JPH10163729A - メタルスペースフレームレードーム用膜材 - Google Patents

メタルスペースフレームレードーム用膜材

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JPH10163729A
JPH10163729A JP33463096A JP33463096A JPH10163729A JP H10163729 A JPH10163729 A JP H10163729A JP 33463096 A JP33463096 A JP 33463096A JP 33463096 A JP33463096 A JP 33463096A JP H10163729 A JPH10163729 A JP H10163729A
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JP
Japan
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film
porous
organic fiber
inorganic powder
cloth
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Application number
JP33463096A
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English (en)
Inventor
Toru Kashiwagi
亨 柏木
Masahiro Miyamoto
昌宏 宮本
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比誘電率及び膜厚が小さく電波透過性に優
れ、しかも紫外線など光線の透過による補強メンバーの
強度低下が抑制されたメタルスペースフレームレードー
ム用膜材を提供すること。 【解決手段】 少なくとも多孔質フッ素系樹脂膜と有機
繊維補強布が積層された多層構造を有し、該有機繊維補
強布が、無機粉末とフッ素系樹脂とを含むフッ素系樹脂
組成物により被覆されていることを特徴とするメタルス
ペースフレームレードーム用膜材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーダーアンテナ
やその他の同様な構造を持つ宇宙通信アンテナなどを収
容するのに用いられるメタルスペースフレームレードー
ム(metalspace frame radom
e)用の膜材に関し、さらに詳しくは、例えば、40G
Hzを越えるような高周波数レーダーを対象とすること
ができるメタルスペースフレームレードーム用膜材に関
する。
【0002】
【従来の技術】レーダーアンテナなどの無線アンテナ
を、電磁気的に透明に保持しながら、日光や雨、雪、風
などの天候、湿気、埃などに対して被覆し、保護するた
めに、無線周波数電磁放射に対して透明な誘電体で作ら
れた強固な薄い殻、すなわちレードームが使用されてい
る。レーダーアンテナなどが自由に移動または回転でき
るように、レーダーアンテナ等から間隔をおいて配置さ
せる被覆構造体として、メタルスペースフレームレード
ームがある。このメタルスペースフレームレードーム
は、金属製の幾何学的形状を有する多数のセグメントが
ほぼ球形のドームを形成するように結合され、かつ、こ
れらのセグメントが無線周波数電磁放射に対して透明な
膜で覆われた構造を有している。
【0003】40GHzを越えるような高周波数レーダ
ーを対象とするメタルスペースフレームレードーム用膜
材には、電波透過損失を少なくするため、小さい比誘電
率と誘電損失を持ち、かつ、波長の約1/10以下の膜
厚を持つことが要求される。したがって、高周波透過特
性の観点からは、該膜材は、できるだけ薄いことが望ま
しい。一方、該膜材には、長期間にわたって、乾燥空気
による内圧と、外部からの雨、埃、紫外線などに晒され
ても破損せず、気密を保ち続けるため、引張強さ、引裂
