JPH10158429A - ミクロ多孔質体及びその製造方法 - Google Patents

ミクロ多孔質体及びその製造方法

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JPH10158429A
JPH10158429A JP33905296A JP33905296A JPH10158429A JP H10158429 A JPH10158429 A JP H10158429A JP 33905296 A JP33905296 A JP 33905296A JP 33905296 A JP33905296 A JP 33905296A JP H10158429 A JPH10158429 A JP H10158429A
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JP
Japan
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styrene
block
block copolymer
low
weight
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Application number
JP33905296A
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English (en)
Inventor
Takahiro Matsuse
貴裕 松瀬
Shinichi Toyosawa
真一 豊澤
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 シンジオタクティックポリ(ビニル系芳
香族炭化水素)ブロック1〜80重量%とゴム状エラス
トマーブロック99〜20重量%とからなるブロック共
重合体に低分子材料を混合して得られるブロック共重合
体組成物から上記低分子材料を除去することによって得
られ、骨格の平均径が10μm以下、セルの平均径が8
0μm以下の三次元連続網状骨格から構成されることを
特徴とするミクロ多孔質体。 【効果】 本発明のミクロ多孔質体は、これを構成する
三次元連続網状骨格構造体が非常にミクロで均一な気孔
を有すると共に、機械的強度等に優れているため、広い
用途展開が可能となるものである。また、本発明のミク
ロ多孔質体の製造方法によれば、このようなミクロ多孔
質体を容易かつ確実に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミクロの三次元連
続骨格構造を有し、高機能性多孔質体や機能性分離膜等
として幅広い分野に有効に利用しうるミクロ多孔質体及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】周知の
通り、一般的な多孔質材料は、ポリウレタンフォームや
プラスチックフォーム、更にスポンジに代表されるよう
に、反応時の気泡生成や発泡剤の投入、窒素ガスや炭酸
ガスの注入及び機械的撹拌によって材料を発泡させるこ
とによって製造されている。
【0003】しかしながら、このような方法は、製法的
には簡単であるが、発泡によって得られるセル(気泡)
がかなり大きく、ミクロなセルを得ることは困難であ
る。
【0004】一方、機能性の分離膜としては、ゴアテッ
クスのように延伸によって得られるもの、エッチングに
よって穿孔するなどの物理的方法により得られるものが
あり、また、予め可溶性物質を混合した後この可溶性物
質を溶出させて得られるもの、更に一般の不織布などが
挙げられる。
【0005】しかしながら、このような方法で得られる
ものは、かなりミクロな多孔質構造であるが、均一性が
悪くしかも空孔率が低いという問題がある。
【0006】これに対して、近年、特開平5−2392
56号公報等に示されているように、三次元連続網状骨
格構造を有する高分子有機材料と低分子材料との高分子
ブレンド材料が知られており、この高分子ブレンド材料
から低分子材料を有機溶剤などで除去すると、三次元連
続網状骨格が残ることが報告されている。
【0007】しかしながら、この公報で例に挙げられた
三次元連続網状骨格は、ポリエチレンとエチレン−スチ
レンランダム共重合体との2ブロック共重合体で形成さ
れたものであるが、更に、骨格構造の強度に優れ、この
ため上記三次元連続網状骨格がミクロでかつ均一な気孔
を有する良質なミクロ多孔質体が望まれ、これによって
より広い用途展開が求められている。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、広い用途展開を可能とすべく、気孔がミクロかつ均
一で強度に優れる三次元連続網状骨格を有するミクロ多
