JPH10149934A - 内燃機関用点火コイル - Google Patents

内燃機関用点火コイル

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JPH10149934A
JPH10149934A JP9255659A JP25565997A JPH10149934A JP H10149934 A JPH10149934 A JP H10149934A JP 9255659 A JP9255659 A JP 9255659A JP 25565997 A JP25565997 A JP 25565997A JP H10149934 A JPH10149934 A JP H10149934A
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淳一 嶋田
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博 渡辺
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橋本  学
Yoichi Yasukura
洋一 安蔵
Eiichiro Kondo
英一郎 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】独立形点火コイル装置の耐熱衝撃を向上させ、
コイルの絶縁性能の向上を図り、且つ、小形化の要求に
応える。 【解決手段】エンジンの各点火プラグに直結して使用さ
れる独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、コイ
ルケース6に内側から順に、センタコア1,二次ボビン
2に巻かれた二次コイル3,一次ボビン4に巻かれた一
次コイル5が同心状に内装される。二次ボビン2及び一
次ボビン4がポリフェニレンサルファイド(以下、PP
Sと略称する)又はPPSと他の樹脂の混合材料であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの点火プ
ラグごとに用意されて各点火プラグに直結して使用され
る独立点火形の内燃機関用点火コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンのプラグホールに導入さ
れて各点火プラグと個別に直結される独立点火形の内燃
機関用点火コイルが開発されている。この種の点火コイ
ル装置は、ディストリビュータを不要とし、その結果、
ディストリビュータ,その高圧コード等で点火コイルへ
の供給エネルギーが降下するようなことがなく、しか
も、点火エネルギーの降下といった配慮をすることなく
点火コイルを設計できるために、コイル容積を小さく
し、点火コイルの小形化を図れると共に、ディストリビ
ュータの廃止によりエンジンルーム内の部品装着スペー
スの合理化を図れるものとして評価されている。
【0003】このような独立点火形の点火コイルは、コ
イル部の少なくとも一部がプラグホール内に導入されて
装着されるためプラグホール内装着式と称せられ、また
コイル部はプラグホールに挿入されるためにペンシル形
に細長くペンシルコイルと通称され、細長円筒形のコイ
ルケースの内部にセンターコア(磁路鉄心で珪素鋼板を
多数積層したもの),一次コイル,二次コイルを内装し
ている。一次,二次コイルはそれぞれのボビンに巻か
れ、センターコアの周囲に同心状をなして配置されてい
る。このような一次,二次コイルを収納するコイルケー
ス内には、絶縁用の熱硬化性樹脂を注入硬化させたり絶
縁油を封入することでコイルの絶縁性を保証している。
【0004】公知例としては、例えば特開平8−255
719号公報、特開平9−7860号公報,特開平9−
17662号公報、特開平9−167709号公報、特
開平8−93616号公報、特開平8−97057号公
報、特開平8−144916号公報、特開平8−203
757号公報等に記載のものがある。
【0005】これらの従来例のうち、例えば、特開平9
−167709号公報(特願平7-326800号)に
記載されるように、コイルケースに内側から順に、珪素
鋼板を積層してなるセンタコア、二次ボビンに巻かれた
二次コイル、一次ボビンに巻かれた一次コイルを同心状
に内装し、これらの内装される構成部材の周囲(構成部
材間)に絶縁用の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)を充
填したものがある。
【0006】この従来例は二次コイルを内側,一次コイ
ルを外側に配置するため内二次コイル構造と称すること
もある。
【0007】いわゆるペンシルコイル(独立点火形の内
燃機関用点火コイル)には、一次コイルを内側,二次コ
イルを外側に配置するいわゆる外二次コイル構造のもの
と、先に述べたような内二次コイル構造のものがあり、
内二次コイル構造は、外二次コイル構造に較べ次に述べ
るように出力特性の面で有利な点がある。
【0008】コイルの構成部材間に絶縁用樹脂(例えば
エポキシ樹脂)を注入硬化(充填)させたペンシルコイ
ルを想定した場合、図7に示すように、外二次コイル構
造では、内側から順に一次コイル,エポキシ樹脂,二次
ボビン,二次コイル,エポキシ樹脂,コイルケース,サ
イドコアが存在するが、二次コイルとその内側にある低
電圧の一次コイル(ほぼ接地電圧とみなせる)との間に
静電浮遊容量が生じるほかに、二次コイルとサイドコア
(接地電圧)との間にも静電浮遊容量が発生し、そのた
め、内二次コイル構造に比べサイドコア側の静電浮遊容
量が余分につき、外二次コイル構造の静電浮遊容量は大
きくなる傾向にある。一方、内二次コイル構造の場合は
二次コイル・一次コイルの間に静電浮遊容量が生じ、一
次コイル・サイドコア間は一次コイル,サイドコアが共
に接地電圧であるので静電浮遊容量が実質生じない。
【0009】二次電圧出力及びその立上り特性は静電浮
遊容量に影響され、静電浮遊容量が大きくなるほど出力
が低下し立上りに遅れが生じる。したがって、静電浮遊
容量の小さい内二次コイル構造の方が、小形、高出力化
に適していると考えられている。
【0010】また、独立点火形の内燃機関用点火コイル
のうちコイルケース内に絶縁用樹脂(例えばエポキシ樹
脂)を注入硬化する方式のものは、絶縁油方式のような
油の封入(シーリング)対策を不要とし、またセンタコ
ア,ボビン,コイル等の構成部材を絶縁用樹脂に埋設す
るだけで自ずと固定できるので、これらの構成部材の固
定も絶縁油方式に較べて簡易であり、装置全体の簡略化
及び取り扱いの容易性を図れるものとして評価されてい
る。
【0011】一次ボビン,二次ボビンの材料としては、
種々の熱可塑性樹脂のものが提案されており、例えば、
上記した特開平9−167709号公報のような内二次
コイル構造においては、二次ボビンの材料としてエポキ
シ樹脂との親和性が良好な変性PPO(変性ポリフェニ
レンオキサイド)を用いたものが提案され、一次ボビン
にはポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いてい
る。また、特開平9−17662号公報(特願平7−1
65141号)には、外二次コイル構造(内一次コイル
構造)で、その一次コイルのボビン(一次ボビン)をP
BTやPPS(ポリフェニレンサルファイド)とし、二
次ボビンとして変性PPOを用いたものが開示されてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この種独立点火形の内
燃機関用点火コイルにおいて、上記の内二次コイル構造
・コイルケース内絶縁樹脂注入硬化方式の場合には、既
述したように種々の利点があるが、二次ボビンとセンタ
ーコアや二次コイル周囲の耐熱衝撃性(電界集中緩
和),絶縁性能の保証しつつ、点火コイル装置の小形化
をいかに両立させることが重要なポイントである。
【0013】すなわち、コイルケースに内側から順にセ
ンターコア,二次コイル,一次コイルを内装した方式
(いわゆる内二次コイル構造)の場合には、電位差のあ
る二次コイルとセンターコア間及び二次コイルと一次コ
イル間の絶縁樹脂に熱衝撃に起因するクラック(空隙)
が発生すると、その空隙部の電界強度が極端に大きくな
るいわゆる電界集中が発生し、絶縁破壊が発生する。特
に、内二次コイル構造では、容積の占める割合の最も大
きいセンタコア,2次コイルと二次ボビンとの間での熱
衝撃が大きくなり、その間の絶縁用樹脂にクラックが生
じることが懸念される。
【0014】従来、二次ボビンとして変性PPOを使用
したのは、エポキシ樹脂等の注入熱硬化性樹脂との親和
性が良好なことによる。
【0015】本発明者らは、変性PPOで構成した二次
ボビンの線膨張係数を実験で調べた結果、特に内二次コ
イル構造の場合には、センターコアや二次コイルとの線
膨張係数差が2倍以上に大きく、熱衝撃が大きくなり、
耐熱衝撃の点で改善すべき点を見出した。
【0016】すなわち、ボビン材として使用する熱可塑
性樹脂の線膨張係数は、温度により変化するが、変性P
POの場合には、常温(20℃)〜150℃の範囲でそ
の線膨張係数を調べた結果、その温度範囲の線膨張係数
をトータルして表わせば、成形時の流動方向(flow)及
び直角方向(crossflow)も含め25〜80×10~
6(換言すれば25〜80×10E−6)である知見を
得た。
【0017】一方、珪素鋼板よりなるセンタコアの線膨
張係数は13×10~6である。上記変性PPOで構成し
た二次ボビンの線膨張係数は、センタコアの2倍以上の
線膨張係数となり(コイルである銅線についても同様の
ことがいえる)、点火コイルの環境条件である−40℃
〜130℃の熱ストレスが印加された場合、その熱ひず
みが大きくなり、センタコア・二次ボビン間や二次コイ
ル周囲に充填した絶縁樹脂にクラックが生じる確率が高
い。
【0018】本発明は以上の点に鑑みてなされ、その目
的は、この種独立点火形の内燃機関用点火コイルにおい
て、特に内二次コイル構造・コイルケース内絶縁樹脂注
入硬化方式において、耐熱衝撃性(電界集中緩和),絶
縁性能の面で最も課題とされていたセンタコア・二次ボ
ビン間や二次ボビン・二次コイル等の点火コイル構成部
材間の耐熱衝撃性,絶縁性能の改善を図ると共に、小形
化の要求にも応えることのできる点火コイルを提供する
ことにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したよう
に変性PPOで構成した二次ボビンの線膨張係数は、セ
ンタコアの2倍以上の線膨張係数を有するものであり、
これが内二次コイル構造・コイルケース内絶縁樹脂注入
硬化方式ではセンタコア・二次ボビン間や二次ボビン・
二次コイル間等でクラック発生原因となるとの知見に基
づきなされたもので、基本的には、次のように構成す
る。
【0020】(イ)エンジンの各点火プラグに直結して
使用される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおい
て、コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボ
ビンに巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次
コイルが同心状に内装され、前記二次ボビンは線膨張係
数が変性PPO(変性ポリフェニレンオキサイド)より
もコイル材(銅など),センタコアに近い材料により構
成したことを特徴とする。
【0021】(ロ)また、このような二次ボビンとし
て、二次ボビンがPPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)又はPPSと他の樹脂の混合材料であるものを提案
する。
【0022】例えば、二次ボビンは、PPSにガラス繊
維とタルク等の無機質粉が合計で50〜70重量%混合
された材料や、PPSに石英粉と溶融ガラス粉が合計で
50〜70重量%混合された材料で構成される。
【0023】(ハ)このように構成された二次ボビンに
