JPH10174677A - 放射体温計 - Google Patents

放射体温計

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JPH10174677A
JPH10174677A JP8337902A JP33790296A JPH10174677A JP H10174677 A JPH10174677 A JP H10174677A JP 8337902 A JP8337902 A JP 8337902A JP 33790296 A JP33790296 A JP 33790296A JP H10174677 A JPH10174677 A JP H10174677A
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tubular member
hollow tubular
lens
infrared rays
radiation thermometer
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JP8337902A
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English (en)
Inventor
Kazunari Nishii
一成 西井
Makoto Shibuya
誠 渋谷
Hirohisa Imai
博久 今井
Takashi Iwasa
隆司 岩佐
Kazutoshi Nagai
和俊 永井
Gendo Kato
玄道 加藤
Takeshi Masutani
武 増谷
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プローブを耳孔に挿入した時に、プローブと
耳孔の間で熱流が生じる。その結果、プローブの温度が
上昇するので、プローブからの熱輻射が測定値に影響を
与える。その輻射による測定誤差を極力抑える構成に
し、繰り返し測定の安定性を向上させる。 【解決手段】 放射体温計の光学系を、鼓膜近傍から放
射される赤外線を指向する内面が低輻射率の中空管状部
材9と、中空管状部材9と光軸が一致するように配置さ
れ赤外線を集光するレンズ10を効果的に組み合わせた
構成とすることにより、中空管状部材9内面からの輻射
による影響を軽減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鼓膜近傍の赤外線
エネルギーを検出して体温を測定する放射体温計に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】最近、鼓膜近傍から放射される赤外線を
検出して、人体の体温を1〜2秒程度で測定する鼓膜温
度計(以下、放射体温計として述べる)が体温の測定に
適用されるようになってきた。このような放射体温計
は、耳孔に挿入するプローブと、プローブ先端から入射
された赤外線を体温計の本体内に配置された赤外線セン
サーに光学的に連結する導波管とを有している。つま
り、導波管は、導波管先端から入射した赤外線を何回も
反射を繰り返しながら赤外線センサーにまで導くための
手段である。そのため、導波管内面は、体温の赤外線波
長に対して、なめらかな鏡面加工を施しており、赤外線
センサーには焦電素子が一般に用いられる。この検出原
理は対象物温度と赤外線センサー自身の温度の4乗差に
比例した電圧を取り出すことができ、赤外線センサー自
身の温度をサーミスタ等で検出すれば、演算により対象
物の温度が検出できるものである。放射体温計に求めら
れる検出温度精度は±0.1℃であり、極めて精度が要
求される。この検出精度を実現するための課題として、
最も大きな課題は、プローブがあるために、対象物の耳
孔温度だけでなく、プローブ内部にある導波管の温度も
赤外線センサーは見ることになり、導波管と赤外線セン
サー自身の温度が等しければ熱的アンバランスが生じな
いので熱的アンバランスによる測定誤差はゼロとなる
が、温度差が生じれば誤差が生じることになる。つま
