JPH10159049A - 遮水構造物の構築方法 - Google Patents

遮水構造物の構築方法

Info

Publication number
JPH10159049A
JPH10159049A JP33306796A JP33306796A JPH10159049A JP H10159049 A JPH10159049 A JP H10159049A JP 33306796 A JP33306796 A JP 33306796A JP 33306796 A JP33306796 A JP 33306796A JP H10159049 A JPH10159049 A JP H10159049A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
boards
fibrous
barrier
bituminous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33306796A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Kutsukake
真一 沓掛
Takeo Adachi
竹夫 安達
Tatsuo Yamazaki
達雄 山崎
Norio Meshida
紀雄 召田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichireki Co Ltd
Original Assignee
Nichireki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichireki Co Ltd filed Critical Nichireki Co Ltd
Priority to JP33306796A priority Critical patent/JPH10159049A/ja
Publication of JPH10159049A publication Critical patent/JPH10159049A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Revetment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量であると共に、十分な遮水性、耐衝撃
性、耐久性を備えた遮水板を使用して、遮水構造物を構
築する方法を提供することを課題とする。 【解決手段】 瀝青質材料を含浸した対向する一対の繊
維質板を、その繊維質板間に介在する瀝青結合材によっ
て一体的に結合した遮水板を、遮水もしくは止水すべき
箇所に埋設することによって遮水構造物を構築する方法
を提供することで、上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遮水構造物の構築
方法に関し、更に詳しくは、導水路、人工池、天然の河
川や湖沼池等の水利構造物における堤体や岸辺等の漏水
防止や止水のために構築される遮水構造物の構築方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、導水路、人工池、天然の河川や湖
沼池等の水利構造物の造成時または改修時に止水や漏水
を防止するに際しては、アスファルトパネルやアスファ
ルトマット、またはアスファルト等の吹き付け膜、ビニ
ール膜または良質の粘土等で、堤面の水の流れ側または
水の滞留側をフェーシングやライニングする方式が取ら
れてきた。しかしながら、アスファルトパネルやアスフ
ァルトマット、またはアスファルト等の吹き付け膜は、
空気や水に絶えず晒され、かつ、太陽光に直接暴露され
ているので、耐水効果の劣化が激しく、期間の経過と共
に漏水現象が見られるという欠点があり、しかも、構築
された遮水面が露出しているので、周りの自然環境に対
して違和感を生じるという問題もあった。
【0003】また、盛土された導水路の堤体等にコンク
リート製の遮水板や止水板を敷設、埋設する工法もある
が、コンクリート製の遮水板は、それ自体の重量が非常
に重いので、施工が困難であるという欠点があった。す
なわち、遮水板を使用するような地帯は、通常、含水量
が高いために、地盤が軟弱で、建設機械の導入すら困難
な場合が多く、たとえ導入できたとしても、遮水板を埋
設すべき堤体の頂部は一般的に堤体幅が狭くて、辛うじ
て導入した建設機械の足場を確保することが困難なこと
が多かった。このため、遮水板の敷設、埋設等の作業は
人力に頼らざるを得ない場合が殆どであるが、自重が非
常に重いコンクリート製の遮水板の施工には、多数の現
