JPH10159732A - 往復動型圧縮機 - Google Patents

往復動型圧縮機

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JPH10159732A
JPH10159732A JP33160896A JP33160896A JPH10159732A JP H10159732 A JPH10159732 A JP H10159732A JP 33160896 A JP33160896 A JP 33160896A JP 33160896 A JP33160896 A JP 33160896A JP H10159732 A JPH10159732 A JP H10159732A
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JP
Japan
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piston
cylinder
pin hole
burrs
peripheral surface
Prior art date
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Pending
Application number
JP33160896A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunari Komatsu
一成 小松
Shingo Miyake
信吾 三宅
Michinobu Setoyama
道伸 瀬戸山
Tatsuya Yamazawa
達哉 山澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
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Publication date
Application filed by Tokico Ltd filed Critical Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダ、ピストン等の耐久性を向上すると
共に、ピストンの製造コストを低減する。 【解決手段】 ピストン31を成形するための各上型4
1の合せ面を、ピストン31に形成されたピン穴31D
の位置に設定することにより、ピストン31の成形によ
るバリ32を、ピン穴31Dの位置に設ける構成として
いる。従って、バリ32は、ピストン31が往復動する
ときにシリンダに対して揺動が制限されている部位であ
り、シリンダに対するピストン31の摺動面圧が小さい
位置に形成されるから、シリンダの内周面にバリ32が
強く接触するのを防止することができる。これにより、
バリ32によるシリンダの損傷を防止することができる
から、バリ取り作業を省略することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば気体等の流
体を圧縮するのに用いて好適な往復動型圧縮機に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、往復動型圧縮機は、シリンダヘ
ッドが搭載されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能
に挿嵌され、径方向にピン穴が設けられたピストンと、
該ピストンのピン穴に挿嵌され、該ピストンを連接棒に
連結するピストンピンとを備えて構成され、前記連接棒
の基端側はモータ等によって回転駆動されるクランク軸
に取付けられている。
【0003】また、前記ピストンはシリンダヘッドとの
間に圧縮室を画成するもので、例えばアルミニウム合金
等の金属材料から有蓋円筒状に形成され、その外周側に
はピストンリングが装着されるリング装着溝と、ライダ
リングが装着されるライダリング装着溝とが周方向に凹
設されている。ここで、前記ピストンリングは圧縮室を
気密に保持するもので、前記ライダリングはシリンダに
対するピストンの摺動性を確保するものである。
【0004】しかし、アルミニウム合金からなるピスト
ンは、ピストンリング、ライダリングの摩耗が進行した
場合に、シリンダの内周面に接触して「かじり」を生じ
る虞れがある。また、アルミニウム合金は熱伝導性が良
好なため、運転時の圧縮熱や摩擦熱がピストンピンと連
接棒との間に設けられた軸受に伝達されて該軸受が高温
になり、グリース等が熱劣化して動作不良を生じること
がある。
【0005】これらのことを考慮して、昨今の往復動型
圧縮機では、ピストンを自己潤滑性を有する樹脂材料か
ら形成したものが知られている。このようにピストンを
