JPH10159689A - 内燃機関用エアブラスト式燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 噴射初期から終了まで霧化性に優れた均質な
噴霧が得られ、しかも燃料及び圧縮空気をノズル口から
的確に噴射供給することができる燃料噴射装置を提供す
ること。 【解決手段】 燃料弁Ａから燃料をノズル２６内に導く
燃料通路を、ニードル２７の内部に設けられてニードル
２７の中間部に燃料を導く燃料誘導路２７ｂと、この先
端からノズル口２６ｂ方向に向けて斜向して設けられニ
ードル２７の中間部外周に開口し燃料をニードル２７の
中間部外周に導く燃料誘導路２７ｃを備える構成し、ま
たノズル２６内に圧縮空気を導く空気通路を、ニードル
２７の中間部外周に向けて開口し圧縮空気をニードル２
７の中間部外周に導く空気誘導路２６ｃを備える構成と
し、ニードル弁Ｂの開弁作動時に燃料と圧縮空気がニー
ドル２７の中間部外周にて合流混合してノズル口２６ｂ
に導かれるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用エアブ
ラスト式燃料噴射装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の燃料噴射装置の一つとして、燃
料弁から所定量の燃料を燃料通路を通してノズル内の圧
縮空気中に噴射供給した後に、ニードル弁を開弁させる
ことにより前記ノズル内に噴射された燃料が空気通路を
通して前記ノズル内に供給される圧縮空気と共に、前記
ニードル弁によって開閉されるノズル口を通して、微粒
化して噴射供給されるように構成したものがあり、例え
ば特開平２−１８１０６７号公報、特開平２−２５２９
６７号公報等に示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した各公報の燃料
噴射装置においては、ニードル弁の開弁により圧縮空気
が多量に流れる空気通路の中間部が燃料通路として共用
されるとともに、この燃料通路の一部分に燃料弁から噴
射された燃料をニードル弁の開弁に至る間に溜める構成
（断面拡径部または燃料保持部）が採用されている。こ
のため、ニードル弁の開弁作動時にはその噴射初期から
燃料の微粒化（霧化）を良好に行うことができるもの
の、噴射初期から終了までの間でノズルから噴射される
空燃比に片寄りがあり、溜まっていた燃料がノズルから
出るタイミングでは燃料比率が大きくなり一時的に霧化
が悪化する。また、上記した燃料を溜める構成は、空気
通路を複雑な構成とするため、圧縮空気の良好な流れを
阻害し、燃料の吹き残りが生じて燃料噴射量の精度が悪
化する。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記した問題
に対処すべくなされたものであり、燃料弁から所定量の
燃料を燃料通路を通してノズル内の圧縮空気中に噴射供
給した後に、ニードル弁を開弁させることにより前記ノ
ズル内に噴射された燃料が空気通路を通して前記ノズル
内に供給される圧縮空気と共に、前記ニードル弁によっ
て開閉されるノズル口を通して、微粒化して噴射供給さ
れるように構成した内燃機関用エアブラスト式燃料噴射
装置において、前記燃料通路を、前記ニードル弁におけ
るニードルの内部に設けられて前記燃料弁から前記ニー
ドルの中間部に前記燃料を導く第１の燃料誘導路と、こ
の第１の燃料誘導路の先端から前記ノズル口方向に向け
て前記ニードル弁の軸方向に対して斜向して設けられて
前記ニードルの中間部外周に開口し前記燃料を前記ニー
ドルの中間部外周に導く第２の燃料誘導路を備える構成
とするとともに、前記空気通路を、前記ニードルの中間
部外周に向けて開口し前記圧縮空気を前記ニードルの中
間部外周に導く空気誘導路を備える構成として、前記ニ
ードル弁の開弁作動時に前記燃料と前記圧縮空気が前記
ニードルの中間部外周にて合流混合して前記ノズル口に
導かれるように構成したことに特徴がある。この場合に
おいて、前記合流部における前記第２の燃料誘導路と前
記空気誘導路との相対角度を略直角または鋭角に形成す
るのが望ましい。

【０００５】

【発明の作用・効果】本発明による内燃機関用エアブラ
スト式燃料噴射装置においては、ニードル弁の開弁作動
時に燃料弁から第１と第２の燃料誘導路を通して導かれ
た燃料と空気誘導路を通して導かれた圧縮空気がニード
ルの中間部外周にて合流混合してノズル口に導かれるよ
うに構成したため、ニードルの中間部外周では霧吹きの
原理で圧縮空気の流速に比例した所定の割合で第１と第
２の燃料誘導路を通して導かれた燃料が順次吹き出され
る。したがって、従来装置において生じる一時的な燃料
比率の増加による霧化悪化（図２の一点鎖線参照）は生
じず、噴射初期から終了まで霧化性に優れた均質な噴霧
が得られる。また、燃料と圧縮空気との合流混合部での
通路構成が単純な構成となっているため、圧縮空気の良
好な流れを確保できて、燃料の吹き残り、燃料及び圧縮
空気の噴射タイミングの遅れ等の問題は生じず、燃料及
び圧縮空気をノズル口から的確に噴射供給することがで
きる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図
面に基づいて説明する。図１に示した本発明による内燃
機関用エアブラスト式燃料噴射装置は、燃料弁Ａとニー
ドル弁Ｂを備えていて、これらは一体化されてコンパク
トに構成されており、燃焼室Ｒｏを形成する内燃機関の
シリンダヘッドＣに組付けられている。

