JPH10151929A - 特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置 - Google Patents
特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置Info
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- JPH10151929A JPH10151929A JP9135546A JP13554697A JPH10151929A JP H10151929 A JPH10151929 A JP H10151929A JP 9135546 A JP9135546 A JP 9135546A JP 13554697 A JP13554697 A JP 13554697A JP H10151929 A JPH10151929 A JP H10151929A
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- hydraulic actuator
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- force
- hydraulic
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 特異摂動技法を用いる能動懸架形の適応制御
装置を提供する。 【解決手段】 能動懸架系適応制御装置は、車体の揺動
を抑えるための油圧式アクチュエ−タと、車体またはホ
イ−ルから発生した車体の揺動を感知するセンサ−部
と、前記センサ−部から得られた揺動デ−タを受信して
前記油圧式アクチュエ−タで発揮されるべき力を計算す
るダンピング制御部と、前記油圧式アクチュエ−タのス
プル弁の変位測定値を受信して前記油圧式アクチュエ−
タの動特性を低次化させ、前記ダンピング制御部から計
算された力が前記油圧式アクチュエ−タで正確に発揮さ
れるように制御する油圧制御部とを含む。したがって、
ダンピング制御部から計算された所望の力を油圧式アク
チュ−タで正確に発揮させることができる。
装置を提供する。 【解決手段】 能動懸架系適応制御装置は、車体の揺動
を抑えるための油圧式アクチュエ−タと、車体またはホ
イ−ルから発生した車体の揺動を感知するセンサ−部
と、前記センサ−部から得られた揺動デ−タを受信して
前記油圧式アクチュエ−タで発揮されるべき力を計算す
るダンピング制御部と、前記油圧式アクチュエ−タのス
プル弁の変位測定値を受信して前記油圧式アクチュエ−
タの動特性を低次化させ、前記ダンピング制御部から計
算された力が前記油圧式アクチュエ−タで正確に発揮さ
れるように制御する油圧制御部とを含む。したがって、
ダンピング制御部から計算された所望の力を油圧式アク
チュ−タで正確に発揮させることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用の懸架系に対
する適応制御装置に係り、より詳しくは特異摂動技法を
用いる能動懸架系の適応制御装置に関する。
する適応制御装置に係り、より詳しくは特異摂動技法を
用いる能動懸架系の適応制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用の懸架系についての能動制御の概
念は1950年代の初期に成立された。商業用としての
車両用の懸架系の能動制御器は1960年代から開発さ
れて生産されている。安楽な乗車感、走行安定性を目的
とするピッチ及びロ−ルの制御を行うための能動懸架系
についてアクチュエ−タのモデルが理想的であるという
仮定のもとに現代の制御理論を適用する多数の研究結果
が発表されている。
念は1950年代の初期に成立された。商業用としての
車両用の懸架系の能動制御器は1960年代から開発さ
れて生産されている。安楽な乗車感、走行安定性を目的
とするピッチ及びロ−ルの制御を行うための能動懸架系
についてアクチュエ−タのモデルが理想的であるという
仮定のもとに現代の制御理論を適用する多数の研究結果
が発表されている。
【0003】かつ、近来は省エネルギ−のため、可変ば
ねと可変ダンパより構成されている半能動懸架系に対す
る研究も活発に行われつつある。この装置は実用性では
能動懸架系より優れるが、車体の相対運動方向について
ホイ−ルに発揮されるべき力を所望だけ発生させないと
いう問題があった。この問題はアクチュエ−タを理想的
なモデルとして開発された能動懸架系制御システムでも
存在し、実際の具現時にはカット&トライ(cut and tr
y)方法を適用せざるを得ない原因となる。
ねと可変ダンパより構成されている半能動懸架系に対す
る研究も活発に行われつつある。この装置は実用性では
能動懸架系より優れるが、車体の相対運動方向について
ホイ−ルに発揮されるべき力を所望だけ発生させないと
いう問題があった。この問題はアクチュエ−タを理想的
なモデルとして開発された能動懸架系制御システムでも
存在し、実際の具現時にはカット&トライ(cut and tr
y)方法を適用せざるを得ない原因となる。
【0004】これは、能動懸架系の核心部品である油圧
式アクチュエ−タの非線形動特性が実際のシステムへの
適用時、無視できない要素として作用するからである。
したがって、油圧式アクチュエ−タの非線形性に鑑みる
効率よい制御システムの開発が、能動懸架系の性能向上
のために相当重要であるといえる。このため、油圧式ア
クチュエ−タの非線形動特性を線形化したモデルに基づ
く懸架制御器の設計が求められる。
式アクチュエ−タの非線形動特性が実際のシステムへの
適用時、無視できない要素として作用するからである。
したがって、油圧式アクチュエ−タの非線形性に鑑みる
効率よい制御システムの開発が、能動懸架系の性能向上
のために相当重要であるといえる。このため、油圧式ア
クチュエ−タの非線形動特性を線形化したモデルに基づ
く懸架制御器の設計が求められる。
【0005】しかしながら、非線形モデルの線形化時に
は現実的でない条件(油圧シリンダの内部のピストンは
常に中心部に位置するという仮定など)が必要である。
従来の方法では、油圧式アクチュエ−タの動特性を無視
するか、全部考慮に入れた。油圧式アクチュエ−タの動
特性を無視する場合には実にホイ−ルに発揮されるべき
力が発揮されないという短所があり、その動特性を鑑み
る場合には速い計算時間を必要とするため全体の制御シ
ステムが複雑になるという問題があった。
は現実的でない条件(油圧シリンダの内部のピストンは
常に中心部に位置するという仮定など)が必要である。
従来の方法では、油圧式アクチュエ−タの動特性を無視
するか、全部考慮に入れた。油圧式アクチュエ−タの動
特性を無視する場合には実にホイ−ルに発揮されるべき
力が発揮されないという短所があり、その動特性を鑑み
