JPH10141267A - ロータリー圧縮機 - Google Patents

ロータリー圧縮機

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JPH10141267A
JPH10141267A JP29634996A JP29634996A JPH10141267A JP H10141267 A JPH10141267 A JP H10141267A JP 29634996 A JP29634996 A JP 29634996A JP 29634996 A JP29634996 A JP 29634996A JP H10141267 A JPH10141267 A JP H10141267A
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pressure
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健一 斉藤
Kazuhiro Kosho
和宏 古庄
Takeyoshi Okawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中間圧の冷媒をインジェクションする冷凍サ
イクルに使用されるロータリー圧縮機において、中間圧
の冷媒を圧縮機のシリンダ室に吸入する際の圧力損失を
低減する。 【解決手段】 ブレード(14a)とピストン(14)とが一体
的に形成され、ピストン(14)がシリンダ室(20)内を公転
するロータリー圧縮機(1)において、ブレード(14a)及び
ピストン(14)に連通溝(30)を設ける。下部軸受けにおけ
るブレード(14a)の揺動中心の位置に、連通溝(30)に開
口する中間圧冷媒吸入口(29)を形成する。また、下部軸
受けに、中間圧冷媒吸入口(29)と中間圧冷媒吸入管とを
連通する連通路を設ける。下部軸受けのシリンダ室(20)
に臨む面に、十分な深さを有する凹部を形成し、連通溝
(30)とシリンダ室(20)とを連通するシリンダ連通孔(31)
を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータリー圧縮機
に係り、特に、中間圧の冷媒をインジェクションする空
気調和装置等に適した圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ヒートポンプ式空気調和装置
等において、冷暖房の能力可変を行えるようにし、EE
Rの向上を図るものとして、気液分離器内の中間圧のガ
ス状の冷媒を圧縮機にインジェクションする装置が知ら
れている。
【0003】上記の空気調和装置においては、暖房時で
は、中間圧のガス冷媒をインジェクションすることによ
り、凝縮器を流れる冷媒の循環量を増加させ、暖房能力
を増大させている。
【0004】そして、上記の空気調和装置に用いられる
圧縮機として、例えば、図11及び図12に示す圧縮要
素を備えた圧縮機が知られている。この圧縮要素は、内
部にシリンダ室(a)が形成されたシリンダ(b)と、シリン
ダ(b)の上下両端面にシリンダ室(a)を閉鎖するように配
置されたサイドハウジング(c,c)と、シリンダ室(a)内に
偏心して配設された環状のピストン(d)と、ピストン(d)
と当接し、シリンダ室(a)を吸入口(e)に通じる低圧室と
吐出口(f)に通じる高圧室とに区画するブレード(g)とを
備えている。ピストン(d)の軸孔にはクランク軸(j)の偏
心部が嵌入されている。そして、下部のサイドハウジン
グ(c)に、気液分離器に通じるインジェクション配管と
接続されたインジェクション通路(h)が設けられ、イン
ジェクション通路(h)の連通孔(i)が下部のサイドハウジ
ング(c)の上面からシリンダ室(a)に開口している。
【0005】上記の空気調和装置では、クランク軸(j)
の回転によりピストン(d)がその外周面をシリンダ(b)の
内周面と摺接させながら回転しつつ公転し、吸入口(e)
から吸入した低圧の冷媒とインジェクション通路(h)の
連通孔(i)から吸入した中間圧の冷媒とを混合した後、
圧縮して吐出口(f)から吐出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の圧縮
機では、ピストン(d)の公転に従い、ピストン(d)の下端
面によって連通孔(i)は開閉される。そのため、ピスト
ン(d)の公転位置に応じて連通孔(i)を設けることによ
り、中間圧冷媒の吸入のタイミングを図っている。つま
り、連通孔(i)の位置及び面積は、中間圧冷媒を吸入す