よれば、常温(20℃)〜150℃の範囲の線膨張係数
が成形時の流動方向,直角方向も含め10〜45×10
~6(換言すれば、10〜45×10E−6)の範囲にあ
るものが得られた。
【0024】(ニ)上記のように構成することで、いま
までの二次ボビン材よりも耐熱衝撃性を高めることがで
きる。特に、二次ボビンをPPSで構成した場合には、
変性PPOの線膨張係数の約1/2にして、二次ボビン
を、今まで以上にセンターコア(珪素鋼板)や、コイル
材(銅線)の線膨張係数に近づける。
【0025】本発明者らの実験によれば、二次ボビンを
PPSとし、無機質粉を合計で50〜70%混合させた
ものは、−40℃と130℃程度を交互に繰り返す熱衝
撃試験が300サイクル以上繰り返されても、センター
コア・二次ボビン間及び二次ボビン・二次コイル間の絶
縁用樹脂(エポキシ樹脂)にクラックが生じていないこ
とが確認された。これに対して、二次ボビンを変性PP
Oで構成したものを同様の試験を行なった結果、クラッ
クの発生が認められた。
【0026】(ホ)以上の結果、本発明者らは、内二次
コイル・コイルケース内絶縁樹脂注入硬化方式では、二
次ボビンは、少なくとも、20℃〜150℃の範囲の線
膨張係数が成形時の流動方向,直角方向も含め10〜4
5×10~6の範囲にある材料であれば、要求の耐熱衝撃
性を満足させるために、そのような線膨張係数を満足さ
せる材質の二次ボビンを有する内燃機関用点火コイルに
ついても発明を成立させた。
【0027】(ヘ)また、内二次コイル構造において
は、二次コイル・センタコア間に電位差(電位差は約1
5V程度で、この電位差の発生メカニズムについては後
述する)が生じるため、二次ボビン自身の絶縁性能を向
上させることも要求されるが、二次ボビンをPPSで構
成した場合には、PPSの方が変性PPOよりも絶縁性
能及び機械強度に優れるために、絶縁性能及び機械強度
の双方の要求に対して、肉厚を変性PPOの1/2にす
ることができ、二次ボビンの肉厚をPPSの方が薄肉化
でき、二次ボビンの細径化ひいては点火コイル装置の小
形化を図れる。すなわち、、PPSと変性PPOとの絶
縁性能を比較した場合、PPSは耐電圧(破壊電圧)は
常温(20℃)で20kv/mm、変性PPOは16〜
20kv/mmで、また、PPSは変性PPOに比べて
その無機質粉の配合割合によりヤング率を変性PPOの
2倍とすることができるので、絶縁性能及び機械強度の
双方の要求に対して、肉厚を変性PPOの1/2にでき
る。
【0028】(ト)なお、従来例の特開平9−1766
2号公報(特願平7−165141号)には、外二次コ
イル構造(内一次コイル構造)で、その一次コイルのボ
ビン(一次ボビン)をPPS(ポリフェニレンサルファ
イド)とする旨示唆されているが、これは、外二次コイ
ル構造(内一次コイル構造)の一次ボビンにPPSを使
用するものであって、これにより、上記した内二次コイ
ル構造・コイルケース内絶縁樹脂注入硬化方式の課題を
解決することはできない。
【0029】(チ)なお、本願発明は、上記した構成の
ほかに、二次ボビンがPPSと他の樹脂の混合材料であ
るものや、二次ボビンをPPS又はPPSと他の樹脂の
混合材料であるほかに、これに加えて、二次ボビンと前
記センターコアとの間に充填される熱硬化性樹脂は、
〔二次ボビンの許容応力>(−40℃−絶縁用樹脂のガ
ラス転移点Tg)での二次ボビンの発生応力〕の条件を
満足するガラス転移点Tgを有する樹脂であるものや、
前記二次ボビンと前記センターコアとの間に充填され
る熱硬化性樹脂は、ガラス転移点が少なくとも20℃以
下で、ガラス転移点以上ではヤング率が1×108(P
a)以下の可撓性エポキシ樹脂であるものや、前記二次
ボビンと前記センターコアとの間に充填される熱硬化性
樹脂は、前記二次ボビンの比誘電率とほぼ同等な樹脂で
構成されているもの等を提案するが、これらの詳細につ
いては[実施形態の項]で説明する。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面により説明
する。
【0031】まず、図1〜図19を用いて第1の実施例
に係わる点火コイル装置を説明する。
【0032】図1に点火コイル装置21の縦断面図(図
3のB−B´線断面矢視図)及びその一部を拡大したE
部拡大断面図を示し、図2に図1のA−A′線断面図を
示す。図3は図1の点火コイル装置を上面からみた図
で、回路ケース9の内部を樹脂(シリコンゲル)充填前
の状態で表わしている。
【0033】細長円筒形のコイルケース(外装ケース)
6の内部には、中心(内側)から外側に向けて順にセン
ターコア1,二次ボビン2,二次コイル3,一次ボビン
4,一次コイル5が配置される。
【0034】センターコア1は、その断面積を増やすよ
うに、例えば、図2に示すように、幅長を数段階に設定
した多数の0.3〜0.5mm程度の珪素鋼板或いは方
向性珪素鋼板をプレス積層して成り、二次ボビン2の内
径に挿入される。
【0035】二次ボビン2は、センタコア1と二次コイ
ル3の間に配置され、二次コイル3で発生した高電圧を
絶縁する役目もある。二次ボビン2の材料はPPSで熱
可塑性樹脂である。二次ボビン2に巻かれる二次コイル
3は、線径0.03〜0.06mm程度のエナメル線を
用いて合計10000〜30000回程度分割巻きされ
ている。二次コイル3を巻いた二次ボビン2の外径は、
一次ボビン4の内径よりも小径に形成して、二次ボビン
2及び二次コイル3が一次ボビン4の内側に位置してい
る。二次ボビン2にPPSを採用することから、[課題
を解決するための手段]でも述べたように二次ボビンの
薄肉化を図り、肉厚を0.5〜1.2mmにすることが
できる。また、ガラス繊維とタルク等の無機質粉が50
〜70重量%以上混合され、コイルケース6内の金属と
の線膨張係数差を極力少なくしている。この点について
は後述する。PPSは熱可塑性合成樹脂の中でも、変性
PPO,PBTよりも成形時の流動性が良いため、無機
質粉の量を50%〜70重量%にしても流動性を損なわ
ないという特徴をもっている。
【0036】一次ボビン4も、二次ボビン2同様のPP
Sで成形され、一次コイル5が巻線されている。PPS
を採用した場合には、述したように薄肉での成形が可能
であり、一次ボビン4の肉厚は0.5mm〜1.2mm
程度である。また、ガラス繊維とタルク等の無機質粉が
50〜70重量%以上混合され、コイル内の金属との線
膨張係数差を極力少なくしている。一次ボビン4は変性
PPOで成形してもよい。ボビン材をPPS,変性PP
Oいずれで構成する場合にも、本点火コイルがプラグホ
ール内に取り付けられることを考慮すると、熱変形温度
は150℃以上のものを使用した方が良い。一次ボビン
4、二次ボビン2として材料選定した無機質粉が50〜
70%混合されたPPSは、従来の変性PPOと比較し
て、引っ張り強度が約1.5/、線膨張係数が1/2程
度であるため、割れに対して約3倍向上させることがで
きる。
【0037】一次コイル5は線径0.3〜1.0mm程
度のエナメル線を一層あたり数十回ずつ数層にわたり合
計100〜300回程度巻き回される。なお、図1のE
部拡大断面図では、作図の便宜上、一次コイル5を模式
的に一層で表現しているが、実際は上記のように数層で
構成されている。
【0038】二次ボビン2の鍔2Bにより設定される二
次コイル3の分割巻きのためのスプールエリアの段数は
12〜14の範囲である。二次コイル3の出力電圧が2
5〜40kVである場合、分割巻きがないと低圧と高圧
側の最大の電圧差が上記のように25〜40kVであり
この線間電圧の大きい線同士が何らかの原因(巻線崩れ
等)で接近して巻かれてしまうと線間耐圧を越えて絶縁
破壊が生じるおそれがある。本例では、このような事態
に対処するために、二次コイル3を分割巻きして各スプ
ールエリア内の線間電圧を小さくしており、内二次コイ
ル構造式においてペンシルコイル(点火コイル装置)の
プラグホールに実装する上での径及び軸方向の制約との
兼ね合いで、必要最小限,各スプールエリアで小さくし
得る線間耐電圧として2〜3V程度にするのが良いとの
結論から、スプールエリアの段数は12〜14の範囲で
定めるのが好ましいとし、そのように設定した。
【0039】また、二次ボビン鍔2Bの突出量すなわち
二次コイル外径〜二次ボビン鍔外径までの距離が0.1
〜0.4mmの範囲にあり、この二次ボビン鍔の肉厚幅
が0.6〜1.0mmの範囲にある。二次ボビン鍔2B
の突出量の上記寸法は、突出によりエポキシ樹脂8に対
するアンカー効果を確保しつつ、突出量の寸法公差を配
慮しても二次コイルの線径(使用最大径0.03〜0.
1mm)より大きくとることで二次コイルの線材の鍔越
えを防止する配慮の結果である。
【0040】また、二次ボビン鍔2Bの上記肉厚幅の寸
法も、前記のペンシルコイルの全長を抑えつつ二次ボビ
ン鍔2B上でのエポキシ樹脂8に対する接着力を図る上
で最適なものとして採用された。
【0041】点火コイル装置の小形化(細径化)の制約
の下で、できるだけセンターコア1の占有面積のアップ
ひいては出力アップを図るためには、ボビン材は薄肉で
の成形が可能な樹脂を選定する必要があるが、既述した
ようにPPSは熱可塑性合成樹脂の中でも成形時の流動
性が良く、無機質粉の配合量を50重量%以上にしても
流動性を損なわず薄肉化に有利であるという特長があ
る。二次ボビン2にPPSを用いた場合、コイル部の金
属との線膨張係数差をできるだけ近づけるため、ガラス
繊維とタルク等の無機質粉が50〜70重量%混合され
(このPPSを本明細書ではハイフィラーPPSと称す
ることもある)、常温(20℃)〜150℃の範囲の線
膨張係数が成形時の流動方向、直角方向も含め、10〜
45×10~6の範囲である。
【0042】二次ボビン2の肉厚は、上記組成のPPS
を使用した場合、ヤング率は変性PPOの2倍であるた
め、機械的強度を満足させる場合には変性PPOの1/
2以下の厚さにでき、ボビンの薄肉化を図れる。
【0043】点火コイルの構成部材の周囲には絶縁用の
熱硬化性樹脂が注入されるが、このうちセンターコア1
と二次ボビン2間の隙間には、いわゆる軟質エポキシ樹
脂(可撓性エポキシ)17が充填され、二次ボビン2,
二次コイル3,一次ボビン4,一次コイル5,コイルケ
ース6の各構成部材同士の隙間にはエポキシ樹脂8が充
填されている。
【0044】ここで軟質エポキシ樹脂17を定義すれば
ガラス転移点が常温(20℃)以下で、ガラス転移点以
上では弾性のある軟らかい性質を有するエポキシ樹脂で
あり(例えばガラス転移点以上ではヤング率が1×10
8Pa以下のもの)、その組成は、エポキシ樹脂と変性
脂肪族ポリアミンの混合物(混合比率は例えば重量比率
で1対1で、エポキシ樹脂100重量部、変性脂肪族ポ
リアミン100重量部)である。
【0045】センターコア1・二次ボビン2間の絶縁用
樹脂を軟質エポキシ樹脂17としたのは、プラグホール
内装着式の独立点火形の点火コイル装置(ペンシルコイ
ル)が厳しい温度環境(−40℃〜130℃程度の熱ス
トレス)にさらされることに加えて、センターコア1の
熱膨張係数(13×10~6mm/℃)とエポキシ樹脂の
熱膨張係数(40×10~6mm/℃)との差が大きいた
め、通常の絶縁用エポキシ樹脂(軟質エポキシ17より
も硬質のエポキシ樹脂組成物)を用いた場合には、ヒー
トショック(熱衝撃)によりエポキシ樹脂にクラックが
生じ、絶縁破壊が起こる心配があるためである。すなわ
ち、このようなヒートショックに対処するため、熱衝撃
吸収に優れた弾性体で絶縁性を有する軟質エポキシ樹脂
17を用いた。
【0046】この軟質エポキシ樹脂17の注型工程は次
の通りである。
【0047】一例をあげれば、二次ボビン2にセンター
コア1を挿入後に、これらを真空チャンバに置いてチャ
ンバ内を真空引きし(例えば4Torr)、この真空状
態下で二次ボビン2とセンターコア1との間に軟質エポ
キシ樹脂17を液状にて注入充填し、その後、大気中で
120℃で1.5〜2時間加熱し硬化させる。
【0048】このようなこの工程を有することで、真空