強さ、及び気密性に優れていることが要求される。これ
らの要求性能を満たすためには、高周波透過特性からの
要求に相反して、膜材の厚みは大きい方が望ましい。
【0004】従来、レードーム用膜材として、例えば、
(1)ガラスクロスに有機系フィルムをラミネートした
もの、(2)有機繊維補強布にEPDM(エチレン・プ
ロピレン・ジエン三元共重合体)膜を両面に被覆したも
の、(3)FRP(繊維強化プラスチック)膜などが使
用されてきた。しかし、これらの膜材は、耐候性や強度
を重視した設計であって、例えば、40GHzを越える
高周波領域のレーダーに適用した場合、それらの材料物
性と膜材の厚さから、充分な無線周波数電磁波透過率
(電波透過率)が得られないという欠点があった。
【0005】これに対して、近年、高周波帯域の電波透
過性に優れたレードーム用膜材として、フッ素系樹脂膜
を用いた各種積層体が提案されている。例えば、実開昭
62−86714号公報には、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)糸の低誘電率プラスチックと高強度の
有機繊維を組み合わせた強度メンバーと、テトラフルオ
ロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)フィルムを積層したものが提案されている。しかし
ながら、FEPフィルムは、気密性、高周波透過特性に
優れるものの、紫外線を透過しやすく、強度メンバーで
ある有機繊維が劣化するという問題があった。
【0006】特開昭63−316904号公報には、有
機繊維補強布に、フッ素樹脂膜をラミネートしたメタル
スペースフレームレードーム膜が提案されている。しか
し、有機繊維補強布に無孔質フッ素樹脂膜をラミネート
したものは、長期にわたって屋外で使用すると、紫外線
の透過により補強メンバーである有機繊維補強布の強度
が低下するおそれがある。多孔質フッ素樹脂膜をラミネ
ートしたものでは、多孔質膜での光散乱の効果により、
紫外線による有機繊維補強布の強度劣化が抑制される
が、極めて長期間にわたる屋外暴露を考慮すると、未だ
充分ではない。
【0007】特開平1−114101号公報には、レー
ドーム用膜材として、多孔質PTFE膜/熱可塑性ポリ
マー/多孔質PTFE膜/PTFE織物を含む布からな
る構造体が提案されている。多孔質PTFE膜は、電気
的特性の向上を目的に、熱可塑性ポリマーは、気密性の
維持とPTFE多孔質膜の接着性を向上する目的に、P
TFE織物を含む布は、強度メンバーとすることを目的
に複合化されている。しかし、PTFE織物は、市販の
高強度有機繊維(例えば、ケブラーなどのアラミド繊維
や炭素繊維)布に比べて、約1/10の引張強さしかな
く、レードーム膜に用いる場合、膜厚を厚くせねばら
ず、電波透過性を損なうおそれがある。
【0008】特開平4−369538号公報には、比重
が異なる複数のPTFE層が積層された構造の傾斜誘電
体が、アンテナのカバー材などとして提案されている。
この傾斜誘電体では、高比重(無孔質)PTFE層によ
り表面へゴミを堆積しにくくし、低比重(多孔質)PT
FE層により電気的特性を向上させている。しかし、P
TFE層は、市販の高強度有機繊維布に比べて、約1/
10の引張強さしかなく、レードーム膜に用いる場合、
膜厚を厚くせねばならず、電波透過性を損なうおそれが
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比誘
電率及び膜厚が小さく電波透過性に優れ、しかも紫外線
など光線の透過による補強メンバーの強度低下が抑制さ
れたメタルスペースフレームレードーム用膜材を提供す
ることにある。本発明者らは、前記従来技術の問題点を
克服するために鋭意研究した結果、少なくとも多孔質フ
ッ素系樹脂膜と有機繊維補強布が積層された構造を有す
るメタルスペースフレームレードーム用膜材において、
無機粉末とフッ素系樹脂とを含むフッ素系樹脂組成物に
より有機繊維補強布を被覆することにより、前記目的を
