JPH10165983A - 排水の処理方法 - Google Patents

排水の処理方法

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JPH10165983A
JPH10165983A JP35199796A JP35199796A JPH10165983A JP H10165983 A JPH10165983 A JP H10165983A JP 35199796 A JP35199796 A JP 35199796A JP 35199796 A JP35199796 A JP 35199796A JP H10165983 A JPH10165983 A JP H10165983A
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JP
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treatment
culture
cod
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Application number
JP35199796A
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English (en)
Inventor
Taiji Funakoshi
泰司 船越
Koji Kasai
孝司 葛西
Akihiro Takahashi
明宏 高橋
Fumiko Nagai
冨美子 長井
Hiroshi Omura
浩 大村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yakult Honsha Co Ltd
Tokyo Metropolitan Government
Original Assignee
Yakult Honsha Co Ltd
Tokyo Metropolitan Government
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Publication date
Application filed by Yakult Honsha Co Ltd, Tokyo Metropolitan Government filed Critical Yakult Honsha Co Ltd
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  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水中に含まれる難分解性化合物を低減する
排水の処理方法、難分解性化合物の分解能を有する微生
物およびその固定化担体を提供する。 【解決手段】 排水中の難分解性化合物を特異的に分解
する能力を有する下記A群の属に属する1または2以上
の微生物を使用し、生物学的に難分解性化合物の量を低
減することを特徴とする排水の処理方法。 〔A群〕 ミクロコッカス(Micrococcus )属 コリネバクテリウム(Corynebacterium )属 アシネトバクター(Acinetobacter )属 アルカリゲネス(Alcaligenes )属 シュードモナス(Pseudomonas )属 エンテロバクター(Enterobacter)属 モラキセラ(Moraxella )属 フラボバクテリウム(Flavobacterium)属

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メッキ工場、化学
工場などの排水中に含まれる難分解性化合物の量を生物
学的に低減する排水の処理方法および排水中の難分解性
化合物の分解能を有する微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】工場などから排出される排水には、浮遊
物質や有機物質など様々な汚濁物質が含まれている。こ
のため、排水を河川などに放出する前に、排水中の汚濁
物質を低減させる必要がある。その際用いられる排水の
処理方法は、物理学的処理、化学的処理、生物学的処理
の3つに大別できる。物理学的処理とは、具体的には、
遠心分離法、濾過法、加圧浮上分離法、吸着法などであ
り、また、化学的処理とは、化学薬品の添加による有害
物質の無害化処理法、電気透析法、イオン交換法などを
指す。一方、生物学的処理とは、微生物を用いて、排水
中の有機物質を分解、除去するもので、物理学的処理、
化学的処理では処理の困難な有機物質などの処理にも有
用である。
【0003】生物学的処理は、近年、多くの排水処理施
設で利用されている方法であり、一般に、次の3段階、
すなわち、予備処理、生物酸化処理、汚泥の処理と処分
に分けることができる。予備処理にはスクリーン、沈砂
池、沈澱池あるいは浮上槽が含まれ、これらの装置は、
粗大な固形物や無機性の浮遊物などを除去し、さらに、
後に続く生物酸化処理施設への有機物質負荷を減少する
ために役立っている。
【0004】生物酸化処理を行う際の微生物の利用形態
としては、微生物を固体支持体表面に付着生育させて用
いる方式と、微生物群を液中に懸濁させる方式とがあ
る。前者は通常固定床式の装置(散水濾床法など)によ
って、また、後者は流動床式の装置(活性汚泥法など)
によって遂行される。これらの装置では、微生物が排水
中の有機物質を資化して、コロイド性および溶解性の有
機物質の除去を行っており、排水中の有機物質は、主に
この段階で低減されることになる。しかしながら、活性
汚泥法などでは、有機物質を資化し増殖した微生物は、
フロックを形成し沈澱することとなるため、それらのう
ち一部は、再度生物酸化処理に供され、残りは汚泥の処
理と処分の工程で脱水され、処理されることになる。
【0005】また、固定床式の装置において排水処理を
行う場合に、微生物を固定化する方法には、結合固定化
法または包括固定化法がある。結合固定化法とは、共有
結合、イオン結合、物理的吸着により不溶性の担体に微
生物を結合させる方法であり、包括固定化法とは、低分
子化合物を重合あるいは会合させるか、または高分子化
合物を可溶の状態から不溶の状態に移すことによって生
じる高分子ゲルに微生物を包み込む方法である。前者の