樹脂材料によって形成することにより、シリンダに対す
るピストンの摺動性を高め、シリンダに対する「かじ
り」を防止すると共に、前述したライダリングを不要に
している。また、樹脂材料は熱伝導性が悪いから、軸受
の温度上昇を抑えて動作不良の発生を防止している。
【0006】そこで、図7ないし図11に従来技術によ
る往復動型圧縮機として樹脂製のピストンを用いた無給
油式の往復動型空気圧縮機を例に挙げて説明する。
【0007】図中、1は筒状のクランクケースで、該ク
ランクケース1の上側位置には開口部1Aが形成されて
いる。また、クランクケース1には例えば電動モータ
(図示せず)が取付けられ、該電動モータの出力軸2は
クランクケース1内に延在し、キー3を介してクランク
軸4に一体的に固定されている。
【0008】5はクランクケース1の開口部1A上に取
付けられた円筒状のシリンダで、該シリンダ5内には、
その内周面5Aに摺接するように後述のピストン10が
往復動可能に挿嵌されている。
【0009】6はシリンダ5上に搭載されたシリンダヘ
ッドで、該シリンダヘッド6内には吸込室7と吐出室8
とが画成され、該吸込室7、吐出室8は吸込口7A、吐
出口8Aを介してそれぞれ外部に連通している。
【0010】9はシリンダ5とシリンダヘッド6との間
に挟持された弁座板で、該弁座板9には、後述する圧縮
室11と吸込室7とを連通する吸込穴9Aと、圧縮室1
1と吐出室8とを連通する吐出穴9Bとが形成されてい
る。
【0011】10はシリンダ5内に往復動可能に挿嵌さ
れたピストンで、該ピストン10は自己潤滑性を有する
樹脂材料、例えばフェノール樹脂、熱硬化性縮合多環多
核芳香族樹脂(COPNA樹脂)等を基本材料とし、グ
ラファイト、二硫化モリブデン等の無機潤滑材、ガラス
繊維、カーボンファイバ等の繊維材(強化材)等を混練
してなる熱硬化性樹脂材料からなり、後述する各上型2
1、下型23によって成形されている。
【0012】ここで、前記ピストン10は、筒部10A
と蓋部10Bとから有蓋円筒状に形成され、該筒部10
Aの外周面10Cがシリンダ5の内周面5Aに摺接し、
該蓋部10Bはシリンダヘッド6との間に圧縮室11を
画成している。また、ピストン10には、筒部10Aを
径方向に貫通するようにピン穴10D(図10、図11
中に図示)が形成され、該ピン穴10Dには後述するピ
ストンピン13が挿嵌される。
【0013】さらに、前記ピストン10の筒部10A上
部側には、図8に示す如く、外周面10Cを全周に亘っ
て凹設してなる2条のリング装着溝10E,10Eが形
成され、該各リング装着溝10Eにはピストンリング1
2,12が装着されている。ここで、前記ピストンリン
グ12は、例えば耐摩耗性および自己潤滑性に優れた樹
脂材料からなり、ピストン10とシリンダ5との間を気
密にシールするものである。
【0014】13はピストン10のピン穴10Dに挿嵌
されたピストンピンで、該ピストンピン13には、連接
棒14の先端側が軸受15を介して回転可能に連結され
ている。また、前記連接棒14の基端側は軸受16を介
してクランク軸4に回転可能に連結されている。
【0015】17は弁座板9に取付けられ、該弁座板9
の吸込穴9Aを開閉する吸込弁、18は弁座板9に取付
けられ、該弁座板9の吐出穴9Bを開閉する吐出弁を示
している。
【0016】次に、前述したピストン10を成形するた
めの成形型について図10および図11に基づいて説明
する。
【0017】まず、21,21はピストン10の外形を
成形する一対の上型で、該各上型21は、ピストン10
を径方向から挟むように該ピストン10の中心を境に2
つに分かれる構成となっており、これにより、ピストン
10を成形するときに各リング装着溝10Eを同時に成
形できる。また、各上型21は、ピン穴10Dも同時に
成形できるように、ピン穴10Dの伸長方向となる矢示
A−A方向に移動可能に構成されている。
【0018】ここで、前記各上型21には、その接合面
21A側に開口するようにピストン10の半割形状をな
すほぼ半円柱状の成形凹部22が形成され、該成形凹部
22の上側にはピストン10に各リング装着溝10Eを
成形するための2条の円弧状突起22A,22Aが径方
向内側に突設され、中間部にはピン穴10Dを成形する
ための円柱突起22Bが突設されている。
【0019】23はピストン10の内形を成形する下型
で、該下型23はほぼ段付円柱状に形成され、中間部に
は各上型21の円柱突起22Bが嵌合する浅底な嵌合穴
23A,23Aが形成されている。
【0020】そして、このように構成された成形型でピ
ストン10を成形する場合には、各上型21を移動して
接合面21Aを当接させ、下型23を各成形凹部22内