べき時には開口され、吸入すべきでないときは閉鎖され
るように設定されている。
【0007】連通孔(i)は下部のサイドハウジングの上
面に形成されているので、中間圧冷媒がシリンダ室(a)
に流入する際の連通路の通過面積は、連通孔(i)の開口
面積によって定まる。そのため、連通路の通過面積を大
きくするためには、連通孔(i)の開口面積を大きくする
必要がある。しかし、連通孔(i)の開口面積をむやみに
大きくしたのでは、上述の中間圧冷媒の吸入時の設定が
困難となり、中間圧冷媒をスムーズに吸入することがで
きない。また、連通孔(i)の開口面積を大きくすると、
ピストン(d)の公転位置によっては、連通孔(i)がピスト
ン(d)内部の高圧空間と連通してしまい、冷媒がバイパ
スし、インジェクション通路(h)内で冷媒が逆流すると
いう問題も生じる。
【0008】従って、連通孔(i)の開口面積の大きさに
は制限があった。そのため、連通孔(i)を十分大きくす
ることができないことにより、中間圧冷媒をシリンダ室
(a)内にインジェクションする際に大きな圧力損失が生
じていた。
【0009】また、ピストン(d)の公転に伴い連通孔(i)
の開口面積が変動するが、この開口面積の変動によって
も中間圧冷媒の圧力損失が生じていた。
【0010】このように、従来の圧縮機ではインジェク
ション通路(h)の連通孔(i)での圧力損失が大きいため、
十分なインジェクション量を確保できないという課題が
あった。その結果、暖房時では、凝縮器での冷媒循環量
があまり増加せず、暖房能力の向上が低度のものに留ま
るという課題があった。
【0011】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、中間圧の冷媒をイン
ジェクションする際の圧力損失を低減すること等によ
り、空気調和装置等の暖房能力等を向上させる圧縮機を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、中間圧冷媒がシリンダ室(20)に流入する
部分の流路面積を大きくすることができる構成とした。
【0013】具体的には、請求項1に記載の発明が講じ
た手段は、低圧冷媒吸入管(11)及び中間圧冷媒吸入管(1
2)から吸入した冷媒を混合した後圧縮し、高圧冷媒を高
圧冷媒吐出管(10)に吐出するロータリー圧縮機であっ
て、ブレード(14a)が一体的に形成された環状のピスト
ン(14)がシリンダ(13)の軸心に対して偏心してシリンダ
室(20)に収納され、上記ブレード(14a)が、シリンダ(1
3)の支持孔(24)に進退自在に挿入される一方、上記シリ
ンダ室(20)を区画する第1ヘッド(16)又は第2ヘッド(1
7)に、一端が中間圧冷媒吸入管(12)に連通し、他端がブ
レード(14a)の揺動中心の位置に開口した中間圧冷媒吸
入口(29)となる中間圧冷媒の連通路(28)が設けられ、上
記ブレード(14a)及びピストン(14)には、中間圧冷媒吸
入口(29)が開口する連通溝(30)が形成される一方、上記
第1ヘッド(16)又は第2ヘッド(17)には、ピストン(14)
が所定位置にあるときに連通溝(30)とシリンダ室(20)と
を連通させるシリンダ連通孔(31)が設けられている構成
としたものである。
【0014】上記の発明特定事項により、第1ヘッド(1
6)又は第2ヘッド(17)に十分な深さを有するシリンダ連
通孔(31)を形成することができ、中間圧冷媒の流路面積
を大きくすることができる。その結果、中間圧冷媒がシ
リンダ室(20)に流入する際の圧力損失を低減することが
できる。また、ピストン(14)とブレード(14a)を一体的
に形成し、それらに設けた連通溝(30)に中間圧冷媒を常
に供給するので、この中間圧冷媒がシリンダ連通孔(31)
を通過する際の冷媒の流速変動を緩和することによって
も、圧力損失が低減する。
【0015】一方、請求項2に記載の発明が講じた手段
は、請求項1に記載のロータリー圧縮機において、シリ
ンダ連通孔(31)は、第1ヘッド(16)又は第2ヘッド(17)
におけるシリンダ室(20)に臨む表面に形成された凹部(3
1a)から成る構成としたものである。
【0016】上記の発明特定事項により、簡単な構造で
シリンダ連通孔(31)を形成することができる。また、凹
部(31a)の深さを深くすることにより、シリンダ連通孔
(31)部分の中間圧冷媒の流路面積を大きくすることがで
きる。
【0017】また、請求項3に記載の発明が講じた手段
は、請求項1に記載のロータリー圧縮機において、連通
溝(30)は、ブレード(14a)の長手方向に延びるブレード
