JPH10174823A - エアフィルター - Google Patents

エアフィルター

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Publication number
JPH10174823A
JPH10174823A JP33652396A JP33652396A JPH10174823A JP H10174823 A JPH10174823 A JP H10174823A JP 33652396 A JP33652396 A JP 33652396A JP 33652396 A JP33652396 A JP 33652396A JP H10174823 A JPH10174823 A JP H10174823A
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JP
Japan
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nonwoven fabric
antibacterial
air filter
filter
sheet
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Pending
Application number
JP33652396A
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English (en)
Inventor
Masaki Shimizu
水 正 樹 清
Hirofumi Shirai
井 博 典 白
Hiroyuki Sugiyama
山 裕 之 杉
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗菌性を有し、かつ集塵性に優れ、圧力損失が
低いハニカム状のエアフィルターの提供。 【解決手段】厚さ0.1mm以上のエレクトレット化フ
ィルター層と、厚さ0.1mm以上の抗菌性フィルター
層とを有し、通気度が35cc/cm2 /sec以上で
ある積層シートを、ハニカム状に成形してなるエアフィ
ルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアフィルターに
関し、特に、抗菌性を有し、かつ集塵性に優れ、圧力損
失が低いハニカム状のエアフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンをメルトブロー法によっ
て不織布に成形し、得られた不織布に直流高電圧を印加
してエレクトレット化不織布を製造する方法が知られて
いる(特開昭60−168511号公報、特開平2−1
97110号公報)。このエレクトレット化不織布は、
例えば、プリーツ状に成形し、その内部に気流を通過さ
せて、気流中の塵埃等の微粒子を静電気により吸着し除
去するエアフィルターとして使用できることが知られて
いる。また、特公昭56−47299号公報にはフィル
ターとして利用する技術が示されている。しかし、エレ
クトレット化不織布を用いるフィルターは圧力損失が高
く、粒子が詰まり易いことから寿命が短いという問題が
あった。そこで、このような問題を解決するために、エ
レクトレット化不織布をハニカム状に成形してなるフィ
ルターが提案されている(特開昭59−51323号公
報)。
【0003】ところで、エアフィルターは、捕集した塵
埃等に付着した種々の細菌やウイルス、あるいは捕集し
た空気中に浮遊している種々の細菌やウイルス等によ
り、黴の発生や悪臭の発生を来すことがある。これらを
防ぐ目的で、エレクトレット化フィルム用不織布の少な
くとも一面に抗菌剤加工を施した不織布を重ね合わせる
ことが提案されている(特開昭62−42715号公
報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エレク
トレット化不織布と抗菌剤加工を施した不織布を重ね合
わせると、フィルターとしての圧力損失が高くなるとい
う問題がある。
【0005】そこで、本発明の目的は、抗菌性を有し、
かつ集塵性に優れ、圧力損失が低く、低出力のファンを
用いる家庭用の空気清浄機やエアコンの空気清浄フィル
ター、清掃機の排気フィルター等に好適なエアフィルタ
ーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、厚さ0.1mm以上のエレクトレット化
