JPH10158393A - 燃料ホース用樹脂 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ガソリンに代表される燃料に対する透過防止性
に優れる燃料用ホースの提供。 【解決手段】ポリアミド系樹脂を含有する燃料ホース用
樹脂であって、ガソリンによるモノマー、オリゴマーの
抽出量が１．５重量％以下である燃料ホース用樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する分野】本発明は、燃料ホースに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から存在する樹脂製燃料用管として
は、例えば、ポリアミド系樹脂からなる単層ホースや、
特定のナイロン１１，１２に燐化合物を配合したもの
（特開平０６−２８６０６０号公報）や、特定のナイロ
ン１１，１２にフッ素樹脂を配合した単層ホース（特開
平０４−１４０５８８号公報）が挙げられる。

【０００３】一方多層ホースの場合は、外層にナイロン
系樹脂、内層にフッ素系樹脂を用いた多層ホース（特開
平０４−１４００５８５号公報）が報告されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、、ポリ
アミド系の単層チューブは、ガソリンのバリア性が満足
いくレベルではないという問題があった。ガソリンのバ
リア性改良のためフッ素樹脂を配合した場合は低温衝撃
および疲労特性が低下し好ましくなかった。一方多層ホ
ースは成形加工が複雑であり、特にフッ素素樹脂の場合
特殊な成形機を使用する必要がある。またフッ素素樹脂
は高価であるため、燃料ホースも高価となり使用への制
限があった。

【０００５】本発明は、上記問題を解決し、フッ素樹脂
を必ずしも使用することなく、ガソリン透過性の少ない
燃料ホースを提供することを目的として検討を行なっ
た。

【０００６】

【課題を解決するための手段】発明者らは検討した結果
ポリアミド系樹脂のモノマー、オリゴマー量の含有量に
注目し、その観点から上記課題を解決することがわかり
本発明に至ったものである。すなわち、本発明はポリア
ミド系樹脂を含有する燃料ホース用樹脂であって、ガソ
リンによるポリアミドのモノマーおよびオリゴマーの抽
出量が１．５重量％以下である燃料ホース用樹脂および
その樹脂を押し出し成形してなる燃料用ホースの製造方
法からなる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下具体的に本発明について述べ
る。

【０００８】本発明に用いられるポリアミド系樹脂とし
ては、分子鎖中にアミド結合を有する合成樹脂であっ
て、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン６１０、ナイ
ロン６１２、ナイロン１１、ナイロン１２およびこれら
の共重合体が例示される。

【０００９】この中でも、特にホースとして要求される
特性である柔軟性、低温衝撃性の良好な、ナイロン１
１、ナイロン１２が好ましい。

【００１０】本発明の燃料用ホース用樹脂は、ポリアミ
ド系樹脂単独でも、その他の材料が配合されていてもよ
く、ポリアミド系樹脂が６０重量％、さらに７０重量％
以上含有しているものが好ましい。その他の材料として
はＥＰＲ、ＥＰＤＭ等のオレフィン系エラストマーやア
イオノマ樹脂、その他の合成樹脂があげられ、また必要
に応じてその他の熱可塑性樹脂や可塑剤、帯電防止剤、
光安定剤、難燃剤、無機フィラー、有機フィラー、顔料
等の公知の添加剤も例示される。

【００１１】ホースの成形方法に関しては特に制限はな
く、従来からの既知の方法を利用することが出来る。す
なわち、一般的には押出機から溶融状態でダイスを通し
て円筒状に成形し、続いてホーミング装置で所定の寸法
および円形に成形冷却し、これを引き取り機を通して所
定の長さに切断することによって得られる。この時チュ
ーブの円形および寸法保持のためホーミング部において
内圧法、バキュームホーミング法などの方法を採用し溶
融チューブの十分な冷却固化および真円度賦形性が得ら
れる処置を施し、例えば冷却ゾーンの長さ、冷却温度の
調節、摺動面の摩擦抵抗を小さくするなどの配慮をする
ことによって、目的のチューブ成形体を得ることが出来
る。

