JPH0990249A - 光偏向子及びその製造方法 - Google Patents

光偏向子及びその製造方法

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JPH0990249A
JPH0990249A JP24599695A JP24599695A JPH0990249A JP H0990249 A JPH0990249 A JP H0990249A JP 24599695 A JP24599695 A JP 24599695A JP 24599695 A JP24599695 A JP 24599695A JP H0990249 A JPH0990249 A JP H0990249A
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shape memory
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JP24599695A
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Shigehiro Wakazono
繁博 若園
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な構成で且つ部品点数の少ないコンパクト
な光偏向子及びその製造方法を提供する。 【解決手段】Al膜で形成された反射ミラー52が設け
られた板状部材50と、この板状部材を振動且つ偏向自
在に支持する支持手段と、この支持手段に支持された板
状部材を振動且つ偏向させる駆動手段とを備えており、
駆動手段には、所定のTiNi形状記憶合金薄膜と、こ
のTiNi形状記憶合金薄膜の動作を補助するためのバ
イアスバネ手段とが設けられている。支持手段には、板
状部材を振動且つ偏向自在に支持する一対のトーション
バー60が設けられている。バイアスバネ手段には、片
持ち梁66と、この片持ち梁の延出端に突設し且つ板状
部材の裏面に接触可能な突起部68とが設けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子写真式
複写機やレーザビームプリンタ画像形成装置又はバーコ
ード読取装置等の光学機器に用いられる形状記憶合金駆
動型の光偏向子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の光偏向子としては、例え
ば特開平6−175060号公報に開示されたねじり振
動子を用いた光偏向子が知られている(第1の従来技
術)。図6に示すように、第1の従来技術の光偏向子
は、磁性体で形成された2自由度振動子と、この2自由
度振動子を駆動制御するように、一対の第1コイル2及
び一対の第2コイル4が設けられた基板6とを備えてい
る。
【0003】2自由度振動子は、基板6に振動自在に支
持された第2ねじり振動子と、この第2ねじり振動子に
よって振動自在に支持された第1ねじり振動子とを備え
ている。第2ねじり振動子には、基板6に固定された固
定部8と、第1ねじり振動子を振動自在に支持する外枠
部10と、この外枠部10を固定部8に対して振動自在
に支持する一対の第2ねじりばね12とが設けられてい
る。また、第1ねじり振動子には、一対の第1ねじりば
ね14と、これら第1ねじりばね14によって外枠部1
0に振動自在に支持されている板状部材16とが設けら
れている。
【0004】このような構成において、第1コイル2に
電流を流して磁束を発生させることによって、第1ねじ
り振動子を構成する外枠部10には吸引力が働く。一
方、第1及び第2コイル2,4に交互に通電することに
よって、第1及び第2ねじり振動子は、夫々対応する第
2及び第1ねじりばね12,14を中心に回転振動する
ことになる。
【0005】第1及び第2ねじり振動子を回転振動させ
る方法としては、第2ねじり振動子の共振周波数を第1
ねじり振動子の共振周波数よりもかなり高く設定した状
態において、第1ねじり振動子の共振周波数付近の周波
数の電流を第1及び第2コイル2,4に交互に通電す
る。この場合、第2ねじり振動子の振幅が小さく抑えら
れ、且つ、第1ねじり振動子の振幅が大きくなる。具体
的には、例えば第1ねじり振動子の共振周波数に基づい
て第2ねじり振動子を駆動させた場合、第1ねじり振動
子の振幅X1と第2ねじり振動子の振幅X2は、夫々、 |X1|=0 …(1) |X2|=F/|k| …(2) となる。但し、Fは駆動力、kはねじり振動子のばね定
数である。
【0006】このように第1の従来技術によれば、第2
ねじり振動子と一対の第1及び第2コイル2,4との間
の距離を小さくすることができるため、小さな電流でも
効率良く振動子を駆動させることが可能となる。
【0007】また、図7に示すような光偏向子も提案さ
れている(第2の従来技術)。図7に示すように、第2
の従来技術の光偏向子には、第1の従来技術に適用され
た2自由度振動子が基板6上に配置されている。但し、
基板6には、第1の従来技術に適用された第1及び第2
コイル2,4の代わりに、第1及び第2の固定電極1
8,20が設けられている。
【0008】このような構成によれば、2自由度振動子
を接地した状態において、第1及び第2の固定電極1
8,20に交互に電圧を印加して静電力を発生させるこ
とによって、2自由度振動子が回転振動することにな
る。但し、この方法では、2自由度振動子に大きな力が
かかったとき、第1ねじり振動子を構成する外枠部10
が第1及び第2の固定電極18,20に接触して吸引固
定され、動作不能になってしまう場合がある。
【0009】そこで、このような問題を解消するため
に、図8に示すような光偏向子が提案されている(第3
の従来技術)。この光偏向子は、2自由度振動子の外枠
部10に対向配置された第1及び第2の固定電極対2
2,24及び26,28を備えており、これら第1及び
第2の固定電極対22,24及び26,28に交互に電
圧を印加して静電力を発生させることによって、2自由
