ穴に挿入する強磁性
体の量が前記磁束収束手段における磁束線の流れと関連
付けて決められていることを特徴とする静磁場発生装
置。 - 【請求項14】 請求項8記載の静磁場発生装置におい
て、前記テーパ加工部または段付き加工部の断面積が前
記磁束収束手段における磁束線の流れと関連付けて決め
られていることを特徴とする静磁場発生装置。 - 【請求項15】 請求項1乃至14記載の静磁場発生装
置において、前記電流搬送手段として超電導体を用い、
前記容器として前記超電導体を超電導状態にまで冷却し
維持する冷媒を内包する冷却容器を用い、前記冷却容器
を冷却するための冷凍機を具備することを特徴とする静
磁場発生装置。 - 【請求項16】 請求項15記載の静磁場発生装置にお
いて、前記比透磁率の低い物質を充填した部分または空
隙穴の中に前記冷凍機を配置したことを特徴とする静磁
場発生装置。 - 【請求項17】 請求項1乃至16記載の静磁場発生装
置を使用したことを特徴とする磁気共鳴イメージング装
置。
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- 1996-12-26 JP JP35638796A patent/JP3980105B2/ja not_active Expired - Fee Related
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