【００１２】本発明におけるモノマー、オリゴマーと
は、ポリアミド系樹脂を構成する分子の繰り返し単位の
単量体および分子量が１０００以下の低重合度物であ
り、ガソリンによって抽出されるものである。該低分子
量物は、樹脂に対するガソリンに代表される燃料の拡散
速度および溶解度をアップさせるため、燃料の透過性に
大きく影響し、その含有量が１．５％を超えるとガソリ
ンの透過性が大きくなるため、その含有量は１．５重量
％以下が好ましい。更に好ましくは１．０重量％以下で
ある。なお従来の燃料用ホースに使用されていたポリア
ミド樹脂に含まれるオリゴマは１．５％を超えるもので
ある。

【００１３】こうして得られる本発明の燃料用ホース
は、従来の燃料用ホースと同等の加工コストで、従来の
燃料ホースに比べガソリンの透過が少ない特徴を有す
る。

【００１４】

【実施例】以下に実施例をあげて、本発明をさらに説明
する。

【００１５】［比較例１〜２｝市販のナイロン１１［東
レ（株） リルサンＢＥＳＮ Ｏ ＴＬ］およびナイロン
１２［東レ（株） リルサンＡＥＳＮ Ｏ ＴＬ］を使用
した。

【００１６】［実施例１〜３］市販のナイロン１１［東
レ（株） リルサンＢＥＳＮ Ｏ ＴＬ］ペレット（３ｍ
ｍφ、）を６０℃のガソリンで各々１２０、３０、１０
分間抽出し、モノマー、オリゴマーの含有率が、０．
３、０．８、１．２重量％のものを得た。

【００１７】［実施例４〜５］市販のナイロン１２［東
レ（株） リルサンＡＥＳＮ Ｏ ＴＬ］についても同様
の方法で抽出処理し、モノマー、オリゴマーの含有率が
０．４、１．３重量％のものを得た。

【００１８】［ガソリン透過性］比較例および実施例に
記載したペレットをプレス成形機にて約１００μのフイ
ルムを作成した。次に図１に示す形状の試験具を使用し
てガソリン透過性を測定した。まずアルミカップ５に２
５ｇのガソリン６を入れ、作成したフイルム３で蓋を
し、防爆型熱風乾燥機内で４０℃に加熱する。試験具の
重量の変化を測定し、低下速度が一定となったときの重
量低下速度から、ガソリン透過率を算出した。この試験
方法の結果は、実際のホースにおけるガソリン透過性と
対応関係をもつ。

【００１９】

【表１】

【００２０】本発明では表１に示す通り、ガソリンによ
り抽出されるモノマー，オリゴマー量が、１．５重量％
以下にすることにより、カソリンの透過性を小さくする
ことが可能であり、特に１．２重量％以下では更に良く
なることが判る。

【００２１】

【発明の効果】ポリアミド系樹脂中の低分子量物が少な
い燃料ホース用樹脂を使用することにより、ガソリンに
代表される燃料に対する優れた透過防止性、化学的性質
を有するホースが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明でガソリン透過性を測定した試験具の断
面概念図。

【符号の説明】

１：上蓋 ２：ボルト ３：フィルム ４：ゴムパッキング ５：アルミカップ ６：ガソリン

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ポリアミド系樹脂を含有する燃料ホース用
   樹脂であって、ガソリンによるポリアミドのモノマーお
   よびオリゴマーの抽出量が１．５重量％以下である燃料
   ホース用樹脂。
2. 【請求項２】ポリアミド系樹脂がナイロン１１あるいは
   ナイロン１２からなる燃料ホース用樹脂。
3. 【請求項３】請求項１または２記載の樹脂を、押出成形
   することを特徴とする燃料用ホースの製造方法。