JPH10157564A - 子供用保持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】子供の行動の自由度を確保するとともに、車体
に衝撃や大きな加速度が付与された時、子供が座席から
離間することを阻止することにある。 【解決手段】子供用保持装置１０は、子供の下腹部を被
覆する下腹部被覆部材２２と、子供の肩部に係合する一
組のショルダーベルト１２ａ、１２ｂと、一端部が保持
部１４に連結され、他端部がシートベルト用バックル受
け金具４２に連結され、中間部に巻取自在なリトラクタ
４０が介装されたベルト部材３６とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車室内
において使用され、緊急時に子供の身体を座席側に保持
することが可能な子供用保持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、自動車等の車室内において子
供の身体を保護する手段として、例えば、チャイルドシ
ート、シートベルト等が用いられている。

【０００３】前記チャイルドシートは、乳幼児を対象と
するものであり、車室内の所定の座席にシートをバンド
等の取付手段によって固定した後、ベルト等の拘束手段
を介して前記シート上に乳児または幼児の身体を固定す
るものである。

【０００４】一方、シートベルトは、通常、自動車等の
座席に備え付けられており、身体を拘束する布製のショ
ルダーベルト、ラップベルト、リトラクタ等からなり、
前記リトラクタは、ベルトを自動的に巻き取る機能を達
成するとともに、緊急時にのみベルトが引き出されるこ
とを阻止して、乗員を拘束するものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術に係る前記チャイルドシートでは、乳幼児が成長して
身体が大きくなると、該チャイルドシートに拘束するこ
とができないという問題がある。すなわち、チャイルド
シートを用いることができるのは、該チャイルドシート
のサイズに対応する大きさを有する乳幼児に限定されて
いる。

【０００６】一方、通常のシートベルトは、成人の体型
を基本として大人用の寸法に合わせて構成されているた
め、一般的に大人よりも体型の小さい子供の身体を拘束
することはできないという不都合がある。例えば、シー
トベルトを装着しても該シートベルトの中で子供の身体
が遊んでしまったり、前記シートベルトが子供の首部や
腹部等の不適切な部分を拘束することになるからであ
る。

【０００７】本発明は、前記の種々の不都合を克服する
ためになされたものであり、子供の行動の自由度を確保
するとともに、車体に衝撃や大きな加速度が付与された
時、子供が座席から離間することを阻止することが可能
な子供用保持装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明は、車室内の座席に付設され、子供を前記
座席に保持するための装置であって、子供の下腹部を被
覆する下腹部被覆部材と、子供の肩部に係合する一組の
ショルダーベルトと、一端部が前記下腹部被覆部材ある
いはショルダーベルトのいずれかに連結され、他端部が
取付金具を介して車室内の一部に連結され、前記一端部
と他端部との間に巻取自在なリトラクタが介装されたベ
ルト部材と、を備えることを特徴とする。

【０００９】本発明によれば、子供の動作に対応してベ
ルト部材がリトラクタの作用下に自在に伸縮することに
より、前記座席に固定されることなく子供が自由に動く
ことができる。

【００１０】一方、緊急時において、自動車に衝撃が付
与された場合には、リトラクタの作用下に前記ベルト部
材の伸縮が阻止される。その際、取付金具を介して座席
に連結されたベルト部材が命綱の機能を営み、子供が座
席から離間することが阻止される。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明に係る子供用保持装置につ
いて好適な実施の形態を挙げ、以下、詳細に説明する。

【００１２】図１は、本実施の形態に係る子供用保持装
置１０の正面図、図２は、前記子供用保持装置の背面図
をそれぞれ示す。

【００１３】この子供用保持装置１０は、基本的には、
一組のショルダーベルト１２ａ、１２ｂを有する保持部
１４と、金具１６を介して回動自在に保持部１４に連結
された係止部１８とから構成される。

【００１４】保持部１４は、子供の腰部を囲繞する第１
ベルト部材２０と、前記第１ベルト部材２０の下部側に
一体的に設けられ、メッシュ状の伸縮性のある材料によ
って子供の下腹部を被覆する下腹部被覆部材２２と、前
記第１ベルト部材２０の上部の前面部に一体的に設けら
れ、例えば、スポンジ入りキルティング等の厚地布によ
って形成されて子供の胸部・腹部等を保護する胸部保護
部材２４とを有する。なお、下腹部被覆部材２２には、
子供用保持装置１０を装着する時に子供の足を通すため
の一組の開口部２６ａ、２６ｂが形成されている。

【００１５】一組のショルダーベルト１２ａ、１２ｂの
一端部は、第１ベルト部材２０の前面部に固定され、他
端部は該第１ベルト部材２０の背面部に固定される。前
記ショルダーベルト１２ａ、１２ｂの中間部には、一組
の連結金具２８ａ、２８ｂが介装され、前記連結金具２
８ａ、２８ｂを手で把持することにより、一方の連結金
具２８ａから他方の連結金具２８ｂを離間させ、あるい
は離間した一方の連結金具２８ａと他方の連結金具２８
ｂとを一体的に結合することができる。さらに、前記連
結金具２８ｂは、子供の体格に応じてショルダーベルト
１２ａ、１２ｂの長さを調整する機能をも有する。

【００１６】なお、第１ベルト部材２０には、子供の胴
回りに対応して、その長さを自在に調整する調整金具３
０が設けられている。また、ショルダーベルト１２ａ、
１２ｂの背面部には、一組のショルダーベルト１２ａ、
１２ｂ間を略水平に横架する補助ベルト３２が結合され
ている。

【００１７】係止部１８は、第１ベルト部材２０の背面
中央部に設けられたピン３４を回動支点として自在に回
転する第２ベルト部材（ベルト部材）３６と、前記第２
ベルト部材３６の一端部に設けられたバックル（取付金
具）３８と、前記第２ベルト部材３６の中間部に設けら
れたリトラクタ４０とから構成される。

