JPH10142618A - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

液晶表示素子の製造方法

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JPH10142618A
JPH10142618A JP31261596A JP31261596A JPH10142618A JP H10142618 A JPH10142618 A JP H10142618A JP 31261596 A JP31261596 A JP 31261596A JP 31261596 A JP31261596 A JP 31261596A JP H10142618 A JPH10142618 A JP H10142618A
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liquid crystal
heating
crystal display
display element
manufacturing
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JP31261596A
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Jun Ogura
潤 小倉
Satoru Shimoda
悟 下田
Tomio Tanaka
富雄 田中
Tetsushi Yoshida
哲志 吉田
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Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶の組成を変化させることなく、高品質の
画像を表示することができる液晶表示素子を製造するこ
とができる液晶表示素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 脱泡したスメクティック相の液晶を、加
熱しつつ液晶セルに注入する製造方法において、脱泡時
の液晶の加熱時間と注入時の液晶の加熱時間を1時間以
下とし、かつ、加熱温度をアイソトロピック相とスメク
ティック相との転移温度より10℃から30℃高い温度
に抑える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液晶表示素子の
製造方法に関し、特に、液晶セルに液晶を注入する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】高速応答性および広視野角を有する液晶
表示素子として、反強誘電性液晶もしくは強誘電性液晶
を液晶材料として用いた液晶表示素子が注目されてい
る。反強誘電性液晶もしくは強誘電性液晶を液晶材料と
して用いた液晶表示素子は、所定方向にラビングなどの
配向処理が施された、一対の基板を接合して形成した液
晶セルに、真空注入法などにより液晶を注入して製造さ
れる。
【0003】反強誘電性液晶や強誘電性液晶などの液晶
材料は、粘性が高いため、液晶材料を液晶状態のまま注
入すると、注入された液晶の流動により、液晶分子間に
揃断応力が働く。このため、液晶分子の流れに沿って液
晶分子が配列し、一軸配向がえられず、配向欠陥が生じ
る。
【0004】配向欠陥を防止して安定した液晶分子の一
軸配向を得るために、液晶を加熱して等方性液晶相状態
にして液晶セルへ注入する工程が一般に採用されてい
る。
【0005】液晶を液晶セルに注入する工程は、真空チ
ャンバ内で行われ、図8(A)、(B)に示すように、
液晶の脱泡及びセルの脱気から液晶注入の終了まで液晶
及び液晶セルを加熱して行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の液晶表示素子の
製造方法では、図8(A),(B)に示すように、液晶
は、脱泡から注入までの間、連続的に長時間加熱されて
いる。このため、液晶成分が揮発して液晶の組成が変化
し、液晶の動作特性が劣化する。その結果コントラスト
が低下し、表示品質が低下する。
【0007】この発明は、上記実状に鑑みてなされたも
ので、液晶の注入時の液晶組成物の変化を防止して、高
品質の画像を表示することができる液晶表示素子を製造
する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の第1の観点にかかる液晶表示素子の製造