フィルター層と、厚さ0.1mm以上の抗菌性フィルタ
ー層とを有し、通気度が35cc/cm2 /sec以上
である積層シートを、ハニカム状に成形してなるエアフ
ィルターを提供するものである。
【0007】
【発明の具体的説明】以下、本発明のエアフィルターに
ついて詳細に説明する。
【0008】本発明のエアフィルターは、エレクトレッ
ト化フィルター層と、抗菌性フィルター層とを有する積
層シートを主材とし、この積層シートからなるハニカム
状の構造を有するものである。
【0009】本発明のエアフィルターにおいて、エレク
トレット化フィルター層および抗菌性フィルター層は、
エアフィルターを通過する空気が、ハニカム状に形成さ
れた連続空隙内のみを通過するだけでなく、フィルター
内部を通過することにより、塵埃等の除去対象物が、エ
アフィルターの表面だけでなく、フィルター内で捕捉さ
れるように、通気性を有することが望ましい。空気のフ
ィルター内部の通過を確保するためには、少なくとも3
5cc/cm2 /sec以上の通気度、好ましくは19
0cc/cm2 /sec以上の通気度を有することが望
ましく、通気度が35cc/cm2 /sec未満である
と、空隙内を通過する空気の割合が大きくなり、捕集効
率が低下するおそれがある。また、このエレクトレット
化フィルター層および抗菌性フィルター層は、前記の通
気性の部位を有するものであれば、特に制限されず、例
えば、不織布、織布、紙、微多孔性フィルム等で形成さ
れたものでもよい。
【0010】本発明のエアフィルターにおいて、エレク
トレット化フィルター層は、通気性を有し、かつエレク
トレット化できるものであれば、特に制限されず、いず
れの基材からなるシート状物でもよく、例えば、不織
布、織布、微多孔性フィルム等のシート状物のいずれの
基材をエレクトレット化してなるものでもよい。特に、
通気性を有するとともに、空気とエレクトレットとの間
の接触面積が大きく、塵埃の吸着量が多く、かつ、塵埃
の捕集性能の寿命が長い点で、不織布を基材とするもの
が望ましい。
【0011】エレクトレット化フィルター層として用い
られる不織布は、一般によく知られている種々の製法で
作られたものでよく、例えば、湿式法による不織布、乾
式短繊維法による不織布、長繊維不織布等のいずれも使
用可能である。特に、繊維化の段階で構成繊維の一本一
本に均一に電荷を印加してエレクトレット化することが
できるため、高い電荷密度で電荷を有し、塵埃の吸着性
能に優れる点で、フィルム解繊糸からなるエレクトレッ
ト化不織布が、有利である。また、構成繊維を細くでき
るので、空気との接触面積を大きくすることができる点
で、メルトブローン法不織布からなるエレクトレット化
不織布も有利である。また、本発明のエアフィルター
は、エレクトレット化フィルター層として、フィルム解
繊糸からなるエレクトレット化不織布およびメルトブロ
ーン法不織布からなるエレクトレット化不織布を、1種
単独でもしくは2種を組み合わせて併用することもでき
る。
【0012】フィルム解繊糸からなるエレクトレット化
不織布は、ポリオレフィン樹脂フィルムを解繊して製造
するものであれば、いずれの方法にしたがって製造され
たものでもよい。例えば、ポリオレフィン系樹脂組成物
を押出機で溶融し、溶融物を環状ダイから押出してフィ
ルムを成形し、このフィルムをスリッターで一定の幅に
裁断したり、フィルムを延伸したりすることによって解
繊して解繊糸を形成する。次に、カード等の装置を用い
て、この解繊糸からなる繊維ウェッブを製造した後、こ
の繊維ウェッブをエンボスロール等で部分的に熱圧着し
たり、あるいは、ニードルパンチ等で繊維ウェッブの繊
維同士を絡合させる方法により製造することができる。
【0013】このフィルム解繊糸からなるエレクトレッ
ト化不織布は、一般に断面が長方形の解繊糸からなる短
繊維不織布であり、解繊糸の繊維断面における長辺/短
辺の長さの比が1.3〜2.7であるものが好ましい。
この比が1.3を超えると、例えば、長辺が50μm以
下の解繊糸の場合、かなり薄いフィルムを解繊しなけれ
ば製造することができず、得られる繊維の強度が大きく
低下し、生産性に劣る場合がある。また、断面の長辺の
長さが20〜50μmの範囲の解繊糸が好ましい。短繊
維の平均繊維径は、通常、10〜80μm、好ましくは
15〜40μmであり、目付量が、通常、5〜80g/
2 、好ましくは30〜40g/m2 であるものであ
る。また、厚さが、通常、0.1〜0.35mm、好ま
しくは0.15〜0.25mmであり、平均表面電荷密