状態で注入された軟質エポキシ樹脂17が加熱硬化時に
大気圧の下に置かれるので、二次ボビン2・センタコア
1間の軟質エポキシ樹脂17は加熱硬化時に大気圧と真
空圧の差圧により加圧成形(圧縮成形)される。
【0049】軟質エポキシ樹脂17を加圧成形すること
で、樹脂中に含まれるボイドの容積を1/200に収縮
させ、より一層のボイドレス化を図り得る。放電が生じ
ないボイドの大きさは、放電電極間の絶縁層間が1.0
mmの場合には0.05mm以下であり、絶縁層が薄く
なるほど上記の放電を生じさせないボイドの大きさも小
さくする必要があり、加圧成形はその意味で有効であ
る。
【0050】図6は上記のコイル要素のうち、前記軟質
エポキシ17を充填させた二次ボビン2だけを取り出し
てその内部を縦断面して表す図である(図6ではセンタ
ーコア1・二次ボビン2間の構造については、特徴点を
明瞭にする作図上の便宜のためにやや誇張して描いてあ
る)。
【0051】図6に示すように、二次ボビン2に充填さ
れる軟質エポキシ樹脂17は、より詳細に述べればセン
ターコア1・二次ボビン2間から二次ボビン2の上端開
口にかけて充填されるが、上記の大気圧と真空圧の差圧
を利用して加圧成形を施した場合、二次ボビン2上端開
口位置にある軟質エポキシ樹脂表面に加圧成形によるす
り鉢状(半球状)の曲面凹み17´が残る(深さは例え
ば約3〜5mm程度)。この凹み17´は、二次ボビン
2の開口端の中央が凹むものでその周囲は表面張力によ
りほゞそのままの状態を保持することですり鉢状とな
る。
【0052】二次ボビン2にだけ軟質エポキシ樹脂17
を個別に充填させることで、二次ボビンの開口側の樹脂
17表面に凹み17´が生じるが、軟質エポキシ樹脂1
7の凹んだ部分17′によって、センターコア1の軸方
向に集中した押し付け力が作用し、積層鋼板で構成され
たセンターコア1で生じる磁気振動等を有効に抑制で
き、耐振性をより一層向上させる。ただし凹み17′を
そのままにしておくと、コイルケース上部(コイル部上
部)に点火回路のケース9(図1参照)を配置した場合
に、センターコア1と点火回路ケース9内の金属ベース
37との間に空隙が残ることになり、次のような不具合
が生じる。
【0053】センターコア1は、絶縁されている場合、
図8に示すように二次コイル3の中間電位と考えられる
(例えば二次コイル発生電圧を約30kVとすると、セ
ンターコアはその中間電位の15kVとなる)。一方、
センタコア1上方に位置する回路の金属ベース37は接
地されているため、センターコア1・金属ベース37に
も空隙があると電界集中が生じ絶縁破壊が生じてしま
う。
【0054】本例では、前記の軟質エポキシ樹脂17の
加圧成形により生じた凹部(空隙)17´を軟質エポキ
シ樹脂よりも絶縁性の高いエポキシ樹脂8により埋める
ので、上記の電界集中を大幅に緩和しセンターコア1・
金属ベース37間の絶縁性を保証する。
【0055】特に、絶縁用樹脂17の上面に形成される
凹み17´が半球状を呈していることから、エポキシ樹
脂(成形樹脂)8により埋められる凹み17´にはコー
ナが存在しておらず、したがってこの凹み17´に成形
樹脂8を充填してもボイドが残りにくくなり、凹み界面
での軟質エポキシ樹脂17とその上に注入されるエポキ
シ樹脂との密着性を良好に保持できる。このエポキシ樹
脂8と軟質エポキシ樹脂17の界面(半球状の曲面凹み
17´面)は、共にエポキシ系であるが故に接着性が良
い。
【0056】ちなみに、本例で用いる軟質エポキシ樹脂
17の絶縁性能(破壊電圧)は温度により変化(温度上
昇に伴い絶縁性能は低下)するが、10〜16kV/m
mであり、エポキシ樹脂8は16〜20kV/mmであ
る。
【0057】軟質エポキシ樹脂17は、〔二次ボビン2
の許容応力σ0>(−40℃−軟質エポキシ樹脂17の
ガラス転移点Tg)での発生応力σ〕の条件を満足する
ガラス転移点Tgを有する。ここでは一例として、軟質
エポキシ樹脂17として、ガラス転移点Tgが−25℃
のものを例示する。
【0058】例えば、軟質エポキシ樹脂17のガラス転
移点がTg=−25℃である場合には、二次ボビン2が
130℃から−40℃に温度変化する環境に置かれて運
転停止後の温度降下により収縮した時に、130℃〜−
25℃の範囲では二次ボビン2の収縮が軟質エポキシ樹
脂17の弾性吸収により受け入れられるため二次ボビン
2は実質無応力である。−25〜−40℃の温度範囲で
は軟質エポキシ樹脂17がガラス状態に移行し、それに
より二次ボビン2の収縮(変形)が阻止されるので、二
次ボビン2に熱応力(σ=E・ε=E・α・T)が発生
する。Eは二次ボビン2のヤング率、εはひずみ、αは
二次ボビンの線膨張係数、Tは温度変化(温度差)であ
る。二次ボビン2の許容応力σ0が発生応力σより大き
い場合には(σ<σ0)には、二次ボビン2は破損しな
い。
【0059】この場合、−40℃〜Tg(Tgは例えば
常温以下)の範囲では、二次ボビン2・センターコア1
間の軟質エポキシ17がガラス転移点を下回り硬質化し
て熱衝撃緩和作用がなくなったとしても、その温度範囲
が狭いために、熱衝撃が弱まり、二次ボビン・センター
コア間の健全性を維持できる。Tgは−25℃に限定さ
れるものではない。
【0060】本例では、二次ボビン2は、常温(20
℃)〜150℃の範囲の線膨張係数αが成形時の流動方
向,直角方向を含め10〜45×10~6の熱可塑性合成
樹脂であり、軟質エポキシ樹脂17はガラス転移点が−
25℃以上でヤング率が1×108(Pa)以下の弾性
を有するものであり、この条件の下で130℃〜−40
℃の温度変化を繰り返し与えて二次ボビン2の観察した
ところ、二次ボビン2に損傷は発生しておらず、健全性
が維持されていることが確認された。すなわち、上記条
件の下で、二次ボビン2の許容応力σ0はσより大きい
ことが確認された。 PPSの比誘電率は常温で3.
8、変性PPOは3.0、エポキシ樹脂(可撓性エポキ
シ樹脂を含む)は3.5であるため、二次ボビン2にP
PSを使用した場合には、二次ボビンと二次ボビン・セ
ンターコア間に介在する絶縁用樹脂との比誘電率を変性
PPOに比べて、より一層接近させ(ほぼ同等)とする
ことができる。二次ボビンと二次ボビン・センターコア
間に介在する絶縁用樹脂との比誘電率の差を小さくする
ほど、内二次コイル構造の二次ボビン・センターコア間
の電界集中を緩和することができる。
【0061】次にエポキシ樹脂8は、次のようにして充
填される。
【0062】図1に示すように、コイルケース6と結合
されるコネクタ付き回路ケース9は、その底部9Eがコ
イルケース6上部に連通して該コネクタ付き回路ケース
9の内部からコイルケース6の二次コイル3・一次ボビ
ン4間及び一次コイル5・コイルケース6間にかけてエ
ポキシ樹脂8が真空注入され,大気圧で加熱硬化され
る。
【0063】二次コイル3と一次ボビン4との間、一次
コイル5とコイルケース6との間はエポキシ樹脂8によ
り絶縁性が保証されている。エポキシ樹脂8は軟質エポ
キシ樹脂17よりも硬質である。
【0064】エポキシ樹脂8は、耐熱ストレス(−40
℃と130℃の繰り返しストレス)と高温下の耐高電圧
特性等を向上させるため、石英粉と溶融ガラス粉を合計
で50%〜70%混合され、硬化後のガラス転移点が1
20℃〜140℃で、常温(20℃)〜ガラス転移点の
範囲の線膨張係数が18〜30×10~6の範囲にある材
料で構成し、上記一次ボビン4,二次ボビン2同様にコ
イル部の金属との線膨張係数差を極力小さくしている。
エポキシ樹脂8は、0.3mm以下は熱ひずみによりク
ラックが発生するので、機械強度の面からすれば0.4
mm以上必要である。また、30kV程度の耐電圧性を
保つには厚みが0.9mm程度必要であり、本例では二
次コイル3と一次ボビン4との間の絶縁用エポキシ樹脂
8の層厚を0.9〜1.05(mm)程度としている。
【0065】なお、一次コイル5とコイルケース6との
間に充填されるエポキシ樹脂8は耐電圧性が要求され
ず、クラック発生が許容されるので、層厚が0.4mm
以下でも良く、本例では、0.15〜0.25mm程度
としている。
【0066】このエポキシ樹脂8により既述したように
軟質エポキシ樹脂17の凹み17´が埋められている。
【0067】二次コイル3・センタコア1間の絶縁層
は、軟質エポキシ樹脂17と二次ボビン2とで構成され
るが、これらの絶縁樹脂の肉厚は次のような配慮の下に
設定した。
【0068】軟質エポキシ樹脂17は、ボビン材料に比
較して絶縁性が低いため極力薄くして、その分、絶縁性
の高い二次ボビン2の肉厚を増やしたいが、センターコ
ア1に対する線膨張係数差吸収のため,且つボビン材や
コアの量産上の寸法ばらつきやボイドレス真空注型の円
滑化を保証するため、最小限0.1mm必要である。例
えば、0.1〜0.15±0.05(mm)とする。
【0069】一方、二次ボビン2の肉厚は、ボビン材を
PPSとした場合、成形性及び機械強度〔熱ストレス
(熱ひずみ)に対してクラックが発生しない強度〕から
0.5mm以上必要である。また、絶縁性能からみれ
ば、二次ボビン2の必要肉厚は次のようになる。
【0070】図8に示すように、例えば二次コイル3の
発生電圧が30kV(高圧側電圧)とすると、センター
コア1は非接地のため中間電位30/2=15kVと考
えられる。センタコア1から二次コイル3の低圧側を見
ると−15kVの電位差,センタコア1から二次コイル
3の高圧側を見ると+15kVの電位差となる。したが
って、二次ボビンの耐電圧は約15kVで良いと考えら
れる。一方、上記ボビン材としてPPSを用いた場合に
は絶縁性能は20kV/mm程度であるから、上記電圧
15kVに耐えるには、0.75mm以上となる。
【0071】二次ボビン2の耐電圧は二次コイル3の出
力によりさまざまであるが、本例では、二次コイル3の
出力電圧を25〜40kVの範囲を考えて、耐電圧(二
次コイルの出力電圧/2)の要求を満たす範囲の条件の
下で、0.5〜1.2mmの範囲で定めるものとする。
【0072】なお、ハイフィラーPPSのヤング率は変
性PPOの2倍である。したがって、二次ボビン2の材
料を上記PPSに代えて変性PPOとした場合には、機
械強度を満足させるためには、肉厚をPPSの2倍以上
必要であり、1.0mm以上は必要である。変性PPO
の絶縁性能は16〜20kV/mmである。
【0073】換言すれば、機械強度の面からみれば、二
次ボビン2にハイフィラーPPSを用いた場合、変性P
POに比べて1/2の厚さにすることができる。
【0074】また、二次ボビン2の肉厚については、一
律ではなく、二次ボビン2は有底状を呈して、二次コイ
ル低圧側が開口されて絶縁用樹脂の注入側としてあり、
且つ二次ボビン2には、図6に示すように、その内径に
二次コイル低圧側が大きく二次コイル高圧側に向かうに
つれて小さくなる内径差のある勾配をつけて、二次コイ
ル低圧側の二次ボビン肉厚が薄く二次コイル高圧側に向
けて二次ボビン肉厚が厚くなるボビン構造としてある。
【0075】図6は上記の二次ボビン2の肉厚の勾配を
見易くするため、作図上誇張しているが、その寸法は、
例えば、二次ボビン外径をΦ10〜12mmとした場
合、軟質エポキシ樹脂注入側(二次コイル低圧側)の二
次ボビン肉厚が0.75±0.1(mm)、この樹脂注
入側と反対側(二次コイル高圧側)が0.9±0.1
(mm)としてある。
【0076】二次ボビン2の肉厚の仕様を上記のように
設定することで、次のような利点がある。
【0077】すなわち、二次ボビン2・センターコア1
間に充填される軟質エポキシ樹脂17の隙間は、既述し
たように二次ボビン2の肉厚確保等の要求からできるだ
け薄肉化したく、最も小さい隙間が0.1〜0.15±
0.05(mm)程度であり、これを軟質エポキシ樹脂
注入側と反対側の二次ボビン・センタコア間の隙間l1
とすれば、軟質エポキシ樹脂注入側の二次ボビン・セン
タコア間の隙間l2は上記2次ボビンの肉厚勾配を設け
ることで0.2〜0.4(mm)となり、したがって、
その注入の間口を広げて樹脂注入の円滑化を図り、しか
