JP6986785B2 - 形状記憶合金薄膜アクチュエータアレイによるオートフォーカス駆動機構 - Google Patents

形状記憶合金薄膜アクチュエータアレイによるオートフォーカス駆動機構 Download PDF

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Description

本発明は、カメラモジュール、特に携帯電話用カメラモジュールのオートフォーカスあるいは手振れ補正の駆動機構に関する。
現在流通しているオートフォーカスあるいは手振れ補正の駆動機構の主流はVCM(ボイスコイルモーター)や圧電素子であり、携帯電話の薄型化を進める上でこれらの駆動機構のさらなる小型、軽量化に対する要望は大きくなっている(特許文献1)。
一方、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータは小型で強力なアクチュエータとして期待されている。アクチュエータの形態としては、ブリッジ型、ダイヤフラム型、カンチレバー型があり、ブリッジ型とダイヤフラム型は引っ張り変形モードで使うために力は大きいが、変位量が小さく、また、カンチレバー型は曲げ変形モードで使うために変位量は大きいが、力が弱いことが指摘されている(非特許文献1)。
オートフォーカス駆動機構に上記形状記憶合金薄膜アクチュエータを使った例としては、ブリッジ型が特許文献2で、カンチレバー型が特許文献3と4で知られている。
また、形状記憶合金薄膜アクチュエータをアレイにして使ったデバイスとしては、歩行ロボットや搬送機あるいはグリッパが非特許文献2で報告されている。
形状記憶合金薄膜単体の形状記憶特性は非特許文献3で調べられており、スパッタリングで作製したTi−Ni−Cu合金薄膜は、Ti−Ni合金薄膜よりも優れた特性を示すことが報告されている。
特開2013−254184号公報 特開2009−196060号公報 特開2011−109853号公報 特開2009−89306号公報
A. Ishida et al.、 Smart Mater. Struct.、 16(2007)1672. A. Ishida et al.、 Smart Mater. Struct.、 14(2005)S216. A. Ishida et al.、 J. Alloys and Compounds、 577S(2013)S184.
携帯電話などのカメラモジュールでは低背化が望まれている。しかし、圧電素子あるいはVCM(ボイスコイルモーター)を使った駆動機構を厚さ1mm以下にすることは、構造の複雑さを考えると困難である。
特許文献2では、ブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータをオートフォーカス駆動機構に適用した例が報告されているが、ここでは形状記憶合金薄膜アクチュエータが光軸に垂直な方向に伸縮するために、この変位を光軸方向に変えるための複雑な移動機構を必要としている。
一方、特許文献3と4では、平面視矩形の可動部品の対向する2辺に沿って延びて配置されたカンチレバー型アクチュエータで可動部品を移動させる機構が開示されている。しかし、カンチレバー型アクチュエータは力が弱いことが知られており、その発生力はカンチレバーの長さの3乗に反比例して減少する。たとえば、10mmの長さのカンチレバーは1mmの長さのカンチレバーに比べて1/1000の力しか発生しない。さらに、特許文献3及び4の形態では数本のアクチュエータの特性に左右されるために信頼性を欠き、カンチレバーの自由端が可動部品と点で接するために設計や組み立てが難しい。加えて、室温時にカンチレバーに不用意な変形を与えないように別途、ストッパの機構を設ける必要がある。
形状記憶合金薄膜アクチュエータアレイを水平移動や把持に使ったデバイスとしては、非特許文献2で歩行ロボットや搬送機あるいはグリッパが報告されているが、熱ひずみのみをバイアス力としたバイモルフ型アクチュエータでは、加熱時(オーステナイト相)に平坦になり、室温(マルテンサイト相)で湾曲するために、形状記憶合金の加熱時に発生する大きい形状回復力を物を持ち上げる力として利用できないことが指摘されている。
本発明は上述の課題を解決したものであり、極薄型で、高応答性かつ発生力が大きく、構造がシンプルなために製造が容易で信頼性の高い、手振れ補正も可能なオートフォーカス駆動機構とそれを使ったカメラユニットを提供する。
上記目的を達成するために、本発明のオートフォーカス駆動機構は以下の構成を採用した。
[1] 固定端側が基板に固定され、先端側が基板から解放されて反り上がった複数の形状記憶合金薄膜が前記基板上で面状に並べられてアクチュエータアレイを構成しているアクチュエータアレイ基板と、
移動対象物を支持するプレートと、
前記複数の形状記憶合金薄膜が、オーステナイト相で前記基板のなす平面に対して反り上がった形状となり、マルテンサイト相で前記基板のなす平面に対して大略平坦となるようなバイアス力を与えるバイアスばねを備え、
前記アクチュエータアレイ基板、前記プレート、および前記バイアスばねが積層された構造を保持する筐体を備え、
室温時に前記対象物を支持するプレートの移動が前記アクチュエータアレイ基板の基板によって停止することによって、形状記憶合金薄膜の変態ひずみを越えた余分な塑性変形を防ぐことを特徴とするオートフォーカス駆動機構。