度が、通常、0.1×10-9クーロン/cm2 以上、好
ましくは1.0×10-9〜20×10-9クーロン/cm
2 のものである。短繊維の繊維長は、通常、15〜14
0mm、好ましくは40〜90mmである。
【0014】フィルム解繊糸からなるエレクトレット化
不織布の製造において、エレクトレット化処理はフィル
ム成形時に行ってもよいし、不織布を成形後に、該不織
布をエレクトレット化する方法によって行ってもよい。
特に、フィルム成形時に行うと、エレクトレット化の効
率に優れ、捕集性能に優れるエレクトレット化不織布が
得られる点で、好ましい。
【0015】エレクトレット化は、不織布またはフィル
ムに直流電圧を印加して行うことができる。直流電圧の
印加は、公知の方法で行うことができ、特に制限されな
い。例えば、不織布またはフィルムを、直流電圧を印加
した一対の電極間に通す方法、不織布またはフィルムの
表面にコロナ放電やパルス状高電圧を加える方法、不織
布またはフィルムの表裏両面を他の誘電体で保持して、
両面に直流高電圧を加える方法等のいずれの方法にした
がって行ってもよい。印加される直流電圧は、使用する
電極の形状、電極間距離、エレクトレット化シートに要
求される帯電電荷量、所要の生産効率に応じて適宜選択
される。例えば、電極間距離が8mmの場合、少なくと
も−5kV、好ましくは−6〜−20kVの直流電圧を
印加して行うことができる。
【0016】また、メルトブローン法によるエレクトレ
ット化不織布は熱可塑性樹脂を押出機に供給して加熱溶
融、混練し、多数の細孔を有するメルトブローン用ダイ
から微細な樹脂流として押し出す。押出された樹脂流を
高速の加熱気体流と接触させ冷却、固化させて、微細な
繊維に成形し、この繊維を集積させることにより製造す
ることができる。また、エレクトレット化は、前記解繊
糸からなるエレクトレット化不織布におけるエレクトレ
ット化と同様な方法で行うことができる。
【0017】このメルトブローン法によるエレクトレッ
ト化不織布は、単繊維の平均繊維径が、通常、0.5〜
10μm、好ましくは3〜8μmであり、目付量が、通
常、5〜100g/m2 、好ましくは15〜30g/m
2 、見掛け密度が、通常、8.5×10-4〜5.5×1
-4g/m3 であるものである。また、厚さが、通常、
0.1〜0.35mm、好ましくは0.15〜0.28
mm、通気度が、通常、2cc/cm2 /sec以上、
好ましくは35〜55cc/cm2 /secであるもの
である。さらに、平均表面電荷密度が、通常、0.1×
10-9クーロン/cm2 以上、好ましくは1×10-9
5×10-9クーロン/cm2 であるものである。
【0018】本発明において、エレクトレット化フィル
ター層として用いられる不織布は、熱可塑性樹脂からな
るものであれば、特に制限されない。特に、ポリオレフ
ィン系樹脂からなる不織布が、付加したエレクトレット
を安定に保持することができる点で、好ましい。また、
ポリオレフィン系樹脂の中でも、特公昭59−2309
8号公報に開示されている不飽和カルボン酸等によって
変性されたポリオレフィン、特公昭60−947号公
報、特公昭60−15137号公報等に開示されている
ポリ4−メチル−1−ペンテンを原料としたもの等が望
ましい。また、特公昭60−225416号公報で開示
されている、極性を有する高分子物と無極性のものの混
合物も好ましい。特に、メルトブローン法不織布からな
るエレクトレット化不織布の場合は、これらの樹脂の中
でも、極限粘度[η](135℃、デカリン)が、0.
3〜1.54dl/gのものが好ましく、特に0.5〜
1.0dl/gのポリプロピレンが好ましい。
【0019】本発明のエアフィルターにおいて、抗菌性
フィルター層は、微生物による着色、変色または脆化の
防止、保管中の微生物からの保護、悪臭、黴臭等の発生
源となるのを防止し、フィルターに付着、捕集された微
生物が、フィルターを媒介として伝染性疾患等を発生さ
せることを防ぐ目的で設けられるものである。この抗菌
性フィルター層は、抗菌性を付与するために、微生物や
ウイルス等を殺菌もしくは不活性化する薬剤、または成
長を阻止する薬剤を基材の材料に含有させるか、あるい
は基材に塗布することにより得られるものである。
【0020】この抗菌性フィルター層は、通気性を有
し、かつ抗菌性を付与できるものであれば、いずれの基
材からなるものでもよく、例えば、不織布、紙、織布、
網状体(ネット)等のいずれの形態のシート状物であっ