方法は、互いに対向する面に電極が形成された一対の基
板と、液晶注入口を有し、前記一対の基板を接合するシ
ール材とにより構成される液晶セルに、液晶を加熱及び
減圧して脱泡した後、前記液晶注入口より該液晶を加熱
しつつ注入する液晶表示素子の製造方法において、前記
液晶の脱泡から前記液晶の注入までの間に、前記液晶を
冷却する冷却工程を備えることを特徴とする。
【0009】この構成によれば、冷却工程を配置してい
るので、従来の製造方法よりも液晶の加熱時間が短く、
加熱による液晶の劣化と液晶組成の変質を抑えることが
でき、配向欠陥を従来の製造方法に比べ減少させること
ができる。従って、コントラストの高い、高品質の画像
を表示することができる。
【0010】前記液晶の加熱時間が1時間以下であり、
かつ、液晶の加熱温度がアイソトロピック相とスメクテ
ィック相との転移温度より10℃から30℃高温である
ことが望ましい。
【0011】この構成によれば、液晶注入時の液晶の加
熱時間が1時間以内で比較的短く且つ加熱温度も相転移
温度の10℃〜30℃高い温度にとどめることにより、
液晶成分の揮発を抑えることができ、しかも、加熱によ
る液晶の劣化や液晶組成の変質を抑えることができ、配
向欠陥が少なく、高い品質の画像を表示できる液晶表示
素子を提供できる。
【0012】なお、脱泡のための加熱時間と注入のため
の加熱時間の合計が1時間以下となるように制御するこ
とが望ましい。
【0013】液晶の注入にディスペンサ法を用いる場合
には、前記液晶注入口に前記液晶をディスペンサより滴
下し、滴下した前記液晶を加熱しつつ前記液晶注入口よ
り前記液晶セルに注入しつつ、且つ、滴下後、前記ディ
スペンサ内の液晶を冷却することが望ましい。
【0014】ディスペンサ内の液晶は、複数の液晶セル
に注入されるために繰り返して加熱される。この構成に
よれば、液晶滴下後のディスペンサ内の液晶を冷却する
ので、液晶の総加熱時間が従来よりも大幅に短くなり、
液晶組成の劣化や変化が少ない。これにより、液晶の配
向欠陥が抑えられ、コントラストの高い、高品質の画像
を表示する液晶表示素子が得られる。
【0015】スメクティック相の液晶は、層構造を有
し、一部のスメクティック層での配向欠陥が、他のスメ
クティック層の配向にも影響を与えてしまい、配向欠陥
による影響が大きい。この発明によれば、配向欠陥を低
減できるので、スメクティック相の液晶等の層構造を有
する液晶を用いた液晶表示素子に特に適している。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態にか
かる液晶表示素子の製造方法を図面を参照して説明す
る。まず、図1を参照して、この実施の形態により製造
される液晶表示素子の構造について説明し、続いて、こ
の構造を参照しつつその製造方法を説明する。
【0017】この液晶表示素子は、アクティブマトリク
ス方式のものであり、図1に示すように、一対の透明基
板(例えば、ガラス基板)11、12と、透明基板1
1、12の間に配置された液晶21と、透明基板11、
12を挟んで配置された一対の偏光板23、24と、か
ら構成されている。
【0018】図1において下側の透明基板(以下、下基
板)11には、ITO(酸化インジウム)等の透明導電
材料から構成された画素電極13と画素電極13にソー
スが接続された薄膜トランジスタ(以下、TFT)14
とがマトリクス状に形成されている。
【0019】図1において、上側の透明基板(以下、上
基板)12には、下基板11の各画素電極13と対向
し、共通電圧Vcomが印加されている対向(共通)電極
17が形成されている。共通電極17は、例えば、IT
O等から形成された透明電極である。
【0020】下基板11と上基板12の電極形成面に
は、それぞれ配向膜18、19が設けられている。配向
膜18、19は有機高分子化合物からなる水平配向膜で
あり、その対向する面の少なくとも一方には、例えば、
互いに平行で且つ逆方向に1回ずつラビングする配向処
理が施されている。配向膜18、19は、ポリイミド、
例えば、炭素数が大きい直鎖アルキル基を含むポリイミ
ド等から構成される。
【0021】下基板11と上基板12はシール材20を
介して接着され、液晶セル25を構成している。シール
材20は下基板11と上基板12の外周縁部に枠状に形
成されている。シール材20には液晶注入用の開口(液
晶注入口)20Aが形成され、この開口20Aは封止材