素材としては、セラミックス担体、セルロース担体、粒
状活性炭などが用いられ、後者には、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、カラギーナンなどが用いられる。
【0006】また、排水中の汚染度を示す指標として
は、BOD(生化学的酸素要求量)およびCOD(化学
的酸素要求量)が用いられている。BODとは、微生物
が排水中の有機物質を分解するために必要とする酸素の
量であり、この値から水中の有機物質量を求めるもので
ある。CODとは、酸化剤として重クロム酸カリウムな
どを加え、反応させた後、その消費量から水中の有機物
質量を求めるものである。上記の生物酸化処理などの工
程では、排水中のBODやCOD、pH、温度、排水の
流量など様々な因子を制御することにより、微生物を安
定な状態に保ち、安定した処理を行っているのである。
【0007】また、一般に、処理後の排水中のBOD値
はCOD値よりも低くなる傾向がある。これは、微生物
が排水中の有機物を資化するにつれて、BODとして検
出される糖質やタンパク質などは減少していくのに対
し、BODとして検出されずにCODとして検出される
物質、すなわち、微生物による資化が困難な物質は、そ
のまま排水中に残存するためである。微生物により資化
されにくい物質(難分解性化合物)の中には、化学処理
を行えないものもある。例えば、断熱、蓄熱効果を持つ
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、化学処理によって塩
酸を発生してしまう。このため、現状ではPCBは処理
せず、保存するように指導されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の活性汚泥処理、
散水濾床処理などは、排水中の汚濁物質を低減するため
のすぐれた方法である。しかしながら、流入排水中には
通常の生物酸化処理では処理が困難な物質が含まれてい
る場合もある。ドライクリーニングの溶剤などに使用さ
れていたトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、
さらにはPCBなどはその代表例であり、その他未だ同
定されていない物質も多種含まれている。これらは、B
ODとしては検出されず、CODとして検出される物質
であり、難分解性の化合物ということができる。難分解
性の化合物は、生活排水よりも化学工場などの事業場か
らの排水に多く含まれており、事業場を多く抱える処理
場においては、これらの難分解性化合物を除去すること
が重要な課題となっている。
【0009】このような難分解性化合物を低減させる方
法としては、薬品処理、オゾン酸化などの化学的処理方
法が挙げられるが、中にはPCBのように化学処理の不
可能な物質もある。また、より安全かつ安価に難分解性
化合物を処理するためには、生物学的方法による処理が
最も好適である。また、生物学的処理によれば、排水中
の汚濁物質が同定されていなくても、微生物に該物質を
資化する能力があれば、何ら問題なく処理を行えるとい
う利点もある。このため、難分解性化合物を特異的に分
解する微生物を探索し、得られた微生物をクローニング
し、排水処理に用いることが望まれている。本発明は、
排水中の難分解性化合物の量を生物学的方法により低減
させる方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
〔A群〕
ミクロコッカス(Micrococcus )属 コリネバクテリウム(Corynebacterium )属 アシネトバクター(Acinetobacter )属 アルカリゲネス(Alcaligenes )属 シュードモナス(Pseudomonas )属 エンテロバクター(Enterobacter)属 モラキセラ(Moraxella )属 フラボバクテリウム(Flavobacterium)属 本発明は、また、難分解性化合物の分解能を有する下記
B群に示す微生物を提供するものである。 〔B群〕 ミクロコッカス(Micrococcus )属細菌A−10−1株 アシネトバクター(Acinetobacter )属細菌B−46株 シュードモナス(Pseudomonas )属細菌H−2株 エンテロバクター(Enterobacter)属細菌D−10株 モラキセラ(Moraxella )属細菌E−20株
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明について、更に詳細
に説明する。まず、本発明の難分解性化合物とは、通常
の生物酸化処理では処理が不可能であり、排水中におい
てBODとしては検出されず、CODとして検出される
物質のことである。本発明では、具体的には、小台処理
場の2次処理水を基質として使用した。小台処理場の排
水中に含まれている難分解性化合物は未だに同定されて
おらず、また、化学的に処理しにくいという面もある。
このため、次に、これら難分解性化合物を資化しうる微
生物を探索することとした。
【0012】難分解性化合物を分解する微生物は、小台
処理場の活性汚泥槽および芝浦実験場実験プラントより
スクリーニングされ、得られた451株の微生物中から
探索した。スクリーニングは2段階に分けて行った。す
なわち、小台処理場の2次処理水を濾過滅菌した基質を
1次スクリーニングし、難分解性化合物分解能の高い微
生物を選別し、さらに、2次スクリーニングにより数値
的にも有意に分解能の高い微生物を選択した。これに併
せて、探索時に用いるのに好適な培地および培養方法な
どについても検討した。培地の検討には、ブイヨン培
地、桜井の培地、活性汚泥抽出液培地(ASE培地)、
CGY培地を用いた。また、培養方法としては、ジャー
ファーメンターでの回分培養、集積培養、坂口フラスコ
での集積培養について検討を行った。このようにして得
られた19株のうち以下の微生物は工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託されている。 ミクロコッカス(Micrococcus )属細菌A−10−1株
(FERM P-15982) アシネトバクター(Acinetobacter )属細菌B−46株
(FERM P-15979) シュードモナス(Pseudomonas )属細菌H−2株 (FE