てもよい。この抗菌性フィルター層を構成する基材であ
るシート状物の材質は、特に制限されず、例えば、ポリ
オレフィン、ポリアミド、ポリエステル、アクリル樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリウレタン、ポリアルキルパラオキシベ
ンゾエート、ポリテトラフルオロエチレン等の合成樹
脂、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、芳香族ポ
リエステル繊維等の合成繊維、ステンレススチール、
銅、金属アモルファス、スチールウール等の金属あるい
は金属繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維等
の無機物あるいは無機繊維、レーヨン、アセテート、パ
ルプ、絹、綿、獣毛等の半合成あるいは天然物、キトサ
ン、アルギン酸塩、タンパク質等の天然物などからなる
ものが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上の組
合せからなる混合物であってもよい。
【0021】本発明において、前記形態および材質から
なるシート状物の中でも、抗菌性フィルター層は、抗菌
性を付与するための抗菌剤等の薬剤を、その薬効を発揮
するのに十分な量を担持できる点で、目の粗いネットよ
りも不織布、紙および織布が有利である。特に、酸また
はアルカリに対する抵抗性や通気性に優れる点から合成
繊維からなる不織布が好ましく、ポリオレフィン繊維か
らなる不織布が好適である。また、不織布は、短繊維を
カード機で成形してなる乾式短繊維不織布、抄紙法と同
様の方法で作られる湿式不織布、スパンボンド法不織
布、メルトブローン法不織布のいずれでもよく、特に制
限されない。
【0022】本発明のエアフィルターにおいて、抗菌性
フィルター層は、目付量が5〜100g/m2 、好まし
くは20〜40g/m2 のものであり、通常、厚さ0.
1〜0.4mm、好ましくは0.15〜0.25mmの
ものである。また、通常、通気度が2cc/cm2 /s
ec以上、好ましくは190〜250cc/cm2 /s
ecのものである。
【0023】本発明のエアフィルターにおいて、抗菌性
フィルター層を構成する基材であるシート状物に抗菌性
を付与するために用いられる薬剤としては、例えば、塩
化ベンザルコニウム、3−(トリメトキシリル)プロピ
ルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、1−ヘ
キサデシルピリジニウムクロリド等の逆性石鹸系薬剤
(第4アンモニウム塩系薬剤)、アルキルジアミノエチ
ルグリシン塩酸塩等の両性界面活性剤系薬剤、グルコン
酸クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニジン
塩酸塩等のビグアナイド系薬剤、α−ブロムシンナムア
ルデヒド等の単環炭化水素誘導体系薬剤、5−クロル−
2−(2,4−ジクロルフェノキシ)フェノール、o−
フェニルフェノール、p−クロル−m−クレゾール等の
一価フェノール誘導体系薬剤、10,10’−オキシビ
スフェノキサアルシン等のフェノールエーテル誘導体系
薬剤、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、1
−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾール、
ルバミン酸メチル等のイミダゾール誘導体系薬剤、2−
(3,5−ジメチルピラゾリル)−4−ヒドロキシ−6
−フェニルピリミジン等のピリミジン誘導体系薬剤、
N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロ
ジクロルメチルチオ)スルフアミド、ジヨードメチル−
p−トリスルホン等のスルホン酸誘導体系薬剤、3,
4’,5−トリブロムサリチルアニリド等のアニリド誘
導体系薬剤、N−(トリクロルメチルチオ)フタルイミ
ド、N−(フルオロジクロルメチルチオ)フタルイミ
ド、N−トリクロルメチルメルカプト−4−シクロヘキ
セン−1,2−ジカルボキシイミド等のピロール誘導体
系薬剤、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、
1−ブチルカルバモイル−2−ベンズイミダゾールカル
バミン酸メチル等のイミダゾール誘導体系薬剤、2−