20Bにより封止されている。液晶21は、基板11、
12とシール材20で囲まれた領域に封入されている。
【0022】また、液晶21は、常温且つバルクの状態
では、分子の一重螺旋構造(強誘電性液晶の場合)又は
二重螺旋構造(反強誘電性液晶の場合)を有し、液晶セ
ル25のギャップ長が螺旋ピッチよりも短いため、螺旋
が解けた状態で液晶セル25に封入されている。また、
液晶21は、各分子が自発分極Psを有し、望ましく
は、分子が描くコーンの軸とコーンの成す角(チルト
角)θの2倍(コーンアングル)の2θが45゜より大
きい(望ましくは、60゜以上)カイラルスメクティッ
クC相又はCA相(SmC*又はSmCA*)の液晶組成物
(強誘電性液晶又は反強誘電性液晶)からなり、アイソ
トロピック相とスメクティック相との相転移温度が例え
ば、70℃〜90℃である。
【0023】この液晶21は、そのダイレクタ(液晶分
子の平均的な配向方向)の水平方向成分(基板11、1
2の主面に平行な面上に投影した方向)が印加電圧に応
じて連続的に変化する。
【0024】このような特性を有する液晶としては、例
えば、化学式1に示す骨格構造を有する液晶物質I〜II
Iをそれぞれ20重量%、40重量%、40重量%の割
合で混合することにより得られる反強誘電性液晶があ
る。
【0025】
【化1】
【0026】また、図2は、液晶表示素子内部におけ
る、配向膜に施された配向処理の方向と、偏光板23、
24の光学軸(この実施の形態では透過軸)と、液晶2
1の液晶分子の配向方向との関係を示したものである。
【0027】図2において、符号21Cは配向膜に施さ
れた配向処理の方向を示す。液晶21は、スメクティッ
ク相の層構造の層の法線21Hが、0°〜±10°程度
の交角φで、配向処理の方向21Cに交差するように配
向している。
【0028】負極性の所定の電圧−VSより低い電圧を
液晶21に印加した時、液晶21は、第1の配向状態と
なり、液晶分子の配向方向はほぼ第1の方向21Aとな
る。正極性の所定の電圧+VSより高い電圧を液晶21
に印加したとき、液晶21は第2の配向状態となり、液
晶分子の配向方向はほぼ第2の方向21Bとなる。一
方、印加電圧が0のとき、液晶分子の平均的な配向方向
(ダイレクタ)は液晶21のスメクティック相の層構造
の層のほぼ法線方向(21H)となる。
【0029】偏光板23の光学軸(この実施の形態では
透過軸)23Aは、スメクティック相の層構造の層の法
線21Hに対し平行に設定されている。偏光板24の透
過軸24Aは、偏光板23の透過軸23Aとほぼ直交す
る方向に設定されている。
【0030】図2に示すように偏光板23、24の透過
軸23A、24Aを設定した表示素子は、液晶分子の平
均的な配向方向(ダイレクタ)を偏光板23の透過軸2
3Aに平行に設定した時に透過率が最も低く(表示が最
も暗く)なり、液晶分子の平均的な配向方向を偏光板2
3の透過軸23Aに対し45°の方向21D又は21E
に設定した時に透過率が最も高く(最も明るく)なり、
その中間の配向方向では、中間の透過率が得られる。従
って、印加電圧を調整することにより、任意の階調を表
示することができる。
【0031】階調表示を再現性良く及び高品質で行うた
めには、二値表示の場合よりも、液晶の品質自体が高い
ことが要求される。また、スメクティック相の液晶は層
構造を有し、一部の層の配向欠陥が他の層にも波及し易
く、高品質の画像を表示するためには、配向欠陥の少な
いことが望まれる。このような要求を充足する液晶表示
素子を提供するため、この実施の形態においては、以下
に説明する製造方法を採用する。
【0032】まず、下基板11に画素電極13、TFT
14等を形成し、さらに、これらの上にポリイミド配向
膜18を形成する。さらに、配向膜18の表面を所定方
向にラビングする。
【0033】また、上基板12上に共通電極17を形成
し、さらに、共通電極17の上にポリイミド配向膜19
を形成する。さらに、配向膜19の表面を所定方向にラ
ビングする。ラビングの方向は、配向膜18に施したラ
ビングの方向と実質的に同一の方向である。
【0034】次に、例えば、下基板11上に、液晶注入
口20Aを有する未硬化のシール材20を塗布する。さ
らに、スペーサ22を散布する。
【0035】続いて、両基板11、12を接合し液晶セ
ル25を製造する。この際、配向膜18と19に施され
たラビングの方向は、後工程で注入される液晶の両基板
