JPH0790436A - TiNi系形状記憶合金堆積膜 - Google Patents

TiNi系形状記憶合金堆積膜

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JPH0790436A
JPH0790436A JP23303693A JP23303693A JPH0790436A JP H0790436 A JPH0790436 A JP H0790436A JP 23303693 A JP23303693 A JP 23303693A JP 23303693 A JP23303693 A JP 23303693A JP H0790436 A JPH0790436 A JP H0790436A
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sma
film
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deposited
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JP23303693A
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Yoshinori Ota
好紀 太田
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、異なる変態点を持つ層状SMAを
堆積して形成される堆積積層膜SMAあるいは面状に異
なる変態点を持つ堆積膜を用いることにより、アナログ
的に形状を変化できSMAを得ることを目的とする。 【構成】TiNi系形状記憶合金堆積膜において、Ti
組成あるいはNi組成の異なる膜が順次堆積されている
構成であることを特徴とするTiNi系形状記憶合金堆
積膜、あるいは酸素濃度の異なる膜が順次堆積された構
成であることを特徴とするTiNi系形状記憶合金堆積
膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はTiNi系形状記憶合金
堆積膜に関し、特に微細化に適すると期待される形状記
憶合金(以下SMAと呼ぶ)でアナログ的な屈曲や変位
が可能な堆積膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体微細加工技術を応用した種
々のセンサやアクチュエータが提案され、小型化、集積
化、ICとの一体化の方向で技術蓄積が行われている。
マイクロマシンの分野はこれらを包含する広い技術領域
であり、特に微小化に適するアクチュエータの開発が重
要課題の1つになっている。
【0003】SMAは単位体積当りの力量が大きいとい
う特徴があり、従来から板材あるいは線材として実用化
が図られてきた。しかし、さらにアクチュエータとして
微細化を進めて行くと板材、線材等の、いわゆるバルク
材を用いる方法では、SMA自身の高精度加工あるいは
所定の場所への精密実装が困難になる等の問題が生じて
くる。このようなSMAの加工精度あるいは実装精度に
関する問題はIC微細加工に用いられるフォトリソグラ
フィーによる微細加工の適用により解決できる可能性が
ある。
【0004】フォトリソグラフィーを微細加工や微細実
装に適用する為には平板の上に薄膜あるいは厚膜等の、
いわゆる堆積膜を用いる必要がある。SMAの堆積膜を
得る為の方法として一般にスパッタ法が用いられ、一部
の研究機関からスパッタ法による堆積膜を用いた形状記
憶効果の確認がなされている(例えばA.D.John
son,J.Micromech.Microeng.
1(1991)34−41.あるいはJ.D.Busc
h and A.D.Johnson,J.Appl.
Phys.68(12),1990,6224−622
8.等)。
【0005】SMAに用いられる材料を大きく分けると
TiNi系とCu系がある。TiNi系はその機械的特
性、耐疲労性等すべての面でCu系を凌ぐ優秀な素材で
あるので、以下ではSMAとしてTiNiに限定して述
べるが、本発明の主旨はすべてのSMA材料に適用でき
る。
【0006】TiNiはTiとNiの金属間化合物であ
り、その状態図より室温で安定に存在できる範囲は、両
金属組成が1:1の付近に限定される。TiNi SM
Aのバルク材を用いた実験ではオーステナイト相からマ
ルテンサイト相に変態する温度、いわゆる変態点はTi
とNiの組成に敏感に依存し、Niの1at.%の変動
が変態点にして75℃の変動に相当することが知られて
いる。また膜中の酸素の取り込みにも十分配慮する必要
があり、酸素の1at.%の変動が変態点に換算してや
はり100℃の変化をもたらすことが一般的に知られて
いる。
【0007】スパッタ法によりTiNiを成膜するに
は、予め組成の分かったTiNi合金をターゲットとし
て用いる。堆積されたTiNi膜の組成はターゲットの
組成とは必ずしも一致せず、通常Niのスパッタ率がT
iよりも大きいのでNi過剰の膜が成膜される。Ni組
成の増加は変態点の低下を招く。また、スパッタ時の真
空中にH2 Oが存在すると活性なTiと反応し、TiN
i膜中に捕獲される酸素(TiO2 等)の増加を招く。
膜中の酸素濃度が増加すると変態点の低下を招く。従っ
て変態点を室温かそれ以上の温度に定めるにはH2 Oを
極力抑えた高真空中でスパッタし、成膜内のNi組成を
過剰にならない程度に抑える必要がある。
【0008】スパッタ法でNi組成の制御を行なう手段
としてスパッタ時の成膜条件を変える方法も考えられる
が、通常スパッタ成膜に用いるターゲットの組成を変え