り、プローブ内部すなわち導波管の温度と赤外線センサ
ー自身の熱的バランスが、検出精度上、大きな課題であ
り、多くの提案が成されている。このような温度計は、
代表的には特公平6−63851号公報に記載されてお
り、その光学的な構成の一部を図10に示す。導波管1
は、耳孔部2からの熱伝導の影響を受けないように、耳
孔部2で接触するプローブ3とは熱絶縁手段4を介して
結合されており、かつ熱伝導の影響を受けたとしてもそ
の熱輻射を抑えるように、導波管1の内外面をなめらか
な鏡面にし、鼓膜近傍から放射された赤外線を導波管壁
面で反射を繰り返しながら入射させる位置に赤外線セン
サー5を配置する構成が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の放射体温計
は、約1〜2秒で体温が測定できるから、数回体温を測
定することは、充分考えられる。この場合、測定値に再
現性がないと、測定値としての意味がない。ところが、
測定しようとして、耳孔部にプローブを挿入すれば、プ
ローブと外耳道は接触するので、どうしても過渡的に熱
流が発生する。この状態で、何回か測定を繰り返せば、
プローブ内部にある導波管と赤外線センサーに熱的ギャ
ップが発生し温度差が生じることになる。導波管とプロ
ーブを熱絶縁手段で絶縁しても、耳孔部の径は大人で1
0mm程度であり、幼児では、6mm程度である。プローブ
と導波管はこの径に基づいて設計されているはずである
から、熱絶縁手段として、空隙層を設けたとしても、わ
ずかな空隙層しか設けられず、効果のある熱絶縁手段と
はならない。つまり、繰り返し測定をすれば、必ず導波
管の温度が上昇することになる。
【0004】しかし、前記特公平6−63851号公報
に記載の放射体温計の光学構成は、内面がなめらかな鏡
面の導波管のみで構成されているため、光学的な視野は
著しくブロードになっており視野角θは90度となって
いる。その光学的視野感度特性を図11に示す。つま
り、赤外線センサーに入射される全赤外線エネルギーの
95%が導波管の壁面を反射しながら赤外線センサーに
入射し、全赤外線エネルギーの5%のみが導波管壁面で
反射せずに赤外線センサーに入射するいわゆる直接波の
エネルギーとなる。図11において、全入射赤外線エネ
ルギーの内、6が直接波で7が反射波が占める割合であ
る。つまり鼓膜近傍から放射される赤外線の95%は導
波管での反射波である。導波管の内面は、なめらかな鏡
面となっているが、反射率が1で輻射率がゼロの完全な
鏡面は、製造上実現が不可能であり、反射率として0.
95、輻射率が0.05程度が精度良く加工したとして
も現実的な鏡面である。このことから、前記公報の導波
管の内面鏡面は輻射率が5%程度あるということにな
り、赤外線センサーに入射される全エネルギーの内、導
波管による輻射エネルギーとしては、95%に5%を乗
じた値の約5%弱含まれることになる。つまり、導波管
内壁面での反射波95%の内5%は内壁面からの熱輻射
波となる。このことは、導波管の温度が赤外線センサー
よりも1〜2℃過渡的に上昇すれば、光学系の輻射によ
る温度誤差として、0.05℃〜0.1℃存在すること
を意味する。体温計の精度は、この光学系や熱系の誤差
ばかりでなく、回路誤差等も含まれるから、総合精度を
±0.1℃以内とするには、前記した光学系の輻射誤差
は無視できなくなる。
【0005】本発明は、このような光学系による輻射温
度誤差を極力小さくすることにより、検温精度を向上さ
せるとともに、繰り返し測定しても、測定値が再現でき
る放射体温計を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、光学系は従来のように導波管のみの構成で
はなく、輻射率が小さい内面を有する中空管状部材と光
学レンズを効果的に組み合わせた構成とすることで、赤
外線センサーには鼓膜近傍から放射される赤外線の直接
波をより多く入射させることができるようになり、中空
管状部材の内壁面から繰り返し反射しながら赤外線セン
サーに入射する反射波と内壁面からの輻射波を少なくす
ることができるので、光学系の輻射による温度誤差を極