達成できることを見いだし、その知見に基づいて本発明
を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、少なく
とも多孔質フッ素系樹脂膜と有機繊維補強布が積層され
た多層構造を有し、該有機繊維補強布が、無機粉末とフ
ッ素系樹脂とを含むフッ素系樹脂組成物により被覆され
ていることを特徴とするメタルスペースフレームレード
ーム用膜材が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】一般に、薄い膜材の電波透過損失
Tは、反射損と誘電体損の和で表される。 T=〔(εr−1)×π×d/λ〕2 +π×(εr+
1)×tanδ×d/λ λ:波長(mm) d:膜材厚み(mm) εr:膜材の比誘電率 tanδ:誘電体の損失角 したがって、波長の短い高周波帯域では、膜材の厚み
(d)、膜材の比誘電率(εr)、及び誘電体の損失角
(tanδ)の影響が大となり、例えば、厚みの大きな
膜材では、良好な電波透過性が得られない。
【0012】従来の膜材で、無孔質のフッ素系樹脂膜を
用いたものは、強度メンバーである有機繊維補強布が紫
外線により強度低下するという問題があった。一方、多
孔質のフッ素系樹脂膜を用いると紫外線による強度低下
は大幅に改良できる。しかしながら、これらレードーム
用膜材は、実使用においては少なくとも10年以上、望
ましくは20年から30年にも及ぶ長期間の耐久性が要
望される部材である。したがって、紫外線による劣化防
止などによる膜材の耐久性、耐候性の改善については、
重ねて対策を施し、十全を期す必要がある。
【0013】本発明では、強度メンバーである有機繊維
補強布を無機粉末を含んだフッ素系樹脂組成物で被覆す
ることにより、これらの課題を解決した。すなわち、本
発明の具体的構成は、有機繊維補強布に対し、無機粉
末を含んだフッ素系樹脂組成物をコーティングして被
覆し、さらに、多孔質フッ素系樹脂膜を積層したもの
である。有機繊維補強布としては、例えば、芳香族ポリ
アミド繊維からなる織物などが用いられ、また、多孔質
フッ素系樹脂膜としては、例えば、多孔質PTFE膜な
どが用いられる。本発明の膜材には、必要に応じて、付
加的な層が積層されていてもよく、例えば、多孔質フッ
素系樹脂膜の上に無孔質フッ素系樹脂膜が積層されてい
てもよい。以下、本発明の構成についてさらに詳述す
る。
【0014】(1)有機繊維補強布 フッ素系樹脂膜は、機械的強度が高くないため、本発明
では、有機繊維補強布を強度メンバーとして配置する。
強度メンバーである有機繊維補強布の材質としては、芳
香族ポリアミド繊維が好ましく、より具体的には、米国
デュポン社のケブラー(商標)などのアラミド系繊維が
好ましい。これら繊維をメッシュ状の織物に加工したも
のを補強布として使用するのがよい。強度メンバーとし
ては、高強度、高弾性率であることは勿論のこと、例え
ば、多孔質PTFE膜を焼結する温度での熱履歴(通
常、350℃×30分間程度)を受けても、強度劣化が
小さいこと、比誘電率が小さいことが要求される。これ
ら要求特性のバランスがよいものとして、アラミド系繊
維補強布がある。有機繊維補強布の厚みは、通常、10
0〜250μm、好ましくは120〜200μmであ
る。
【0015】(2)無機粉末含有フッ素樹脂組成物の被
覆 有機繊維補強布は、本来、紫外線により劣化を受ける性
質を有しているが、多孔質フッ素系樹脂膜を積層するこ
とにより、紫外線をある程度遮断することができる。し
かし、メタルスペースフレームレードーム用膜材は、一
旦設置すると数十年もの長期間にわたって屋外に暴露さ
れることになるため、多孔質フッ素系樹脂膜の積層のみ
では、紫外線による劣化防止対策としては未だ充分では
ない。一般に、金属、金属化合物、炭素材料などの無機
材料は、有機材料に比べて格段の耐候性と耐光性を有し
ている。そこで、本発明では、有機繊維補強布の耐候性
及び耐光性を高めるために、有機繊維補強布の表面に適
切な無機材料を被覆する方法を採用している。