[] 前記対象物を支持するプレートの移動が前記形状記憶合金薄膜のマルテンサイト変態終了温度よりも高い温度で前記アクチュエータアレイ基板の基板によって停止することを特徴とする[]に記載のオートフォーカス駆動機構。
] 前記形状記憶合金薄膜が当該形状記憶合金薄膜の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する下層の薄膜と積層され、熱処理後の熱ひずみによって、当該形状記憶合金薄膜がオーステナイト相で前記基板に対して反り上がった形状とされると共に、
前記形状記憶合金薄膜の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する下層の薄膜は、SiO 薄膜であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のオートフォーカス駆動機構。
] 前記移動対象物を支持するプレートの上面にスペーサーが突設されており、当該スペーサーの上端部が前記バイアスばねの下面に接するように構成されたことを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
] 前記バイアスばねが、前記アクチュエータアレイ基板と同様の構成を有する第2のアクチュエータアレイ基板であることを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
] 前記基板は、Siウエハ基板であることを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
] 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、50原子%以上で55原子%以下のTi、10原子%を超えて20原子%以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
] 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、45原子%以上で50原子%未満のTi、原子%で10+1.6×(50−Tiの原子%)を超えて20+1.6×(50−Tiの原子%)以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
] 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、50原子%以上で55原子%以下のTi、5原子%以上で10原子%以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
[1] 前記移動対象物は、レンズ又は撮像素子であることを特徴とする[1]乃至[]に記載のオートフォーカス駆動機構。
[1] 前記移動対象物はレンズであり、前記基板は光路確保のための開口窓を有し、前記アクチュエータアレイ基板における複数の形状記憶合金薄膜の配置は、前記開口窓を囲うように、前記基板に大略均一な密度で配置されていることを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
[1] [1]乃至[1]のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構を有し、前記形状記憶合金薄膜を加熱する加熱手段によって、当該形状記憶合金薄膜のオーステナイト相とマルテンサイト相の組織割合が調整されてオートフォーカスを行う機能を具備するように構成したことを特徴とするカメラモジュール。
[1] オートフォーカス制御回路からの駆動電流を前記複数の形状記憶合金薄膜に通電することにより、前記複数の形状記憶合金薄膜の電気抵抗を制御して、オートフォーカスを行う機能を具備するように構成したことを特徴とする[1]に記載のカメラモジュール。
[1] 前記形状記憶合金薄膜は、固定端側の一端から先端側を経由して前記固定端側の他端に通電するように構成されたことを特徴とする[1]に記載のカメラモジュール。
[1] 前記加熱手段は、前記形状記憶合金薄膜の周囲に形成された電熱導体であることを特徴とする[1]に記載のカメラモジュール。
[1] 駆動電流を前記複数の形状記憶合金薄膜の個々の形状記憶合金薄膜に独立して通電することにより、手振れ補正機能を具備するように構成したことを特徴とする[1]乃至[1]のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
[17] [1]乃至[1]のいずれか一項に記載のカメラモジュールを搭載したことを特徴とするカメラ付き携帯電話。
このように構成した発明[1]によれば、移動対象物を支持するプレートに負荷される全体の荷重を、当該プレートの辺もしくは径の長さよりも長さの短い複数の形状記憶合金薄膜アクチュエータで面状に分散して支えるために全体の負荷荷重を増やすことができ、オートフォーカス駆動機構の組み立ても容易で信頼性も向上する。また、バイアスばねを用いることによって、形状記憶合金薄膜の形状を、加熱時(オーステナイト相)に基板のなす平面に対して反り上がった形状とし、室温時(マルテンサイト相)に基板のなす平面に対して大略平坦とすることができるので、形状記憶合金の特徴である加熱時の逆変態による大きい形状回復力を移動対象物を持ち上げる(移動させる)駆動力として利用できる。
