JPH10173306A - 形状記憶合金薄膜アクチュエータの製造方法 - Google Patents

形状記憶合金薄膜アクチュエータの製造方法

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JPH10173306A
JPH10173306A JP32709496A JP32709496A JPH10173306A JP H10173306 A JPH10173306 A JP H10173306A JP 32709496 A JP32709496 A JP 32709496A JP 32709496 A JP32709496 A JP 32709496A JP H10173306 A JPH10173306 A JP H10173306A
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JP
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thin film
shape memory
film
sma
stress
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JP32709496A
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Yoshinori Ota
好紀 太田
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Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H61/00Electrothermal relays
    • H01H2061/006Micromechanical thermal relay
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H61/00Electrothermal relays
    • H01H61/01Details
    • H01H61/0107Details making use of shape memory materials
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/40Forming printed elements for providing electric connections to or between printed circuits
    • H05K3/4092Integral conductive tabs, i.e. conductive parts partly detached from the substrate

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Abstract

(57)【要約】 【課題】半導体製造プロセスによって、所望形状のSM
A薄膜を有するアクチュエータを効率良く且つ低コスト
で一貫製造することが可能な形状記憶合金薄膜アクチュ
エータの製造方法を提供する。 【解決手段】シリコン基板2の両面に絶縁膜4,6を形
成する工程と、TiNi合金から成り且つ所定の内部応
力を有する下層薄膜10及び上層薄膜12から成る形状
記憶合金薄膜(SMA薄膜)をシリコン基板の表面に形
成された絶縁膜4上に成膜する工程と、SMA薄膜を結
晶化させるための結晶化熱処理工程と、SMA薄膜に平
坦状の形状を記憶させるための形状記憶処理工程と、フ
ォトリソグラフィーによってSMA薄膜を所定形状にパ
ターニングする工程と、シリコン基板の裏面に形成され
た絶縁膜6の一部をエッチング除去する工程と、残留し
ている絶縁膜を介してシリコン基板に異方性エッチング
を施す工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、形状記憶効果を有
する形状記憶合金薄膜アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特公昭62−14619号
公報(以下、第1の従来技術という)及び特開平6−3
40963号公報(以下、第2の従来技術という)に開
示されているように、形状記憶処理を施された形状記憶
合金薄膜(以下、SMA(shapememory alloy)薄膜とい
う)を用いたアクチュエータが知られている。
【0003】第1の従来技術のSMA薄膜は、溶解形成
した所定原子%のTiNi合金に熱処理を施した後、機
械的に拘束した状態で時効処理を施すことによって製造
されている。
【0004】第2の従来技術のSMA薄膜は、形状記憶
合金から成る膜をフレキシブル基材に密着形成すること
によって製造されており、膜の形状記憶効果に基づいて
当該膜と基材とが一体的に変形するように構成されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】第1及び第2の従来技
術において、SMA薄膜は、他のアクチュエータ構成品
とは別途独立して製造されており、特に、所定の屈曲形
状を記憶するためには、所定形状の型治具に機械的に拘
束しながら数時間〜数十時間の熱処理(形状記憶処理)
を施す必要がある。
【0006】このような形状記憶処理は、複雑な処理プ
ロセスが必要となるだけで無く、その処理作業にはある
程度の熟練を要する。このため、製造プロセスの効率化
や製品の低コスト化を実現することは困難である。
【0007】また、従来のような機械的処理に基づく形
状記憶処理によれば、使用目的に対応したアクチュエー
タの高精密な小型化には限界があると共に、微小形状の
SMA薄膜に対する形状記憶処理は極めて困難となる。
【0008】更に、かかる機械的処理に基づく形状記憶
処理では、熱処理条件の最適化を確保しつつ製品の再現
性を一定レベルに維持させることは極めて困難である。
この場合、例えば半導体製造プロセス(具体的には、プ
レーナープロセス)を用いれば、微小形状のSMA薄膜
を有するアクチュエータを効率良く且つ低コストで一貫
製造することは技術的に可能であると考えられる。しか
しながら、このような技術は現在提案されていない。
【0009】そこで、本発明の目的は、半導体製造プロ
セスによって、所望形状のSMA薄膜を有するアクチュ
エータを効率良く且つ低コストで一貫製造することが可
能な形状記憶合金薄膜アクチュエータの製造方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の形状記憶合金薄膜アクチュエータの
製造方法は、基板の両面に絶縁膜を形成する絶縁膜形成
工程と、所定の合金材料から成り且つ所定の内部応力を
有する形状記憶合金薄膜を前記基板の表面に形成された
前記絶縁膜上に成膜する成膜工程と、前記形状記憶合金
薄膜を結晶化させるための結晶化熱処理工程と、前記形
状記憶合金薄膜に形状記憶処理を施す形状記憶処理工程
と、前記形状記憶合金薄膜を所定形状にパターニングす
るパターニング工程と、前記基板の裏面に形成された前
記絶縁膜の一部をエッチング除去する工程と、前記基板
の裏面に残留した前記絶縁膜を介して前記基板をエッチ
ングする工程とを有する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
に係る形状記憶合金薄膜アクチュエータについて、図1
〜図5を参照して説明する。図1には、本実施の形態の
形状記憶合金薄膜アクチュエータを適用した片持ち梁型
アクチュエータの構成が示されている。
【0012】図1に示すように、本実施の形態に適用し
た片持ち梁型アクチュエータは、支持部14と、この支
持部14から延出した形状記憶合金薄膜(以下、SMA
薄膜という)から成る略U字状の片持ち梁8とを備えて
いる。なお、SMA薄膜としては、例えばCu系合金や
TiNi合金を選択することができるが、本実施の形態
では、その一例として、TiNi合金から成るSMA薄
膜を適用する。
【0013】片持ち梁8は、支持部14から延出し且つ
先端部8aで一体化した2本のビーム8bを備えてお
り、所定方向に可逆的に形状変化するように、二方向の
形状記憶効果を有している。この場合、可逆的動作特性
の一例として、本実施の形態に適用した片持ち梁8は、
室温まで冷却することによって下方又は上方に湾曲し
(図1(a),(b)参照)、室温以上に加熱すること
によって形状記憶した平坦状に回復する(図1(c)参
照)。
【0014】図2には、上述したような可逆的動作特性
を有する形状記憶合金薄膜アクチュエータの製造プロセ
スが示されている。なお、この製造プロセスを介して製
造される片持ち梁8は、その一例として、互いに所定の
内部応力(例えば、圧縮応力又は引張応力)を有する上
層薄膜12及び下層薄膜10から成る2層構造のSMA
薄膜となっているものとする。この場合、SMA薄膜を
構成する上層薄膜12及び下層薄膜10の内部応力の種
類や大きさ等は、適宜選択的に設定することが可能であ
る。また、室温状態において片持ち梁8を予め設定した
湾曲状態(図1(a),(b)参照)に変形させること
ができるように、上層薄膜12及び下層薄膜10は、相
互にバイアスバネとしての機能を有している。また、こ
の製造プロセスでは、その一例として、上層薄膜12及
び下層薄膜10は、共に、TiNi合金によって形成す
ることとする。
【0015】以下に、形状記憶合金薄膜アクチュエータ
の製造プロセスを説明するが、この製造方法によって発
明の内容が特定されるものではなく、片持ち梁8の構成