連通溝(30a)と、ピストン(14)の吐出口(27)側の略半円
環部分(33)に形成されたピストン連通溝(30c)とから成
る構成としたものである。
【0018】上記の発明特定事項により、ピストン(14)
の内部(22)と低圧室(20b)との間でのピストン(14)端面
での冷媒漏れが減少し、圧縮機の効率が向上する。
【0019】また、請求項4に記載の発明が講じた手段
は、請求項1に記載のロータリー圧縮機において、シリ
ンダ連通孔(31)が、複数個設けられている構成としたも
のである。
【0020】また、請求項5に記載の発明が講じた手段
は、請求項1に記載のロータリー圧縮機において、シリ
ンダ連通孔(31)は、第1ヘッド(16)及び第2ヘッド(17)
の双方に設けられている構成としたものである。
【0021】上記請求項4又は5の発明特定事項によ
り、中間圧冷媒のシリンダ連通孔(31)部分の流路面積が
増加し、圧力損失が一層低下する。
【0022】また、請求項6に記載の発明が講じた手段
は、請求項1に記載のロータリー圧縮機において、中間
圧冷媒吸入管(12)から流入した中間圧冷媒を加熱する加
熱手段(40)が設けられている構成としたものである。
【0023】上記の発明特定事項により、シリンダ室(2
0)に吸入する前の中間圧冷媒のエンタルピを増加させる
ことができ、吐出後の冷媒が凝縮する際のエンタルピ変
化を大きくすることができる。そのため、暖房能力を向
上させることができる。
【0024】また、請求項7に記載の発明が講じた手段
は、ケーシング(2)の底部には、潤滑油(O)が貯留され、
加熱手段(40)は、一端が中間圧冷媒吸入管(12)に接続さ
れ、他端が連通路(28)に接続され、上記潤滑油(O)に浸
漬された伝熱管(40)を有する構成としたものである。
【0025】上記の発明特定事項により、簡単な構成で
加熱手段(40)を実現することができる。
【0026】また、請求項8に記載の発明が講じた手段
は、請求項7に記載のロータリー圧縮機において、加熱
手段(40)は、ピストン(14)を駆動する駆動手段(3)から
成る構成としたものである。
【0027】上記の発明特定事項により、余分な機器を
付加することなく加熱手段(40)を構成することができ
る。
【0028】
【発明の実施の形態1】以下、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0029】−ヒートポンプ式空気調和装置(90)の構成
− 図1に示すように、実施形態1のロータリー圧縮機(1)
は、ヒートポンプ式空気調和装置(90)に設けられてい
る。まず、ヒートポンプ式空気調和装置(90)の構成につ
いて説明する。
【0030】この空気調和装置(90)は、ロータリー圧縮
機(1)、四路切換弁(91)、凝縮器(92)、第1キャピラリ
ーチューブ(95)、気液分離器(94)、第2キャピラリーチ
ューブ(96)、蒸発器(93)、及びアキュムレータ(98)が冷
媒配管(9)によって接続されて成る主冷媒回路(C1)と、
気液分離器(94)と圧縮機(1)とを接続するインジェクシ
ョン配管(12)とを備えて構成されている。また、インジ
ェクション配管(12)の途中には、インジェクション運転
時に開作動する電磁弁(97)が設けられている。
【0031】−ロータリー圧縮機(1)の構成− 次に、ロータリー圧縮機(1)の詳細について説明する。
【0032】図2に示すように、ロータリー圧縮機(1)
は、密閉型のケーシング(2)内に駆動手段(3)及び圧縮手
段(4)が収納されて構成されている。
【0033】ケーシング(2)の下部側壁には、低圧冷媒
ガスを吸入するための吸入配管(11)が側方に向かって突
出するように設けられている。一方、ケーシング(2)の
上端には、ケーシング(2)内の高圧冷媒ガスを四路切換
弁(91)を経て凝縮器(92)に向かって吐出するための吐出
管(10)が上方に突出するように設けられている。
【0034】ケーシング(2)内の底部は油溜め部(6)とな
っており、この油溜め部(6)には潤滑油(O)が貯留されて
いる。そして、駆動手段(3)のクランク軸(5)の下端及び
圧縮手段(4)の下部は、この潤滑油(O)に浸漬されてい
る。クランク軸(5)の下端部には図示しない遠心式の油
ポンプが設けられており、クランク軸(5)の回転に応じ
て油溜め部(6)の潤滑油(O)をクランク軸(5)内に形成さ
れた給油路(7)に吸い上げるように構成されている。給
油路(7)を通過した潤滑油(O)は、圧縮手段(4)の摺動箇
所に供給される。
【0035】駆動手段(3)は、ケーシング(2)内の上方に