るのが一般的である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】TiNi系形状記憶合
金のバルク材からなる線材や板材等のNi組成は均一な
ので、マルテンサイト相からオーステナイト相に相変態
する温度(変態点)は一義的に決まる。形状記憶された
SMAは、変態点以上の温度に加熱されると形状記憶処
理された時の形状に復元する。SMAには加熱により1
方向だけに屈曲変位するもの、加熱で屈曲し冷却すると
初期の形状に復元する2方向に屈曲変位するものとがあ
る。
【0010】いずれにしてもバルク材を用いる限り変態
点を複数持つSMAを実現することはできない。また、
堆積膜を用いるSMAも通常単一ターゲットを用いて成
膜する方法では、変態点はNi組成や膜中に取り込まれ
る酸素等の不純物あるいは膜堆積後の熱処理で一義的に
決まることに変わりはない。変態点が1つであると、変
態点を境にして例えば水平方向から垂直方向へ屈曲し、
1か0かのディジタル的な形状状態を取ることになる。
【0011】本発明はこうした事情を考慮してなされた
もので、異なる変態点を持つ層状SMAを積層して形成
される堆積積層膜SMAあるいは面状に異なる変態点を
持つ堆積膜を用いることで、アナログ的に形状を変化で
きるSMAを提案するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】単一組成のSMAでは変
態点を境にして低温側ではマルテンサイト相の形状(形
状記憶する前の形状:仮に形状A)、高温側ではオース
テナイト相の形状(形状記憶された形状:仮に形状B)
の2つの形状を取りディジタル的な運動しかできない。
形状Aと形状Bの間で任意の形状で静止することは原理
的に不可能である。
【0013】本願第1の発明は、TiNi系形状記憶合
金堆積膜において、Ti組成あるいはNi組成の異なる
膜が順次堆積されている構成であることを特徴とするT
iNi系形状記憶合金堆積膜である。この第1の発明に
おいては、Ti組成あるいはNi組成の異なる膜が順次
堆積される場合が考えられる。
【0014】本願第2の発明は、TiNi系形状記憶合
金堆積膜において、酸素濃度の異なる膜が順次堆積され
た構成であることを特徴とするTiNi系形状記憶合金
堆積膜である。この第2の発明においては、膜中の酸素
濃度が連続的に変化された構成になつている場合が考え
られる。
【0015】本発明は、光スキャナー(光偏向器)、あ
るいはこの光スキャナーを2次元的に配列し各ミラーを
選択するアドレス回路を有する光偏向器アレイ、あるい
は温度センサ、あるいは複合温度センサアレイ、その他
電気的スイッチ、光シャッター等に使用可能である。
【0016】
【作用】本発明は変態点の異なる複数のSMAを層状に
堆積し、溶体化処理、時効処理を施した後、加熱するこ
とで変態点の最も低いSMA層から順次相変態が起こり
変態点の最も高いSMA層が相変態することで形状変化
が終了する。即ち、本発明によるSMAでは、全てのS
MA層がマルテンサイト相での形状Aと全てのSMA層
がオーステナイト相での形状Bの間で適当な温度に加熱
することにより、形状Aから形状Bの間の任意の形状で
静止させたり、あるいは加熱シーケンスを組むことによ
りそれに応じた任意の運動を行わせることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て述べる。 (実施例1)この実施例1は組成の異なる2層のTiN
iで2つの変態点を持つSMAの場合であり、図1を参
照する。図1(A)において1は平面基材であり、通常
シリコン基板あるいは石英基板等を用いる。2,3はT
iNi堆積膜であり、例えばNi50at.%付近のタ
ーゲットを用いてスパッタ法にて成膜したものである。
また、前記TiNi堆積膜2はTi過剰、TiNi堆積
膜3はNi過剰の組成にするものとする。TiNi堆積
膜2,3の厚みは、数μmから数10μm程度とし、力
量を必要とされる場合には厚い膜厚に設定する。この時
変態点は堆積膜2の方が堆積膜3よりも高い。
【0018】次に、図1(B)に示すように、前記Ti
Ni堆積膜2,3を平面基材1から剥離させ必要な形状
に切り出し、溶体化処理、時効処理の熱工程を加える。
溶体化処理の目的は成膜時にはアモルファスであったT
iNi堆積膜を結晶化することであり、時効処理の目的
は形状記憶させることである。通常これらの熱処理は、
真空、N2 、Ar等の不活性雰囲気で行なわれる。溶体
化処理は800℃程度の高温で行なわれ、電気炉あるい
は急速昇温、高速降温可能なRTA(Rapid Th
ermal Anneal)炉で行なっても良い。時効
処理は450〜500℃程度の温度領域で数時間から数
10時間行なわれる。
【0019】形状記憶処理は、図1(B)の右側が下方
へ屈曲するように行なっている。図1(C)は昇温し堆
積膜3はマルテンサイト相からオーステナイト相に相変
態し、堆積膜2はマルテンサイト相のままの温度に保っ
た状態を示す。この時堆積膜3は応力を発生し下方に屈
曲しようとするが、堆積膜2が機械的な負荷となるため
両者が釣合った状態で停止する。図1(D)は更に昇温
し堆積膜2もマルテンサイト相からオーステナイト相へ
相変態する温度に保った状態を示す。この温度では堆積
膜2も相変態し下方へ屈曲変位し図1(C)の状態より
も更に下方へ屈曲変位し、図1(B)の工程で記憶処理
した形状になる。
【0020】以上説明したように、従来の均一組成のT
iNi堆積膜では1つの変形状態しか取れなかったもの
が、Ni組成の異なる2層膜を積層することにより、2
