JPH10170111A - 製氷方法および製氷装置 - Google Patents

製氷方法および製氷装置

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JPH10170111A
JPH10170111A JP33180496A JP33180496A JPH10170111A JP H10170111 A JPH10170111 A JP H10170111A JP 33180496 A JP33180496 A JP 33180496A JP 33180496 A JP33180496 A JP 33180496A JP H10170111 A JPH10170111 A JP H10170111A
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JP
Japan
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ice
cooling
ice making
contact surface
aqueous solution
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JP33180496A
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English (en)
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Tetsuo Hirata
哲夫 平田
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Orion Machinery Co Ltd
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Orion Machinery Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 搬送性があるなど大きくのメリットを備えた
リキッドアイスを継続して安定的に製造でき、構造が簡
易で安価に供給できる製氷方法および製氷装置を提供す
る。 【解決手段】 保持槽15に保持されたエチレングリコ
ール水溶液14を、この保持槽15の底壁15に配置さ
れた冷却部20で冷却して製氷を行う。冷却部20の表
面を伝導率の小さく表面が滑らかなシリコンゴム製の冷
却層22で覆うことにより、冷却層22の接触面23で
氷結晶が3次元的に成長し、適当な大きさに成長した氷
結晶は浮力によって剥離し、保持槽の上部に蓄積され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続的に氷を製造
可能な製氷方法および製氷装置に関するものであり、特
に、氷蓄熱に適した製氷方法および製氷装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】安価な深夜電力を用いて蓄熱槽内に製氷
し、昼間の冷房ピーク時に氷が融解する際の潜熱を利用
してエネルギーの有効利用を図る氷蓄熱システムが用い
られている。氷蓄熱は、従来の水蓄熱が顕熱蓄熱である
のに対し、固体と液体間の相変化に伴う潜熱蓄熱であ
る。このため、水蓄熱と比較すると氷の蓄熱能力は十数
倍の違いがある。また、氷は他の蓄熱物質に比較し、安
価で化学的に安定であるところから優れた蓄熱材であ
る。従って、氷蓄熱は、水顕熱を利用した一般的な水蓄
熱に氷の融解潜熱を付加することにより、小さな蓄熱槽
容量で大量の蓄熱が可能となる。また、蓄熱槽の容積が
小さくなるので表面積も減少し、これによる熱損失も軽
減される。さらに、蓄熱槽において4℃程度の比較的低
温の冷水が得られるため、冷水の配管径が小さくなり、
コンパクトで大量の冷水を供給可能な氷蓄熱システムを
実現することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような特徴を生か
し、間接冷却(間接熱交換)方式の氷蓄熱装置を備えた
氷蓄熱システムが食品冷却等のために冷水を送給するな