も樹脂注入の間口を広げたとしても、センターコア1・
二次ボビン2間のギャップは徐々に狭まるので、軟質エ
ポキシ樹脂17の薄層化を極力保持する。
【0078】また、点火コイル装置のコイル部(コイル
ケース6及びその中に収納されるコイル,コア等より成
る部分)は、図9に示すように、その二次コイル高圧側
がシリンダヘッド100の点火プラグ22と直結される
ため、エンジン燃焼の熱的影響を直かに受けやすく(コ
イルケース6の外装表面温度は、点火プラグ22と直結
される部位が140℃,二次コイル高圧側付近が130
℃、二次コイル低圧側付近はシリンダヘッドの外側にあ
り,また二次コイル高圧側との距離は80〜105mm
程度あるために110℃,その上の点火回路ケースは1
00℃程度である)。
【0079】したがって、二次ボビン2のうち二次コイ
ル高圧側の方が二次コイル低圧側よりも高温状態になっ
て絶縁性能が低下したり〔例えば二次ボビン2の材料と
なるPPSの場合、耐電圧(破壊電圧)は常温(20
℃)で20kv/mm、100℃で18kv/mm、1
20℃で17kv/mmである)、また、熱応力が大き
くなることが充分予想されるが、本例では、二次コイル
低圧側の二次ボビン肉厚を薄く二次コイル高圧側に向け
て二次ボビン肉厚を厚くしたので、その厚み増加分だけ
二次コイル高圧側の絶縁性能及び耐熱応力が高まり、上
記のエンジン燃焼の熱的影響に対処できる。
【0080】二次ボビン2,一次ボビン4の構造及びそ
のボビン組み(コイル組み)については、後述する。
【0081】コイルケース6は、耐熱性などの点からP
PS,変性PPO,PBT等の熱可塑性樹脂、或いはP
PSに変性PPOを配合剤として、例えば、約20%配
合した混合樹脂で成形される(混合態様は海島構造で海
がPPS、島が変性PPOである)。
【0082】このうち、PPSに変性PPOを配合剤と
して混合したコイルケース6は、エポキシ樹脂8との密
着性を良好にし耐電圧性に優れ、また耐水性,耐熱性に
優れている(PPSは耐熱性,耐電圧性,耐水性に優れ
るが、単独ではエポキシ樹脂との密着性に劣り、それを
補うためにエポキシ樹脂との密着性の良い変性PPOを
配合することで密着性が向上した)。コイルケース6の
肉厚は0.5〜0.8mm程度である。なお、コイルケ
ース6となる熱可塑性樹脂にも、ボビン材同様にコイル
部の金属との線膨張係数差をできるだけ小さくするため
に、フィラーとしてガラス繊維及びタルク等の無機質粉
が適宜配合されている。
【0083】なお、上記のPPSに変性PPOを配合剤
として混合したものは、上記利点を有することから、前
述の一次ボビン及び二次ボビンにも利用してもよく、こ
のようにすれば、PPS同様に耐熱衝撃性,絶縁性能,
薄肉化を満足させ、しかも、エポキシ樹脂8や可撓性エ
ポキシ樹脂17との密着性を高めることができる。
【0084】コイルケース6の上部に配置したコネクタ
9B付き回路ケース(点火制御ユニットケース或いはイ
グナイタケースと称せられることもある)9は、コイル
ケース6と別成形されたものであり、PBT或いはコイ
ルケース6と同様の材料で成形されている。
【0085】回路ケース9は、点火制御の駆動回路(点
火回路)のユニット40を収容すると共に、コネクタ部
(コネクタハウジング)9Bと一体成形されている。回
路ケース9及びそのコネクタ端子等については、後述す
る。
【0086】コイルケース6の外側面に装着されるサイ
ドコア7は、センターコア1と協働して磁路を構成する
もので、0.3〜0.5mm程度の薄い珪素鋼板或いは
方向性珪素鋼板を管状に丸めて成形される。サイドコア
7は磁束の1ターンショートを防ぐため、サイドコア7
円周上において少なくとも1箇所は軸方向に切れ目を設
けている。本実施例では、サイドコア7は、珪素鋼板を
複数枚(ここでは2枚)重ねて、うず電流損を減らして
出力向上を図っているが、1枚で構成してもよく、2枚
以上であってもよく、プラグホール等の材質(アルミ,
鉄等)に応じて適宜枚数設定される。
【0087】本例のペンシルコイルのコイル部は、例え
ばコイルケース6外径がΦ22〜24mm程度であり、
センターコア1の面積が50〜80mm2、コイル部の
長さ(ボビン長)が86〜100mm、二次ボビン外径
Φ10〜12mm,一次ボビン外径Φ16〜18mm程
度のものであり、このような仕様において、前記のコイ
ル部の構成要素の層厚等を決定したものである。なお、
本例では、一次ボビン4及びコイルケース6の肉厚につ
いても、樹脂注入側が薄くその反対側が厚くなるように
肉厚差0.15mm程度設けてある。
【0088】二次ボビン2の上部には、ボビンヘッド2
Aが二次ボビン2と一体に成形してある。ボビンヘッド
2Aは一次ボビン4の上端よりも頭出しされるように設
定されている。
【0089】図10に、二次ボビン2に二次コイル3を
巻線した工程後のボビンヘッド2A付近の拡大斜視図を
示し、図11に図10の二次ボビン2を一次ボビン4に
内挿した時のボビンヘッド2A付近の拡大斜視図を示
す。なお、図1では、ボビンヘッド2Aについては部分
断面して、断面しない部分についてはボビンヘッド外側
面の一部を表わしている。
【0090】本例のボビンヘッド2Aは長方体の箱形を
呈し、ボビンヘッド2Aの外側面に、点火コイルの製造
過程において二次ボビン2を巻線機の回転シャフト62
(図18参照)に挿入セットした時に回転シャフト側に
設けたボビン位置決め兼用の回り止め64に係合する係
合部2Dが設けてある。
【0091】本例の係合部2Dはボビン軸方向に延びる
凸条を呈しており、回転シャフト62側の回り止め64
はシャフト62の軸方向に平行な2本のピン64をカッ
プリング63の一端面に配設してなり、このピン64間
に凸条係合部2Dが嵌まるようにしてある。
【0092】ボビンヘッド2Aの内部には、上部開口部
を通して図1に示すようなマグネット16,軟質エポキ
シ樹脂17が充填される。また、二次ボビン2側である
にもかかわらず、そのボビンヘッド2Aの外側面に一次
・二次コイル兼用のコイル端子18と一次コイル端子1
9とが設けてある。
【0093】ここで、一次・二次コイル兼用端子18
は、図9(b)の兼用端子に相当する。すなわち、
二次コイル3の一端3aを取り出して電源に接続するた
めのコイル端子〔図9(a)の回路における端子に相
当する〕と、一次コイル5の一端5aを取り出して電源
に接続するためのコイル端子〔図9(a)の回路におけ
る端子に相当する〕としての機能をなす。
【0094】一方、一次コイル端子19は、図9(a)
の回路及び図9(b)における端子に相当し、一次コ
イル5の他端5bを取り出して点火回路ユニットのパワ
ートランジスタ(点火コイル駆動素子)39のコレクタ
に接続される。
【0095】図10,図11に示すように一次・二次コ
イル兼用端子18は、帯状の金属板で成形され、その取
付脚部18cを介して二次ボビンヘッド2Aの一外側面
に設けたポケット20に圧入固定される。その一端1
8′はLの字状に立ち上げ成形されて、この立ち上げ部
分18′が図1,図12に示すように電源入力用のコネ
クタ端子31の一端31bに溶接等で接合される。な
お、図12は、点火コイル装置からコイルケース6及び
点火回路ケース9を取り去って、一次コイル5を巻き回
した一次ボビン4,二次コイル3を巻き回した二次ボビ
ン2のボビン組み(一次・二次コイル組み)と二次ボビ
ンヘッド2A上に設置される点火回路ユニット(イグナ
イタと称せられることもある)40との結合関係を示す
斜視拡大図であり、図12中における点火回路ユニット
40及びその引き出し端子32,34,36は実際には
図3に示すようにコネクタ9B付きの回路ケース9内に
収容され、また、コネクタ端子31,33,35は回路
ケース(樹脂ケース)9中にその一部が埋設されてい
る。
【0096】一次・二次コイル兼用端子18は金具単体
より成り、図10及び図11に示すように二次コイル3
の一端3aを引き出してからげる(巻き付ける)部分1
8aと、一次コイル5の一端5aを引き出してからげる
部分18bとが一体成形してあり、このからげ部18
a,18bでコイル一端3a,5aがそれぞれからげら
れた後に半田付けされる。二次ボビン2の上端フランジ
(鍔部)2B′には二次コイル一端3aを端子金具18
に導くための切欠き2Cが形成してあり、同様に一次ボ
ビン4の上端フランジ4Aにも一次コイル一端5aを端
子金具18に導くための切欠き4Bが形成してある。
【0097】一次コイル端子19も帯状の金属板で成形
され、二次ボビン2の上記ポケット20のある位置と反
対側の外側面に設けたポケット(図示省略)に圧入固定
され、また、その一端19′がLの字状に立ち上げ成形
され、且つ水平に張り出す腕部19″が一次・二次コイ
ル兼用端子18側に向けて延設されて先端部19′が端
子18側の先端部18′と近接位置で平行に並ぶように
配置されている。この一次コイル端子19は、図12に
示すように点火回路ユニット40側の引き出し端子(リ
ード端子)32に溶接により接続される。引き出し端子
32は、図1,図3に示すように点火回路ユニット40
のパワートランジスタ39のコレクタ側にワイヤボンデ
ィング42を介して電気的に通じている。
【0098】図15に示すようにコネクタ端子(コネク
タピン)には、既述したコネクタ端子31の他にコネク
タ端子33,35がある。
【0099】ここで、コネクタ端子31,33,35と
点火制御の駆動回路との関係について説明する。
【0100】図4は点火コイル装置21の回路ケース9
に搭載される点火回路41と一次コイル5,二次コイル
3との電気配線図である。
【0101】一次コイル5の一端5aと二次コイル3の
一端3aは、二次ボビン2に設けた一次・二次コイル兼
用端子18及びコネクタ端子31を介して直流電源の+
側に接続される。一次・二次コイル兼用端子18は、図
9(a)の点火コイル原理図で述べた一次・二次コイル
兼用端子に相当する。
【0102】一次コイル5の他端5bはダーリントン接
続されたパワートランジスタ39のコレクタ側に二次ボ
ビンに設けた一次コイル端子19及び点火回路ユニット
40に設けたリード端子32を介して接続される。一次
コイル端子19は先に述べた一次コイル端子に相当す
る。
【0103】二次コイル3の他端3bは、高圧ダイオー
ド10を介して点火プラグ22に接続される。高圧ダイ
オード10は、二次コイル3で発生した高電圧を図1に
示す板ばね11,高圧端子12,スプリング13を介し
て点火プラグ22に供給する場合に過早着火を防止する
役割をなす。
【0104】図示されないエンジンコントロールユニッ
トで生成された点火制御信号はコネクタ端子33及び点
火回路ユニット40に設けたリード端子34を介してパ
ワートランジスタ39のベースに入力される。この点火
制御信号に基づいてパワートランジスタ39がオン・オ
フ制御されて一次コイル5が通電制御され、一次コイル
5の遮断時に二次コイル3に点火用の高圧電圧が誘起さ
れる。
【0105】パワートランジスタ39の二段目トランジ
スタのエミッタ側は点火回路ユニット40に設けたリー
ド端子36及びコネクタ端子35を介してアースに接続
されている。
【0106】以上のことから、図3及び図12に示すよ
うに、一次・二次コイル兼用端子18の一端18´とコ
ネクタ端子31の一端31bとが溶接により接続され、
一次コイル端子19の一端19´と点火回路ユニット側
のリード端子32の一端とが溶接により接続され、コネ
クタ端子33と点火回路ユニット側のリード端子34の
一端同士が溶接により接続され、コネクタ端子35とリ
ード端子36の一端同士が溶接により接続される。
【0107】なお、図4において、71は点火コイルの
通電制御により発生するノイズを防止するためのノイズ
防止用コンデンサで、電源線とアース間に配置され、本
例では点火回路ユニットを収容するケース外部に配置し
てある。例えば、ノイズ防止用コンデンサ71はエンジ
ンルーム内の配線(エンジンハーネス)のアースポイン
トに配置してある。
【0108】点火信号入力端子34及びパワートランジ