力小さくできる。そのため、繰り返し体温を測定して
も、中空管状部材の温度は過渡的に上昇するが、その影
響はほとんど無視できるようになり、測定値の精度、安
定性が向上する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の放射体温計は、鼓膜近傍
から放射される赤外線を指向する内面が低輻射率の中空
管状部材と、前記中空管状部材と光軸が一致するように
配置され赤外線を集光するレンズと、前記レンズにより
集光された赤外線を検知する赤外線センサーとからな
る。そして、本発明の放射体温計は、鼓膜近傍から放射
される赤外線を指向する内面が低輻射率の中空管状部材
と、前記中空管状部材と光軸が一致するように配置され
赤外線を集光するレンズと、前記レンズにより集光され
た赤外線を検知する赤外線センサーと、前記レンズと前
記赤外線センサーを格納する内面が低輻射率の格納ブロ
ックとからなる。
【0008】また、赤外線センサーとして薄膜焦電セン
サーを使用しているので素子のチップサイズが極めて小
さくでき、その結果、レンズとの焦点距離を短くできる
ことにより、中空管状部材、レンズ、赤外線センサーで
構成される光学系に視野感度特性を、より急峻なものに
できる。
【0009】そして、中空管状部材の内面または格納ブ
ロック内面の輻射率は、赤外線センサーが検知する波長
領域の赤外線に対して0.1を越えないようにしたもの
である。そして、中空管状部材の内面または格納ブロッ
ク内面を酸化防止加工しているので、酸化等による内面
の腐食はなく、光学系の精度を経時的に維持できる。
【0010】そして、中空管状部材の内面または格納ブ
ロック内面を金、白金、パラジウム等の貴金属類で内面
表面処理を施すことにより、輻射率を小さくでき、かつ
内面の酸化等の影響をなくすことができるので光学系の
精度を経時的に維持できる。
【0011】そして、中空管状部材の先端部に耳孔部か
らの赤外線を透過させる防塵用部材を着設しているの
で、耳垢等が中空管状部材の中に入り込むことはない。
【0012】そして、中空管状部材の防塵用部材とレン
ズで閉じられた密閉空間を不活性ガスで封入しているの
で、中空管状部材内面が結露、酸化等の経時変化に対し
て安定であり、内面の輻射率も変化しない。
【0013】そして、レンズは回折効果を利用した平板
レンズを用いているので、光学系を小さくできるので、
外耳道周辺からの熱輻射を低減できるとともに体温計も
小型化できる。そして、中空管状部材の内面または格納
ブロック内面をなめらかに鏡面加工しているので、より
輻射率を低減することができる。
【0014】以下、本発明の実施例について図面を参照
して説明する。 (実施例1)図1は本発明の実施例1の放射体温計の構
成ブロック図である。図1において、8は放射体温計本
体、3は耳孔部2に挿入する部分でありプローブであ
る。9は鼓膜近傍から放射する赤外線を指向する中空管
状部材である。中空管状部材9の内面は、低輻射率とな
るように加工されている。10は中空管状部材9と光学
的な光軸が一致するように中空管状部材9の後端にとり
つけられて、赤外線を集光するレンズである。本実施例
では回折効果を利用した平板シリコンレンズを用いてい
るが、レンズ材料としては、ゲルマニウムやガリウムヒ
素であってもよく、また球面レンズであっても支障はな
い。5はレンズ10で集光された赤外線を検出する赤外
線センサーであり、11は赤外線センサー5自身の温度
を検出する温度検出器でありサーミスターよりなる。赤
外線を検知する放射温度計に使用される焦電型センサー
の材料として、PbTiO3、PZT等のセラミック材料、LiTaO
3、TGSなどの単結晶あるいはPVDF等の有機フィ
ルムがあるが、多く使用されているのは、セラミック材
料を用いたバルク型焦電センサーである。本実施例にお
いても、赤外線センサー5として、セラミック材料のバ
ルク型焦電センサーを使用している。また、赤外線セン
サー5とレンズ10および温度検出器11は、格納ブロ
ック12に格納されている。13は赤外線センサー5で