つの変形状態を取ることができる。
【0021】(実施例2)この実施例2は組成の異なる
多層のTiNiで複数の変態点を持つSMAの場合であ
り、図2を参照する。
【0022】図2(A)において11〜18はTiNi層状
堆積膜(以下、単に堆積膜と呼ぶ)でありそれぞれの層
でNi組成が異なり、変態点が異なる。製作工程は、実
施例1と同様にシリコン基板等の平面基材上に各々Ni
組成の異なる堆積膜11〜18をスパッタ法により堆積す
る。本実施例2では堆積膜11から堆積膜18に向かってT
i組成を増加してある。従って堆積膜11〜18の順に変態
点が上昇する。堆積膜11〜18からなるSMA堆積膜19を
シリコン基板上に形成した後、SMA堆積膜19を剥離さ
せる。その後、SMA堆積膜19を適当な形状に切り出
し、溶体化処理と時効処理の熱処理を行なう。この時の
溶体処理は800℃程度の高温になるので、堆積膜11〜
18各層の相互拡散により各層のNi組成の変化を最小に
抑えるため実施例1で述べたRTAを用いるのが良い。
時効処理は不活性雰囲気中で数時間から数10時間を行
なう。
【0023】形状記憶処理は、図2(A)において右側
が下方向に屈曲するように行なうものとする。図2
(B)は、SMA堆積膜19を昇温し堆積層11〜13が相変
態した時の屈曲状態を示す。図2(C)は、更に昇温し
堆積膜11〜13に加え堆積層14〜16も相変態した時の形状
を示す。図2(B)と比較して更に下方への屈曲が進行
する。図2(D)は、更に昇温し堆積膜11〜16に加え堆
積膜17,18も相変態した時の形状を示す。図(C)の形
状と比較し更に下方への屈曲が進行し、図2(A)で形
状記憶処理を行なった形状となる。
【0024】(実施例3)この実施例3は連続的に組成
変化を持つTiNiで連続的な変態点を持つSMAの場
合であり、図3を参照する。
【0025】図3(A)において31はシリコン等の平面
基材で、32は厚み方向で徐々にNi組成を変化させたS
MA堆積膜である。本実施例3ではSMA堆積膜32の厚
み方向に上下に向かってTi組成を増加させてある。こ
のような成膜は、例えば純Tiターゲットと純Niター
ゲットを用意し個々のターゲットに加える電力を変化さ
せるイオンビーム堆積法によって可能である。図3
(B)はSMA堆積膜32を成膜後、基板として用いたシ
リコン31を除去したSMA堆積膜である。その後適当な
形状にSMA堆積膜32を切り出し、溶体化処理、時効処
理の熱処理を行ない、成膜時にはアモルファス状態であ
ったSMA堆積膜32を結晶化し、形状記憶させる。
【0026】形状記憶は、図3(B)の右側を下方に屈
曲するように行なうものとする。SMA堆積膜32の変態
点は下部表面33で最も低く、上部表面34で最も高く、S
MA堆積膜32内部では連続的に変化している。図3
(C)では、昇温しSMA堆積膜32の下部表面33を含ん
で中央部付近まで相変態が進行した状態のSMA堆積膜
32の屈曲状態を示す。図3(D)では更に昇温し上部表
面34を含みSMA堆積膜32全体が相変態した時の形状を
示し、図3(D)の形状は図3(B)で形状記憶した形
状と一致する。本実施例3の特徴は、図3(B)に示し
た初期状態から図3(D)に示した最終形状まで連続的
に形状変化が可能となることである。
【0027】(実施例4)この実施例4は酸素濃度の異
なる2層のTiNiで2つの変態点を持つSMAの場合
であり、図4を参照して説明する。
【0028】図4(A)において41は平面基材であり、
通常シリコン基板あるいは石英基板等を用いる。42,43
はTiNi堆積膜であり、例えばNi50at.%付近
のターゲットを用いてスパッタ法にて成膜したものであ
る。また、堆積膜42の酸素濃度は堆積膜43より過剰に混
入させる。堆積膜42,43の成膜にはスパッタ装置のチャ
ンバー内を高真空に排気した後、微量のH2 Oをチャン
バー内に導入して行なう。TiNi堆積膜42,43の厚み
は、数μmから数10μm程度とし、力量を必要とされ
る場合には厚い膜厚に設定する。この時変態点は堆積膜
42の方が堆積膜43りも低い。次に、図4(B)に示すよ
うに、前記堆積膜42,43を平面基材41から剥離させ必要
な形状に切り出し、溶体化処理、時効処理の熱工程を加
える。溶体化処理の目的は成膜時にはアモルファスであ
ったTiNi堆積膜を結晶化することであり、時効処理
の目的は形状記憶させることである。通常これらの熱処
理は、真空、N2 、Ar等の不活性雰囲気で行なわれ
る。溶体化処理は800℃程度の高温で行なわれ、電気
炉あるいは急速昇温、高速降温可能なRTA炉で行なっ
ても良い。時効処理は450〜500℃程度の温度領域
で数時間から数10時間行なわれる。
【0029】形状記憶処理は、図4(B)の右側が下方
へ屈曲するように行なっている。図4(C)は昇温し堆
積膜42はマルテンサイト相からオーステナイト相に相変
態し、堆積膜43はマルテンサイト相のままの温度に保っ
た状態を示す。この時、堆積膜42は応力を発生し下方に
屈曲しようとするが、堆積膜43が機械的な負荷となるた
め両者が釣合った状態で停止する。図4(D)は更に昇
温し堆積膜43もマルテンサイト相からオーステナイト相
へ相変態する温度に保った状態を示す。この温度では堆
積膜43も相変態し下方へ屈曲変位し図4(C)の状態よ
りも更に下方へ屈曲変位し、図4(B)の工程で記憶処
理した形状になる。
【0030】以上説明したように従来の均一酸素濃度の
TiNi堆積膜では1つの変形状態しか取れなかったも
のが、酸素濃度の異なる2層膜を積層することにより、
2つの変形状態を取ることができる。
【0031】(実施例5)この実施例5は酸素濃度の異