設けられ、電動モータ(3a)と駆動軸としてのクランク軸
(5)とから成り立っている。電動モータ(3a)は、ケーシ
ング(2)の内部空間(2a)の上部に配設され、ケーシング
(2)の内周面に固着されたステータ(3b)と、ステータ(3
b)の中央部に配設されたロータ(3c)とによって構成され
ている。クランク軸(5)は、その上端部がロータ(3c)の
中央部に接続されていると共に、下端部が下方へ延長さ
れて圧縮手段(4)に連繋されている。
【0036】一方、圧縮手段(4)は、電動モータ(3a)の
下方に配置されており、下記のような構成になってい
る。
【0037】圧縮手段(4)は、円環状のシリンダ(13)内
に、円環状のピストン(14)が偏心して収納されていると
共に、シリンダ(13)及びピストン(14)の上端面に第1ヘ
ッドたる上部軸受け(16)が、下端面に第2ヘッドたる下
部軸受け(17)が取り付けられて構成されている。そし
て、上部軸受け(16)の下面と、下部軸受け(17)の上面
と、シリンダ(13)の内周面と、ピストン(14)の外周面と
の間に、シリンダ室(20)が形成されている。なお、クラ
ンク軸(5)は、上部軸受け(16)及び下部軸受け(17)に支
持されている。
【0038】図3に示すように、シリンダ(13)には、シ
リンダ室(20)に開口する吸入口(21a)を備えた冷媒吸入
路(21)が形成されており、この冷媒吸入路(21)には、低
圧冷媒吸入管(11)が接続されている。また、冷媒吸入路
(21)の近傍には、シリンダ室(20)に開口し、シリンダ(1
3)の半径方向に延びるブレード溝(25)が形成され、この
ブレード溝(25)の途中には、軸方向に貫通する略円柱形
状の支持孔たるブッシュ孔(24)が形成されている。更
に、ブレード溝(25)を挟んで吸入口(21a)と隣り合う位
置には、冷媒の吐出口(27)が設けられている。この吐出
口(27)には、シリンダ室(20)の高圧室(20a)内の冷媒圧
力が所定値以上になったときに開く吐出弁(27a)が備え
られている。
【0039】ピストン(14)は、上述したように、シリン
ダ室(20)に偏心して収納されている。ピストン(14)の内
部の軸孔(22)には、クランク軸(5)に設けられた偏心カ
ム(23)が回転自在に嵌合されている。このカム(23)の軸
心は、クランク軸(5)の中心点より所定量オフセットさ
れている。そのため、ピストン(14)は、クランク軸(5)
の回転によって公転するように構成されている。つま
り、ピストン(14)の外周面の一部がシリンダ(13)の内周
面に接触し又は近接した状態で、ピストン(14)はシリン
ダ室(20)内を公転するようになっている。
【0040】また、ピストン(14)には、その外周面から
半径方向に突出して延びるブレード(14a)が一体的に形
成されている。このブレード(14a)は、揺動ブッシュ(2
6)に対する側面が平面状に形成されて構成されている。
なお、ブレード(14a)は、ピストン(14)と一体形成され
るか、又はピストン(14)と別部材で形成され、ピストン
(14)と凹凸の嵌合構造により連結されるか、あるいは接
着剤等により連結されて構成されている。
【0041】ブッシュ孔(24)内には、断面が略半円形状
の一対の揺動ブッシュ(26,26)が揺動自在に配置されて
いる。そして、ブレード(14a)の先端側は、揺動ブッシ
ュ(26,26)間に挿入されている。つまり、この両揺動ブ
ッシュ(26,26)は、ブレード(14a)の先端側を挟んだ状態
に配置されると共に、ブレード(14a)がブレード溝(25)
内を進退移動するのを許容し、且つ、ブレード(14a)と
一体的にブッシュ孔(24)内で揺動するように設けられて
いる。なお、揺動ブッシュ(26,26)のブレード(14a)と対
向する面は平面状に形成され、ブレード(14a)とスムー
ズに摺動するように構成されている。
【0042】ブレード(14a)は、シリンダ(13)の内周面
とピストン(14)の外周面(32a)との間のシリンダ室(20)
を、吸入口(21a)に通じる低圧室(20b)と、吐出口(27)に
通じる高圧室(20a)とに区画している。そして、ブレー
ド(14a)は、ブッシュ孔(24)の中心点を揺動の中心点
(以下、揺動中心という)として揺動する。その結果、
ブレード(14a)と一体となったピストン(14)は、シリン
ダ室(20)をシリンダ(13)の内周面に沿って、実質的に自
転することなく公転する。
【0043】なお、上部軸受け(16)、シリンダ(13)及び
下部軸受け(17)は、図示しない複数本のボルトにより一
体的に締結されている。