場作業員を必要とし、作業が極めて困難になるという欠
点があった。
【0004】また、コンクリート製の遮水板は、衝撃荷
重や地震荷重に極めて脆く、衝撃や地震を受けるとすぐ
に破損ないし破壊してしまうという欠点を有している。
そればかりでなく、コンクリート製の遮水板は、自重の
ために自然沈下する傾向があり、このため、コンクリー
ト製の遮水板を使用した遮水堤は、施工後、しばらくす
ると漏水箇所が発見されるという問題があった。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の問題点を解決するためになされたもので、遮水も
しくは止水すべき堤体または岸辺等に、衝撃荷重や地震
荷重に強く、耐久性に優れた遮水効果を有する遮水構造
物を、作業性良く構築できる遮水構造物の構築方法を提
供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、瀝青質材料を
含浸した対向する一対の繊維質板を、その繊維質板間に
介在する瀝青結合材によって一体的に結合した遮水板
を、遮水もしくは止水すべき箇所に埋設する、遮水構造
物の構築方法を提供することで上記課題を解決した。
【0007】すなわち、本発明で使用される遮水板は、
瀝青質材料を含浸した一対の繊維質板の間に瀝青結合材
を介在させ、その瀝青結合材によって、一対の繊維質板
を互いに結合させて全体を一体化したものであるので、
軽量であると共に丈夫であり、耐衝撃荷重・耐地震荷重
性に優れており、しかも、瀝青質材料を含浸した2枚の
繊維質板が瀝青結合材によって結合、一体化しているの
で、遮水性および耐水性にも優れている。
【0008】本発明は、このような遮水板を、遮水もし
くは止水すべき箇所に埋設し、遮水構造物を構築するも
のである。埋設に際しては、まず、埋設のための溝を掘
削し、望ましくは、その溝の底部に瀝青加工を施した繊
維質板または本発明で用いる遮水板の必要長に切断した
ものを敷き並べた上に、遮水板を立設する。遮水板は、
遮水もしくは止水すべき箇所の長さに応じて、必要な枚
数が連結して埋設される。連結は、互いに密着して立設
させた遮水板の繊維質板間に介在する瀝青結合材を、施
工現場において加熱して一部溶解させ、隣接する瀝青結
合材同志を一体化させることによって行われ、あるい
は、ジョイント部を有する遮水板を使用する場合には、
互いに密着して立設させた遮水板のジョイント部にジョ
イント材を充填し、施工現場において、ジョイント材を
加熱して、一部溶解させ、隣接する遮水板相互を連結し
て一体化させることによって行われる。ジョイント材と
しては、加熱によって溶解し、接着性を発揮するものな
らば特に問うものではないが、繊維質板間に介在させら
れる瀝青結合材と同じものを使用するのが、結合性の点
で好ましい。
【0009】なお、遮水板は、一枚づつ遮水板を立てな
がら順次連結していっても良いし、ある程度の枚数を立
てた後に、あるいは全ての枚数を立てた後にまとめて連
結しても良いが、作業スペースの観点からは、遮水板を
1枚づつ立てながら順次連結していく方が好ましい。
【0010】連結後、掘削溝は埋め戻され、遮水構造物
は完成する。なお、埋め戻しは、所要の枚数の遮水板が
全て連結された後に行っても良いし、連結作業と平行し
て、連結済みの部分を埋め戻すようにしても良い。この
ように、本発明の遮水構造物の構築方法にあっては、遮
水板が完全に埋設されるので、周囲の自然環境に違和感
を与えることがない。
【0011】なお、本発明の遮水構造物の構築方法が適
用される水利構造物とは、遮水や止水をすべき箇所を有
するものならば何でも良く、既設、新設を問わず、農業
用水路等に代表される導水路や、ため池、遊水池、水質
浄化池、潅漑用貯水池や公園の人工池などを含み、盛土
のある堤体や堤体に隣接する基盤となる岸辺部だけでな
く、更には、天然河川や湖沼池、海岸における堤体や岸
辺部をも含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】図1に、本発明で使用する遮水板
を示す。図中、符号1は、遮水板を示し、2は、瀝青質
材料を含浸した繊維質板を、3は、瀝青結合材を示す。
図に示すように、本発明で使用する遮水板1は、瀝青質
材料を含浸した一対の繊維質板2、2が、瀝青結合材3
によって、一体的に結合されてなるものである。
【0013】使用に際しては、図2に示すように、複数
枚の遮水板1、1を必要枚数連結して使用する。連結
は、遮水板1、1を互いに密着するように配置して、そ
の接合部を図示しない加熱手段によって加熱することに
より、瀝青結合材3、3を一部、溶融結合することによ