【0016】無機材料を被覆するのに実際的に有効な方
法は、無機粉末をフッ素系樹脂中に分散させた塗料を有
機繊維補強布にコーティングし、乾燥焼結することであ
る。本発明において、一般の樹脂材料でなく、特にフッ
素系樹脂を用いるのは、フッ素系樹脂の誘電率が低く電
波透過損失を最小限にできることに加えて、例えば、多
孔質PTFE膜などの多孔質フッ素系樹脂膜の積層焼結
時に必要な加熱処理条件に耐える材料であるためであ
る。
【0017】ここで用いるフッ素系樹脂としては、多孔
質PTFE膜の積層焼結温度を考慮すれば、該燒結温度
に耐える材料であることが好ましい。その好ましい具体
例としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)、及びPFA(テトラフルオロエチレン/パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体)が挙げられる。
また、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体)も好適である。多孔質フッ素系
樹脂膜の焼結温度を低くすることができるなら、その他
のフッ素系樹脂も使用可能である。これらのフッ素系樹
脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合せて使
用することができる。
【0018】無機粉末は、紫外線を除去するのが目的で
あるので、紫外線を吸収するもの、または紫外線を反射
するものが好ましい。この目的に合致したものとして、
例えば、カーボン及び酸化チタン(TiO2)を代表的
なものとして挙げることができる。フッ素系樹脂組成物
における無機粉末/(無機粉末+フッ素系樹脂)の重量
比は、通常、0.02以上、好ましくは0.05以上で
ある。この重量比の上限は、特に限定されないが、通
常、0.90以下、好ましくは0.60以下、より好ま
しくは0.40以下である。また、この重量比は、用い
る無機粉末の種類に応じて、紫外線劣化防止効果や電波
透過損失の程度などを勘案して、それぞれの特に好まし
い範囲を定めることができる。
【0019】カーボンは、平均粒径10〜80nm(1
次粒子径)のものが好ましい。カーボンの添加量は、カ
ーボン/(カーボン+フッ素系樹脂)の重量比で0.0
2以上、好ましくは0.05以上であり、電波透過損失
が特に小さいことが要求される分野では、0.10以下
であることが特に好ましい。酸化チタンは、耐光性に優
れたルチル型結晶で、平均粒径0.1〜0.5μmのも
のが好ましい。酸化チタンの添加量は、酸化チタン/
(酸化チタン+フッ素系樹脂)の重量比で0.02以
上、好ましくは0.05以上であり、電波透過損失が特
に小さいことが要求される分野では、0.40以下であ
ることが特に好ましい。また、その他の無機粉末も、本
発明の目的を達成できるかぎり使用することができる。
また、これら2種以上の無機粉末を適度に配合して用い
てもよい。その場合の添加量は、おのおのの配合に応じ
て実験的に決定することが望ましい。
【0020】(3)被覆方法 有機繊維補強布に無機粉末を含有するフッ素系樹脂組成
物を被覆するには、通常、無機粉末とフッ素系樹脂粉末
を所定の配合比にて仕込んだ塗料を作製する。塗料を調
製するには、一般に、固形分(無機材料+フッ素系樹
脂)を水を主体とする溶剤中に適量の界面活性剤により
均一に分散する方法が採用される。このようにして調製
したディスパージョン塗料を有機繊維補強布に塗布する
か、あるいは、有機繊維補強布を塗料中に浸漬した後、
適切な条件で乾燥することにより、無機粉末を含んだフ
ッ素系樹脂を被覆した有機繊維補強布を作製することが
できる。
【0021】(4)多孔質フッ素系樹脂膜 有機繊維補強布に対し、無孔質ではなく多孔質フッ素系
樹脂膜を積層することにより、膜材全体の比誘電率を下
げ、電波透過性を向上させるとともに、紫外線を散乱遮
断して、有機繊維補強布の紫外線劣化を防止する。多孔