として、上層薄膜12及び下層薄膜10のいずれか一方
の薄膜を内部応力を有する金属薄膜や絶縁薄膜等で形成
しても後述するような効果を奏する。従って、本発明に
適用した形状記憶合金薄膜は、SMA薄膜と他の材料か
ら成る薄膜とから成る場合も含めた概念を意味してい
る。
【0016】まず、図2(a)に示すように、(10
0)の結晶面を有し且つ厚さ300〜500μm程度の
シリコン基板2の両面に厚さ0.4μm程度の絶縁膜
4,6を形成する(絶縁膜形成工程)。
【0017】なお、これら絶縁膜4,6のうち、片持ち
梁8を形成する側の絶縁膜4として、例えば、熱酸化膜
又は低応力窒化シリコン膜(低応力SiN膜)や双方の
複合膜を適用することが可能であるが、本実施の形態で
は、その一例として、柔軟性を有する低応力SiN膜4
を適用する。また、他方の絶縁膜6は、後述する異方性
エッチング時のマスクとして用いるため、以下の説明で
は、この他方の絶縁膜を単にマスク6と称する。
【0018】絶縁膜形成工程終了後、図2(b)に示す
ように、例えばスパッタリングによって、絶縁膜(低応
力SiN膜)4上にTiNi合金から成る下層薄膜10
を厚さ5μm程度成膜した後、この下層薄膜10上にT
iNi合金から成る上層薄膜12を厚さ2μm程度成膜
する(成膜工程)。
【0019】この成膜工程では、上層薄膜12及び下層
薄膜10の内部応力(例えば、圧縮応力又は引張応力)
や組成を任意に設定することが可能である。例えば、上
層薄膜12及び下層薄膜10の内部応力を変化させる方
法としては、図3(a)に示すように、成膜時のアルゴ
ンガス圧(以下、Ar圧力という)を変化させる方法が
知られている。この場合、Ar圧力を1.0〜8.0mt
orrまで変化させると、4.5mtorr を境にして、高圧
力側で引張応力、低圧力側で圧縮応力が与えられる。な
お、図3(a)には、室温状態、供給電力を0.25k
W、TiNi合金ターゲットと上層薄膜12(又は下層
薄膜10)との間の距離を50mmに夫々設定した場合
において、Ar圧力と内部応力との関係が示されてい
る。
【0020】このような現象は、アトミックピーニング
効果(atomic peening effect) と呼ばれる現象が反映さ
れたものと言える。アトミックピーニング効果とは、成
膜中にTiNi合金ターゲットを叩いたアルゴンガス中
のアルゴン原子が、一部中性化して、成膜中の上層薄膜
12(又は下層薄膜10)の表面を叩く現象である。
【0021】具体的には、4.5mtorr よりも高いAr
圧力の場合、TiNi合金ターゲットから反射したアル
ゴン原子は、上層薄膜12(又は下層薄膜10)の表面
に到達するまでに散乱する確率が高くなる関係上、低い
エネルギのアルゴン原子が成膜中の上層薄膜12(又は
下層薄膜10)の表面を叩く。この場合、アルゴン原子
によって上層薄膜12(又は下層薄膜10)の表面の原
子に与える影響が少なくなるため、内部応力は引張応力
となる。これに対して、低いAr圧力の場合、TiNi
合金ターゲットから反射したアルゴン原子は、上層薄膜
12(又は下層薄膜10)の表面に到達するまでに散乱
する確率が低くなる関係上、高いエネルギを維持した状
態で成膜中の上層薄膜12(又は下層薄膜10)の表面
を叩く。この場合、アルゴン原子が上層薄膜12(又は
下層薄膜10)の内部に入り込むと同時に、アルゴン原
子によって上層薄膜12(又は下層薄膜10)の表面の
原子が膜内部に押し込まれる。このため、上層薄膜12
(又は下層薄膜10)は緻密な膜となり、その内部応力
は圧縮応力となる。
【0022】また、内部応力を変化させる他の方法とし
て、例えば、TiNi合金ターゲットと上層薄膜12
(又は下層薄膜10)との間の距離を変化させても良
い。この場合、距離を長くすると、アルゴン原子が上層
薄膜12(又は下層薄膜10)の表面に到達するまでに
散乱する確率が高くなるため、内部応力は引張応力とな
り得る。一方、距離を短くすると、アルゴン原子が上層
薄膜12(又は下層薄膜10)の表面に到達するまでに
散乱する確率が低くなるため、内部応力は圧縮応力とな
り得る。
【0023】このような成膜工程において、本実施の形
態では、その一例として、上層薄膜12の内部応力が圧
縮応力となり且つ下層薄膜10の内部応力が引張応力と
なり、上層薄膜12及び下層薄膜10が同一組成となっ
た場合を想定する。
【0024】この場合、上記内部応力の変化方法によっ
て圧縮応力を引張応力よりも所望量だけ大きく設定する
と、圧縮応力と引張応力との間の相互作用に基づいて、
アクチュエータ完成時に室温状態において、片持ち梁8
は、図1(a)で示すように、所望量の下向き湾曲形状
となり得る。これに対して、圧縮応力を引張応力よりも
所望量だけ小さく設定すると、圧縮応力と引張応力との
間の相互作用に基づいて、アクチュエータ完成時に室温
状態において、片持ち梁8は、図1(b)で示すよう
に、所望量の上向き湾曲形状となり得る。
【0025】以下の製造プロセスでは、その一例とし
て、アクチュエータ完成時に片持ち梁8が、室温状態に
おいて、図1(a)で示すような下向き湾曲形状となる
場合について説明を加える。
【0026】成膜工程終了後、上層薄膜12及び下層薄
膜10には、結晶化させるための熱処理(結晶化熱処
理)及び平坦状の形状を記憶させるための熱処理(形状
記憶処理)が施される(熱処理工程)。
【0027】この熱処理工程は、通常、上層薄膜12及
び下層薄膜10の成膜が終了した後に一括して行われる
ことになる。しかしながら、特に結晶化熱処理は、上記
の成膜工程中において、上層薄膜12の成膜前に、下層
薄膜10に対して行うことが好ましい。通常、TiNi
合金薄膜に対する結晶化熱処理は、480℃以上の高温
で行われる。このため、上層薄膜12及び下層薄膜10
に一括して結晶化熱処理を施すと、上層薄膜12の内部
応力が緩和されてしまう場合があり、この場合、有効に
バイアスバネとしての機能を発揮できなくなるおそれが
あるからである。従って、高温の熱処理となる結晶化熱
処理終了後に上層薄膜12を成膜することが有効な方法
と考えられる。
【0028】また、上記同様の理由によって、上記熱処
理工程(結晶化熱処理及び形状記憶処理)は、上記の成
膜工程中において、上層薄膜12の成膜前に、下層薄膜
10に対して行うことが好ましい。通常、TiNi合金
薄膜に対する形状記憶処理は、400〜500℃の温度
で数時間〜数十時間に亘って行われるため、上層薄膜1
2及び下層薄膜10に一括して上記熱処理を施すと、上
層薄膜12の内部応力が緩和されてしまう場合があるか
らである。
【0029】熱処理工程終了後、図2(c)に示すよう
に、フォトリソグラフィーによって上層薄膜12及び下
層薄膜10を略U字状の片持ち梁形状(図1参照)にパ
ターニングすると共に、マスク6の一部を除去してシリ
コン基板2を露出させる(フォトリソグラフィー工
程)。なお、このフォトリソグラフィー処理は、面方向
〈110〉に沿って行われる。
【0030】続いて、図2(d)に示すように、残留し
ているマスク6を介してシリコン基板2に異方性エッチ
ング処理を施す。この場合、絶縁膜(低応力SiN膜)
4は、異方性エッチング溶液にほとんど溶解しないた
め、絶縁膜(低応力SiN膜)4が露出した時点でシリ
コン基板2に対する異方性エッチング処理は自動的に停
止する。
【0031】最後に、図2(e)に示すように、ドライ
エッチング(例えば、反応性イオンエッチング等)によ
って絶縁膜(低応力SiN膜)4の一部及びマスク6を
除去する。この結果、上層薄膜12及び下層薄膜10か
ら成るSMA薄膜製の片持ち梁8と、この片持ち梁8を
支持する支持部14とから成る形状記憶合金薄膜アクチ
ュエータが完成する。
【0032】このような製造プロセスによれば、上層薄
膜12の圧縮応力が下層膜膜10の引張応力よりも所望
量だけ大きく設定されているため、アクチュエータ完成
時に室温状態において、片持ち梁8は、図1(a)で示
すような下向き湾曲形状を成す。即ち、上層薄膜12及
び下層薄膜10から成るTiNi合金製SMA薄膜は、
室温状態においてマルテンサイト相(低温相)、或い
は、ロンボーヘドラル(Rhombohedral)結晶構造となる。
この結果、片持ち梁8は、図1(a)で示すような下向
き湾曲形状を成す。
【0033】この状態において、片持ち梁8の基端に形
成された一対の電極パッド16(図1参照)に所定の電
圧を印加して一対のビーム8bを加熱すると、TiNi
合金製SMA薄膜が加熱されることによって、このTi
Ni合金製SMA薄膜は、オーステナイト相(高温相)
に変態する。この結果、TiNi合金製SMA薄膜の形
状記憶効果に基づいて、片持ち梁8は、図1(c)に示
すような平坦形状に回復する。
【0034】従って、本実施の形態の形状記憶合金薄膜
アクチュエータによれば、所定周期で電圧印加を繰り返
すことによって、片持ち梁8を周期的に揺動させること
が可能となる。なお、片持ち梁8の先端部8aを反射ミ
ラーとして兼用することによって、本実施の形態の形状
記憶合金薄膜アクチュエータを光偏向器として用いるこ
とが可能である。TiNi合金薄膜は、波長633nm
の光に対する反射率が約50%であるため、高い光反射
率を確保する場合には、TiNi合金薄膜上にCr製接
着層を介してAu層を堆積させることが好ましい。
【0035】このように本実施の形態によれば、所望形
状のSMA薄膜を有するアクチュエータを効率良く且つ
低コストで一貫製造することが可能な形状記憶合金薄膜
アクチュエータの製造方法を提供することが可能とな
る。
【0036】上述した例では、上層薄膜12の内部応力
が圧縮応力となり且つ下層薄膜10の内部応力が引張応
