JPH10175809A - 工業用殺菌組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌スペクトルが広く、低用量でも効力の高
い工業用殺菌剤を提供する。 【解決手段】 式Ｉ： 【化１】 で示される２−ｎ−オクチル−４−イソチアゾリン−３
−オンおよび式II： 【化２】 で示されるポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩を有
効成分として含有する、工業用殺菌組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、工業用殺菌組成物
に関し、更に詳しくは、２−ｎ−オクチル−４−イソチ
アゾリン−３−オンとポリヘキサメチレンビグアニジン
塩酸塩との混合物を有効成分として含有する工業用途に
適する殺菌組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、多くの工業製品や原材料等に
種々の殺菌剤が用いられている。かかる工業用途の殺菌
剤の多くは毒性が高く、人体への有害な影響、環境汚染
性を有したりすることから、あまり高濃度で用いること
ができない。また、化合物の抗菌スペクトルには通常片
寄りがあり、すべての微生物に対して同程度の有効性を
示すものは少ない。また、単独の殺菌剤を長期に亙って
用いると、耐性菌が出現するという問題もある。

【０００３】２−ｎ−オクチル−４−イソチアゾリン−
３−オンは従来から安全性が高い殺菌剤として知られて
いる。しかしながら、その効力は糸状菌、酵母に片寄っ
ており、細菌に対しては比較的弱い作用しか示さない。

【０００４】ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩も
また、従来から殺菌剤として用いられており、特に細菌
に対する効力を有しているが、糸状菌に対する抗菌力は
比較的小さい。

【０００５】従って、これらの殺菌剤を単独で用いる場
合、糸状菌および細菌の両方に対して一定の殺菌効果を
得るためには、いずれの場合もかなり高濃度の溶液を用
いることが必要であった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本願発明は、効力が高
く、安全性が高くさらに耐性菌が出現しにくい、工業用
途に適した殺菌組成物を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】２−ｎ−オクチル−４−
イソチアゾリン−３−オンおよびポリヘキサメチレンビ
グアニジン塩酸塩はいずれも安全性が高く、低廉な公知
の殺菌剤である。本発明者らは、両者を組み合わせて用
いた場合に、著しく優れた相乗効果が得られることを見
い出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、式Ｉ：

【０００８】

【化３】 で示される２−ｎ−オクチル−４−イソチアゾリン−３
−オンおよび、

【０００９】式II：

【化４】 で示されるポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩とを
有効成分として含有する工業用殺菌組成物を提供する。

【００１０】なお、本明細書において「殺菌組成物」と
は細菌、糸状菌のみならず酵母、放線菌、藻類等を含む
全ての微生物のうちのいずれかに対して成長を抑制又は
防止する組成物をいう。

【００１１】以下本明細書において、２−ｎ−オクチル
−４−イソチアゾリン−３−オンをＯＩＴと略称する。
ＯＩＴはプロピレングリコール溶液として市販のものが
容易に入手できる。

【００１２】ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩
は、水溶液として市販のもの（ｎは正の整数の混合物）
が容易に入手できる。

【００１３】ＯＩＴとポリヘキサメチレンビグアニジン
塩酸塩の混合比は、本発明の組成物の適用対象や使用条
件に応じて適宜選択すればよい。典型的には、ＯＩＴ対
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩の重量比が２
０：１〜１：２０の範囲、好ましくは、５：１〜１：
５、特に好ましくは、３：１〜１：３の範囲である。

【００１４】本発明の組成物は単に上記２つの成分を混
合したものであってもよいが、好ましくは担体または希
釈剤中に上記２つの有効成分を含有させる。本発明の組
成物に使用し得る担体または希釈剤としては組成物の適
用対象、使用条件等にあったものを選択すればよく、例
えば有機溶剤としてはメタノール、エタノール、プロパ
ノール等のアルコール類；エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコール、エチルセロソルブ、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテルアセテート、３−メトキシブチルアセテート、エ
チレングリコールジアセテート、２，２，４−トリメチ
ル−１，３−ペンタジオールジイソブチレート等のグリ
コール系溶媒；酢酸エチル、酢酸ブチル、マレイン酸ジ
メチル、アジピン酸ジエチル、乳酸エチル等のエステル
類；アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、イソホロン等のケトン類、トルエン、キシレ
ン、１，２−ジメチル−４−エチルベンゼン等の芳香族
系溶媒；およびジメチルアセトアミド、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等が挙げら
れる。本発明の組成物はさらに、必要に応じて通常殺菌
剤の分野で用いられている乳化剤、分散剤、浸透剤、安
定剤、有機発泡剤などを添加し、液剤、乳剤、水和剤、
蒸散剤、エアゾールなど、任意の剤型に調製し得る。