なる多層のTiNiで複数の変態点を持つSMAの場合
であり、図5を参照して説明する。
【0032】図5(A)において51〜58はTiNi層状
堆積膜でありそれぞれの層で酸素が異なり、変態点が異
なる。製作工程は、実施例4と同様にシリコン基板等の
平面基材上に各々酸素濃度の異なる前記堆積膜51〜58を
スパッタ法により堆積する。本実施例5では積層膜51か
ら積層膜58に向かって酸素濃度を減少してある。従って
積層膜51〜58の順に変態点が高くなる。積層膜51〜58か
らなるSMA堆積膜59をシリコン基板上に形成した後、
SMA堆積膜59を剥離させる。その後、SMA堆積膜59
を適当な形状に切り出し、溶体化処理と時効処理の熱処
理を行なう。この時の溶体化処理は、800℃程度の高
温になるので、積層膜51〜58各層の相互拡散による各層
の酸素濃度の変化を最小に抑えるため実施例4で述べた
RTAを用いるのが良い。時効処理は不活性雰囲気中で
数時間から数10時間行なう。
【0033】形状記憶処理は、図5(A)において右側
が下方向に屈曲するように行なうものとする。図5
(B)はSMA堆積膜59を昇温し堆積層51〜53が相変態
した時の屈曲状態を示す。図5(C)は更に昇温し堆積
膜51〜53に加え堆積層54〜56も相変態した時の形状を示
す。図5(B)と比較して更に下方への屈曲が進行す
る。図5(D)は、更に昇温し堆積膜51〜56に加え堆積
層57,58も相変態した時の形状を示す。図5(C)の形
状と比較し更に下方への屈曲が進行し、図5(A)で形
状記憶処理を行なった形状となる。
【0034】(実施例6)この実施例6は酸素濃度が連
続的に変化するTiNiで連続的に変態点を持つSMA
の場合であり、図6を参照する。図6(A)において61
はシリコン等の平面基材で、62は厚み方向で徐々に酸素
組成を変化させたSMA堆積膜である。本実施例6では
SMA堆積膜62の厚み方向に上方に向かって酸素濃度を
減少させてある。図6(B)はSMA堆積膜62を成膜
後、基板として用いたシリコン61を除去したSMA堆積
膜である。その後、適当な形状に堆積膜62を切り出し、
溶体化処理、時効処理の熱処理を行ない、成膜時にはア
モルファス状態であった堆積膜62を結晶化し、形状記憶
させる。
【0035】形状記憶は、図6(B)の右側を下方に屈
曲するように行なうものとする。SMA堆積膜62の変態
点は下部表面63で最も低く、上部表面64で最も高く、堆
積膜62内部では連続的に変化している。図6(C)では
昇温し堆積膜62の下部表面63を含んで中央部付近まで相
変態が進行した状態のSMA堆積膜62の屈曲状態を示
す。図6(D)では更に昇温し上部表面64を含みSMA
堆積膜62全体が相変態した時の形状を示し、図6(D)
の形状は図6(B)で形状記憶した形状と一致する。本
実施例6の特徴は、図6(B)に示した初期状態から図
6(D)に示した最終形状まで連続的に形状変化が可能
となることである。
【0036】(実施例7)この実施例7は光スキャナと
しての応用:電流で直接加熱の場合であり、図7を参照
する。図7(A)はSMA堆積膜を光スキャナーに応用
する例を示す斜視図である。71は例えばシリコン基板で
あり、72はシリコン基板71上に形成される絶縁膜で例え
ば熱酸化膜やポリイミド膜である。73はSMA堆積膜、
74,75は電気的にコンタクトを取るためのパッド、76は
SMA堆積膜による光の反射面である。77,78はコンタ
クトパッド74,74と反射面76とを接続するためにSMA
堆積膜で形成される抵抗体である。前記SMA堆積膜73
は、下方向に屈曲するように形状記憶されているものと
する。図7(B)は図7(A)のX−Xでの断面をY方
向から見た断面図である。図7(A)と対応する部材に
ついては同符号を記し説明を省略する。
【0037】図7(B)は通電加熱しない状態のSMA
堆積膜73の形状であり、通常SMA堆積膜は全体を通し
て平坦である。79aは反射面76へ入射する入射光であ
り、79bはその反射光である。図7(C)はコンタクト
パッド74,75に通電しSMA堆積膜73を昇温し、形状記
憶効果を発現させた状態で、反射面76は下方向に屈曲す
るので反射光79bは反射面76の角度に応じて偏向する。
加熱のための通電を止めると図7(B)の初期状態に戻
るように熱処理条件を選ぶと、電流のオン、オフで図7
(B)と図7(C)の状態を繰り返すことができる。S
MA堆積膜73に上記実施例1〜6のようなものを選ぶ
と、反射光79bを多段階あるいは連続的に偏向すること
ができる。
【0038】(実施例8)この実施例8は光スキャナー
としての応用:薄膜ヒーターで間接的加熱であり、図8
を参照する。本実施例8はSMA堆積膜の昇温方法とし
てSMA直下に設けた堆積膜ヒーターを用いることを特
徴とする。本実施例の形状は図7(A)に示す形状でも
良く、あるいはカンチレバー形状でも良い。本実施例で
は図7(A)の構造を念頭において説明する。図8
(A)において81はシリコン基板、82は熱酸化膜(ある
いはポリイミド膜)、83は堆積膜ヒーター、84は絶縁
膜、85はSMA堆積膜、86は光反射面、87は反射面86へ
の入射光、88は反射面86からの反射光である。図8
(A)は堆積ヒーターに通電していない状態の断面形状
であり、堆積膜ヒーター83、絶縁膜84、SMA堆積膜85
を含む堆積膜89は全体として平坦である。図8(B)は
堆積膜ヒーター83に通電し、絶縁膜84を介してSMA堆
積膜85を昇温した時の形状である。SMA堆積膜85が下
方向に屈曲するように形状記憶されていれば堆積膜89も
下方向に屈曲する。堆積膜ヒーター83への通電を止める