また上記の構成を有する発明[1]によれば、別途、形状記憶合金薄膜の余分な塑性変形を防ぐためのストッパを設ける必要がなく、オートフォーカス駆動機構の構造を簡単にできる。
上記の構成を有する発明[]によれば、オートフォーカス駆動機構の作動温度を形状記憶合金薄膜のマルテンサイト変態終了温度よりも高く設定できる。
上記の構成を有する発明[]によれば、形状記憶合金薄膜と当該形状記憶合金薄膜の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する下層の薄膜の間に残留した熱ひずみによって、容易に形状記憶合金薄膜(オーステナイト相)を基板のなす平面に対して反り上がった形状にできると共に、SiO膜を形状記憶合金薄膜の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する下層の薄膜として利用でき、また、基板との間の絶縁を図ることができる。
上記の構成を有する発明[]によれば、フラットな形状を有するバイアスばねを用いて、移動対象物を支持するプレートを下向きに押さえつける力を得ることができる。
上記の構成を有する発明[]によれば、アクチュエータアレイ基板を構成する形状記憶合金薄膜に通電する電流を制御してバイアスばねのばね定数を室温で低ヤング率、高温で高ヤング率に設定することにより、ばね定数一定のバイアスばねを使った場合に比べてオートフォーカス駆動機構のストロークを増加させることができる。
上記の構成を有する発明[]によれば、半導体プロセスを利用することにより、[1]乃至[]に記載のアクチュエータアレイ基板を安価に大量生産することができる。
上記の構成を有する発明[]乃至[]によれば、Ti−Ni合金より変態温度が高くて温度ヒステリシスが小さく、発生力が大きくて応答性に優れた形状記憶合金薄膜を使ったアクチュエータアレイ基板を作製することができる。
上記の構成を有する発明[]と[]によれば、Ti−Ni−Cu合金ワイヤよりも発生力が格段に大きく、また特性の組成依存性が小さくて組成制御が難しいスパッタリングにおいても安定した特性(大きい発生力、高い応答性、高い変態温度)を示す形状記憶合金薄膜を使ったアクチュエータアレイ基板を安価で大量に製造することができる。
上記の構成を有する発明[]によれば、上記の構成を有する発明[]の薄膜よりも変態温度が高く、信頼性に優れた形状記憶合金薄膜を使ったアクチュエータアレイ基板を製造することができる。
上記の構成を有する発明[1]によれば、カメラ用のオートフォーカス駆動機構を提供できる。
上記の構成を有する発明[1]によれば、移動対象物がレンズの場合に最大の発生力を有する[1]乃至[]に記載のオートフォーカス駆動機構が得られる。
上記の構成を有する発明[1]によれば、移動対象物の位置を精密に制御できるカメラモジュールを提供できる。
上記の構成を有する発明[1]によれば、オートフォーカス制御回路を利用してオートフォーカス位置を精密に制御するカメラモジュールを提供できる。
上記の構成を有する発明[1]によれば、容易に形状記憶合金薄膜を加熱できて、簡単な構造のカメラモジュールを提供できる。
上記の構成を有する発明[1]によれば、効果的な加熱が可能なカメラモジュールを提供できる。
上記の構成を有する発明[1]によれば、個々の形状記憶合金薄膜アクチュエータの先端部の基板からの高さを変えることで、移動対象物を基板の垂直方向から傾けることができて手振れ補正を具備したカメラモジュールを提供できる。
上記の構成を有する発明[1]によれば、カメラ付き携帯電話の厚みを薄くすることができる。
アクチュエータアレイ基板の模式図である。図1(a)は基板上に形成された1個のバイモルフ型のカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータの断面図である。図1(b)は図1(a)の形状記憶合金薄膜アクチュエータの平面図である。図1(c)はカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータを基板上に並列配置させたアクチュエータアレイ基板を示している。図1(d)はカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータを基板上に環状配置させたアクチュエータアレイ基板を示している。 オートフォーカス駆動機構の組み立て図である。図2(a)はアクチュエータアレイ基板、レンズあるいは撮像素子の支持プレート及びバイアスばね(ばね板)をアライメント用の支柱に通して積み上げた図である。図2(b)はばね板の例を示している。図2(c)はばね板の可動部とレンズあるいは撮像素子のプレートを接合してアライメント用の支柱をなくした構造を示している。図2(d)は支持プレートの上面に突設したスペーサーを設けることによって、フラットな形状のばね板を使用した例を示している。 アクチュエータアレイ基板の様々な利用形態を示す図である。図3(a)は図2(a)のアクチュエータアレイ基板を裏返して用いた形態、図3(b)は基板の両面にアクチュエータアレイを有する形態、図3(c)は複数のアクチュエータアレイ基板を積み重ねた形態、図3(d)は第2のアクチュエータアレイ基板をバイアスばねとして用いた形態を示している。 