度振動子を回転振動させるように構成されている。な
お、第1及び第2の固定電極対22,24及び26,2
8の対向する電極相互には逆位相の電圧が印加される。
【0010】また、例えば特開昭61−138229号
公報には、形状記憶合金を利用した光偏向子が開示され
ている(第4の従来技術)。図9に示すように、第4の
従来技術の光偏向子によれば、光源30から発光したレ
ーザー光は、ミラー32によって所望方向へ反射された
後、スクリーン34へ投射される。ミラー32は、第1
のニクロム線36を介して加熱することによって図中上
方へ屈曲可能な第1の形状記憶合金部材38に取り付け
られており、この第1の形状記憶合金部材38は、第2
のニクロム線40を介して加熱することによって図中横
方向へ屈曲可能な第2の形状記憶合金部材42に取り付
けられている。なお、第1及び第2の形状記憶合金部材
38,42は、断熱材44を介して連結されており、相
互に温度の影響を受けないように構成されている。
【0011】このような構成によれば、第1及び第2の
形状記憶合金部材38,42を屈曲させてミラー32の
鏡面角度を変化させることによって、ミラー32からス
クリーン34上へ投射された反射光は、スクリーン34
上を所定方向へ移動することになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
従来技術の光偏向子は、複数のコイル2,4と第1及び
第2ねじり振動子とを組み合わせて構成している関係
上、構成が複雑化すると共に部品点数が増大する。更
に、第1の従来技術では、各構成が立体的に組み立てら
れていると共に、導線を巻き上げて複数のコイル2,4
が構成されている。このため、複数のコイル自体の小型
化に限界があり、光偏向子全体を小型化することが困難
になる。
【0013】また、第2の従来技術の光偏向子は、上述
したように外枠部10が第1及び第2の固定電極18,
20に吸引固定されてしまう場合がある。また、第3の
従来技術の光偏向子では、固定電極22,26を支持す
る基板46に加えて固定電極26,28を支持するため
の部材48が別途必要となり、構造が複雑化すると共に
部品点数が増大する。
【0014】また、第4の従来技術の光偏向子は、第1
及び第2の形状記憶合金部材38,42を加熱するため
の第1及び第2のニクロム線36,40等が別途必要と
なるため、小型化には限界がある。
【0015】本発明は、このような課題を解決するため
になされており、その目的は、簡単な構成で且つ部品点
数の少ないコンパクトな光偏向子及びその製造方法を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の光偏向子は、反射手段が設けられた
板状部材と、この板状部材を振動且つ偏向自在に支持す
る支持手段と、この支持手段に支持された前記板状部材
を振動且つ偏向させる駆動手段とを備えており、前記駆
動手段には、所定の形状記憶合金と、この形状記憶合金
の動作を補助するためのバイアスバネ手段とが設けられ
ている。
【0017】また、本発明の光偏向子の製造方法は、第
1の部材に対して、板状部材及びこの板状部材を振動且
つ偏向自在に支持する支持手段を一体的に形成する第1
の工程と、前記支持手段に支持された前記板状部材を振
動且つ偏向させるように、前記第1の部材に対して所定
の形状記憶合金を一体的に配設する第2の工程と、第2
の部材に対して、前記形状記憶合金の動作を補助するた
めのバイアスバネ手段を一体的に形成する第3の工程
と、前記第1及び第2の工程を介して所定の構成が形成
された前記第1の部材及び前記第3の工程により形成さ
れた前記第2の部材を相互に接合する第4の工程とを有
している。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
に係る光偏向子について、図1を参照して説明する。図
1(a)に示すように、本実施の形態の光偏向子は、反
射手段が設けられた板状部材50と、この板状部材50
を振動且つ偏向自在に支持する支持手段と、この支持手
段に支持された板状部材50を振動且つ偏向させる駆動
手段とを備えており、駆動手段には、形状記憶合金と、
この形状記憶合金の動作を補助するためのバイアスバネ
手段とが設けられている。なお、本実施の形態の説明に
際し、板状部材50のうち、反射手段が設けられている
面を表面と称し、その反対側を裏面と称する。
【0019】反射手段は、本実施の形態において、アル
ミニウム膜(Al膜)で形成された反射ミラー52が該
当する。Si基板製の第1の部材56は、後述するSi
基板製の第2の部材54と一体接合可能に構成されてお
り、この第1の部材56には、中抜きエッチング加工さ
れた第1の外枠58と、この第1の外枠58の中抜き領
域58a内に板状部材50が振動且つ偏向自在に位置決
め支持されるように、板状部材50の両側端を第1の外
枠58に連結する一対の弾性屈曲部材即ち一対のトーシ
ョンバー60とが設けられている。この結果、板状部材
50は、一対のトーションバー60がねじれることによ
って、これらトーションバー60を結ぶ軸線を中心に所
定方向へ回転可能に構成される。従って、板状部材50
の支持手段は、一対のトーションバー60と第1の外枠
58とが該当する。
【0020】形状記憶合金は、本実施の形態において、
TiNi製の形状記憶合金薄膜(以下、TiNi形状記
憶合金薄膜という)によって構成されており、このTi
Ni形状記憶合金薄膜は、板状部材50の表面に接合さ
れた第1の接合部62aと、第1の外枠58に接合され
た第2の接合部62bと、第1及び第2の接合部62
a,62bを連結するように、板状部材50の回転中心
軸(即ち、一対のトーションバー60を結ぶ軸線)に直
交する方向に延出した一対のブリッジ部62cとを備え
ている。なお、第2の接合部62bは、後述するように
TiNi形状記憶合金薄膜に通電するための電極を兼ね
ており、また、一対のブリッジ部62cの電気的抵抗が
高くなるように、一対のブリッジ部62cの膜幅は、第