力となった場合について説明したが、上記成膜工程時の
内部応力の変化方法によって、例えば、上層薄膜12の
内部応力を引張応力とし且つ下層薄膜10の内部応力を
圧縮応力としても上記同様の作用効果を奏する。ただ
し、この場合には、片持ち梁8は、室温状態において図
1(b)に示すような上向き湾曲形状を成し、加熱状態
において図1(c)に示すような平坦形状に回復するこ
とになる。
【0037】このように上層薄膜12と下層薄膜10の
内部応力の組み合わせは、任意に選択することが可能で
ある。例えば、上層薄膜12の内部応力を無応力とし且
つ下層薄膜10の内部応力を圧縮応力又は引張応力とし
ても良い。反対に、上層薄膜12の内部応力を圧縮応力
又は引張応力とし且つ下層薄膜10の内部応力を無応力
としても良い。また、上層薄膜12の内部応力を圧縮応
力又は引張応力とし且つ下層薄膜10の内部応力を圧縮
応力又は引張応力としても良い。
【0038】特に、上層薄膜12の内部応力を圧縮応力
とし且つ下層薄膜10の内部応力を引張応力とする場
合、逆に、上層薄膜12の内部応力を引張応力とし且つ
下層薄膜10の内部応力を圧縮応力とする場合、室温状
態での片持ち梁8の湾曲量を大きくすることができる。
このため、形状記憶合金薄膜アクチュエータの偏向角を
大きくすることが可能となる。
【0039】このような内部応力と片持ち梁8の湾曲量
即ちたわみ量との間の関係は、以下のストーニ・ホフマ
ン(Stoney-Hoffman)の関係式によって表される。なお、
この関係式は、その一例として、下層薄膜10を基板と
し、上層薄膜12を薄膜として定義されている。
【0040】 σ=[Eb2 /{3(1−ν)L2 ・d}]・δ σ;薄膜の内部応力 E;基板のヤング率 b;基板の厚さ ν;基板のポアソン比 L;基板の長さ d;薄膜の厚さ δ;片持ち梁の先端部のたわみ量 具体例として、無応力の基板即ち下層薄膜10上に、圧
縮応力又は引張応力を有する上層薄膜12を成膜して成
る片持ち梁8において、E=42GPa、b=5μm、
ν=0.3、L=5mm、d=0.5μm、δ=3mm
とすると、上層薄膜12の内部応力σは、σ=120M
Paと算出される。この場合、約30°の偏向角に対応
する。
【0041】また、上記実施の形態では、上層薄膜12
及び下層薄膜10を共にTiNi合金で形成したが、例
えば、上層薄膜12及び下層薄膜10のいずれか一方の
薄膜をTiNi合金以外の金属で形成しても良い。
【0042】図3(b)には、クロム(Cr),ステン
レススチール(SS),モリブデン(Mo),タンタル
(Ta)等の種々の金属薄膜の成膜時のアルゴンガス圧
と内部応力との関係が示されている。なお、この関係
は、ホフマン(D.W.Hoffman) が提唱した文献「Effects
of substrate orientation and rotation on internals
tresses in sputtered metal films, J.Vac.Sci.Techno
l.,16(2),1979,pp.134-137.」に記載されている。
【0043】この文献には、TiNi合金のデータは記
載されていないが、出願人の実験によれば(図3(a)
参照)、TiNi合金薄膜の圧縮応力は、その最大値が
−120MPaであった。なお、成膜の内部応力は、ス
パッタ条件やスパッタ機種によって相違し、他の機種で
成膜したTiNi合金薄膜の最大圧縮応力は、−240
MPaであった。
【0044】しかしながら、大きな力量のSMA薄膜が
要求される場合、例えば、下層薄膜10の厚さを大きく
する必要上、上層薄膜12の厚さを大きくしなければな
らない。
【0045】これに対して、図3(b)に示されている
ように、圧縮圧力が−1GPaを越える金属材料が知ら
れており、特に、モリブデン(Mo)の圧縮応力は、−
2GPaを越える。
【0046】従って、膜厚を増加させること無くバイア
スバネとして大きな力を発揮させるためには、モリブデ
ン(Mo)等のTiNi合金以外の金属を用いることが
有効であることが分かる。
【0047】実際、成膜時のアルゴンガス圧を2.0mt
orr に設定し且つモリブデンターゲットを用いて成膜し
たMo薄膜の内部応力を測定すると、−640MPaの
大きな圧縮応力を与えることができた。また、タングス
テン(W)ターゲットを用いて同様の実験を行ったとこ
ろ、W薄膜に−1.5GPaの大きな圧縮応力を与える
ことができた。
【0048】また、上記実施の形態では、上層薄膜12
及び下層薄膜10を共にTiNi合金で形成したが、例
えば、上層薄膜12及び下層薄膜10のいずれか一方の
薄膜を絶縁材料で形成しても良い。
【0049】例えば、TiNi合金製下層薄膜10上に
所定の引張応力を有する金属製上層薄膜12を成膜する
場合、図3(a),(b)から明らかなように、成膜時
のアルゴンガス圧(Ar圧力)を高める必要がある。こ
の場合、上記アトミックピーニング効果によって、成膜
中の上層薄膜12に入射するアルゴン原子のエネルギが
小さくなる。このため、成膜後の上層薄膜12は、疎な
膜即ち脆い膜となる。しかしながら、SMA薄膜は、ア
クチュエータとしての機械的運動を伴うため、上層薄膜
12には、高い靭性が要求される。
【0050】これを満足する材料としては、例えば、L
P−CVD法(減圧化学気相堆積法)によって形成した
シリコンナイトライドが好ましい。シリコンナイトライ
ドから成る薄膜(上層薄膜12)を成膜する場合、原料
ガスとしては、ジクロールシラン(SiCl22 )と
アンモニア(NH3 )が用いられる。特に、通常の組成
のSi34 を得るためには、流量比がNH3 /SiC
22 =5程度のNH3 過剰の条件で成膜処理が行わ
れる。
【0051】また、SiCl22 =30sccm、NH3
=150sccmという条件で成膜したSi34 の内部応
力は、1GPaを越える引張応力となることが知られて
いる(田畑氏等の文献「薄膜ダイヤフラムを有するマイ
クロ圧力センサの感度解析、電学論E,116巻4号,
平成8年、pp.149-155.」或いは「MechanicalProperty
Measurements of Thin Films Using Load-Deflection
of CompositeRectangular Membranes, Sensors and Act
uators, 20(1989), pp.135-141.」参照)。
【0052】また、シリコンナイトライドから成る薄膜
の内部応力を低減する方法としては、NH3 /SiCl
22 の流量比を小さく設定することが効果的であるこ
とが知られている(ベック(P.A.Beck)等の文献「LOW ST
RESS SILICON NITRIDE ANDPOLYSILICON FILMS FOR MICR
OMACHINING APPLICATIONS, Stanford University.」参
照)。このようにNH3 /SiCl22 の流量比を小
さく設定すると、シリコンナイトライドの組成がSi r
ich 側に変化するため、薄膜の内部応力を低減させるこ
とができる。この場合、ポリシリコン(多結晶シリコ
ン)薄膜は、−160〜−180MPaの圧縮応力を有
するため(上記田畑等の文献参照)、シリコンナイトラ
イドのシリコン含有量を増加させることによって、1G
Paレベルの強い引張応力を緩和させることが可能とな
る。
【0053】図3(c)には、温度790℃、圧力0.
3torr、SiCl22 =30sccmに固定した状態にお
いて、アンモニアガスの流量を150sccmから3sccmま
で変化させた際のSiNの内部応力の実測値が示されて
いる。図3(c)から明らかなように、流量比が(NH
3 /SiCl22 )<1の領域では、SiNの引張応
力が急速に減少することが分かる。従って、引張応力の
制御性が良い点及びSiNから成る薄膜がガラス質であ
るため機械的柔軟性に富んでいる点を考慮すると、上層
薄膜12の材料としては、SiNが適していると判断さ
れる。
【0054】また、上記実施の形態では、上層薄膜12
及び下層薄膜10が同一組成となった場合について説明
したが、相互に異なる組成で形成しても良い。なお、こ
の場合、上層薄膜12及び下層薄膜10は、共に、Ti
Ni合金から成るSMA薄膜であるものとする。
【0055】具体例として、上層薄膜12は、Ti-55at.
%NiからTi-50at.%Niの範囲の組成を有するNi rich な
SMA薄膜となることが好ましく、この場合、下層薄膜
10は、Ti-45at.%NiからTi-50at.%Niの範囲の組成を
有するTi rich なSMA薄膜となることが好ましい。ま
た、上層薄膜12が、Ti-45at.%NiからTi-50at.%Niの
範囲の組成を有するTi rich なSMA薄膜となる場合に
は、下層薄膜10は、Ti-55at.%NiからTi-50at.%Niの
範囲の組成を有するNi rich なSMA薄膜となることが
好ましい。
【0056】図4には、Ni rich なSMA薄膜(同図
(a)参照)及びTi rich なSMA薄膜(同図(b)参
照)の内部応力に起因するたわみ量が夫々示されてい
る。この場合、SMA薄膜は、共に、厚さ0.4μmの
低応力SiNで絶縁されたSi基板(厚さ300μm、
直径4インチ)上に成膜されているものとする。なお、
同図(a)に示された薄膜の成膜条件は、Ar圧力が
2.2mtorr 、印加電圧が0.33kV、印加電流が
0.85Aであり、一方、同図(b)に示された薄膜の
成膜条件は、Ar圧力が2.5mtorr 、印加電圧が0.