バイモルフ型アクチュエータの作製例を示す図である。図4(a)は熱酸化によりSiO膜を形成させたSiウエハ基板上に形状記憶合金薄膜を成膜して結晶化熱処理する工程、図4(b)はフォトエッチングによるパターニングを使って形状記憶合金薄膜をエッチングする工程、図4(c)はSiO膜をエッチングする工程、図4(d)はSiウエハ基板を等方性エッチングする工程を示している。 オートフォーカス駆動機構の駆動原理とシミュレーションモデルを示す図である。図5(a)は無負荷の状態のバイモルフ型形状記憶合金薄膜アクチュエータアレイ基板と、移動対象物を支持するプレート及びばね板を積み上げた状態(加熱時)、図5(b)はばね板によってχの初期荷重Fを負荷した状態(加熱時)、図5(c)はレンズの重さなどの一定荷重Fが負荷された状態(加熱時)、図5(d)はバイモルフ型形状記憶合金薄膜アクチュエータがSiウエハ基板上に押さえつけられた状態(室温)を示している。 バイモルフ型形状記憶合金薄膜アクチュエータの形状(アクチュエータの長さと、形状記憶合金薄膜及びSiO膜の厚さ)を変えたオートフォーカス駆動機構のストロークと許容荷重のシミュレーション結果を示している。 (a)6mmφの穴を有する12mm×12mmのアクチュエータアレイ基板を示している。(b)1マス(1.2mm×1.2mm)内に配置された10個のバイモルフ型形状記憶合金薄膜アクチュエータ(幅100μm×長さ1000μm)を示している。
以下に、添付図面の図1〜7を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)、(b)には基板1上に形成されたカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータ2(ここでは形状記憶合金薄膜3とそれよりも熱膨張係数の小さい薄膜4の2層で構成されている)の側面の断面図と平面図を示す。形状記憶合金薄膜アクチュエータ2の形状は通電加熱を行うために図1(b)に示すように概ねU字型をしている。ただし、ヒーターなどによる外部加熱を行う場合はこの形状に拘る必要はない。なお、以下では、形状記憶合金薄膜アクチュエータ2を構成する薄膜のうち、基板1に近い側にある薄膜4を便宜的に「下層」とも称する。
形状記憶合金薄膜アクチュエータ2は、図1(a)に示すように、固定端側(図1(a)における左側)が基板1に固定され、先端側(図1(a)における右側)が基板1から解放されている。また、図1(a)では、形状記憶合金薄膜アクチュエータ2が基板1のなす平面(図1(a)の紙面左右方向の面)に対して反り上がった形状である状態を示している。
なお、図1(a)のように形状記憶合金薄膜アクチュエータ2を基板1から反り上がった形状にする方法としては、例えば、作製時に施される熱処理によって残留する熱ひずみを利用する方法が挙げられる。また、熱処理後の熱ひずみ以外にも形状記憶処理や成膜時の残留応力を利用する方法なども考えられ、この場合は下層の薄膜4を選択する際に熱膨張係数に拘る必要はなくポリイミドなどの樹脂も下層として使え、また、下層を用いないで形状記憶合金薄膜単体としてもよい。すなわち、本発明において、2層膜であることによって得られる熱ひずみは、形状記憶合金薄膜アクチュエータ2に基板1から反り上がった形状を与えるためだけに使用されるのであって、特許文献3と4及び非特許文献2に見られるようなアクチュエータを駆動するためのバイアス力としての利用は想定していない。そのため、バイモルフ(2層)は必須のものではなく、形状記憶合金薄膜3が基板1から反り上がった形状を持っていれば、ユニモルフ(1層)であってもよい。
図1(c)、(d)は、図1(a)、(b)に示したような小型のカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータ2(以下、「カンチレバー型アクチュエータ2」とも称する。)を基板1上に多数配置したアクチュエータアレイ基板(図1(c)は並列配置、図1(d)は環状配置)を示す。図1(c)及び(d)では、同じ大きさで向きの異なるカンチレバー型アクチュエータ2が対をなして形成されているが、必ずしも必須条件ではない。ただし、このような形態は水平方向の移動をお互いに打ち消すことから好ましい。本発明では、図1(c)、(d)のように多数のカンチレバー型アクチュエータ2を基板1の一面に配置することによって、後述するように組み立てを簡単にすることができ、動作の信頼性を向上させることができる。また、個々のカンチレバー型アクチュエータ2を独立して制御することにより、基板1に垂直な方向の動き(オートフォーカス機構)だけでなく垂直方向から傾いた動き(手振れ補正機構)も可能になる。