孔質体及び該ミクロ多孔質体の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた
結果、シンジオタクティックポリ(ビニル系芳香族炭化
水素)ブロック1〜80%(重量%、以下同じ)とゴム
状エラストマーブロック99〜20%とからなるブロッ
ク共重合体に低分子材料を混合してブロック共重合体組
成物を得た後、この組成物から上記低分子材料を除去す
ることにより、上記ブロック共重合体からなる三次元連
続網状骨格構造体が得られること、この三次元連続網状
骨格構造体が非常にミクロで均一な気孔を有すると共
に、耐熱性、強度に優れていること、この性質から広い
用途展開が可能となることを見い出し、本発明をなすに
至ったものである。
【0010】従って、本発明は、(A)シンジオタクテ
ィックポリ(ビニル系芳香族炭化水素)ブロック1〜8
0%とゴム状エラストマーブロック99〜20%とから
なるブロック共重合体に低分子材料を混合して得られる
ブロック共重合体組成物から上記低分子材料を除去する
ことによって得られ、骨格の平均径が10μm以下、セ
ルの平均径が80μm以下の三次元連続網状骨格から構
成されることを特徴とするミクロ多孔質体、及び(B)
シンジオタクティックポリ(ビニル系芳香族炭化水素)
ブロック1〜80%とゴム状エラストマーブロック99
〜20%とからなるブロック共重合体に低分子材料を混
合してブロック共重合体組成物を製造した後、この組成
物から上記低分子材料を除去することを特徴とするミク
ロ多孔質体の製造方法を提供する。
【0011】以下、本発明について更に詳しく説明する
と、本発明のミクロ多孔質体は、内部連通空間を有する
三次元連続網状骨格構造であり、この三次元連続網状骨
格構造がシンジオタクティックポリ(ビニル系芳香族炭
化水素)ブロックとゴム状エラストマーブロックとから
なるブロック共重合体により形成されたものである。
【0012】本発明で用いられるポリ(ビニル系芳香族
炭化水素)としては、シンジオタクティック立体化学構
造を有するスチレン系ポリマーが好適であり、これはC
−C結合からなる主鎖に対し、フェニル基が側鎖として
反対位置に交互に結合しているものである。なお、立体
規則度は、カーボン同位体を用いる核磁気共鳴法(13
−NMR法)によって定量される。13C−NMR法によ
って定量された立体規則度は、互いに連続的に結合する
構造単位、即ち2個の構造単位が互いに結合しているジ
アド(diad)、3個の構造単位が互いに結合してい
るトリアド(triad)、5個の構造単位が互いに結
合しているペンタド(pentad)の割合によって示
される。
【0013】シンジオタクティック構造を有するスチレ
ン系ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリアルキルス
チレン、ポリハロゲン化スチレン、ポリハロゲン化アル
キルスチレン、ポリアルコキシスチレン、ポリビニルベ
ンゾエート、これらの水素化ポリマー、これらの混合
物、上記ポリマーを主成分とする共重合体などが挙げら
れ、上記13C−NMR法によって測定されたシンジオ立
体規則性が、少なくとも75%、より好ましくは少なく
とも85%のラセミジアドの割合を有するか、又は少な
くとも30%、より好ましくは少なくとも50%のラセ
ミペンタドの割合を有することが好ましい。
【0014】なお、上記ポリアルキルスチレンとして
は、ポリメチルスチレン、ポリエチルスチレン、ポリイ
ソプロピルスチレン、ポリtert−ブチルスチレン、
ポリフェニルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビ
ニルスチレンなどが例示される。また、ポリハロゲン化
スチレンとしては、ポリクロロスチレン、ポリブロモス
チレン、ポリフルオロスチレンなどが例示され、ポリハ
ロゲン化アルキルスチレンとしては、ポリクロロメチル
スチレンなどが例示され、ポリアルコキシスチレンとし
ては、ポリメトキシスチレン、ポリエトキシスチレンな
どが例示される。
【0015】上記スチレン系ポリマーとしては、特に、
ポリスチレン、ポリp−メチルスチレン、ポリm−メチ
ルスチレン、ポリp−tert−ブチルスチレン、ポリ
p−クロロスチレン、ポリm−クロロスチレン、ポリp
−フルオロスチレン、水素化ポリスチレン及びこれらの
構造単位を含むコポリマーが好ましいものとして挙げら
れる。上記シンジオタクティックポリスチレンを得るた
めに用いられる好適なモノマーとしては、スチレン、α
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、これらの混合
物などが挙げられ、これらのスチレン系モノマーを重合
することによって得られるシンジオタクティックポリス
チレンがより好ましい。