どの様々な目的に用いられている。従来の製氷用伝熱管
(熱交換器)を用いる氷蓄熱装置は、伝熱管内に不凍液
やフロンなどの低温の冷媒を流し伝熱管の外に氷を生成
させるものである。このような熱交換方式は、生成され
た氷が管壁に着氷して成長するので、氷の熱伝導率が低
いために着氷の厚みが増すほど氷の成長速度が低下して
しまう。そこで、定期的に加熱して壁面の氷を剥がして
浮上させ、蓄熱槽の上部に剥がれた氷を蓄積するように
している。しかしながら、このような方式では、氷を製
造するための冷却プロセスと、製造された氷を剥離する
ための加熱プロセスを繰り返す必要があるため、製氷効
率をそれほど高くすることができない。
【0004】また、近年、搬送性のあるシャーベット状
の氷を使用する方式であるリキッドアイス方式(シャー
ベットアイス方式)が着目されている。リキッドアイス
は微細な氷粒子が水溶液等の液体中に浮遊、混合した状
態になっており、流動性を有するため配管による輸送が
できる。また、伝熱促進・制御が可能であり、さらに、
高負荷追従性などの多くの利点があるので、今後、多種
多様な氷蓄熱システムへの適用が考えられている。この
ようなシャーベット状の氷を製造するシステムとして
は、例えば、特開昭63−217171号に過冷却状態
の水に衝撃を与えて凍らせるシステムが提案されてい
る。しかし、このシステムは、過冷却状態の水を製造す
る装置や、それに衝撃を与える装置などが必要となり複
雑で高価となる。さらに、過冷却状態の水を通しながら
衝撃を与える必要があるので、流速の設定や冷却速度な
どの諸条件を適切に制御しないと装置内で着氷が発生し
て閉塞するなどの問題を起こし易い。
【0005】そこで、本発明においては、リキッドアイ
スを非常に効率良く製造するのに適した製氷方法および
製氷装置を提供することを目的としている。さらに、本
発明においては、簡易な機構で安定してリキッドアイス
を製造することができ、安価に供給できると共に管理も
容易な製氷方法および製氷装置を提供することを目的と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】リキッドアイスを安定し
て製造する幾つかの方法を本発明の発明者らが検討した
ところ、水溶液を製氷可能な温度まで冷却できる冷却部
を用いて製氷を行う製氷方法において、冷却部の外面を
熱伝導率が小さく滑らかな接触面を備えた冷却層で覆
い、不凍剤を含んだ水溶液を接触面に接触させて製氷を
行う工程を採用することにより、リキッドアイスを安定
して連続的に製造できることが見いだされた。このよう
な本発明の製造方法には、水溶液を保持可能な保持槽
と、この保持槽の内壁の少なくとも1部に配置された水
溶液を製氷可能な温度まで冷却できる熱伝導率の小さな
冷却層とを有し、冷却層は水溶液と接触する滑らかな接
触面を備えていることを特徴とする製氷装置を用いるこ
とができる。本発明の製氷方法においては、冷却部の温
度を製氷可能な温度まで低下すると、冷却層の接触面の
一部に樹枝状の氷結晶が三次元的に成長し、薄片状の氷
となる。そして、ある程度の大きさに成長すると、接触
面から離脱して浮上し、保持槽の上部に次々と溜まるこ
とが見いだされた。従って、本発明の製氷方法および製
氷装置は、冷却部で冷却と加熱のサイクルを繰り返さな
くともシャーベット状の氷が冷却部において連続的に製
造される。さらに、冷却部から次々と氷が剥離していく
ので、冷却部の接触面が氷で覆われることはなく、効率
良く水溶液から氷を製造することができる。このよう
に、本発明の製氷方法および製氷装置を用いることによ
り、非常に効率良くリキッドアイスを製造することがで
きる。さらに、本発明の製氷装置は、過冷却の水に衝撃
を与えるなどの機構は不要なので、構造はシンプルであ
る。このため、本発明により、非常に安定してリキッド
アイスを製造できる製氷方法を提供でき、また、構造が
簡単で管理も容易な製氷装置を安価に提供することがで
きる。
【0007】本発明の製氷装置においては、保持槽の上
部にリキッドアイスが連続して浮上するので、このリキ
ッドアイスを適当な手段で搬送して利用することができ
る。あるいは、保持槽の上部にリキッドアイスを蓄積
