JPH10169962A - プラズマ溶融炉による焼却灰の溶融方法 - Google Patents

プラズマ溶融炉による焼却灰の溶融方法

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JPH10169962A
JPH10169962A JP32735096A JP32735096A JPH10169962A JP H10169962 A JPH10169962 A JP H10169962A JP 32735096 A JP32735096 A JP 32735096A JP 32735096 A JP32735096 A JP 32735096A JP H10169962 A JPH10169962 A JP H10169962A
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plasma
melting
melting furnace
electrodes
incinerated ash
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JP32735096A
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English (en)
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Masaki Kataoka
正樹 片岡
Yoshinori Takahashi
善則 高橋
Yuji Tsuda
裕士 津田
Peter Hiinrei Charles
ピーター ヒーンレイ チャールズ
Chapman Chris
チャップマン クリス
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Tetronics International Ltd
Tsukishima Kikai Co Ltd
Original Assignee
Tetronics Ltd
Tsukishima Kikai Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融に不必要な二次アークの発生を抑えて、
電圧、電力を安定させ、熱効率を向上させるとともにN
xを低減する。 【解決手段】 溶融炉内に供給された焼却灰を、この溶
融炉内の上部に配設される複数の電極6,7を備えたプ
ラズマ装置によって加熱溶融するプラズマ溶融炉による
焼却灰の溶融方法であって、溶融炉への焼却灰の供給量
に応じて、プラズマ装置への供給電力を変化させたり、
電極6,7の位置を駆動シリンダ13や駆動装置14に
よって変化させたりすることにより、溶融炉内に保持さ
れる焼却灰の溶融スラグSの表面を、電極6,7による
プラズマアークPが溶融スラグSの表面に接する部分
R,Rを除いて、未溶融の焼却灰Aによって被覆された
状態とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融炉の上部に配
設されたプラズマ装置の複数の電極によるプラズマアー
クによって、廃棄物等の焼却灰を溶融処理するためのプ
ラズマ溶融炉による焼却灰の溶融方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、廃棄物の増加や埋立用地の減少等
により、廃棄物を焼却した焼却灰の最終処分地の確保が
益々困難となってきており、このため、かかる廃棄物の
焼却施設で発生する焼却灰を処理する方法として、大幅
な減容化、無害化、および再資源化が可能な溶融処理法
が注目を集めている。そして、その中でもプラズマ溶融
炉による溶融方法は、高い溶融温度が得られ、また排ガ
ス量が少ないので熱効率がよく、経済的であることか
ら、特に高い注目度を得ている。
【0003】ここで、このような焼却灰を溶融するため
のプラズマ式溶融炉の一つとして、例えば特開平5−2
53557号公報に記載されているように、溶融炉内の
上部と底部とにプラズマ装置の電極をそれぞれ配設し、
溶融炉内に保持された焼却灰を、これらの電極間に形成
されるプラズマアークによって溶融するものが知られて
いる。しかし、未溶融の焼却灰は導電性がないため、炉
底に電極が配置された上記プラズマ式溶融炉では、炉内
の溶融物が固化した状態から再起動するにはプラズマア
ークを発生させるための前処理が必要となり、また溶融
した焼却灰は浸食性が強いので、炉底の電極の損耗が著