る場合には速い計算時間を必要とするため全体の制御シ
ステムが複雑になるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点を解決するために創出されたものであって、車両用の
能動懸架系における油圧式アクチュエ−タの動特性を特
異摂動技法を用いて低次化した後、低次化モデルに基づ
いて適応設計して油圧式アクチュエ−タの力を制御する
特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置を提供
することをその目的とする。
点を解決するために創出されたものであって、車両用の
能動懸架系における油圧式アクチュエ−タの動特性を特
異摂動技法を用いて低次化した後、低次化モデルに基づ
いて適応設計して油圧式アクチュエ−タの力を制御する
特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置を提供
することをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明による特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応
制御装置は、車体の揺動を抑えるための油圧式アクチュ
エ−タと、前記車体またはその車体のホイ−ルから発生
した車体の揺動を感知するセンサ−部と、前記センサ−
部から得られた揺動デ−タを受信して前記油圧式アクチ
ュエ−タで発揮されるべき力を計算するダンピング制御
部と、前記油圧式アクチュエ−タのスプール弁の変位測
定値を入力として特異摂動技法を用いて前記油圧式アク
チュエ−タの動特性を低次化させ、前記ダンピング制御
部から計算された力が前記油圧式アクチュエ−タで正確
に発揮されるように制御する油圧制御部とを含むことを
特徴とする。
の本発明による特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応
制御装置は、車体の揺動を抑えるための油圧式アクチュ
エ−タと、前記車体またはその車体のホイ−ルから発生
した車体の揺動を感知するセンサ−部と、前記センサ−
部から得られた揺動デ−タを受信して前記油圧式アクチ
ュエ−タで発揮されるべき力を計算するダンピング制御
部と、前記油圧式アクチュエ−タのスプール弁の変位測
定値を入力として特異摂動技法を用いて前記油圧式アク
チュエ−タの動特性を低次化させ、前記ダンピング制御
部から計算された力が前記油圧式アクチュエ−タで正確
に発揮されるように制御する油圧制御部とを含むことを
特徴とする。
【0008】本発明において、前記ダンピング制御部
は、前記センサ−部から出力された揺動デ−タを受信
し、
は、前記センサ−部から出力された揺動デ−タを受信
し、
【0009】
【外5】
【0010】をxd の1次導関数、xを前記油圧エクチ
ュエ−タにより発生された実際の力、kd を設計パラメ
−タとして正の定数とするとき、次の式、
ュエ−タにより発生された実際の力、kd を設計パラメ
−タとして正の定数とするとき、次の式、
【0011】
【外6】
【0012】によりダンピング制御信号を計算し、前記
計算されたダンピング制御信号を前記油圧制御部に出力
するように処理することを特徴とする。
計算されたダンピング制御信号を前記油圧制御部に出力
するように処理することを特徴とする。
【0013】本発明において、前記油圧制御部は、前記
ダンピング制御部から出力されたダンピング制御信号
(ν)と前記油圧アクチュエ−タのスペル弁の変位(X
v )とを受信し、
ダンピング制御部から出力されたダンピング制御信号
(ν)と前記油圧アクチュエ−タのスペル弁の変位(X
v )とを受信し、
【0014】
【外7】
【0015】を推定動作、Xv を前記油圧式アクチュエ
−タのスプール弁の変位、kpfを設計パラメ−タとして
十分に大きい正の定数とするとき、次の式、
−タのスプール弁の変位、kpfを設計パラメ−タとして
十分に大きい正の定数とするとき、次の式、
【0016】
【外8】
【0017】により油圧制御信号を計算し、前記計算さ
れた油圧制御信号を前記油圧アクチュエ−タに出力する
ように処理することを特徴とする。
れた油圧制御信号を前記油圧アクチュエ−タに出力する
ように処理することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付した図面に基づき本発
明の実施の形態を詳しく説明する。
明の実施の形態を詳しく説明する。
【0019】図1は1/4車懸架装置のモデルを示す。
このモデルは2自由度を有するシステムである。図1に
おいて、参照符号10はばね上質量m2 を有する1/4
車の車体を、12はばね下質量m1 を有するタイヤを含
むホイ−ルを、参照符号14は油圧シリンダ18に設け
られた油圧式アクチュエ−タを、参照符号16は能動懸
架制御器を、参照符号k2 ,k1 はそれぞればね定数を
示す。ここで、1/4車の車体10によるばね上質量m
2 はばね定数k2 と油圧シリンダ18により支持されて
おり、タイヤとホイ−ル12によるばね下質量m1 にお
いて、タイヤの剛性はばね定数k1 により左右される。
このモデルは2自由度を有するシステムである。図1に
おいて、参照符号10はばね上質量m2 を有する1/4
車の車体を、12はばね下質量m1 を有するタイヤを含
むホイ−ルを、参照符号14は油圧シリンダ18に設け
られた油圧式アクチュエ−タを、参照符号16は能動懸
架制御器を、参照符号k2 ,k1 はそれぞればね定数を
示す。ここで、1/4車の車体10によるばね上質量m
2 はばね定数k2 と油圧シリンダ18により支持されて
おり、タイヤとホイ−ル12によるばね下質量m1 にお
いて、タイヤの剛性はばね定数k1 により左右される。
【0020】図2は本発明による能動懸架制御装置の構
成を示す図面である。ここで、参照符号20はタイヤを
含む車体及びホイ−ルを、参照符号22は車体及びホイ
−ル20から揺動デ−タを感知するデ−タセンサ−部を
示す。参照符号16は、デ−タセンサ−部22から得ら
れたデ−タを用いて車体20の揺動を抑えるために油圧
式アクチュエ−タ14で発揮されるべき所望の力を計算
し、油圧式アクチュエ−タ14の動特性を低次化する能
動懸架制御部を示す。ここで、能動懸架制御部は、車体
の揺動を抑えるために油圧式アクチュエ−タ14で発揮
されるべき力を計算する外部ル−プ制御器であるダンピ
ング制御部160と、油圧式アクチュエ−タ14のスプ
ール弁の変位測定値を受信して油圧式アクチュエ−タ1
4の動特性を低次化させ、ダンピング制御部160で計
算された力が油圧式アクチュエ−タ14で正確に発揮さ
れるように制御する内部ル−プ制御器である油圧制御部
162とを含む。
成を示す図面である。ここで、参照符号20はタイヤを
含む車体及びホイ−ルを、参照符号22は車体及びホイ
−ル20から揺動デ−タを感知するデ−タセンサ−部を