し、上部に配置した熱交換部を介して外部に冷水を供給
するようにすることも可能となる。熱交換部において、
本発明の製氷方法および製氷装置によって製造されたリ
キッドアイス(又はエチレングリコール液等)と水が熱
交換され、冷却された水が、例えば、食品の冷却、建屋
の空調、機械加工機の冷却などの被冷却部に送給され
る。
【0008】本発明の製氷方法および製氷装置において
は、水溶液中に不凍剤を含有してあるので、冷却部の近
傍に過冷却の液層が安定して形成されると考えられる。
そして、冷却層の接触面の状態が氷結する状態に達する
と、接触面で氷結晶が発生する。しかしながら、本発明
の冷却層は熱伝導率が小さいので、氷結晶を接触面に沿
って平面的に成長させる能力、即ち、氷結晶が成長する
際の凝固潜熱の全てを冷却層の側で短時間に吸収する能
力はなく、このため、氷結晶が成長するためには、凝固
潜熱の一部を過冷却状態の液層に放出せざるを得ないと
考えられる。このような原因により、本発明の製氷方法
および製氷装置においては、氷結晶が水溶液に向かって
三次元的な薄片状に成長する。さらに、本発明の接触面
は滑らかであるので、適当な大きさに達した氷結晶は自
らの浮力によって接触面から剥離して上昇すると考えら
れる。
【0009】接触面から氷結晶が剥離し易くするには、
撥水性の接触面を用いることが望ましい。熱伝導率が低
く、滑らかで撥水性の表面を形成する冷却層に適した素
材としては、シリコンゴムなどのシリコン系樹脂、また
は、ダイキン工業社製のデムナムあるいはデュポン社製
のテフロンなどのフッ素系樹脂を用いることができる。
また、過冷却の液層を安定的に保持し、さらに適当な大
きさの面を備えているという点では、冷却部に平板状ま
たは円管状の部分を設けておくことが望ましい。シリコ
ンゴムなどの冷却層の厚さは数mm程度で良く、例え
ば、既存の氷蓄熱装置の伝熱面を上記の素材でコーディ
ングしたり、膜状の素材を敷きつめても良いことはもち
ろんである。
【0010】また、不凍剤としては食塩などを用いるこ
とももちろん可能であるが、金属素材などに影響が少な
く安全なエチレングリコールまたはプロピレングリコー
ルを用いることが望ましい。エチレングリコールなどの
不凍剤の濃度は、数%ないし数10%程度で十分であ
り、水溶液の循環がなく閉塞した系の製氷装置では、適
当に水を補給し、冷却部の冷却効率が大幅に低下しない
ように不凍剤の濃度を所定の範囲に保つことも可能であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しながら本発
明の実施の形態を説明する。図1に、本発明の製氷装置
を用いた氷蓄熱システムの一例の概略構成を模式的に示
してある。本例の氷蓄熱システム1は、リキッドアイス
11を連続して製造できる製氷装置10と、この製氷装
置10に設けられた熱交換器12によって冷水を製造
し、その冷水を貯える冷水タンク30と、この冷水タン
ク30の冷水を食品の冷却、建屋の空調あるいは機械加
工機の冷却などの目的で使用するために供給する冷水供
給ポンプ31を備えている。冷水タンク30の水33
は、冷水循環ポンプ32によって熱交換器12を循環
し、熱交換器12で冷却された水が冷水タンク30に戻
されるようになっている。
【0012】本例の製氷装置10は、周囲の壁が断熱層
13で覆われ、内部にエチレングリコール水溶液14な
どの水溶液および製造された氷(リキッドアイス)11
を保持可能な保持槽15と、この保持槽15の底壁16
に設けられた冷却部20を備えている。本例の冷却部2
0は、ステンレス製の底壁16に密着したエバポレータ
21にハロゲン化炭化水素などの冷媒を循環して底壁1
6を製氷温度である氷点下(例えば、−10〜−15°
C程度)まで冷却する冷却システム28を備えている。
もちろん、冷却システムは本例に限定されることはな
く、過冷却状態の不凍液(ブライン)を循環して冷却す
るシステム(ブライン冷却方式)やペルチェ素子を用い
たシステムなどのその他の冷却方式を用いることも可能
である。さらに、本例の冷却部20は、ステンレス製な
どで構成された底壁16の内面を滑らかな接触面23を
備えた厚さ数mm程度のシリコンゴムの冷却層22で覆