1及び第2の接合部62a,62bの膜幅よりも充分に
小さく構成されている。
【0021】バイアスバネ手段は、上記第1の部材56
と同様に中抜きエッチング加工された第2の外枠64を
備えた第2の部材54に一体的に構成されており、具体
的には、バイアスバネ手段は、第2の外枠64から中抜
き領域64a内に所定長さだけ延出した片持ち梁66
と、この片持ち梁66の延出端に突設し且つ板状部材5
0の裏面に接触可能な突起部68とから構成されてい
る。本実施の形態において、片持ち梁66に突設された
突起部68は、一対のトーションバー60を結ぶ軸線上
以外の領域であって且つこの軸線に直交する線上領域に
対応した板状部材50の裏面に接触可能に構成されてい
る。
【0022】ところで、一般的な形状記憶合金におい
て、低温時のマルテンサイト相では、その形状が自由に
変形し、一方、高温時のオーステナイト相では、予め熱
処理によって記憶された初期形状へ回復する。この場
合、オーステナイト相時の形状に対するマルテンサイト
相時の形状変化に起因した歪みが5%程度であれば、形
状記憶合金は、そのオーステナイト相への変態時におい
て、完全に初期形状へ回復する。しかし、5%程度以上
の大きな歪みを与えた場合には、残留歪みが発生するた
め、完全に初期形状へ回復することは困難になる。この
ため、形状記憶合金をアクチュエータとして用いる場合
は、その歪みが5%程度以内に収まるように設計する必
要がある。
【0023】そこで、本実施の形態では、形状記憶合金
としてTiNi形状記憶合金薄膜を適用したが、このT
iNi形状記憶合金薄膜は、室温でマルテンサイト相と
なり、80℃でオーステナイト相をとなるように構成さ
れている。また、このTiNi形状記憶合金薄膜は、オ
ーステナイト相において、どの部分も折れ曲がることな
く、完全にフラットな状態となるように形状記憶されて
いる。従って、室温時では、その形状が自由に変形し、
一方、高温時では、その形状が完全にフラットな状態へ
形状回復する。このようなTiNi形状記憶合金薄膜
は、一般的に、その組成比がTi−richになるにつ
れてマルテンサイト変態開始温度(Ms点)が上昇する
傾向にあるが、図1(d)に示すように、室温以上のM
s点を実現できる組成比、具体的には、Ti−46〜5
2原子%Ni(Ti−46〜52at%Ni)の範囲で
あればよい。
【0024】このような構成によれば、図1(b)に示
すように、TiNi形状記憶合金薄膜に通電されていな
い状態において、板状部材50は、片持ち梁66の応力
を緩和する方向へ押し上げられた状態に維持される。具
体的には、板状部材50は、片持ち梁66の弾性によっ
て一対のトーションバー60を結ぶ軸線を中心に回転
し、水平軸Hに対して角度θの回転状態に維持される。
この場合、第1の外枠58(図1(a)参照)に接合さ
れた第2の接合部62bから延出した一対のブリッジ部
62cは、第1の接合部62aを介して板状部材50に
接合されているため、板状部材50が上記のように回転
したことによって、所定量だけ伸長された状態に維持さ
れる。
【0025】次に、上述したような構成を有する本実施
の形態の光偏向子の製造方法について、図1(a)〜
(c)を参照して説明する。まず、第1の部材56に設
けられる各構成の製造プロセスについて説明する。
【0026】両面が研磨された厚さ300μmのSi基
板を用意した後、このSi基板上に厚さ20μmのTi
Ni形状記憶合金薄膜を成膜する。なお、TiNi形状
記憶合金薄膜のTiとNiの組成比は、Ti−48.0
原子%Ni(Ti−48.0at%Ni)とする。但
し、上述した通り、この組成比は、Ti−46〜52原
子%Ni(Ti−46〜52at%Ni)の範囲であれ
ば特にTi−48.0atNiである必要はない。
【0027】次に、TiNi形状記憶合金薄膜が図1
(a)に示された形状になるように、不必要なTiNi
形状記憶合金薄膜を弗硝酸で除去する。この後、板状部
材50が形成されるべきSi基板の表面に、反射ミラー
52を構成するためのAl膜を蒸着し、このAl膜を所
望形状にエッチングする。
【0028】続いて、TiNi形状記憶合金薄膜が成膜
された面に対して、Si基板の裏面側からKOHによっ
てSi基板の不必要な領域をエッチアウトする。最後
に、TiNi形状記憶合金薄膜を結晶化するため、50
0℃で1時間の熱処理を行う。この処理が施されること
によって、TiNi形状記憶合金薄膜は、フラットな形
状を記憶する。
【0029】次に、第2の部材54に設けられる各構成
の製造プロセスについて説明する。厚さ300μmのS
i基板を用意した後、このSi基板上の突起部68を形
成すべき領域に銅(Cu)のSeed−Layer(種
結晶)を形成する。
【0030】続いて、Cuの電解メッキで角柱を生成し
て突起部68を形成した後、KOH等によってSi基板
の不必要な領域をエッチアウトする。このようなプロセ
スによって、第1及び第2の部材56,54を製造した
後、これら第1及び第2の部材56,54を陽極接合法
によって相互に接合する。この結果、図1(a)に示す
ような光偏向子が製造されることになる。
【0031】次に、本実施の形態の動作について図1
(a)〜(c)を参照して説明する。TiNi形状記憶
合金薄膜に通電していない状態において、板状部材50
の裏面には、片持ち梁66に突設された突起部68が接
触している。このとき、板状部材50は、片持ち梁66
の弾性によって一対のトーションバー60を結ぶ軸線を
中心に回転し、水平軸Hに対して角度θの回転状態に維
持されている。この場合、板状部材50の回転状態に対
応してTiNi形状記憶合金薄膜の一対のブリッジ部6
2cは、所定量だけ伸長しているが、室温状態では、自
由に歪むマルテンサイト相となっているため負荷無く伸
長している(図1(b)参照)。
【0032】このような状態において、電極を兼ねた第
2の接合部62bを介してTiNi形状記憶合金薄膜に
通電すると、電気抵抗が高い一対のブリッジ部62cの