示す。参照符号16は、デ−タセンサ−部22から得ら
れたデ−タを用いて車体20の揺動を抑えるために油圧
式アクチュエ−タ14で発揮されるべき所望の力を計算
し、油圧式アクチュエ−タ14の動特性を低次化する能
動懸架制御部を示す。ここで、能動懸架制御部は、車体
の揺動を抑えるために油圧式アクチュエ−タ14で発揮
されるべき力を計算する外部ル−プ制御器であるダンピ
ング制御部160と、油圧式アクチュエ−タ14のスプ
ール弁の変位測定値を受信して油圧式アクチュエ−タ1
4の動特性を低次化させ、ダンピング制御部160で計
算された力が油圧式アクチュエ−タ14で正確に発揮さ
れるように制御する内部ル−プ制御器である油圧制御部
162とを含む。
【0021】図3は図2に示した能動懸架制御部16の
詳細図である。
詳細図である。
【0022】本発明においては、能動懸架系で実際にホ
イ−ルに発揮されるように求められるほどの力を油圧式
アクチュエ−タ14で正確に発揮させるため、その非線
形性に鑑みる適応制御器を設計する。アクチュエ−タの
力を制御する油圧制御部162は、車体の垂直動を制御
するための全体懸架制御システムの観点から見ると、内
部ル−プに該当する。この車体の揺動を抑えるための制
御器としては、適応制御器、H∞制御器、最適制御器、
ファジィ制御器などの多数のものがある。本発明では油
圧式アクチュエ−タ14の非線形動特性に対する制御の
重要性を強調するため、スカイフックダンピング項(sk
yhook damping term)だけで簡単に構成する。この制御
器の出力が実際にアクチュエ−タで発揮されるべき所望
の力に該当する。かつ、全体の制御システムの側面から
は外部ル−プ制御器に該当する一方、内部ル−プ制御器
の側面からはホイ−ルに発揮されるべき所望の力に該当
する。内部ル−プ制御器としてのアクチュエ−タの力を
制御する制御器の設計の便宜のため、スプ−ル弁の動特
性を特異摂動技法を用いて低次化させる。さらに、アク
チュエ−タで実際に発揮される力と発揮されるべき所望
の力との正常状態誤差の収斂特性を改善するために間接
適応制御器を設計し、その妥当性を試す。
イ−ルに発揮されるように求められるほどの力を油圧式
アクチュエ−タ14で正確に発揮させるため、その非線
形性に鑑みる適応制御器を設計する。アクチュエ−タの
力を制御する油圧制御部162は、車体の垂直動を制御
するための全体懸架制御システムの観点から見ると、内
部ル−プに該当する。この車体の揺動を抑えるための制
御器としては、適応制御器、H∞制御器、最適制御器、
ファジィ制御器などの多数のものがある。本発明では油
圧式アクチュエ−タ14の非線形動特性に対する制御の
重要性を強調するため、スカイフックダンピング項(sk
yhook damping term)だけで簡単に構成する。この制御
器の出力が実際にアクチュエ−タで発揮されるべき所望
の力に該当する。かつ、全体の制御システムの側面から
は外部ル−プ制御器に該当する一方、内部ル−プ制御器
の側面からはホイ−ルに発揮されるべき所望の力に該当
する。内部ル−プ制御器としてのアクチュエ−タの力を
制御する制御器の設計の便宜のため、スプ−ル弁の動特
性を特異摂動技法を用いて低次化させる。さらに、アク
チュエ−タで実際に発揮される力と発揮されるべき所望
の力との正常状態誤差の収斂特性を改善するために間接
適応制御器を設計し、その妥当性を試す。
【0023】図1に示した1/4車懸架系のモデルにお
ける運動方程式は次の式1及び式2のとおりである。
ける運動方程式は次の式1及び式2のとおりである。
【0024】(式1)
【0025】
【数1】
【0026】(式2)
【0027】
【数2】
【0028】ここで、Ft (=Fa −Ff )はアクチュ
エ−タ14で発揮される力(Fa )からシリンダとピス
トンとの摩擦力(Ff )を減算した残りであり、実際に
懸架系で発揮される力である。Ft が次の式3と正確に
一致すると、式1及び式2のように与えられた懸架系は
理想的なスカイフックダンパを備えたシステムとなる。
エ−タ14で発揮される力(Fa )からシリンダとピス
トンとの摩擦力(Ff )を減算した残りであり、実際に
懸架系で発揮される力である。Ft が次の式3と正確に
一致すると、式1及び式2のように与えられた懸架系は
理想的なスカイフックダンパを備えたシステムとなる。
【0029】(式3)
【0030】
【数3】
【0031】ここで、Cshはスカイフックダンパ定数で
ある。能動懸架制御システムの最終制御器の出力と見な
される力(Ft )は、車体の揺動を抑えるためにホイ−
ルで実際に発生されるべき力(Fdt)をできるだけ近く
追従しなければならない。しかしながら、実際にホイ−
ルに発揮される力はFt =Fa −Ff の関係を有する。
かつ、アクチュエ−タ14に発揮される力(Fa )は、
シリンダの内部負荷圧力(PL )にピストンリングの断
面積(Ap )を乗算した値と同一のものとなる。すなわ
ち、Fa =Ap ・PL の関係が成り立ち、次の式4のよ
うに与えられる非線形モデルの出力である。
ある。能動懸架制御システムの最終制御器の出力と見な
される力(Ft )は、車体の揺動を抑えるためにホイ−
ルで実際に発生されるべき力(Fdt)をできるだけ近く
追従しなければならない。しかしながら、実際にホイ−
ルに発揮される力はFt =Fa −Ff の関係を有する。
かつ、アクチュエ−タ14に発揮される力(Fa )は、
シリンダの内部負荷圧力(PL )にピストンリングの断
面積(Ap )を乗算した値と同一のものとなる。すなわ
ち、Fa =Ap ・PL の関係が成り立ち、次の式4のよ
うに与えられる非線形モデルの出力である。
【0032】(式4)
【0033】
【数4】
【0034】ここで、Vt はシリンダの内部容積であ
り、βe は有効バルクモジュラスであり、Ctmは総漏れ
係数である。式4の負荷圧力(PL )は出力流量
(QL )により制御されるが、出力流量(QL )はスプ
ール弁の変位(XV )により調節される。出力流量(Q
L )、供給流量(Ps )及びスプール弁の変位(XV )
は、次の式5を満たす。
り、βe は有効バルクモジュラスであり、Ctmは総漏れ
係数である。式4の負荷圧力(PL )は出力流量
(QL )により制御されるが、出力流量(QL )はスプ
ール弁の変位(XV )により調節される。出力流量(Q
L )、供給流量(Ps )及びスプール弁の変位(XV )
は、次の式5を満たす。
【0035】(式5)
【0036】
【数5】
【0037】ここで、Cd 、w、ρは流量係数、スプー
ル弁領域の階調度、油圧密度をそれぞれ示す。なお、式
1、式2および式4、式5から得られる次の式6乃至式
9のような懸架系の微分方程式が求められる。
ル弁領域の階調度、油圧密度をそれぞれ示す。なお、式
1、式2および式4、式5から得られる次の式6乃至式
9のような懸架系の微分方程式が求められる。