出力される電圧値を増幅するフィルターアンプである。
14はフィルターアンプ13の出力と温度検出器11の
出力をアナログ値からデジタル値に変換するAD変換器
であり、15はAD変換器14の出力に基づき、体温情
報に変換演算する演算手段であり、16は演算手段15
で算出された体温情報を表示する表示手段である。温度
検出器11の位置は、赤外線センサー5の温度が検出可
能な位置であれば良く、赤外線センサー5と結合または
隣接していることが望ましい。17は赤外線を連続的に
断続させ赤外線センサー5に入射させるチョッパーであ
り、赤外線センサー5の前に配置されている。18は電
源であり、乾電池より構成される。19は電源スイッ
チ、20は測定用のスイッチであり、共にプッシュスイ
ッチを用いている。また、本実施例において、演算手段
15はマイクロコンピュータを用い、表示手段16は液
晶表示デバイスを用いている。また、本実施例で使用し
たレンズは、エッチング技術を用いて加工された回折型
の平板シリコンレンズであり、波長程度のわずかな凹凸
が周期的に表面に作られており、各周期からの回折が焦
点で位相が合うように設計されている。そのため半導体
と同等の製造プロセスで加工が可能なため、安く、薄
く、小型化が可能となるものである。
【0015】次に、動作について述べる。検温する場
合、使用者が放射体温計8を手に持ち、電源スイッチ1
9を押す。この状態で演算手段15はスタンバイ状態と
なる。次にプローブ3を耳孔部2に挿入し、測定スイッ
チ20を押す。測定スイッチ20が押されれば、演算手
段15は、チョッパー17を駆動させる。そして耳孔部
2から放射される赤外線は、赤外線センサー5で検出さ
れ、フィルターアンプ13で増幅され、AD変換器14
でデジタル値に変換されてから演算手段15に入力され
る。この時、同時に赤外線センサー5自身の温度も温度
検出器11で検出し、AD変換器14でデジタル値に変
換され同様に演算手段15に入力される。赤外線センサ
ー5の出力は、耳孔部の温度と赤外線センサー5自身の
温度の4乗差に比例した値が出力される。また赤外線セ
ンサー5自身の温度は温度検出器11で検出されている
ので、演算手段15は、所定の演算をすることにより、
耳孔部の温度を算出することが可能となる。測定スイッ
チ20を押してから測定終了までは、約1.5秒であ
る。
【0016】鼓膜から放射される赤外線を検出する放射
体温計は、一般に測定時間が1〜2秒と短いので繰り返
し複数回測定されることが多い。しかし、測定値の再現
性がないなら、どの値を信用してよいか判断できなくな
る。これは、耳孔部2にプローブ3を挿入すれば、プロ
ーブ3と外耳道は接触するので、どうしても過渡的に熱
流が発生する。この状態で、何回か測定を繰り返せば、
プローブ内部にある中空管状部材9と赤外線センサー5
に熱的ギャップが発生し温度差が生じることになる。つ
まり、繰り返し測定をすれば、必ず中空管状部材9の温
度が上昇することになる。赤外線センサー5は、この温
度が上昇した中空管状部材9の内壁面の温度を輻射赤外
線として受けることになり、輻射による温度誤差が発生
する。
【0017】耳孔部2との熱流および放射体温計8が置
かれる周囲環境温度によって、中空管状部材9は温度変
動をともなう。しかし、本実施例では、その輻射温度誤
差を極力小さくするために、光学系として、レンズ10
と内面が低輻射率の中空管状部材9を効果的に組み合わ
せることにより、中空管状部材9からの輻射による温度
誤差を極力小さくしている。図2に、本実施例で用いた
光学系の視野感度特性を示す。レンズ10により、鼓膜
近傍から放射される赤外線を集光しているので、視野が
急峻となっている。中空管状部材9の壁面を反射を繰り
返しながら、レンズ10を介して赤外線センサー5に入
射するエネルギー21と、反射しないで直接レンズ10
を介して赤外線センサー5に入射するエネルギー22の
割合は、ほぼ3対7となっている。つまり、鼓膜近傍か
ら放射された赤外線のほとんどを直接レンズ10が受け
赤外線センサー5に入射していることになる。よって、