みが局所的に加熱される。このとき、一対のブリッジ部
62cは、オーステナイト相へ変態して、予め記憶され
た完全なフラット形状へ回復する。この結果、板状部材
50は、第1の外枠58と平行になるように、一対のト
ーションバー60を回転中心として回動する(図1
(c)参照)。
【0033】ここで、TiNi形状記憶合金薄膜にパル
ス的に通電しながら一対のブリッジ部62cを加熱する
と、板状部材50は、同図(b)と同図(c)の状態に
交互に位置付けられ、角度θの範囲で回転振動する。従
って、レーザー光線Lを反射ミラー52に照射しながら
板状部材50を回転振動させると、反射角2θの範囲で
反射ミラー52からレーザー光線が反射される。この結
果、本実施の形態の光偏向子は、スキャナーとしての機
能を奏することが可能となる。
【0034】このように本実施の形態によれば、反射ミ
ラー52が形成された板状部材50を振動且つ偏向させ
るためのアクチュエータとしてTiNi形状記憶合金薄
膜を用いたことによって、全体構成を一体的に且つ2次
元的に構成することができるため、簡単な構成で且つ部
品点数の少ないコンパクトな光偏向子を提供することが
可能となる。
【0035】次に、本発明の第2の実施の形態に係る光
偏向子について、図2を参照して説明する。なお、本実
施の形態の説明に際し、第1の実施の形態(図1参照)
と同一の構成には、同一符号を付して、その説明を省略
する。
【0036】上記第1の実施の形態(図1参照)では、
板状部材50の表面にAl膜を蒸着することによって反
射ミラー52を形成したが、本実施の形態では、図2に
示すように、板状部材50の表面全体に成膜したTiN
i形状記憶合金薄膜によって反射ミラーが構成される。
従って、本実施の形態の説明に際し、板状部材50の表
面全体に成膜されたTiNi形状記憶合金薄膜のうち、
反射ミラーに相当する部分を反射ミラー部62dとして
表示する。この場合、この反射ミラー部62dは、第1
の接合部62aと一体的に成膜されていることになる。
なお、他の構成及び動作は、第1の実施の形態と同一で
あるため、その説明は省略する。
【0037】本実施の形態の製造方法は、第1の実施の
形態で説明した製造方法の中で、TiNi形状記憶合金
薄膜の成膜範囲を板状部材50の表面全体に広げる代り
に、Al膜の蒸着プロセスを削除すればよい。なお、こ
れ以外の製造プロセスは、第1の実施の形態と同一であ
るため、その説明は省略する。
【0038】このように本実施の形態によれば、第1の
実施の形態と比較して製造プロセスを簡略化させること
が可能となる。また、TiNi形状記憶合金薄膜に通電
した際に、板状部材50に成膜されているTiNi形状
記憶合金薄膜の電気抵抗を小さくすることができるた
め、低電圧で第1の実施の形態と同様の動作を実現する
ことが可能となる。この場合、板状部材50上の発生熱
量を抑えることができるため、反射ミラー部62dの熱
的歪みを防ぐことが可能となる。なお、他の効果は、第
1の実施の形態と同一であるため、その説明は省略す
る。
【0039】次に、本発明の第3の実施の形態に係る光
偏向子について、図3を参照して説明する。なお、本実
施の形態の説明に際し、第1の実施の形態(図1参照)
と同一の構成には、同一符号を付して、その説明を省略
する。
【0040】上記第2の実施の形態(図2参照)では、
板状部材50の表面全体に成膜したTiNi形状記憶合
金薄膜の一部を反射ミラー部62dとして用いたが、本
実施の形態では、図3に示すように、板状部材50の表
面全体にTiNi形状記憶合金薄膜を成膜して第1の接
合部62aを形成し、この第1の接合部62a上に更に
Al膜を蒸着して反射ミラー52aが形成されている。
なお、他の構成及び動作は、第1及び第2の実施の形態
と同一であるため、その説明は省略する。
【0041】本実施の形態の製造方法は、Al膜を板状
部材50の表面全体に蒸着する点が第1の実施の形態で
説明した製造方法とは異なる点であり、これ以外の製造
プロセスは、第1及び第2の実施の形態と同一であるた
め、その説明は省略する。
【0042】このように本実施の形態によれば、第1及
び第2の実施の形態に比べて更に反射率の高い反射ミラ
ー52aを形成することが可能となると共に、板状部材
50上の電気抵抗を更に下げることができるため、低電
圧で第1及び第2の実施の形態と同様の動作を実現する
ことが可能となる。この場合、板状部材50上の発生熱
量を抑えることができるため、反射ミラー52aの熱的
歪みを防ぐことが可能となる。なお、他の効果は、第1
及び第2の実施の形態と同一であるため、その説明は省
略する。
【0043】次に、本発明の第4の実施の形態に係る光
偏向子について、図4を参照して説明する。なお、本実
施の形態は、第2の実施の形態(図2参照)の変形例で
あるため、本実施の形態の説明に際し、第2の実施の形
態と同一の構成には、同一符号を付して、その説明を省
略する。
【0044】図4(a)に示すように、本実施の形態の
光偏向子は、TiNi形状記憶合金薄膜の一対のブリッ
ジ部62cが一対のトーションバー60を結ぶ軸線と平
行に且つ一対のトーションバー60に近接して設けられ
ている点に特徴を有しており、他の構成は、上記第2の
実施の形態と同一であるため、その説明は省略する。
【0045】本実施の形態の製造方法は、TiNi形状
記憶合金薄膜の一対のブリッジ部62cを一対のトーシ
ョンバー60を結ぶ軸線と平行に形成する点を除いて、
第2実施の形態と同様である。
【0046】次に、本実施の形態の動作について図4
(a)〜(c)を参照して説明する。TiNi形状記憶
合金薄膜に通電していない状態において、板状部材50
の裏面には、片持ち梁66に突設された突起部68が接
触している。このとき、板状部材50は、片持ち梁66
の弾性によって一対のトーションバー60を結ぶ軸線を
中心に回転し、水平軸Hに対して角度θの回転状態に維
持されている。この場合、板状部材50の回転状態に対
応してTiNi形状記憶合金薄膜の一対のブリッジ部6