質フッ素系樹脂膜としては、多孔質PTFE膜が好まし
い。多孔質PTFE膜は、PTFE未焼結粉末に液状潤
滑剤を混和して、押し出しや圧延などにより膜状に成形
後、これから液状潤滑剤を除去するか、あるいは除去す
ることなく、膜状成形物を少なくとも1軸方向に延伸す
る。しかる後、熱収縮防止状態にて焼結温度以上に加熱
し、延伸した構造を焼結固定化すると、強度の向上した
多孔質PTFE膜を得ることができる。熱収縮防止状態
とは、収縮を完全に防止した状態だけではなく、一部収
縮を許す状態も含む。
【0022】この多孔質PTFE膜は、一般に、非常に
細い繊維と結節とからなるミクロ構造を有しており、そ
の繊維径と長さ、結節の大きさやその数は、延伸と焼結
の条件により変化させ得るため、得られる多孔質PTF
E膜の孔径と気孔率も自由に制御し得る。多孔質PTF
E膜は、その孔径が50μm以下で、気孔率が50%以
上のものが望ましい。また、多孔質PTFE膜の厚さ
は、通常、30〜200μm、好ましくは50〜150
μmである。
【0023】(5)積層方法 有機繊維補強布と多孔質フッ素系樹脂膜を積層するに
は、両者を接着する必要がある。接着の方法としては、
(a)有機繊維補強布表面にPTFEまたはPFAのデ
ィスパージョンを塗布した後、多孔質フッ素樹脂膜を圧
着して焼結する方法が好ましく、(b)有機繊維補強布
としてメッシュ状織物を用い、そのメッシュ部分にPT
FEまたはPFAのディスパージョンを塗布して目を詰
めて表面と裏面を橋かけすると、有機繊維補強布と多孔
質フッ素樹脂膜の接着性が向上するので、より好まし
い。さらに、(c)誘電率と接着性の両方を向上させる
方法としては、多孔質フッ素樹脂膜にPTFEまたはP
FAのディスパージョンを塗布し、乾燥しない状態で有
機繊維補強布を重ね合わせて焼結する方法がある。この
方法では、ディスパージョン中に含まれる界面活性剤の
作用により、多孔質フッ素系樹脂膜の孔内にPTFEま
たはPFAのディスパージョンが浸透し、PTFEまた
はPFA粒子が孔内で焼結されることにより投錨効果が
生まれ、かつ、有機繊維補強布の目を詰める必要がなの
で、空隙が増し、誘電率を下げることができる。
【0024】有機繊維補強布の両面に多孔質フッ素系樹
脂膜を積層する場合などには、PTFEまたはPFAデ
ィスパージョンを有機繊維補強布に塗布した後、これら
のフッ素系樹脂膜を両面に重ね合わせて焼結するか、あ
るいは、これらのフッ素系樹脂膜にPTFEまたはPF
Aのディスパージョンを塗布してから有機繊維補強布を
挟んで焼結するなどの方法により接着させることが好ま
しい。また、多孔質フッ素系樹脂膜をレードーム膜材の
最外層に配置すると、屋外での長期使用において、徐々
に表面が汚れて撥水性が損なわれ、水が侵入したり、電
波透過性が低下する場合がある。それを避けるために、
多孔質フッ素系樹脂膜の表面に、PTFE、PFA、F
EPなどのフッ素系樹脂からなる無孔質層を設けること
が有効である。
【0025】したがって、本発明のレードーム用膜材
は、少なくとも多孔質フッ素系樹脂膜と有機繊維補強布
が積層された多層構造を有するものであり、好ましい実
施態様としては、例えば、(1)多孔質フッ素系樹脂膜
/有機繊維補強布、(1)多孔質フッ素系樹脂膜/有機
繊維補強布/多孔質フッ素系樹脂膜、(3)無孔質フッ
素系樹脂膜/多孔質フッ素系樹脂膜/有機繊維補強布、
(4)無孔質フッ素系樹脂膜/多孔質フッ素系樹脂膜/
有機繊維補強布/多孔質フッ素系樹脂膜、(5)無孔質
フッ素系樹脂膜/多孔質フッ素系樹脂膜/有機繊維補強
布/無孔質フッ素系樹脂膜、(6)無孔質フッ素系樹脂
膜/多孔質フッ素系樹脂膜/有機繊維補強布/多孔質フ
ッ素系樹脂膜/無孔質フッ素系樹脂膜などが例示され
る。もちろん、これ以外の種々の変形があってもよく、
無孔質フッ素系樹脂膜以外の付加的な層が存在していて
もよい。ただし、物性上の観点から、あまり膜厚が大き
くならないようにすることが望ましい。
【0026】(6)膜材物性 本発明のレードーム用膜材は、比誘電率が好ましくは