【０００７】燃料弁Ａは、コイル１１，ボディ１２，第
１固定コア１３，プレートバルブ１４，第２固定コア１
５で磁路を構成し、またプレートバルブ１４と第２固定
コア１５の軸心に液密的に固着した非磁性体のバルブシ
ート１６とプレートバルブ１４をバルブシート１６に向
けて付勢するスプリング１７によって常閉型の開閉弁を
構成するものであり、両固定コア１３，１５間には非磁
性体のスリーブ１８が設けられ、また第１固定コア１３
にはストレーナ２１と管状のスプリングリテーナ２２と
スペーサ２３が組付けられている。

【０００８】第１固定コア１３は、燃料ポンプ４１及び
圧力調整器４２を介して燃料タンク４０に接続される流
入ポート１３ａを有していて、この流入ポート１３ａは
軸方向の通路１３ｂと径方向の通路１３ｃを通してスリ
ーブ１８間に形成した燃料貯溜室Ｒ１に連通している。
プレートバルブ１４は、燃料貯溜室Ｒ１内に配置されて
いて、図示状態ではバルブシート１６の上面に当接し、
第１固定コア１３とスペーサ２３の下端に対して所定の
隙間で対向している。バルブシート１６は、軸心に計量
オリフィス１６ａを有していて、コイル１１への通電に
よりプレートバルブ１４がバルブシート１６から離れて
所定時間開くことによって所定量の燃料が燃料貯溜室Ｒ
１から後述する両燃料誘導路２７ｂ，２７ｃに向けて噴
射供給されるようになっている。

【０００９】一方、ニードル弁Ｂは、コイル２４，ボデ
ィ１２，第２固定コア１５，可動コア２５，ノズル２６
で磁路を構成し、また可動コア２５の軸心に一体的に固
着したニードル２７と、ノズル２６の先端に設けられて
ニードル２７の先端に形成したバルブ部２７ａが着座す
るシート部２６ａと、可動コア２５及びニードル２７を
閉方向（図示上方）に付勢するスプリング２８によって
ノズル口２６ｂを開閉する常閉型の開閉弁を構成するも
のであり、第２固定コア１５とノズル２６間には非磁性
体のスリーブ３１が設けられ、また可動コア２５の下端
とノズル２６の上端間には可動コア２５及びニードル２
７のスプリング２８に抗した移動量（ニードル２７のリ
フト量）を所定値に規定するスペーサ３２が介装されて
いる。

【００１０】ところで、本実施形態においては、ニード
ル２７の内部に、燃料弁Ａから噴射供給された燃料をニ
ードル２７の中間部に導く第１の燃料誘導路２７ｂが軸
方向に形成されるとともに、この第１の燃料誘導路２７
ｂの先端からノズル口２６ｂ方向に向けてニードル弁２
７の軸方向に対して斜向して設けられてニードル２７の
中間部外周に開口し前記燃料をニードル２７の中間部外
周に導く第２の燃料誘導路２７ｃが形成されている。ま
た、ノズル２６の中間部に、ニードル２７の中間部外周
に向けて開口しシリンダヘッドＣに設けた空気供給通路
３３を通して供給される圧縮空気をニードル２７の中間
部外周に導く空気誘導路２６ｃが第２の燃料誘導路２７
ｃとの相対角度θが略直角となるようにして形成されて
いて、かかる構成により、ニードル弁Ｂの開弁作動時に
前記燃料と前記圧縮空気がニードル２７の中間部外周に
て合流混合してノズル口２６ｂに導かれるようになって
いる。なお、シリンダヘッドＣの空気供給通路３３に
は、エアー源５０から圧力調整器５１を介して圧縮空気
が供給されるようになっており、この圧縮空気の圧力は
燃料ポンプ４１と圧力調整器４２を介して供給される燃
料の圧力より低く設定されている。

【００１１】上記のように構成した本実施形態において
は、コイル１１への通電により燃料弁Ａが所定時間開か
れて、所定量の燃料が燃料貯溜室Ｒ１から両燃料誘導路
２７ｂ，２７ｃに向けて噴射供給された後に、コイル２
４への通電によりニードル弁Ｂが所定時間開かれて、両
燃料誘導路２７ｂ，２７ｃ内の燃料が空気供給通路３３
を通して供給される圧縮空気と共にノズル口２６ｂを通
して燃焼室Ｒｏに微粒化して噴射供給される。