【0016】本発明に用いられるスチレン系ポリマーの
分子量は特に制限されないが、好ましくは重量平均分子
量が1,000〜1,000,000、より好ましくは
5,000〜500,000である。なお、スチレン系
ポリマーの分子量の広さを表す分子量分布も特に制限は
なく、広くてもよい。スチレン系ポリマーの重量平均分
子量が1,000より低いと、得られる組成物が熱的及
び機械的特性に劣るため好ましくない。
【0017】また、スチレン系ポリマーの融点は150
℃以上、より好ましくは200℃以上とすることが、ブ
ロック共重合体が高温用途に有効に使用される点から好
ましい。
【0018】シンジオタクティック構造を有するスチレ
ン系ポリマーは公知の方法によって製造し得、例えば、
所望のスチレン系ポリマーを得るのに対応するスチレン
系モノマーを適当な溶剤の存在下に、チタン化合物及び
水とトリアルキルアルミニウムとの縮合物を含む触媒を
用いて重合する方法(特開昭62−187708号公
報)を採用し得る。また、特開平1−46912号公報
記載の方法に従って、ポリハロゲン化アルキルスチレン
及びその水素化物を製造することもできる。
【0019】一方、ゴム状エラストマーブロックは、共
役ジエン/ビニル系芳香族ブロック又はジエン系エラス
トマーやこれらの水添化物が好ましい。具体的には、ポ
リブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ス
チレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレ
ン−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。この場
合、これら共重合体としては、ランダムスチレン−ブタ
ジエン共重合体、テーパード(tapered)スチレ
ン−ブタジエン共重合体、マイクロブロックスチレン−
ブタジエン共重合体、ランダムスチレン−イソプレン共
重合体、テーパード(tapered)スチレン−イソ
プレン共重合体、ランダムスチレン−ブタジエン−イソ
プレン共重合体などを含む。
【0020】これらの中では、ランダムスチレン−ブタ
ジエン共重合体、テーパードスチレン−ブタジエン共重
合体、カリウムタイプのランダム化剤を用いて得られる
マイクロブロックスチレン−ブタジエン共重合体が好ま
しい。
【0021】なお、ゴム状エラストマーブロックは、ジ
エンモノマーに由来する単位中のビニル量又は3,4−
イソプレン量は20%以下であることが好ましい。ま
た、スチレン共重合体の場合、共重合体中のスチレン部
分の含有量は1〜50%、特に1〜40%であることが
低分子材料のブリードや強度などの点から好ましい。
【0022】本発明において、ブロック共重合体は、上
記シンジオタクティックポリ(ビニル系芳香族炭化水
素)ブロックとゴム状エラストマーブロックとからなる
が、その比率は前者が1〜80%、特に10〜50%、
後者が99〜20%、特に90〜50%である。シンジ
オタクティックポリ(ビニル系芳香族炭化水素)ブロッ
クが少なすぎると耐熱性に劣り、多すぎると流動性が低
下して成形性に劣る場合が生じる。
【0023】なお、上記ブロック共重合体は、片末端又
は両末端にシンジオタクティックポリ(ビニル系芳香族
炭化水素)ブロックを有することが好ましい。該ブロッ
クが末端でないと組成物の強度、伸びが低下するおそれ
がある。
【0024】また、上記ブロック共重合体の重量平均分
子量は、100,000〜300,000であることが
好ましい。
【0025】本発明にかかるブロック共重合体は、例え
ば水酸基、カルボキシル基などの親水基や、ニトロ基等
の親油基をつけて変性し、その特性を変えることも用途
によっては有効である。
【0026】なお、本発明においては、上記ブロック共
重合体以外の重合体を上記ブロック共重合体と混合して
用いてもよく、このような重合体としては、例えば、ポ
リブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体
とのブロック共重合体を水添して得られるポリエチレン
とエチレン−スチレンランダム共重合体、ポリブタジエ
ンとポリスチレンとのブロック共重合体、或いはポリブ
タジエンとポリスチレンとのブロック共重合体を水添し
て得られるポリエチレンとポリスチレンとのブロック共
重合体等を挙げることができ、上記ブロック共重合体1
00重量部に対して100〜1,500重量部の範囲で
使用することができる。
【0027】一方、上記ブロック共重合体に添加、混合
される低分子材料は、固体でも液体でもよく、用途に応
じて種々のものが使用可能であるが、特に数平均分子量
が20,000未満、好ましくは10,000以下、更
に好ましくは5,000以下の低分子材料が好適に用い