RM P-15980) エンテロバクター(Enterobacter)属細菌D−10株
(FERM P-15983) モラキセラ(Moraxella )属細菌E−20株 (FERM P
-15981)
【0013】次に、上記において得られた微生物につい
て、大量培養に好適な温度、pH、培地、などについて
検討した。19株全てが至適温度30℃であり、pHは
全般的に6.0〜7.0が至適な条件であった。至適培
地の検討には、低栄養培地であるCGY培地の成分量を
増減させた改変培地1および改変培地2(組成は後に記
載)を使用し、増殖に与える影響を検討した。H−3株
を除いては、高栄養の改変培地1においてよく増殖して
おり、H−3株が最も低栄養細菌であることが分かっ
た。
【0014】また、一般的に、難分解性化合物を1種類
の微生物が単独で分解することは非常に少なく、多くの
場合数種類の微生物による共生系であることが多いこと
が分かっている。そこで、数種類の微生物を組合せた場
合のCOD低減能を試験したところ、単独でもCOD低
減能の高い菌株を含む菌株同志の組合せがより有効であ
った。
【0015】このようにして得られる微生物は単独また
は複数種の組合せにより、生物酸化処理中の2次処理工
程で使用される。その際には、微生物群を液中に懸濁さ
せる方式よりも固体支持体表面に付着生育させて用いる
方式の方が好適である。これは、微生物を支持体表面に
付着させることにより、微生物の流出を防ぐことがで
き、濃厚な菌液を得られるためである。
【0016】また、微生物を支持する担体について、そ
の性能を評価するために、担体の有用細菌保持能につい
て検討した。このとき、固定化の方法は全ての担体に対
して同様とし、各担体毎に結合固定化法および包括固定
化法を試みた。結合固定化法による担体の固定化は、通
常数週間から数ヵ月の間、活性汚泥などの中で馴養する
ものであり、純粋培養した有用細菌についての報告は非
常に少ない。純粋培養した有用細菌を固定化する方法と
しては、濃厚な培養液に担体をそのまま浸漬する方法と
培養当初から培地の中に担体を入れて培養し、担体の内
部に菌を増殖させる方法とが考えられる。前者の方が実
用的であり、滅菌などの操作が不要であるという利点も
あるので、本発明の方法には適しているものと思われ
る。また、包括固定化法としては、代表的な方法である
PVA−冷凍法を用いて検討した。固定化の方法は結合
固定化法、包括固定化法共に利用可能であり、特に、結
合固定化法が好適である。
【0017】有用細菌を固定化する担体の選定にあたっ
ては、その条件として、迅速簡便に固定化ができるこ
と、担体中の細菌保持能が高いこと、リアクターに用い
るときの比重の軽さと耐久性を備えていることなどが挙
げられる。一般的には、PVAが優れているが、今回の
ように2次処理水中の担体として適用すると、PVA担
体自体からCOD物質が溶出してしまうことが分かって
いるので、よりCOD物質の溶出の少ない多孔性セルロ
ースを用いることとした。
【0018】そこで、多孔性セルロースを担体として、
有用微生物固定化担体の有効性を検討した。試験の際に
は、単独または複数の菌株を使用し、回分式曝気法、循
環型担体充填カラム法、通気型担体充填カラム法による
難分解性化合物低減への有効性を検討した。COD低減
能はUV吸収パターンで確認した。
【0019】次に、実験例を示して具体的に説明する。 実験例1 連続培養による有用微生物の探索 (1)ジャーファーメンターでの回分培養及び集積培養 10リットルのジャーファーメンターを用いて、以下の
培養−1〜7までの連続的回分培養実験及び培養−8、
9の集積培養実験を行った。培養はいずれも温度25
℃、攪拌150rpmにて行った。培養終了時点の判断
は各々の培養時におけるpHの低下を指標とした。ま
た、生菌数の測定はCGY培地で行い、COD値はポナ
ールキット−COD・L(同仁化学製、和光純薬株式会
社発売)を用いて測定した。CODの低下が認められた
時点の培養液をCGY培地にて平板培養し、純化した。
【0020】培養−1 10リットルのジャーファーメンターに、難分解性化合
物を含んだ小台処理場の2次処理水を3倍濃縮した液5
リットルを高圧滅菌して仕込み、小台処理場の活性汚泥
を植菌したのち、連続的に回分培養し、0、4、24、
34、48、72、96時間ごとの生菌数、COD、p
Hの経時変化を調べた。同様の培養を5回行い再現性の
確認を行った。5回共、CODの低下が認められた24
時間後の培養液より、特徴的な10集落を選択して釣菌
し、78株を単離した。
【0021】培養−2 小台処理場の2次処理水5リットルを濾紙による濾過処
理をした後、10リットルジャーファーメンターに入
れ、小台処理場の活性汚泥を植菌した。連続的に回分培
養し、0、6、12、24、48、72、96時間ごと
の生菌数、COD、pHの経時変化を調べた。CODの
低下が認められた48時間後の培養液より、特徴的な7
0集落を釣菌し、76株を単離した。
【0022】培養−3 小台処理場の2次処理水5リットルを濾紙による濾過処
理をした後、10リットルジャーファーメンターに入
れ、芝浦実験場実験プラントから採取した生物活性炭
(粒子径大を湿重量にして150g)を添加し回分培養
した。0、24、48時間目に生菌数、COD、pHの
経時変化を調べ、48時間後の培養液より53集落を釣
菌し、48株を単離した。
【0023】培養−4 小台処理場の2次処理水5リットルを濾紙による濾過処
理をした後、10リットルジャーファーメンターに入
れ、芝浦実験場実験プラントから採取した生物活性炭
(粒子径小を湿重量にして150g)を添加し回分培養
した。0、24、48時間目に生菌数、COD、pHの
経時変化を調べ、CODの低下が認められた48時間後
の培養液より20集落を釣菌し、25株を単離した。
【0024】培養−5 小台処理場の2次処理水5リットルを濾紙による濾過処
理をした後、10リットルジャーファーメンターに入
れ、当社の排水処理場の活性汚泥を植菌した後、連続的
に回分培養を行った。0、12、24、48、72時間
目に生菌数、COD、pHの経時変化を調べ、CODの
低下が認められた48時間後の培養液より32集落を釣
菌し、44株を単離した。
【0025】培養−6 10リットルのジャーファーメンターに、芝浦実験場実