(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール等のベ
ンゾチアゾール誘導体系薬剤、1,2−ベンゾイソチア
ゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾ
リン−3−オン等のイソチアゾール誘導体系薬剤、1,
3,5−トリアジン誘導体系薬剤、チオジアゾール誘導
体系薬剤などの化学薬品類、あるいは無機イオン交換
体、無機多孔質体等に銀などの抗菌性金属を担持させた
無機抗菌剤、甘草抽出物、天然桂皮酸、茶タンニン成分
(カテキン等)、ヒノチオール、キトサンおよびその分
解物等の天然から抽出等により得られる抗菌物質などを
主成分として含むものが挙げられる。これらの薬剤は、
1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられる。ま
た、これらの薬剤は、各種形態で、記載中または基材の
表面に添着される。例えば、薬効成分を徐放化する目的
で、例えば、マイクロカプセル化した形態であってもよ
い。
【0024】また、抗菌性フィルター層は、前記抗菌性
を付与するための薬剤以外に、この薬剤を基材に付着さ
せるための接着剤、薬剤を処理液へ分散、あるいは溶解
するときの安定剤としての界面活性剤、pH調整剤、加
工助剤としての浸透剤、増粘剤、染料、顔料等との混合
物をも含んでいてもよい。
【0025】本発明において、抗菌性フィルター層を構
成する薬剤を含むシート状物は、基材であるシート状物
に薬剤を塗布、含浸またはコーティングする方法、ある
いは予め薬剤を含有させた素材を用いて、シート状物を
成形し、薬剤を含有するシート状物を得る方法などによ
って製造することができる。
【0026】シート状物に薬剤を塗布、含浸またはコー
ティグする方法としては、例えば、基材であるシート状
物に薬剤をそのまま塗布する方法;薬剤を助剤とともに
水に溶解または分散させて調製した水溶液または水分散
液を基材であるシート状物にスプレー塗布する方法;該
水溶液または水分散液にシート状物を含浸させた後、ニ
ップロール等で絞り、さらに乾燥機によって乾燥脱水す
る方法;該水溶液または水分散液をシート状物にコーテ
ィングする方法;薬剤を溶媒に溶解してグラビア印刷等
のよく知られた方法で印刷塗布する方法等が挙げられ
る。また、薬剤として、銅アモルファス等の金属が抗菌
作用を持つようなものを使用する場合は、スパッタリン
グ法等で直接シート状物上に蒸着させる方法を採用する
ことができる。
【0027】さらに、耐熱性に優れる薬剤、例えば、銀
−ゼオライトを主成分とする薬剤を使用する場合は、予
め薬剤を練り込み添加した熱可塑性樹脂を使用して繊維
を成形し、これをシート状物に成形する方法、また、薬
剤を練り込み添加した熱可塑性樹脂を用いて網状体を成
形する方法などの方法にしたがって行うことができる。
また、金属繊維やキトサン繊維のように、構成成分が抗
菌性を有する繊維をシート状物に成形してもよい。
【0028】本発明のエアフィルターを構成する積層シ
ートの製造は、エレクトレット化フィルター層を形成す
るエレクトレット化されたシート状物と、抗菌性フィル
ター層を形成する抗菌性を有するシート状物とを、公知
の種々の方法、例えば、熱エンボスや超音波融着等によ
り、両シート状物を重ね合わせ、互いの一部分を融着さ
せる方法や、ニードルパンチ等により、互いのシートの
繊維同士を機械的に結合させる方法、粉状の熱溶融性の
樹脂をシート上に散布し積層し、熱ロール等により加熱
処理して積層する方法にしたがって行うことができる。
また、エンボスロールを用いる方法等の加熱処理によっ
て積層を行う場合には、抗菌性を有するシート状物とし
て、熱融着繊維等を含むシート状物を利用すると低温で
の加工が可能であり、有利である。
【0029】また、本発明のエアフィルターを構成する
積層シートは、1つのエレクトレット化フィルター層
と、1つの抗菌性フィルター層のみを有するものでもよ
いし、複数のエレクトレット化フィルター層または複数
の抗菌性フィルター層を有するものでもよい。例えば、
エレクトレット化フィルター層/抗菌性フィルター層/
エレクトレット化フィルター層/抗菌性フィルター層の
4層を有する構造であってもよく、さらに、必要に応じ
て、エレクトレット化フィルター層と抗菌性フィルター
層を組み合わせてなる構造であってもよい。また、本発
明のエアフィルターは、これらのエレクトレット化フィ
ルター層と抗菌性フィルター層以外に、必要に応じて他