【0044】−インジェクション通路(35)の構成− 次に、本発明の特徴部分であるインジェクション通路(3
5)について説明する。
【0045】図1に示すように、実施形態1の圧縮機
(1)では、下部軸受け(17)に、中間圧の冷媒を流通させ
る連通路(28)が形成されている。この連通路(28)の一端
は下部軸受け(17)の側面に設けられた開口においてイン
ジェクション配管(12)と接続され、他端はブレード(14
a)の揺動中心に位置する中間圧冷媒吸入口(29)において
上向きに開口している。なお、中間圧冷媒吸入口(29)
は、具体的には、ブッシュ孔(24)の中心点に形成されて
いる。
【0046】また、ピストン(14)には、ピストン(14)と
同心円状に形成された円環状のピストン連通溝(30b)が
ピストン(14)の全周に沿って設けられている。この連通
溝(30b)は、下面からピストン(14)の高さの1/2の深
さを有している。また、この連通溝(30b)は、ピストン
(14)の内周面(32b)と外周面(32a)との中間位置に設けら
れ、ピストン(14)の軸孔(22)と連通溝(30b)及びシリン
ダ室(20)と連通溝(30b)との間におけるピストン上下両
端面での冷媒漏れが小さくなるように設定されている。
なお、連通溝(30b)の深さ、及び連通溝(30b)の幅、つま
り半径方向の長さは、ピストン(14)の材料によって変更
可能であり、ピストン(14)の強度を保ちつつ、可能な限
り大きく設定されている。
【0047】更に、ブレード(14a)にも、長手方向に沿
ったブレード連通溝(30a)が設けられている。このブレ
ード連通溝(30a)は、ブレード(14a)の揺動ブッシュ(26)
への没入が最も浅い位置、つまり、ピストン(14)がブッ
シュ孔(24)から最も離れた位置である下死点において、
中間圧冷媒吸入口(29)と重なる位置から、ピストン(14)
連通溝(30b)と連通する位置まで形成されている。言い
換えると、ブレード連通溝(30a)は、ピストン(14)が任
意の位置において中間圧冷媒吸入口(29)とピストン連通
溝(30b)とを連通するように形成されている。
【0048】そして、下部軸受け(17)には、所定位置
に、ピストン連通溝(30b)とシリンダ室(20)とを連通す
るシリンダ連通孔(31)を構成する凹部(31a)が設けられ
ている。凹部(31a)は、シリンダ(13)の半径方向に向か
ってやや細長に形成されており、その深さは、シリンダ
連通孔(31)の水力学的等価直径が連通溝(30)の等価直径
とほぼ等しくなるような十分な深さに設定されている。
つまり、中間圧冷媒がシリンダ室(20)に流入する際の圧
力損失が最小になるように設定されている。なお、上記
の所定位置とは、圧縮機(1)の設計条件から定まるイン
ジェクション時に応じて設定される位置である。即ち、
中間圧の冷媒をインジェクションすべき時にはピストン
の連通溝(30b)とシリンダ室(20)とを連通し、インジェ
クションすべきでない時には連通しないような位置であ
る。例えば、従来の圧縮機の設計条件の下では、従来の
連通孔を設けていた位置に上記シリンダ連通孔(31)を設
けることができる。
【0049】以上のように、実施形態1の圧縮機(1)で
は、下部軸受け(17)の連通路(28)、中間圧冷媒吸入口(2
9)、ブレード(14a)の連通溝(30a)、シリンダ(14)の連通
溝(30b)、及びシリンダ連通孔(31)により、インジェク
ション配管(12)とシリンダ室(20)とを連通するインジェ
クション通路(35)が構成されている。
【0050】−ヒートポンプ式空気調和装置(90)の動作
− 次に、ヒートポンプ式空気調和装置(90)の運転動作を説
明する。図1の回路図で示される本空気調和装置(90)で
は、電磁弁(97)を閉止してインジェクションを行わない
通常運転モードと、電磁弁(97)を開口してインジェクシ
ョンを行うインジェクション運転モードとのいずれかを
任意に選択することができる。また、各運転モードにお
いて、四路切換弁(91)を切り替えることにより、冷房運
転と暖房運転とを任意に選択して行うことができる。
【0051】通常運転モードの暖房運転では、四路切換
弁(91)は図1の実線側に切り替えられる。そして、圧縮
機(1)から吐出した冷媒は、四路切換弁(91)を通過した
後、凝縮器(92)で凝縮し、室内の暖房が行われる。その
後、凝縮器(92)から流出した冷媒は、第1キャピラリー
チューブ(95)と気液分離器(94)と第2キャピラリーチュ
ーブ(96)を経て減圧された後、蒸発器(93)で蒸発し、四
路切換弁(91)とアキュムレータ(98)を通過して圧縮機