中空管状部材9からの輻射赤外線によるエネルギー割合
は、中空管状部材9の内面輻射率を0.05とすると、
0.3に0.05を乗じた値の1.5%が輻射赤外線と
して、赤外線センサー5に入射するだけである。耳孔部
2にプローブ3を挿入して、繰り返し測定すれば、中空
管状部材9と赤外線センサー5の間で1〜2℃の温度差
が発生する。つまり、耳孔部2からの熱伝導により中空
管状部材9の温度が上昇する。これを輻射赤外線による
温度誤差として概算すると、0.015℃から0.03
℃となり、光学系の誤差は、総合精度±0.1℃に対し
て充分小さくすることができる。また、中空管状部材9
の温度は、使用環境温度も含めて、ほぼ0℃から45℃
位までの温度範囲となるが、中空管状部材9の内面は、
赤外線センサー5が検知する温度領域波長の赤外線に対
して低輻射率となるように鏡面加工を施している。中空
管状部材9の内面輻射率は小さければ小さい程良いが、
その限界は総合精度±0.1℃から考慮して、輻射によ
る温度誤差を0.05℃以下にすることが望ましく、こ
のことから中空管状部材9の内面輻射率は0.1を越え
ないことが好ましい。また、本実施例では、中空管状部
材9としてアルミニウムを使用している。
【0018】さらに、本実施例では、レンズ10とし
て、回折型のシリコンレンズを用いたが、集光効率は球
面レンズの85%程度であった。しかし、回折レンズの
回折効率を上げるか、または、球面レンズを使用すれ
ば、さらに集光効率を上げることができるのはいうまで
もない。集光効率を上げることにより、中空管状部材9
の内壁面からの反射波と熱輻射波の割合を低減し、鼓膜
近傍から放射された赤外線を直接波として、より多く赤
外線センサー5に入射させることができるので、中空管
状部材9の内壁面からの熱輻射による温度誤差をさらに
抑えることができる。
【0019】以上のように本実施例によれば、放射体温
計8の光学系として、内面が低輻射率の中空管状部材9
とレンズ10の組み合わせにより、耳孔部2からの熱伝
導による中空管状部材9の内面からの熱輻射による温度
誤差を小さくすることができ、繰り返し測定しても、再
現性のある測定値を得ることができる。
【0020】(実施例2)図3は本発明の実施例2の放
射体温計の構成ブロック図である。実施例1とほぼ同様
の構成であるが、中空管状部材9としてアルミニウムで
はなく、部材として、真ちゅうを使用し、その内面をな
めらかに鏡面加工し、酸化防止材23で表面処理を施し
た点が異なる。中空管状部材9として、部材の素材とし
て、アルミニウム、真ちゅう、クロム、亜鉛合金等が考
えられるが、これらの材料は経時的に見れば、酸化等の
化学変化を起こすので、中空管状部材9の内面の輻射率
が変化する課題がある。輻射率が変化すれば、中空管状
部材9の内面からの熱輻射が変化することになり、放射
体温計8の総合精度が経時的に変化することになる。酸
化による腐食防止加工として、テフロン、シリコーン等
の有機系薄膜のコーティングが考えられるが、本実施例
では、シリコーンコーティング22を中空管状部材9に
施した構成としている。
【0021】以上のように本実施例によれば、中空管状
部材9の内面を、酸化防止膜でコーティングしているの
で、酸化等による内面変化はなく、中空管状部材9の内
面輻射率が経時的に変化しない。よって、総合精度が経
時的に悪化することなく、精度を維持させることができ
る。
【0022】(実施例3)図4は本発明の実施例3の放
射体温計の構成ブロック図である。実施例1とほぼ同様
の構成であるが、中空管状部材9の内面をなめらかに鏡
面加工し、金、白金、パラジウム等の貴金属類24で表
面処理を施した点が異なる。本実施例では、その中でも
輻射率が小さく、かつ酸化等の腐食にも強く安定性のあ
る金を中空管状部材9の内面にメッキした構成とした。
【0023】以上のように本実施例によれば、中空管状
部材9の内面を、金メッキしているので、輻射率も小さ
く酸化等による内面変化はないので、中空管状部材9の
内面輻射率が経時的に変化しない。よって、総合精度が
経時的に悪化することなく、さらに精度を維持させるこ
