JPH1016844A - ワイヤ式ハンドルロック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】構造が簡単で部品点数が少なく、安価である上
に、ハンドルの回動操作を不能にする目的に使用しない
場合には、従来公知のワイヤロックやチェーンロックと
して用いることが可能な、ワイヤ式ハンドルロックを提
供する。 【解決手段】側面に貫通孔（10ａ）を備えた係止部（1
0）を二輪車（30）のハンドルパイプ（20）の先端に固
定し、一方、二輪車（30）の車体側には、キーにて開錠
可能な錠止機構を有するロック本体（１）を固定し、該
ロック本体（１）の一側部にワイヤ（２）の一端を固着
すると共に、その他端を、ハンドルを右または左に限界
まで回動させた状態にて車体側に近いハンドルパイプ先
端の前記貫通孔（10ａ）に通した後、該ワイヤ（２）の
他端を前記ロック本体（１）の他側部に設けられた錠止
穴（1a）に係止させてハンドルの回動操作を規制するよ
うにしたことを特徴とするワイヤ式ハンドルロック。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はオートバイやスクー
ター等の二輪車において、ハンドルを左または右に限界
まで回動させた状態にて、車体側に近いハンドル先端と
車体とを連結することにより、ハンドルの回動を規制し
て盗難を防止するワイヤ式ハンドルロックに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、二輪車（30）において、図８に示
すように、駐車時にハンドル（21）を右または左に限界
まで回動させた状態で、車体（34）の一部にワイヤ又は
チェーン（50）の一端を固着し、このチェーンの他方先
端に設けられたロック本体（51）を、車体側に近いハン
ドル（21）の先端に突出状に設けられた係止部（52）に
係合することによりロックし、ハンドルの回動操作を不
能にして盗難を防止するロック装置があった。

【０００３】そして本出願人は、この従来のロック装置
に対し、ハンドルパイプ先端の係止部の安全性を向上さ
せたロック装置を特許出願している（特願平６−３４０
９６３号及び特願平７−５３１６６号）。

【０００４】また、前述のロック装置自体を、二輪車の
車体に設けられた、例えばヘルメットハンガー等の掛止
部を利用して係脱自在に構成し、装着性に優れたロック
装置についても特許出願を行っている（特願平７−１０
９６５３号）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】これらのロック装置
は、車両のステアリングロック装置に加えて、ハンドル
操作のロック機構を補助するものとして、比較的簡単な
構成で高い盗難防止効果を有する上に、特願平７−１０
９６５３号のロック装置においては、使用しないときは
取り外して収納しておける等、実用性が高いものである
が、実際の使用時において、次の問題点が明らかになっ
た。

【０００６】すなわち、これらのロック装置は、ハンド
ル先端の係止部（52）と係合するロック本体（１）内
に、錠止機構を有し、この錠止機構は取付強度を持た
せ、また、破壊行為に対抗するため、ダイカスト等で堅
固に作製されている。このため全体が大きく、重いもの
となっていて、万一落とした場合に運転者が足を怪我し
たり、車体を傷つけたりする可能性があった。

【０００７】また、二輪車の移動自体を阻止するために
は、別のロック装置を用いて車輪をロックしたり、ある
いは、ワイヤによるループ状のロック装置により、車体
と路上のポール等とを連結したりするする必要があっ
た。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は前述した問題点
を解決したロック装置を提供するものである。すなわち
本発明は、側面に貫通孔（10ａ）を備えた係止部（10）
を二輪車（30）のハンドルパイプ（20）の先端に固定
し、一方、二輪車（30）の車体側には、キーにて開錠可
能な錠止機構を有するロック本体（１）を固定し、該ロ
ック本体（１）の一側部にワイヤ（２）の一端を固着す
ると共に、その他端を、ハンドルを右または左に限界ま
で回動させた状態にて車体側に近いハンドルパイプ先端
の前記貫通孔（10ａ）に通した後、該ワイヤ（２）の他
端を前記ロック本体（１）の他側部に設けられた錠止穴
（1a）に係止させてハンドルの回動操作を規制するよう
にしたことを特徴とするワイヤ式ハンドルロックであ
る。