って行われる。瀝青結合材3、3は、加熱によって容易
に溶融し、接着性を発揮する。
【0014】図1の例では、瀝青結合材3は、対向する
一対の繊維質板2、2の全面にわたって繊維質板2、2
間に介在しているが、例えば、図3に示すように、対向
する繊維質板2、2の左右端部に瀝青結合材3の介在し
ないジョイント部4、4を設けることも可能である。こ
のようにジョイント部4、4を設けた遮水板1の使用に
際しては、図4に示すように、2つのジョイント部によ
って形成される空隙部に、長尺状のジョイント材5を充
填し、接合箇所を加熱することによって、ジョイント材
5を、その両端に接する瀝青結合材3、3と溶融結合す
ることによって行われる。このようにジョイント部4を
設けておくことにより、遮水板1、1の結合をより容易
に、かつ、確実に行うことができる。特に、繊維質板
2、2の接合部に、ジョイント材5が存在するので、繊
維質板2、2の接合部からの漏水をより確実に防止する
ことが可能である。ジョイント材としては、加熱によっ
て容易に溶融し、接着性を発揮し、繊維質板2や瀝青結
合材3と結合するものならば何でも良く、材質に関して
は特に問うものではないが、瀝青結合材3と同じ材料を
使用するのが、結合性の点から見て、好ましい。
【0015】なお、この図3の場合では、ジョイント部
4は、繊維質板2の左右端部に設けたが、上下に連結す
る場合には繊維質板2の上下に設けても良く、また、端
部に使用される繊維質板の場合には、その左右の一方の
端部、もしくは、上下の一方の端部にのみジョイント部
4を設けるようにしても良いことは勿論である。
【0016】この遮水板に使用される繊維質板とは、繊
維材料を主原料として成形し、板状にしたもので、密度
が0.8g/cm3 以上の、いわゆるハードボードや、
薄層の木質繊維層を方向をかえて積層した積層板なども
含まれる。使用される繊維材料としては、パルプ、紙、
木粉、トウモロコシ、米麦藁、樹皮、葉等の天然繊維、
ポリエステル、ポリプロピレン、ビニロン、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリ塩化ビニール等の合成繊維、炭素繊維、
金属繊維、ガラス繊維、岩綿等が挙げられ、これら繊維
材料の1種または2種以上が適宜使用される。
【0017】繊維質板の製造は、典型的には、これら繊
維材料と水とを、水:繊維材料=(50〜75重量
%):(50〜25重量%)の割合で混合し、型枠に流
し入れた後、加圧して成形する。繊維材料の割合が50
重量%を越えると、粘度が増し、型枠への流し込みが困
難となる。一方、繊維材料の割合が25重量%未満で
は、混合液の粘度が不足し、加圧成形がうまく行われな
い。
【0018】加圧には、例えば油圧圧縮機が使用され、
15〜25kg/cm2 の圧力で加圧、成形される。圧
力が15kg/cm2 未満であると、成形が不十分であ
り、良好な繊維質板が得られない。また、圧力が25k
g/cm2 を越えると、繊維材料が破壊され、やはり良
好な繊維質板は得られない。
【0019】成形が終わった繊維質板は、十分な乾燥を
施された後、瀝青質材料の含浸が施される。繊維質板に
含浸させる瀝青質材料としては、ストレートアスファル
ト、ブローンアスファルト、カットバックアスファル
ト、プロパン脱瀝アスファルト等の石油アスファルト、
重油、天然アスファルト、タール、ピッチなどが挙げら
れ、これらの瀝青質材料の1種または2種以上を混合し
たものが使用される。
【0020】これら瀝青質材料には、粘着・浸透補助剤
として、石油樹脂、熱可塑性ゴム、パラフィン系ワック
スなどを添加することが好ましい。添加量としては、瀝
青質材料:粘着・浸透補助剤=(60〜80重量%):
(40〜20重量%)の範囲が好ましく、粘着・浸透補
助剤の量が20重量%未満では、得られる粘着・浸透効
果が小さく、一方、40重量%を越えると、瀝青質材料
の割合が減るため、瀝青質材料を含浸させた繊維質板の
遮水性効果が低減するので不都合である。
【0021】繊維質板に瀝青質材料を含浸させるには、
まず、上記瀝青質材料の1種または2種以上の混合物
を、アスファルト溶融釜中で、160〜220℃に加熱
して溶融させ、次いで、粘着・含浸補助剤を所定量加え
て十分撹拌混合した後、繊維質板をこのアスファルト溶
融釜の中に浸漬して、繊維質板に瀝青質材料を含浸させ
る。含浸後、繊維質板をアスファルト溶融釜から取り出
して、自然冷却、もしくは、冷凍機からの冷風を当てて
強制冷却して、瀝青質材料が含浸した繊維質板とする。
完成した瀝青質材料が含浸した繊維質板は、実質的に空
隙率がなく、透水性もないものとなる。