【００１２】ところで、本実施形態においては、ニード
ル弁Ｂの開弁作動時に燃料弁Ａから第１と第２の燃料誘
導路２７ｂ，２７ｃを通して導かれた燃料と空気誘導路
３３を通して導かれた圧縮空気がニードル２７の中間部
外周にて合流混合してノズル口２６ｂに導かれるように
構成したため、ニードル２７の中間部外周では霧吹きの
原理で圧縮空気の流速に比例した所定の割合で第１と第
２の燃料誘導路２７ｂ，２７ｃを通して導かれた燃料が
順次吹き出される。このときには、第１と第２の燃料誘
導路２７ｂ，２７ｃ内の燃料の吹き出しに伴って、空気
誘導路２６ｃの内端から空気が、ノズル２６とニードル
２７間の隙間と、可動コア２５とノズル２６間の隙間
と、可動コア２５とスリーブ３１間の隙間と、可動コア
２５と第２固定コア１５間の隙間等を通して、第１の燃
料誘導路２７ｂに向けて流れる。

【００１３】したがって、本実施形態においては、従来
装置において生じる一時的な燃料比率の増加による霧化
悪化（図２の一点鎖線参照）は生じず、図２の実線にて
ノズル２６の先端から５０mm前方で燃料の粒子径を測定
したものを示したように、噴射初期から終了まで霧化性
に優れた均質な噴霧が得られる。また、燃料と圧縮空気
との合流混合部での通路構成が単純な構成となっている
ため、圧縮空気の良好な流れを確保できて、燃料の吹き
残り、燃料及び圧縮空気の噴射タイミングの遅れ等の問
題は生じず、燃料及び圧縮空気をノズル口２６ｂから燃
焼室Ｒｏに的確に噴射供給することができる。

【００１４】上記実施形態においては、ノズル２６の中
間部に設けた空気誘導路２６ｃを第２の燃料誘導路２７
ｃとの相対角度θが略直角となるように形成して本発明
を実施したが、空気誘導路２６ｃをノズル２６の径方向
に設けて、第２の燃料誘導路２７ｃとの相対角度θが略
１３５度となるように構成、或いは空気誘導路２６ｃを
図１に比して急勾配に形成し、第２の燃料誘導路２７ｃ
との相対角度θが鋭角となるように構成して本発明を実
施することも可能である。相対角度θが略１３５度とな
るように構成した場合には、図２の破線にて示したよう
に、従来装置において生じる一時的な燃料比率の増加に
よる霧化悪化（図２の一点鎖線参照）は生じず、従来装
置に比して噴射初期から終了まで霧化性に優れた均質な
噴霧が得られる。また、相対角度θが鋭角となるように
構成した場合には、図２の実線に近似した性能が得られ
て、上記実施形態と実質的に同じ効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による内燃機関用エアブラスト式燃料
噴射装置の一実施形態を示す断面図である。

【図２】 ニードル弁の開弁作動開始時からの経過時間
とノズルの先端から５０mm前方で測定した燃料の粒子径
との関係を示す線図である。

【符号の説明】

２６…ノズル、２６ｂ…ノズル口、２６ｃ…空気誘導
路、２７…ニードル、２７ｂ…第１の燃料誘導路、２７
ｃ…第２の燃料誘導路、Ａ…燃料弁、Ｂ…ニードル弁、
θ…相対角度。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料弁から所定量の燃料を燃料通路を通
   してノズル内の圧縮空気中に噴射供給した後に、ニード
   ル弁を開弁させることにより前記ノズル内に噴射された
   燃料が空気通路を通して前記ノズル内に供給される圧縮
   空気と共に、前記ニードル弁によって開閉されるノズル
   口を通して、微粒化して噴射供給されるように構成した
   内燃機関用エアブラスト式燃料噴射装置において、前記
   燃料通路を、前記ニードル弁におけるニードルの内部に
   設けられて前記燃料弁から前記ニードルの中間部に前記
   燃料を導く第１の燃料誘導路と、この第１の燃料誘導路
   の先端から前記ノズル口方向に向けて前記ニードル弁の
   軸方向に対して斜向して設けられて前記ニードルの中間
   部外周に開口し前記燃料を前記ニードルの中間部外周に
   導く第２の燃料誘導路を備える構成とするとともに、前
   記空気通路を、前記ニードルの中間部外周に向けて開口
   し前記圧縮空気を前記ニードルの中間部外周に導く空気
   誘導路を備える構成として、前記ニードル弁の開弁作動
   時に前記燃料と前記圧縮空気が前記ニードルの中間部外
   周にて合流混合して前記ノズル口に導かれるように構成
   したことを特徴とする内燃機関用エアブラスト式燃料噴
   射装置。
2. 【請求項２】 前記合流部における前記第２の燃料誘導
   路と前記空気誘導路との相対角度が略直角または鋭角に
   形成されていることを特徴とする請求項１記載の内燃機
   関用エアブラスト式燃料噴射装置。