ってある。シリコンゴムの熱伝導率は、0.21W/m
K程度と非常に小さく、さらに、内面を滑らかに加工す
ることも容易である。
【0013】図2に、本例の製氷装置10でリキッドア
イス11が製造される過程を模式的に示してある。ま
ず、図2(a)に示すように、保持槽15に4.6重量
%程度のエチレングリコール水溶液14を入れて冷却部
20を製氷温度である−10〜−15°C程度まで冷却
すると、水溶液14と冷却部20の境界である接触面2
3に樹枝状の氷結晶19が発生する。そして、図2
(b)に示すように、この氷結晶19が3次元的に成長
し薄片状の氷18となり、さらに、図2(c)に示すよ
うにある程度の大きさに成長すると接触面23から離脱
して浮上する。離脱する際の氷結晶の大きさは、冷却層
22の温度にかかわらず、氷結晶18が平面的に大きく
成長し、また隣り合う結晶が結合することにより結果的
に氷結晶の大きさが増大し直径数cmのものが離脱する
ケースと、直径数mm程度の大きさの氷結晶18が離脱
するケースとが実際に観察されており、離脱する際の氷
結晶18の大きさは必ずしも一定ではない。しかしなが
ら、離脱して浮上した氷結晶18はシャーベット状であ
り、保持槽15の上部に氷結晶18は、互いに結合しあ
うことはなく、それらの氷結晶群はリキッドアイス11
となることが確認されている。エチレングリコール水溶
液の濃度は上記に限定されるものではなく、適当な範
囲、例えば、数%ないし数10%程度で良い。また、エ
チレングリコールと同様に保持槽の素材などに影響が少
なく安全なプロピレングリコール水溶液を用いることも
可能である。さらに、過冷却の液層を形成するために食
塩水などの不凍液を用いることももちろん可能である
が、エチレングリコールまたはプロピレングリコール水
溶液の方が安定して使用できる点では優れていると考え
られる。
【0014】この氷結メカニズムは、次のように説明さ
れると考えられる。すなわち、従来の銅などの熱伝導率
の大きい金属の冷却層を用いた場合には、氷結晶が成長
する際の凝固潜熱の全てが冷却面方向のみに吸収され氷
結晶が接触面に沿って平面的に成長し、その後、結晶の
厚さが増大する。これに対し、熱伝導率が非常に小さい
シリコンゴム製の本例の冷却層22においては、氷結晶
を平面的に成長させる能力、すなわち氷結晶が成長する
際の凝固潜熱のすべてを短時間に吸収する能力がない。
したがって、氷結晶が成長するためには、凝固潜熱の一
部を、過冷却状態の水溶液中に放出せざるを得ない。こ
のため、氷結晶18は水溶液14に向かって三次元的な
薄片状に成長する。このように成長した氷結晶18と接
触面23との接触面積は小さくなる。さらに、接触面2
3が非常に滑らかであるために、氷結晶18と冷層22
との癒着力が小さく、氷結晶18はその浮力により接触
面23から離脱・浮上するものと考えられる。
【0015】氷結晶18が三次元的に成長するために
は、接触面23の周囲に過冷却状態の凝固潜熱放出層が
常に存在することが重要であると考えられる。本例にお
いて、過冷却状態の液層が安定して存在する理由には、
水溶液がエチレングリコールを含んだ不凍液になってい
ることはもちろんであるが、接触面23に発生した氷結
晶が適当な大きさで冷却層22から離脱することも理由
の1つと考えられる。すなわち、不凍液を用いた通常の
凍結実験では、試験容器内に部分的な過冷却状態が発生
するが、凍結の開始に伴い凝固潜熱が放出されるので過
冷却が解消されてしまう。しかしながら、本例において
は、発生した氷結晶がある程度の大きさに成長すると冷
却層22から離脱するために、冷却層22の近傍に存在
する液層の過冷却状態を解消するだけの潜熱が放出され
ない。さらに、接触面23が非常に滑らかであるために
氷結晶の核が発生しにくいという要因も重なって、接触
面23の近傍に常に過冷却状態の液層が安定して存在す
ると考えられる。これを確認するために、本願発明者ら
が接触面23の温度θsの測定を行ったところ、温度θ
sは水溶液14の凍結温度よりも低い温度となっている
ことがわかり凝固潜熱を放出可能な液層の存在が確認さ
れている。
【0016】以上のように、冷却層22の熱伝導率が非