35kV、印加電流が0.85Aである。
【0057】また、図4(a),(b)において、符号
18で示す特性曲線は、成膜前のSi基板自体の初期の
たわみ量(“初期たわみ量”という)の変化を示し、符
号20で示す特性曲線は、成膜後のSi基板自体のたわ
み量(“後期たわみ量”という)の変化を示し、符号2
2で示す特性曲線は、後期たわみ量から初期たわみ量を
差し引いた量即ち成膜したSMA薄膜の内部応力に起因
したSi基板の正味のたわみ量(“正味たわみ量”とい
う)を示している。
【0058】この正味たわみ量22に基づいてSMA薄
膜の内部応力を計算する場合、以下のストーニィ(Stone
y)の式が用いられる。 σ={E/(1−ν)h2 }/6Rt σ;薄膜の内部応力 E;Si基板のヤング率 ν;Si基板のポアソン比 h;Si基板の厚さ R;Si基板の曲率半径 t;膜厚 図4(a)に示された正味たわみ量22が上に凸状とな
っていることから、成膜されたSMA薄膜の内部応力
は、圧縮応力となり、その値σは、上記ストーニィの式
からσ=−50.2MPaとなる。
【0059】これに対して、図4(b)に示された正味
たわみ量22が上に凹状となっていることから、成膜さ
れたSMA薄膜の内部応力は、引張応力となり、その値
σは、上記ストーニィの式からσ=143.8MPaと
なる。
【0060】このように組成の異なる薄膜を積層するこ
とによっても、SMA薄膜に圧縮応力又は引張応力を与
えることができる。この結果、上記実施の形態と同様
に、室温状態で上方又は下方に湾曲(図1(a),
(b)参照)させ、室温以上に加熱することによって形
状記憶した平坦状に回復(図1(c)参照)させること
が可能な二方向の形状記憶効果を有する形状記憶合金薄
膜アクチュエータを実現することができる。
【0061】また、上記実施の形態では、上層薄膜12
及び下層薄膜10から成る2層構造のSMA薄膜を有す
る片持ち梁8を適用しているが、図5に示すように、単
一の層から成り且つその厚さT方向に応力分布を与えた
SMA薄膜を用いても良い。
【0062】なお、同図(a),(f)には、夫々、S
MA薄膜の断面が示されており、同図(b),(c),
(d),(e)には、夫々、SMA薄膜の厚さT方向に
沿って段階的に内部応力を変化させた状態が示されてお
り、同図(g),(h),(i),(j)には、夫々、
SMA薄膜の厚さT方向に沿って連続的に内部応力を変
化させた状態が示されている。
【0063】図5(b),(g)に示すように、単一の
SMA薄膜から成る片持ち梁8の上側から下側に向かっ
て圧縮応力を段階的(同図(b)参照)又は連続的(同
図(g)参照)に減少させた場合、シリコン基板2上に
絶縁膜4を介して形成した片持ち梁8は、室温状態で下
向き湾曲形状を成す(同図(k)参照)。
【0064】図5(c),(h)に示すように、SMA
薄膜の上側から下側に向かって引張応力を段階的(同図
(c)参照)又は連続的(同図(h)参照)に減少させ
た場合、片持ち梁8は、室温状態で上向き湾曲形状を成
す(同図(l)参照)。
【0065】図5(d),(i)に示すように、SMA
薄膜の上側から下側に向かって引張応力を段階的(同図
(d)参照)又は連続的(同図(i)参照)に増加させ
た場合、片持ち梁8は、室温状態で下向き湾曲形状を成
す(同図(m)参照)。
【0066】図5(e),(j)に示すように、SMA
薄膜の上側から下側に向かって圧縮応力を段階的(同図
(d)参照)又は連続的(同図(i)参照)に増加させ
た場合、片持ち梁8は、室温状態で上向き湾曲形状を成
す(同図(n)参照)。
【0067】このようにSMA薄膜自体に応力分布を与
えることによって、積層膜相互の内部応力作用(上記実
施の形態参照)を用いること無く、室温状態でSMA薄
膜を湾曲させ、加熱することによってSMA薄膜を形状
記憶された平坦状に回復させることができる。
【0068】次に、本発明の第2の実施の形態に係る形
状記憶合金薄膜アクチュエータについて、図6を参照し
て説明する。図6には、本実施の形態の形状記憶合金薄
膜アクチュエータを適用した両持ち梁型アクチュエータ
の構成が示されている。
【0069】図6に示すように、本実施の形態に適用し
た両持ち梁型アクチュエータは、支持部24と、その両
端が支持部24に支持された二方向性SMA薄膜から成
る略長方形状の両持ち梁26とを備えている。なお、S
MA薄膜としては、本実施の形態では、その一例とし
て、TiNi合金から成るSMA薄膜を適用する。
【0070】支持部24は、第1の実施の形態と同様
に、シリコン基板28上に絶縁膜30を成膜して構成さ
れており、その中央部分には、シリコン基板28から絶
縁膜30を貫通して形成された矩形状の開口32が設け
られている。なお、絶縁膜30としては、例えば、熱酸
化膜又は低応力窒化シリコン膜(低応力SiN膜)や双
方の複合膜を適用することが可能であるが、本実施の形
態では、その一例として、柔軟性を有する低応力SiN
膜30を適用する。
【0071】両持ち梁26は、支持部24の開口32を
横断して設けられており、その両端は、絶縁膜(低応力
SiN膜)30上に支持されている。このような構成を
有する両持ち梁型アクチュエータは、第1の実施の形態
と略同様の製造プロセスによって製造される。
【0072】具体的には、シリコン基板28上に絶縁膜
(低応力SiN膜)30を成膜した後、SMA薄膜を成
膜する際に所定の内部応力(例えば、圧縮応力又は引張
応力)が設定される。なお、本実施の形態では、SMA
薄膜から成る両持ち梁26に圧縮応力が与えられた場合
について説明する。この後、SMA薄膜には、結晶化さ
せるための熱処理(結晶化熱処理)及び平坦状に形状記
憶するための熱処理(形状記憶処理)が施される。次
に、フォトリソグラフィーによってSMA薄膜を略長方
形の両持ち梁形状にパターニングする。続いて、図示し
ないマスクを介してシリコン基板28に異方性エッチン
グを施した後、絶縁膜(低応力SiN膜)30にドライ
エッチング (例えば、反応性イオンエッチング(RIE))を
施す。この結果、支持部24の中央部分に矩形状の開口
32が形成され、同時に、この開口32を横断して支持
された両持ち梁26を備えたアクチュエータが完成す
る。
【0073】このような製造プロセスによれば、SMA
薄膜に圧縮応力が設定されているため、アクチュエータ
完成時に室温状態において、両持ち梁26は、図6
(a)に示すように、上向きアーチ形状を成す。
【0074】この状態において、両持ち梁26の両端に
形成された一対の電極パッド34に所定の電圧を印加し
てSMA薄膜を加熱すると、このTiNi合金製SMA
薄膜は、オーステナイト相(高温相)に変態する。この
結果、TiNi合金製SMA薄膜の形状記憶効果に基づ
いて、両持ち梁26は、図6(b)に示すような平坦形
状に回復する。
【0075】従って、本実施の形態の形状記憶合金薄膜
アクチュエータによれば、所定周期で電圧印加を繰り返
すことによって、両持ち梁26を周期的に変形させるこ
とが可能となる。なお、両持ち梁26の略中央部分を反
射ミラーとして兼用することによって、本実施の形態の
形状記憶合金薄膜アクチュエータを光偏向器として用い
ることが可能である。具体的には、図6(c)に示すよ
うに、半導体レーザ36からの照射位置を変化させるこ
とによって、入射光と反射光の成す角即ち偏向角をθ1
又はθ2(θ1<θ2)に変化させることができる。な
お、TiNi合金製SMA薄膜は、波長633nmの光
に対する反射率が約50%であるため、高い光反射率を
確保する場合には、SMA薄膜上にCr製接着層を介し
てAu層を堆積させることが好ましい。
【0076】次に、本発明の第3の実施の形態に係る形
状記憶合金薄膜アクチュエータについて、図7及び図8
を参照して説明する。図7及び図8には、本実施の形態
の形状記憶合金薄膜アクチュエータを適用したダイヤフ
ラム型アクチュエータの構成が示されている。
【0077】図7及び図8に示すように、本実施の形態
に適用したダイヤフラム型アクチュエータは、支持部3
8と、その周縁部が支持部38に支持された二方向性S
MA薄膜から成る矩形状のダイヤフラム40とを備えて
いる。なお、SMA薄膜としては、本実施の形態では、
その一例として、TiNi合金から成るSMA薄膜を適
用する。
【0078】支持部38は、第1の実施の形態と同様
に、シリコン基板42上に絶縁膜44を成膜して構成さ
れており、その中央部分には、シリコン基板42から絶
縁膜44を貫通して形成された円筒形状の開口46が設
けられている。なお、絶縁膜44としては、例えば、熱
酸化膜又は低応力窒化シリコン膜(低応力SiN膜)や
双方の複合膜を適用することが可能であるが、本実施の
形態では、その一例として、柔軟性を有する低応力Si
N膜を適用する。
【0079】ダイヤフラム40は、支持部38の開口4
6を覆うように配設されており、その周縁部は、絶縁膜
(低応力SiN膜)44上に支持されている。このよう
な構成を有する両持ち梁型アクチュエータは、第1の実
施の形態と略同様の製造プロセスによって製造される。
【0080】具体的には、シリコン基板42上に絶縁膜
(低応力SiN膜)44を成膜した後、SMA薄膜を成
膜する際に所定の内部応力(例えば、圧縮応力又は引張
応力)が設定される。なお、本実施の形態では、SMA
薄膜から成るダイヤフラム40に圧縮応力が与えられた
場合について説明する。この後、SMA薄膜には、結晶
化させるための熱処理(結晶化熱処理)及び平坦状に形
状記憶するための熱処理(形状記憶処理)が施される。
次に、フォトリソグラフィーによってSMA薄膜を矩形