【0038】(式6)
【0039】
【数6】
【0040】(式7)
【0041】
【数7】
【0042】(式8)
【0043】
【数8】
【0044】(式9)
【0045】
【数9】
【0046】ここで、εはスプール弁の時定数であり、
a1 =a2 Ctm/Ap 、a2 =4β2 Ap /Vt 、
a1 =a2 Ctm/Ap 、a2 =4β2 Ap /Vt 、
【0047】
【外9】
【0048】はシステムパラメ−タであり、uは制御入
力である。前記の式において、Fa が次の所望の力、即
ち、式10と一致すると、懸架系で実際に発揮される力
(Ft)が式3のFdtと一致することが分る。
力である。前記の式において、Fa が次の所望の力、即
ち、式10と一致すると、懸架系で実際に発揮される力
(Ft)が式3のFdtと一致することが分る。
【0049】(式10)
【0050】
【数10】
【0051】したがって、式8及び式9の油圧式アクチ
ュエ−タ14で発揮される力(Fa)を式10の所望の
力にできるだけ近く追従させることにより、式6〜式8
のように与えられた能動懸架系を理想的なスカイフック
ダンパを備えたシステムとすることが本発明の目的であ
る。
ュエ−タ14で発揮される力(Fa)を式10の所望の
力にできるだけ近く追従させることにより、式6〜式8
のように与えられた能動懸架系を理想的なスカイフック
ダンパを備えたシステムとすることが本発明の目的であ
る。
【0052】本発明においては、式8及び式9のように
与えられた油圧式アクチュエ−タ14のモデルについ
て、帰還線形化方式に基づく適応制御器を設計する。シ
ステムパラメ−タが正確に分ると、帰還線形化制御器の
みを用いて所望の性能を得ることができる。しかしなが
ら、実際にはパラメ−タが正確に分かりにくいため、こ
れを解決するために適応制御方式を併せて設計する。さ
らに、式8及び式9におけるスプール弁の変位(XV )
を式9の伝達関数無しに式8に直接印加できる制御入力
と見なすと、非線形制御器の設計がより容易になる。こ
のため、本発明では特異摂動技法を用いて式8及び式9
のように与えられた油圧式アクチュエ−タ14の動特性
を低次化させる。まず、式9のスフル弁の動特性を次の
式11のように書き直す。
与えられた油圧式アクチュエ−タ14のモデルについ
て、帰還線形化方式に基づく適応制御器を設計する。シ
ステムパラメ−タが正確に分ると、帰還線形化制御器の
みを用いて所望の性能を得ることができる。しかしなが
ら、実際にはパラメ−タが正確に分かりにくいため、こ
れを解決するために適応制御方式を併せて設計する。さ
らに、式8及び式9におけるスプール弁の変位(XV )
を式9の伝達関数無しに式8に直接印加できる制御入力
と見なすと、非線形制御器の設計がより容易になる。こ
のため、本発明では特異摂動技法を用いて式8及び式9
のように与えられた油圧式アクチュエ−タ14の動特性
を低次化させる。まず、式9のスフル弁の動特性を次の
式11のように書き直す。
【0053】(式11)
【0054】
【数11】
【0055】このシステムについて、制御入力を時間の
遅い部分(us )と速い部分(uf)とに分けて次の式
12のように設計する。
遅い部分(us )と速い部分(uf)とに分けて次の式
12のように設計する。
【0056】(式12)
【0057】
【数12】
【0058】ここで、Kpf(≧0)は設計パラメ−タ、
XV はスプール弁の変位である。Kpfは十分に大きい定
数を示す。式12は図3に示した油圧制御部162の出
力を示す。この式12により与えられた制御入力を前記
の式11に代入すると、式13となる。
XV はスプール弁の変位である。Kpfは十分に大きい定
数を示す。式12は図3に示した油圧制御部162の出
力を示す。この式12により与えられた制御入力を前記
の式11に代入すると、式13となる。
【0059】(式13)
【0060】
【数13】
【0061】なお、摂動定数をεO =ε/(1+Kpf)
として式13を書き直すと、次の式14のとおりであ
る。
として式13を書き直すと、次の式14のとおりであ
る。
【0062】(式14)
【0063】
【数14】
【0064】前記の式において、εo =0であれば、
【0065】
【外10】
【0066】となり、XV を直接的な制御入力と見なし
てus を設計することがわかる。ここで、
てus を設計することがわかる。ここで、
【0067】
【外11】
【0068】はεo =0で定義された変数である。速い
時間尺度τ=t/εo 及び Tichonov定理を用いると、
次の式15の関係を満たす。
時間尺度τ=t/εo 及び Tichonov定理を用いると、
次の式15の関係を満たす。
【0069】(式15)
【0070】
【数15】
【0071】前記の式15において、ηは指数関数的に
速く消える信号であることがわかる。実際のシステムに
おいて、スプール弁の時整数(ε)は0<ε<<1を満
たすように設計される。したがって、ε0 =ε/(1+
Kpf)はできるだけ小さい値とすることができるので、
η+O(ε0 )を無視すると、式8及び式9は次の式1
6のような低次化のモデルと等価のものと見なすことが
できる。
速く消える信号であることがわかる。実際のシステムに
おいて、スプール弁の時整数(ε)は0<ε<<1を満
たすように設計される。したがって、ε0 =ε/(1+
Kpf)はできるだけ小さい値とすることができるので、
η+O(ε0 )を無視すると、式8及び式9は次の式1
6のような低次化のモデルと等価のものと見なすことが
できる。
【0072】(式16)
【0073】
【数16】
【0074】ここで、
【0075】
【外12】
【0076】である。式16はパラメ−タ化して次の式
17のように表することができる。
17のように表することができる。
【0077】(式17)
【0078】
【数17】
【0079】ここで、
【0080】
【外13】
【0081】はそれぞれ実際のパラメ−タベクトル及び
リグレッサ(regressor)である。非線形帰還線形化制御
器の一般の構造は次の式18のとおりである。
リグレッサ(regressor)である。非線形帰還線形化制御
器の一般の構造は次の式18のとおりである。
【0082】(式18)
【0083】
【数18】
【0084】ここで、
【0085】
【外14】
【0086】はそれぞれf(x),g(x)の推定値ま
たは事前計算値であり、
たは事前計算値であり、
【0087】
【外15】
【0088】は有界(lower bounded)であると仮定す
る。さらに、式18は図3の油圧制御部162のノ−ド
(a)における値を示す。実際のシステムにおいては、
パラメ−タの適応時、
る。さらに、式18は図3の油圧制御部162のノ−ド
(a)における値を示す。実際のシステムにおいては、
パラメ−タの適応時、
【0089】
【外16】