【0022】また、本発明で使用する遮水板に使用され
る瀝青結合材は、瀝青材料を主たる原料とし、それにゴ
ムおよび/またはエラストマーを添加して、接着力、結
合力、弾力性、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性、伸張性、耐
候性等を改善して、使用される。
【0023】瀝青結合材に使用される瀝青材料として
は、レーキアスファルト等の天然アスファルト、ストレ
ートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブロー
ンアスファルトなどの石油アスファルト等で、これらの
瀝青材料の1種もしくは2種以上が必要に応じて混合使
用される。これら瀝青材料としては、針入度が25℃、
100g、5秒で、20〜150(1/10mm)、軟
化点が50〜150℃のものが好ましい。
【0024】添加されるゴムまたはエラストマーとして
は、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・
イソプレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチル
ゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロルスルホン化ポリエ
チレン、塩素化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴ
ム、EPTゴム、アルフィンゴム、スチレン・ブタジエ
ンブロック共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック
共重合ゴム、エチレン・酢酸ビニール共重合物、エチレ
ン・アクリレート共重合物、ポリエチレン、ポリ塩化ビ
ニール、ポリ酢酸ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニー
ル共重合物、酢酸ビニール・アクリレート共重合物等が
挙げられる。これらのゴムまたはエラストマーは、固体
状、粉末状、ラテックス状等、種々の状態のものが使用
でき、また、再生物であっても構わない。
【0025】瀝青材料とゴムおよび/またはエラストマ
ーとの混合方法は、特に問うものではないが、瀝青材料
とゴムおよび/またはエラストマーとを加熱して混練す
る方法(第1の方法)や、そのようにして得られた混練
物をマスターバッチとして、加熱溶融した瀝青材料に添
加して、一定時間加熱混合する方法(第2の方法)や、
ラテックス状やエマルジョン状にしたゴムおよび/また
はエラストマーを加熱溶融した瀝青材料中に添加混合し
て、水分を蒸発させて分散させる方法(第3の方法)
や、例えば自動車タイヤの粉末ゴムなどの粉末状のゴ
ム、例えばスチレン・ブタジエンブロック共重合ゴムな
どの熱可塑性ゴム、あるいは、エチレン・酢酸ビニール
共重合物のようなエラストマーを加熱溶融して瀝青材料
に添加し、一定時間加熱混合して溶融、分散させる方法
(第4の方法)などがある。
【0026】第1の方法における加熱温度は120〜2
20℃が好ましく、第2の方法、第3の方法及び第4の
方法における瀝青材料の加熱溶融温度は150〜250
℃が好ましい。加熱温度が所定の温度より低いと十分な
混合ができず、また、加熱温度が所定の温度よりも高い
と瀝青材料やゴムまたはエラストマーの性状に変質をき
たし、不都合である。
【0027】また、混合に使用する機械としては、第1
の方法においては、ゴムロールやバンバリミクサーが、
また、第2の方法、第3の方法及び第4の方法において
は、混合撹拌機や、コロイドミルのような分散溶解機、
超音波分散機、パルスエアーミキサーのような空気式混
合機等が使用される。
【0028】この瀝青結合材における、瀝青材料とゴム
および/またはエラストマーとの配合割合は、瀝青材
料:ゴムおよび/またはエラストマー=(55〜85重
量%):(45〜15重量%)の範囲が好ましい。瀝青
材料が55重量%未満であると遮水効果が著しく減少し
て不都合であり、一方、瀝青材料が85重量%を越える
と、遮水効果は向上するものの、接着力、結合力、弾力
性、耐候性、耐衝撃性等の効果が減少し、瀝青結合材と
しての所期の効果が期待できなくなる。
【0029】この瀝青結合材には、更に、粘着付与剤と
して、熱可塑性固形樹脂や液状ゴム、液状樹脂、軟化
剤、可塑剤などを添加するのが好ましい。添加される粘
着付与剤としては、例えば、ロヂンとその誘導体、テル
ペン樹脂、石油樹脂とその誘導体、クマロンインデン樹
脂、合成テルペン樹脂(例えば、日本ゼオン製、商品名
「クイントン」)、ポリイソブチレン、ポリブタジエ