と堆積膜85が図8 (A)の形状に復帰するように形状
記憶されているとすると、電流のオン、オフにより反射
面86からの反射光を偏向することができる。またSMA
堆積膜86に、上記実施例1〜6に記したSMA堆積膜を
用いれば、多段階光偏向、連続光偏向が可能となる。 (実施例9)この実施例9は光スキャナとしての応用:
光加熱で偏向し信号光は別に用意する場合であり、図9
を参照する。本実施例9は、SMA堆積膜を加熱する手
段として光を用いることを特徴とする。図9(A)にお
いて91はシリコン基板、92は熱酸化膜(あるいはポリイ
ミド膜)、93はSMA堆積膜である。本実施例9ではS
MA堆積膜93はカンチレバーを構成する。94はカンチレ
バー93の裏面から照射し、SMA堆積膜93を加熱するた
めの光(以後、加熱光と呼ぶことにする)である。図9
(B)では加熱光の照射がないためSMAカンチレバー
は水平に保たれる。95,96はそれぞれ反射面97への入射
光、反射面97からの反射光である。
【0039】図9(C)はカンチレバー93の裏面98に照
射される加熱光94により、SMA堆積膜の温度が上昇し
形状記憶効果が発現し、カンチレバー93が当初形状記憶
させた下方向に屈曲した様子を示す。カンチレバー93の
反射面97に入射した光はカンチレバーの変形量に応じて
偏向し、反射光96となる。加熱光93を切った状態で図9
(B)の形状に戻るように形状記憶処理を行うと、加熱
光のオン、オフに応じた光偏向が可能となる。また、前
記実施例1〜6に示したSMA堆積膜をカンチレバー93
に用いることで、多段階光偏向、連続的な光偏向が可能
となる。
【0040】(実施例10)この実施例10は光スキャ
ナーとしての応用:光加熱で偏向し同時に信号光として
利用する場合であり、図10(A),(B)を参照す
る。本実施例10はSMA堆積膜で形成したカンチレバー
の先端付近に照射する光ビームを、SMA堆積膜を加熱
すると同時に偏向光としても用いることを特徴とする。
本実施例によるカンチレバーの外観は図9(A)に示し
たもの同様とする。図10(A),(B)において101
はシリコン基板、102 はシリコン基板101 表面に形成さ
れた熱酸化膜(あるいはポリイミド膜)、 103はSMA
堆積膜で形成されるカンチレバーである。104 ,105
は、夫々カンチレバー103 の先端付近106 の反射面107
への入射光と反射面107 からの反射光を示す。入射光10
4 の光強度が弱い時にはカンチレバー103 を形成するS
MA堆積膜はマルテンサイト相のままである。
【0041】図10(B)は入射光104 の光強度が強く
SMA堆積膜を加熱昇温し、カンチレバー103 が相変態
を起こし、当初形状記憶処理された下方向に屈曲してい
る様子を示している。これに伴い反射光105 は偏向す
る。再度光強度を下げるとSMAカンチレバー103 の温
度が下がり図10(A)の状態に戻るように形状記憶処
理を施しておくと、光強度の大小によって光偏向が可能
となる。またカンチレバー103 に本実施例1〜6に示し
たSMA堆積膜を用いることで、多段階あるいは連続的
な光偏向が可能となる。
【0042】(実施例11)この実施例11はSMAミラ
ーを2次元的に配列しX−Yアドレス方式でキャラクタ
ー表示する光ディスプレイの場合であり、図11(A),
(B)を参照する。
【0043】本実施例11では実施例7(図7)や実施例
8(図8)に示した単体のSMA堆積膜光スキャナーを
2次元的に配置し、X−Yアドレス方式により特定スキ
ャナー(以後画素と呼ぶことにする)を選択し、文字や
絵等のキャラクターを表示するディスプレイの概念図を
示す。111 は2次元的に配置された画素群、112 はXア
ドレス回路、113 はXアドレス回路と画素群111 を電気
的に接続する配線、114 はYアドレス回路、115 はYア
ドレス回路と画素群111 を電気的に接続する配線であ
る。
【0044】図11(A)は画素内のミラーが水平に保た
れている状態で、紙面に対して垂直に入射した光はミラ
ーで反射し紙面に垂直方向から観察すると全面が白とな
る。図11(B)ではX−Yアドレス回路で画素群111 か
ら特定の画素を選択し画素内のミラーを傾けることによ
り、特定のキャラクター116 (本実施例では“ア”)を
表示することができる。また入射光の方向と観察方向を
変えることでポジ像、ネガ像いずれでも得ることができ
る。
【0045】本実施例11ではSMA堆積膜を用いる光ス
キャナーを画素とする2次元ディスプレイを示している
が、同様な方法で1次元ディスプレイへ応用することも
可能である。
【0046】(実施例12)この実施例12は光シャッタ
ー:電流で直接加熱の場合であり、図12(A)〜(D)
を参照する。本実施例12は光路の途中に光吸収膜あるい
は光反射膜を配置し、これら光遮断膜にSMA堆積膜を
組み込み、SMA堆積膜の屈曲により、光路を開閉する
ことを特徴とする。図12(A),(B)は光シャッター
膜の開閉動作を模式的に示す。図12(A)において 121
a, 121bは基材で例えばシリコン基板である。 122
a,122 bは絶縁膜で例えば熱酸化膜,あるいはシリコ
ン窒化膜(あるいはポリイミド膜)を用いる。123 は基
板 121aの裏面に形成された絶縁膜であり、突出部12を
有する。125 は光吸収膜あるいは光反射膜とSMA堆積
膜とからなるシャッター膜である。突出部124 は光シャ
ッター膜125 が屈曲した時のストッパーの役割をする。
【0047】図12(B)はSMA堆積膜が加熱され変態
点を越えた時の本光シャッターの形状を示す。SMA堆