の層、例えば、脱臭層を有していてもよい。
【0030】本発明のフィルターにおいて、積層シート
の厚さは、通常、0.2〜95mm、好ましくは0.2
〜0.7mmである。
【0031】本発明のフィルターは、前記積層シートを
ハニカム状に成形してなるものを1枚または複数枚積層
してなるものである。この積層シートをハニカム状に成
形する方法は、特に制限はないが、例えば、シートを一
定幅に裁断し、連続的に折り畳み、あるいは折り曲げ、
積層シートの全面にひだを形成して厚さを形成するとと
もに、多数の連続空隙、すなわちハニカム状セルを有す
る構造を形成する方法がある。積層シート同士の接触部
の接着は、接着剤や積層シート同士を融着することによ
り相互に固着できる。また、例えば、シートを一定幅に
裁断し、幅方向と水平に、一定の間隔で接着剤を線状に
塗布したものを、必要枚数重ね、最下面を固定した状態
で最上面を重ね合わせ方向に引張り、加熱雰囲気下で固
定し、ハニカム状セルを有する構造を形成する方法があ
る。
【0032】このハニカム状セルの形成方法の具体例と
して、例えば、図1(a)に示すように、エレクトレッ
ト化フィルター層1と抗菌性フィルター層2とを積層し
てなる積層シート3を連続的に折り曲げ、多数の山部4
と谷部5を連続して有する第1シート6を作成する。こ
の第1シート6を、エレクトレット化フィルター層1a
と抗菌性フィルター層2aとを積層してなる積層シート
からなる平坦な第2シート7に重ね合わせ、谷部5の底
部8を第2シート7の表面に接着し、図1(b)に示す
ように、構成単位9を作成する。次に、このような構成
単位9を必要枚数作成し、図1(c)に示すように、第
1構成単位91 と第2の構成単位92 を積層し、第1の
構成単位91 の山部41 の頂部10を第2の構成単位9
2 の下表面に接着し、さらに同様に第2の構成単位92
の上に第3の構成単位93 を積層して、第2の構成単位
2 の山部の頂部を第3の構成単位93 の下表面に接着
する。この積層および接着工程を繰り返して多数のハニ
カム状セルを有する構造体を形成する方法、あるいは第
1シート6と第2シート7を積層した構成単位9を多数
形成し、その構成単位9を必要枚数重ねて、多数のハニ
カム状セルを有する構造体を形成する方法を挙げること
ができる。
【0033】本発明のフィルターにおいて、ハニカムの
厚さは、通常、2〜20mmであり、ハニカムの単位セ
ルの断面形状は図1に示す山型、あるいは三角形、台
形、ループ形状等のいずれの形状であってもよく、ま
た、通常、セルの高さは1〜10mm、セルの底辺は2
〜10mmである。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例により本
発明をより具体的に説明する。
【0035】(実施例1)密度0.91g/cm3 、M
FR1.6g/10分(ASTM D1238)である
ポリプロピレンに、抗菌剤として銀−ゼオライト抗菌剤
(カネボウ化成(株)製、商品名:バクテキラー)を1
0重量%)含有する同一のポリプロピレンからなるマス
ターバッチを20重量%配合した原料を熱成形し、目付
量70g/m2 、厚さ0.3mmの網状体を製造した。
得られた網状体は、網目を構成する繊維の太さが0.8
mm、網目の目合いの大きさが5×5mmのものであっ
た。
【0036】一方、密度0.91g/cm3 、MFRが
40g/10分(ASTM D1238)であるポリプ
ロピレン97重量%と、無水マレイン酸変性ポリプロピ
レン(無水マレイン酸のグラフト量:2.7重量%、固
有粘度:0.3dl/g)3重量%とを混合してなる原
料からなるフィルムに直流電圧を印加し、表面電荷密度
が19×10-9クーロン/cm2 のフィルムを得た。こ
のフィルムを解繊し、繊維径30μm、繊維長60m
m、および繊維断面の長辺/短辺の比2.0の解繊糸を
得た。次に、解繊糸をカード機で成形し、目付量30g
/m2 のウェッブを製造した。このウェッブを、網状体
と重ね合わせ、熱エンボスを用いて130℃で加熱加圧
処理して積層シートを得た。
【0037】次に、この積層シートを、連続的に折り曲
げ、多数の谷部と谷部を連続して有する第1シートを作
成する。この第1シートを積層シートからなる平坦な第
2シートに重ね合わせ、谷部の底部を第2シートの表面
に接着して、多数のハニカム状セルを有する構造体を形
成して、厚さ5mm、幅50mm、長さ300mm、セ
ル高さ2.7mm、およびセル底辺5mmのハニカム状
のエアフィルターを作成した。