2cは、所定量だけ伸長しているが、室温状態では、自
由に歪むマルテンサイト相となっているため負荷無く伸
長している(図4(b)参照)。
【0047】このような状態において、電極を兼ねた第
2の接合部62bを介してTiNi形状記憶合金薄膜に
通電すると、電気抵抗が高い一対のブリッジ部62cの
みが局所的に加熱される。このとき、一対のブリッジ部
62cは、オーステナイト相へ変態して縮むため、予め
記憶された完全なフラット形状へ変化する。この結果、
板状部材50は、第1の外枠58と平行になるように、
一対のトーションバー60を回転中心として回動する
(図4(c)参照)。なお、同図(c)において、板状
部材50が第1の外枠58と平行になったとき、一対の
ブリッジ部62cは、板状部材50の表面に接合された
第1の接合部62a及び反射ミラー部62dと同一平面
上に位置付けられるため、図面上には現されていない。
【0048】ここで、TiNi形状記憶合金薄膜にパル
ス的に通電しながら一対のブリッジ部62cを加熱する
と、板状部材50は、同図(b)と同図(c)の状態に
交互に位置付けられ、角度θの範囲で回転振動する。従
って、レーザー光線Lを反射ミラー部62dに照射しな
がら板状部材50を回転振動させると、反射角2θの範
囲で反射ミラー部62dからレーザー光線が反射され
る。この結果、光偏向子は、スキャナーとしての機能を
奏することが可能となる。
【0049】このように本実施の形態によれば、上述し
た各実施の形態とは異なり、一対のブリッジ部62cを
一対のトーションバー60に接近して設けることができ
る。TiNi形状記憶合金薄膜は、最大約5%程度歪む
ように設計することが好ましいという点については上述
した通りであるが、本実施の形態のように一対のトーシ
ョンバー60の近くで約5%程度歪ませる方が、一対の
トーションバー60から離間した位置で約5%程度歪ま
せるよりも、一対のブリッジ部62cの長さを短くする
ことができる。この結果、第1の外枠58を上述した各
実施の形態に比べて小さくすることができるため、光偏
向子全体を更にコンパクト化させることが可能となる。
【0050】次に、本発明の第5の実施の形態に係る光
偏向子について、図5を参照して説明する。反射手段が
設けられた板状部材70と、この板状部材70を振動且
つ偏向自在に支持する支持手段と、この支持手段に支持
された板状部材70を振動且つ偏向させる駆動手段とを
備えており、駆動手段には、形状記憶合金と、この形状
記憶合金の動作を補助するためのバイアスバネ手段とが
設けられている。なお、本実施の形態の説明に際し、板
状部材70のうち、反射手段が設けられている面を裏面
と称し、その反対側を表面と称する。
【0051】反射手段は、本実施の形態において、アル
ミニウム膜(Al膜)で形成された反射ミラー72(図
5(b),(c)参照)が該当し、この反射ミラー72
は、板状部材の裏面全体にAlを蒸着して形成されてい
る。
【0052】Si基板製の第1の部材76は、後述する
Si基板製の第2の部材74と一体接合可能に構成され
ており、この第1の部材76には、その裏面に反射ミラ
ー72が形成された板状部材70を振動且つ偏向自在に
支持する一対の弾性屈曲部材即ち一対の板バネ78と、
これら板バネ78を支持する板バネ支持部80とが設け
られている。この結果、板状部材70は、一対の板バネ
78が屈曲することによって所定方向に振動且つ偏向可
能に構成される。従って、板状部材70の支持手段は、
一対の板バネ78と板バネ支持部80とが該当する。
【0053】形状記憶合金は、本実施の形態において、
TiNi製の形状記憶合金薄膜(以下、TiNi形状記
憶合金薄膜という)によって構成されており、このTi
Ni形状記憶合金薄膜は、板状部材70の表面全体に接
合された第1の接合部82aと、板バネ支持部80に接
合された第2の接合部82bと、第1及び第2の接合部
82a,82bを連結するように、一対の板バネ78と
平行に延出した一対のブリッジ部82cとを備えてい
る。なお、第2の接合部82bは、後述するようにTi
Ni形状記憶合金薄膜に通電するための電極を兼ねてお
り、また、一対のブリッジ部82cの電気的抵抗が高く
なるように、一対のブリッジ部82cの膜幅は、第1及
び第2の接合部82a,82bの膜幅よりも充分に小さ
く構成されている。また、TiとNiの組成比は、第1
の実施の形態と同様である。
【0054】バイアスバネ手段は、第2の部材74に一
体的に構成されており、具体的には、バイアスバネ手段
は、支持部84から所定長さだけ延出した片持ち梁86
と、この片持ち梁86の延出端に突設し且つ板状部材7
0の表面(具体的には、第1の接合部82a)に接触可
能な突起部88とから構成されている。
【0055】このような構成によれば、図5(b)に示
すように、TiNi形状記憶合金薄膜に通電されていな
い状態において、板状部材70は、片持ち梁86の応力
を緩和する方向へ押し下げられた状態に維持される。具
体的には、板状部材70は、片持ち梁86の弾性作用を
受けて一対の板バネ78が屈曲することにより、水平軸
Hに対して角度θだけ傾斜した状態に維持される。
【0056】次に、上述したような構成を有する本実施
の形態の光偏向子の製造方法について、図5(a)〜
(c)を参照して説明する。まず、第1の部材76に設
けられる各構成の製造プロセスについて説明する。
【0057】両面が研磨された厚さ300μmのSi基
板を用意した後、このSi基板上に厚さ5μmのTiN
i形状記憶合金薄膜を成膜する。次に、TiNi形状記
憶合金薄膜が図5(a)に示された形状になるように、
不必要なTiNi形状記憶合金薄膜を弗硝酸で除去す
る。
【0058】この後、板状部材70が形成されるべきS
i基板の裏面に、反射ミラー72を構成するためのAl
膜を蒸着し、このAl膜を所望形状にエッチングする。
続いて、TiNi形状記憶合金薄膜が成膜された面に対
して、Si基板の裏面側からKOHによってSi基板の
不必要な領域をエッチアウトする。