験プラントのオゾン処理水をそのままで5リットル入
れ、同プラントの生物活性炭(粒子径大を湿重量にして
150g)を添加し回分培養を行った。0、2、15、
24、48、72、96時間目に生菌数、COD、pH
の経時変化を調べた。72時間後の培養液より35集落
を釣菌し、35株を単離した。
【0026】培養−7 10リットルのジャーファーメンターに、芝浦実験場実
験プラントのオゾン処理水をそのままで5リットル入
れ、同プラントの生物活性炭(粒子径小を湿重量にして
150g)を添加し回分培養を行った。0、2、15、
24、48、72、96時間目に生菌数、COD、pH
の経時変化を調べた。48時間後の培養液より35集落
を釣菌し、33株を単離した。
【0027】培養−8 10リットルのジャーファーメンターに、高圧滅菌した
小台処理場の2次処理水5リットルを入れ、同処理場の
活性汚泥を植菌した。温度25℃、攪拌150rpmに
て回分培養し、一週間毎に同2次処理水を追加しながら
集積培養を2ヶ月行った。終了後、培養液から6株の優
占菌を単離した。
【0028】培養−9 10リットルのジャーファーメンターに、濾過滅菌した
小台処理場の2次処理水5リットルを入れ、同処理場の
活性汚泥を植菌した。温度25℃、攪拌150rpmに
て回分培養し、1週間毎に同2次処理水を追加しながら
集積培養を2ヶ月行った。終了後、培養液から11株の
優占菌を単離した。
【0029】(2)坂口フラスコによる集積培養 処理水を適切な方法で処理して、500ミリリットル容
の坂口フラスコに100ミリリットル分注し、活性汚泥
及び生物活性炭を植菌した後、23℃にて振盪培養し、
以下の培養−10〜15を行った。
【0030】培養−10 高圧滅菌した小台処理場の二次処理水を500ミリリッ
トル容の坂口フラスコに100ミリリットル分注し、同
処理場の活性汚泥を植菌した後、23℃にて振盪培養し
た。同様の2次処理水に5日毎に継代して、生菌数、C
OD、pHを調べた。10代継代した時点で、7株の優
占菌を分離した。
【0031】培養−11 濾過滅菌した小台処理場の2次処理水を500ミリリッ
トル容の坂口フラスコに100ミリリットル分注し、同
処理場の活性汚泥を植菌した後、23℃にて振盪培養し
た。同様の2次処理水に5日毎に継代して、生菌数、C
OD、pHを調べた。10代継代した時点で、12株の
優占菌を分離した。
【0032】培養−12 500ミリリットル容の坂口フラスコに芝浦実験場実験
プラントのオゾン処理水を100ミリリットル分注し、
無滅菌の生物活性炭(粒子径大を湿重量にして3g)を
添加して浸透培養を行った。開始時、1日目、3日目、
7日目の生菌数、COD、pHを調べた。7日目に28
集落を釣菌し、27株を単離した。盲検として、高圧滅
菌処理した生物活性炭を添加した培養も行い、生物活性
炭の有効性を実証した。
【0033】培養−13 500ミリリットル容の坂口フラスコに芝浦実験場実験
プラントのオゾン処理水を100ミリリットル分注し、
無滅菌の生物活性炭(粒子径小を湿重量にして3g)を
添加して浸透培養を行った。開始時、1日目、3日目、
7日目の生菌数、COD、pHを調べた。7日目に20
集落を釣菌し、24株を単離した。盲検として、高圧滅
菌処理した生物活性炭を添加した培養も行い、生物活性
炭の有効性を実証した。
【0034】培養−14 濾過滅菌した小台処理場の2次処理水を500ミリリッ
トル容の坂口フラスコに100ミリリットル分注し、無
滅菌の生物活性炭(粒子径大を湿重量にして3g)を添
加した後、25℃にて浸透培養した。培養−12、13
と同様に7日目に9集落を釣菌し、13株を単離した。
【0035】培養−15 濾過滅菌した小台処理場の2次処理水を500ミリリッ
トル容の坂口フラスコに100ミリリットル分注し、無
滅菌の生物活性炭(粒子径小を湿重量にして3g)を添
加した後、25℃にて浸透培養した。培養−14と同様
に7日目に8集落を釣菌し、12株を単離した。
【0036】実験例2 難分解性化合物分解能を有する微生物の検討 (1)1次スクリーニング 実験例1において得られた計451株の微生物をさらに
選別することとした。そこで、小台処理場の2次処理水
を基質とした場合の増殖活性が高く、COD低減能の高
い菌株を検索した。材料および方法は以下の手順に従っ
た。 基質:小台処理場の二次処理水を0.45μmのメンブ
レンフィルターを用いて濾過したものを、滅菌した(1
21℃、15分)試験管に8ml分注し、基質とした。 植菌:流動パラフィンを重層して25℃に保存している
有用細菌の各株をCGY平板培地に画線培養した。3〜
10日後、1白金耳をかきとり、基質の入った試験管に
植菌した。 増殖の確認:植菌した試験管を25℃にて激しく振盪さ
せて、10日間培養を続けた。植菌していない基質の入
った試験管をコントロールとして、植菌した試験官の基
質の濁りを肉眼で観察した。 増殖の度合いの判定は以下の基準で表した。 − :コントロールと比較して全く同じである。 + :コントロールと比較して多少の濁りが観察され、
菌の増殖が推測される。 ++:コントロールと比較して明らかに濁っており、活
発な菌の増殖が推測される。 1次スクリーニングの結果、+以上の判定が得られたの
は、451株中203株であった(表1)。
【0037】
【表1】
【0038】(2)2次スクリーニング 次に、1次スクリーニングで得られた有用株203株に
ついて、培養後の培地中の残留CODが少ない菌株を選
別した。材料および方法は以下の手順に従った。 基質:1次スクリーニングで用いたと同じ小台処理場の
2次処理水を濾過滅菌した基質を、500mlの滅菌坂
口フラスコに100ml分注した。 植菌:1次スクリーニングで+以上の増殖を示した20
3株をCGY平板培地に画線培養し、1次スクリーニン
グとまったく同じ方法で試験管培養を行った。3〜10
日後、増殖した培養液全量を、基質の入った坂口フラス
コに無菌的に注入した。 増殖の確認:植菌した坂口フラスコを25℃にて、激し
く振盪培養した。培養中の坂口フラスコを毎日観察し、
1次スクリーニングと同様に増殖を示す濁りが確認でき
た時から3〜4日を目安に培養を停止した。各菌株の難
分解性COD物質の資化能力を比較するためには、一定
の期間を定めて難分解性COD物質の低下量を比較する
ことが必要であったからである。 CODの測定:培養液を、0.45μmのメンブレンフ