図2(a)は図1のアクチュエータアレイ基板を使ってオートフォーカス駆動機構を組み立てた図である。図2(a)に示すように基本的にはアクチュエータアレイ基板7、移動対象物(レンズ8または撮像素子など)を支持するプレート9(以下、「プレート9」とも称する。)、ばね板(バイアスばね)10を積み重ねた構造であり、ケース(筐体)12によって当該構造を保持している。アクチュエータ部は基板1の厚さとカンチレバー型アクチュエータ2の変位量の厚さしかなく、厚さ1mm以下の駆動機構を実現できる。アクチュエータアレイ基板7、プレート9、ばね板10のいずれのプレートにもアライメント用の穴(例えば、図1(c)、(d)の符号6で示すような支柱穴)を開けておけば、各プレートを支柱11a、11bに通していくだけで簡単に組み立てることができる。このような組み立ての簡便さは、多数のカンチレバー型アクチュエータ2を使ってプレート9とカンチレバー型アクチュエータ2の接触点を複数設けることによって、プレート9を面状に支えている、すなわち、面接触と同等の効果を得ていることによる。カンチレバーの自由端が可動部品に点で接する特許文献3や4に比べて接点の位置を正確に合わせる必要がない。
このようなアクチュエータアレイ基板の利点を使えば、図2(b)のようなばね板10の内部の可動部14が図2(c)のプレート9と接合されていて、さらにばね板10の固定枠13がケース12に固定されていればレンズ8の移動は垂直方向に限定されるので、図2(c)に示すようにアライメント用の支柱さえも省くことができる。図2の例では、バイアス力を与えるバイアスばねとしてばね板を用いているが、スプリング状のばねを用いてもよい。また、ばね板は図2(a)に示すような下向きに曲がった形状に限定される必要はなく、フラットな形状であってもよい。その場合は、ばね板10をプレート9に対して斜めに取り付けるか、図2(d)に示すようにプレート9とばね板10の間にスペーサー21を設け、プレート9の上面から突設したスペーサー21の上端部がばね板10の下面に接するようにすることによってプレート9を押さえつける力を得ることができる。あるいは、後述するように、バイアスばねとして第2のアクチュエータアレイ基板を用いることもできる。
なお、図2(a)の組み立て図は、本発明のオートフォーカス駆動機構を実現するために最低限必要な構成要素を示したものであり、実際の装置においては、付加的な手振れ補正機構や撮像素子、Cuなどでできた放熱プレート、配線などの要素をケース12、アクチュエータアレイ基板7、プレート9、ばね板10などの間に追加挿入してもよい。基板1の裏側に放熱プレートを挿入することにより、形状記憶合金薄膜アクチュエータ2の冷却速度を早くして、応答速度を上げることができる。また、プレート9の形状記憶合金薄膜(カンチレバー型アクチュエータ2を構成する形状記憶合金薄膜3)と接する面に、摩擦係数を下げるようなコーティングを行ってもよく、また、プレート9が導電体の場合は絶縁膜をコーティングする必要がある。
図3はアクチュエータアレイ基板の様々な応用形態を示したものである。図3(a)は図2(a)のアクチュエータアレイ基板7を裏返して使用した例であり、この場合は、アクチュエータアレイ基板7にレンズ8を固定することも可能である。図3(b)は基板1の両面にカンチレバー型アクチュエータ2a、2bのアレイを作製した例であり、これによってレンズ8あるいは撮像素子の変位量を2倍にすることができる。図3(c)は複数のアクチュエータアレイ基板7a、7b、7cを重ねて、変位量を増やした例である。図3(d)は図2(a)のばね板(バイアスばね)10の代わりに、第2のアクチュエータアレイ基板7bをバイアスばねとして用いた例である。この場合、アクチュエータアレイ基板7bを構成するカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータ2bに通電する電流を制御してバイアスばね7bのばね定数を室温で低ヤング率、高温で高ヤング率に設定することにより、ばね定数一定のバイアスばねを使った場合に比べてオートフォーカス駆動機構のストロークを増加させることができる。
図4に示すように、図1に示したような形状記憶合金薄膜アクチュエータ2のアレイは、例えば、半導体プロセスで作製可能である。図4では、バイモルフ型アクチュエータの下層膜としてSiO膜15aを使用しているが、同様なプロセスによってSiN膜などを作製して下層膜に用いることもできる。図4(a)ではSiウエハ基板16上に熱酸化によってSiO膜15a及び15bを形成させる。SiO膜15aの厚さは酸化時間等の酸化条件を選ぶことで変えることができる。なお、SiO膜はCVD法などの他の方法によって作られてもよい。熱酸化によりSiO膜を形成させたSiウエハ基板16上にスパッタリング法によって形状記憶合金薄膜3を成膜する。形状記憶合金薄膜3の厚さは成膜時間などのスパッタ条件によって変えることができる。成膜後の薄膜はアモルファスなので、例えば500℃以上で熱処理を行うことによって薄膜を結晶化させる。熱処理後に残る熱ひずみは、形状記憶合金薄膜アクチュエータ2(形状記憶合金薄膜3とSiO膜15a)をSiウエハ基板16から反り上がった形状に変える重要な役割を果たす(図4(d))を参照)。
形状記憶合金薄膜としては、Ti−Ni、Ti−Ni−Cu、Ti−Ni−Pd、Ti−Ni−Hf、Ti−Ni−Zr、Cu−Al−Ni合金などの形状記憶効果を示す合金の薄膜ならなんでもよいが、50原子%以上で55原子%以下のTiと5原子%以上で10原子%以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜、50原子%以上で55原子%以下のTiと10原子%を超えて20原子%以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜、あるいは45原子%以上で50原子%未満のTiと原子%で10+1.6×(50−Tiの原子%)を超えて20+1.6×(50−Tiの原子%)以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜を用いるのがよい。