【０００９】また、請求項２に記載の発明は、ロック本
体（１）が、二輪車のヘルメットボックス（32）内に固
定されているものである。

【００１０】さらに請求項３に記載の発明は、側面に貫
通孔（10ａ）を備えた係止部（10）を二輪車（30）のハ
ンドルパイプ（20）の先端に固定し、一方、二輪車（3
0）の車体側には、キーにて開錠可能な錠止機構を有す
るロック本体（１）を固定し、該ロック本体（１）の一
側部にワイヤ（２）の一端を固着すると共に、その他端
を、ハンドルを右または左に限界まで回動させた状態に
て車体側に近いハンドルパイプ先端の前記貫通孔（10
ａ）に通した後、該ワイヤ（２）の他端を前記ロック本
体（１）の他側部に設けられた錠止穴（1a）に係止させ
た状態で、該ロック本体（１）を二輪車（30）のヘルメ
ットボックス（32）内に収納し、この状態にてシート
（33）を閉じることによりハンドルの回動操作を規制す
るようにしたことを特徴とするワイヤ式ハンドルロック
である。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
から図５に基づき説明する。

【００１２】本発明に係るワイヤ式ハンドルロックは、
二輪車（30）のハンドル（21）先端に設けられた、貫通
孔（10ａ）を有する係止部（10）と、錠止機構を有する
ロック本体（１）と、このロック本体（１）に一端を固
着され、その他端がループを形成して該ロック本体
（１）に係止可能なワイヤー（２）とから構成されてい
る。

【００１３】係止部（10）は、図１に示すように、側面
にワイヤー（２）が貫通可能な貫通孔（10ａ）を有す
る、頭部を切り落とした円錐状のもので、その中心部に
凹溝（10ｃ）を有し、該凹溝（10ｃ）の底部にネジ孔
（10ｂ）を有するものである。

【００１４】係止部（10）のハンドル（21）先端への取
り付けは、まず、係止部（10）のネジ孔（10ｂ）にネジ
（14）を通し、このネジ（14）にハンドルパイプ（20）
内にしっくりはまる外径の弾性を有するグロメット（1
2）を通した後、ナット（13）にて係止部（10）にグロ
メット（12）を固定する。

【００１５】次いで、このグロメット（12）を図のよう
にハンドルパイプ（20）内に軽く圧入し、ネジ（14）を
ドライバで回転させると、グロメット（12）は、ナット
（13）とネジ（14）の頭部との間で圧縮され、径方向に
拡開するので、ハンドルパイプ（20）の内面に圧接固定
される。

【００１６】なお、係止部（10）のハンドル（21）先端
からの突出量は２０ｍｍ程度であり、二輪車の走行には
支障は無い。

【００１７】ロック本体（１）は、図３、図４に示すよ
うにアルミダイカストにより形成され、ほぼ箱状をなし
ている。そして、このロック本体（１）の上方一側部に
は、ワイヤー（２）の後端が挿入される穴（1b）が設け
られ、他側部（図３、図４においては左方）には、前記
ワイヤー（２）の先端部が係止される係止穴（1a）が設
けられている。

【００１８】また、ロック本体（１）の両側には、取付
孔（1c）（1c）を有する取付座（1d）が設けられてい
る。そして、ロック本体（１）は、この取付孔（1c）
（1c）を利用して、取付ボルト（図示しない）により、
図５に示すように二輪車（30）の車体（34）に固定され
る。なお、取付ボルトは、容易に取り外されないよう、
いわゆる首切りボルト（一定以上のトルクにより頭部が
ねじ切れてしまうボルト）や、あるいは特殊な工具でな
ければ、取り外すことができない形状のボルトを用いる
ことが望ましい。

【００１９】ロック本体（１）の内部には、図４に示す
ように、空間が形成され、この空間の下方には、先端
（図中左側）にロックプレート（4a）を有する棒状のス
ライダ（４）が前記係止穴（1a）の軸方向と直交方向に
組み込まれている。このスライダ（４）のロックプレー
ト（4a）の先端部は、上方に斜面（4b）を備え、常時前
記係止穴（1a）内に突出しているようにバネ（５）によ
り付勢されている。

【００２０】一方、このスライダ（４）の上方には、下
部にカム（3a）が一体形成されたシリンダ錠（３）が設
けられている。そして、このシリンダ錠（３）にキーを
挿入して回転させると、カム（3a）が連動して回転し、
スライダ（４）を後方（図の右側）に後退させてロック
プレート（4a）を係止穴（1a）から引っ込める。