ィルターで濾過し、菌体を除去した。濾液について、ポ
ナールキット−COD・L(同仁化学製,和光純薬株式
会社発売)を用いてCOD値を測定した。別に、基質の
COD値も測定しておき、培養前後のCOD値を比較し
た。 この結果、基質のCOD値=19mg/mlを12mg
/mlまで低下させた株は50株であり、11mg/m
lまで低下させた株は21株であった(表2)。21株
の内、非常に増殖の遅いB−37株、C−9株を除いた
19株については、その属種を同定して性質を調べるこ
ととした。
【0039】
【表2】
【0040】実験例3 難分解性化合物を資化する有用細菌の同定 実験例2において選別した19株を以下のように同定し
た。分離菌株をCGY培地を用いて25℃で培養した。
菌株についてグラム染色を行い、形態を観察した。運動
性試験、芽胞形成試験、オキシダーゼ試験、カタラーゼ
試験、OFテスト、嫌気性培養試験、普通寒天培地およ
びマッコンキー寒天培地での発育試験およびアピ20
E、アピ20NE、アピスタフ(日本ビオメリュー
(株)販売)による各種生化学性状試験を行い、分離菌
を同定した。なお、A−10−1については、200μ
g/lリゾスタフィン感受性テストも行った。これらの
データと共に、水界環境細菌の同定検索表を用いて同定
を行った。同定結果は表3〜9および表10に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】
【0048】
【表10】
【0049】実験例4 有用細菌の大量培養のための培養条件の検討 (1)至適温度の検討 分離用培地である下記の組成のCGY培地を用いて至適
温度の検討を行った。500ミリリットル容の坂口フラ
スコに100ミリリットルのCGY培地を入れ、初発p
Hを7.0として25℃、30℃および37℃にて振盪
培養した。経日的に培養液の濁度(吸光度=OD66
0)を測定し増殖の目安とした。その結果、特に増殖の
速い菌株はA−10−1、A−44−2、B−10、D
−10、E−21、I−1株であった。非常に遅い菌株
は、B−46、B−47、B−50、B−56、H−3
株であった。また、37℃では、A−10−1、A−4
4−2、B−10、B−20、D−10、E−21、I
−1株以外は殆ど増殖しなかった。25℃ではB−4
6、B−50株に増殖が見られず、増殖に適する温度域
が狭い菌株であることが分かった。全菌株の至適温度は
30℃であった。 CGY培地組成 カシトン 5g グリセリン 5 イーストエキス 1 蒸留水 1000ml pH7.0
【0050】(2)至適pHの検討 次に、下記の組成のPGY培地(一般的に増殖が良く、
醗酵工業で汎用される培地)を用いて至適初発pHの検
討を行った。増殖の目安は(1)と同様とした。また、
その時得られた結果より、培養温度は30℃に設定し、
pH5.0、pH6.0、pH7.0、pH8.0のそ
れぞれについて振盪培養を行った。その結果、A−10
−1、A−44−2、B−10、B−20、D−10、
D−11、E−21、H−2、I−6株については増殖
も良く、それぞれの至適pHを決定することができた。
しかし、その他の菌株については、PGY培地中での増
殖が遅いため、分離培地であるCGY培地を用いて再度
至適pHの検討を行った。PGY培地で増殖が悪いこと
は、栄養豊富な培地では増殖しないことの証明である。
即ち、これらの菌株は活性汚泥中の細菌に特徴的な低栄
養細菌であることが判明した。A−10−1、D−10
株以外はpH8.0では全く増殖しなかった。また、B
−46株以外はpH5.0では殆ど増殖しなかった。全
般的にpH6.0、pH7.0の中性域が至適なpH条
件であることが分かった。 PGY培地組成 グルコース 20g ポリペプトン 10 イーストエキス 5 リン酸1カリウム 1 リン酸2カリウム 2 硫酸マグネシウム 0.5蒸留水 1000ml pH条件 5.0、6.0、7.0、8.0
【0051】(3)至適培地の検討 至適培地を検討することは、担体に固定化するために大
量の菌体を得るには必要不可欠な検討項目である。しか
しながら、培地成分の微量補填成分まで深く検討するこ
とは本発明の目的から判断して不必要と考えられる。即
ち、短時間で多くの全菌体を収穫することが目的である
ことから、微量な栄養素については検討の必要性はない
と考えられた。そこで、(2)の実験においてPGY培
地で充分に増殖しなかった菌株についてのみ、より生産
性の高い好適な培地を検討することとした。PGY培地
で増殖しないことから、低栄養細菌であることが判明し
たが、少しでも多くの菌体を得るためには至適な培地濃
度が必要と考えられる。そこで、CGY培地を基本とし
てその成分量を増減させた下記の組成のCGY改変培地
1(CGY濃)および改変培地2(CGY薄)で培養
し、増殖に与える影響を調べた。その結果、H−3株以
外はCGY改変培地1のほうが増殖が良かった。従っ
て、今回分離した菌株のなかでも最も低栄養細菌といえ
るのはH−3株であることが分かった。 CGY改変培地1組成 カシトン 20g グリセリン 10 イーストエキス 2 蒸留水 1000ml pH7.0 CGY改変培地2組成 カシトン 10g グリセリン 5 イーストエキス 1 蒸留水 1000ml pH7.0 以上の検討結果をまとめて表11に示す。
【0052】
【表11】
【0053】実験例5 分離株の組み合せによるCOD低減能の検討 実験例2において選別した19株の微生物を組み合せて
用いた場合のCOD低減能を検討した。種菌用としてC
GY平板培地に有用微生物を画線培養した。組み合せる
有用微生物を1白金処理耳づつとり、基質の入った試験
管に植菌し、10日間培養した。その培養液全量を、基
質の入った坂口フラスコに植菌した。大体、2〜4株程
度の組み合わせ42通りについて試験した。培養方法と
COD値の測定方法は、2次スクリーニングと全く同じ
方法を用いた。結果的に、単独でのCOD低減能が高い
菌株は、組み合わせても高くなる傾向があった(表12
および表13)。
【0054】
【表12】
【0055】
【表13】
【0056】実験例6 担体の種類および固定化方法の検討 (1)固定化担体の作製方法 結合固定化法のための担体として、9種類を入手した。
これらの特徴は表14に示した。全ての担体に対して結