【００１５】本発明の殺菌組成物中、有効成分であるＯ
ＩＴおよびポリヘキサメチレンビグアニンジン塩酸塩の
含有量は、組成物の剤型、適用対象、使用条件等によっ
て広い範囲にわたって変化させ得る。通常は、両者の合
計が組成物全重量に対して０.１〜９５重量％、特に０.
２〜６０重量％とするのが好ましい。

【００１６】本発明の殺菌組成物は、種々の工業製品お
よび原材料に好適に適用することができる。具体的には
例えば、塗料、エマルジョン、金属加工油、プラスチッ
ク、糊剤、インキ、木材、繊維、皮革が挙げられる。

【００１７】

【実施例】本発明の殺菌組成物の防腐防かび効力を試験
した。 （最小発育阻止濃度）表に示す各重量比にてＯＩＴとポ
リヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩を混合した組成物
の、細菌４種Bacillus subtilis IFO3134、Enterobacte
r aerogenesIFO13534、Escherichia coli IFO15034、Ps
eudomonas aeruginosa IFO13736、及び糸状菌４種Asper
gillus niger IFO6341、Penicillium funiculosum IFO6
345、Gliocladium virens IFO6355、Trichoderma virid
e IFO5720に対する効果を測定した。

【００１８】細菌 混釈希釈法にて各濃度に調製した組成物を含む普通液体
培地（肉エキス１０ｇ、ペプトン １０ｇ、ＮａＣｌ ５
ｇ、水 １Ｌ）中に、予め薬剤を含まない培地中で増殖
させた細菌を接種し、３０℃で２４時間培養した後、各
細菌の発育状態を培地の濁度によって調べ、発育が阻止
された最低濃度をもって、最小発育阻止濃度とした。な
お、最小発育阻止濃度は、組成物の有効成分の濃度に対
応する値である。

【００１９】

【表１】

【００２０】糸状菌 寒天希釈法にて各濃度に調製した組成物を含むポテトデ
キストロース寒天培地上に、予め薬剤を含まない培地上
で増殖させた糸状菌の胞子を接種し、２８℃で７日間培
養した後、各群の糸状菌の発育状態から最小発育阻止濃
度を求めた。

【００２１】

【表２】

【００２２】表１、表２に示す結果から明らかなよう
に、ＯＩＴとポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩の
両方を含有する組成物は、非常に優れた相乗効果を示し
た。

【００２３】

【発明の効果】本発明の殺菌組成物は、広い抗菌スペク
トルを有し、各有効成分を単独で使用する場合と比して
飛躍的に高い抗菌力を各微生物に対して示す。また、２
つの有効成分を使用していることから、耐性菌の出現も
抑えられる。この強い効力のため、少量の使用で所要の
防腐防かび効果を達成することができ、かくして、環境
安全性が高められ、また経済性にも優れている。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東條 環 兵庫県龍野市龍野町中井236番地 ナガセ 化成工業株式会社内 (72)発明者 山本 嘉 兵庫県龍野市龍野町中井236番地 ナガセ 化成工業株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 式Ｉ： 【化１】 で示される２−ｎ−オクチル−４−イソチアゾリン−３
   −オンおよび式II： 【化２】 で示されるポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩を有
   効成分として含有する、工業用殺菌組成物。
2. 【請求項２】 ２−ｎ−オクチル−４−イソチアゾリン
   −３−オンとポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩と
   を重量比で２０：１〜１：２０の範囲で含む、請求項１
   記載の工業用殺菌組成物。
3. 【請求項３】 ２−ｎ−オクチル−４−イソチアゾリン
   −３−オンとポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩と
   を重量比で５：１〜１：５の範囲で含む、請求項１に記
   載の工業用殺菌組成物。