【0090】の有界性が保障されないことがある。その
解決方法としてはプロジェクション方法が広く用いられ
ているが、本発明ではその説明を省略する。式18の制
御式において、外部ル−プ制御器(ν)はxe =x−x
d について、次の式19のように設計する。
解決方法としてはプロジェクション方法が広く用いられ
ているが、本発明ではその説明を省略する。式18の制
御式において、外部ル−プ制御器(ν)はxe =x−x
d について、次の式19のように設計する。
【0091】(式19)
【0092】
【数19】
【0093】式18の制御式を式16の油圧式アクチュ
エ−タ14の非線形モデル式に代入して式17及び式1
9の関係を用いて定理すると、次の式20のような閉ル
−プ誤差方程式を得ることができる。
エ−タ14の非線形モデル式に代入して式17及び式1
9の関係を用いて定理すると、次の式20のような閉ル
−プ誤差方程式を得ることができる。
【0094】(式20)
【0095】
【数20】
【0096】ここで、
【0097】
【外17】
【0098】であり、パラメ−タ推定値誤差のベクトル
である。油圧式アクチュエ−タ14が理想的に制御され
ると、x=xd となり、式6〜式8の能動懸架系は、理
想的なスカイフックダンパを備えたシステムと同様にな
る。式18の制御式において、
である。油圧式アクチュエ−タ14が理想的に制御され
ると、x=xd となり、式6〜式8の能動懸架系は、理
想的なスカイフックダンパを備えたシステムと同様にな
る。式18の制御式において、
【0099】
【外18】
【0100】となるように設定すれば、完璧に帰還線形
化が行われることにより、x=xd を満たす。しかし、
実際のシステムのパラメ−タが正確にわかりにくいた
め、パラメ−タの適応応式が必要である。このため、本
発明では間接適応式を提案する。式20の閉ル−プの誤
差方程式で
化が行われることにより、x=xd を満たす。しかし、
実際のシステムのパラメ−タが正確にわかりにくいた
め、パラメ−タの適応応式が必要である。このため、本
発明では間接適応式を提案する。式20の閉ル−プの誤
差方程式で
【0101】
【外19】
【0102】が満たされると、出力誤差xe 及び
【0103】
【外20】
【0104】は指数関数的に“0”に収斂していく。パ
ラメ−タの推定状態
ラメ−タの推定状態
【0105】
【外21】
【0106】を、次の式21のように設定し、パラメ−
タの推定誤差を
タの推定誤差を
【0107】
【外22】
【0108】と定義すれば、式16と式21から次の式
22の関係が得られる。
22の関係が得られる。
【0109】(式21)
【0110】
【数21】
【0111】(式22)
【0112】
【数22】
【0113】しかしながら、式22の推定誤差システム
は不安定なので、推定誤差の漸近的な収斂性の保障が困
難である。かつ、式21のように与えられた推定状態の
方程式が不安定なシステムなので、推定状態が発散して
全体のシステムが不安定になることもある。これを解決
するため、本発明ではパラメ−タの推定状態を式21の
代わりに、次の式23のように設定する。
は不安定なので、推定誤差の漸近的な収斂性の保障が困
難である。かつ、式21のように与えられた推定状態の
方程式が不安定なシステムなので、推定状態が発散して
全体のシステムが不安定になることもある。これを解決
するため、本発明ではパラメ−タの推定状態を式21の
代わりに、次の式23のように設定する。
【0114】(式23)
【0115】
【数23】
【0116】ここで、α1 (>0)は設計パラメ−タで
ある。式23をパラメ−タ化して表現すれば、次の式2
4のようになる。
ある。式23をパラメ−タ化して表現すれば、次の式2
4のようになる。
【0117】(式24)
【0118】
【数24】
【0119】式17及び式24からパラメ−タの推定誤
差方程式は次の式25の関係を満たす。
差方程式は次の式25の関係を満たす。
【0120】(式25)
【0121】
【数25】
【0122】この式25のように与えられた推定誤差シ
ステムは、極(pole)が複素平面の左半部の実数軸上の
−α1 (<0)に位置する安定したシステムであること
がわかる。適応式に用いられる推定誤差
ステムは、極(pole)が複素平面の左半部の実数軸上の
−α1 (<0)に位置する安定したシステムであること
がわかる。適応式に用いられる推定誤差
【0123】
【外23】
【0124】は式23または式24からを計算して
【0125】
【外24】
【0126】の関係から容易に得ることができる。
【0127】なお、推定誤差、推定値誤差の収斂性及び
有界性について説明する。パラメ−タ推定誤差の自乗と
パラメ−タ推定値誤差の自乗に比例する正の有限関数
(positive definite fuction)を次の式26のように選
定する。
有界性について説明する。パラメ−タ推定誤差の自乗と
パラメ−タ推定値誤差の自乗に比例する正の有限関数
(positive definite fuction)を次の式26のように選
定する。
【0128】(式26)
【0129】
【数26】
【0130】すると、式26のような関数の時間に対す
る変化率である1次導関数は次の式27の関係を満た
す。
る変化率である1次導関数は次の式27の関係を満た
す。
【0131】(式27)
【0132】
【数27】
【0133】したがって、適応式を次の式28のように
すると、式27は次の式29のような不等式を満たす。
すると、式27は次の式29のような不等式を満たす。
【0134】(式28)
【0135】
【数28】
【0136】(式29)
【0137】
【数29】
【0138】この式29では、
【0139】
【外25】
【0140】が有界であり、
【0141】
【外26】
【0142】と
【0143】
【外27】
【0144】も有界である。したがって、pe 及びVは
不均一に続けられるので、Barbalat′s lemma から
不均一に続けられるので、Barbalat′s lemma から
【0145】
【外28】
【0146】を満たす。そして、式29を時間について
一回微分すると、次の式30のようになる。
一回微分すると、次の式30のようになる。
【0147】(式30)
【0148】
【数30】
【0149】ここで、
【0150】
【外29】
【0151】も有界なので、
【0152】
【外30】
【0153】も不均一に続けられる。そして、pe →0
となるので、次の式31のようになる。
となるので、次の式31のようになる。
【0154】(式31)
【0155】
【数31】
【0156】式31から Barbalat ′s lemma を用いる
と、
と、
【0157】
【外31】
【0158】が成り立つので、
【0159】
【外32】
【0160】を満たす。この結果を用いると、式25か
ら次の式32が得られる。