このような組成の合金薄膜によれば、Ti−Ni合金よりも変態温度が高くて温度ヒステリシスが小さく、発生力が大きくて応答性に優れた形状記憶合金薄膜を使ったアクチュエータアレイを作製することができる。
好ましくは、50原子%以上で55原子%以下のTiと10原子%を超えて20原子%以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜あるいは45原子%以上で50原子%未満のTiと原子%で10+1.6×(50−Tiの原子%)を超えて20+1.6×(50−Tiの原子%)以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜を用いるのがよい。
このような組成の合金薄膜によれば、Ti−Ni−Cu合金ワイヤよりも格段に発生力が大きく、特性の組成依存性が小さくて組成制御が難しいスパッタリングにおいても安定した特性(大きい力、高い応答性、高い変態温度)を示す形状記憶合金薄膜を使ったアクチュエータアレイを安価で大量に製造することができる。
より好ましくは、50原子%以上で55原子%以下のTiと10原子%を超えて20原子%以下のCuを含むTi−Ni−Cu形状記憶合金薄膜を用いることによって、変態温度がより高くて信頼性に優れた形状記憶合金薄膜を使ったアクチュエータアレイ(非特許文献3)を作製することができる。
図4(b)では形状記憶合金薄膜3の上にネガレジストをスピンコートしてフォトエッチングによるパターニングを行う。レジストをマスクにして、形状記憶合金薄膜3の必要としない部分を、希釈したHF/HNOでエッチング除去するか、硫酸/メタノール混合液などによって電解エッチングする。
次に、図4(c)で、下地のSiO膜15aをバッファードフッ酸によってエッチングする。
図4(d)で、さらに、SiO膜15aの下のSiウエハ基板16を、XeFガスを使って等方性エッチングすることにより、形状記憶合金薄膜3とSiO膜15aからなる2層膜(形状記憶合金薄膜アクチュエータ2)をSiウエハ基板16から解放する。この際に2層膜がSiウエハ基板16から反り上がった形状を得るためには、形状記憶合金薄膜の下層に形状記憶合金薄膜より熱膨張係数の小さい材料、例えばSiOを用いることが必須である。熱膨張係数が大きい材料を用いた場合は、2層膜が基板側に湾曲してしまうためにアクチュエータとして使えない。
なお、図4に示す半導体プロセスは形状記憶合金薄膜アクチュエータ2のアレイの作製法の一例であり、図1(a)、(b)に示すような形状記憶合金薄膜アクチュエータの構成や、図1(c)、(d)に示すようなアクチュエータアレイ基板の構造を実現できれば、図4の工程に沿う必要はなく、Siを使った半導体プロセスに拘る必要もない。例えば、アクチュエータアレイ基板の基板として金属や樹脂あるいはガラスの基板を用いることによって、オートフォーカス駆動機構の製造コストを低減することができる。
図5に本発明によるオートフォーカス駆動機構の駆動原理と設計に用いたシミュレーションモデルを示す。図5(a)は、高温加熱時(Ti−Ni−Cu形状記憶合金薄膜18がオーステナイト相の状態)において、ケース(筐体)底面20にアクチュエータアレイ基板(基板1と形状記憶合金薄膜アクチュエータ2で構成される)と移動対象物を支持するプレート9(以下、「プレート9」とも称する。)及びばね板10を積み上げた状態を示す。E及びEはばね定数、δは形状記憶合金薄膜アクチュエータ2の基板1の面からの高さである。図5(b)は、形状記憶合金薄膜アクチュエータ2にばね板10からFの力を与えた時の状態を示す。χは、ばね板10の垂直方向の収縮量(ケース上蓋19の変位量)、δは形状記憶合金薄膜アクチュエータ2の垂直方向の収縮量(ケース底面20の変位量)である。
図5(c)は、さらに形状記憶合金薄膜アクチュエータ2に外部から力F(例えばレンズの重さなど)が負荷された時の状態を示す。δは外力Fによって形状記憶合金薄膜アクチュエータ2が垂直方向に収縮した量であり、δは形状記憶合金薄膜アクチュエータ2の基板1からの高さ(すなわち、δ=δ−δ−δ)である。δは高温時(δ)と低温時(δ)で異なり、この差がプレート9のストロークになる。ばね板10から働く力Fが小さい場合は、δ>δとなり、Ti−Ni−Cu形状記憶合金薄膜18がプレート9を低温時に支えることになり、加熱時の逆変態による形状回復力をプレート9の移動に使うことができない。しかし、ばね板10の力Fを大きくすることによってδ<δにすることができて加熱時の形状回復力を利用してプレート9を持ち上げることができるようになる。さらに適切なFの値を選ぶことによって、δ<0<δに設定することができる。この場合、図5(d)のように、プレート9の移動は、Ti−Ni−Cu形状記憶合金薄膜18のマルテンサイト変態の途中で基板1によって止められる。変態終了温度の手前の高い温度でプレート9の移動が停止するために作動温度をTi−Ni−Cu形状記憶合金薄膜18のマルテンサイト変態終了温度(60℃)よりも高い70℃以上に設定することができ、駆動機構の信頼性を上げることができる。同時に、基板1は不要な変形を阻止してTi−Ni−Cu形状記憶合金薄膜18への塑性変形の導入を防ぐ効果も有する。すなわち、駆動機構ユニットの中に別途ストッパを作りこまなくても、基板1でその機能を代用できる。