に挿入する。この状態で、各成形凹部22等で画成され
た空間に上述した熱硬化性樹脂材料を加圧状態で充填
し、所定温度まで加熱することにより樹脂性のピストン
10を成形する。
【0021】従来技術による往復動型空気圧縮機は、上
述の如き構成を有するもので、次にその動作について説
明する。
【0022】まず、電動モータによりクランク軸4が回
転駆動されると、該クランク軸4の周囲を連接棒14の
基端側が回転し、連接棒14の先端側に連結されたピス
トン10はシリンダ5内を往復動する。これにより、ピ
ストン10は圧縮室11を拡大する吸込行程と、圧縮室
11を縮小する圧縮行程(吐出行程)とを繰返す。
【0023】そして、吸込行程では、吸込弁17が開弁
し吸込室7と圧縮室11とが連通され、吸込室7から圧
縮室11内へと空気が吸込まれる。また、圧縮行程で
は、吐出弁18が開弁し圧縮室11と吐出室8とが連通
され、圧縮室11から吐出室8内へと圧縮空気が吐出さ
れる。
【0024】このように、上述した吸込行程、圧縮行程
を繰返すことにより、吐出口8Aに空気導管等を介して
接続された空気タンク(いずれも図示せず)等に圧縮空
気を吐出し続けるようになっている。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術によるものでは、ピストン10を成形するための
各上型21をピン穴10Dの伸長方向に移動するように
しているから、各上型21の接合面21Aが当接する合
せ面は、ピン穴10Dに直交した位置となる。このた
め、各接合面21A間の隙間に浸入した樹脂材料によっ
て形成されるバリ19は、ピン穴10Dの伸長方向に対
して直交した位置に形成される。
【0026】そして、バリ19が形成された位置は、ピ
ン穴10Dに直交する位置であるから、ピストン10が
往復動するときに自由に揺動する方向と一致しており、
シリンダ5に対するピストン10の摺動面圧が高くなる
部分である。
【0027】従って、バリ19は、ピストン10が往復
動するときにシリンダ5の内周面5Aに強く接触する上
に、強度を確保するために繊維材が充填されているか
ら、シリンダ5の内周面5Aを傷付けてしまう。しか
も、シリンダ5の内周面5Aが傷付くと、この傷によっ
て各ピストンリング12の異常摩耗やピストン10の損
傷等が生じ、耐久性が低下するという問題がある。
【0028】そこで、この問題を解決するためには、ピ
ストン10に仕上げ加工を施してバリ19を取り除くこ
とが必要になり、結果として製造コストの上昇を招くと
いう問題がある。
【0029】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明の目的は、シリンダ、ピストン等
の耐久性を向上すると共に、ピストンの製造コストを低
減することができるようにした往復動型圧縮機を提供す
ることにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明による往
復動型圧縮機は、シリンダヘッドが搭載されたシリンダ
と、該シリンダ内に摺動可能に挿嵌され、径方向にピン
穴が設けられたピストンと、該ピストンのピン穴に挿嵌
され、該ピストンを連接棒に連結するピストンピンとを
備えてなる。
【0031】そして、上述した課題を解決するために、
請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ピストン
は前記ピン穴の位置を合せ面とする一対の成形型を用い
て成形し、前記ピストンには成形によるバリを該合せ面
に位置して設ける構成としたことにある。
【0032】このように構成したことにより、各成形型
によってピストンを成形したときには、成形によるバリ
が各成形型の合せ面であるピン穴の位置に形成される。
そして、このピン穴の位置はシリンダに対するピストン
の揺動が制限されている部位であり、シリンダに対する
ピストンの摺動面圧が小さくなっている。従って、バリ
がシリンダ内面に強く接触するのを防止でき、シリンダ
内面の損傷を抑制することができる。
【0033】請求項2の発明は、前記ピストンの外周面
には前記ピン穴の位置に面取部を設ける構成としたこと
にある。
【0034】これにより、成形によるバリはピン穴の位
置に設けられた面取部に形成されるから、該面取部によ
ってバリをシリンダ内面から離すことができ、該バリと
シリンダの接触を防止することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
往復動型空気圧縮機を添付図面に従って詳細に説明す
る。
【0036】まず、図1ないし図4は本発明の第1の実
施例を示している。なお、本実施例では、前述した従来