状のダイヤフラム形状にパターニングする。続いて、図
示しないマスクを介してシリコン基板42に誘導結合型
プラズマ(ICP)エッチングを施した後、絶縁膜(低
応力SiN膜)44にドライエッチング (例えば、反応
性イオンエッチング(RIE))を施す。なお、ICPエッチ
ング法では、絶縁膜(低応力SiN膜)44のエッチン
グ速度に比べて、シリコン基板42のエッチング速度が
約100倍大きくなるため、例えば厚さ200μmのシ
リコン基板42上に厚さ2μmの絶縁膜(低応力SiN
膜)44を積層しておけば、シリコン基板42から絶縁
膜(低応力SiN膜)44を貫通して円筒形状の開口4
6が形成されることになる。この結果、支持部38の中
央部分に円筒形状の開口46が形成され、同時に、この
開口46を覆うように支持されたダイヤフラム40を備
えたアクチュエータが完成する。
【0081】このような製造プロセスによれば、SMA
薄膜に圧縮応力が設定されているため、アクチュエータ
完成時に室温状態において、ダイヤフラム40は、上向
きドーム形状を成す(図7(a),(b)参照)。
【0082】この状態において、ダイヤフラムに形成さ
れた電極パッド部(図示しない)に所定の電圧を印加し
てSMA薄膜を加熱すると、このTiNi合金製SMA
薄膜は、オーステナイト相(高温相)に変態する。この
結果、TiNi合金製SMA薄膜の形状記憶効果に基づ
いて、ダイヤフラム40は、図7(c),(d)に示す
ような平坦形状に回復する。
【0083】従って、本実施の形態の形状記憶合金薄膜
アクチュエータによれば、所定周期で電圧印加を繰り返
すことによって、ダイヤフラム40を周期的に変形させ
ることが可能となる。
【0084】なお、ダイヤフラム40のドーム表面を反
射ミラーとして兼用することによって、本実施の形態の
形状記憶合金薄膜アクチュエータを光偏向器として用い
ることが可能である。具体的には、図8(a)に示すよ
うに、半導体レーザ48からの照射位置を変化させるこ
とによって、入射光と反射光の成す角即ち偏向角をに変
化させることができる。この場合、半導体レーザ48か
らのレーザー光をダイヤフラム40のドーム頂上位置に
照射した場合には、ダイヤフラム40を変形させても光
偏向は生じない。これに対して、レーザー光をドーム傾
斜位置に照射すれば、偏向角θを有する光偏向が生じる
(図8(a)参照)。また、この状態において、同図
(a)に示すように、半導体レーザ48を矢印方向に円
状に移動してレーザー光の照射位置を変化させると、ダ
イヤフラム40からの反射光は、矢印Sで示す軌跡を描
くように二次元光偏向される。
【0085】また、図7(b)に示すように、ダイヤフ
ラム40のドーム裏面を可焦点ミラーとして兼用するこ
とも可能である。この場合、ドーム裏面に平行光束を照
射した際にドーム裏面から反射した反射光の焦点位置P
は、ドーム形状の曲率半径によって決定される。従っ
て、SMA薄膜の加熱温度を変化することによって、焦
点位置Pを任意に設定することが可能となる。
【0086】なお、図7(a),(b)の場合におい
て、TiNi合金製SMA薄膜は、波長633nmの光
に対する反射率が約50%であるため、高い光反射率を
確保する場合には、SMA薄膜上にCr製接着層を介し
てAu層を堆積させることが好ましい。
【0087】次に、本発明の第4の実施の形態に係る形
状記憶合金薄膜アクチュエータについて、図9及び図1
0を参照して説明する。図9及び図10には、本実施の
形態の形状記憶合金薄膜アクチュエータを適用したマイ
クロポンプの構成が示されている。
【0088】図9及び図10に示すように、本実施の形
態に適用したマクロポンプは、その長手軸方向に沿って
一定間隔で複数の開口50が形成された支持部52と、
複数の開口50を覆うように設けられ且つその周縁部が
支持部52に支持された二方向性SMA薄膜から成る矩
形状の複数のダイヤフラム54a,54b,54cと、
支持部52から一定距離だけ離間し且つダイヤフラム5
4a,54b,54cに対向して配置された上板56と
を備えている。
【0089】このような構成を有するマイクロポンプに
よれば、支持部52と上板56との間には、流体58が
通過可能な流路60が形成され、ダイヤフラム54a,
54b,54cを所定タイミングで変形させることによ
って、流路60に沿って流体58を送り出すことができ
る。
【0090】なお、SMA薄膜としては、本実施の形態
では、その一例として、TiNi合金から成るSMA薄
膜を適用する。また、本実施の形態では、その一例とし
て、3つの開口50上に夫々設けられた3つのダイヤフ
ラム54a,54b,54cを備えたマイクロポンプに
ついて説明する。従って、以下の説明において、これら
3つのダイヤフラムを第1のダイヤフラム54a、第2
のダイヤフラム54b、第3のダイヤフラム54cと称
することとする。また、図面上、流体58は、斜めハッ
チングによって示されている。
【0091】支持部52は、第1の実施の形態と同様
に、シリコン基板62上に絶縁膜64を成膜して構成さ
れており、その中央部分には、シリコン基板62から絶
縁膜64を貫通して形成された所定形状の開口50が長
手軸方向に沿って一定間隔で設けられている。なお、こ
れら開口50の形状としては、例えば円形や矩形等の種
々の形状が可能であるが、本実施の形態では、その一例
として、円形の開口50を適用する(図10(a)参
照)。また、絶縁膜64としては、例えば、熱酸化膜又
は低応力窒化シリコン膜(低応力SiN膜)や双方の複
合膜を適用することが可能であるが、本実施の形態で
は、その一例として、柔軟性を有する低応力SiN膜6
4を適用する。
【0092】第1〜第3のダイヤフラム54a,54
b,54cは、夫々、円形の開口50を覆うように配設
されており、その周縁部は、絶縁膜(低応力SiN膜)
64上に支持されている。
【0093】このような構成を有するマイクロポンプに
適用された形状記憶合金薄膜アクチュエータは、第1の
実施の形態と略同様の製造プロセスによって製造され
る。従って、相違する製造プロセスについてのみ説明を
加える。即ち、第1〜第3のダイヤフラム54a,54
b,54cの製造プロセスは、SMA薄膜66上に柔軟
性絶縁薄膜(図示しない)を成膜した後、この絶縁薄膜
上に金属製薄膜ヒータ68を一体的にパターニングする
(図10(b)参照)。本実施の形態では、SMA薄膜
66から成る第1〜第3のダイヤフラム54a,54
b,54cに圧縮応力が与えられた場合について説明す
る。なお、SMA薄膜66上に圧縮応力を有する柔軟性
薄膜(図示しない)を積層しても良い。
【0094】このような製造プロセスによれば、SMA
薄膜66に圧縮応力が設定されているため、マイクロポ
ンプ完成時に室温状態において、第1〜第3のダイヤフ
ラム54a,54b,54cは、流路60を閉塞するよ
うに上向きドーム形状を成す(図9(a)参照)。
【0095】この状態において、第1〜第3のダイヤフ
ラム54a,54b,54cに夫々形成された電極パッ
ド部70(図10(b)参照)に所定の電圧を印加して
SMA薄膜66を間接的に加熱すると、TiNi合金製
のSMA薄膜66は、オーステナイト相(高温相)に変
態する。この結果、SMA薄膜66の形状記憶効果に基
づいて、第1〜第3のダイヤフラム54a,54b,5
4cは、流路60を開放するように平坦形状に回復する
(図9(b)〜(f)参照)。
【0096】従って、本実施の形態に適用したマイクロ
ポンプによれば、対応する電極パッド部70に電圧印加
を繰り返すことによって、第1〜第3のダイヤフラム5
4a,54b,54cを周期的且つ選択的に変形させる
ことが可能となる。
【0097】以下、本実施の形態の形状記憶合金薄膜ア
クチュエータが適用されたマイクロポンプの動作につい
て説明する。室温状態において、第1〜第3のダイヤフ
ラム54a,54b,54cは、上向きドーム形状を成
し、流路60を閉塞する。この場合、所定の圧力で送り
出された流体58は、第1のダイヤフラム54aの部分
まで充填される(図9(a)参照)。
【0098】このとき、第1のダイヤフラム54aのS
MA薄膜66(図10(a)参照)を加熱すると、第1
のダイヤフラ54aは,その形状記憶効果に基づいて平
坦形状に回復する。この結果、流体58は、流路60に
沿って、第2のダイヤフラム54bまで送り出される
(図9(b)参照)。
【0099】続いて、第1のダイヤフラム54aを平坦
形状に維持させた状態において、第2のダイヤフラム5
4bのSMA薄膜66を加熱すると、第2のダイヤフラ
54bは,その形状記憶効果に基づいて平坦形状に回復
する。この結果、流体58は、流路60に沿って、第3
のダイヤフラム54cまで送り出される(図9(c)参
照)。
【0100】次に、第2のダイヤフラム54bを平坦形
状に維持させた状態において、第1のダイヤフラム54
aのSMA薄膜66に対する加熱を停止して、第1のダ
イヤフラム54aを空冷する。この場合、室温状態まで
空冷された第1のダイヤフラム54aは、上向きドーム
形状を成し、流路60を閉塞する。この結果、流体58
は、第1及び第3のダイヤフラム54a,54cの間の
流路60内に充填された状態に維持される(図9(d)
参照)。
【0101】この後、第1のダイヤフラム54aをドー
ム形状に、且つ、第2のダイヤフラム54bを平坦形状
に維持させた状態において、第3のダイヤフラム54c
のSMA薄膜66を加熱すると、第3のダイヤフラム5
4cは、その形状記憶効果に基づいて平坦形状に回復す
る。この結果、流体58は、流路60に沿って、第3の
ダイヤフラム54cを越えて送り出される(図9(e)