【００１８】バックル３８は、自動車の座席に固定され
たシートベルト用バックル受け金具４２（図３参照）に
装着され、自動車の座席に新規な部材を付設することな
く既存の部材を利用することができる。

【００１９】また、リトラクタ４０は、通常の自動車に
用いられている公知のものであり、リターンスプリング
４４の弾発力によって第２ベルト部材３６を巻き取る機
能を有するとともに、緊急時に衝撃等が付与されたとき
にロック状態となり前記第２ベルト部材３６の所定部位
を係止する機能を営む。

【００２０】本発明の実施の形態に係る子供用保持装置
１０は、基本的には以上のように構成されるものであ
り、次にその動作並びに作用効果について説明する。

【００２１】先ず、一組の連結金具２８ａ、２８ｂを外
してショルダーベルト１２ａ、１２ｂを緩めた状態にお
いて、下腹部被覆部材２２の開口部２６ａ、２６ｂに子
供の足を通し、下腹部および胸部を保持部１４によって
被覆した後、子供の肩部にショルダーベルト１２ａ、１
２ｂを掛けて前記一組の連結金具２８ａ、２８ｂを締結
する。この場合、保持部１４およびショルダーベルト１
２ａ、１２ｂが子供の肩部から下腹部にかけて一体的に
装着される。

【００２２】なお、ショルダーベルト１２ａ、１２ｂお
よび第１ベルト部材２０の長さは、連結金具２８ｂおよ
び調整金具３０によって子供の体格に応じて自在に調整
することが可能である。

【００２３】次に、第２ベルト部材３６の一端部に設け
られたバックル３８を自動車の座席に付設されたシート
ベルト用バックル受け金具４２に装着する。このシート
ベルト用バックル受け金具４２は後部座席４６（図３参
照）に固定され、本来、シートベルト用バックルを装着
するためのものであるが、本実施の形態に係る子供用保
持装置１０を構成する前記バックル３８を前記シートベ
ルト用バックルと同一の形状に形成することにより、既
存のシートベルト用バックル受け金具４２を利用するこ
とができる。

【００２４】従って、本実施の形態では、従来のチャイ
ルドシートやシートベルトと異なり自動車の座席に対し
て子供を直接的に固定保持するものではなく、子供の動
作に対応して第２ベルト部材３６がリトラクタ４０の作
用下に自在に伸縮することにより、前記座席に固定され
ることなく子供が自由に動くことができる。例えば、図
３に示されるように、自動車の後部座席４６から立ち上
がる等、前記後部座席４６に着座することなく自由に動
くことが可能である。

【００２５】一方、緊急時において、自動車に衝撃が付
与された場合には、前記衝撃はリトラクタ４０に伝達さ
れて第２ベルト部材３６がロック状態となり、該リトラ
クタ４０によって前記第２ベルト部材３６の伸縮が阻止
される。その際、シートベルト用バックル受け金具４２
に連結された係止部１８が命綱の機能を営み、子供が座
席から離間することが阻止される。この結果、自動車に
付与される衝撃等によって子供が車外に放り出されるこ
とを防止することができる。

【００２６】本実施の形態では、簡素な機構によって構
成することができるとともに、既存の部材であるシート
ベルト用バックル受け金具４２を使用することにより何
ら新たな部材を付設することがないため、製造コストの
低減化を図ることができる。

【００２７】

【発明の効果】以上のように、本発明では、子供に対し
下腹部を被覆する下腹部被覆部材と肩部に係合する一組
のショルダーベルトを装着するだけでよいため、従来の
チャイルドシートやシートベルトと異なって子供を自動
車の座席に直接的に拘束することがない。また、子供の
動作に対応してベルト部材がリトラクタの作用下に伸縮
することにより、子供の行動の自由度が確保される。

【００２８】一方、車体に衝撃や大きな加速度が付与さ
れた時、リトラクタの作用下にベルト部材の伸縮が阻止
されるため、子供が座席から離間することを阻止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係る子供用保持装置の正
面図である。

【図２】図１に示す子供用保持装置の背面図である。

【図３】自動車の後部座席に組み付けられた子供用保持
装置を子供に装着した状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１０…子供用保持装置 １２ａ、１２ｂ…シ
ョルダーベルト １４…保持部 １６…金具 １８…係止部 ２０、３６…ベルト
部材 ２２…下腹部被覆部材 ２４…胸部保護部材 ２８ａ、２８ｂ…連結金具 ３０…調整金具 ３４…ピン ３８…バックル ４０…リトラクタ ４２…シートベルト用バックル受け金具

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車室内の座席に付設され、子供を前記座席
   に保持するための装置であって、 子供の下腹部を被覆する下腹部被覆部材と、 子供の肩部に係合する一組のショルダーベルトと、 一端部が前記下腹部被覆部材あるいはショルダーベルト
   のいずれかに連結され、他端部が取付金具を介して車室
   内の一部に連結され、前記一端部と他端部との間に巻取
   自在なリトラクタが介装されたベルト部材と、 を備えることを特徴とする子供用保持装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の装置において、取付金具は
   バックルからなり、前記バックルは、車室内に設けられ
   たシートベルト用バックル受け金具に連結されることを
   特徴とする子供用保持装置。
3. 【請求項３】請求項１または２記載の装置において、ベ
   ルト部材の一端部は、子供の胴回りの背面中央部にピン
   部材を介して回動自在に連結されることを特徴とする子
   供用保持装置。
4. 【請求項４】請求項２記載の装置において、バックル
   は、自動車の後部座席に設けられたシートベルト用バッ
   クル受け金具に連結されることを特徴とする子供用保持
   装置。