積膜は、予め相変態により下方に屈曲するように熱処理
されているものとする。屈曲したシャッター膜125 はス
トッパー124 に接触し停止する。図12(C)は図12
(A)に示した光シャッターのX−Xでの断面を示して
いる。シャッター膜125 はSMA堆積膜126 と光吸収膜
127 とで構成されている。図12(B)の状態では入射光
128 は光吸収膜127 で吸収されるため透過できない。図
12(D)はSMA堆積膜128 に通電することで加熱し、
SMA堆積膜127 の変態点を越して温度上昇した時の断
面形状を示す。入射光128 は開口129 を通過することが
できる。
【0048】(実施例13)この実施例13は光シャッタ
ー:薄膜ヒーターで加熱する場合であり、図13(A),
(B)を参照する。本実施例13では光シャッターの動作
は実施例12(図12(A),(B))と同じであるが、
SMA堆積膜の加熱に薄膜ヒーターを用いる点が異な
る。131 a,131bは基材で本実施例ではシリコン基板
とする。 132a, 132b, 132c,132dは絶縁膜であ
り、これは実施例12(図12(C),(D))と同様であ
る。133 はシャッター膜であり、薄膜ヒーター134 、絶
縁膜135 、SMA堆積膜136で構成される。図13(A)
は薄膜ヒーター134 に通電せず、SMA堆積膜136 は室
温に保持されており、シャッター膜133 は閉じた状態で
ある。入射光137 はSMA堆積膜136 で反射され開口13
8 を通過できない。図13(B)は薄膜ヒーター134 に通
電し、SMA堆積膜136 の温度が上がり変態点を越える
と、予め形状記憶した形状に屈曲する。本実施例13では
SMA堆積膜は下方へ屈曲するように形状記憶処理が行
われており、シャッター膜は下方に屈曲し、絶縁膜 132
cの先端部に設けられたストッパー138 の位置まで屈曲
して停止する。入射光137 は開口139 を通過し下方へと
導かれる。
【0049】(実施例14)この実施例14は温度セン
サ:カンチレバーの変位を光の反射で検出の場合であ
り、図14(A)〜(C)を参照する。本実施例14は厚み
方向に相変態温度を段階的に、あるいは連続的に変化さ
せたSMA堆積膜でカンチレバーを構成し、温度変化に
伴うカンチレバーの変位を光学的に検出することによ
り、精度の高い温度センサを実現するものである。図14
(A)において141 は基材であり本実施例ではシリコン
基板を用いる。142 は例えば熱酸化膜、シリコン窒化膜
のような絶縁膜で、143 は厚み方向に相変態温度を多段
階あるいは連続的に変えて作製されたSMA堆積膜を用
いたカンチレバーで、144 はライン状に配置した受光セ
ンサで例えばCCD、SIT、CMD等を用いる。145
はカンチレバー143 の先端付近に入射する光ビーム、14
6 はカンチレバー143 で反射した光ビームを示す。
【0050】いま、室温、例えば25℃でカンチレバー
143 は水平であるとし、反射光はラインセンサ144 の左
端の絵素147 に入射するように配置されているとする。
図14(B)は温度が29℃の時の様子であり、SMAカ
ンチレバー143 は下方に屈曲し、それに伴い反射光146
は絵素148 へ入射する。すなわち1℃の温度変化で反射
光146 は1絵素分偏向されることになる。図14(C)は
温度を34℃に上げた時の様子を示したもので、SMA
カンチレバーは図14(B)の時よりもさらに下方へ屈曲
し、この時の反射光146 はラインセンサ144 の右端の絵
素149 へ入射する。
【0051】上に述べたようにSMA堆積膜の厚み方向
に変態点が連続的に変化するように構成したカンチレバ
ーを用いると、温度変化に伴い連続的にカンチレバーが
変位し、この変位を光梃子法を用いた位置検出法により
検出し、かつラインセンサの絵素寸法を縮小し高密度化
を図ることによって高感度な温度センサを実現すること
が可能である。
【0052】(実施例15)この実施例15は温度セン
サ:温度スイッチの場合であり、図15(A)〜(D)を
参照する。本実施例15は周囲の温度でカンチレバー状の
SMA堆積膜が変形し、別途設けた電気的接点と接触す
ることでカンチレバーとの電気的コンタクトを可能とす
る温度センサを一体化した温度スイッチである。図15
(A),(B)がノーマリーオフ型、図15(C),
(D)がノーマリーオン型の温度スイッチの動作を示
す。
【0053】図15(A)において151 ,152 は基材であ
り、ここではシリコン基板を用いる。153 ,154 は酸化
膜あるいはシリコン窒化膜等の絶縁膜、155 はカンチレ
バー状のSMA堆積膜で、カンチレバー155 の先端部15
7 は本温度スイッチの一方の接点となる。156 は本温度
スイッチの他方の接点となる。
【0054】図15(A)において本温度スイッチが例え
ば室温中に置かれているとし、この時SMAカンチレバ
ー155 は水平に保たれ接点157 と接点156 は電気的には
分離されている(オフ状態)。図15(B)においてSM
Aカンチレバー155 の変態点が例えば50℃に設定され
ているとすると、本温度スイッチが50℃を越える周囲
温度に置かれた時、SMAカンチレバー155 は下方に屈
曲し、カンチレバー155 の先端部の接点157 と接点156
は機械的に接触し、電気的にオン状態になる。図15
(C),(D)において本温度スイッチの構成は図15
(A),(B)と同様なので同じ部材については同一番
号を記載して説明は省略する。
【0055】図15(C)において本スイッチが室温中に
置かれているとし、この時SMAカンチレバー155 は水