常に小さい(水溶液の熱伝導率よりも小)こと、接触面
23が非常に滑らかであること、接触面23の付近で水
溶液が過冷却状態になった層(凝固潜熱放出層)が常に
存在することが互いに影響を与え合うことによって、こ
のような凍結挙動になるものと考えられ、これは一般的
な凍結現象と比較すると、非常に特異なものであること
がわかる。
【0017】さらに、熱伝導率が上記のシリコンゴムに
ほぼ等しく、表面が非常に滑らかな固体物質として、ガ
ラスやアクリル樹脂が挙げられる。これらの物質を用い
てももちろん上記と同様の氷結現象が得られると考えら
れるが、経験的には発生した氷結晶がシリコンゴムと比
較し癒着し易いと考えられる。このため、これらの素材
では、得られる氷の量は少なく、サイズは大きくなると
考えられる。従って、リキッドアイスとして適した氷結
晶を連続的に得るためにはシリコン系樹脂の方が望まし
い。シリコンゴムと上記のガラスやアクリル樹脂との物
性の違いを考えると、表面性状の違いが考えられる。す
なわち、シリコンゴムはガラスやアクリル樹脂に比較し
て、その接触面の撥水性が大きく氷結晶が癒着しにくい
ために、氷結晶が成長するとその浮力により離脱し易
い。従って、固体を冷却層22として採用する場合は、
上記の条件に加え、さらに、撥水性が大きいということ
が重要なファクターであるように考えられる。
【0018】上記の例では、冷却層22としてシリコン
ゴムといった固体層を採用しているが、固体に限らず液
層を採用することも可能である。例えば、フッ素系オイ
ルである非水溶液のダイキン工業社製のデムナムは、低
温でも非常に安定したフッ素系樹脂の1つであり、熱伝
導率も0.148W/mKとシリコンゴムよりもさらに
小さい。また、デムナムの液層の表面は滑らかで安定し
ており、さらに、冷却層22が液層であるので氷結晶も
離脱し易い状態にあると考えられる。実際に、本願の発
明者らが実験を行ったところ、シリコンゴムを冷却層2
2として採用した場合よりも比較的小さな氷結晶が連続
して生成でき、よりシャーベット状に近いリキッドアイ
スを得ることができた。冷却層22として採用可能な樹
脂は、上記の2つに限定されるものではなく、上述した
条件を満足するものであれば同様の効果を得る可能性が
ある。例えば、フッ素系の樹脂で固体層として採用可能
なものにデュポン社製のテフロンなどがあり、これらを
採用した場合でもリキッドアイスを安定して得ることが
できる。
【0019】従来は、着氷した氷を剥がすため、あるい
は着氷しないようにするために、製氷装置に特別な構造
を採用したり、あるいは製氷方法に剥がす工程を付加す
るなどの処理が必要であり、製氷装置が高価になると共
に、製氷の効率の改善も難しかった。これに対し、本例
の製氷装置は非常に簡単な構造でありながら、氷が冷却
部から自然に剥離するため、用途の多いリキッドアイス
を連続的に高い効率で製造することができる。また、製
氷装置は簡易な構成で上記において説明したような過冷
却の液層に衝撃を与えるような装置も不要であり非常に
安価に提供できる。さらに、本例の製氷装置および製氷
方法においては、リキッドアイスが安定して製造される
ので、装置の制御や管理も簡単であり、この点でも安価
で信頼性の高い製氷装置を提供することができる。
【0020】なお、上記で説明した製氷装置は、本願の
発明の一例に過ぎずこれに限定されないことはもちろん
である。例えば、冷却部20は、底壁に限らず側壁に設
けても良く、あるいは、底壁や側壁の一部に設けても良
いことはもちろんである。また、冷却層を設けた壁面は
凹凸の多い曲面やフィン状の面などのどの様な面であっ
ても良いが、冷却層の近傍に安定した過冷却の液層が適
度な厚みで存在するようにするためには冷却層が平面的
であることが望ましく、平板状あるいは円管状の部分を
備えた冷却部を採用することが望ましいと考えられる。
さらに、過冷却の液層の比重を考慮すると冷却層は底
壁、あるいはこの近傍に設けることが望ましい。
【0021】本例の装置の効果をより明確にするため
に、本願発明者らは幾つかの比較実験を行ったのでその
結果を以下に示す。
【0022】(比較例1)図1とほぼ同じ装置を用い