ら次の式32が得られる。
【0161】(式32)
【0162】
【数32】
【0163】ここで、
【0164】
【外33】
【0165】なので、式20の閉ル−プ方程式も次の式
33を満たす。
33を満たす。
【0166】(式33)
【0167】
【数33】
【0168】したがって、時間の経過に伴い、
【0169】
【外34】
【0170】となることがわかる。所望の力の1次導関
数
数
【0171】
【外35】
【0172】を用いないときは、式19の外部ル−プ制
御器を次のようにすることができる。(式34)
御器を次のようにすることができる。(式34)
【0173】
【数34】
【0174】前記の式20の閉ル−プ誤差方程式は次の
式35のように書き直すことができる。
式35のように書き直すことができる。
【0175】(式35)
【0176】
【数35】
【0177】式35において、
【0178】
【外36】
【0179】を0とし、微分方程式の形態に書き直す
と、次の式36となる。
と、次の式36となる。
【0180】(式36)
【0181】
【数36】
【0182】ここで、μ=1/kd である。
【0183】
【外37】
【0184】のように無視できる程度にkd を充分大き
く設定すると、x→xd に近く追従することがわかる。
したがって、制御器の設計時、kd は過度状態で入力が
許容限界をずれないようにする範囲内でできるだけ大き
く設定することがよい。このように間接法は前記の式1
8、19の制御式と共に用いることにより、システムの
安定度の維持面にも優れる特性を有しており、基準入力
の設定についての制約も少ないことがわかる。そして、
パラメ−タ推定誤差の収斂性も確保されるという長所が
ある。
く設定すると、x→xd に近く追従することがわかる。
したがって、制御器の設計時、kd は過度状態で入力が
許容限界をずれないようにする範囲内でできるだけ大き
く設定することがよい。このように間接法は前記の式1
8、19の制御式と共に用いることにより、システムの
安定度の維持面にも優れる特性を有しており、基準入力
の設定についての制約も少ないことがわかる。そして、
パラメ−タ推定誤差の収斂性も確保されるという長所が
ある。
【0185】次いで、前記の式6〜式9の1/4車両の
懸架系について本発明で提示した非線形適応制御器の性
能を分析する。シミュレ−ションで用いたパラメ−タの
値は実験値であり、パラメ−タの実際値は次の表1のと
おりである。
懸架系について本発明で提示した非線形適応制御器の性
能を分析する。シミュレ−ションで用いたパラメ−タの
値は実験値であり、パラメ−タの実際値は次の表1のと
おりである。
【0186】(表1)
【0187】
【表1】
【0188】ここで、スプール弁の時定数はε=0.0
03とした。路面の屈曲が周波数1〔Hz〕、大きさの
2.54〔cm〕のサイン波の場合についてシミュレ−
ションを行った。
03とした。路面の屈曲が周波数1〔Hz〕、大きさの
2.54〔cm〕のサイン波の場合についてシミュレ−
ションを行った。
【0189】図3は受動ダンパのみを用いる場合、車体
の揺動変位を示す波形図である。受動ダンパのダンピン
グ係数は、C2 =1000〔N/m/sec〕であり、
クロ−ン摩擦(coulomb friction) はないと仮定する。
図3から車体の揺動が路面の屈曲より大きくなることが
わかる。
の揺動変位を示す波形図である。受動ダンパのダンピン
グ係数は、C2 =1000〔N/m/sec〕であり、
クロ−ン摩擦(coulomb friction) はないと仮定する。
図3から車体の揺動が路面の屈曲より大きくなることが
わかる。
【0190】図5〜図8は、本発明で提示した非線形適
応制御器についてシミュレ−ションを行った結果を示す
波形図である。スカイフックダンピング係数は、Csh=
3000〔N/m/sec〕とし、Kpf=100とし
た。適応利得はΓ=[0.001 106 ,107 ]と
した。
応制御器についてシミュレ−ションを行った結果を示す
波形図である。スカイフックダンピング係数は、Csh=
3000〔N/m/sec〕とし、Kpf=100とし
た。適応利得はΓ=[0.001 106 ,107 ]と
した。
【0191】図5A〜図5Dは所望の力の1次導関数
(微分値)を制御入力に用いた場合、制御器の利得をk
d =10とするときのシミュレ−ションの結果を示す波
形図である。図5Aは所望の力(Fd )と実際の力(F
a )を、図5Bは正規化されたパラメ−タ推定値のノル
ム(norm)を、図5Cはパラメ−タ推定誤差を、図5Dは
能動ばね上質量の変位(x2 )をそれぞれ示す。
(微分値)を制御入力に用いた場合、制御器の利得をk
d =10とするときのシミュレ−ションの結果を示す波
形図である。図5Aは所望の力(Fd )と実際の力(F
a )を、図5Bは正規化されたパラメ−タ推定値のノル
ム(norm)を、図5Cはパラメ−タ推定誤差を、図5Dは
能動ばね上質量の変位(x2 )をそれぞれ示す。
【0192】図6A〜至図6Dは同一の制御時の利得に
ついて所望の力の微分値を用いない場合の結果を示す波
形図である。パラメ−タ推定状態の利得は、α1 =10
4 とする。図6Aは所望の力(Fd )と実際の力
(Fa )を、図6Bは正規化されたパラメ−タ推定値の
ノルムを、図6Cはパラメ−タ推定誤差を、図6Dは能
動ばね上質量の変位(x2 )をそれぞれ示す。
ついて所望の力の微分値を用いない場合の結果を示す波
形図である。パラメ−タ推定状態の利得は、α1 =10
4 とする。図6Aは所望の力(Fd )と実際の力
(Fa )を、図6Bは正規化されたパラメ−タ推定値の
ノルムを、図6Cはパラメ−タ推定誤差を、図6Dは能
動ばね上質量の変位(x2 )をそれぞれ示す。
【0193】図7は及び図8は、図5及び図6に比べて
制御器の利得をkd =1000として所望の力の微分値
を用いる場合と、用いない場合のシミュレ−ションを行
った結果をそれぞれ示す波形図である。図7Aは所望の
力(Fd )と実際の値(Fa)を、図7Bは正規化され
たパラメ−タ推定値のノルムを、図7Cはパラメ−タ推
定誤差を、図7Dは能動ばね上質量の変位(x2 )をそ
れぞれ示す。かつ、図8Aは所望の力(Fd )と実際の
値(Fa )を、図8Bは正規化されたパラメ−タ推定値
のノルムを、図8Cはパラメ−タ推定誤差を、図8Dは
能動ばね上質量の変位(x2 )をそれぞれ示す。
制御器の利得をkd =1000として所望の力の微分値
を用いる場合と、用いない場合のシミュレ−ションを行
った結果をそれぞれ示す波形図である。図7Aは所望の
力(Fd )と実際の値(Fa)を、図7Bは正規化され
たパラメ−タ推定値のノルムを、図7Cはパラメ−タ推
定誤差を、図7Dは能動ばね上質量の変位(x2 )をそ
れぞれ示す。かつ、図8Aは所望の力(Fd )と実際の
値(Fa )を、図8Bは正規化されたパラメ−タ推定値