により規制されるスメクティック層が互いに一致するよ
うに、調整され、ほぼ平行に配置される。
【0036】続いて、図3(A)に示すように、液晶セ
ル25の外部の圧力を制御し、液晶21と液晶セル25
の温度を図3(B)、(C)に示すように制御しなが
ら、図3(D)に示す処理により、液晶セル25に液晶
21を注入する。
【0037】より具体的に説明すると、まず、図4
(A)に示すように、液晶21が未充填の液晶セル25
を、注入用の液晶21を保持するディスペンサ52とラ
ンプヒータ53が設置されたを真空チャンバ51内に配
置する。ディスペンサ52は、保持している液晶21を
加熱するためのヒータ52Aを備える。
【0038】次に、真空チャンバ51内を真空ポンプ5
4により、図3(A)に示すように減圧する。さらに、
ディスペンサ52のヒータ52Aにより、内部の液晶2
1を図3(B)に示すように加熱する。ただし、液晶セ
ル25の温度は図3(C)に示すように25℃程度の常
温に維持する(図3(D)プロセスP1)。8分程度
で、真空チャンバ51内の気圧を1.0×10-2Tor
rまで減圧し、ディスペンサ52内の液晶21をスメク
ティック相の転移温度より10℃から30℃高温の10
0℃程度まで加熱する。真空チャンバ51内の気圧とデ
ィスペンサ52内の液晶21の温度を2分程維持し、デ
ィスペンサ52内の液晶21内の気泡を除去(脱泡)す
る(プロセスP2)。
【0039】続いて、真空チャンバ51のバルブ55を
開いて大気(又は窒素ガス等の不活性ガス)を導入し、
真空チャンバ51内を常圧(約1.6×102Tar
r)に戻す。さらに、真空チャンバ51内を自然冷却
し、液晶21の温度を常温に戻す(プロセスP3)。
【0040】続いて、常温のまま、真空チャンバ51内
の気圧を1.0×10-2Torrまで減圧し(プロセス
P4)、その状態を15分程度維持し、液晶セル25の
表面等に分子レベルで付着している気体分子を除去(脱
気)する(プロセスP5)。
【0041】続いて、ディスペンサ52内のヒータ52
Aに通電し、液晶21を100℃程度まで加熱する(プ
ロセスP6)。さらに、ランプヒータ53を点灯して、
液晶セル25を加熱する(プロセスP7)。
【0042】液晶21の温度と液晶セル25の温度が共
に100℃程度になると、図4(B)に示すように、デ
ィスペンサ52より、液晶セル25の液晶注入口20A
に液晶21を滴下し、液晶注入口20Aを液晶21で塞
ぐ(プロセスP8)。滴下後、ディスペンサ52内の液
晶21の劣化を防止するため、ヒータ52Aをオフす
る。このため、ディスペンサ52内の液晶21の温度は
漸次低下する。
【0043】続いて、バルブ55を開いて真空チャンバ
51内に大気(又は不活性ガス)等を導入し、真空チャ
ンバ51内の気圧を徐々に上昇させる。液晶セル25内
の圧力(ほぼ真空)と真空チャンバ51内の圧力との差
により、液晶注入口20Aを塞いでいる液晶21に徐々
に増大する圧力が加わり、この液晶21が液晶セル25
内に注入される。この間、液晶セル25および滴下され
た液晶21を加熱し、液晶分子間に揃断応力が働かない
ようにする(プロセスP9)。ただし、液晶21の揮
発、劣化、変質等が起こらないように、その温度を10
0℃、すなわち、スメクティック相とアイソトロピック
相の相転移温度よりも10℃〜30℃高い程度に抑え、
また、プロセスP2での加熱時間と加算しても1時間以
下となるように、加熱時間を調整する。
【0044】注入完了後、ランプヒータ53をオフし
て、注入された液晶21および液晶セル25を冷却する
(プロセスP10)。続いて、液晶セル25を真空チャ
ンバ51内から取り出し、液晶注入口20Aを熱硬化性
又は光硬化性の封止材で封止し、これが硬化して20B
になる。
【0045】続いて、偏光板23と24を液晶セル25
の両側に配置して、液晶表示素子を完成する。なお、デ
ィスペンサ52内の液晶は次の液晶セルの製造時に使用
される。
【0046】以上説明したように、この液晶表示素子の
製造方法によれば、図3(B)〜(D)に示すように、
液晶セル25に液晶21を加熱しつつ注入する工程にお
いて、液晶の脱泡から液晶の注入までの間に、液晶21
の冷却過程を設けているので従来の製造方法に比べ液晶
21の加熱時間が短縮され、製造時の液晶21の加熱時
間を1時間以下とすることができる。さらに、液晶注入
口20Aに液晶21を滴下した後、ディスペンサ52内
の液晶を冷却することにより、繰り返し加熱されるディ