【0059】最後に、TiNi形状記憶合金薄膜を結晶
化するため、500℃で1時間の熱処理を行う。この処
理が施されることによって、TiNi形状記憶合金薄膜
は、フラットな形状を記憶する。
【0060】次に、第2の部材74に設けられる各構成
の製造プロセスについて説明する。厚さ300μmのS
i基板を用意した後、このSi基板上の突起部88を形
成すべき領域に銅(Cu)のSeed−Layer(種
結晶)を形成する。
【0061】続いて、Cuの電解メッキで角柱を生成し
て突起部88を形成した後、KOH等によってSi基板
の不必要な領域をエッチアウトする。このようなプロセ
スによって、第1及び第2の部材76,74を製造した
後、これら第1及び第2の部材76,74を陽極接合法
によって相互に接合する。この結果、図5(a)に示す
ような光偏向子が製造されることになる。
【0062】次に、本実施の形態の動作について図5
(a)〜(c)を参照して説明する。TiNi形状記憶
合金薄膜に通電していない状態において、板状部材70
の表面には、片持ち梁86に突設された突起部88が接
触している。このとき、板状部材70は、片持ち梁86
の弾性作用を受けた一対の板バネ78が屈曲することに
より、水平軸Hに対して角度θだけ傾斜した状態に維持
されている。この場合、板状部材70の傾斜状態に対応
してTiNi形状記憶合金薄膜の一対のブリッジ部82
cは、所定量だけ伸長しているが、室温状態では、自由
に歪むマルテンサイト相となっているため負荷無く伸長
している(図5(b)参照)。
【0063】このような状態において、電極を兼ねた第
2の接合部82bを介してTiNi形状記憶合金薄膜に
通電すると、電気抵抗が高い一対のブリッジ部82cの
みが局所的に加熱される。このとき、一対のブリッジ部
82cは,オーステナイト相へ変態して、予め記憶され
た完全なフラット形状へ回復する。この結果、一対の板
バネ78は、これに応力が発生する以前の初期形状に変
形するため、板状部材70は、板バネ支持部80と平行
に位置付けられる。
【0064】ここで、TiNi形状記憶合金薄膜にパル
ス的に通電しながら一対のブリッジ部82cを加熱する
と、板状部材70は、同図(b)と同図(c)の状態に
交互に位置付けられ、角度θの範囲で回転振動する。従
って、レーザー光線Lを反射ミラー72に照射しながら
板状部材70を振動させると、反射ミラー72からレー
ザー光線が反射される。この結果、本実施の形態の光偏
向子は、スキャナーとしての機能を奏することが可能と
なる。
【0065】このように本実施の形態によれば、上述し
た各実施の形態において必要であったトーションバーや
第1及び第2の外枠等が不要となるため、極めて単純な
構成で且つ部品点数の少ないコンパクトな光偏向子を実
現することが可能となる。
【0066】なお、上述した具体的な構成から以下のよ
うな技術的思想が導かれる。 請求項1 (構成)反射手段が設けられた板状部材と、この板状部
材を振動且つ偏向自在に支持する支持手段と、この支持
手段に支持された前記板状部材を振動且つ偏向させる駆
動手段とを備えており、前記駆動手段には、所定の形状
記憶合金と、この形状記憶合金の動作を補助するための
バイアスバネ手段とが設けられていることを特徴とする
光偏向子。 (作用)駆動手段を介して板状部材を所定方向へ振動且
つ偏向させることによって、光偏向子は、スキャナーと
しての機能を奏する。 (効果)反射手段が設けられた板状部材を駆動する駆動
手段を形状記憶合金及びバイアスバネ手段で構成したこ
とによって、簡単な構成で且つ部品点数の少ないコンパ
クトな光偏向子を提供することができる。 請求項2 (構成)前記支持手段には、前記板状部材を振動且つ偏
向自在に支持する一対の弾性屈曲部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向子。 (作用)駆動手段によって駆動された板状部材は、一対
の弾性屈曲部材を介して所定方向へ振動且つ偏向する。 (効果)反射手段が設けられた板状部材を駆動する駆動
手段を形状記憶合金及びバイアスバネ手段で構成したこ
とによって、簡単な構成で且つ部品点数の少ないコンパ
クトな光偏向子を提供することができる。 請求項3 (構成・作用)第1の部材に対して、板状部材及びこの
板状部材を振動且つ偏向自在に支持する支持手段を一体
的に形成する第1の工程と、前記支持手段に支持された
前記板状部材を振動且つ偏向させるように、前記第1の
部材に対して所定の形状記憶合金を一体的に配設する第
2の工程と、第2の部材に対して、前記形状記憶合金の
動作を補助するためのバイアスバネ手段を一体的に形成
する第3の工程と、前記第1及び第2の工程を介して所
定の構成が形成された前記第1の部材及び前記第3の工
程によって形成された前記第2の部材を相互に接合する
第4の工程とを有していることを特徴とする光偏向子の
製造方法。 (効果)第1の部材に対して、バイアスバネ手段を立体
的に配置することができる。 請求項4 (構成・作用)前記支持手段には、前記板状部材を振動
且つ偏向自在に支持する一対の弾性屈曲部材が設けられ
ており、この一対の弾性屈曲部材は、前記第1の工程に
おいて、前記板状部材及び前記支持手段と共に一体的に
形成されることを特徴とする請求項3に記載の光偏向子
の製造方法。 (効果)第1の部材に対して、バイアスバネ手段を立体
的に配置することができる。 請求項5 (構成)前記形状記憶合金は、薄膜で構成されているこ
とを特徴とする請求項1に記載の光偏向子。 (作用)駆動手段を介して板状部材を所定方向へ振動且
つ偏向させることによって、光偏向子は、スキャナーと
しての機能を奏する。 (効果)薄膜である形状記憶合金を用いることで、駆動
手段としての形状記憶合金を機械的に組み上げることな
く一体的に形成することができる。また、形状記憶合金
を薄膜化することで形状記憶合金の熱容量を小さくでき
る。
【0067】更に、光偏向子の板状部材の駆動手段を一
体的に形成でき、機械的な組立てが不必要になるので、