て、冷却層22にダイキン工業社製のデムナムを採用
し、さらに、水溶液の代わりに不凍剤を入れていない水
道水を保持槽15に満たして製氷を行った。その結果、
図3に示すように、発生した氷結晶は接触面に密着しな
がら、非常に長い時間をかけて平面的に成長し、最終的
には滑らかな氷41が接触面23の全体を覆い、その氷
41が界面から離脱・浮上する現象は確認されなかっ
た。この理由としては次のことが考えられる。単一成分
である水を用いた場合、氷結晶が発生し始めてからの保
持槽15の内部に局所的な過冷却な層が存在せず、前述
のような過冷却の液層(凝固潜熱放出層)が存在しない
と考えられる。従って、氷結晶生成の際の凝固潜熱は冷
却液体のみに吸収されるために、氷結晶は薄く接触面2
3に密着して成長する。このことから、発生した氷結晶
が接触面23から離脱するためには、水溶液を用いなけ
ればならないことがわかる。また、本比較例において氷
結晶の成長速度が極端に小さくなるのは、デムナムの熱
伝導率が非常に小さいためである。
【0023】(比較例2)次に、図1とほぼ同じ装置を
用いて、冷却層22に水銀を採用し、さらに、4.6重
量%エチレングリコール水溶液を保持槽15に満たして
製氷を行った。その結果を図4に示してある。この比較
例において発生した氷結晶が樹枝状であることは、冷却
層にデムナムを用いた場合と同様である。しかしなが
ら、氷結晶42は三次元的にではなく接触面23に密着
して成長し、比較的短時間のうちに接触面23の全体を
覆い尽くす。その結果、氷結晶42が成長しても、離脱
して浮上する現象は確認されなかった。この現象は、銅
などの熱伝導率の大きい材質でつくられた冷却面上に直
に水溶液をおいた場合の凍結実験で観察される現象と同
様のものであると考えられる。
【0024】本比較例において氷結晶の離脱がみられな
い理由として以下のことが考えられる。冷却層にデムナ
ムを用いた場合、その熱伝導率が非常に小さいために、
氷結晶が界面全体を覆うだけの凝固潜熱を吸収する能力
がない。したがって氷結晶の成長に伴う凝固潜熱の一部
が凝固潜熱放出層内に放出されることによって、三次元
的に氷結晶が成長し、接触面との密着度が小さくなり離
脱する。しかし、冷却層に水銀を用いた場合、水銀の熱
伝導率はデムナムのそれの約50倍であり、水銀の方が
はるかに熱を吸収する能力は大きい。従って、氷結晶の
成長に伴う凝固潜熱のほとんどすべてが水銀に吸収さ
れ、氷結晶は平面的に成長し接触面との密着度が大きく
なり、本実験範囲では、接触界面からの氷結晶の離脱は
見られなかった。保持槽の側壁のない理想的な実験状態
を考えると、接触面が非常に滑らかであれば、氷結晶が
接触界面全体を覆い尽くしても、ある程度の厚さまで成
長し氷結晶の浮力が界面との接触力を上回れば、水銀の
ような熱伝導率の大きい液体であっても、氷塊として離
脱・浮上すると考えられる。しかしながら、発生した氷
結晶は薄片状ではなくリキッドアイスとしては適してい
ないと考えられる。さらに、冷却層が熱伝導率の低い氷
に覆われた状態と水溶液に晒された状態が繰り返される
ので冷却装置の運転条件は安定せず、効率も低下すると
考えられる。
【0025】これらの比較例に対し、本例の製氷装置お
よび製氷方法においては、水溶液と冷却層の境界である
接触面で発生した樹枝状の氷結晶が3次元的に成長し薄
片状の氷となり、ある程度の大きさに成長すると接触面
から自発的に離脱・浮上する。このため、夜間電力など
を用いてシャーベット状の氷(リキッドアイス)を効率
良く安定して製造することが可能となる。そして、夜間
に製造されて蓄積された氷を昼間に熱交換を行って冷水
を製造し、食品冷却等のための冷水などとして用いるこ
とができる。従って、本例の製氷装置および製氷方法
は、このような間接冷却(間接熱交換)方式の氷蓄熱装
置に非常に適したものである。
【0026】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の製氷装
置および製氷方法においては、熱伝導率が低く、接触面
が滑らかな冷却層を用いて不凍剤を含んだ水溶液を冷却
することにより、接触面に発生した氷結晶を自然に冷却