のノルムを、図8Cはパラメ−タ推定誤差を、図8Dは
能動ばね上質量の変位(x2 )をそれぞれ示す。
【0194】本発明の実施例を説明した図3乃至図8に
示したように、全ての場合において、パラメ−タ推定値
の収斂性は出力誤差の収斂性によりあまり影響を受けな
い。この結果は上述した式からもわかるように、出力誤
差の収斂性と問わず、パラメ−タ推定誤差の収斂性が確
保されるということに一致する。そして、外部ル−プ制
御器に所望の力の1次導関数を用いる場合も、図5及び
図7からわかるように、制御器利得の大きさについて出
力の追従性能の差はあまり大きくないが、所望の力の1
次導関数を用いない場合には、図6及び図8からわかる
ように、出力の追従性能が制御器の利得の増減に大いに
依存し、正常状態における誤差が存在する。その結果、
この誤差はばね上質量(車体)の振動抑制力の不足によ
る乗車感の低下をもたらす。したがって、所望の力の微
分値を用いない場合には、力の誤差の絶対値が
示したように、全ての場合において、パラメ−タ推定値
の収斂性は出力誤差の収斂性によりあまり影響を受けな
い。この結果は上述した式からもわかるように、出力誤
差の収斂性と問わず、パラメ−タ推定誤差の収斂性が確
保されるということに一致する。そして、外部ル−プ制
御器に所望の力の1次導関数を用いる場合も、図5及び
図7からわかるように、制御器利得の大きさについて出
力の追従性能の差はあまり大きくないが、所望の力の1
次導関数を用いない場合には、図6及び図8からわかる
ように、出力の追従性能が制御器の利得の増減に大いに
依存し、正常状態における誤差が存在する。その結果、
この誤差はばね上質量(車体)の振動抑制力の不足によ
る乗車感の低下をもたらす。したがって、所望の力の微
分値を用いない場合には、力の誤差の絶対値が
【0195】
【外38】
【0196】の不等関係を有することを考慮して制御器
の利得kd をできるだけ大きくしなければならない。
の利得kd をできるだけ大きくしなければならない。
【0197】上述した方法により、本発明は車両用の能
動懸架システムの性能改善のために油圧式アクチュエ−
タの効率よい制御方法を提示する。
動懸架システムの性能改善のために油圧式アクチュエ−
タの効率よい制御方法を提示する。
【0198】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、1/
4車の能動懸架システムにおいて、ホイ−ルに発揮され
るべき所望の力を油圧式アクチュエ−タで正確に発揮さ
せるさめ、内部ル−プ制御器として油圧式アクチュエ−
タの非線形性を帰還線形化制御方式で補償する間接適応
制御器を設計し、間接適応制御器の設計の便宜のため、
スプル弁の動特性を特異摂動技法に基づく複合制御器を
用いて低次化させた。適応式に用いられる推定誤差信号
を従来の方法とは異なり、リグレッサを直接的にフィル
タリングすることなく、パラメ−タの推定状態を構成し
た。推定誤差及びその1次導関数を0に収斂することに
より、順次に出力誤差の漸近的な収斂性を確保した。こ
れにより、ダンピング制御部で計算された所望の力を油
圧式アクチュエ−タで正確に発揮させることができる。
4車の能動懸架システムにおいて、ホイ−ルに発揮され
るべき所望の力を油圧式アクチュエ−タで正確に発揮さ
せるさめ、内部ル−プ制御器として油圧式アクチュエ−
タの非線形性を帰還線形化制御方式で補償する間接適応
制御器を設計し、間接適応制御器の設計の便宜のため、
スプル弁の動特性を特異摂動技法に基づく複合制御器を
用いて低次化させた。適応式に用いられる推定誤差信号
を従来の方法とは異なり、リグレッサを直接的にフィル
タリングすることなく、パラメ−タの推定状態を構成し
た。推定誤差及びその1次導関数を0に収斂することに
より、順次に出力誤差の漸近的な収斂性を確保した。こ
れにより、ダンピング制御部で計算された所望の力を油
圧式アクチュエ−タで正確に発揮させることができる。
【図1】 1/4車の懸架装置のモデルを示す図面であ
り、2−自由度を有するシステムを示す。
り、2−自由度を有するシステムを示す。
【図2】 本発明による能動懸架制御装置の構成を示す
図面である。
図面である。
【図3】 図2に示した能動懸架制御部の詳細図であ
る。
る。
【図4】 本発明による一実施例において、受動ダンパ
のみを用いる場合に車体の揺動変位を示す波形図であ
る。
のみを用いる場合に車体の揺動変位を示す波形図であ
る。
【図5】 (A)乃至(D)は所望の力の1次導関数の
制御入力に用いる場合に制御器の利得をkd =10とす
るときのシミュレ−ション結果を示す波形図であり、
(A)は所望の力(Fd )と実際の力(Fa )を、
(B)は正規化されたパラメ−タ推定値のノルムを、
(C)はパラメ−タ推定誤差を、(D)は能動ばね上質
量の変位(x2 )をそれぞれ示す。
制御入力に用いる場合に制御器の利得をkd =10とす
るときのシミュレ−ション結果を示す波形図であり、
(A)は所望の力(Fd )と実際の力(Fa )を、
(B)は正規化されたパラメ−タ推定値のノルムを、
(C)はパラメ−タ推定誤差を、(D)は能動ばね上質
量の変位(x2 )をそれぞれ示す。
【図6】 (A)乃至(D)は所望の力の微分値を用い
ない場合に制御利得をkd =10とするときのシミュレ
−ション結果を示す波形図であり、(A)は所望の力
(Fd )と実際の力(Fa )を、(B)は正規化された
パラメ−タ推定値のノルムを、(C)はパラメ−タ推定
誤差を、(D)は能動ばね上質量の変位(x2 )をそれ
ぞれ示す。
ない場合に制御利得をkd =10とするときのシミュレ
−ション結果を示す波形図であり、(A)は所望の力
(Fd )と実際の力(Fa )を、(B)は正規化された
パラメ−タ推定値のノルムを、(C)はパラメ−タ推定
誤差を、(D)は能動ばね上質量の変位(x2 )をそれ
ぞれ示す。
【図7】 (A)乃至(D)は所望の力の微分値を用い
る場合に制御器の利得をkd =1000とするときのシ
ミュレ−ション結果を示す波形図であり、(A)は所望
の力(Fd )と実際の力(Fa )を、(B)は正規化さ
れたパラメ−タ推定値のノルムを、(C)はパラメ−タ
推定誤差を、(D)は能動ばね上質量の変位(x2 )を
それぞれ示す。
る場合に制御器の利得をkd =1000とするときのシ
ミュレ−ション結果を示す波形図であり、(A)は所望
の力(Fd )と実際の力(Fa )を、(B)は正規化さ
れたパラメ−タ推定値のノルムを、(C)はパラメ−タ
推定誤差を、(D)は能動ばね上質量の変位(x2 )を
それぞれ示す。
【図8】 (A)乃至(D)は所望の力の微分値を用い
ない場合に制御器の利得をkd =1000とするときの
シミュレ−ション結果を示す波形図であり、(A)は所
望の力(Fd )と実際の力(Fa )を、(B)は正規化
されたパラメ−タ推定値のノルムを、(C)はパラメ−