光偏向子全体の小型化が可能である。また、薄膜の熱容
量は小さいので、敏速に熱応答する駆動手段を得ること
ができる。また、放熱特性が良いのでミラー等の熱歪み
が小さくなる。 請求項6 (構成)前記形状記憶合金は、伸縮動作することにより
前記板状部材を振動且つ偏向させる機能を有することを
特徴とする請求項1に記載の光偏向子。 (作用)形状記憶合金が伸縮動作することによって、板
状部材に対して比較的大きな力が与えられる。 (効果)伸縮する形状記憶合金を用いることにより、大
きな力で板状部材を振動且つ偏向させることができる。 請求項7 (構成)前記形状記憶合金は、その伸縮部の伸縮方向と
同方向の法線を持つ断面積が、この形状記憶合金の伸縮
しない部位の前記断面積よりも小さいことを特徴とする
請求項6に記載の光偏向子。 (作用)伸縮部の伸縮方向と同方向の法線を持つ断面積
を、形状記憶合金の伸縮しない部位の前記断面積よりも
小さくすることにより、伸縮する部位の電気的な抵抗値
が高くなる。 (効果)前記形状記憶合金のうち、駆動手段として機能
する箇所のみの電気抵抗を高めることで、その箇所だけ
局所的に加熱することができる。そのため、伸縮部以外
の領域への熱的な影響が無くミラー等の反射手段の熱歪
みを押さえることができる。また、低電力での駆動が可
能になる。 請求項8 (構成)前記形状記憶合金は、振動且つ偏向する前記板
状部材の振動軸に対して平行に配置されていることを特
徴とする請求項1に記載の光偏向子。 (作用)振動且つ偏向する板状部材の振動軸に対して平
行に形状記憶合金を配置することにより、板状部材の振
動軸に対して形状記憶合金を近接配置することが可能と
なる。 (効果)板状部材がある角度で傾いている時、振動軸に
近いほど支持部材と板状部材の間隙が小さくなる。その
ため形状記憶合金を振動軸に近づけて配置するほど形状
記憶合金の長さを短くできる。これにより、光偏向子全
体を小型化することができる。 請求項9 (構成)前記反射手段は、形状記憶合金で形成されてい
ることを特徴とする請求項1に記載の光偏向子。 (作用)反射手段を形状記憶合金で形成することによ
り、駆動手段となる形状記憶合金を形成するのと同時に
反射手段を形成することができる。また、板状部材上に
広い面積で形状記憶合金を配置することにより、板状部
材上の形状記憶合金の電気抵抗を下げることができる。 (効果)反射手段を駆動手段である形状記憶合金と同時
に形成することで、製造プロセスの簡略化を実現するこ
とができる。また、板状部材上の形状記憶合金の面積を
広くとることで、板状部材上の形状記憶合金の電気抵抗
を下げることができ、板状部材上での発熱が無視でき
る。その結果、ミラー等の反射手段の熱的な歪みを押さ
えることができる。また、板状部材上に形成した形状記
憶合金での電圧降下が殆どないので、より低電圧で光偏
向子を駆動することができる。 請求項10 (構成)前記反射手段を前記形状記憶合金よりも反射率
の高い金属で形成し、このような反射手段を前記板状部
材に形成した形状記憶合金上に設けたことを特徴とする
請求項1に記載の光偏向子。 (作用・効果)板状部材上に形成した形状記憶合金上
に、形状記憶合金より反射率の高い形状記憶合金以外の
金属を用いてミラー等の反射手段を形成することで、反
射率の高い反射手段を形成することができる。また、形
状記憶合金上に、更に別の形状記憶合金以外の金属を重
ねて設けることで、板状部材上での電気抵抗を下げるこ
とができる。このようにより反射率の高い反射手段を形
成することにより、光線の反射効率を上げることができ
る。また、板状部材上での電気抵抗も下がるので板状部
材上での余分な発熱がない。また、電圧降下が小さくな
るので、低電圧駆動が可能になる。 請求項11 (構成)前記バイアスバネ手段は、前記板状部材を押す
ことによって、前記板状部材を支持する一対の弾性屈曲
部材がねじれ、このとき、前記板状部材に固定されてい
る前記形状記憶合金が引っ張られるように、前記形状記
憶合金の伸び方向に歪みを与えるように配置された弾性
体であることを特徴とする請求項1に記載の光偏向子。 (作用)弾性体であるバイアスバネ手段が板状部材を押
すとき、バイアスバネ手段内部にかかる応力を緩和する
ように板状部材を押し戻す。この結果、板状部材を支持
している支持部材がねじられ、同時に板状部材に固定さ
れている伸縮する形状記憶合金も引っ張られる。 (効果)伸縮動作を利用した形状記憶合金は、引っ張り
時に大きな力を発生するが、縮むときには殆ど力を発生
しない。そのため、一度縮んだ形状記憶合金を伸ばすた
めには、形状記憶合金の引っ張り方向に力を加え再度歪
ませなければならない。前記弾性体は、板状部材を引っ
張っることで縮んだ形状記憶合金を再び伸ばすためのバ
イアスバネとして働く。 請求項12 (構成)前記バイアスバネ手段には、前記板状部材を押
圧可能に配置された突起部が設けられていることを特徴
とする請求項11に記載の光偏向子。 (作用)板状部材は、バイアスバネ手段の突起部によっ
て押圧される。 (効果)突起部は、板状部材上に適当な高さで配置され
ているので、突起部の高さに対応して板状部材をある高
さ分だけ押し上げる。これにより、常に板状部材を押し
上げるように力が働き、板状部材に固定されている形状
記憶合金を引っ張り続けることができる。 請求項13 (構成)前記突起部は、メッキ法によって形成されてい
ることを特徴とする請求項12に記載の光偏向子。 (作用)溶液中の金属イオンを被メッキ物の上に還元析
出させることにより突起部が形成される。 (効果)メッキ法を用いることにより、突起部を一体的
に形成することができ、組立作業等が不要になると共
に、光偏向子を小型化することができる。 請求項14 (構成)前記バイアスバネ手段は、前記板状部材を押す
ことによって、前記板状部材を支持する一対の弾性屈曲
部材が曲がり、このとき、前記板状部材に固定されてい
る前記形状記憶合金が引っ張られるように、前記形状記
憶合金の伸び方向に歪みを与えるように配置された弾性