平に保たれカンチレバー155 の接点157 と別基板152 上
に設けた接点156 は機械的に接触しており、電気的にオ
ン状態である。図15(D)においてSMAカンチレバー
155 の変態点を例えば50℃に設定してあるとし、本温
度スイッチを50℃を越える周囲温度中に置くとSMA
カンチレバー155 は上方に屈曲し、SMAカンチレバー
155 の先端部に設けた接点157 は別基板152 上に設けた
接点157 から分離し、電気的にオフ状態となる。
【0056】(実施例16)この実施例16は温度セン
サ:変態点の異なるカンチレバーを複数配列し電気的に
温度を検出の場合であり、図16(A)〜(C)を参照す
る。本実施例16は変位点の異なるSMAカンチレバーを
並列に配列し、変態点を越えたSMAカンチレバーが屈
曲するのを電気的に検出し温度センサを構成するもので
ある。図16(A)において161 は基材となるシリコン基
板、162 は絶縁膜、163 はSMA堆積膜、 164a〜 164
eはSMA堆積膜163 からなるカンチレバーである。カ
ンチレバーの変態点は製作工程でTi、Ni、酸素等変
態点を変化できる元素をイオン注入し熱処理することで
結晶化と形状記憶処理を行う。本実施例16ではカンチレ
バー 164a〜 164eの順に変態点が1℃づつ高くなるよ
うにしてある。例えばカンチレバー 164aの変態点を2
5℃とすると、カンチレバー164eの変態点は29℃と
なるように設定してある。温度によるカンチレバーの変
形を電気的に検出するために以下のような電気的接点を
設ける。165 は基材となるシリコン基板、166 は絶縁
膜、 167a〜167 eはカンチレバー 164a〜 164eから
電気的コンタクトを取るための接点を兼ねた配線であ
る。
【0057】以下に本温度センサの動作についてその概
略を示す。図16(B),(C)は図16(A)に示したX
−X(カンチレバー 164cと接点 167cを横切る)の断
面図であり、同一部材については図16(A)と同一番号
を付け説明は省略する。図16(B)は本温度センサを2
6℃以下の温度雰囲気中に置いた時の状態で、カンチレ
バー 164cは水平に保たれカンチレバー 164cと電気的
接点 167cは分離している。図16(C)は本温度センサ
を27℃以上の温度雰囲気中置いた時の状態を示す。2
7℃以上の温度でカンチレバー 164cは相変態し、下向
きに屈曲し接点167cと機械的に接触するため電気的に
オン状態となる。従ってSMA堆積膜163 に電圧を印加
し接点 167a〜 167eに流れる電流を検知することで、
温度測定を行うことができる。
【0058】(実施例17)この実施例17は電気的スイ
ッチ:SMAに直接通電し電気的接点は積層した金属で
行なう場合であり、図17(A),(B)を参照する。本
実施例17ではSMA堆積膜を通電加熱して昇温し、SM
A堆積膜に絶縁層を介して接着された導電膜が、別途基
板に設けられた接点と接触することで電気的スイッチと
して機能することを特徴とする。図17(A)において17
1 はシリコン基板、172 は絶縁膜、173 は導電膜、174
は絶縁層、175 はSMA堆積膜で形成されたヒーターで
ある。前記導電膜173 、絶縁層174 、SMAヒーターで
カンチレバー状の電気的接点を形成する。176 はシリコ
ン基板、177 は絶縁層、178 は電気的接点と配線を兼ね
る導電膜である。
【0059】SMA堆積膜ヒーター175 を通電加熱しな
い時はSMA堆積膜の形状変形がないので、カンチレバ
ー179 の先端部に設けた接点180 と基板176 上に設けた
導電膜178 の先端部に設けた接点181 は電気的に分離し
ている。図17(B)はSMAヒーター175 を通電加熱す
ることで下向きに屈曲させることによってカンチレバー
170 の接点180 と、別基板176 上の導電膜178 の先端部
の接点181 とは機械的に接触することで、電気的スイッ
チとして機能する。また本電気的スイッチは薄膜カンチ
レバーの熱容量が小さいので冷却速度が速く、従来のバ
ルク材を用いたものに比べ高速応答が得られる。
【0060】(実施例18)この実施例18は電気的スイッ
チ:SMAに接着した薄膜ヒーターで加熱する場合であ
り、図18(A),(B)を参照する。本実施例18はSM
A堆積膜を加熱昇温する手段として絶縁膜を介して接着
された薄膜ヒーターを用いることを特徴とする電気的ス
イッチに関する。図18(A)において191 はシリコン基
板、192 は絶縁膜、193 はSMA堆積膜、194 は絶縁
膜、195 は薄膜ヒーターである。前記SMA堆積膜193
、絶縁膜194 、薄膜ヒーター195 は積層カンチレバー1
99 を構成する。196 はシリコン基板、197 は絶縁膜、1
98 は導電膜である。いま薄膜ヒーター195 を通電加熱
しない状態ではSMA堆積膜193 は水平に保たれ、カン
チレバー199 の先端部の接点200 と別基板上に堆積した
導電膜198 の先端部の接点201 とは電気的に分離されて
いる。
【0061】図18(B)は薄膜ヒーター195 を通電加熱
しSMA堆積膜193 を加熱し、SMA堆積膜193 の変態
点を越える温度になるとSMA堆積膜は下方向に屈曲
し、カンチレバー199 の接点200 と導電膜198 の先端部
の接点201 とは機械的に接触し、電気的スイッチとして
機能する。また本電気的スイッチは薄膜カンチレバーの
熱容量が小さいので冷却速度が速く、従来のバルク材を
用いたものに比べ高速応答が得られる。
【0062】
【発明の効果】本発明による堆積膜を用いるSMAは厚
み方向に組成分布や酸素濃度分布を持たせることで、以