参照)。
【0102】次に、第3のダイヤフラム54cを平坦形
状に維持させた状態において、第2のダイヤフラム54
bのSMA薄膜66に対する加熱を停止して、第2のダ
イヤフラム54bを空冷する。この場合、室温状態まで
空冷された第2のダイヤフラム54bは、上向きドーム
形状を成し、流路60を閉塞する。この結果、流体58
は、流路60から外方へ所定圧力で送り出される(図9
(f)参照)。
【0103】続いて、第3のダイヤフラム54cのSM
A薄膜66に対する加熱を停止して、第3のダイヤフラ
ム54cを空冷する。この場合、室温状態まで空冷され
た第3のダイヤフラム54cは、上向きドーム形状を成
し、流路60を閉塞する。この結果、流体58は、流路
60から外方へ所定圧力で更に送り出される(図9
(g)参照)。
【0104】このように、第1〜第3のダイヤフラム5
4a,54b,54cに一体形成された薄膜ヒータ68
(図10(b)参照)を選択的に駆動することによっ
て、流路60に沿って流体58を所望の方向へ送り出す
ことができる。
【0105】ところで、SMA薄膜から成るアクチュエ
ータを駆動する場合、通常、SMA薄膜に直接通電し
て、SMA薄膜66から発生するジュール熱によって、
SMA薄膜の温度を上昇させる方法が一般的に用いられ
ている。
【0106】しかしながら、SMA薄膜は、金属材料か
ら形成されているため、SMA薄膜中の電気抵抗は、極
めて小さい。このため、形状記憶効果に基づいてSMA
薄膜を形状回復させる温度まで加熱するためには、SM
A薄膜に大きな電流を流す必要があり、現実的では無
い。
【0107】そこで、本実施の形態のように、柔軟性絶
縁薄膜(図示しない)を介してSMA薄膜66上に金属
製薄膜ヒータ68をパターニングすることが好ましい。
アクチュエータとして機能させることが可能なSMA薄
膜66は、その用途にも依るが、数μm〜数十μm程度
の膜厚が必要である。これに対して、薄膜ヒータ68の
膜厚は、SMA薄膜66の膜厚とは無関係に任意に選択
できるため、簡単に高抵抗化させることが可能となる。
例えば、膜厚0.2μmのTi薄膜を用いた場合、幅1
20μmで長さ5mmの薄膜ヒータ68の電気抵抗は、
約200オームであった。従って、本実施の形態のよう
に、柔軟性絶縁薄膜を介してSMA薄膜66を間接的に
加熱すれば、低電流でSMA薄膜66を形状回復する温
度まで簡単に加熱することが可能となる。
【0108】次に、本発明の第5の実施の形態に係る形
状記憶合金薄膜アクチュエータについて、図11及び図
12を参照して説明する。図11には、本実施の形態の
形状記憶合金薄膜アクチュエータを適用した片持ち梁型
二次元光偏向器の構成が示されている。
【0109】図11に示すように、本実施の形態に適用
した二次元光偏向器は、支持部72と、この支持部72
から延出したSMA薄膜から成る略U字状の片持ち梁7
4とを備えており、片持ち梁74には、この片持ち梁7
4に捩じれモーメントを与えるためのモーメント部材7
6が一体的に設けられている。なお、SMA薄膜として
は、本実施の形態では、その一例として、TiNi合金
から成るSMA薄膜を適用する。
【0110】片持ち梁74は、支持部72から延出し且
つ先端部74aで一体化した2本のビーム74bを備え
ており、所定方向に可逆的に形状変化するように二方向
の形状記憶効果を有している。この場合、可逆的動作特
性の一例として、本実施の形態に適用した片持ち梁74
は、室温まで冷却することによって図中X方向に湾曲し
(図11(b)参照)、室温以上に加熱することによっ
て形状記憶した平坦状に回復する(図11(c)参
照)。なお、片持ち梁74の先端部74aは、二次元光
偏向器の反射ミラー部として兼用される。
【0111】モーメント部材76は、片持ち梁74と同
一のSMA薄膜によって一体形成されており、図中Y方
向の捩じれモーメントを片持ち梁74に与えるように、
モーメント部材76と片持ち梁74とを接続する接続部
78は、片持ち梁74の中心線D(図11(a)参照)
からずらして配置されている。
【0112】このような二次元光偏向器の製造プロセス
は、フォトリソグラフィーによってモーメント部材76
及び接続部78をパターニングする工程が加えられる点
を除いて、第1の実施の形態と略同様であるため、その
説明は省略する。なお、モーメント部材76は、片持ち
梁74の完成後に別途加工プロセスを施すことによっ
て、片持ち梁74に取り付けても良い。
【0113】このような製造プロセスでは、SMA薄膜
に引張応力が設定されている状態を想定している。この
ため、二次元光偏向器の完成時に室温状態において、片
持ち梁74は、モーメント部材76のモーメント力が作
用することによって、先端部74aが捩じれた上向き湾
曲形状に変形する(図11(b)参照)。
【0114】この状態において、片持ち梁74の両端に
形成された一対の電極パッド80に所定の電圧を印加し
てSMA薄膜を加熱すると、このSMA薄膜は、オース
テナイト相(高温相)に変態する。この結果、SMA薄
膜の形状記憶効果に基づいて、片持ち梁74は、図11
(c)に示すような平坦形状に回復する。
【0115】従って、本実施の形態を適用した二次元光
偏向器によれば、所定周期で電圧印加を繰り返すことに
よって、片持ち梁74を周期的に変形させることが可能
となる。
【0116】具体的には、所定の周期で電圧を印加し
て、片持ち梁74の共振周波数に基づいて片持ち梁74
を振動させることによって、片持ち梁74の先端部74
a即ち反射ミラー部74aは、X方向に振動すると同時
に、この反射ミラー部74aには、モーメント部材76
のY方向のモーメント力が加えられる。この場合、反射
ミラー部74aは、X方向及びY方向の2つの振動モー
ドが加算されたモードで振動する。従って、捩じれ振動
している反射ミラー部74aに光を入射させた場合、反
射ミラー部74aから反射した反射光は、二次元方向に
偏向することになる。なお、TiNi合金製SMA薄膜
は、波長633nmの光に対する反射率が約50%であ
るため、高い光反射率を確保する場合には、SMA薄膜
上にCr製接着層を介してAu層を堆積させることが好
ましい。
【0117】また、図12に示すように、片持ち梁74
を駆動制御するための駆動回路82及び制御回路84を
片持ち梁74と共に支持部72上に一体的に形成するこ
とも好ましい。この場合、駆動回路82と片持ち梁74
の一対の電極パッド80とは、接続ワイヤ86によって
電気的に接続されている。このような構成によれば、上
記実施の形態と同様の作用効果を奏すると共に、支持部
72上に駆動回路82及び制御回路84を一体形成する
ことができるため、極めてコンパクトな二次元偏光器を
実現することが可能となる。
【0118】次に、本発明の第6の実施の形態に係る形
状記憶合金薄膜アクチュエータについて、図13を参照
して説明する。図13には、本実施の形態の形状記憶合
金薄膜アクチュエータを適用した片持ち梁型光偏向器の
構成が示されている。
【0119】図13に示すように、本実施の形態に適用
した光偏向器は、支持部88と、この支持部88から延
出したSMA薄膜から成る略U字状の片持ち梁90とを
備えている。なお、SMA薄膜としては、本実施の形態
では、その一例として、TiNi合金から成るSMA薄
膜を適用し、このSMA薄膜には、第1の実施の形態と
同様の製造プロセスを用いて、平坦形状に形状記憶処理
が施されている。
【0120】本実施の形態では、支持部88として、誘
電体結晶から成るZカット水晶基板が用いられている。
片持ち梁90は、支持部(Zカット水晶基板)88から
延出し且つ先端部90aで一体化した2本のビーム90
bを有しており、これらビーム90b上に所定の内部応
力を有するポリシリコン薄膜92が夫々積層されてい
る。なお、このような構成において、支持部(Zカット
水晶基板)88は誘電体であるため、この支持部(Zカ
ット水晶基板)88とTiNi合金製片持ち梁90と
は、電気的に絶縁された状態になってる。また、片持ち
梁90の先端部90aは、光偏向器の反射部として兼用
される。
【0121】次に、このような光偏向器の製造プロセス
を簡単に説明する。Zカット水晶基板88上にスパッタ
法でTiNi合金からなるSMA薄膜を堆積した後、フ
ォトリソグラフィーによってSMA薄膜を片持ち梁形状
にパターニングする。続いて、このSMA薄膜に対して
平坦形状の形状記憶処理を施す。この後、片持ち梁90
の2つのビーム90b上に所定の内部応力を有するポリ
シリコン薄膜92を積層する。次に、Zカット水晶基板
88にCr製接着層(図示しない)を介して積層された
Au製マスク94を用いて、Zカット水晶基板88に異
方性エッチングを施す。この結果、支持部(Zカット水
晶基板)88に支持された片持ち梁90を有する光偏向
器が完成する。
【0122】このような製造プロセスに用いたポリシリ
コン薄膜92は、−160MPaの圧縮応力を有するこ
とが知られている(上記田畑修他の文献参照)。従っ
て、Zカット水晶基板88に異方性エッチングが施され
た後、室温状態において、片持ち梁90は、図13
(b)に示すように、ポリシリコン薄膜92の圧縮応力
によって、下向き湾曲形状を成す。なお、温度82℃の
NH4 −HF2 混合液中において、Zカット水晶基板8
8には、容易に且つ精度良く垂直方向に異方性エッチン
グが可能であることは既に知られている (Naoki Sugiya
ma, et al.,A QUARTZGALVANOMETER FOR OPTICAL SCANNI
NG IN A LASER PRINTING APPLICATION,Tech.digest.6th