スタ39のベース間に設けた抵抗72、及び抵抗72・
アース間に設けたコンデンサ73は、サージ保護回路を
形成する。トランジスタ74,抵抗76及びツェナーダ
イオード75は点火制御系の過電流制限回路を形成す
る。77は一次電圧制限用ダイオード、78は逆電流印
加時の保護回路を構成するダイオードである。
【0109】図1,図3,図12に示すように、点火回
路ユニット40側のリード端子32,34,36は、箱
形にプレス成形されたアルミ製の金属ベース37に接着
された合成樹脂製の端子台38上に固定されている。ま
た、上記した端子18・31と、19・32と、33・
34と、35・36とは、それらの接合部が同一方向に
向いて平行に配列されることで、溶接を行い易くしてあ
る。
【0110】点火回路ユニット40は、上記した抵抗7
2,コンデンサ73,トランジスタ74,ツェナーダイ
オード75,抵抗76,ツェナーダイオード77,ダイ
オード78より成るハイブリットIC回路41と、パワ
ートランジスタ39とを金属ベース37内に配設して成
り、金属ベース37にはシリコンゲルが充填されてい
る。
【0111】点火回路ユニット40を収容する回路ケー
ス(イグナイタケース)9は、上記したコネクタ端子3
1,33,35を収容するコネクタハウジング9Bと一
体にモールド成形される。
【0112】図1,図3に示すように回路ケース9は、
点火回路ユニット40を収容する個所がケース側壁9A
により囲んでおり、また、点火回路ユニット40は図3
に示すように側壁9Aに囲まれるスペースの床面(内)
9E上に位置決め突起9Dに案内されて載置されてい
る。床面9Eの中央はコイルコース6側の開口面に臨む
ように開口している。
【0113】回路ケース9は、コイルケース6と別個に
成形され、コイルケース6の上端に嵌合接着により結合
される。この結合状態は、図3に示すようにコイルケー
ス6の上部外周に設けた突起6Aが回路ケース9側の凹
溝9Fに周り止め状態で係合する。
【0114】上記結合状態で回路ケース9内に収容され
た点火回路ユニット40の金属ベース37が二次ボビン
2のヘッド2A直上に配置されると共に、回路ケース9
のコネクタ端子31の一端31´及びリード端子32の
一端がそれぞれ二次ボビンヘッド2A側に設けた一次・
二次コイル兼用の端子18及び一次コイル端子19の各
一端と回路ケース9内で重なり合うように設定されて、
これらの重なり合う端子同士の溶接が容易に行われるよ
うに配慮されている。また、点火回路ユニット40をセ
ットした時には、点火回路ユニット40側の引出し端子
34及び36もそれぞれ対応のコネクタ端子33,35
と自ずと位置合わせされる。
【0115】また、回路ケース9は側壁9Aの周囲にフ
ランジ9Cを形成しており、このフランジ9Cの一部に
点火コイル装置21をエンジンカバーに取付けるための
ねじ孔25が配設してある。回路ケース9の内部は絶縁
用エポキシ樹脂43で覆われている。
【0116】次に二次ボビン2及び一次ボビン4の底部
側の構造について図13及び図14により説明する。
【0117】図13は、一次ボビン4に二次ボビン2・
二次コイル3を内挿する場合の底部付近の斜視図を示
す。図14には、一次ボビン4,二次ボビン2の底面図
及びそれらを組みにした状態の底面図が示してある。
【0118】図13,図14に示すように、二次ボビン
2は、底部が閉じて有底円筒状に形成され、その底部外
面に高圧ダイオード10を取り付けるための突起2Eが
設けてある。二次コイル3の一端3bは、図1に示すよ
うに高圧ダイオード10及び板ばね11を介して高圧端
子12に接続される。
【0119】一次ボビン4の底部は開口しており、二次
ボビン2を一次ボビン4に内挿すると、高圧ダイオード
10が一次ボビン4の底部開口4′から突出するように
してある。また、一次ボビン4の底部には開口4′を挾
む形で対向する一対の二次ボビン受け4Dが一次ボビン
4の底部側フランジ(底部一端面)4Cよりも下方に突
出するようにして配設されている。
【0120】二次ボビン受け4Dは、二次ボビン2をそ
の鍔部2B(最下端のフランジ)を介して受け、ボビン
受け4D同士の対向辺は直線で残りの輪郭が円弧状をな
した形で、対向辺の中心から半径方向に向けて凹部(溝
部51)が設けてあり、二次ボビン2の底部側外周に設
けた凸部52と凹凸係合することで、二次ボビン2と一
次ボビン4との相対的な回り止めを図っている。
【0121】また、一次ボビン4の底部フランジ4Cに
は、下方に向けた一対の突起53が設けてあり、この突
起53は図18に示すようにコイルケース6の内周一部
に設けた一次ボビン受け6Aの位置決め用の溝6Bと係
合することで、コイルケース6と一次ボビン4との相対
的な回り止めが図られている。
【0122】二次ボビン2の底部2は、図14(b)に
示すように、略円形であるが左右に僅かに平面をなすカ
ット面2Gを有し、このカット面2Gが図14(d)に
示すように二次ボビン受け4Dの対向辺(直線)に適合
して一次ボビン4の底部開口4′に位置するようにして
ある。また、カット面2Gの位置に上記凸部52が設け
てある。
【0123】二次ボビン受け4Dに形成した凹部51に
は、図14(c)に示すようにその上端にテーパ51′
を設けて凹部51の間口を広げることで、二次ボビン2
の内挿時に凸部52が凹部51と多少位置ずれしてもテ
ーパ51′に案内されて入り易くしている。
【0124】なお、一次ボビン4側の底部に設けた2次
ボビン受け4Dを、底部開口4′を挾んで対向配設し且
つ一次ボビン底部より下方に突出させることで、一次ボ
ビン4底部に二次ボビン受け2Dの無い側面スペース
4″を確保することができる。この側面スペース4″を
介して図14(d)の矢印Pに示すように絶縁樹脂8′
の注入時に一次ボビン4・二次ボビン2(2次コイル
3)内外周間の隙間とコイルケース6・一次ボビン4
(一次コイル5)内外周間の隙間との間の樹脂流通性を
良好にして、一次ボビン4底部の注入絶縁樹脂中の気泡
が抜けるようにしてある。
【0125】二次ボビン2の底部にはマグネット15及
び発泡ゴム45が積層状に配置され、その上にセンター
コア1が内挿されている。このマグネット15及び2次
ボビンヘッド2Aに設けたマグネット16は、磁路(セ
ンターコア1,サイドコア7)中に反対方向の磁束を発
生させることにより、点火コイルをコアの磁化曲線の飽
和点以下で動作させることができる。
【0126】発泡ゴム45は、点火コイル装置21の絶
縁樹脂8の注入時及び使用時の温度変化に伴うセンター
コア1と二次ボビン2の熱膨張差を吸収する(熱応力緩
和)。
【0127】コイルケース6の下端には、点火プラグ2
2(図5参照)を挿入するための筒壁6′がスプリング
13を囲むようにして形成される。この筒壁6′はコイ
ルケース6と一体成形され、筒壁6´に点火プラグ22
を絶縁しつつ装着するための可撓性絶縁材で形成したブ
ーツ例えばゴムブーツ14が取付けてある。
【0128】図5に上記構成より成る点火コイル装置2
1をエンジンのプラグホール23内に装着した状態を示
す。
【0129】点火コイル装置21は、そのコイル部がエ
ンジンのヘッドカバー(シリンダヘッドを覆うカバー)
24を貫通して、ガイドチューブ23Aを通してプラグ
ホール23B内に挿入され、ゴムブーツ14が点火プラ
グ22の周囲に密着して、点火プラグ22の一部がコイ
ルケース6の一端筒壁6′に導入されスプリング13を
圧接することで、点火コイル装置21がプラグホール2
3B内で点火プラグ22に直結する。点火コイル装置2
1は、回路ケース9に設けたねじ孔25(図1参照)及
びエンジンカバー24に設けたねじ孔26をねじ27に
より締め付け、且つコイルケース6上部に設けたシール
ゴム28をエンジンのヘッドカバー24の点火コイル装
置挿通孔周縁に設けた環状凸部29に嵌合させることで
固定されている。
【0130】シールゴム28の内面には、図1に示すよ
うに縦溝92が設けてある。この縦溝92はシールゴム
28を点火コイル装置21と共に装着する時に、シール
ゴム28のフランジ(エンジンカバー側の凸部29に嵌
まり込む部分)の中の空気を逃がしてシールゴム28の
取付作業を容易にする機能と、エンジンカバー24内を
大気と連通させて大気圧状態を保持することにある。後
者の機能は、仮にこの溝92がないと、エンジン熱によ
り高温状態にあるエンジンヘッドカバー24内がエンジ
ンカバーに水がかかって急に冷却された時に負圧状態に
なり、その結果、シールゴム28が存在してもその負圧
力によりシールゴム28周りにたまった水を引き入れて
しまうので、そのような負圧にならないようにするため
のもので、溝92の大気取り入れ口は、エンジンカバー
上のたまり水(車が道路上の水等をはねて侵入した水が
エンジンカバー上に付着したもの)が流入しないように
ある程度エンジンカバーより高い位置に設定してある。
【0131】本例では、エンジンヘッド(シリンダヘッ
ド)100のヘッドカバー24をプラスチック製(例え
ば6ナイロン,66ナイロン)として、これに独立点火
形の点火コイル装置を組み付けた場合であっても、コイ
ル部がプラグホール23A及びガイドチューブ23Bに
内挿されることで点火コイルの重心Wをヘッドカバー2
4より低位置,ここでは点火コイルガイドチューブ23
A内に移行させる(重心Wはペンシルコイルのコイル部
の長さを85〜100mmとした場合、そのコイル部上
端から50〜70mmだけ下の位置にある)。且つ、ペ
ンシルコイルのうち比較的重量の軽いコネクタ付き回路
ケース9をプラスチック製のヘッドカバー24の外面上
に固着(たとえば、ねじ止め27)し、この固着部とプ
ラグホールのプラグ結合位置で軸方向の2点支持を図れ
るので、点火コイル装置全体の振動を小さくし、ひいて
はプラスチックヘッドカバー24に与える点火コイル装
置の振動を抑制し、プラスチックヘッドカバーの軽量
(薄肉),簡素化を図りつつ独立点火型コイル装置の装
着を実現することが可能になる。
【0132】次に上記構成より成る点火コイル装置21
を製造する場合の手順について図16,図17により説
明する。
【0133】図16に示すように、二次ボビン2に二次
コイル3を巻き回して二次コイルの一端3aを一次・二
次コイル兼用端子18に接続する。この接続はコイル一
端3aを端子18に巻き付け(からげ)半田付けするこ
とで行われる。また、二次コイル3の他端3bも高圧側
である二次コイル端子(ここでは高圧ダイオード10)
に接続される。次いで、導通試験が行われる。
【0134】二次コイル3が巻線された二次ボビン2は
一次ボビン4に内挿固定され、この状態(一次,二次ボ
ビン重ね状態)で、一次ボビン4に一次コイル5を巻き
回すと共に、一次コイルの一端5aを上記の一次・二次
コイル兼用端子18に接続し、一次コイルの他端5bを
一次コイル端子19に接続する。これらの接続は、コイ
ル巻き付けと半田付けにより行われる。この場合、一次
・二次コイル兼用端子18と一次コイル端子19を二次
ボビン2側に設けたとしても、端子18,19は二次ボ
ビンヘッド2Aと共に1次ボビン4の一端より外に位置
するため、一次コイル5の両端5a及び5bを容易に端
子18,19に導いて上記からげ及び半田付け作業を行
うことができる。次いで、一次コイルの導通試験が行わ
れる。
【0135】次いで板ばね11(図17参照)を高圧ダ
イオード10と接続されるように高圧ダイオード10の
リード端子に結合させた後、二次ボビン2内に発泡ゴム
45,マグネット15,センターコア1,マグネット1
6を内挿し、その後、二次ボビン2内に軟質エポキシ樹
脂17を注入し硬化させる。
【0136】ここで、二次コイル3の巻線工程と一次コ
イル5の巻線工程に使用する巻線機については図示省略
するが、基本的には回転シャフトにボビンをセットし
て、ボビンを回転させてエナメル線を巻き回すものであ
るが、その応用例としては、種々の態様が考えられる。
【0137】一つは、一台の巻線機に一次コイル用のエ
ナメル線リールと二次コイル用のエナメル線リールとを
備え、且つこれらのリールからそれぞれのエナメル線を