技術と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を
省略するものとする。
【0037】図中、31は従来技術で述べたピストン1
0に代えて用いられる本実施例によるピストンで、該ピ
ストン31は、従来技術によるピストン10と同様に、
自己潤滑性を有する樹脂材料、例えばフェノール樹脂、
熱硬化性縮合多環多核芳香族樹脂(COPNA樹脂)等
を基本材料とし、グラファイト、二硫化モリブデン等の
無機潤滑材、ガラス繊維、カーボンファイバ等の繊維材
(強化材)等を混練してなる熱硬化性樹脂材料からな
り、後述する上型41、下型43等によって成形されて
いる。
【0038】また、前記ピストン31は、従来技術によ
るピストン10とほぼ同様に、筒部31Aと蓋部31B
とから有蓋円筒状に形成され、該筒部31Aの外周面3
1Cがシリンダ5の内周面5Aに摺接する。また、ピス
トン31には、図2に示す如く、筒部31Aの径方向に
ピン穴31Dが形成され、筒部31A上部側には、外周
面31Cを全周に亘って凹設した2条のリング装着溝3
1E,31Eが形成されている。しかし、本実施例によ
るピストン31は、後述するバリ32の形成位置の点で
従来技術によるピストン10と相違している。
【0039】次に、前述したピストン31を成形するた
めの成形型について図3および図4に基づいて説明す
る。
【0040】41,41はピストン31の外形を成形す
る成形型となる一対の上型で、該各上型41は、従来技
術で述べた各上型21とほぼ同様に、ピストン31を径
方向から挟むように該ピストン31の中心を境に2つに
分かれる構成となっている。しかし、本実施例による各
上型41は、図4に示すように、ピン穴31Dの伸長方
向にほぼ直交する矢示B−B方向に移動可能に構成さ
れ、これにより、ピン穴31Dの位置が各上型41の合
せ面となっている点で従来技術のものと相違している。
【0041】ここで、前記各上型41には、その接合面
41A側に開口するようにピストン31の半割形状をな
すほぼ半円柱状の成形凹部42が形成され、該成形凹部
42の上側にはピストン31に各リング装着溝31Eを
成形するための2条の円弧状突起42A,42Aが径方
向内側に突設されている。また、筒部31Aの中間部に
は、各上型41の接合面を当接させた状態で後述する円
柱部材44を支持する支持凹部42B,42Bが接合面
41Aを半円弧状に切欠くように形成されている。
【0042】43はピストン31の内形を成形する下型
で、該下型43はほぼ段付円柱状に形成され、中間部に
は各円柱部材44が嵌合する浅底な嵌合穴43A,43
A(片方のみ図示)が形成されている。
【0043】44,44は各上型41の合せ面に沿って
矢示C−C方向に移動可能に配設された一対の円柱部材
で、該各円柱部材44は、ピストン31の成形時に各上
型41の各支持凹部42Bに挿入し、その先端を下型4
3の各嵌合穴43Aに嵌合させることにより、ピストン
31にピン穴31Dを形成するものである。
【0044】そして、このように構成された成形型でピ
ストン31を成形する場合には、各上型41を移動して
接合面41Aを当接させ、下型43を各成形凹部42内
に挿入した後に、各円柱部材44を各支持凹部42B内
に挿入する。この状態で、各成形凹部42等で画成され
た空間に熱硬化性樹脂材料を加圧状態で充填し、所定温
度まで加熱することにより樹脂性のピストン31を成形
する。
【0045】本実施例による往復動型空気圧縮機は上述
の如き構成を有するもので、その基本的動作については
従来技術によるものと格別差異はない。
【0046】然るに、本実施例では、各上型41の合せ
面を、ピストン31に形成されたピン穴31Dの位置に
設定しているから、各上型41の接合面41A間の隙間
に浸入してピストン31に形成されるバリ32を、ピン
穴31Dの位置に配置することができる。従って、バリ
32をピストン31が往復動するときにシリンダ5に対
して揺動が制限されている部位であり、シリンダ5に対
するピストン31の摺動面圧が小さい位置に形成するこ
とができから、バリ32がシリンダ5の内周面5Aに強
く接触するのを防止することができる。
【0047】次に、上述したピストン31を用いた往復
動型圧縮機を1000時間の連続運転を行い、騒音、吐
出空気量、シリンダ内面粗さ、単位時間当たりのピスト
ンリング最大摩耗量について測定する試験を行った結果
について、下記表1を参照して述べる。なお、比較例
は、従来技術で述べたピストン10を用いた往復動圧縮
機であり、実施例、比較例ともピストン径は82mmで
同一の樹脂材料を使用すると共に、型精度、成形温度、
成形圧力等を同一条件で成形し、バリ高さが0.02〜