International Conference on Solid-State Sensors a
nd Actuators(Transducer'91),1991,pp.734-737.)。
【0123】この状態において、片持ち梁90の基端に
形成された一対の電極パッド96に所定の電圧を印加し
てSMA薄膜を加熱すると、このSMA薄膜は、オース
テナイト相(高温相)に変態する。この結果、SMA薄
膜の形状記憶効果に基づいて、片持ち梁90は、図13
(c)に示すような平坦形状に回復する。
【0124】従って、本実施の形態を適用した光偏向器
によれば、所定周期で電圧印加を繰り返すことによって
片持ち梁90を周期的に変形させることが可能となる。
この場合、先端部(反射部)90aにレーザー光を照射
することによって、この反射部90aからの反射光を片
持ち梁90の撓み角に基づいて垂直平面内に走査させる
ことができる。なお、TiNi合金製SMA薄膜は、波
長633nmの光に対する反射率が約50%であるた
め、高い光反射率を確保する場合には、SMA薄膜上に
Cr製接着層を介してAu層を堆積させることが好まし
い。
【0125】次に、本発明の第7の実施の形態に係る形
状記憶合金薄膜アクチュエータについて、図14を参照
して説明する。図14には、本実施の形態の形状記憶合
金薄膜アクチュエータを適用したダイヤフラム型点字表
示素子の構成が示されている。
【0126】図14に示すように、本実施の形態に適用
したダイヤフラム型点字表示素子は、シリコン基板98
から成る支持部100を備えており、この支持部100
上には、絶縁膜102を介して二方向性SMA薄膜10
4及び圧縮応力を有する応力薄膜106が順に成膜され
ている。なお、SMA薄膜104としては、本実施の形
態では、その一例として、TiNi合金から成るSMA
薄膜104を適用し、第1の実施の形態と同様の製造プ
ロセスによって平坦状に形状記憶処理が施されている。
【0127】支持部100を構成するシリコン基板98
には、縦横方向に沿って所定間隔で形成された所定寸法
を有する複数の開口108が設けられており、これら開
口108は、夫々、絶縁膜102が露出するまでシリコ
ン基板98にエッチング(例えば、異方性エッチング又
はドライエッチング)を施して形成されている。なお、
絶縁膜102としては、例えば、熱酸化膜又は低応力窒
化シリコン膜(低応力SiN膜)や双方の複合膜を適用
することが可能であるが、本実施の形態では、その一例
として、柔軟性を有する低応力SiN膜を適用する。
【0128】絶縁膜(低応力SiN膜)102、SMA
薄膜104及び応力薄膜106は、共に、複数の開口1
08を覆うように支持部100上に支持されており、S
MA薄膜104には、このSMA薄膜104を加熱及び
冷却するための薄膜ヒータ(図示しない)が一体的にパ
ターニングされている。
【0129】このように構成されたダイヤフラム型点字
表示素子には、その縦横方向に沿って所定間隔で形成さ
れた複数のダイヤフラム110が形成される。具体的
に、1つのダイヤフラム110を例にとって説明すると
(図14(a),(b)参照)、開口108上に形成さ
れたダイヤフラム110は、室温状態において、応力薄
膜106の作用によって上向きドーム形状を成す(同図
(b)参照)。そして、SMA薄膜104に一体形成さ
れた薄膜ヒータによってSMA薄膜104を加熱する
と、このTiNi合金製SMA薄膜104は、オーステ
ナイト相(高温相)に変態する。この結果、TiNi合
金製SMA薄膜104の形状記憶効果に基づいて、ダイ
ヤフラム110は、同図(a)に示すような平坦形状に
回復する。
【0130】本実施の形態に適用したダイヤフラム型点
字表示素子によれば、複数のダイヤフラム110に対し
て選択的に電圧印加を繰り返すことによって、図14
(c),(d)に示すように、複数のダイヤフラム11
0を点字パターンに対応して変形させることが可能とな
る。従って、点字パターンを文字や文章に従って変化さ
せることによって、ダイヤフラム型点字表示素子の上に
指等を軽く乗せるだけで且つ指等を移動させること無
く、指等を介して点字パターンに対応した文字や文章を
認識することが可能となる。
【0131】なお、本明細書中には、以下の発明が含ま
れる。 (1) 基板の両面に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程
と、所定の合金材料から成り且つ所定の内部応力を有す
る形状記憶合金薄膜を前記基板の表面に形成された前記
絶縁膜上に成膜する成膜工程と、前記形状記憶合金薄膜
を結晶化させるための結晶化熱処理工程と、前記形状記
憶合金薄膜に形状記憶処理を施す形状記憶処理工程と、
前記形状記憶合金薄膜を所定形状にパターニングするパ
ターニング工程と、前記基板の裏面に形成された前記絶
縁膜の一部をエッチング除去する工程と、前記基板の裏
面に残留した前記絶縁膜を介して前記基板をエッチング
する工程とを有することを特徴とする形状記憶合金薄膜
アクチュエータの製造方法。 (2) 前記形状記憶処理工程において、前記形状記憶合
金薄膜には、平坦状の形状を記憶させることを特徴とす
る上記(1)に記載の製造方法。 (3) 前記パターニング工程において、前記形状記憶合
金薄膜は、フォトリソグラフィーによって、所定形状に
パターニングされることを特徴とする上記(1)に記載
の製造方法。 (構成)(1)〜(3)の発明は、全ての実施の形態に
適用され得る。 (作用効果)この発明によれば、半導体製造プロセスに
よって、所望形状のSMA薄膜を有するアクチュエータ
を効率良く且つ低コストで一貫製造することが可能な形
状記憶合金薄膜アクチュエータの製造方法を提供するこ
とができる。 (4) 前記形状記憶合金薄膜は、所定の組成を有する上
層薄膜及び下層薄膜から成り、前記成膜工程において、
任意の内部応力を有する前記上層薄膜及び前記下層薄膜
が前記絶縁膜上に成膜されることを特徴とする上記
(1)に記載の製造方法。 (構成)この発明は、全ての実施の形態に適用可能であ
るが、明細書中では、第1の実施の形態(図1及び図2
参照)に具体的な構成が示されている。 (作用効果)この発明によれば、互いに所定の内部応力
(例えば、圧縮応力又は引張応力)を有する上層薄膜及
び下層薄膜から成る2層構造の形状記憶合金薄膜(以
下、SMA薄膜)となり、これら上層薄膜及び下層薄膜
は、室温状態においてSMA薄膜を予め設定した湾曲状
態(図1(a),(b)参照)に変形させるためのバイ
アスバネとして相互に機能する。 (5) 前記成膜工程において、前記上層薄膜及び前記下
層薄膜には、圧縮応力及び引張応力が選択的に設定され
ることを特徴とする上記(4)に記載の製造方法。 (構成)この発明は、全ての実施の形態に適用可能であ
るが、明細書中では、第1の実施の形態(図1及び図2
参照)に具体的な構成が示されている。 (作用効果)この発明によれば、圧縮応力又は引張応力
が選択的に設定された上層薄膜及び下層薄膜から成る2
層構造の形状記憶合金薄膜(以下、SMA薄膜)とな
り、このSMA薄膜は、圧縮応力と引張応力との間の相
互作用に基づいて、室温状態において、予め設定した湾
曲状態(図1(a),(b)参照)と成り得る。 (6) 前記結晶化熱処理工程は、前記成膜工程中におい
て、前記上層薄膜の成膜前に、前記下層薄膜に対して行
うことを特徴とする上記(4)に記載の製造方法。 (構成)この発明は、全ての実施の形態に適用可能であ
るが、明細書中では、第1の実施の形態(図1及び図2
参照)に具体的な構成が示されている。 (作用効果)通常、TiNi合金薄膜に対する結晶化熱
処理は、480℃以上の高温で行われる。このため、上
層薄膜及び下層薄膜に一括して結晶化熱処理を施すと、
上層薄膜の内部応力が緩和されてしまう場合があり、こ
の場合、有効にバイアスバネとしての機能を発揮できな
くなるおそれがあるからである。従って、高温の熱処理
となる結晶化熱処理終了後に上層薄膜を成膜することが
有効な方法と考えられる。 (7) 前記結晶化熱処理工程及び前記形状記憶処理工程
は、前記成膜工程中において、前記上層薄膜の成膜前
に、前記下層薄膜に対して行うことを特徴とする上記
(4)に記載の製造方法。 (構成)この発明は、全ての実施の形態に適用可能であ
るが、明細書中では、第1の実施の形態(図1及び図2
参照)に具体的な構成が示されている。 (作用効果)通常、TiNi合金薄膜に対する形状記憶
処理は、400〜500℃の温度で数時間〜数十時間に
亘って行われるため、上層薄膜12及び下層薄膜10に
一括して上記熱処理を施すと、上層薄膜12の内部応力
が緩和されてしまう場合がある。従って、高温の熱処理
となる結晶化熱処理及形状記憶処理び終了後に上層薄膜
12を成膜することが有効な方法と考えられる。 (8) 前記上層薄膜及び前記下層薄膜のいずれか一方の
薄膜を形状記憶合金(TiNi合金又はCu合金)で成
膜し、他方の薄膜を内部応力を有する形状記憶合金以外
の合金材料で成膜することを特徴とする上記(4)に記
載の製造方法。(構成)この発明は、全ての実施の形態
に適用可能である。 (作用効果)内部応力を有する形状記憶合金以外の合金
材料としては、使用目的に応じてクロム(Cr),ステ
ンレススチール(SS),モリブデン(Mo),タンタ
ル(Ta)等の種々の金属(図3(b)参照)を適用す
ることが可能である。 (9) 前記上層薄膜及び前記下層薄膜のいずれか一方の
薄膜を形状記憶合金(TiNi合金又はCu合金)で成
膜し、他方の薄膜を内部応力を有する絶縁材料で成膜す