【００２１】ワイヤ（２）は、一端がロック本体（１）
の穴（1b）に挿入され、側方からピン（６）を打ち込む
ことによりロック本体（１）に固着されている。一方、
このワイヤ（２）他端には、半球状頭部（2b）とその後
方に前記スライダ（４）と一体のロックプレート（4a）
の先端部が係合するリング状の係合溝（2a）が設けられ
ている。なお、このワイヤ（２）の長さは、二輪車のハ
ンドルを右もしくは左に切った状態で、ロック本体
（１）からハンドル（21）の先端までの距離の２倍程度
である。

【００２２】また、ワイヤ（２）は、通常、細い多数の
鋼線（素線）をより合わせて成るワイヤロープが使用さ
れるが、柔軟性のあるもので必要な強度を有し、使用に
支障がなければこれに限定されない。

【００２３】次に、本発明に係るワイヤ式ハンドルロッ
クの使用手順について、図５に基づき説明する。

【００２４】二輪車（30）を駐車し、ハンドルを左また
は右に限界まで回動させた後、ロック本体（１）に固定
されたからワイヤ（２）の半球状頭部（2b）をハンドル
（21）先端の係止部（10）の貫通孔（10ａ）に通し、こ
のワイヤ（２）の半球状頭部（2b）をロック本体（１）
側に引き戻してロック本体（１）の係止穴（1a）に差し
込む。

【００２５】これにより、ワイヤ（２）の係止溝（2a）
にスライダ（４）のロックプレート（4a）の先端部が、
バネ（15）の作用により自動的に係合するので、ワイヤ
（２）は錠止され、図４、図５に示すように、車体（3
4）とハンドル（21）先端とが連結されて、ハンドルの
回動操作が規制される。

【００２６】なお、ワイヤ（２）を係止部（10）の貫通
孔（10ａ）に通した状態では、図１に示すように、係止
部（10）を固定しているネジ（14）の頭部はワイヤ
（２）によって塞がれているので、ドライバ等の工具を
用いて係止部（10）を取り外すことは困難である。

【００２７】一方、このロック状態を解除するには、ロ
ック本体（１）のシリンダ錠（３）にキーを挿入して回
動（図３、図４においては反時計方向）させれば、この
シリンダ錠（３）に一体的に形成されたカム（3a）がス
ライダ（４）を後方へ押し戻し、ロックプレート（4a）
の先端部を係止穴（1a）から退出させると同時に、ロッ
クプレート（4a）と係合溝（2a）との係合が外れるの
で、ワイヤ（２）を係止穴（1a）から取り外すことがで
きる。

【００２８】なお、二輪車の移動自体を防止したい場合
には、ワイヤ（２）をハンドル（21）先端に係止しない
で、たとえば路上のポール等に巻き付けた後、ロック本
体（１）の係止穴（1a）に係止すればよい。

【００２９】上記の実施例においては、ハンドル（21）
先端に係止部（10）として先端を切り落とした円錐状の
ものを取り付ける構造を示したが、たとえば、図２のよ
うに、ハンドルパイプ（20）自体を延長してハンドル
（21）の端部より少し突出させ、この突出部の側面に直
接ワイヤ挿通用の貫通孔（20ａ）を設けるようにしても
よい。この場合、突出させたハンドルパイプ（20）先端
の開口部は、キャップ（15）により塞がれる。

【００３０】また、図６は、ロック本体（１）を二輪車
のヘルメットボックス（32）内に取り付けた場合を示し
たものである。

【００３１】この実施例によれば、二輪車を駐車した
後、まず二輪車のシート（33）をキーを使用して開放す
る。次に、このシート（33）の下部に設けられたヘルメ
ットボックス（32）内に取り付けられたロック本体
（１）から、ワイヤ（２）を伸ばし、前述と同様にハン
ドル（21）先端の係止部（10）の貫通孔（10ａ）に通
す。次いで、このワイヤ（２）をロック本体（１）側に
引き戻し、半球状頭部（2b）をロック本体（１）の係止
穴（1a）に差し込む。そして、この状態でシート（33）
を閉じて施錠することにより、ヘルメットボックス（3
2）の端部とシート（33）との間にワイヤ（２）を挟み
込んで、ロック本体（１）を外部から見えないようにす
るものである。