タ推定誤差を、(D)は能動ばね上質量の変位(x2 )
をそれぞれ示す。
ない場合に制御器の利得をkd =1000とするときの
シミュレ−ション結果を示す波形図であり、(A)は所
望の力(Fd )と実際の力(Fa )を、(B)は正規化
されたパラメ−タ推定値のノルムを、(C)はパラメ−
タ推定誤差を、(D)は能動ばね上質量の変位(x2 )
をそれぞれ示す。
10…ばね上質量m2 を有する1/4車の車体、 12…ばね下質量m1 を有するタイヤを含むホイール、 14…油圧式アクチュエータ、 16…能動懸架制御部、 18…油圧シリンダ、 20…タイヤを含む車体及びホイール、 22…データセンサー部、 160…ダンピング制御部、 162…油圧制御部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 特許法第30条第1項適用申請有り 1996年4月15日 社 団法人大韓電気学会発行の「電気学会論文誌第45巻第4 号」に発表
Claims (4)
- 【請求項1】 車両用の懸架系の制御装置において、 車体の揺動を抑えるための油圧式アクチュエ−タと、 前記車体またはその車体のホイ−ルから発生した車体の
揺動を感知するセンサ−部と、 前記センサ−部から得られた揺動デ−タを受信して前記
油圧式アクチュエ−タで発揮されるべき力を計算するダ
ンピング制御部と、 前記油圧式アクチュエ−タのスプール弁の変位測定値を
入力として特異摂動技法を用いて前記油圧式アクチュエ
−タの動特性を低次化させ、前記ダンピング制御部から
計算された力が前記油圧式アクチュエ−タで正確に発揮
されるように制御する油圧制御部とを含むことを特徴と
する特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置。 - 【請求項2】 前記油圧制御部は低次化された前記油圧
式アクチュエ−タの非線形性を帰還線形化方式に基づく
適応制御方式で線形化して、前記ダンピング制御部で計
算された力が前記油圧式アクチュエ−タで正確に発揮さ
れるように制御することを特徴とする請求項1に記載の
特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置。 - 【請求項3】 前記ダンピング制御部は、前記センサ−
部から出力された揺動デ−タを受信し、 【外1】 をxd の1次導関数、xを前記油圧エクチュエ−タによ
り発生された実際の力、kd を設計パラメ−タとして正
の定数とするとき、次の式、 【外2】 によりダンピング制御信号を計算し、前記計算されたダ
ンピング制御信号を前記油圧制御部に出力するように処
理することを特徴とする請求項1に記載の特異摂動技法
を用いる能動懸架系の適応制御装置。 - 【請求項4】 前記油圧制御部は、前記ダンピング制御
部から出力されたダンピング制御信号(ν)と前記油圧
アクチュエ−タのスプール弁の変位(Xv )とを受信
し、 【外3】 を推定動作、Xv を前記油圧式アクチュエ−タのスプー
ル弁の変位、kpfを設計パラメ−タとして十分に大きい
正の定数とするとき次の式、 【外4】 により油圧制御信号を計算し、前記計算された油圧制御
信号を前記油圧アクチュエ−タに出力するように処理す
ることを特徴とする請求項1に記載の特異摂動技法を用
いる能動懸架系の適応制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9135546A JPH10151929A (ja) | 1996-09-16 | 1997-05-26 | 特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置 |
Applications Claiming Priority (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
KR19960040209 | 1996-09-16 | ||
JP8-256813 | 1996-09-27 | ||
JP96P40209 | 1996-09-27 | ||
JP25681396 | 1996-09-27 | ||
JP97P16791 | 1996-09-27 | ||
KR1019970016791A KR19980024013A (ko) | 1996-09-16 | 1997-04-30 | 특이섭동기법을 이용한 능동 현가계의 적응 제어장치 |
JP9135546A JPH10151929A (ja) | 1996-09-16 | 1997-05-26 | 特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10151929A true JPH10151929A (ja) | 1998-06-09 |
Family
ID=27471927
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9135546A Withdrawn JPH10151929A (ja) | 1996-09-16 | 1997-05-26 | 特異摂動技法を用いる能動懸架系の適応制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10151929A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009023445A (ja) * | 2007-07-18 | 2009-02-05 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 車体振動の抑制制御方法 |
JP2012050230A (ja) * | 2010-08-26 | 2012-03-08 | Railway Technical Research Institute | パンタグラフのアクティブ制御におけるアクチュエータの摩擦の影響を低減する方法及びパンタグラフ |
-
1997
- 1997-05-26 JP JP9135546A patent/JPH10151929A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009023445A (ja) * | 2007-07-18 | 2009-02-05 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 車体振動の抑制制御方法 |
JP2012050230A (ja) * | 2010-08-26 | 2012-03-08 | Railway Technical Research Institute | パンタグラフのアクティブ制御におけるアクチュエータの摩擦の影響を低減する方法及びパンタグラフ |
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