図5のモデルを使ってシミュレーションを行った結果を図6に示す。アレイを構成するカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータの形状(アクチュエータの長さと、形状記憶合金薄膜及びSiO膜の厚さ)を変えることで、100〜600μmのストロークと14gfを超える荷重を許容できるオートフォーカス駆動機構が作製できる。また、多くの場合、δ<0<δとなって、形状記憶合金薄膜のマルテンサイト変態の一部を使うことにより、作動温度の上昇を見込むことができる。表中6番と7番の比較ではアクチュエータ形状とレンズによる荷重は同じであるが、バイアスばねをほとんど使わない(ばね板による荷重が0.12gfである)6番の例では、δ>δとなって形状記憶合金薄膜の加熱時に発生する大きい形状回復力を利用できず、ストローク(δ−δの絶対値)は21μmに留まる。一方、バイアスばねによる荷重を増やした(ばね板による荷重が2.09gfである)7番の例では、δ<δと変位が逆転し、300μmのストローク(δの値が負の値であるため、δの値の全量)が得られる。すなわち、形状記憶合金薄膜の形状回復力を利用する(形状記憶合金薄膜アクチュエータが加熱時のオーステナイト相で反り上がった形状となり、冷却時のマルテンサイト相で平坦な形状になる)ためには、できるだけ大きい荷重で使う必要があり、レンズによる荷重が小さい場合には、バイアスばねで荷重を補うことが必要である。8番の例は特許文献3に記載されているように可動部品の対向する2辺に沿って延びるように設置した2本の長いバイモルフ型アクチュエータでレンズを支えた場合であるが、δ(−135582μm)とδ(300μm)の比較からレンズ(移動対象物)の駆動に使える形状記憶合金薄膜のマルテンサイト変態はごくわずかであり、300μmのストロークは得られるものの、利用できる荷重は0.02gfと非常に小さいことがわかる。
図7は図6のシミュレーションを行う際に使用した、アクチュエータアレイ基板7の構成図である。図7(a)に示すように12mm×12mmの基板に6mmφのレンズのための開口窓5を開けると想定すると、1マスを1.2mm×1.2mmとして合計64マスに、アクチュエータのアレイを配置することができる。つまり、図5に示すバイモルフ型形状記憶合金薄膜アクチュエータ2が幅100μm、長さ1000μmの場合、図7(b)に示すように1マス(1.2mm×1.2mm)あたり10本配置できるので、64マスの合計で10×64=640本、作製できる。なお、移動対象物が撮像素子の場合は、中央に穴をあける必要がないので、その場合はアクチュエータを1000本搭載することができ、図6に示した許容できる荷重はそれぞれ約1.56倍になる。
なお、上記の実施形態においては、オートフォーカス駆動機構として種々の構成例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者として、適宜の設計変更を行いうることは言うまでもない。
本発明のオートフォーカス駆動機構によれば、基板に垂直な方向にレンズの位置を変えることができる(オートフォーカス機能)。さらに個々のアクチュエータを独立して動かせば、垂直方向から傾ける(手振れ補正機構)こともできる。
1、1a、1b、1c 基板
2、2a、2b、2c カンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータ
3 形状記憶合金薄膜(上層)
4 薄膜(下層)
5 レンズ用開口窓
6 アライメント用の支柱穴
7、7a、7b、7c アクチュエータアレイ基板
8 レンズ(移動対象物)
9 移動対象物を支持するプレート
10 ばね板
11a、11b アライメント用の支柱
12 ケース(筐体)
13 ばね板固定枠
14 ばね板可動部
15a、15b SiO
16 Siウエハ基板
17 SiO
18 Ti−Ni−Cu形状記憶合金薄膜
19 ケース(筐体)上蓋
20 ケース(筐体)底面
21 スペーサー

Claims (17)

  1. 固定端側が基板に固定され、先端側が基板から解放されて反り上がった複数の形状記憶合金薄膜が前記基板上で面状に並べられてアクチュエータアレイを構成しているアクチュエータアレイ基板と、
    移動対象物を支持するプレートと、
    前記複数の形状記憶合金薄膜が、オーステナイト相で前記基板のなす平面に対して反り上がった形状となり、マルテンサイト相で前記基板のなす平面に対して大略平坦となるようなバイアス力を与えるバイアスばねを備え、
    前記アクチュエータアレイ基板、前記プレート、および前記バイアスばねが積層された構造を保持する筐体を備え、
    室温時に前記対象物を支持するプレートの移動が前記アクチュエータアレイ基板の基板によって停止することによって、形状記憶合金薄膜の変態ひずみを越えた余分な塑性変形を防ぐことを特徴とするオートフォーカス駆動機構。