合固定化法および包括固定化法により微生物を固定し
た。結合固定化法における固定化担体の作製、担体表面
の生菌数の比較は以下のように行った。 〔浸漬による固定化担体の作製方法〕 固定化する菌株をジャーファーメンターで培養す
る。培養条件は、実験例3で決定した条件に従う。 対数増殖期の培養液500mlを滅菌した三角フラ
スコにいれる。 各担体を100gもしくは50g秤量し、の三角
フラスコに投入する。 24時間後、浸漬した担体の一節を取り出し、担体
中の生菌数を測定する。 72時間後、残りの浸漬した担体についてと同様
の生菌数を測定する。〔担体からの細菌の溶出方法〕 担体10粒または1枚を切断もしくはすり潰す。 をガラス製試験管の生理食塩水10ml(0.1
%Triton X−100含有)中に入れる。 5分間60Wで超音波処理する。 を充分にミキシングした後、再度5分間60Wで
超音波処理する。 外液を生菌数測定用の溶出液とする。 〔生菌数の測定方法〕 溶出液の生菌数は希釈平板法により計数する。 計数培地はCGY培地を用いる。また、包括固定化
法については従来からの報告をもとにPVA溶液を20
%とし、濃縮菌液との混合比を1:1として作製した。
各種の担体を比較するときの菌株はA−10−1株を用
いた。各種の担体の細菌保持能を比較した結果を表15
に示す。
【0057】
【表14】
【0058】
【表15】
【0059】(2)有用細菌固定化担体の有効性試験 有用細菌固定化担体の有効性試験を行うにあたり、各担
体そのものから溶出すると考えられるCOD物質につい
て調べた。試験方法は500mlの蒸留水に6重量%に
なるように各担体を投入後、曝気を行い、30分後に蒸
留水中のCOD値を測定した(表16)。また、担体か
らの溶出物のUV吸収パターンを調べた。表16から分
かるように、溶出COD値が非常に高い担体が多く、今
回の試験には殆どの担体が使用不適と考えられた。そこ
で、今回は、担体の性能評価の一つである細菌保持能を
基準として使用担体を選択することとした。なお、PV
Aと多孔性セルロースの性能を溶出するCOD値で比較
検討したところ、水100mlに対する10容量%の重
量は、PVAは83.4g、多孔性セルロースは8.1
gであった。この値をもとに表16よりCOD値を換算
するとPVAのCOD値は264ppmで多孔性セルロ
ースのCOD値は54ppmとなった。従来、生物反応
槽の担体は容量比で投入されるため、生物反応槽内の担
体からの溶出COD物質は多孔性セルロースのほうが少
ないと考えられる。これらの検討結果を鑑みて、以後の
有効性試験においては主に多孔性セルロースを使用し、
次いで繊維状担体、活性炭、セラミック担体等を使用す
ることとした。多孔性セルロースを選択した理由は、次
の3点によった。 最大の細菌保持能を示したこと。 一旦保持した細菌が剥落しにくいこと 非常に短時間に結合すること(3時間程度で充分で
ある) ここで、有効性の評価方法は、COD値を基準とできな
いことより、固定化担体処理前後の2次処理水の特徴的
なUV吸収パターンを比較することとした。また、有効
性試験は単独の菌株による場合と組み合わせて菌株によ
る場合にわけて説明する。
【0060】
【表16】
【0061】実験例7 組み合せ菌株の担体固定化の検討 表13における菌株の組み合せの内、A−10−1、D
−10、H−2、H−3の混合菌体を用いて、固定化す
るための方法を検討した。使用する担体は多孔性セルロ
ース担体とし、4株についてそれぞれの至適培養条件で
培養し、固定化した段階で混合することとした。以下に
その手順を示す。 〔組み合わせ菌株の浸漬による固定化担体の作製方法〕 4株をそれぞれ500ml容坂口フラスコに5本づ
つ培養する。 多孔性セルロース担体を105℃、10分間高圧滅
菌した後、滅菌水で洗浄する。次いで、の坂口フラス
コに投入する。 24時間後担体を取り出し、固定化されていない表
面の遊離菌体を滅菌水で洗浄して固定化担体とする。 尚、組み合せ菌株による固定化担体の有効性試験につい
ては、実施例2に示す。
【0062】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1 単独菌株による固定化担体の有効性試験 分離した19株の有用細菌のうち特にCOD低下能の高
い10株(表11中の網掛け部分)について担体に固定
化し、2次処理水にたいする有効性試験を行った。供試
2次処理水は小台処理場の2次処理水を用いた。2次処
理水のCOD値は13ppmであった。以下において処
理プロセスごとに有効性試験結果を説明する。
【0063】(1)回分式曝気法による有効性試験 実験に用いた回分式曝気法の処理装置を図1に示す。選
択した10株を至適培養条件でジャーファーメンターに
て培養した。得られた培養液に、105℃、10分間高
圧滅菌した後洗浄した多孔性セルロース(培養液500
mlに対し乾重量にして50gの多孔性セルロース)を
20時間浸漬して固定化した。各単離菌株で固定化した
多孔性セルロース担体について回分式曝気法による有効
性試験を行った。曝気開始10時間後のUV吸収パター
ンをとり、開始時のUV吸収パターンと比較した。その
結果を図2(A−10−1株)に示した。スクリーニン
グにおいてCOD値の低下能の高かったA−10−1株
はUV吸収パターンにおいても明らかにCOD物質の減
少を予測させた。また、同様に、B−48、B−47、
E−21株でも良好な結果が得られた。しかし、COD
値を良く低減させたH−2、H−3株については曝気開
始10時間後のUV吸収パターンからはCODの低減の
様子は見られなかった。しかしながら、曝気開始36時
間後のUV吸収パターンでは、H−3、I−1株におい
てCODの低減が認められた。この原因としては、多孔
性セルロースに結合した菌量の差によるのではないかと
思われた。次に、UV吸収パターンでCOD低下能が確
認されたA−10−1株について、多孔性セルロース以
外の繊維状担体(ポリエステル)およびCB濾材(セラ
ミック)での有効性試験を行った。しかしながら、曝気
開始36時間後においてもUV吸収パターンにおける大
きな変化は認められなかった。両担体ともに曝気開始後
数時間内に処理水に顕著な白濁が認められたことによ
り、一旦結合した細菌が剥落したのではないかと思われ
た。但し、今回の結合条件は20時間の浸漬法を採用し