体であることを特徴とする請求項1に記載の光偏向子。 (作用)弾性体であるバイアスバネ手段が板状部材を押
すとき、バイアスバネ手段内部にかかる応力を緩和する
ように板状部材を押し戻す。この結果、板状部材を支持
している支持部材が曲がり、これに伴って、板状部材に
固定されている伸縮する形状記憶合金が引っ張られる。 (効果)伸縮動作を利用した形状記憶合金は、引っ張り
時に大きな力を発生するが、縮むときには殆ど力を発生
しない。そのため、一度縮んだ形状記憶合金を伸ばすた
めには、前記形状記憶合金を引っ張り方向に力を加え再
度歪ませる必要がある。前記弾性体は、板状部材を引っ
張ることで縮んだ形状記憶合金を再び伸ばすためのバイ
アスバネとして働く。 請求項15 (構成)前記バイアスバネ手段には、前記板状部材を押
圧可能に配置された突起部が設けられていることを特徴
とした請求項14に記載の光偏向子。 (作用)板状部材は、バイアスバネ手段の突起部によっ
て押圧される。 (効果)突起部は、板状部材上に適当な高さで配置され
ているので、突起部の高さに対応して板状部材をある高
さ分だけ押し上げる。これにより、常に板状部材を押し
上げるように力が働き、板状部材に固定されている形状
記憶合金を引っ張り続ける。 請求項16 (構成)前記形状記憶合金は、Ti−46〜52原子%
Ni合金であることを特徴とする請求項1に記載の光偏
向子。 (作用)TiとNiの組成比がTi−46〜52原子%
Niである形状記憶合金であるときは、マルテンサイト
変態開始温度(Ms点)は室温以上になる。 (効果)室温以上のMs点を有する形状記憶合金を用い
た光偏向子を室温で使用する場合、Ms点は室温より低
いので、形状記憶合金を室温で冷却するとき、この形状
記憶合金がマルテンサイト相へ変態し、この結果、この
形状記憶合金は、マルテンサイト相(M相)とオーステ
ナイト相(A相)の間で駆動することになる。つまり、
形状記憶合金が有する最大歪みと最大力量を発生させる
ことができる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、簡単な構成で且つ部品
点数の少ないコンパクトな光偏向子及びその製造方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る光
偏向子の構成を示す斜視図、(b)は、TiNi形状記
憶合金薄膜に通電されていない状態において、板状部材
が片持ち梁の応力を緩和する方向へ押し上げられた状態
を示す図、(c)は、TiNi形状記憶合金薄膜に通電
されている状態において、板状部材が第1の外枠と平行
になった状態を示す図、(d)は、Tiの組成比とマル
テンサイト変態開始温度との対応関係を示す図。
【図2】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る光
偏向子の構成を示す斜視図、(b)は、板状部材及びこ
の板状部材の表面全体に成膜されたTiNi形状記憶合
金薄膜の断面図。
【図3】(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る光
偏向子の構成を示す斜視図、(b)は、板状部材と板状
部材の表面全体に成膜されたTiNi形状記憶合金薄膜
とTiNi形状記憶合金薄膜の表面全体に蒸着されたA
l膜の断面図。
【図4】(a)は、本発明の第4の実施の形態に係る光
偏向子の構成を示す斜視図、(b)は、TiNi形状記
憶合金薄膜に通電されていない状態において、板状部材
が片持ち梁の応力を緩和する方向へ押し上げられた状態
を示す図、(c)は、TiNi形状記憶合金薄膜に通電
されている状態において、板状部材が第1の外枠と平行
になった状態を示す図。
【図5】(a)は、本発明の第5の実施の形態に係る光
偏向子の構成を示す斜視図、(b)は、TiNi形状記
憶合金薄膜に通電されていない状態において、板状部材
が片持ち梁の応力を緩和する方向へ押し下げられた状態
を示す図、(c)は、TiNi形状記憶合金薄膜に通電
されている状態において、板状部材が板バネ支持部と平
行になった状態を示す図。
【図6】第1の従来技術の光偏向子の構成を示す斜視
図。
【図7】第2の従来技術の光偏向子の構成を示す斜視
図。
【図8】第3の従来技術の光偏向子の構成を示す部分断
面図。
【図9】第4の従来技術の光偏向子の構成を示す斜視
図。
【符号の説明】
50…板状部材、52…反射ミラー、60…トーション
バー、66…片持ち梁、68…突起部。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射手段が設けられた板状部材と、 この板状部材を振動且つ偏向自在に支持する支持手段
    と、 この支持手段に支持された前記板状部材を振動且つ偏向
    させる駆動手段とを備えており、 前記駆動手段には、所定の形状記憶合金と、この形状記
    憶合金の動作を補助するためのバイアスバネ手段とが設
    けられていることを特徴とする光偏向子。
  2. 【請求項2】 前記支持手段には、前記板状部材を振動
    且つ偏向自在に支持する一対の弾性屈曲部材が設けられ
    ていることを特徴とする請求項1に記載の光偏向子。
  3. 【請求項3】 第1の部材に対して、板状部材及びこの
    板状部材を振動且つ偏向自在に支持する支持手段を一体
    的に形成する第1の工程と、 前記支持手段に支持された前記板状部材を振動且つ偏向
    させるように、前記第1の部材に対して所定の形状記憶
    合金を一体的に配設する第2の工程と、 第2の部材に対して、前記形状記憶合金の動作を補助す
    るためのバイアスバネ手段を一体的に形成する第3の工
    程と、 前記第1及び第2の工程を介して所定の構成が形成され
    た前記第1の部材及び前記第3の工程により形成された
    前記第2の部材を相互に接合する第4の工程とを有して
    いることを特徴とする光偏向子の製造方法。
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