(1)に吸入される。
【0052】通常運転モードの冷房運転では、四路切換
弁(91)が図1の破線側に切り替えられ、蒸発器(93)が凝
縮器として、凝縮器(92)が蒸発器として用いられる。
【0053】一方、インジェクション運転モードにおけ
る暖房運転では、以下のような運転が行われる。なお、
インジェクション運転モードにおける冷房運転は、四路
切換弁(91)を切り替えて冷媒の循環方向を逆にすること
により行われ、基本的な動作は暖房運転と同様なので、
その説明は省略する。
【0054】−インジェクション運転モードにおける暖
房運転− 図4のモリエル線図を参照しながら、インジェクション
運転モードにおける暖房運転を説明する。
【0055】まず、電磁弁(97)が開口されると共に、四
路切換弁(91)が図1の実線側に切り替えられる。
【0056】そして、アキュムレータ(98)から吸入され
た低圧のガス冷媒は圧縮機(1)に吸入され、圧縮されて
(A)点から(B)点に至る。そして、(B)点の冷媒は、気液
分離器(94)からインジェクション配管(12)を通過して圧
縮機(1)に吸入された(C)点の中間圧のガス冷媒と混合し
て、(D)点に至り、さらに圧縮が続けられて(E)点の高圧
のガス冷媒となる。その後、この高圧のガス冷媒は、四
路切換弁(91)を経て凝縮器(92)に流入し、凝縮器(92)で
凝縮して(E)点から(F)点に至る。その際に、エンタルピ
差(Ia)と冷媒循環量を乗じて概算される凝縮熱によって
室内の暖房が行われる。そして、(F)点の高圧の冷媒
は、第1キャピラリーチューブ(95)にて(F)点から(G)点
まで減圧されて中間圧の冷媒となり、気液分離器(94)に
流入する。この中間圧の冷媒は、気液分離器(94)内でガ
ス冷媒と液冷媒とに分離され、(C)点の中間圧のガス冷
媒は圧縮行程中の圧縮機(1)に吸入されて(C)点から(D)
点に至る一方、(H)点の中間圧の液冷媒は、第2キャピ
ラリーチューブ(96)にて(H)点から(I)点まで減圧されて
低圧の二相冷媒となる。そして、この低圧の二相冷媒
は、蒸発器(93)で蒸発して、四路切換弁(91)とアキュム
レータ(98)を経た後、圧縮機(1)に吸入されて、(I)点か
ら(A)点に至る。
【0057】以上の動作により、上記暖房運転では、中
間圧の冷媒をインジェクションしない場合に比べて、凝
縮器における冷媒循環量が増大し、暖房能力が向上す
る。
【0058】−ロータリー圧縮機(1)の動作− 次に、図5を参照しながら、上記運転における圧縮機
(1)の動作について説明する。
【0059】圧縮機(1)では、電動モータ(3a)を駆動す
ることによりクランク軸(5)が回転し、それに従ってカ
ム(23)も回転する。そして、カム(23)がピストン(14)の
軸孔(22)内でピストン(14)の内周面(32b)と摺動して回
転することにより、ブレード(14a)が中間圧冷媒吸入口
(29)の位置を中心に揺動しつつ、ピストン(14)はシリン
ダ室(20)内を公転する。
【0060】本実施形態では、ピストン(14)は上部から
見て時計回りに公転する。まず、図5(a)に示すよう
にピストン(14)がブッシュ孔(24)に最も近づいた位置、
つまり上死点にある位置からピストン(14)が公転し、吸
入口(21a)に連通する低圧室(20b)がブレード(14a)の右
側に形成されると共に、ピストン(14)の左側には高圧室
(20a)が形成される。そして、ピストン(14)の公転に伴
い、アキュムレータ(98)から吸入路(21)を通じて低圧の
ガス冷媒(A)が吸入され、低圧室(20b)に供給される。こ
のとき、シリンダ連通孔(31)は開状態にあり、高圧室(2
0a)にはインジェクション配管(12)からインジェクショ
ン通路(35)を通じて中間圧のガス冷媒(C)が供給され
る。
【0061】そして、ピストン(14)が更に公転し、図5
(b)の状態を経て、図5(c)に示す位置において、
シリンダ連通孔(31)は閉状態となり、高圧室(20a)への
中間圧のガス冷媒(C)の供給は停止される。この位置
は、高圧室(20a)の冷媒の圧力が中間圧のガス冷媒の圧
力よりやや小さい位置、つまり、中間圧のガス冷媒がも
はや高圧室(20a)に流入しにくい位置である。
【0062】その後、シリンダ連通孔(31)が閉止された
状態でピストン(14)が更に公転し、高圧室(20a)内の冷
媒ガスは圧縮され、所定の圧力になったときに吐出口(2
7)の吐出弁(27a)が開き、高圧の吐出ガス(E)となって吐
出口(27)を通じてケーシング(2)内へ吐出される。