とができる。
【0024】(実施例4)図5は本発明の実施例4の放
射体温計の構成ブロック図である。実施例1とほぼ同様
の構成であるが、中空管状部材9の先端部を開放端では
なく、耳垢等から保護する防塵用部材25を備えた点が
異なる。本実施例で用いた防塵用部材25は赤外線波長
10ミクロン前後を比較的透過させるポリエチレンを使
用している。防塵用部材25として、他にポリプロピレ
ン、ナイロン等が考えられるが、本発明はこの種類には
拘束されない。防塵用部材25を中空管状部材9の先端
に着設しているので、中空管状部材9の内面が汚れるこ
とがないので、輻射率も変化しない。よって、放射体温
計としての精度を、経時的に保持させることができる。
【0025】(実施例5)図6は本発明の実施例5の放
射体温計の構成ブロック図である。実施例4とほぼ同様
の構成であるが、中空管状部材9の防塵用部材25とレ
ンズ10で閉じられた密閉空間を不活性ガス26で封入
した点が異なる。不活性ガス26として、チッソ、アル
ゴン等があるが、本実施例では、チッソガスを外気圧と
同圧で封入している。この構成によれば、中空管状部材
9の内面が結露、酸化等の経時変化に対して安定であ
り、内面の輻射率が変化しないので、放射体温計として
の精度を、経時的により保持させることができる。
【0026】(実施例6)図7は本発明の実施例6の放
射体温計の構成ブロック図である。実施例1または実施
例2とほぼ同様の構成であるが、レンズ10と赤外線セ
ンサー5を格納する格納ブロック12内面を低輻射率に
なるように低輻射処理27をした点が異なる。耳孔部2
からの熱伝導による熱的な過渡的変化は、赤外線センサ
ー5とレンズ10を格納する格納ブロック12にも発生
する。格納ブロック12内面からの輻射による測定誤差
への影響は、中空管状部材9内面による影響よりも少な
い。これは、格納ブロックと赤外線センサー5が熱的に
近傍にあり、変化しても、ほぼ均一に変化するからであ
る。しかし、±0.1℃以内の精度を実現するには、格
納ブロック12内面からの熱輻射も極力抑えることが望
ましい。さらに格納ブロック12内面も酸化等による腐
食がなく、安定していることが望ましい。本実施例で
は、格納ブロック12内面を実施例1ないし実施例3と
同様な構成で、低輻射率、酸化等の防止加工、鏡面加工
という処理を格納ブロック12内面に施している。
【0027】(実施例7)図8は本発明の実施例7の放
射体温計の構成ブロック図である。実施例1または実施
例2とほぼ同様の構成であるが、赤外線センサー5とし
て、バルク型の焦電センサーではなく、PbTiO3系を主成
分とする薄膜焦電センサー28を使用した点が異なる。
バルク型焦電センサーのチップ面積は2mm×2mm程度あ
るのに対して、薄膜焦電センサー28のチップ面積は
0.2mm×0.2mm程度であり、チップ面積を大変
小さくすることができる。チップ面積が小さいというこ
とは、径の小さいレンズと組み合わせることにより、放
射体温計8の光学系の視野感度特性を、より急峻にする
ことが可能となる。図9はレンズ10と赤外線センサー
5間の視野感度特性を示したものである。図9(a)は
径の大きいレンズ10とチップ面積の大きい赤外線セン
サー5を使用した場合の視野感度特性であり、θはその
視野角である。図9(b)は径の小さいレンズ10とチ
ップ面積の小さい赤外線センサーを使用した場合の視野
感度特性であり、赤外線センサー5とレンズ10間の焦
点距離を図9(a)と同じにすると、光学的視野θを大
変狭く急峻にすることができる。本実施例で使用したレ
ンズ10は、3mm×3mm程度の小型回折型シリコンレンズ
であるので、赤外線センサー5としてチップ面積の小さ
い薄膜焦電センサー28を組み合わせた構成とすること
により、放射体温計8の光学視野を大変急峻にできるの
で、より鼓膜近傍から放射された赤外線を直接波とし
て、より多く検出することができる。これは、中空管状
部材9での反射波と耳孔部2からの中空管状部材内面か
らの熱輻射波を減少することに相当するので、中空管状
部材9の温度が耳孔部2との接触において上昇したとし