スペンサ52内の液晶の液晶組成の変化や変質を低減で
きる。
【0047】また、加熱温度もスメクティック相とアイ
ソトロピック相との相転移温度よりも10℃〜30℃高
い程度に抑えられている。従って、液晶21の揮発、劣
化、変質等が抑えられ、完成した液晶表示素子の電気―
光学特性が低下しないので、高品質の画像、特に階調画
像を表示することができる。
【0048】また、液晶セル25は、脱気から液晶注入
工程の直前まで雰囲気温度に維持されている。従って、
配向膜18、19が加熱される時間が短く、炭素数が大
きい直鎖アルキル基等の比較的熱に弱い材質を使用する
場合でも、劣化・変質が少ない。従って、配向膜18、
19の劣化等に起因する液晶21の配向欠陥等の少ない
液晶表示素子を形成できる。
【0049】本願発明の効果を確認するため、従来の製
造方法及び本実施の形態の製造方法により製造された液
晶表示素子の電極間に周期的な電圧を印加した場合の透
過率の変化の関係を測定した。その結果を図5(A),
(B)に示す。
【0050】図5(A)は従来の液晶表示素子の電気―
光学特性であり、(B)は本願発明による液晶表示素子
の電気―光学特性を示している。これらの図5(A)お
よび(B)によると、従来の製造方法による液晶表示素
子に、+VSより高い(−VSより低い)電圧を印加し
た場合に見られるヒステリシス(磁気履歴)が、本実施
の形態の製造方法による液晶表示素子では減少してい
る。ヒステリシスが抑えられることによって、従来の液
晶表示素子より再現性のよい安定した配向状態を持つ液
晶表示素子が得られる。
【0051】また、透過率については、印加電圧が0の
場合、つまり、スメクティック相の層構造の層の法線方
向が配向膜に施したラビングの方向21Cとほぼ等しい
とき、従来の製造方法により製造された液晶表示素子よ
り透過率が低い(表示が暗い)ことが確認され、表示コ
ントラスト(Tmax/Tmin)は、従来の製造方法により
製造された液晶表示素子の場合、6.0であるのに対
し、本実施の形態の製造方法による液晶表示素子の場合
は7.2と大幅に改善されることが確認された。
【0052】なお、この発明は、上記実施の形態に限定
されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、図
3(B)に示す温度プロファイルでは、加熱温度を10
0℃としたが、これは、液晶21のスメクティック相と
アイソトロピック相との相転移温度が70℃〜90℃だ
からであり、使用する液晶21の相転移温度に対して1
0℃〜30℃高い任意の温度に設定すればよい。
【0053】また、図3(B)に示す温度プロファイル
では、加熱時間を約35分程度としたが、加熱時間は1
時間以下ならば、脱泡及び液晶注入に要する任意の時間
に設定できる。
【0054】また、この発明の効果を得るためには、加
熱温度を相転移温度の10℃〜30℃高い温度とし、且
つ、加熱時間を1時間以下とすることが望ましいが、加
熱温度は相転移温度より10℃〜30℃高い温度である
が加熱時間が1時間を若干超えたり、加熱時間は1時間
以下であるが、加熱温度が相転移温度より30℃以上高
くなってもよい。
【0055】また、図2に示す偏光板23、24の透過
軸の配置などは、一例であり、任意に変更可能である。
例えば、偏光板24の透過軸24Aと偏光板23の透過
軸23Aとを平行に設定してもよい。その他、一方の偏
光板の透過軸を21Aまたは21Bに平行にし、他方を
一方の偏光板の透過軸に平行または垂直にしてもよい。
さらに、透過軸の代わりに吸収軸を使用してもよい。
【0056】また、本発明はTFTをアクティブ素子と
する表示素子に限らず、MIMをアクティブ素子とする
表示素子にも適用可能である。
【0057】さらに、この発明は、いわゆるディップ注
入法を用いた液晶表示素子の製造方法にも適用できる。
この方法では、プロセスP1からP7までの工程は、実
質的に上述と同一であるが、プロセスP8で、液晶を液
晶注入口に滴下する代わりに、図6に示すように、液晶
皿56内の液晶21に液晶セル25の液晶注入口20A
を浸す。続いて、バルブ55を開いて真空チャンバ51
内を常圧に戻し、液晶セル25の内外の圧力差により、
液晶21を液晶セル25内に注入する。この間、液晶皿
56内の液晶をヒータ57により、液晶セル25をパネ
ルヒータ58により加熱することにより揃断が起こらな
いようにする。
【0058】さらに、この発明は、図7に示すように、