【0063】そして、ピストン(14)が更に公転し、図5
(d)に示す位置からシリンダ連通孔(31)は再び開口す
る。この際、シリンダ連通孔(31)の開口に伴い、中間圧
のガス冷媒(C)が供給され、中間圧ガス冷媒は低圧室(20
b)のガス冷媒(A)と混合する。
【0064】以上のようにして、ピストン(14)が1公転
するごとに、1サイクルの圧縮動作が行われる。圧縮機
(1)では、以上のサイクルを連続的に繰り返すことによ
り、凝縮器(92)に高圧のガス冷媒を連続的に供給してい
る。
【0065】−ロータリー圧縮機(1)の効果− 実施形態1のロータリー圧縮機(1)では、下部軸受け(1
7)に十分な深さを有する凹部(31a)を設けることにより
シリンダ連通孔(31)を形成したので、下部軸受け(17)の
深さ方向の空間を有効に利用することができ、中間圧冷
媒の流路面積を大きくすることができる。つまり、上下
方向の面積を大きくすることにより、下部軸受け(17)の
上面に開口する面積の制約を受けることなく、中間圧冷
媒がシリンダ室(20)に流入する際の流路面積を大きくす
ることができる。そのため、中間圧の冷媒がシリンダ室
(20)に流入する際の圧力損失が小さい。
【0066】また、ピストン(14)及びブレード(14a)に
連通溝(30)を設けると共に、ブレード(14a)の揺動中心
に中間圧冷媒吸入口(29)を設けている。そのため、ピス
トン(14)の位置に関わらず中間圧冷媒吸入口(29)が連通
溝(30)に対して常に開口しているので、常に連通溝(30)
に中間圧冷媒が供給される。そして、この連通溝(30)に
蓄えられた中間圧冷媒が、シリンダ連通孔(31)を通過す
る際の冷媒の流速の変動を吸収する役目を果たす。この
結果、中間圧冷媒の圧力損失が減少する。
【0067】このように、実施形態1の圧縮機(1)で
は、中間圧冷媒がシリンダ室(20)に流入する際の圧力損
失が小さいので、十分なインジェクション量が確保でき
る。そのため、凝縮器での冷媒循環量を十分に増加させ
ることができ、暖房能力を著しく向上させることができ
る。
【0068】また、中間圧冷媒の流路面積の増加は専ら
凹部(31a)の深さを深くすることによりなされているの
で、下部軸受け(17)の上面に占める凹部(31a)の面積は
従来に比べ増加していない。そのため、凹部(31a)の位
置決めが容易であり、凹部(31a)の位置が多少ずれたと
しても、ピストン(14)の軸孔(22)内空間とシリンダ室(2
0)との間で冷媒がバイパスすることはない。
【0069】−変形例1− 上記の実施形態1の圧縮機(1)では、下部軸受け(17)に
連通路(28)及びシリンダ連通孔(31)を設け、ピストン(1
4)の下側に連通溝(30)を形成した。一方、上記の圧縮機
(1)の変形例1として、上部軸受け(16)に連通路(28)及
びシリンダ連通孔(31)を同様にして設け、ピストン(14)
の上側に連通溝(30)を同様にして形成してもよい。この
変形例1においても、上記と同様の理由により、実施形
態1の圧縮機(1)と同様の効果が得られる。
【0070】−変形例2− また、変形例2として、実施形態1の圧縮機(1)におい
て、シリンダ連通孔(31)を複数個、例えば2個設けても
よい。図6に示すように、所定間隔を存して、第1シリ
ンダ連通孔(31b)及び第2シリンダ連通孔(31c)の2つの
シリンダ連通孔(31)を下部軸受け(17)に形成してもよ
い。
【0071】このようにシリンダ連通孔(31)を複数個設
けることにより、全体としてシリンダ連通孔(31)部分の
中間圧冷媒の流路面積を増加することができる。その結
果、中間圧冷媒の圧力損失を更に低減することができ、
インジェクション量の更なる増加を図ることができる。
【0072】−変形例3− また、変形例3として、図7に示すように、上部軸受け
(16)及び下部軸受け(17)の双方に連通路(28)及びシリン
ダ連通孔(31s),(31t)を設け、ピストン(14)の上側及び
下側に連通溝(30d)を形成してもよい。この場合、連通
溝(30d)は、ピストン(14)の強度を確保する観点から実
施形態1の連通溝(30)よりも浅く形成し、例えば、ピス
トン(14)の高さの1/4の深さに形成する。
【0073】なお、上部軸受け(16)のシリンダ連通孔(3
1s)と下部軸受け(17)のシリンダ連通孔(31t)とを、垂直
方向における位置関係が揃った位置ではなく、ずらした
位置に形成してもよい。
【0074】また、上部軸受け(16)のシリンダ連通孔(3
1s)又は下部軸受け(17)のシリンダ連通孔(31t)を複数個
の連通孔で構成してもよい。