ても、その熱輻射による測定誤差をより小さくできる。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明かなように本発明の放
射体温計によれば、次の効果が得られる。放射体温計の
光学系を、輻射率が小さい内面を有する中空管状部材と
光学レンズを効果的に組み合わせた構成とすることで、
赤外線センサーには鼓膜近傍から放射される赤外線の直
接波をより多く入射させることができるようになり、中
空管状部材の内壁面から繰り返し反射しながら赤外線セ
ンサーに入射する反射波と内壁面からの輻射波を少なく
することができるので、光学系の輻射による温度誤差を
極力小さくできる。そのため、繰り返し体温を測定して
も、中空管状部材の温度は過渡的に上昇するが、その輻
射による影響はほとんど無視できるようになり、測定値
の精度、安定性が向上する。この効果により、病院等で
看護巣さんが多くの患者の検温巡回を定期的に行ってい
るが、最適な検温装置にもなる。
【0029】また、レンズにより鼓膜近傍から放射され
る赤外線を集光している他の利点として、鼓膜近傍温度
をスポット的に検知することになり、より鼓膜温度に近
い体温計とすることができるとともに、大人と子供で
は、耳孔入り口から鼓膜までの距離が異なるが、距離の
違いによる測定値に差がないという利点も有している。
さらに、耳孔の奥深くまで挿入する必要がないので、子
供は耳孔に奥深く挿入することに対して恐怖心を抱く
が、この恐怖心を少なくすることができ、安全な体温計
とすることができる。また、赤外線センサーとして、薄
膜焦電センサーを用い、レンズとして半導体製造プロセ
スと同様のエッチング技術を用いて製造できる回折型平
板レンズを用いた構成としているため、光学系の視野感
度特性をより急峻にすることができるので、中空管状部
材の内壁面からの熱輻射による影響をさらに、少なくす
ることができ、測定精度を向上させることができる。
【0030】また、赤外線センサーが検知できる波長領
域の赤外線に対して、中空管状部材の内面輻射率を0.
1を越えないようにしているので、中空管状部材内面か
らの輻射温度による測定温度誤差を、大変小さくするこ
とができ、繰り返し測定の安定性を向上させることがで
きる。
【0031】また、中空管状部材の内面を酸化防止処理
を施しているので、酸化等の内面変化はなく、中空管状
部材の内面輻射率が経時的に変化しない。よって、総合
精度が経時的に悪化させずに、精度を保持させることが
できる。
【0032】また、中空管状部材の内面を貴金属類で表
面処理をしているので、低輻射率を維持しながら酸化等
の内面変化はなく、中空管状部材の内面輻射率が経時的
に変化しない。よって、総合精度が経時的に悪化させず
に、精度を保持させることができる。
【0033】また、鼓膜近傍から放射される赤外線波長
領域の赤外線を透過させることができる防塵用部材を中
空管状部材の先端部に着設することにより、中空管状部
材の内面が耳垢等で汚れることがないので、輻射率も変
化しない。よって、放射体温計としての精度を、経時的
に保持させることができる。
【0034】また、中空管状部材の防塵用部材とレンズ
で閉じられた密閉空間を不活性ガスで封入しているの
で、中空管状部材内面が結露、酸化等の経時変化に対し
て安定であり、内面の輻射率が変化しないので、放射体
温計としての精度を、経時的により保持させることがで
きる。
【0035】また、中空管状部材の内面は、なめらかな
鏡面加工を施しているので内面が粗面のものと比較し
て、内面面積が小さくなるので、内面の熱吸収も熱輻射
も少なくなる。つまり、中空管状部材からの熱輻射によ
る測定誤差をさらに小さくすることができる。
【0036】また、耳孔部からの熱伝導による熱的な過
渡的変化は、赤外線センサーとレンズを格納する格納ブ
ロックにも発生するので、±0.1℃以内の精度を実現
するには、格納ブロック内面からの熱輻射も極力抑える
ことが望ましい。格納ブロック内面を、低輻射率、酸化
等の防止加工、鏡面加工という処理を格納ブロック内面