られる。具体的には、下記のものを例示することができ
る。
【0028】軟化剤:鉱物油系、植物油系、合成系な
どの各種ゴム用、或いは樹脂用軟化剤。鉱物油系として
は、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系等の
プロセス油などが用いられ、またシリコーンオイルも好
適に用いられる。植物油としては、ひまし油、綿実油、
あまに油、菜種油、大豆油、パーム油、やし油、落花生
油、木ろう、パインオイル、オリーブ油など。 可塑剤:フタル酸エステル、フタル酸混基エステル、
脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエステル、脂肪酸
エステル、リン酸エステル、ステアリン酸エステル等の
各種エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、その他プラ
スチック用可塑剤、又はフタレート系、アジペート系、
セバケート系、フォスフェート系、ポリエーテル系、ポ
リエステル系などのNBR用可塑剤。 粘着付与剤:クマロン樹脂、クマロン−インデン樹
脂、フェノールテルピン樹脂、石油系炭化水素、ロジン
誘導体等の各種粘着付与剤(タッキファイヤー)。 オリゴマー:クラウンエーテル、含フッ素オリゴマ
ー、ポリブテン、キシレン樹脂、塩化ゴム、ポリエチレ
ンワックス、石油樹脂、ロジンエステルゴム、ポリアル
キレングリコールジアクリレート、液状ゴム(ポリブタ
ジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アク
リロニトリルゴム、ポリクロロプレン等)、シリコーン
系オリゴマー、ポリ−α−オレフィン等の各種オリゴマ
ー。 滑剤:パラフィン、ワックス等の炭化水素系滑剤、高
級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミ
ド、アルキレンビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑
剤、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコ
ールエステル、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリ
グリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、
金属石鹸、混合系滑剤等の各種滑剤。
【0029】その他、ラテックス、エマルジョン、液
晶、歴青組成物、粘土、天然のデンプン、糖、更に無機
系のシリコンオイル、フォスファゼン等も使用すること
ができる。更に、牛油、豚油、馬油等の動物油、鳥油、
炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、フ
ェノール系、エーテル系、アセタール系、ケトン系脂肪
酸系、エステル系、窒素化合物系、硫黄化合物系等の有
機溶剤、あるいは種々の薬効成分、土壌改良剤、肥料
類、石油類、水、水溶液なども用いることができる。
【0030】上記ブロック共重合体に対する低分子材料
の割合は、ブロック共重合体100部(重量部、以下同
じ)に対し低分子材料を約30部以上、好ましくは30
〜1,000部、より好ましくは30〜800部の配合
量とすることが好適である。低分子材料が少なすぎると
組成物中に三次元連続網状骨格が得られないおそれがあ
る。多すぎると均一な三次元連続網状骨格が得られない
という不利が生じるおそれがある。
【0031】本発明にかかるブロック共重合体組成物
は、上述したようにブロック共重合体に低分子材料が保
持されているものであるが、この場合、できる限り少量
の共重合体によって低分子材料を保持することが望まし
い。
【0032】本発明にかかる上記ブロック共重合体に上
記低分子材料を添加、混合したブロック共重合体組成物
は、その製造法は特に制限されないが、高剪断型混合機
などの高速撹拌機を用い、撹拌速度を300rpm以
上、好ましくは500rpm以上、更に好ましくは1,
000rpm以上として混合することが推奨される。高
速に撹拌しない場合、例えばロールやローター型ミキサ
ー、シリンダー型ミキサーを用い、低速度で混合したの
では、目的とする上記ブロック共重合体と低分子材料と
の均一な混合物を得ることは困難である。また、混合温
度は90〜200℃、好ましくは100〜180℃の範
囲が望ましく、混合時間は5〜120分、好ましくは1
0〜90分程度がよい。
【0033】このようにして得られるブロック共重合体
組成物は、少なくとも1つのエラストマーブロックと少
なくとも1つのシンジオタクティックポリ(ビニル系芳
香族炭化水素)ブロックを有するもので、ブロック共重