しいという問題がある。
【0004】そこで、このような問題を解消するものと
して、例えば本発明の発明者等による特開平8−524
7号公報や、あるいは特開平7−127831号公報、
特開平8−57441号公報などに、溶融炉内の上部に
プラズマ装置の複数の電極を配置して、これらの電極間
に、溶融炉内に保持された焼却灰の溶融スラグを介して
プラズマアークを形成し、炉内に供給された焼却灰を加
熱溶融するプラズマ溶融炉が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
プラズマ溶融炉においては、プラズマアークからの輻射
や溶融スラグからの輻射によって炉内の気相は高温にな
っており、このためプラズマアーク以外のガスも一部プ
ラズマ化している。そして、この一部プラズマ化した炉
内ガスにより、図5に示すように、炉内の上部に配設さ
れた電極T,Tから溶融スラグSを介して形成されるプ
ラズマアークP1以外に、電極T,Tを直接結ぶように
電流が流れて二次アークP2が発生することがある。
【0006】しかるに、このような二次アークP2は、
気相の温度やガス組成によって気相のプラズマ化の程度
が異なるため非常に不安定で変動が大きく、従ってかか
る二次アークが頻発すると、プラズマ装置への供給電力
の電圧や電流も不安定となって電源装置に大きな負担を
強いることになる。また、この二次アークP2は焼却灰
の溶融には殆ど寄与しないため熱効率を低下させるとと
もに、NOxを多量に発生させる原因ともなる。
【0007】ここで、従来、上記二次アークP2による
プラズマ装置への供給電力の電圧、電流の不安定を解消
するには、電源装置の容量を大きくする方法が採られ、
またNOxの増大に対しては、溶融炉内を還元雰囲気と
するといった方法が採られていたが、いずれも根本的な
解決策ではなく、また経済的でもない。このため、かか
るプラズマ溶融炉による溶融方法においては、溶融に不
必要な二次アークの発生を抑えて、電圧、電力を安定さ
せ、熱効率を向上させるとともにNOxを低減すること
が可能な方法の開発が要望されていた。
【0008】本発明は、このような従来の問題点を鑑み
てなされたものであり、その目的は上記の通り、溶融に
不必要な二次アークの発生を抑えて、電圧、電力を安定
させ、熱効率を向上させるとともにNOxを低減するこ
とが可能なプラズマ溶融炉による焼却灰の溶融方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、か
かる目的を達成するために、本発明は、溶融炉内に供給
された焼却灰を、この溶融炉内の上部に配設される複数
の電極を備えたプラズマ装置によって加熱溶融するプラ
ズマ溶融炉による焼却灰の溶融方法であって、上記溶融
炉内に保持される焼却灰の溶融スラグの表面を、上記複
数の電極によるプラズマアークが上記溶融スラグの表面
に接する部分を除いて、未溶融の焼却灰によって被覆さ
れた状態とすることを特徴とする。従って、本発明によ
れば、このように未溶融の焼却灰によって溶融スラグの
表面が被覆されることにより、溶融スラグ表面からの輻
射が抑えられ、このため炉内の気相温度が低下して不必
要な気相のプラズマ化が防止されるので、かかる気相の
プラズマ化による二次アークの発生を抑えることができ
る。
【0010】ここで、上述のように上記溶融スラグの表
面を、上記プラズマアークが接する部分を除いて、未溶
融の焼却灰により被覆された状態とするには、溶融炉へ
の焼却灰の供給量に応じた適当な熱量をプラズマアーク
によって発生させればよい。従って、一つには、溶融炉
への焼却灰供給量に応じて、上記プラズマ装置への供給
電力を変化させることにより、溶融スラグ表面を上述の
ような未溶融焼却灰による被覆状態とすることができ
る。
【0011】また、プラズマアークによる熱量は、プラ
ズマ装置の電極間の電気抵抗に比例し、この電極間の電
気抵抗は、概略プラズマアーク自体の電気抵抗と溶融ス
ラグの電気抵抗との和となることが知られている。そし
て、さらにプラズマアークの電気抵抗は電極と溶融スラ
グとの距離に応じて決定され、また溶融スラグの電気抵
抗はスラグ温度、スラグ組成、および電極間の距離に応
じて決定されるから、スラグの温度および組成が一定な
らば、上記熱量は電極と溶融スラグとの距離および電極
間の距離に応じて決定されることとなる。従って、焼却
灰供給量に応じてこの電極の位置を変化させることによ
り、上述のように溶融スラグ表面をプラズマアークが接