2.0以下、より好ましくは1.6以下で、膜厚が好ま
しくは0.40mm以下、より好ましくは0.37mm
以下である。また、多孔質フッ素系樹脂膜と有機繊維補
強布との間の剥離強度は、好ましくは0.5kg/cm
以上、より好ましくは0.6kg/cmである。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明についてより
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに
限定されるものではない。物性の測定法は、次のとおり
である。 (1)紫外線照射促進試験 無機粉末とフッ素系樹脂とを含むフッ素系樹脂組成物に
より被覆された有機繊維補強布に、紫外線照射機〔アイ
グラフィックス(株)製〕を用いて、紫外線を40分間
照射し、その後、引張試験により引張強さの評価を行っ
た。 (2)電波透過率試験 ネットワークアナライザー〔ヒューレット・パッカード
(株)製、型番85106〕を用いて、膜材の50〜7
5GHzでの電波透過損失を測定した。
【0028】[実施例1]塗料の調製 無機粉末としてカーボン〔東海カーボン(株)製トーカ
ブラック4400F、平均粒径40nm〕を用い、ま
た、フッ素系樹脂としてPFA塗料(旭硝子製AD2C
R)とPTFE塗料(ダイキン製D1F)を用いて、表
1に示す配合処方により、各成分をミキサーにより分散
混合し、塗料を調製した。各成分の割合及び無機粉末/
(無機粉末+フッ素系樹脂)の固形分重量比を表1に示
す。膜材の作製 上記で調製した各塗料をアラミド繊維(デュポン社製ケ
ブラー)補強布(メッシュ状織物、厚さ170μm)に
塗布し、360℃で40分間乾燥することにより、無機
粉末とフッ素系樹脂とを含むフッ素系樹脂組成物により
被覆された有機繊維補強布を作製した。これを紫外線照
射促進試験の試料として用いた。このようにして得られ
た被覆有機繊維補強布に、PTFEディスパージョン塗
料〔ダイキン工業(株)製D1F〕を2回塗布した後、
2枚の多孔質PTFE膜〔住友電気工業(株)製ポアフ
ロンシートUP−020−200、孔径0.2μm、気
孔率84%〕で挟み、その周囲にテンションを加えた状
態で、150℃で30分間、次いで、360℃で40分
間の条件で乾燥・焼結処理を行った。さらに、その両面
にPFAディスパージョン塗料を塗布、焼結し、多孔質
PTFE膜の表面上に無孔質PFA樹脂膜を形成した。
このようにして得られた膜材を電波透過損失試験に用い
た。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】 (*1)無機粉末/(無機粉末+フッ素系樹脂);固形
分重量比 (*2)比較例
【0030】[実施例2]塗料の調製 無機粉末として酸化チタン〔石原産業(株)製、タイペ
ークCR93、平均粒径0.28μm、ルチル型〕を用
い、また、フッ素系樹脂としてPFA塗料(ヂュポン製
540CL)を用いて、表2に示す配合処方により、各
成分をミキサーにより分散混合し、塗料を調製した。各
成分の割合及び無機粉末/(無機粉末+フッ素系樹脂)
の固形分重量比を表2に示す。膜材の作製 上記で調製した各塗料をアラミド繊維(デュポン社製ケ
ブラー)補強布(メッシュ状織物、厚さ170μm)に
塗布し、360℃で40分間乾燥することにより、無機
粉末とフッ素系樹脂とを含むフッ素系樹脂組成物により
被覆された有機繊維補強布を作製した。これを紫外線照
射促進試験の試料として用いた。このようにして得られ
た被覆有機繊維補強布に、PTFEディスパージョン塗
料〔ダイキン工業(株)製D1F〕を2回塗布した後、
2枚の多孔質PTFE膜〔住友電気工業(株)製ポアフ
ロンシートUP−020−200、孔径0.2μm、気
孔率84%〕で挟み、その周囲にテンションを加えた状
態で、150℃で30分間、次いで、360℃で40分
間の条件で乾燥・焼結処理を行った。さらに、その両面
にPFAディスパージョン塗料を塗布、焼結し、多孔質