【0038】(実施例2)ポリエステルからなるスパン
ボンド不織布(繊度:6デニール、繊維径:50μm、
目付量:45g/m2 、通気度:280cc/cm2
sec)を、表1に示す組成の含浸液に含浸した後、ニ
ップロールにより圧搾した。その後、120℃で15分
間加熱処理し、抗菌剤が5g/m2 付着した抗菌性フィ
ルター材を得た。 表1 重量% 抗菌剤 2−(4−チアゾリル)−ベンゾイミダゾール(25%aq) 30 増粘剤 ビニルピロリドン 15 添着剤 酢酸ビニルエマルジョン(40%aq) 3 水 52 合計 100
【0039】一方、実施例1で用いたものと同じ原料か
らなる繊維径30μm、繊維長60mmの解繊糸をカー
ド機で成形し、目付30g/m2 のウェッブを作成し、
熱エンボスを用いて130℃で加熱加圧処理することに
より不織布を製造した。
【0040】この不織布と上記の抗菌性フィルター材と
を重ね合わせ、超音波融着機を用いて、周波数25kH
z、ホーン圧力2.8kg/cm2 で積層して積層シー
トを製造した。得られた積層シートを用いて、実施例1
と同様にして、ハニカム状のエアフィルターを製造し
た。
【0041】(実施例3)ポリプロピレンからなるスパ
ンボンド不織布(繊度:4デニール、繊維径:70μ
m、目付量:20g/m2 、通気度:360cc/cm
2 /sec)に、表2に示す組成の混合液をスプレー塗
布した後、120℃で15分間乾燥し、抗菌剤が2g/
2 付着した抗菌性フィルター材を得た。この抗菌性フ
ィルター材を、実施例1の網状体の代わりに使用して、
積層シートを得た。得られた積層シートを用いて、実施
例1と同様にして、ハニカム状のエアフィルターを製造
した。
【0042】 表2 重量% 抗菌剤 ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 20 添着剤 ポリビニルアルコール 2 水 78
【0043】(実施例4)ポリプロピレンからなるスパ
ンボンド不織布(繊度:4デニール、繊維径:70μ
m、目付量:20g/m2 、通気度:360cc/cm
2 /sec)に、ポリプロピレンからなるメルトブロー
ン法不織布をエレクトレット化してなるエレクトレット
化不織布(繊維径:3μm、目付量:25g/m2 、表
面電荷密度3.3×10-9クーロン/cm2 、通気度:
50cc/cm2 /sec)を重ね、熱エンボスを用い
て130℃で加熱・加圧成形して積層シートを得た。得
られた積層シートを用いて、実施例1と同様にして、ハ
ニカム状のエアフィルターを製造した。
【0044】(比較例1)実施例1で得られた網状体を
抗菌処理して成形した以外は、実施例1と同様にして積
層シートを製造した。得られた積層シートを用いて、実
施例1と同様にしてハニカム状のエアフィルターを製造
した。
【0045】(比較例2)ポリエステルからなるスパン
ボンド不織布を抗菌剤で処理しないで使用する以外は、
実施例2と同様にして積層シートを製造し、得られた積
層シートを用いて、実施例1と同様にしてハニカム状の
エアフィルターを製造した。
【0046】(比較例3)ポリプロピレンからなるスパ
ンボンド不織布を、抗菌剤で処理しないで使用する以外
は、実施例3と同様にして積層シートを製造し、得られ
た積層シートを用いて、実施例1と同様にしてハニカム
状のエアフィルターを製造した。
【0047】(比較例4)ポリプロピレンからなるスパ
ンボンド不織布を使用せず、ポリプロピレンからなるメ
ルトブローン法不織布をエレクトレット化してなるエレ
クトレット化不織布(繊維径:3μm、目付量:25g
/m2 、表面電荷密度3.3×10-9クーロン/c
2 、通気度:50cc/cm2 /sec)のみを、実
施例1と同様にして、ハニカム状に成形してエアフィル
ターを製造した。
【0048】これらの実施例1〜4、および比較例1〜
4で得られたエアフィルターの捕集効率と抗菌性を、以
下に記載する方法にしたがって測定した。捕集効率の比
較結果は表3に、抗菌性の比較結果は表4に示した。
【0049】捕集効率の測定 図2に概略を示す装置を用いて捕集効率を測定した。ま
ず、エアロゾル発生機(日本科学工業社製)11からN
aCl粒子(粒径:0.3μm)をエアーフィルター1
2を通じて清浄な空気を導入したチャンバー13内に供
給した。英チャンバー13内のNaClの濃度が一定
(2〜6×10 個/cm3 )になった後、吸引装置1
4により、チャンバー13の底部に配置したフィルター