に施しているので、測定精度をさらに、向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の放射体温計の構成ブロック
【図2】同装置の光学系の視野感度特性を示す図
【図3】本発明の実施例2の放射体温計の構成ブロック
【図4】本発明の実施例3の放射体温計の構成ブロック
【図5】本発明の実施例4の放射体温計の構成ブロック
【図6】本発明の実施例5の放射体温計の構成ブロック
【図7】本発明の実施例6の放射体温計の構成ブロック
【図8】本発明の実施例7の放射体温計の構成ブロック
【図9】(a)同装置の光学系視野感度特性を示す図 (b)同装置の光学系視野感度特性を示す図
【図10】従来の放射体温計の光学系構成図
【図11】同装置の光学系の視野感度特性を示す図
【符号の説明】
5 赤外線センサー 9 中空管状部材 10 レンズ 25 防塵用部材 26 不活性ガス 28 薄膜焦電センサー
フロントページの続き (72)発明者 岩佐 隆司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 永井 和俊 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 加藤 玄道 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 増谷 武 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鼓膜近傍から放射される赤外線を指向する
    内面が低輻射率の中空管状部材と、前記中空管状部材と
    光軸が一致するように配置され赤外線を集光するレンズ
    と、前記レンズにより集光された赤外線を検知する赤外
    線センサーとからなる放射体温計。
  2. 【請求項2】鼓膜近傍から放射される赤外線を指向する
    内面が低輻射率の中空管状部材と、前記中空管状部材と
    光軸が一致するように配置され赤外線を集光するレンズ
    と、前記レンズにより集光された赤外線を検知する赤外
    線センサーと、前記レンズと前記赤外線センサーを格納
    する内面が低輻射率の格納ブロックを備えた放射体温
    計。
  3. 【請求項3】赤外線センサーは薄膜焦電センサーである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の放射体温計。
  4. 【請求項4】中空管状部材の内面または格納ブロック内
    面の輻射率は、赤外線センサーが検知する波長領域の赤
    外線に対して0.1を越えないことを特徴とする請求項
    1または2記載の放射体温計。
  5. 【請求項5】中空管状部材の内面または格納ブロック内
    面を酸化防止加工したことを特徴とする請求項1または
    2記載の放射体温計。
  6. 【請求項6】中空管状部材の内面または格納ブロック内
    面を、金、白金、パラジウム等の貴金属類で内面表面処
    理を施したことを特徴とする請求項1または2記載の放
    射体温計。
  7. 【請求項7】中空管状部材の先端部に鼓膜近傍からの赤
    外線を透過させる防塵用部材を着設したことを特徴とす
    る請求項1または2記載の放射体温計。
  8. 【請求項8】中空管状部材の防塵用部材とレンズで閉じ
    られた密閉空間を不活性ガスで封入したことを特徴とす
    る請求項7記載の放射体温計。
  9. 【請求項9】レンズは回折効果を利用した平板レンズで
    あることを特徴とする請求項1または2記載の放射体温
    計。
  10. 【請求項10】中空管状部材の内面または格納ブロック
    内面をなめらかに鏡面加工したことを特徴とする請求項
    1ないし9のいずれか1項に記載の放射体温計。
JP8337902A 1996-12-18 1996-12-18 放射体温計 Pending JPH10174677A (ja)

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