層から離脱させることが可能となる。このような固体あ
るいは液体の冷却層を備えたシステムは、氷蓄熱システ
ムへの様々な応用が考えられる。例えば、流動性を有す
るため配管による輸送ができ、伝熱促進・制御が可能で
あり、さらに、高負荷追従性があるなどの多くの利点を
有するリキッドアイスの製造に本発明の製氷装置および
製氷方法は好適である。そして、従来の複雑な機構や制
御を必要としたリキッドアイスを本発明の簡易な装置で
製造し供給することができる。さらには、アイスオンコ
イル方式などのスタティック形氷蓄熱装置の熱交換器に
本発明に係る冷却層を設けることにより、スタティック
形氷蓄熱で問題となっている氷の成長に伴う氷そのもの
の熱抵抗増加による冷凍能力の低下を避けることができ
る。このように本発明の製氷方法を氷蓄熱システムへ適
応することは非常に有用であり今後、多方面への適用が
予想される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る製氷装置の概略構成
を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す製氷装置において、氷結晶が生成さ
れる状態を示す図である。
【図3】比較例1において生成された氷を模式的に示す
図である。
【図4】比較例2において生成された氷を模式的に示す
図である。
【符号の説明】
1・・氷蓄熱システム 10・・製氷装置 11・・リキッドアイス 12・・熱交換器 13・・断熱層 14・・水溶液 15・・保持槽 16・・底壁 18、19・・氷結晶 20・・冷却部 21・・冷却配管(エバポレータ) 22・・冷却層 23・・接触面 28・・冷却装置 30・・冷水タンク

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液を製氷可能な温度まで冷却できる
    冷却部を用いて製氷を行う製氷方法であって、前記冷却
    部の外面を熱伝導率が小さく滑らかな接触面を備えた冷
    却層で覆い、不凍剤を含んだ前記水溶液を前記接触面に
    接触させて製氷を行う工程を有することを特徴とする製
    氷方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記接触面は撥水性
    を備えていることを特徴とする製氷方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記冷却部は平板状
    または円管状の部分を備えていることを特徴とする製氷
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記冷却層はシリコ
    ン系樹脂またはフッ素系樹脂であることを特徴とする製
    氷方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記不凍剤は、エチ
    レングリコールまたはプロピレングリコールであること
    を特徴とする製氷方法。
  6. 【請求項6】 水溶液を保持可能な保持槽と、この保持
    槽の内壁の少なくとも1部に配置された前記水溶液を製
    氷可能な温度まで冷却できる熱伝導率の小さな冷却層と
    を有し、前記冷却層は前記水溶液と接触する滑らかな接
    触面を備えていることを特徴とする製氷装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記接触面は撥水性
    を備えていることを特徴とする製氷装置。
  8. 【請求項8】 請求項6において、前記冷却層は平板状
    または円管状の前記接触面を備えていることを特徴とす
    る製氷装置。
  9. 【請求項9】 請求項6において、前記冷却層はシリコ
    ン系樹脂またはフッ素系樹脂であることを特徴とする製
    氷装置。
  10. 【請求項10】 請求項6において、前記保持槽の上部
    に外部に冷水を供給可能な熱交換部が配置されているこ
    とを特徴とする製氷装置。
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