する部分を除いて未溶融焼却灰による被覆状態とするも
可能である。勿論、電極の位置とプラズマ装置への供給
電力とを同時に変化させるようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明の焼却
灰の溶融方法の一実施形態に係わるプラズマ溶融炉を示
すものである。このプラズマ溶融炉は、炉本体1と炉蓋
2とにより概略構成されており、その内部は耐火材3に
よって被覆されている。そして、上記炉蓋2には、焼却
灰の供給口4およびガスの排気口5が設けられるととも
に、図示しないプラズマ電源に接続されたプラズマ装置
の一対の電極6,7が取り付けられている。また、上記
炉本体1の側壁には溶融スラグSの出滓口8が設けられ
ており、この出滓口8にはスラグ抜出室9が連設されて
いる。
【0013】ここで、上記プラズマ溶融炉において上記
電極6,7は、炉蓋2への取付部10,10を中心に鉛
直面内にて回動可能とされるとともに、炉本体1の内部
に向けて出没可能とされている。すなわち、上記取付部
10には円柱状の軸受11がその中心軸を水平にして該
中心軸回りに回動自在に取り付けられており、電極6,
7は上記中心軸に直交する方向にこの軸受11に摺動自
在に挿通されている。また、この軸受11には電極6,
7を摺動可能に支持するアーム12が該軸受11と一体
に回動可能に取り付けられており、さらにこのアーム1
2には駆動シリンダ13が連結されていて、この駆動シ
リンダ13のシリンダロッド13Aを出没させることに
より、アーム12、軸受11、および電極6,7が一体
に軸受11の中心軸回りに回動可能とされているのであ
る。
【0014】また、上記アーム12には、このアーム1
2に沿って上記電極6,7を進退せしめる駆動装置14
が取り付けられており、この駆動装置14により電極
6,7は、軸受11を貫通して上述のように炉本体1の
内部に向けて出没可能とされている。そして、これらに
より、電極6,7は、上記駆動シリンダ13による回動
範囲内および駆動装置14による進退範囲内において、
それぞれ任意の位置に移動可能とされている。なお、上
記炉蓋2の取付部10と軸受11との間および軸受11
と電極6,7との間は、いずれも気密にシールされてい
る。
【0015】さらに、上記プラズマ溶融炉において電極
6,7は、図示のように炉本体1の出滓口8から炉内に
向けて並ぶように配設されており、このうち出滓口8側
の一方の電極6はカソード電極(陰電極)とされて、上
記駆動シリンダ13および駆動装置14による移動によ
り、図2に示すように出滓口8の近傍に配置可能とされ
ている。また、出滓口8から離れた側の他方の電極7は
アノード電極(陽電極)とされている。さらにまた、炉
蓋2に設けられる上記焼却灰の供給口4は、焼却灰を炉
内に均一に供給できる適当な位置に配設されている。
【0016】次に、このように構成されたプラズマ溶融
炉を用いて、本発明の一実施形態により焼却灰の溶融を
行なう場合について説明する。本実施形態では、供給口
4からの焼却灰Aの供給量に応じて、図2に示すように
上記駆動シリンダ13および駆動装置14により両電極
6,7を移動させ、上述のようにカソード電極となる電
極6を出滓口8の近傍に配置するとともに、各電極6,
7と炉本体1内に保持される溶融スラグSの表面との距
離Lおよび両電極6,7間の距離Wが適当な範囲となる
ように電極6,7の位置を変化させている。そして、上
記プラズマ装置に供給された電力により電極6,7に溶
融スラグSを介してプラズマアークPを発生させること
によって、このプラズマアークPが溶融スラグSの表面
に接する部分R,Rにおいては、供給された焼却灰Aが
加熱溶融されて溶融スラグSの表面が露出する一方、そ
れ以外の部分においては供給された焼却灰Aが未溶融の
まま溶融スラグSの表面を被覆した状態となる。
【0017】しかるに、このように溶融スラグSの表面
が、プラズマアークPがこの溶融スラグSに接する部分
R,Rを除いて、未溶融の焼却灰Aにより被覆された状
態とされることにより、本実施形態では、溶融スラグS
からの炉内の気相への輻射が抑えられ、これに伴い気相
温度も低下する。そして、これにより炉内のプラズマア
ークP以外のガスのプラズマ化が抑制されるので、この
プラズマアークP以外の二次アークの発生を防止するこ
とが可能となる。
【0018】従って、本実施形態の焼却灰の溶融方法に
よれば、かかる二次アークの発生によりプラズマ装置へ
の供給電力の電圧や電流が不安定となるような事態を防