対向する基板11と12の対向面に走査電極71と、走
査電極71に直交する信号電極72を配置した単純マト
リクス型(パッシブマトリクス型)の表示素子にも適用
可能である。また、カラーフィルタを配置して、カラー
液晶表示素子としても使用できる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の液晶表示
素子の製造方法によれば、液晶の揮発・劣化・変質等が
少なく、液晶表示素子の電気―光学特性が低下しないの
で、再現性がよく高コントラストの画像を表示する液晶
表示素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる液晶表示素子の
構造を示す断面図である。
【図2】偏光板の透過軸、液晶分子の配向方向の関係を
示す図である。
【図3】(A)は、液晶表示素子の製造方法における真
空チャンバ内の圧力の変化を示す図であり、(B)は、
液晶表示素子の製造方法における液晶の温度変化を示す
図であり、(C)は、液晶表示素子の製造方法における
液晶セルの温度変化を示す図であり、(D)は、液晶表
示素子の製造方法における工程を示す図である。
【図4】液晶表示素子の製造方法を説明するための図で
ある。
【図5】液晶表示素子の印加電圧と透過率との関係を示
す図である。(A)は、従来の液晶表示素子の印加電圧
と透過率の関係を示し、(B)は、本発明による液晶表
示素子の印加電圧と透過率の関係を示す。
【図6】図1に示す液晶表示素子の製造方法を説明する
ための図である。
【図7】この発明の実施の形態にかかる液晶表示素子の
構造の他の例を示す断面図である。
【図8】液晶表示素子の従来の製造方法を説明するため
の図である。(A)は、液晶表示素子の従来の製造方法
における液晶の温度変化を示す図であり、(B)は、液
晶表示素子の従来の製造方法における工程を示す図であ
る。
【符号の説明】
11・・・透明基板(下基板)、12・・・透明基板
(上基板)、13・・・画素電極、14・・・アクティ
ブ素子(TFT)、17・・・共通電極、18・・・配
向膜、19・・・配向膜、20・・・シール材、20A
・・・液晶注入口、20B・・・封止材、21・・・液
晶、22・・・スペーサ、23・・・偏光板(下偏光
板)、24・・・偏光板(上偏光板)、25・・・液晶
セル、51・・・真空チャンバ、52・・・ディスペン
サ、52A・・・ヒータ、53・・・ランプヒータ、5
4・・・真空ポンプ、55・・・バルブ、56・・・液
晶皿、57・・・ヒータ、58・・・パネルヒータ、7
1・・・走査電極、72・・・信号電極
フロントページの続き (72)発明者 吉田 哲志 東京都八王子市石川町2951番地の5 カシ オ計算機株式会社八王子研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに対向する面に電極が形成された一対
    の基板と、液晶注入口を有し、前記一対の基板を接合す
    るシール材とにより構成される液晶セルに、液晶を加熱
    及び減圧して脱泡した後、前記液晶注入口より該液晶を
    加熱しつつ注入する液晶表示素子の製造方法において、
    前記液晶の脱泡から前記液晶の注入までの間に、前記液
    晶を冷却する工程を備えることを特徴とする液晶表示素
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】前記液晶の加熱時間が1時間以下であり、
    かつ、前記液晶の加熱温度がアイソトロピック相とスメ
    クティック相との転移温度より10℃から30℃高温で
    あることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記液晶注入口に前記液晶を滴下するディ
    スペンサを備え、滴下した前記液晶を加熱しつつ前記液
    晶注入口より前記液晶セルに注入しつつ、且つ、滴下
    後、前記ディスペンサ内の液晶を冷却することを特徴と
    する請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  4. 【請求項4】前記液晶は、スメクティック相を持つ液晶
    から構成される、ことを特徴とする請求項1、2又は3
    に記載の液晶表示素子の製造方法。
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