ているため、これらの担体においては最適方法ではなか
ったのではないかと推測された。
【0064】(2)循環型担体充填カラム法による有効
性試験 活性汚泥法と併用する固定化担体法の殆どは曝気槽中に
固定化担体を投入する、いわゆる回分式曝気法である。
確かに実用化を考えた場合、コスト高が予測されかつ大
量処理が困難と思われる担体充填カラム法が敬遠される
ことは想像に難くない。しかしながら、難分解性COD
物質等を分解する細菌は一般的に増殖が遅く、活性汚泥
中の優勢な細菌に比較してその活動は抑制される傾向に
あるといえる。活性汚泥中に投入したり、2次処理水中
に投入する方法は攪拌曝気法では、投入する固定化担体
の量に限界がある。その為、分解に必要な菌量が確保出
来ない恐れがあると考える。そこで、回分式曝気法に比
較して、充分量の固定化担体で処理することが可能な担
体充填カラム法による単離菌株の有効性試験を試みた。
図1に実験装置の概略を示した。担体充填カラムに下部
より充分量の空気を注入しニアーリフト型とした。この
時の空気量は担体が充填カラム中で流動する程度に調製
した。原水槽(2次処理水をそのまま使用した)より2
次処理水を1.5ml/分の流速で充填カラムの下部よ
り送液した。同時に、上部より同じ流速で処理水を引き
抜き原水槽に返送して一定の流速で担体充填カラム内を
循環させた。A−10−1株固定化多孔性セルロース担
体を用いた循環型担体充填カラム法による処理の経時的
なUV吸収パターンの変化を調べた。その経時的な変化
を図3に示した。より詳細な拡大図を図4に示した。処
理水のみのUV吸収パターンに特徴的に現れる308n
mのピークを指標として2次処理水中のCOD物質の除
去率を計算したところ、4時間後には81.3%、16
時間後も81.2%まで除去できた。しかしながら、滞
留時間が20時間になると2次処理水の混濁が激しくな
り、他の細菌等による汚染が見られた。即ち、今回の条
件下における適正な滞留時間は4時間から16時間と判
断された。次にA−10−1株固定化CB濾材を用いて
同様な条件で実験を行った(図5)。多孔性セルロース
担体との大きな違いは、CB濾材では滞留時間が36時
間でも処理能力を保有していた。多孔性セルロースと同
様に除去率を計算したところ、4時間後に4.4%、6
時間後に7.8%、18時間後に30.0%、36時間
後に42.9%の除去率を示した。なお、多孔性セルロ
ース使用時とCB濾材使用時の2次処理水のUV吸収パ
ターンには大きな違いが認められた。この現象は、担体
から溶出するUV吸収物質が2次処理水のUV吸収パタ
ーンに影響を与えることが原因であろうと推測される。
その他にも繊維状担体(ポリエステル)と活性炭を用い
て同様の処理を行った。繊維状担体は処理水の混濁が激
しく、活性炭はエアーリフトによる活性炭同志の摩擦に
よる損傷が激しかった。両担体ともに見るべき成果は得
られなかった。
【0065】(3)通水型担体充填カラム法による有効
性試験 次に通水型担体充填カラム法による有効性試験を行っ
た。実験装置の概略は図1に示した。前記(2)の条件
下で試験した循環型担体充填カラム法による処理実験の
結果から、担体滞留時間は4時間から16時間が適正で
あることが分かった。そこで、通水型担体充填カラム法
による処理を行う際の、処理水がカラム内を通過する時
間を10時間と設定した。循環型担体充填カラム法と同
様にカラムの下部より充分量の空気を注入し、原水槽
(2次処理水をそのまま使用した)から2次処理水を2
ml/分の流速で充填カラムの下部より送液した。カラ
ム上部より同じ流速で処理水を引き抜き、2次処理水が
カラム内を一定の流速で通過するようにした。通過した
処理水のUV吸収パターンをとり、通水開始時のUV吸
収パターンとの相違を検討した。その結果を図6から図
7に示した。固定化担体をカラムに充填し、処理水で平
衡化したときのUV吸収パターン、通水を開始して3時
間後の処理水のUV吸収パターンを比較すると、両者の
UV吸収パターンに大きな相違があり、COD物質の低
減が認められた。通水開始48時間後のUV吸収パター
ン、72時間後のUV吸収パターン、通水開始時から7
2時間後の処理水のUV吸収パターンの経時的変化を比
較すると、図から明らかなように通水開始3時間以後は
安定した処理が行われていることが認められた。次に、
循環型担体充填カラム法と同様にCB濾材について通水
型担体充填カラム法による処理の有効性試験を行った。
図8に示すように、通水開始48時間後にはCOD物質
の低減が確認された。
【0066】実施例2 組み合わせ菌株による固定化担体の有効性試験 実施例1において詳述したように、単独菌株による固定
化担体の有効性試験を行った結果、それぞれの菌株のC
OD低下能に相違が認められた。また、複数種の菌株を
組み合わせることによるCOD低下能についての基礎的
実験を行い、有効ないくつかの組み合わせが得られてい
る。表13に示した組み合わせについてCOD値の低下
能を調べ、組み合わせNo.6に良好な結果が認められ
た。これらの結果を踏まえて、単独菌株による固定化担
体の有効性試験と同様な処理プロセスによる有効性試験
を行った。3通りの処理プロセスはすべてつぎの条件で
行った。組み合わせる菌株は、表13のNo.6とし
た。組み合わせ菌株固定化担体は、それぞれの菌株を別
々に培養後、担体を培養液に浸漬して固定化して得られ
た担体を混合する方法で作製した。混合比は同率とし
た。
【0067】(1)回分式曝気法による有効性試験 単独菌株の回分式曝気法による有効性試験と同様な方法
で行った。結果を図9に示した。図から分かるように曝
気開始15時間後においてもCOD低下の顕著な傾向は
認められなかった。この原因としては、処理水の20%
の容量比で固定化担体を投入した結果、有効な菌株であ
るA−10−1株の固定化担体が最終容量比で5%にな
り、COD低下能が有効に働かなかったことによると思
われた。
【0068】(2)循環型担体充填カラム法による有効
性試験 組み合わせ菌株の循環型担体充填カラム法による処理の
結果については図10および図11に示した。担体滞留
時間4時間後には明らかなCOD物質の低減が認められ
た。滞留時間が18時間になると更にCOD物質の低減
が認められ有効な処理が行われていることが分かった。