ン、ポリブデン、イソブチレンとブタジエンの共重合物
(例えば、東燃石油化学製、商品名「SKポリマー10
00」、または、日本ゼオン製、商品名「クイントー
ル」)、プロセスオイル、松根油、可塑剤等が挙げられ
る。
【0030】粘着付与剤の添加量は、瀝青材料とゴムお
よび/またはエラストマーとの混合物100重量部に対
して、2〜15重量部が好ましい。粘着付与剤の添加量
が2重量部未満であると、粘着性向上に効果が見られ
ず、一方、粘着付与剤の添加量が15重量部を越える
と、粘性が著しく増大し、遮水板の製造工程に支障を来
すので不都合である。
【0031】この瀝青結合材には、更に、老化防止剤や
酸化防止剤、カーボンブラック等の顔料なども有利に添
加できる。
【0032】更には、硫黄その他の加硫剤を加えて部分
的に加硫することも可能である。
【0033】図5は、遮水板を製造する型枠の斜視図で
あり、符号6で示される型枠の中に、一対の繊維質板
2、2が、複数対、垂直に立設配置されている。7は、
発泡スチロール等で作成された間隙部材であり、8は、
一対の繊維質板2、2に所定間隔を保たせるスペーサ
ー、9は、一対の繊維質板2、2に所定間隔を保たせる
仮止め器具、10は溶融した瀝青結合材の注入器具、1
1は溶融した瀝青結合材である。
【0034】本発明の遮水板の製造は、図5に示すよう
に、型枠6内に垂直に立設配置された複数対の遮水板
2、2間に、溶融した瀝青結合材11を、注入器具10
等によって注入し、その後、自然放冷、もしくは強制冷
却によって、常温まで冷却することによって行われる。
注入される瀝青結合材は、約160〜220℃に加熱さ
れているのが、適度な粘度を有していて好ましい。
【0035】常温まで冷却後、型枠6を解体することに
よって、遮水板は自由に取り出すことができる。取り出
しがうまく行えるよう、予め、型枠内側や、間隙部材
7、スペーサー8等にタルク等の剥離粉を塗布しておく
のが好ましい。
【0036】スペーサー8、8によって対向させられた
一対の繊維質板2、2からは、図3に示すような、ジョ
イント部4を有する遮水板1が製造され、仮止め器具9
によって対向されられた繊維質板2、2からは図1に示
すような、繊維質板2、2の対向面全面に瀝青結合材3
が介在する遮水板1が製造される。なお、対向する繊維
質板2、2の一方端部にスペーサー8を介在させ、他方
端部は仮止め器具9によって所定間隔を保たせるように
すれば、一方端部にのみジョイント部4を有する遮水板
が製造できる。
【0037】なお、図5では、瀝青結合材11の注入面
以外の他の5つの面を全て覆う型枠6を用いたが、型枠
としては図示のものに限られず、例えばスペーサー8を
両端に用いる場合には、底部から瀝青結合材が漏れない
ようなものであれば良く、また、複数列を縦横に並べ
て、一度に更に多数の遮水板を製造できるようにしても
良い。更には、スペーサー8は繊維質板2、2間の下部
および/または上部に置くようにしても良く、仮止め器
具9は繊維質板2、2の側面に取り付けても良い。
【0038】また、掘削溝の底部に敷き並べられる瀝青
加工を施した繊維質板としては、上述の繊維質板の表面
に、上述の瀝青質材料を塗布したものでも良く、また、
遮水板に使用される瀝青質材料を含浸した繊維質板を用
いても良く、さらには、遮水板を必要長に切断したもの
を用いても良い。
【0039】以下、実施例に基づいて、本発明を更に詳
しく説明するが、本発明の遮水構造物の構築方法がこの
実施例に限定されるわけではないことは勿論である。
【0040】
【実施例】
〈遮水板の製造〉麦藁を電動石臼機を用いて繊維がほぐ
れるまで加水破砕し、これに、解砕されたパルプ屑を混
合した。混合の割合は、麦藁:パルプ屑=75重量%:
25重量%であった。
【0041】この麦藁とパルプ屑の混合物30重量部を
70重量部の工業用水に溶かし、その水溶液を、型枠に
流し入れ、加圧機によって20kg/cm2 の圧力でプ
レスして繊維質板とした。このプレスされた繊維質板を
室温で、5日間、養生を行いながら乾燥した。
【0042】一方、ストレートアスファルト(コスモ石
油株式会社製、ストレートアスファルト150/20
0)70重量部とパラフィン系ワックス(日本油脂株式
会社製、パラフィン135F)30重量部とを混合した
瀝青質材料を、溶融釜で200℃に加熱溶融した中に、
上記、養生および乾燥を終えた繊維質板を浸漬し、繊維
質板に瀝青質材料を含浸させた。浸漬時間は、予めの予
備実験で決めた100秒とした。なお、用いた繊維質板
は、160秒までの浸漬時間では材質に変化は見られな
かったが、200秒を越えると変形等の材質変化を起こ
した。