0.04mmのものを仕上げ加工を施すことなく使用し
ている。
【0048】
【表1】
【0049】まず、騒音についてみると、比較例では6
2dbと大きく、実施例では60dbと小さく抑えられ
ている。
【0050】また、吐出空気量についてみると、比較例
では1000時間後に97%に低下しているのに対し、
実施例では1000時間後も100%の空気吐出量を維
持している。
【0051】また、シリンダ内面粗さについてみると、
比較例では8.5μmと大きく、シリンダ5の内周面5
Aには深い縦傷が認められた。これに対し、実施例で
は、比較例と比べて2.4μmと小さく、シリンダ5の
内周面5Aの損傷は軽微であることが確認された。
【0052】さらに、単位時間当たりのピストンリング
最大摩耗量についてみると、比較例では0.31μmで
あるのに対し、実施例では0.1μm以下と非常に小さ
く抑えられている。
【0053】以上の結果から、比較例によるものは、ピ
ストン10のバリ19がシリンダ5の内周面5Aに強く
接触し、シリンダ5の内周面5Aが大きく損傷している
ために、ピストン10が往復動するときの揺動が大きく
なり、騒音も大きくなっている。また、ピストンリング
12が荒れたシリンダ5の内周面5Aによって削られて
摩耗が早まり、ピストンリング12の早期摩耗によって
圧縮漏れを生じ、吐出空気量が低下することが確認され
た。
【0054】一方、実施例によるものは、ピストン31
のバリ32がシリンダ5の内周面5Aに比較的軽く接触
しているから、騒音も小さく、シリンダ5の内周面5A
の損傷も軽微なものであった。これにより、ピストンリ
ング12の摩耗が抑えられ、1000時間後にも100
%の吐出空気量を維持できることが確認された。
【0055】かくして、本実施例によれば、成形による
バリ32をピストン31のピン穴31Dの位置に形成す
ることにより、該バリ32によるシリンダ5の内周面5
Aの損傷、ピストンリング12の摩耗量を軽微にするこ
とができる。従って、従来技術のようにバリ19を取り
除くための仕上げ加工を施すことなく、ピストンリング
12、ピストン31の摩耗に対する耐久性を向上するこ
とができ、ピストン31を樹脂化したことによる製造コ
ストの上昇を抑制することができる。
【0056】また、ピストン31に形成されるバリ32
を許容することにより、成形型の型精度を低く設定で
き、また、完成品検査等の管理工数を削減できる上に、
ライダリングを不要にすることができるから、この点に
おいても製造コストの低減を図ることができる。
【0057】さらに、シリンダ5の内周面5Aの損傷を
小さくすることにより、ピストン31の揺動による騒音
を小さくでき、往復動型圧縮機を運転しているときの静
粛性を向上することができる。
【0058】次に、図5および図6は本発明の第2の実
施例を示し、本実施例の特徴は、ピン穴の位置でピスト
ンの外周面に面取部を設けたことにある。
【0059】51は前記第1の実施例によるピストン3
1に代えて用いられる本実施例によるピストンで、該ピ
ストン51は、第1の実施例によるピストン31と同様
の熱硬化性樹脂材料から形成されている。
【0060】また、前記ピストン51は、第1の実施例
によるピストン31とほぼ同様に、筒部51Aと蓋部5
1Bとから有蓋円筒状に形成され、該筒部51Aの外周
面51Cがシリンダ5の内周面5Aに摺接する。また、
ピストン51には、図6に示す如く、筒部51Aの径方
向にピン穴51Dが形成され、筒部51A上部側には、
外周面51Cを全周に亘って凹設した2条のリング装着
溝51E,51Eが形成されている。しかし、本実施例
によるピストン51は、外周面51Cの一部が後述する
面取部52となり、該面取部52に位置して成形による
バリ53が形成されている点で第1の実施例によるピス
トン31と相違している。
【0061】52,52はピストン51の外周面51C
に形成された面取部で、該各面取部52はピン穴51D
の位置にピストン51の軸方向に伸長して形成されてい
る。これにより、各面取部52の位置ではピストン51
の外形寸法Dに比較して各面取部52間の寸法が小さく
なっている。
【0062】53はピストン51に形成された成形によ
るバリで、該バリ53はピン穴51Dの位置、即ち、各
面取部52上に形成されている。そして、バリ53は各
面取部52上に形成されたことで、ピストン51の外形
寸法D内に納まっている。
【0063】かくして、このように構成された本実施例
においても、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を
得ることができるが、特に、本実施例では、ピストン5
1に形成した各面取部52によってバリ53をピストン