止することができ、安定した電力供給を促して電源装置
への負担を軽減することができるとともに、二次アーク
によるNOxの発生も抑えることが可能となる。また、
この二次アークによるエネルギー損失も抑えられるた
め、プラズマ装置に供給する電力の低減を図ることがで
きるとともに、上述のように気相温度が低下することか
ら、排気ガスとして排出される熱量も減少するため熱効
率の向上を図ることもでき、従ってきわめて効率的な焼
却灰の溶融を促すことが可能となる。
【0019】ところで、本実施形態においては、上述の
ように駆動シリンダ13および駆動装置14によって電
極6,7の位置を変化させることにより、溶融スラグS
の表面を、上記部分R,Rを除いて未溶融焼却灰Aによ
り被覆された状態としている。ここで、プラズマアーク
Pによる熱量は、電極6,7間の電気抵抗に比例し、さ
らにこの電極6,7間の電気抵抗は、プラズマアークP
自体の電気抵抗と溶融スラグSの電気抵抗との和に概略
相当するのは上述した通りであり、プラズマアークPの
電気抵抗は電極6,7と溶融スラグSとの距離Lによっ
て決定され、溶融スラグSの電気抵抗はスラグSの温度
および組成が一定ならば両電極6,7間の距離Wによっ
て決定される。一方、気相の電気抵抗は、気相の温度や
組成と電極6,7間の距離Wによって決定され、上記電
極6,7間の電気抵抗がこの気相の電気抵抗より十分に
小さいと、二次アークは発生しない。
【0020】従って、上記距離L,Wを小さくすると、
両電極6,7間の電気抵抗は小さくなるが、特に距離L
を小さくした場合には気相の電気抵抗も小さくなるとと
もに、電極6,7間の下方の未溶融焼却灰Aが加熱さ
れ、すなわちプラズマアークPが溶融スラグSの表面に
接する上記部分R,Rの間の部分を被覆していた未溶融
焼却灰Aが溶融して溶融スラグSが露出してしまい、そ
の輻射熱によって両電極6,7間の気相温度が上昇して
ガスの一部がプラズマ化され、二次アークが発生しやす
い状態となる。一方、上記距離L,Wを大きくすると、
溶融スラグSの表面がプラズマアークPの接する部分
R,Rを除いて未溶融焼却灰Aにより被覆された状態は
維持されるが、同時に電極6,7間の電気抵抗が大きく
なってしまい、一定電力では電流値が小さくなって溶融
スラグSを電流が流れるときのジュール熱も小さくな
り、経済的ではなくなる。
【0021】すなわち、供給される焼却灰や溶融スラグ
Sおよび気相の組成、あるいは溶融スラグSおよび気相
の温度等の溶融条件が一定ならば、焼却灰の供給量に応
じて溶融スラグSの表面がプラズマアークPの接する部
分R,Rを除いて未溶融焼却灰Aにより被覆された状態
を維持するのに最適な電極6,7の位置が存在するので
あり、従ってかかる溶融条件に基づく焼却灰供給量に応
じた最適位置に電極6,7を移動させてプラズマアーク
Pを形成するように制御することにより、本実施形態の
ような未溶融焼却灰Aによる被覆状態を維持することが
できるのである。因みに、後述する実施例によれば、焼
却灰の供給量が200kg/h、焼却灰1kg当たりの供給電
力が1.23kWh/kgとして、下水汚泥の焼却灰のとき距
離Lが150〜200mm、距離Wが200〜250mmで
あり、都市ゴミの焼却灰のとき上記距離Lが120〜1
50mm、距離Wが300〜400mmであるから、焼却灰
供給量をこれよりも多くするときには上記距離L,Wを
小さくし、供給量を少なくするときには距離L,Wを大
きくすればよい。
【0022】また、本実施形態ではこのようにプラズマ
装置の電極6,7の位置を変化させることにより、溶融
スラグSの表面を、プラズマアークPがこの表面に接す
る部分R,Rを除いて、未溶融焼却灰Aによって被覆さ
れた状態としたが、プラズマアークPにより発生する熱
量はプラズマ装置に供給される電力にもよるから、電極
6,7の位置を変化させずに、このプラズマ装置への供
給電力を変化させて上記被覆状態を維持するようにして
もよい。すなわち、例えば上記実施例の場合には、焼却
灰供給量を多くするときには供給電力を増大させ、少な
くするときには供給電力を減少させればよい。さらに、
電極6,7の位置を変化させるとともに供給電力も変化
させて、上記被覆状態が維持されるようにプラズマアー
クPを制御することも、勿論可能である。
【0023】一方、本実施形態では上記電極6,7のう
ち一方の電極6を溶融炉本体1の出滓口8の近傍に配置
しており、これによりこの出滓口8部分の焼却灰は電極
6によるプラズマアークPによって十分に溶融された状