合体に低分子材料が保持された構造を有する。
【0034】この場合、このブロック共重合体組成物
は、約20〜25℃でショアA硬度が約0〜50、特に
約10〜30であるものがその後の作業性の点で好まし
い。
【0035】また、上記ブロック共重合体組成物として
は、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、オリゴマー、滑剤
等、特にアロマティック系オイル、ナフテン系オイル、
パラフィン系オイル、シリコーンオイル等が展延された
ブタジエン−スチレン/シンジオタクティックポリスチ
レンブロック共重合体が好適である。
【0036】本発明のミクロ多孔質体は、上記組成物か
ら低分子材料を除去することによって得ることができ
る。
【0037】この低分子材料の除去方法としては特に制
限はないが、例えば適当な溶媒を用いて低分子材料を溶
解抽出させた後、残留する溶媒を揮発乾燥する方法が適
当である。
【0038】ここで、使用できる溶媒としては、上記ブ
ロック共重合体が不溶又は難溶性で、低分子材料その他
の成分が易溶性のものであればいずれのものも使用可能
であり、例えばキシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香
族炭化水素類、ヘキセン、ペンテン等の不飽和脂肪族炭
化水素類、ヘキサン、ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エタ
ノール、ブタノール等のアルコール類、塩化メチレン、
クロロホルム等の塩化脂肪族炭化水素類、シクロヘキサ
ノン等の脂環式炭化水素類、ジオキサン、テトラヒドロ
フラン等のエーテル類、酢酸ブチルなどのエステル類、
更に水、アルカリ水溶液、酸水溶液等が挙げられ、これ
らの1種を単独で又は2種以上を混合して1回乃至複数
回の抽出操作で用いることができる。
【0039】これらの溶媒による溶解抽出に際し、具体
的には低分子材料を含むブロック共重合体組成物を小片
又は薄膜化した後、これを上記溶媒中に浸漬して低分子
材料の抽出を行うことが好適である。
【0040】この場合、低分子材料を有効に回収するた
めに、溶媒による溶解抽出の前段階として、組成物をロ
ールやプレスなどで圧縮したり、吸引機、真空機、遠心
分離機、超音波装置などで物理的な力を加えて低分子材
料の大部分を取り出し、その後溶媒による溶解抽出を行
うことが推奨される。
【0041】このようにして得られるミクロ多孔質体
は、上記低分子材料が除去されることにより、上記ブロ
ック共重合体から構成される三次元連続網状骨格を有
し、図1に示すようなミクロ構造を有する。なお、図1
において、1は上記ブロック共重合体からなる三次元連
続網状骨格、2は内部連通空間であり、この内部連通空
間2はに後述する低分子材料が除去された空隙である。
ここで、図1において、骨格1の平均径dは10μm以
下、好ましくは1〜7μmの範囲、またセルの平均径D
は80μm以下、好ましくは2〜50μmの範囲である
ものが望ましい。更に、空孔率は50〜99%、好まし
くは60〜98%の範囲であり、非常に空孔率が高いも
のである。
【0042】なお、上記のような抽出操作で得られたミ
クロ多孔質体に後処理を加えて、その特性を変えること
も有効である。例えば、紫外線、電子線、又は加熱によ
ってポリマー成分を架橋させることによって、熱的安定
性を増加させることができる。また、例えば界面活性
剤、カップリング剤、ガスによるエッチング、プラズマ
処理、スパッタ処理等により、ミクロ多孔質体の親水
性、疎水性、電気特性、光学特性、強度などを変えるこ
とも有効である。
【0043】このようにして得られる本発明のミクロ多
孔質体は、網目の開口が極めて小さく、機械的強度に優
れる三次元連続網状骨格構造を有するため、例えば透析
膜、限外濾過膜、逆浸透膜、イオン交換膜、気体分離
膜、パーベイパレイション膜、バイオセンサー膜等の高
機能分離膜として利用可能である。また、弾性と多孔質
を利用して、例えばパフ、筆化粧品、筆ペン、吸水ロー
ル、タバコのフィルター、汚れ取りクリーナー、膝、
肘、胸等のパッド、人形、感触を楽しむおもちゃ、汗取
り用、靴の下敷き、水は通さず汚れ(気体)を通す素
材、クッション材、シート、振動減衰材、植物用保水
材、止水材、シーリング材、パッキン、断熱材、掃除フ
ィルター、ヘルメットの内装材、半導体掃除用クリーナ
ー、シューズ用クッションや中敷きなどとして利用可能
である。
【0044】また、本発明のミクロ多孔質体に適当な水
溶液や有機液体を含浸させることによって、極めて広い
産業分野で有効に利用できる。例えば有機、無機の電解
液を含浸させて半固体電解質が得られ、ペーパー電池、
エレクトロクロミックデバイス等の製品に利用可能であ