51の外形寸法D内に納めることができるから、バリ5
3がシリンダ5の内周面5Aに接触するのを防止するこ
とができ、シリンダ5、ピストン51、ピストンリング
12等の摩耗に対する耐久性を、より一層向上すること
ができる。また、各面取部52を形成するには、各上型
の成形凹部に各面取部52に対応する平坦面(いずれも
図示せず)を形成するだけでよく、簡単な設計変更によ
って形成することができる。
【0064】なお、前記実施例では、往復動型圧縮機と
して往復動型空気圧縮機を例に挙げて述べたが、本発明
はこれに限らず、例えば冷媒等を圧縮する往復動型圧縮
機等に適用してもよい。
【0065】さらに、前記実施例では、単気筒のシリン
ダ5を有する1段式の往復動型圧縮機を例に挙げて述べ
たが、本発明はこれに限らず、例えば2気筒以上のシリ
ンダを有する多段式の圧縮機等に適用してもよい。
【0066】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の発明によ
れば、ピン穴の位置を合せ面とする一対の成形型を用い
てピストンを成形しているから、成形によるバリを各成
形型の合せ面であるピン穴の位置に形成することができ
る。そして、このピン穴の位置はシリンダに対するピス
トンの揺動が制限されている部位であり、シリンダに対
するピストンの摺動面圧が小さくなっている。このた
め、バリがシリンダ内面に強く接触するのを防止でき、
シリンダ内面の損傷を抑制することができる。従って、
従来技術のようにバリを取り除くための仕上げ加工を施
すことなく、ピストン、シリンダ等の損傷を防止して耐
久性を向上することができ、製造コストを低減すること
ができる。
【0067】請求項2の発明によれば、ピストンの外周
面に設けられた面取部に成形によるバリを形成すること
ができるから、該面取部によってバリをシリンダ内面か
ら離すことができ、該バリとシリンダの接触を防止する
ことができる。これにより、ピストン、シリンダ等の損
傷を防止して耐久性を、より一層向上することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による往復動型空気圧縮
機に用いるピストンを示す正面図である。
【図2】図1に示すピストンの平面図である。
【図3】ピストンを成形するための上型、下型を成形後
のピストンと共に示す縦断面図である。
【図4】ピストン、上型、下型等を図3中の矢示IV−IV
方向から示す横断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例による往復動型空気圧縮
機に用いるピストンを示す正面図である。
【図6】図5に示すピストンの平面図である。
【図7】従来技術による往復動型空気圧縮機を示す縦断
面図である。
【図8】図7中のピストンを示す正面図である。
【図9】図8に示すピストンの平面図である。
【図10】ピストンを成形するための上型、下型を成形
後のピストンと共に示す縦断面図である。
【図11】ピストン、上型、下型を図10中の矢示XI−
XI方向から示す横断面図である。
【符号の説明】
5 シリンダ 5A 内周面 6 シリンダヘッド 13 ピストンピン 14 連接棒 31,51 ピストン 31C,51C 外周面 31D,51D ピン穴 32,53 バリ 41 上型(成形型) 52 面取部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山澤 達哉 神奈川県綾瀬市小園1116番地 トキコ株式 会社相模工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッドが搭載されたシリンダ
    と、該シリンダ内に摺動可能に挿嵌され、径方向にピン
    穴が設けられたピストンと、該ピストンのピン穴に挿嵌
    され、該ピストンを連接棒に連結するピストンピンとを
    備えてなる往復動型圧縮機において、 前記ピストンは前記ピン穴の位置を合せ面とする一対の
    成形型を用いて成形し、前記ピストンには成形によるバ
    リを該合せ面に位置して設ける構成としたことを特徴と
    する往復動型圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記ピストンの外周面には前記ピン穴の
    位置に面取部を設ける構成としてなる請求項1に記載の
    往復動型圧縮機。
JP33160896A 1996-11-27 1996-11-27 往復動型圧縮機 Pending JPH10159732A (ja)

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