下のような効果を得ることができる。 1)SMA堆積膜が複数の異なる変態点を持つ堆積膜の
積層膜からなる場合、積層膜を加熱しSMAの温度が上
昇することで、変態点の低い堆積膜から順次マルテンサ
イト相からオーステナイト相への相変態が起き、これに
応じて形状記憶された形状に順次段階的に変形する。
【0063】2)SMA堆積膜が厚み方向に連続的に変
態点を持つ場合、加熱することによりSMAの温度が上
昇することで、最も変態点の低い層から順次マルテンサ
イト相からオーステナイト相への相変態が始まり、SM
Aの温度が上昇することで、形状記憶された形状へ連続
的に変形する。 3)温度に対して段階的に形状変化するSMAや連続的
に形状変化するSMAを用いて、多段階あるいはアナロ
グ的な光偏向が可能となり光スキャナ、光ディスプレ
イ、光シャッターへの応用が可能となる。 4)同SMAを用いてアナログ温度センサ、マルチ温度
センサあるいは電気的スイッチ等への応用が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る組成の異なる2つのT
iNiで2つの変態点を持つSMAの説明図。
【図2】本発明の実施例2に係る組成の異なる多層のT
iNiで複数の変態点を持つSMAの説明図。
【図3】本発明の実施例3に係る連続的な組成変化を持
つTiNiで連続的な変態点を持つSMAの説明図。
【図4】本発明の実施例4に係る酸素濃度の異なる2層
のTiNiで2つの変態点を持つSMAの説明図。
【図5】本発明の実施例5に係る酸素濃度の異なる多層
のTiNiで複数の変態点を持つSMAの説明図。
【図6】本発明の実施例6に係る酸素濃度が連続的に変
化するTiNiで連続的に変態点を持つSMAの説明
図。
【図7】本発明の実施例7に係る光スキャナーで電流で
直接加熱する場合の説明図。
【図8】本発明の実施例8に係る光スキャナーで薄膜ヒ
ーターで間接的に加熱する場合の説明図。
【図9】本発明の実施例9に係る光スキャナーで光加熱
で偏向し信号光は別に用意する場合の説明図。
【図10】本発明の実施例10に係る光スキャナーで光加
熱で偏向し同時に信号光として利用する場合の説明図。
【図11】本発明の実施例11に係り、図7や図8のSM
A堆積膜光スキャナーを2次元的に配置し、X−Yアド
レス方式により画素を選択し、文字等のキャラクターを
表示するディスプレイの概念図。
【図12】本発明の実施例12に係る光シャッターで電流
で直接加熱する場合の説明図。
【図13】本発明の実施例13に係る光シャッターで薄膜
ヒーターで加熱する場合の説明図。
【図14】本発明の実施例14に係る温度センサでカンチ
レバーの変位を光の反射で検出する場合の説明図。
【図15】本発明の実施例15に係る温度センサの説明
図。
【図16】本発明の実施例16に係る温度センサで変態点
の異なるカンチレバーを複数配列し電気的に温度で検出
する場合の説明図。
【図17】本発明の実施例17に係る電気的スイッチでS
MAに直接通電し電気的接点は積層した金属で行なう場
合の説明図。
【図18】本発明の実施例18に係る電気的スイッチでS
MAに接着した薄膜ヒーターで加熱する場合の説明図。
【符号の説明】
1,31,61…平面基材、2,3,11〜18,41,42,51〜
58…TiNi堆積膜、19,32,59,62,73,85,93,12
6 ,136 ,155 ,162 ,163 ,193 …SMA堆積膜、3
3,63…下部表面、 34,64…上
部表面、71,81,91,101 ,121a,121b,131a,131b,
141 ,161 ,165 ,171 ,176,191 ,196 …シリコン
基板、74,75…パッド、 76,
86,97…反射面、79a,95,96,104 ,128 ,137 …入
射光、79b,105 ,146 …反射光、 82,
92,102 ,142 …熱酸化膜、83…堆積膜ヒーター、84,
122a,122b,123 ,132a,132b,132c,132d,135 ,15
3 ,154 ,162 ,166 ,172 ,192 ,194 ,197 …絶縁
膜、 94…加熱光、103 ,143 ,164a〜164e,167a〜
167e,179 ,199 …カンチレバー、111 …画素群、
112 …Xアドレス回路、113 ,
115 …配線、 114 …Yアドレス
回路、116 …キャラクター、 124
…突出部、125 ,133 …シャッター膜、
127 …光吸収膜、129 ,138 …開口、
134 ,195 …薄膜ヒーター、144 …受光センサ、
145 …光ビーム、147 ,148 ,
149 …絵素、 151 ,152 …基材、156
,157 ,180 ,181 ,200 …接点、 173 ,178 ,1
98 …導電膜、175 …ヒーター。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiNi系形状記憶合金堆積膜におい
    て、Ti組成あるいはNi組成の異なる膜が順次堆積さ
    れている構成であることを特徴とするTiNi系形状記
    憶合金堆積膜。
  2. 【請求項2】 TiNi系形状記憶合金堆積膜におい
    て、 酸素濃度の異なる膜が順次堆積された構成である
    ことを特徴とするTiNi系形状記憶合金堆積膜。
JP23303693A 1993-09-20 1993-09-20 TiNi系形状記憶合金堆積膜 Withdrawn JPH0790436A (ja)

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