る。メッキ液を含浸させた場合、メッキ材と被メッキ材
との間に挟み込むことにより、ドライメッキが可能とな
る。液晶を含浸させた場合には、調光素子とすることが
でき、液晶ディスプレー、可変透過性ブラインド等の製
品に応用が可能である。また、磁性流体を含浸させた場
合、フレキシブル磁石、クリーンシーリング等、電気粘
性流体を含浸させた場合には、各種の振動防止デバイス
等に応用可能である。更に、反応性有機材料を含浸させ
た場合、互いに反応する有機材料それぞれを別々のミク
ロ多孔質体に含浸させ、これらを密着させて反応させる
ことによって、これらの有機材料の反応物が上記ブロッ
ク共重合体の三次元連続網状骨格で補強されたものが得
られ、例えば反応性2液型接着剤のドライ接着、2液反
応型塗料などに応用可能である。その他、朱肉を含浸さ
せて長期使用可能な朱肉部材、あるいはコンタクトレン
ズなどにも応用ができる。
【0045】また、ラテックス、エマルジョン、歴青組
成物、粘土、天然のデンプン、糖、更に無機系のシリコ
ーンオイル、フォスファゼン等も使用することもでき
る。その他、牛油、豚油、馬油等の動物油、鳥油、魚
油、蜂蜜、果汁、チョコレート、ヨーグルト等の乳製
品、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール
系、フェノール系、エーテル系、アセタール系、ケトン
系、脂肪酸系、エステル系、窒素含有物系、硫黄化合物
系などの有機溶剤、あるいは種々の薬効成分、土壌改良
剤、肥料類、石油類、水、水溶液なども用いることがで
きる。
【0046】また、薬剤成分を用いることにより、優れ
た薬用被覆剤(湿布剤)とすることができる。この場
合、薬効成分としては、外皮投与可能な薬物であれば特
に制限はない。例えば、局所作用を目的とする薬物であ
れば深部まで薬物を浸透させることができ、一方、全身
作用が目的の場合は、速やかに薬物を血中へ移行させる
ことができる。薬剤成分の分子量としては、1,000
以下、好ましくは700以下、更に好ましくは500以
下であるものがよい。
【0047】更に、芳香成分を用いることにより、優れ
た芳香剤を得ることができる。この場合、芳香成分とし
ては、例えばレモン油、ライム油、スペアミント油、ジ
ャスミン油、オレンジ油、パイン油、はっか油、ユーカ
リ油、ラベンダー油、ムスク油等の天然香料、或いはこ
れらの香料を原料とした合成香料、例えばリモネン、リ
ナモール、オイゲノール、シトラネロール、バニリン、
カルボン、ヨノン、ムスコン、ローズオキサイド、イン
ドール、酢酸ゲラニル、安息香酸エチルなどが挙げられ
る。これらの一種を単独で又は2種以上を併用して用い
ることができる。
【0048】更に、室温で固体のものとして、高分子材
料を挙げることができる。例えば、ポリアニリン、ポリ
ピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、フタル
シアニン系材料からなる光電変換ポリマー、キチン、キ
トサンやアクリル酸系ポリマー、PVA(ポリビニルア
ルコール)などの吸水性ポリマーも用いることができ
る。また、圧電性を示すチタン酸バリウム、ジルコン酸
亜鉛、光吸収性のある酸化チタンなどのセラミックや導
電性や磁性を示す金属、及び導電性や気体吸着、脱臭性
のあるカーボンなどの粉体も有効である。更に、一般の
熱可塑性、熱硬化性の高分子材料や有機材料を用いるこ
とができ、この場合、これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂の耐衝撃性や強度、伸びなどが改良された複合材を
得ることができる。
【0049】
【発明の効果】本発明のミクロ多孔質体は、これを構成
する三次元連続網状骨格構造体が非常にミクロで均一な
気孔を有すると共に、機械的強度等に優れているため、
広い用途展開が可能となるものである。
【0050】また、本発明のミクロ多孔質体の製造方法
によれば、このようなミクロ多孔質体を容易かつ確実に
製造することができる。
【0051】
【実施例】以下実施例と比較例を示して本発明を具体的
に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもので
はない。
【0052】[実施例1]BR215.7g、CpTi
Cl30.183mM、MAO128mMを用い、ヘキ
サン溶媒(33%スチレン量)にてBRとスチレンをブ
ロック共重合することによって得られたBR/シンジオ
タクティックポリスチレンブロック共重合体(sPS含
有量18%,Tg−92.7℃,Tm249.1℃)1
00部に対し、パラフィン系オイル400部をブラベン
ダーで200℃,回転数50〜100rpmで混練し、
ブロック共重合体組成物を得た。次いで、アセトンを用
いてパラフィン系オイルを抽出除去した。