また、処理時間の経過とともに低減してくるUV吸収パ
ターンの吸収の位置が変化していることが判明した。即
ち、A−10−1株のみを固定化した場合のUV吸収パ
ターン(図3と図5)では、滞留時間が増えても低減の
認められる吸収の位置のOD値が低下するだけである。
一方、組み合わせ菌株による固定化担体を使用した場合
は、滞留時間が長くなるとともにOD値の低下が認めら
れる吸収の位置が変化していた。このことは、組み合わ
せた菌株が滞留時間の経過とともに順次その機能を発揮
した結果であると考えられた。
【0069】(3)通水型担体充填カラム法による有効
性試験 組み合わせ菌株の通水型担体充填カラム法による処理の
結果について図12に示した。通水3時間後には処理水
のみのUV吸収パターンよりCOD物質の低減が確認さ
れた。通水20時間後にも安定した処理水が得られた。
しかしながら、循環型担体充填カラム法で処理したとき
に認められた経過時間の増加によるUV吸収パターンの
吸収位置の変化は確認できなかった。この原因として
は、本実施例の通水型では処理水のカラム内滞留時間は
10時間であり、循環型のような長い滞留時間が得られ
なかったためと考えられた。複数種の菌株の機能を効果
的に発揮させるためには長時間固定化担体内に滞留させ
る必要があることが分かった。
【0070】以上、単独菌株による固定化担体と組み合
わせ菌株による固定化担体について3通りの処理プロセ
スにおける有効性を試験した結果、回分式曝気法に比較
して担体充填カラム法による処理の方がより良好な結果
が得られた。さらに、滞留時間を長く設定できる循環型
担体充填カラム法が通水型担体充填カラム法にくらべて
効果的であった。また、単独菌株による場合は、単独菌
株そのもののCOD低下能と菌の増殖速度等に比例する
ことが分かった。さらに、組み合わせ菌株による固定化
担体の場合は、循環型担体充填カラム法による処理の結
果から分かるように、複数種の菌の機能が処理時間の経
過とともに、順次発揮されていることが判明した。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、排水中
の難分解性化合物を特異的に分解する能力を有する特定
の微生物を使用し、生物学的に難分解性化合物の量を低
減することを特徴とする排水の処理方法、に係るもので
あり、本発明によれば、通常の生物酸化処理では処理が
不可能であり、排水中においてBODとしては検出され
ず、CODとして検出される排水中の難分解性化合物の
量を安全かつ安価に低減することが可能である。また、
上記難分解性化合物を特異的に分解する能力を有する有
用細菌、および被有用細菌を固体支持体表面に付着生育
させた有用細菌固定化担体を提供することができる。担
体充填カラム法により、複数種の菌株の機能を長時間発
揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有用細菌固定化担体有効性試験の実験装置フロ
ーシートを示す。
【図2】単離菌株の固定化担体を用いた回分式曝気法に
よる処理水のUV吸収パターンの比較(A−10−1
株)を示す。
【図3】循環型担体充填カラム法による処理水のUV吸
収パターンの経時的変化(全体図)を示す。
【図4】循環型担体充填カラム法による処理水のUV吸
収パターンの経時的変化(拡大図)を示す。
【図5】循環型担体充填カラム法による処理水のUV吸
収パターンの経時的変化(全体図)を示す。
【図6】通水型担体充填カラム法による処理水のUV吸
収パターンの経時的変化(全体図)を示す。
【図7】通水型担体充填カラム法による処理水のUV吸
収パターンの経時的変化(拡大図)を示す。
【図8】通水型担体充填カラム法による処理水のUV吸
収パターンの経時的変化(CB濾材)を示す。
【図9】組み合わせ菌株の固定化担体を用いた回分式曝
気法による処理水のUV吸収パターンの比較(多孔性セ
ルロース)を示す。
【図10】組み合わせ菌株の循環型担体充填カラム法に
よる処理水のUV吸収パターンの経時的変化(全体図)
を示す。
【図11】組み合わせ菌株の循環型担体充填カラム法に
よる処理水のUV吸収パターンの経時的変化(拡大図)
を示す。
【図12】組み合わせ菌株の通水型担体充填カラム法に
よる処理水のUV吸収パターンの経時的変化(全体図)
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 明宏 東京都新宿区西新宿2丁目8番1号 東京 都下水道局内 (72)発明者 長井 冨美子 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 (72)発明者 大村 浩 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水中の難分解性化合物を特異的に分解
    する能力を有する下記A群の属に属する1または2以上
    の微生物を使用し、生物学的に難分解性化合物の量を低
    減することを特徴とする排水の処理方法。 〔A群〕 ミクロコッカス(Micrococcus )属 コリネバクテリウム(Corynebacterium )属 アシネトバクター(Acinetobacter )属 アルカリゲネス(Alcaligenes )属 シュードモナス(Pseudomonas )属 エンテロバクター(Enterobacter)属 モラキセラ(Moraxella )属 フラボバクテリウム(Flavobacterium)属
  2. 【請求項2】 難分解性化合物を特異的に分解する能力
    を有する微生物を固体支持体表面に付着生育させ、排水
    中の難分解性化合物の分解を行うことを特徴とする請求
    項1記載の排水の処理方法。
  3. 【請求項3】 排水中の難分解性化合物を特異的に分解
    する能力を有する、下記B群に示すいづれかの微生物。 〔B群〕 ミクロコッカス(Micrococcus )属細菌A−10−1株 アシネトバクター(Acinetobacter )属細菌B−46株 シュードモナス(Pseudomonas )属細菌H−2株 エンテロバクター(Enterobacter)属細菌D−10株 モラキセラ(Moraxella )属細菌E−20株
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