【0043】所定時間の浸漬後、繊維質板を溶融釜から
引き上げ、自然放冷で冷却した。放冷1日でほぼ常温ま
で冷却した。製造された瀝青質材料の含浸した繊維板
は、縦200cm、横100cm、厚さ1cmであっ
た。
【0044】1週間の養生後、図5に示すような型枠内
に、予めタルクの水溶液を型枠内側全面に塗布した後、
瀝青質材料の含浸した繊維板を30組、計60枚、垂直
に立設配置した。対向する各対の繊維質板間にはスペー
サーを配置し2cmの間隔を持たせ、組間には発泡スチ
ロールの間隙部材を配置した。使用した型枠の大きさ
は、内法で、縦100cm、横300cm、高さ200
cmであった。
【0045】瀝青結合材としては、ストレートアスファ
ルト(コスモ石油株式会社製、ストレートアスファルト
60/80)75重量部、ゴム(東洋防水布製造株式会
社製、粉末ゴム)15重量部、エラストマー(旭化成工
業株式会社製、タフプレーンA)10重量部、粘着付与
剤(日本石油株式会社製、ネオポリマー)5重量部の混
合物を使用し、180℃に加熱したものを溶融釜よりポ
ンプで汲み上げ、高圧ホースで誘導して、各対になった
繊維板間に注入した。1日養生し、常温に戻るのを待
ち、型枠を結合していたネジを外して、完成した遮水板
を取り出した。遮水板には図3に示されるようなジョイ
ント部が形成されていた。
【0046】取り出された遮水板は、縦200cm、横
100cm、厚さ4cm(1枚の繊維質板の厚さ1c
m、瀝青結合材の厚さ2cm)の大きさで、重さは約6
6kg/枚であった。
【0047】これを、従来のセメントコンクリート製の
遮水板と比較すると、従来のセメントコンクリート製の
遮水板は、縦200cm、横100cm、厚さ5cmの
大きさで、重量が約260kg/枚であるので、本発明
の遮水板の方が著しく軽量であることが分かる。
【0048】〈遮水構造物の構築〉農業用水路の築堤部
分において、約2mの長さで漏水箇所が発見されたの
で、漏水防止のために、本発明の遮水構造物の構築方法
を施工した。施工対象となった築堤部分の概略を図6に
示す。この堤体12は、高さaが1mで、堤体の頂部幅
bが3mの堤体で、施工は渇水期に行ったが、堤体頂部
から水面13までの距離cは1.5mであった。漏水が
発見されたのは、田植え期の満水期で、そのときの堤体
頂部から水面13までの距離cは80cmであった。
【0049】施工は、約2mの長さの漏水個所を中心
に、前後100m、計200mの長さにわたって行っ
た。まず、堤体の中央部を掘削機で、幅60cm、深さ
210cm、長さ200mにわたって掘削し、溝14を
形成した。なお、図6において、dが溝14の深さを、
eが溝14の幅を表している。
【0050】次いで、溝14の底面を十分に平坦に均し
た後、図7に示すように、瀝青加工を施した繊維質板1
5を、溝14の延長50mにわたって、溝14の中央に
敷き並べた。繊維質板15は、用いた繊維質板の大きさ
が幅が15cm、長さ2m、厚さ1cmである以外は、
前記遮水板の製造において、瀝青質材料を含浸させた繊
維質板を製造したのと同じ方法で、作成した。
【0051】さらに繊維質板15の上に、前記遮水板の
製造において製造した遮水板1を、溝14の中央に垂直
に立て、倒れないようにあて木16を据えて、溝14の
壁面に固定した。なお、遮水板1の結合は、次のように
して行った。すなわち、図8に要部のみを取り出して模
式的に示すように、まず、1枚目の遮水板1を垂直に立
てた後、そのジョイント部に瀝青結合材からなるジョイ
ント材5を充填し、2枚目の遮水板1のジョイント部
を、先に充填されたジョイント材5に食い込ませて、図
8に示すように2枚の遮水板を垂直に立設した。次い
で、図示しないプロパンガスバーナーを使用して、図8
において矢印で示される2枚の遮水板の接合箇所、換言
すれば、ジョイント材5の存在する箇所を加熱して、ジ
ョイント材5を一部溶融し、隣接する2つの遮水板1、
1を結合、一体化して連結した。プロパンガスバーナー
による加熱は、天から地に向かって行った。
【0052】一組目の遮水板1、1の連結が終わった
後、加熱したのと反対側のジョイント部にジョイント材
5を充填し、そのジョイント材5に次の遮水板1のジョ
イント部を食い込ませて、次の遮水板1を垂直に立てた
後、同様にプロパンガスバーナーで加熱して、ジョイン
ト材5を溶解して、2つの遮水板1、1を連結した。
【0053】以下、順次同じ手順で、必要枚数の遮水板
1を連結し、溝14の延長200mにわたって、相互に
連結された遮水板1を立設した。
【0054】次いで、溝14を埋め戻し、遮水構造物の
構築を完了した。この堤体からは、次の田植え期になっ