  2. 前記対象物を支持するプレートの移動が前記形状記憶合金薄膜のマルテンサイト変態終了温度よりも高い温度で前記アクチュエータアレイ基板の基板によって停止することを特徴とする請求項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  3. 前記形状記憶合金薄膜が当該形状記憶合金薄膜の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する下層の薄膜と積層され、熱処理後の熱ひずみによって、当該形状記憶合金薄膜がオーステナイト相で前記基板に対して反り上がった形状とされると共に、
    前記形状記憶合金薄膜の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する下層の薄膜は、SiO 薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオートフォーカス駆動機構。
  4. 前記移動対象物を支持するプレートの上面にスペーサーが突設されており、当該スペーサーの上端部が前記バイアスばねの下面に接するように構成されたことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  5. 前記バイアスばねが、前記アクチュエータアレイ基板と同様の構成を有する第2のアクチュエータアレイ基板であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  6. 前記基板は、Siウエハ基板であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  7. 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、
    50原子%以上で55原子%以下のTi、
    10原子%を超えて20原子%以下のCu、
    残部をNiおよび不可避的不純物とする、
    Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  8. 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、
    45原子%以上で50原子%未満のTi、
    原子%で10+1.6×(50−Tiの原子%)を超えて20+1.6×(50−Tiの原子%)以下のCu、
    残部をNiおよび不可避的不純物とする、
    Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  9. 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、
    50原子%以上で55原子%以下のTi、
    5原子%以上で10原子%以下のCu、
    残部をNiおよび不可避的不純物とする、
    Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  10. 前記移動対象物は、レンズ又は撮像素子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  11. 前記移動対象物はレンズであり、前記基板は光路確保のための開口窓を有し、
    前記アクチュエータアレイ基板における複数の形状記憶合金薄膜の配置は、前記開口窓を囲うように、前記基板に大略均一な密度で配置されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のオートフォーカス駆動機構を有し、前記形状記憶合金薄膜を加熱する加熱手段によって、当該形状記憶合金薄膜のオーステナイト相とマルテンサイト相の組織割合が調整されてオートフォーカスを行う機能を具備するように構成したことを特徴とするカメラモジュール。
  13. オートフォーカス制御回路からの駆動電流を前記複数の形状記憶合金薄膜に通電することにより、前記複数の形状記憶合金薄膜の電気抵抗を制御して、オートフォーカスを行う機能を具備するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
  14. 前記形状記憶合金薄膜は、固定端側の一端から先端側を経由して前記固定端側の他端に通電するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
  15. 前記加熱手段は、前記形状記憶合金薄膜の周囲に形成された電熱導体であることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
  16. 駆動電流を前記複数の形状記憶合金薄膜の個々の形状記憶合金薄膜に独立して通電することにより、手振れ補正機能を具備するように構成したことを特徴とする請求項1〜1のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
  17. 請求項1〜1のいずれか一項に記載のカメラモジュールを搭載したことを特徴とするカメラ付き携帯電話。
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