PTFE膜の表面上に無孔質PFA樹脂膜を形成した。
このようにして得られた膜材を電波透過損失試験に用い
た。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】 (*1)無機粉末/(無機粉末+フッ素系樹脂);固形
分重量比 (*2)比較例
【0032】<考察>表1〜2の結果から明らかなよう
に、有機繊維補強布に対するカーボン含有フッ素系樹脂
組成物及び酸化チタン含有フッ素系樹脂組成物の被覆に
より、電波透過損失を抑制しつつ、紫外線照射による劣
化が防止された膜材の得られることがわかる。紫外線に
対する劣化防止効果は、特に、フッ素系樹脂組成物にお
ける無機粉末/(無機粉末+フッ素系樹脂)の重量比が
0.05以上で顕著である。また、無機粉末としてカー
ボンを用いた場合、無機粉末/(無機粉末+フッ素系樹
脂)の重量比が0.10まで、酸化チタンを用いた場合
には、少なくとも0.40までの範囲において、電波透
過損失が小さく、充分な電波透過率を有していることが
明らかである。また、カーボンを用いた場合、無機粉末
/(無機粉末+フッ素系樹脂)の重量比が0.10を越
えても、有効な電波透過率を保持しているので、特に高
い電波透過性が要求されない用途分野で使用することが
可能である。これらの結果から、少なくとも多孔質フッ
素系樹脂膜と有機繊維補強布が積層された構造を有し、
該有機繊維補強布が無機粉末を含んだフッ素系樹脂組成
物で被覆されているメタルスペースフレームレードーム
用膜材が、耐紫外線性に優れるとともに、電波透過性が
良好であることが明らかである。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、40GHzを越えるよ
うな高周波領域においても優れた電波透過性を示し、か
つ、従来の膜材よりも大幅に改良された耐紫外線性を有
するメタルスペースフレームレードーム用膜材が提供さ
れる。本発明のメタルスペースフレームレードーム用膜
材は、レーダーの探知距離を飛躍的に向上させ、かつ、
屋外での使用に対し長期の耐久性に優れている。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも多孔質フッ素系樹脂膜と有機
    繊維補強布が積層された多層構造を有し、該有機繊維補
    強布が、無機粉末とフッ素系樹脂とを含むフッ素系樹脂
    組成物により被覆されていることを特徴とするメタルス
    ペースフレームレードーム用膜材。
  2. 【請求項2】 フッ素系樹脂組成物における無機粉末/
    (無機粉末+フッ素系樹脂)の重量比が0.05以上で
    ある請求項1記載の膜材。
  3. 【請求項3】 無機粉末が、酸化チタン及びカーボンか
    らなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1ま
    たは2記載の膜材。
JP33463096A 1996-11-29 1996-11-29 メタルスペースフレームレードーム用膜材 Pending JPH10163729A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008029878A1 (en) * 2006-09-07 2008-03-13 Nippon Valqua Industries, Ltd. Fluororesin composition for radome, and radome
JP2014508669A (ja) * 2011-03-04 2014-04-10 サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション 自己清浄性材料として使用するための複合物品
JP2019206102A (ja) * 2018-05-28 2019-12-05 中興化成工業株式会社 膜材及び膜構造物

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