引出して回転シャフトの周辺で巻線及びからげに必要な
往復動作,旋回動作等を行うハンド機構とを備えて、巻
線機一台で一次コイル,二次コイルの巻線を行うものが
考えられるが、この場合、本実施例に用いる二次ボビン
構造によれば、巻線機の回転シャフトについても共用化
を図ることができる。
【0138】図18に上記巻線機の回転機構を示す。回
転機構は回転シャフト62とモータ61とに大別され、
回転シャフト62はシャフト62の一部を成すジョイン
ト(カップリング)63を介してモータ61の出力シャ
フト62´(図19参照)に着脱自在に結合され、ま
た、回転シャフト62が出力シャフト62´と一体に回
転するジョイント構造としてある。回転シャフト62
は、その先端からシャフト途中位置までスリット65が
切られて割ピン状に形成され、二次ボビン2の挿入前の
状態では回転シャフト62の割ピン部の少なくとも一部
62Aが二次ボビン2の内径よりも拡がり、且つ先端に
二次ボビン2を案内するためのテーパ62Bが形成され
ている。また、回転シャフト63の一部(ここではジョ
イント63の一端面)には、二次ボビンヘッド2Aに設
けた係合部2Dと係合するボビン位置決め兼回り止め用
のピン64が2本配設され、このピン64間に二次ボビ
ンヘッド2A側の係合部2Dが係合するようにしてあ
る。
【0139】上記した共用の巻線機を使用する場合に
は、図18(a)(b)に示すように、まず二次ボビン
2を巻線機の回転シャフト62にシャフトテーパ62B
を利用して押し込むと、シャフト62の割ピン部62A
が径が小さくなる方向に弾性変形して、二次ボビン2が
回転シャフト62に挿入セットされ、このとき割ピン部
62Aが自身の弾性復帰力によりボビン2の内面に圧接
し、且つ二次ボビンヘッド2Aに設けた係合部2Dが回
転シャフトの回り止めピン64間に係合することで、二
次ボビン2の両端が回転シャフト62上で強固に固定さ
れる。
【0140】したがって、二次巻線時に二次ボビン2を
回転シャフト62で片持ちさせて回転シャフト62と一
体的に二次ボビン2を高速回転させても、二次ボビン2
に滑りや回転ぶれが生ぜず、高精度の精密巻きが要求さ
れる二次コイル3の巻線を可能にする。
【0141】二次コイル3の巻線及び二次コイル端のコ
イル端子18へのからげ(半田付けを含む)を実行した
後、図18(c)に示すように回転シャフト62に二次
ボビン2を取り付けたまま二次ボビンの外側に一次ボビ
ン4をボビン同士の回り止め52,51(図13,図1
4に示す)を介して嵌め込み、且つ図示しないボビン支
持具で一次ボビン4の一端(二次ボビンの高圧ダイオー
ド10が位置する側)を回転自在に支えて、一次ボビン
4を二次ボビン2と一緒に回転させて該一次ボビン4に
一次コイル5を巻く。
【0142】このような巻線方法のほかに、二次コイル
の巻線機と一次コイルの巻線機とは別々のもので、巻線
用の回転シャフト62だけを図19に示すように着脱自
在にして一次巻線機,二次巻線機に共用させることも可
能である。
【0143】この場合には、まず、回転シャフト62を
図18(a)同様に巻線機(ここでは二次巻線機のモー
タ)に取付けて、図18(b)と同様のセット形態で該
回転シャフト62に二次ボビン2をそのヘッド2Aを介
して挿入セットし、該回転シャフト62と一緒に二次ボ
ビン2を回転させることで二次ボビン2に二次コイル3
を巻き回す。
【0144】その後、該二次ボビン2を取付けたまま回
転シャフト62を二次巻線機から外して(図19参
照)、該回転シャフト62を一次巻線機に取付けると共
に二次ボビン2の外側に一次ボビン4を上記図18
(c)同様にボビン同士の回り止め51,52を介して
嵌め込んで、該一次ボビン4を二次ボビン2と一緒に回
転させて一次ボビン4に一次コイル5を巻く。
【0145】図16に示す一連の工程を経て製作された
コイル組立体は、図17に示すようにコイルケース6及
び回路ケース9の組立体に高圧端子12,板ばね11,
点火回路ユニット40と共に内挿される。ここで、前述
したように一次・二次コイル兼用端子18とコネクタ端
子31が、一次コイル端子19と点火回路ユニット側の
リード端子32が、コネクタ端子33と点火回路ユニッ
ト側のリード端子34が、コネクタ端子35とリード端
子36がそれぞれプロジェクション溶接により接続され
る。
【0146】上記のコイル組立体をコイルケース6に挿
入するに先立ち回路ケース9とコイルケース6との嵌合
・接着がなされ、また、コイル組立体を挿入後にコイル
ケース6にサイドコア7の圧入及びゴムブーツ14の圧
入がなされ、さらにエポキシ樹脂8の注入,硬化が行わ
れる。
【0147】本実施例の主な作用,効果は次の通りであ
る。
【0148】(1)プラグホール内に装着されて過酷な
温度環境にさらされる独立形点火コイル装置であって
も、一次ボビン4及び二次ボビン2の薄肉化を図り、コ
イル部の細径化(小形化)を図りつつ、二次ボビン2・
センタコア1間、二次ボビン2・二次コイル3間、二次
コイル3・一次ボビン4間等の耐熱衝撃を向上させ、ひ
いてはクラック防止及び絶縁性能の向上を図ることがで
きる。特に、一次ボビン、二次ボビンの材料を無機質粉
が50%以上混合されたPPSとすることで、従来の変
性PPOと比較して、引っ張り強度が約1.5倍、線膨
張係数が1倍2程度であるため、割れに対して約3倍向
上される効果があり、耐熱衝撃性に優れた内燃機関用点
火コイルを提供できる。
【0149】(2)さらに内二次コイル構造の二次ボビ
ンの分割巻きのスプールエリアを12〜14区画(段)
にすることで、二次ボビンの鍔部の数(スプールエリア
数)を、各スプールエリアの耐圧負担を軽くすることと
二次ボビンの軸方向の長さの制約や分割コイル巻きの手
間を配慮してそれらの条件が全て妥協できる範囲で設定
することができる。
【0150】(3)センターコア1・二次ボビン2間の
狭隘な隙間に軟質エポキシ樹脂17が円滑に充填される
ことで、製品の品質向上を図り、エンジンの過酷な温度
環境における繰り返し熱ストレスに対するセンターコア
1・二次ボビン2間の耐熱衝撃を高める。
【0151】(4)点火コイル装置のコイル部は、その
二次コイル高圧側がシリンダヘッドの点火プラグ22と
直結されるため、該二次コイル高圧側が最もエンジン燃
焼の熱的影響を受ける。したがって、何らの配慮がない
場合には、二次ボビン2のうち二次コイル高圧側の方が
二次コイル低圧側よりも高温状態になって絶縁性能が低
下したり、熱応力が大きくなる原因となる。本発明で
は、二次コイル低圧側の二次ボビン肉厚を薄く二次コイ
ル高圧側に向けて二次ボビン肉厚を厚くしたので、その
厚み増加分だけ二次コイル高圧側の絶縁性能及び耐熱応
力が高まり、上記のエンジン燃焼の熱的影響に対処でき
る。
【0152】(5)二次ボビン2等のボビン材にPPS
を使用することで、これらのボビン材を変性PPOで成
形する場合に比べて、肉厚を薄くし、しかも、軟質エポ
キシ樹脂17の薄層化を図ることで、その分、他の絶縁
材(二次コイル・一次ボビン間のエポキシ樹脂8)の厚
みを充分に増加でき、コイルモールドの絶縁性,耐熱衝
撃性を高める。特に、装置本体の外径の仕様,一次コイ
ル5及び二次コイル3の内外径等の仕様はほとんど変え
ようがなく、改善の余地が残されているのは、上記の二
次ボビン2の肉厚やセンターコア1・二次ボビン2間の
絶縁樹脂層であり、その意味で当該効果は大きい。
【0153】(6)軟質エポキシ樹脂17のガラス転移
点Tgを該樹脂17の耐熱衝撃性のほかに二次ボビン2
の許容応力との関係で定めることで、内二次コイル構造
のコイル部のうち絶縁性が要求される重要箇所(センタ
ーコア1・二次コイル3間の絶縁層)の耐熱衝撃性と耐
応力性の双方の要求を満足させることができる。
【0154】(7)軟質エポキシ樹脂17,二次ボビン
2,一次ボビン4,エポキシ樹脂8の厚みを合理的な根
拠の下に設定することで、サイズが規格化されたコイル
のセンターコアの占有面積を拡張し、出力向上を図るこ
とができる。
【0155】(8)コイル構成部材の隙間に充填される
軟質エポキシ17の加圧成形によりボイドレス化を図
り、ペンシルコイルの絶縁性の信頼を高めることができ
る。
【0156】(9)二次ボビン2内のセンターコア1,
マグネット15,16等の部品を、軟質エポキシ樹脂1
7の加圧成形によって生じた凹み17′により軸方向に
集中的に抑えて、センターコア等の耐振性を図れる。特
に本例では、絶縁用樹脂17が軟質であっても、上記凹
み17′による集中的に押し付け力がセンターコア1を
介して弾性部材45に作用するので、この凹み17′に
より生じた集中的な軸方向押し付け力と弾性部材45の
反力とでセンターコア1を強力に固定し、センターコア
に生じる磁気振動やエンジンに起因する振動に対する耐
振性を向上させる。また、凹み17′はエポキシ樹脂8
により埋められるので、回路ケース9・センターコア1
間の空隙をなくし、回路ベース37とセンターコア1間
での絶縁破壊を防止できる。
【0157】(10)独立点火型の点火コイル装置をプ
ラスチック製のエンジンヘッドカバーに支障なく装着す
ることを可能にしたので、エンジンの軽量化を図り得
る。
【0158】(11)なお、本実施例のペンシルコイル
では、−40℃/1h(時間)と130℃/1hの繰り
返し熱ストレス試験を行った結果、300サイクル以上
の熱ストレスにおいて耐久性が良好であることを確認し
ている。
【0159】なお、軟質エポキシ17については、これ
に代えてシリコーンゴム,シリコーンゲルの絶縁軟質樹
脂を用いることも可能である。
【0160】本実施例では、その他に次のような効果を
奏する。
【0161】(12)精密巻きが要求される二次コイル
3については予め巻線して、この二次コイル3が巻かれ
た二次ボビン2の外側に一次ボビン4をボビン同士の回
り止めを保証しつつ嵌め込んで、二次ボビン2と一緒に
一次ボビン4を回転させて、一次ボビン4に一次コイル
5を巻くが、この手法によれば、一次コイル5は二次コ
イル3ほどの精密巻きが要求されずしかも巻線が容易な
ので、支障がない。したがって、一次,二次ボビンの組
み(重ね)状態でのコイル巻線作業を可能にする。
【0162】(13)このようなボビン組みの状態での
巻線作業を可能にする結果、一次,二次巻線機の共用
化,或いは一次,二次巻線機の回転シャフトの共用化,
或いは一次,二次巻線機の回転シャフトの型式の統一
(シャフトの互換性)を図ることができる。
【0163】(14)さらに、二次ボビン2に一次・二
次コイル兼用端子18()を設けることで、従来の
ように一次端子と二次端子を渡り線M〔図9(c)
参照〕を介して接続する必要性がなくなり渡り線Mの接
続工程を省略できる。また、上記したようにボビン組み
の状態での一次巻線を保証することで、一次コイル5を
一次ボビン4に仮止めすることなくダイレクトに二次ボ
ビン2側に設けた一次・二次コイル兼用端子18及び一
次コイル端子19に接続することができる。なお、図9
(c)は一次コイルを内側,二次コイルを外側の従来の
外二次コイル構造の組立工程を示すものである。
【0164】(15)一次ボビン4に内挿された二次ボ
ビン2のヘッド2Aを一次ボビン3より頭出しすること
で、上記一次・二次コイル兼用端子18及び一次コイル
端子19を二次ボビン2に設ける場合であっても設置ス
ペースを充分に確保できる。
【0165】(16)回路ケース9をコイルケース6の
上端に嵌合・接着により結合した時に、回路ケース9の
コネクタ端子31の一端31´及びリード端子32の一
端がそれぞれ二次ボビンヘッド2A側に設けた一次・二
次コイル兼用の端子18及び一次コイル端子19の各一
端と回路ケース9内で重なり合うように設定されて、こ
れらの重なり合う端子同士の溶接が容易に行われる。ま
た、回路ユニット40は位置決め部材9Dを介して正確
に位置決めされるので、コネクタ端子33・回路ユニッ
ト側のリード端子34、コネクタ端子34・回路ユニッ
ト側のリード端子36との位置決めも正確になされる。
したがって、端子同士の接合時に位置ずれが生ぜず、作