【００３２】なお、図７は、前記図６におけるロック本
体（１）を、ヘルメットボックス（32）内に取り付けな
い場合を示したものである。この状態においては、ロッ
ク本体（１）をヘルメットボックス（32）内に臨ませた
状態でシート（33）を閉じることにより、ヘルメットボ
ックス（32）の端部とシート（33）との間にワイヤ
（２）を挟み込んで、ロック本体（１）を外部から見え
ないようにするものである。

【００３３】上記の図６、図７の各実施形態によれば、
シート（33）を閉じた際にもロック機構が作用すること
に加えて、ロック本体（１）が車体外に露出しないた
め、安全機構が二重に作用するものである。さらに、ワ
イヤ式ハンドルロックを使用しないときは、そのままヘ
ルメットボックス（32）内に収納することが可能であ
る。

【００３４】また、これらの形態の場合、ロック本体
（１）は強固に作製しなくてもよいため、たとえば樹脂
製とすることができ、安価に製作することができる。

【００３５】本発明のワイヤ式ハンドルロックは、上記
以外にも様々な応用が可能である。たとえば、ロック本
体（１）にリング状のフック（図示せず）を設ければ、
二輪車のヘルメットハンガー等に係止することもでき
る。

【００３６】

【発明の効果】本発明は以上のような構成のため、構造
が簡単で部品点数が少なく、安価なロック手段を提供す
ることができる。また、ロック本体とワイヤは、ハンド
ルの回動操作を不能にする目的に使用しない場合には、
従来公知のワイヤロックやチェーンロックとして用いる
ことも可能であるため、使い勝手がよい。

【００３７】さらに、ロック本体を樹脂製とした場合に
は、軽量になるため、不意の落下による運転者のけが
や、車体が傷つくことを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 係止部を示す縦断側面図

【図２】 係止部の別の形態を示す縦断側面図

【図３】 ロック本体の正面図

【図４】 ロック本体の内部構造を示す、縦断正面図

【図５】 本発明の第一の使用状態を示す平面図

【図６】 本発明の第二の使用状態を示す平面図

【図７】 本発明の第三の使用状態を示す平面図

【図８】 従来のロック装置の使用状態を示す側面図

【符号の説明】

１……………ロック本体 1a……………係止穴 ２……………ワイヤ ３……………シリンダ錠 3a……………カム ４……………スライダ 10……………係止部 10ａ…………貫通孔 20……………ハンドルパイプ 21……………ハンドル 32……………ヘルメットボックス 33……………シート 34……………車体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】側面に貫通孔（10ａ）を備えた係止部（1
   0）を二輪車（30）のハンドルパイプ（20）の先端に固
   定し、一方、二輪車（30）の車体側には、キーにて開錠
   可能な錠止機構を有するロック本体（１）を固定し、該
   ロック本体（１）の一側部にワイヤ（２）の一端を固着
   すると共に、その他端を、ハンドルを右または左に限界
   まで回動させた状態にて車体側に近いハンドルパイプ先
   端の前記貫通孔（10ａ）に通した後、該ワイヤ（２）の
   他端を前記ロック本体（１）の他側部に設けられた錠止
   穴（1a）に係止させてハンドルの回動操作を規制するよ
   うにしたことを特徴とするワイヤ式ハンドルロック。
2. 【請求項２】ロック本体（１）が、二輪車のヘルメット
   ボックス（32）内に固定されている、請求項１に記載の
   ワイヤ式ハンドルロック。
3. 【請求項３】側面に貫通孔（10ａ）を備えた係止部（1
   0）を二輪車（30）のハンドルパイプ（20）の先端に固
   定し、一方、二輪車（30）の車体側には、キーにて開錠
   可能な錠止機構を有するロック本体（１）を固定し、該
   ロック本体（１）の一側部にワイヤ（２）の一端を固着
   すると共に、その他端を、ハンドルを右または左に限界
   まで回動させた状態にて車体側に近いハンドルパイプ先
   端の前記貫通孔（10ａ）に通した後、該ワイヤ（２）の
   他端を前記ロック本体（１）の他側部に設けられた錠止
   穴（1a）に係止させた状態で、該ロック本体（１）を二
   輪車（30）のヘルメットボックス（32）内に収納し、こ
   の状態にてシート（33）を閉じることによりハンドルの
   回動操作を規制するようにしたことを特徴とするワイヤ
   式ハンドルロック。