態とされているので、上述のように溶融スラグSの表面
が未溶融焼却灰Aにより被覆された状態とされるにも拘
わらず、この未溶融のままの焼却灰Aが出滓口8からス
ラグ抜出室9に排出されてしまうのを防止することがで
きる。また、この出滓口8の近傍に配置される電極6
は、加熱能力の高いカソード電極であるため、出滓口6
近傍の焼却灰をより確実に溶融させることができる。し
かも、溶融スラグSの表面の未溶融焼却灰Aに被覆され
た部分は、この未溶融焼却灰Aに接することにより温度
が低下して粘度が高くなっており、この表面よりも下側
の粘度が低い部分よりも流動し難くなっているので、こ
れによっても未溶融の焼却灰Aが出滓口8から流出する
のを防止することが可能となる。
【0024】
【実施例】次に、図1および図2に示したプラズマ溶融
炉を用いて、本発明により焼却灰の溶融を行った場合の
実施例について説明する。ただし、本実施例では、溶融
すべき焼却灰が下水汚泥の焼却灰の場合と、都市ゴミの
焼却灰の場合とについて、それぞれにその焼却灰を溶融
炉に供給し、その溶融を行った。このときの焼却灰の組
成を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】本実施例では、このような組成の焼却灰を
200kg/hで溶融炉に供給し、上述のように炉内の溶融
スラグSの表面を、電極6,7によるプラズマアークP
がこの溶融スラグSの表面に接する部分R,Rを除い
て、未溶融の焼却灰Aにより被覆された状態となるよう
に保持して焼却灰の溶融を行った。このとき、電極6,
7と溶融スラグSの表面との間の距離Lは、下水汚泥の
焼却灰の場合で150〜200mm、都市ゴミの焼却灰の
場合で120〜150mmであり、また両電極6,7間の
距離Wは、下水汚泥焼却灰の場合で200〜250mm、
都市ゴミ焼却灰の場合で300〜400mmであった。
【0027】一方、この実施例に対する比較例として、
図5に示したような従来の溶融方法により、表1に示し
たのと同様の組成の下水汚泥焼却灰および都市ゴミ焼却
灰を同じ供給量でプラズマ溶融炉に供給し、プラズマア
ークが溶融スラグSの表面に接する部分以外の部分にお
いても供給された焼却灰が溶融され、溶融スラグSの表
面が露出した状態を維持して溶融を行った。このときの
電極T,Tと溶融スラグSの表面との距離は、下水汚泥
焼却灰の場合で200〜400mm、都市ゴミ焼却灰の場
合で150〜400mmであり、また両電極T,T間の距
離は、下水汚泥焼却灰の場合で50〜200mm、都市ゴ
ミ焼却灰の場合で50〜280mmであって、いずれの場
合も、プラズマアークが溶融スラグSの表面に接する部
分の間の部分においては、図5に示したように供給され
た焼却灰が溶融して溶融スラグSの表面が露出した状態
となっていた。
【0028】しかるに、本実施例においては、上述のよ
うな溶融状態を維持するのにプラズマ装置に供給された
電力は、焼却灰1kg当たりにおいて1.23kWh/kgであ
ったのに対し、従来法による比較例では焼却灰1kg当た
り1.38kWh/kgであり、本発明によれば約10%もの
必要供給電力の低減が図られていることが判った。ま
た、図3および図4は、都市ゴミ焼却灰を溶融した場合
の供給電力について、実施例および比較例におけるその
電圧および電流の経時変化を記録したものであるが、こ
れらの図から判るように、比較例においては電圧、電流
とも変動が激しいので11次、13次、23次、25次
の高調波も発生しており、電源装置に多大な負担を強い
ているのに対し、本実施例においては電圧、電流とも安
定していて高調波の発生も少なく抑えられている。
【0029】さらに、排ガスの温度を測定したところ、
比較例においては1300〜1500℃と、溶融スラグ
Sの温度と略等しい温度であったのに対し、本実施例で
は800〜1000℃にまで低減され、これにより5〜
12%程度の熱効率の向上が図られた。さらにまた、N
xの発生量についても測定したところ、比較例では8
00〜1000ppmであったのが、本実施例では60〜
120ppmにまで低下しており、約1/10に減少して
いることが確認された。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、二次
アークの発生を抑えてプラズマ発生装置への供給電力の
電圧、電流を安定化し、電源装置への負担を軽減するこ
とができるとともに、NOxの発生量の低減を図ること
ができ、また二次アークの抑制により供給電力自体の低