【0053】得られたミクロ多孔質体の骨格平均径dは
2〜3μm、セル平均径Dは20μmであった。
【0054】[実施例2]SBR275.0g、CpT
iCl30.234mM、MAO164mMを用い、ヘ
キサン溶媒(33%スチレン量)にてSBRとスチレン
をブロック共重合することによって得られたSBR/シ
ンジオタクティックポリスチレンブロック共重合体(s
PS含有量14%,Tg−79.5℃,Tm250.5
℃)100部に対し、ナフテン系オイル400部をブラ
ベンダーで200℃,回転数100〜150rpmで混
練し、ブロック共重合体組成物を得た。次いで、アセト
ンを用いてナフテン系オイルを抽出除去した。
【0055】得られたミクロ多孔質体の骨格平均径dは
2〜3μm、セル平均径Dは15μmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミクロ多孔質体の構造を示す概略図で
ある。
【符号の説明】
1 三次元連続網状構造 2 内部連通空間

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクティックポリ(ビニル系芳
    香族炭化水素)ブロック1〜80重量%とゴム状エラス
    トマーブロック99〜20重量%とからなるブロック共
    重合体に低分子材料を混合して得られるブロック共重合
    体組成物から上記低分子材料を除去することによって得
    られ、骨格の平均径が10μm以下、セルの平均径が8
    0μm以下の三次元連続網状骨格から構成されることを
    特徴とするミクロ多孔質体。
  2. 【請求項2】 シンジオタクティックポリ(ビニル系芳
    香族炭化水素)ブロックが、スチレン、α−メチルスチ
    レン、p−メチルスチレン又はこれらの混合物からなる
    スチレン系モノマーを重合することによって得られるシ
    ンジオタクティックポリスチレンからなる請求項1記載
    のミクロ多孔質体。
  3. 【請求項3】 ゴム状エラストマーブロックが、ポリブ
    タジエン、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレ
    ン−イソプレン共重合体ゴム、又はスチレン−イソプレ
    ン−ブタジエン共重合体ゴムからなる請求項1又は2記
    載のミクロ多孔質体。
  4. 【請求項4】 低分子材料が、軟化剤、可塑剤、粘着付
    与剤、オリゴマー及び滑剤から選ばれる数平均分子量が
    20,000未満のものである請求項1乃至3のいずれ
    か1項記載のミクロ多孔質体。
  5. 【請求項5】 ブロック共重合体100重量部に対し低
    分子材料を約30重量部以上混合した請求項1乃至4の
    いずれか1項記載のミクロ多孔質体。
  6. 【請求項6】 シンジオタクティックポリ(ビニル系芳
    香族炭化水素)ブロック1〜80重量%とゴム状エラス
    トマーブロック99〜20重量%とからなるブロック共
    重合体に低分子材料を混合してブロック共重合体組成物
    を製造した後、この組成物から上記低分子材料を除去す
    ることを特徴とするミクロ多孔質体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1217360A2 (en) * 2000-12-20 2002-06-26 Universita' Degli Studi di Salerno Use of styrene based syndiotactic polymers as sensing elements for detection of organic pollutants

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1217360A2 (en) * 2000-12-20 2002-06-26 Universita' Degli Studi di Salerno Use of styrene based syndiotactic polymers as sensing elements for detection of organic pollutants
EP1217360A3 (en) * 2000-12-20 2004-09-29 Universita' Degli Studi di Salerno Use of styrene based syndiotactic polymers as sensing elements for detection of organic pollutants

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