ることを特徴とする上記(4)に記載の製造方法。 (構成)この発明は、全ての実施の形態に適用可能であ
る。 (作用効果)絶縁材料としては、例えば、シリコンナイ
トライドを適用することが可能である。 (10) 前記上層薄膜は、Ti-55at.%NiからTi-50at.%Ni
の範囲のNi rich な組成を有し、前記下層薄膜は、Ti-4
5at.%NiからTi-50at.%Niの範囲のTi richな組成を有
することを特徴とする上記(4)に記載の製造方法。 (11) 前記上層薄膜は、Ti-45at.%NiからTi-50at.%Ni
の範囲のTi rich な組成を有し、前記下層薄膜は、Ti-5
5at.%NiからTi-50at.%Niの範囲のNi richな組成を有
することを特徴とする上記(4)に記載の製造方法。 (構成)(10),(11)の発明は、全ての実施の形
態に適用可能であるが、明細書中では、第1の実施の形
態(図4参照)に具体例が示されている。 (作用効果)このように組成の異なる薄膜を積層するこ
とによっても、SMA薄膜に圧縮応力又は引張応力を与
えることができる(図4参照)。この結果、上記実施の
形態と同様に、室温状態で上方又は下方に湾曲(図1
(a),(b)参照)させ、室温以上に加熱することに
よって形状記憶した平坦状に回復(図1(c)参照)さ
せることが可能な二方向形状記憶合金薄膜アクチュエー
タを実現することができる。 (12) 前記成膜工程において、成膜時のアルゴンガス圧
を変化させることによって、前記形状記憶合金薄膜の内
部応力が設定されることを特徴とする上記(1)に記載
の製造方法。 (構成)この発明は、全ての実施の形態に適用可能であ
るが、明細書中では、第1の実施の形態(図3(a)参
照)に具体例が示されている。 (作用効果)内部応力を変化させる方法としては、図3
(a)に示すように、成膜時のアルゴンガス圧(以下、
Ar圧力という)を変化させる方法が知られている。こ
の場合、Ar圧力を1.0〜8.0mtorr まで変化させ
ると、4.5mtorr を境にして、高圧力側で引張応力、
低圧力側で圧縮応力が与えられる。 (13) 前記成膜工程において、成膜時のアルゴンガス圧
を変化させることによって、前記形状記憶合金薄膜の厚
さ方向に内部応力を分布させることを特徴とする上記
(1)に記載の製造方法。 (構成)この発明は、全ての実施の形態に適用可能であ
るが、明細書中では、第1の実施の形態(図5参照)に
具体例が示されている。 (作用効果)SMA薄膜自体に応力分布を与えることに
よって、積層膜相互の内部応力作用を用いること無く、
室温状態でSMA薄膜を湾曲させ、加熱することによっ
てSMA薄膜を形状記憶された平坦状に回復させること
ができる。
【0132】
【発明の効果】本発明によれば、半導体製造プロセスに
よって、所望形状のSMA薄膜を有するアクチュエータ
を効率良く且つ低コストで一貫製造することが可能な形
状記憶合金薄膜アクチュエータの製造方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る形状記憶合金
薄膜アクチュエータを適用した片持ち梁型アクチュエー
タの構成を示す斜視図であって、(a)及び(b)は、
室温状態において片持ち梁が下向き及び上向き湾曲形状
を成した状態を示す図、(c)は、加熱状態において片
持ち梁が平坦形状に回復した状態を示す図。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態
に係る形状記憶合金薄膜アクチュエータの製造プロセス
を示す図。
【図3】(a)は、TiNi合金から成るSMA薄膜の
内部応力を変化させる方法を説明するための図であっ
て、成膜時のアルゴンガス圧と内部応力との関係を示す
図、(b)は、TiNi合金以外の金属から成るSMA
薄膜の内部応力を変化させる方法を説明するための図で
あって、成膜時のアルゴンガス圧と内部応力との関係を
示す図、(c)は、シリコンナイトライドから成る薄膜
の内部応力を低減する方法を説明するための図であっ
て、アンモニアガスの流量を150sccmから3sccmまで
変化させた際のSiNの内部応力の実測値を示す図。
【図4】(a)及び(b)は、夫々、SMA薄膜の内部
応力を計算する場合において、成膜したSMA薄膜の内
部応力に起因したシリコン基板の正味のたわみ量の実測
値を示す図。
【図5】(a)〜(n)は、SMA薄膜の厚さ方向に応
力分布を与えた場合に生じる片持ち梁の湾曲状態を示す
図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る形状記憶合金
薄膜アクチュエータを適用した両持ち梁型アクチュエー
タの構成を示す斜視図であって、(a)は、室温状態に
おいて両持ち梁が上向きアーチ形状を成した状態を示す
図、(b)は、加熱状態において両持ち梁が平坦形状に
回復した状態を示す図,(c)は、本実施の形態の形状
記憶合金薄膜アクチュエータを光偏向器として用いた際
の光の偏向状態を示す図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る形状記憶合金
薄膜アクチュエータを適用したダイヤフラム型アクチュ
エータの構成を示す図であって、(a)及び(b)は、
室温状態においてダイヤフラムが上向きドーム形状を成
した状態を示す図、(c)及び(d)は、加熱状態にお
いてダイヤフラムが平坦形状に回復した状態を示す図。
【図8】(a)は、第3の実施の形態に係る形状記憶合
金薄膜アクチュエータを光偏向器として用いた際の光の
偏向状態を示す図、(b)は、第3の実施の形態に係る
形状記憶合金薄膜アクチュエータを可焦点ミラーとして
用いた際の集光状態を示す図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る形状記憶合金
薄膜アクチュエータを適用したマイクロポンプの構成を
示す図であって、(a)〜(g)は、マイクロポンプの
動作説明図。
【図10】(a)は、図9に示されたマイクロポンプの
斜視図、(b)は、マイクロポンプのダイヤフラムに一
体的にパターニングされた金属製薄膜ヒータの構成を示
す図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る形状記憶合
金薄膜アクチュエータを適用した片持ち梁型二次元光偏
向器の構成を示す図であって、(a)は、その平面図、
(b)は、室温状態において片持ち梁が捩じれた上向き
湾曲形状を成した状態を示す図、(c)は、加熱状態に
おいて片持ち梁が平坦形状に回復した状態を示す図。
【図12】図11に示された形状記憶合金薄膜アクチュ
エータの変形例であって、片持ち梁を駆動制御するため
の駆動回路及び制御回路が一体形成された片持ち梁型二
次元光偏向器の構成を示す図であって、(a)は、その
平面図、(b)は、室温状態において片持ち梁が捩じれ
た上向き湾曲形状を成した状態を示す図、(c)は、加
熱状態において片持ち梁が平坦形状に回復した状態を示
す図。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係る形状記憶合
金薄膜アクチュエータを適用した片持ち梁型光偏向器の
構成を示す図であって、(a)は、その側面図、(b)
は、室温状態において片持ち梁が下向き湾曲形状を成し
た状態を示す図、(c)は、加熱状態において片持ち梁
が平坦形状に回復した状態を示す図。
【図14】本発明の第7の実施の形態に係る形状記憶合
金薄膜アクチュエータを適用したダイヤフラム型点字表
示素子の構成を示す図であって、(a)は、加熱状態に
おいてダイヤフラムが平坦形状に回復した状態を示す
図、(b)は、室温状態においてダイヤフラムが上向き
ドーム形状を成した状態を示す図、(c)及び(d)
は、ダイヤフラム型点字表示素子の複数のダイヤフラム
を点字パターンに対応して変形させた状態を示す斜視
図。
【符号の説明】 2 シリコン基板 4 シリコン基板の表面に形成された絶縁膜 6 シリコン基板の裏面に形成された絶縁膜 10 下層薄膜 12 上層薄膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の両面に絶縁膜を形成する絶縁膜形
    成工程と、 所定の合金材料から成り且つ所定の内部応力を有する形
    状記憶合金薄膜を前記基板の表面に形成された前記絶縁
    膜上に成膜する成膜工程と、 前記形状記憶合金薄膜を結晶化させるための結晶化熱処
    理工程と、 前記形状記憶合金薄膜に形状記憶処理を施す形状記憶処
    理工程と、 前記形状記憶合金薄膜を所定形状にパターニングするパ
    ターニング工程と、 前記基板の裏面に形成された前記絶縁膜の一部をエッチ
    ング除去する工程と、 前記基板の裏面に残留した前記絶縁膜を介して前記基板
    をエッチングする工程とを有することを特徴とする形状
    記憶合金薄膜アクチュエータの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記形状記憶処理工程において、前記形
    状記憶合金薄膜には、平坦状の形状を記憶させることを
    特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記パターニング工程において、前記形
    状記憶合金薄膜は、フォトリソグラフィーによって、所
    定形状にパターニングされることを特徴とする請求項1
    に記載の製造方法。
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