減が図られ、さらに気相温度の低下によって排気ガスと
して排出される熱量も減少するため、熱効率の向上を図
ることもできる。従って本発明によれば、安定かつきわ
めて効率的な焼却灰の溶融を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わるプラズマ溶融炉
の断面図である。
【図2】 図1に示すプラズマ溶融炉を用いて、本発明
の一実施形態により焼却灰の溶融を行う状態を示す図で
ある。
【図3】 都市ゴミの焼却灰を溶融する場合の、本発明
の実施例におけるプラズマ装置への供給電力の電圧、電
流の経時変化を示す図である。
【図4】 都市ゴミの焼却灰を溶融する場合の、従来の
溶融方法による比較例のプラズマ装置への供給電力の電
圧、電流の経時変化を示す図である。
【図5】 従来の溶融方法により焼却灰の溶融を行う状
態を示す図である。
【符号の説明】
1 炉本体 2 炉蓋 4 焼却灰の供給口 5 排気口 6 電極(カソード電極) 7 電極(アノード電極) 8 出滓口 13 駆動シリンダ 14 駆動装置 S 溶融スラグ A 未溶融の焼却灰 P プラズマアーク R プラズマアークPが溶融スラグSの表面に接する部
分 L 溶融スラグSの表面と電極6,7との距離 W 電極6,7間の距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 善則 東京都中央区佃2丁目17番15号 月島機械 株式会社内 (72)発明者 津田 裕士 東京都中央区佃2丁目17番15号 月島機械 株式会社内 (72)発明者 チャールズ ピーター ヒーンレイ イギリス エス エヌ 7 9 エイ ジ ェイ オックスフォードシャー ファーリ ンドン レッチレード ロード 5 テト ロニクス リミテッド内 (72)発明者 クリス チャップマン イギリス エス エヌ 7 9 エイ ジ ェイ オックスフォードシャー ファーリ ンドン レッチレード ロード 5 テト ロニクス リミテッド内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融炉内に供給された焼却灰を、この溶
    融炉内の上部に配設される複数の電極を備えたプラズマ
    装置によって加熱溶融するプラズマ溶融炉による焼却灰
    の溶融方法であって、上記溶融炉内に保持される焼却灰
    の溶融スラグの表面を、上記複数の電極によるプラズマ
    アークが上記溶融スラグの表面に接する部分を除いて、
    未溶融の焼却灰により被覆された状態とすることを特徴
    とするプラズマ溶融炉による焼却灰の溶融方法。
  2. 【請求項2】 上記溶融炉への焼却灰の供給量に応じ
    て、上記プラズマ装置への供給電力を変化させることに
    より、上記溶融スラグの表面を、上記プラズマアークが
    接する部分を除いて、未溶融の焼却灰により被覆された
    状態とすることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ
    溶融炉による焼却灰の溶融方法。
  3. 【請求項3】 上記溶融炉への焼却灰の供給量に応じ
    て、上記電極の位置を変化させることにより、上記溶融
    スラグの表面を、上記プラズマアークが接する部分を除
    いて、未溶融の焼却灰により被覆された状態とすること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマ
    溶融炉による焼却灰の溶融方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004340414A (ja) * 2003-05-13 2004-12-02 Ebara Corp 溶融炉、プラズマアークの再着火方法及び再着火棒挿入機構
WO2010134760A3 (ko) * 2009-05-22 2011-03-17 트리플코어스코리아 멀티 플라즈마를 이용한 열원 집중 장치, 폐기물 처리 장치 및 방법

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JP2004340414A (ja) * 2003-05-13 2004-12-02 Ebara Corp 溶融炉、プラズマアークの再着火方法及び再着火棒挿入機構
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