試料15を介して矢印Aの方向に吸引し、フィルター通
過風速が一定速度(v=10cm/sec)となった時
のフィルター試料15の上流17および17側における
NaCl粒子濃度CinおよびCoutをそれぞれパー
ティクルカウンター(リオン社製、KC−01B)18
a、18bによって測定し、下記式によって捕集効率を
求めた。19は流速計、20は流量調節バルブである。
測定結果は、5個の測定値の平均値で表示した。 捕集効率E=(1−Cout/Cin)×100 〔%〕
【0050】抗菌性 実施例1および2、ならびに比較例1および2について
は、JIS Z2911の黴抵抗性試験に準じて測定し
た。また、実施例3および比較例3については、JIS
Z2911の黴抵抗性試験およびJIS L1902
の繊維製品の抗菌性試験に準じて測定した。
【0051】
【0052】 注 供試黴 Aspergillus niger FERM S-1 Penicillium citrinum FERM S-5 Aureobasidium Pullulans FERM S-9 供試菌 Escherichia coll IFO 3301 Straphylococcus aureus ATCC 6538P Pseudomonas aeruginosa IFO 13276
【0053】
【発明の効果】本発明のエアフィルターは、抗菌性を有
し、かつ集塵性に優れ、圧力損失が低いものである。そ
のため、本発明のエアフィルターは、低出力のファンを
用いる家庭用の空気清浄機やエアコンの空気清浄フィル
ター、清掃機の排気フィルター等の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエアフィルターの製造方法の工程を説
明する概略断面図。
【図2】捕集効率の測定方法を説明する概略図。
【符号の説明】
1,1a エレクトレット化フィルター層 2,2a 抗菌性フィルター層 3 積層シート 4 山部 5 谷部 6 第1シート 7 第2シート 8 谷部5の底部 9,91 ,92 ,93 構成単位 11 エアロゾル発生機 12 エアフィルター 13 チャンバー 14 吸引装置 15 フィルター試料 16 フィルター試料15の上流 17 フィルター試料15の下流 18a,18b パーティクルカウンター 19 流速計 20 流量調節バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/18 B32B 27/18 F 27/32 27/32 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚さ0.1mm以上のエレクトレット化フ
    ィルター層と、厚さ0.1mm以上の抗菌性フィルター
    層とを有し、通気度が35cc/cm2 /sec以上で
    ある積層シートを、ハニカム状に成形してなるエアフィ
    ルター。
  2. 【請求項2】前記エレクトレット化フィルター層が、繊
    維断面の長辺/短辺の長さの比が1.3〜2.7であ
    り、長辺の長さが20〜50μmである繊維からなる短
    繊維不織布で構成されているものである請求項1に記載
    のエアフィルター。
  3. 【請求項3】前記短繊維不織布が、ポリオレフィンフィ
    ルムの解繊糸からなるものである請求項2に記載のエア
    フィルター。
  4. 【請求項4】前記エレクトレット化フィルター層が、平
    均繊維径0.5〜10μmの繊維からなり、見掛け密度
    が8.5×10-4〜5.5×10-4g/m3 の繊維不織
    布からなるものである請求項1に記載のエアフィルタ
    ー。
  5. 【請求項5】前記繊維不織布が、メルトブローン法不織
    布からなるものである請求項4に記載のエアフィルタ
    ー。
  6. 【請求項6】前記抗菌性フィルター層が、不織布、紙、
    織布および網状物から選ばれる少なくとも1種の基材か
    らなるものである請求項1に記載のエアフィルター。
  7. 【請求項7】前記抗菌性フィルター層が、抗菌剤をシー
    ト状物に含浸または塗布してなるものである請求項1に
    記載のエアフィルター。
  8. 【請求項8】前記抗菌性フィルター層が、抗菌剤を含有
    する原料から成形されたシート状物である請求項1に記
    載のエアフィルター。
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