ても、漏水は見られなかった。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の遮水構造物
の構築方法は、瀝青質材料を含浸した2枚の繊維質板
を、瀝青結合材によって一体的に結合した遮水板を使用
するので、遮水板自体が軽量であり、作業が簡単に行え
るばかりでなく、得られる遮水構造物が、自重で沈下す
る恐れもない。また、遮水板自体が極めて耐久性に富
み、地震等による衝撃を受けてもその遮水効果が劣化す
ることがないので、本発明の構築方法によって得られる
遮水構造物の耐久性や遮水効果も極めて優れたものであ
る。
【0056】特に、遮水板の2枚の繊維質板を結合する
瀝青結合材は、遮水板相互を結合する役割も果たし、遮
水板に設けたジョイント部に別途、瀝青結合材を充填し
て、隣接する瀝青結合材と相互に溶融一体化して結合、
連結する場合には、遮水板相互の連結が確実に行われる
だけでなく、繊維質板の接合部を瀝青結合材が完全にカ
バーするので、接合部からの漏水の危険性がない。
【0057】本発明はこのように、従来のコンクリート
製の遮水板にはない優れた特性を備えた遮水板を使用し
て遮水構造物を構築する方法であるので、作業が簡単に
行えるだけでなく、極めて性能の優れた遮水構造物を構
築することができるという特有の効果を有するものであ
る。さらには、構築された遮水構造物は、完全に埋設さ
れるので、周囲環境との調和という観点からも極めて優
れた構築方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用する遮水板の一例を示す斜視図
である。
【図2】 遮水板の連結状態を示す斜視図である。
【図3】 本発明で使用する遮水板の他の例を示す斜視
図である。
【図4】 遮水板の連結状態を示す斜視図である。
【図5】 本発明で使用する遮水板の製造方法を示す斜
視図である。
【図6】 本発明の構築方法を示す模式図である。
【図7】 本発明の構築方法を示す模式図である。
【図8】 遮水板の連結状態を示す要部の斜視図であ
る。
【図9】 本発明の構築方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 遮水板 2 繊維質板 3 瀝青結合材 4 ジョイント部 5 ジョイント材 6 型枠 7 間隙部材 8 スペーサー 9 仮止め器具 10 注入器具 11 溶融した瀝青結合材 12 堤体 13 水面 14 溝 15 繊維質板 a 堤体の高さ b 堤体の頂部幅 c 堤体頂部から水面までの距離 d 溝深さ e 溝幅

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 瀝青質材料を含浸した対向する一対の繊
    維質板を、その繊維質板間に介在する瀝青結合材によっ
    て一体的に結合した遮水板を、遮水もしくは止水すべき
    箇所に埋設する遮水構造物の構築方法。
  2. 【請求項2】 複数の遮水板を、互いに連結して埋設す
    る請求項1記載の遮水構造物の構築方法。
  3. 【請求項3】 遮水板が、瀝青結合材が介在せず、一対
    の繊維質板が空隙を介して対向するジョイント部を、そ
    の少なくとも一方の端部に有しており、連結が、連結す
    べき遮水板のジョイント部に、ジョイント材を充填し、
    そのジョイント材を加熱することによって行われる請求
    項2記載の遮水構造物の構築方法。
  4. 【請求項4】 ジョイント材が、繊維質板間に介在する
    瀝青結合材と同じ材料からなるものである請求項3記載
    の遮水構造物の構築方法。
  5. 【請求項5】 遮水もしくは止水すべき箇所が、堤体で
    ある請求項1、2、3または4記載の遮水構造物の構築
    方法。
  6. 【請求項6】 遮水もしくは止水すべき箇所が、岸辺で
    ある請求項1、2、3または4記載の遮水構造物の構築
    方法。
  7. 【請求項7】 遮水もしくは止水すべき箇所を掘削し、
    掘削溝の底部に瀝青加工が施された繊維質板を敷き並
    べ、その上に、遮水板を垂直に立設しつつ、順次連結
    し、所要の長さにわたって連結された遮水板を埋め戻す
    請求項1、2、3、4、5または6記載の遮水構造物の
    構築方法。