業性,品質向上を高める。
【0166】(17)一次ボビン4底部に二次ボビン受
け2Dの無い側面スペース4″を確保することで、絶縁
樹脂8の注入時に一次ボビン4・二次ボビン2(二次コ
イル3)内外周間の隙間とコイルケース6・一次ボビン
4(一次コイル5)内外周間の隙間との間の樹脂流通性
を良好にして、一次ボビン4底部の注入絶縁樹脂中の気
泡抜きを良好にし、点火コイルの絶縁性能を向上させ
る。
【0167】次に本発明の第2実施例について図20か
ら図25により説明する。
【0168】図20は、第2実施例に係わる点火装置の
部分断面図(図21のD−D′断面図)である。図中、
第1実施例に用いた符号と同一のものは同一或いは共通
する要素を示す。図21は図20の点火コイル装置を上
面からみた図で、回路ケース9の内部を樹脂充填前の状
態で表わしている。なお、図20のF−F´線断面図は
図2と同様であるため図示省略する。
【0169】本実施例においては、第1実施例と異なる
主な相違点を述べる。
【0170】本実施例における点火ノイズ防止用コンデ
ンサ71(以下、ノイズ防止コンデンサ71と称する)
は回路ケース9に内装してある。そのため、既述のコネ
クタ端子の金具(電源接続用コネクタ端子31,点火信
号入力用のコネクタ端子33,点火回路アース用端子3
5)の他にノイズ防止コンデンサ71のアース専用コネ
クタ端子(キャパシタグラウンド用端子)72の金具を
追加してコネクタハウジング9Bに収容し、このコネク
タ端子72と電源接続用(+電源)コネクタ端子31間
にノイズ防止コンデンサ71を接続する。
【0171】回路ケース9における点火回路ユニット4
0を収容するスペースを第1実施例よりも拡張すること
で、この収容スペースにノイズ防止コンデンサ71を設
置する。ノイズ防止コンデンサ71の設置箇所は、コネ
クタ端子31〜35,72の中間部をケース9樹脂中に
埋設して、この埋設位置近くのケース9床面上である。
【0172】また、電源接続用コネクタ端子31の中間
部と、キャパシタグラウンド端子72の一端には端子金
具の一部を垂直(ほゞ垂直を含む)に立ち上がるように
折り曲げて、この折曲部(立上げ部)31c,72′を
ケース9床面より突出させてノイズ防止コンデンサ71
の両サイドに配置させている。ノイズ防止コンデンサ7
1の両リード線73は、この折曲部31c,72′にそ
れぞれ接続されている。本例ではコンデンサ71のリー
ド線73を端子折曲部31c,72′にからげて半田付
けしている。
【0173】ここでは、リード線73の一端(からげ
部)73´を予め端子31,72への接続前に輪の形状
にしておき、この輪73´を端子折曲部31c,72´
に上から嵌め込める形状としてある。図24に示す9K
は、ケース9の床面(内底)9Eに設けた突起で、端子
折曲部31c,72´に隣接して床面9Kから垂直に突
出形成されており、端子折曲部31c,72´の一辺が
この突起9Kに食い込むようにしてモールド成形された
ものであり、また、突起9Kの高さは端子折曲部31c
の高さよりも低く、そのため、上記の輪の形状のリード
線一端73´を端子折曲部31c,72´の上端から嵌
め込んで降ろしていくと、このリード線一端73´が途
中の位置で突起9Kの上端に当たりそれ以上の下降が妨
げられる。このようにして、リード線73ひいてはノイ
ズ防止用コンデンサ71の高さ方向の位置決めがなされ
る。
【0174】ノイズ防止コンデンサ72を上記の如く設
けることで、回路ケース9内の点火回路41の構成は図
27に示すようになる。
【0175】上記のようにノイズ防止コンデンサ71を
回路ケース9内に内装することで、従来に比較して次の
ような作用,効果を奏する。
【0176】(1)従来方式は、ノイズ防止コンデンサ
71は点火コイル装置(ペンシルコイル)21と別にエ
ンジンルームのハーネスにおける電源アースポイントに
設置していたが、このような設置方式によれば、点火コ
イルのノイズが点火コイル装置・コンデンサ71間のハ
ーネスに乗ってしまうために点火コイル装置の外部に漏
れてしまう。これに対して、本発明方式の場合には、点
火コイルのノイズ源からコンデンサ71までの距離が極
めて短くなり、しかもノイズ防止コンデンサ71を回路
ケース9内装タイプにしたので点火コイル装置21外部
に点火ノイズが漏出するのを防止し、ノイズ防止性能を
高める。
【0177】(2)従来方式は、エンジンルームのハー
ネスにノイズ防止コンデンサ71を設けるため、コンデ
ンサ71を裸のまま設置するとエンジンルームに侵入す
る水分,塩分等により腐食するおそれがあり、そのため
コンデンサ71を樹脂で覆わなければならず、コスト高
となる。これに対して本発明方式の場合には、回路ケー
ス9内の絶縁樹脂43の封入がコンデンサ71の樹脂封
止を兼ねるので、従来のように回路ケース9と別にコン
デンサのための樹脂封止を行う必要がなく、その分、コ
ンデンサ71のコスト低減を図ることができる。
【0178】(3)従来方式は、エンジンルームのハー
ネスにノイズ防止コンデンサ71を設けるため、エンジ
ンルーム内のハーネスの工数が増えるが、本発明の場合
には、そのようなハーネス上のノイズ防止コンデンサ7
1設置作業を不要とし、点火コイル装置21をエンジン
ルーム内に搭載すれば自ずとノイズ防止コンデンサ71
も設置されるので、自動車組立上のエンジンルーム内で
の部品搭載作業の負担軽減を図ることができる。
【0179】なお、本実施例では、二次ボビンヘッド2
Aの形状については図22,図23に示すように円筒形
とし、また、巻線機の回り止めに係合する係合部2D′
は、平行配置した一対の突起片により構成した。巻線機
側の回り止めは上記一対の突起片の間に挾み込まれる一
条のピン形態(図示省略)となる。
【0180】また、点火コイル装置21におけるスプリ
ング13は、大部分がコイルケース6の一端筒壁6´に
入ることで、スプリング13の一端(上端)が高圧端子
12と結合するが、プラグ結合側となるスプリング13
の下端(高圧端子12と反対側の一端)は、少なくとも
点火プラグ22との結合前には、コイルケース6の下端
よりも外に出るようにしてある。そのために、コイルケ
ース6の一端筒壁6´の長さを第1実施例(図1)のも
のよりもスプリング13に対して相対的に短くしてい
る。
【0181】このような態様によれば、点火プラグ22
は、実質的にコイルケース一端筒壁6´の中でスプリン
グ13の下端と結合(接続)されず(この点、第1実施
例では点火プラグ22の略上半部がコイルケース一端筒
壁6´の中に導入されてスプリング13下端と接続され
ている)、筒壁6´の下端開口と略同じレベルの位置或
いはそれよりも下の位置(筒壁6´の外の位置)でスプ
リング13の下端と結合されることになる。そのため、
ゴムブーツ14については、筒壁6´を短くしたことを
補う意味で筒壁6´の下端よりも下側を第1実施例のタ
イプよりも長くして、ゴムブーツ14を点火プラグ22
と筒壁6´の下方位置で実質的にシール結合できるよう
にしてある。
【0182】上記構成によれば、図25に示すように点
火プラグ22と点火コイル装置21との軸線間に相対的
な傾きθがある場合であっても、点火プラグ22がコイ
ルケース筒壁6´に干渉しないので、ゴムブーツ14の
可撓性を利用して点火コイル装置21と点火プラグ22
とをフレキシブルにシール結合することができる。
【0183】本実施例によれば、図25に示すように点
火プラグ22及びプラグホール23Bがエンジンに角度
θを持って設置されている場合であっても、点火コイル
装置21を点火プラグ22の軸線に一致させることなく
ガイドチューブ21,プラグホール23内に導いて点火
プラグ22と結合させることができ、特に、自動車部品
の設置スペースの制約から点火プラグ22と点火コイル
装置21とを傾きθをもって結合させなければならない
場合に、それを従来のペンシルコイル装着操作となんら
変わることなく実現させることができる。
【0184】なお、従来のこの種点火コイル装置(ペン
シルコイル)は、点火プラグと軸線を一致させて結合さ
せるタイプのものであり、上記のように点火プラグ22
に対して点火コイル装置を角度を持たせて結合するよう
な配慮はなされていなかった。
【0185】なお、ゴムブーツ14は、次のような沿面
放電を防止する機能を有する。すなわち、点火コイル装
置21をプラグホール23Bにセットした場合、点火コ
イル装置21の高圧端子12がプラグホール23Bの近
くに位置するが、プラグホール23Bはアースされてい
るため、筒壁6´の一部にクラックなどが生じると高圧
端子12とプラグホール23Bとの間での筒壁6´,ク
ラックを介して沿面放電が生じるおそれがある。ゴムブ
ーツ14を筒壁6´に取り付けた場合、筒壁6´とゴム
ブーツ14との接触する距離Lが高圧端子12とプラグ
ホール23Bとの距離に実質加算されるので、この接触
距離Lを長く保つことで上記沿面放電を防止できる。本
実施例では、コイルケースの下端筒壁6´のうち高圧端
子12の位置からコイルケース筒壁6´の最下端までの
距離が短縮されてしまうため、ゴムブーツ14のうちコ
イルケース筒壁6´の外側と接触する部分を筒壁6´の
最下端からセンターコア7近くまで長く延ばして、上記
の沿面放電防止のための距離を確保している。すなわ
ち、ゴムブーツ14は筒壁6´に嵌まり合う個所のうち
筒壁6´の外面に臨む方を筒壁6´の内面に臨む方より
も長く延ばしてトータルの沿面放電防止距離を長く確保
している。
【0186】本実施例では上記したようにスプリング1
3の下端をコイルケース6の下端開口より下方に出すた
めに、その手法として、上記のようにコイルケース6下
部の筒壁6´を短くしているが、これに代えて、筒壁6
´に収容された高圧端子12のコイルケース軸方向の長
さをコイルケース6の下端開口位置近くまで延設しても
(換言すれば、高圧端子12のうちスプリング13を受
ける個所からコイルケース6の最下端までの距離よりも
スプリング13の長さが長くなる位置まで高圧端子12
を下方に延長させる)ことで、スプリング13の下端を
コイルケース6の下端開口よりも外(下側)に出すこと
ができる。このように高圧端子12の長さ調整によりス
プリング13のコイルケース6下端開口から出る量(長
さ)を調節することで、点火コイル装置21を点火プラ
グ22の相対的な傾きθに対応して適宜点火プラグと結
合(可撓性ブーツ14を介しての結合)することができ
る。
【0187】本実施例では、図25に示すように回路ケ
ース9の下面に設けた環状溝90にOリング91を嵌め
て、このOリング91を介してシール性を保ちつつエン
ジンカバー24面上に点火コイル装置21を直接設置し
ている。
【0188】回路ケース9には凹部95を設けて、実質
の回路ケース9の厚みを減らして樹脂成形時のひけ防止
を図っている。
【0189】本実施例においても、第1実施例と同様の
作用,効果を奏する。
【0190】また、上記のノイズ防止コンデンサ71の
配置構成(回路ケース内装タイプ)やゴムブーツ14の
形状,構造は、内側を一次コイル,外側を二次コイルの
配置構造にした点火コイル装置においても適用可能であ
る。
【0191】
【発明の効果】本発明によれば、内二次コイル構造・コ
イルケース内絶縁樹脂注入硬化方式の独立点火形の内燃
機関用点火コイルにおいて、耐熱衝撃及び絶縁性能を高
めつつ、プラグホール内に装着されるいわゆるペンシル
コイルタイプ(細形円筒形状の点火コイル装置)の細径
化の要求を満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る点火コイル装置の縦
断面図(図3のB−B´線断面図)及びその一部を拡大
したE部拡大断面図。
【図2】図2のA−A´線断面図。
【図3】図1の点火コイル装置を上面からみた図で、回
路ケースの内部を樹脂充填前の状態で表している図。
【図4】上記実施例に使用する点火回路図。
【図5】本実施例に係る点火コイル装置をエンジンに取
り付けた状態を示す説明図。
【図6】センターコアを収納する二次ボビンの内部構造
を模式的に示す断面図。
【図7】点火コイル装置の静電浮遊容量の発生メカニズ
ムを示す説明図。
【図8】二次コイルとセンターコアの電位を示す説明
図。
【図9】(a)は点火コイル装置の原理回路図、(b)
は本発明に係る点火コイルの製造原理を示す説明図、
(c)は従来の点火コイルの製造原理を示す説明図。
【図10】第1実施例に用いる二次ボビンの部分斜視
図。
【図11】第1実施例に用いる一次ボビンと二次ボビン
の組みの状態を示す部分斜視図。
【図12】第1実施例に用いる点火コイル組み及び回路
ユニットの位置関係を示す説明図。
【図13】第1実施例の二次ボビンを一次ボビンに挿入
する状態を示す部分斜視図。
【図14】(a)は第1実施例の一次ボビンの底面図、
(b)はその二次ボビンの底面図、(c)は上記(a)
のC−C´線断面図、(d)は一次ボビンと二次ボビン
の組みの状態を示す底面図。
【図15】第1実施例に用いるコイルケースの断面図。
【図16】点火コイル装置の製造過程を示す説明図。
【図17】点火コイル装置の製造例を示す説明図。
【図18】巻線機の回転シャフトと一次ボビン,二次ボ
ビンの取付例を示す説明図。
【図19】巻線機のモータから二次ボビン挿入状態の回
転シャフトを取り外した状態を示す説明図。
【図20】本発明の第2実施例に係る点火コイル装置の
要部断面図(図21のD−D´線断面図)。
【図21】点火コイル装置を上面からみた図で、回路ケ
ースの内部を樹脂充填前の状態で表している図。
【図22】第2実施例に用いる二次ボビンの部分斜視
図。
【図23】第2実施例に用いる一次ボビンと二次ボビン
の組みの状態を示す部分斜視図。
【図24】第2実施例に用いる点火回路図。
【図25】第2実施例の点火コイル装置の実装状態を示
す説明図。
【符号の説明】
1…センターコア、2…二次ボビン、2A…二次ボビン
ヘッド、3…二次コイル、4…一次ボビン、5…一次コ
イル、6…コイルケース、7…センターコア、8…絶縁
樹脂、9…回路ケース、9B…コネクタハウジング、1
7…軟質エポキシ樹脂、17′…樹脂表面の加圧凹部、
18…一次・二次コイル兼用端子、19…一次コイル端
子、31,33,33…コネクタ端子、32,34,3
6…引出し端子(リード端子)、37…金属ベース、3
9…点火制御駆動素子、40…点火回路ユニット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 学 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 安蔵 洋一 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 近藤 英一郎 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの各点火プラグに直結して使用
    される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、 コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボビン
    に巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次コイ
    ルが同心状に内装され、前記二次ボビンは線膨張係数が
    変性ポリフェニレンオキサイド(以下、変性PPOと略
    称する)よりもコイル材,センタコアに近い材料により
    構成したことを特徴とする内燃機関用点火コイル。
  2. 【請求項2】 エンジンの各点火プラグに直結して使用
    される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、 コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボビン
    に巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次コイ
    ルが同心状に内装され、前記二次ボビンは20℃〜15
    0℃の範囲の線膨張係数が成形時の流動方向,直角方向
    も含め10〜45×10~6の範囲にある材料で構成して
    いることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
  3. 【請求項3】 エンジンの各点火プラグに直結して使用
    される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、 コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボビン
    に巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次コイ
    ルが同心状に内装され、前記二次ボビンがポリフェニレ
    ンサルファイド(以下、PPSと略称する)又はPPS
    と他の樹脂の混合材料であることを特徴とする内燃機関
    用点火コイル。
  4. 【請求項4】 エンジンの各点火プラグに直結して使用
    される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、 コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボビン
    に巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次コイ
    ルが同心状に内装され、前記二次ボビンがPPS又はP
    PSと他の樹脂の混合材料であり、且つ前記コイルケー
    スに内装される前記センタコア,二次ボビンに巻かれた
    二次コイル、一次ボビンに巻かれた一次コイルの周囲に
    は絶縁用の熱硬化性樹脂が充填され、このうち前記二次
    ボビンと前記センターコアとの間に充填される熱硬化性
    樹脂は、〔二次ボビンの許容応力>(−40℃−絶縁用
    樹脂のガラス転移点Tg)での二次ボビンの発生応力〕
    の条件を満足するガラス転移点Tgを有する樹脂である
    ことを特徴とする内燃機関用点火コイル。
  5. 【請求項5】 エンジンの各点火プラグに直結して使用
    される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、 コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボビン
    に巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次コイ
    ルが同心状に内装され、前記二次ボビンがPPS又はP
    PSと他の樹脂の混合材料であり、且つ前記コイルケー
    スに内装される前記センタコア,二次ボビンに巻かれた
    二次コイル、一次ボビンに巻かれた一次コイルの周囲に
    は絶縁用の熱硬化性樹脂が充填され、このうち前記二次
    ボビンと前記センターコアとの間に充填される熱硬化性
    樹脂は、ガラス転移点が少なくとも20℃以下で、ガラ
    ス転移点以上ではヤング率が1×108(Pa)以下の
    可撓性エポキシ樹脂であることを特徴とする内燃機関用
    点火コイル。
  6. 【請求項6】 エンジンの各点火プラグに直結して使用
    される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、 コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボビン
    に巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次コイ
    ルが同心状に内装され、前記二次ボビンがPPS又はP
    PSと他の樹脂の混合材料であり、且つ前記コイルケー
    スに内装される前記センタコア,二次ボビンに巻かれた
    二次コイル、一次ボビンに巻かれた一次コイルの周囲に
    は絶縁用の熱硬化性樹脂が充填され、このうち前記二次
    ボビンと前記センターコアとの間に充填される熱硬化性
    樹脂は、前記二次ボビンの比誘電率とほぼ同等な樹脂で
    構成されていることを特徴とする内燃機関用点火コイ
    ル。
  7. 【請求項7】 前記一次ボビンも前記二次ボビンと同様
    にPPS又はPPSと他の樹脂の混合材料で構成した請
    求項3ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関用
    点火コイル。
  8. 【請求項8】 エンジンの各点火プラグに直結して使用
    される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、 コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボビン
    に巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次コイ
    ルが同心状に内装され、前記一次ボビン及び二次ボビン
    がPPS又はPPSと他の樹脂の混合材料であり、前記
    コイルケースがポリブチレンテレフタレートであり、且
    つ前記コイルケースに内装される前記センタコア,二次
    ボビンに巻かれた二次コイル、一次ボビンに巻かれた一
    次コイルの周囲には絶縁用の熱硬化性樹脂が充填され、
    このうち前記二次ボビンと前記センターコアとの間に充
    填される熱硬化性樹脂は、ガラス転移点が少なくとも2
    0℃以下で、ガラス転移点以上ではヤング率が1×10
    8(Pa)以下の可撓性エポキシ樹脂であり、前記二次
    コイルの周囲及び一次コイルの周囲に充填される樹脂
    は、硬化後のガラス転移点が120〜140℃のエポキ
    シ樹脂であることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
  9. 【請求項9】 エンジンの各点火プラグに直結して使用
    される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、 コイルケースに内側から順に、センタコア,二次ボビン
    に巻かれた二次コイル,一次ボビンに巻かれた一次コイ
    ルが同心状に内装され、前記一次ボビン及び二次ボビン
    がPPS又はPPSと他の樹脂の混合材料であり、前記
    コイルケースがPPSに変性PPOを配合剤として混合
    した熱可塑性樹脂であり、且つ前記コイルケースに内装
    される前記センタコア,二次ボビンに巻かれた二次コイ
    ル、一次ボビンに巻かれた一次コイルの周囲には絶縁用
    の熱硬化性樹脂が充填され、このうち前記二次ボビンと
    前記センターコアとの間に充填される熱硬化性樹脂は、
    ガラス転移点が少なくとも20℃以下で、ガラス転移点
    以上ではヤング率が1×108(Pa)以下の可撓性エ
    ポキシ樹脂であり、前記二次コイルの周囲及び一次コイ
    ルの周囲に充填される樹脂は、硬化後のガラス転移点が
    120〜140℃のエポキシ樹脂であることを特徴とす
    る内燃機関用点火コイル。
  10. 【請求項10】 前記二次ボビンは、PPSにガラス繊
    維とタルク等の無機質粉が合計で50〜70重量%混合
    された材料で構成されている請求項1ないし請求項9の
    いずれか1項記載の内燃機関用点火コイル。
  11. 【請求項11】 前記二次ボビンは、PPSに石英粉と
    溶融ガラス粉が合計で50〜70重量%混合された材料
    で構成されている請求項1ないし請求項9のいずれか1
    項記載の内燃機関用点火コイル。
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