JP33306796A 1996-11-29 1996-11-29 遮水構造物の構築方法 Pending JPH10159049A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33306796A JPH10159049A (ja) 1996-11-29 1996-11-29 遮水構造物の構築方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33306796A JPH10159049A (ja) 1996-11-29 1996-11-29 遮水構造物の構築方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10159049A true JPH10159049A (ja) 1998-06-16

Family

ID=18261903

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33306796A Pending JPH10159049A (ja) 1996-11-29 1996-11-29 遮水構造物の構築方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10159049A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100541072B1 (ko) * 2005-01-21 2006-01-10 주식회사 홍익기술단 하천 제방의 누수 방지를 위한 차수 구조물

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100541072B1 (ko) * 2005-01-21 2006-01-10 주식회사 홍익기술단 하천 제방의 누수 방지를 위한 차수 구조물

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2262424A1 (en) Foundation wall construction
CN105019404B (zh) 一种止水条及其止水结构和止水结构的施工方法
DE102016107632A1 (de) Platten- oder bahnförmige Dichtung für Bauwerke aus Beton sowie Verfahren zum Herstellen einer Verbundabdichtung im Wand-, Boden- und Deckenbereich von Bauwerken aus Materialien auf Zementbasis, insbesondere Beton
US6053662A (en) Panel assembly for RCC dam and construction method
JP5146972B2 (ja) 遮水壁の構築工法
KR20100021831A (ko) 점착성 수팽창 방수시트 및 이를 이용한 방수공법
CN109056801A (zh) 一种综合管廊底板防水施工工艺
JPH10159049A (ja) 遮水構造物の構築方法
CN109826157B (zh) 一种便于施工的防渗墙
JP4726147B2 (ja) 遮水層の構築工法
JPH10159048A (ja) 遮水板とその製造方法
JP4966556B2 (ja) 遮水シートの接合方法および遮水シートの接合構造
CN205062857U (zh) 一种侧墙防水保护结构
JPH10183570A (ja) 遮水構造物とその構築方法
KR19980067712A (ko) 콘크리트 구조물의 누수방지 또는 누수예방용 주입액 및 이 주입액을 사용한 방수공법
JPH10183569A (ja) 遮水もしくは止水用マットとそれを用いた遮水構造物、並びにその遮水構造物の構築方法
CN1445418A (zh) 利用橡化沥青防水膜的预铺自粘式防水结构
JP7183218B2 (ja) 鋼製遮水壁、鋼製遮水壁の遮水方法
CN217517499U (zh) 一种沥青混凝土与现浇混凝土的防渗连接结构
CN220977892U (zh) 新型抽水蓄能水库全库防渗结构
JP3425943B2 (ja) 遮水壁の遮水層形成方法
CN204781017U (zh) 一种底板防水保护结构
CN115897662A (zh) 一种用于新旧地下室连接的缓冲结构及其施工方法
JP2001295268A (ja) 止水工法
JPS633089B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060404

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060815

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02