【0075】このように、変形例3においても、シリン
ダ連通孔(31)部分の中間圧冷媒の流路面積が増加する。
その結果、中間圧冷媒の圧力損失を低減することがで
き、インジェクション量の増加を図ることができる。
【0076】
【発明の実施の形態2】図8に示すように、実施形態2
のロータリー圧縮(1)は、実施形態1のロータリー圧縮
機(1)において、ピストン連通溝(30c)を、ピストン(14)
の全周ではなく、吐出口(27)側の略半円環部分(33)に形
成したものである。
【0077】ピストン(14)の軸孔(22)内の空間にはケー
シング(2)内の高圧の冷媒が侵入しているため、ピスト
ンの(14)の軸孔(22)内は高圧になっている。一方、低圧
室(20b)は低圧である。そのため、ピストン(14)の軸孔
(22)内の空間と低圧室(20b)との間で、ピストン(14)の
上面又は下面における若干の冷媒の漏れが生じる可能性
がある。
【0078】ところが、実施形態2の圧縮機(1)では、
ピストン(14)における軸孔(22)内空間と低圧室(20b)と
の間の部分、つまり、吸入口(21a)側の略半円環部分に
は、連通溝が形成されていないので、冷媒の漏れが生じ
にくい。そのため、ピストン(14)の端面での冷媒の漏れ
は抑制される。
【0079】なお、高圧室(20a)と軸孔(22)内空間との
間では、一般に圧力差が小さいため、ピストン(14)端面
での冷媒の漏れは問題とならない。
【0080】また、実施形態2の圧縮機(1)において
も、ブレード(14a)及び吐出口(27)側のピストン(14)に
連通溝(30)が形成されているので、実施形態1と同様
に、連通溝(30)内に蓄えられた中間圧冷媒が圧力損失を
吸収する効果も得られる。
【0081】従って、実施形態2の圧縮機(1)では、実
施形態1で述べた効果に加え、ピストン(14)端面におけ
る冷媒の漏れが抑制され、圧縮機の効率が向上する。
【0082】
【発明の実施の形態3】図9に示すように、実施形態3
のロータリー圧縮機(1)は、実施形態1の圧縮機(1)にお
いて、インジェクション配管(12)と下部軸受け(17)の連
通路(28)との間に、中間圧冷媒加熱部としてのコイル状
の加熱用配管(40)が設けられている。この加熱用配管(4
0)は、銅管等の伝熱管で構成され、油溜め部(6)に貯留
された潤滑油(O)に浸漬されている。なお、この潤滑油
(O)は、インジェクション配管(12)を流れる中間圧冷媒
よりも高温である。
【0083】そして、下部軸受け(17)の連通路(28)は、
一端が中間圧冷媒吸入口(29)に開口すると共に、他端は
下部軸受け(17)の下面で開口し、加熱用配管(40)の一端
と接続されている。従って、実施形態3の圧縮機(1)で
は、インジェクション通路(35)は、加熱用配管(40)、連
通路(28)、中間圧冷媒吸入口(29)、連通溝(30)、及びシ
リンダ連通孔(31)から構成されている。
【0084】実施形態3の圧縮機(1)では、インジェク
ション配管(12)を通過した中間圧のガス冷媒は、加熱用
配管(40)を通過する際に油溜め部(6)の潤滑油(O)と熱交
換して加熱され、エンタルピが増加する。そして、エン
タルピが増加した状態で連通路(28)、中間圧冷媒吸入口
(29)、連通溝(30)、及びシリンダ連通孔(31)を経てシリ
ンダ室(20)に吸入される。
【0085】そのため、図10に示すように、実施形態
3の圧縮機(1)では、低圧から中間圧まで圧縮されたガ
ス冷媒と中間圧のガス冷媒とが混合した際の冷媒(D1)の
エンタルピ(Id1)は、加熱用配管(40)がない場合(D)のエ
ンタルピ(Id)に比べて大きくなる。その結果、圧縮され
た冷媒(E1)は、加熱用配管(40)がない場合(E)に比べ、
エンタルピが大きくなる。従って、高圧を一定とした場
合に、凝縮器(92)でのエンタルピ変化をIaからIa+
Ibにすることができ、エンタルピ差をより大きく確保
することができるので、暖房能力を一層向上させること
ができる。
【0086】−変形例−また、中間圧のガス冷媒を加熱
する他の手段として、電動モータ(3a)の効率を低下させ
ることにより電動モータ(3a)の発熱量を増加させ、この
電動モータ(3a)の熱を中間圧のガス冷媒に与えてもよ
い。このことにより、余分な機器を付加することなく、
中間圧冷媒を加熱することができる。
【0087】例えば、実施形態1の圧縮機(1)におい
て、電動モータ(3a)の効率が低い状態で運転を行う。こ
れにより、電動モータ(3a)の発熱量が増し、圧縮機(1)
全体の温度が上昇する。そして、インジェクション配管
(12)を流れてきた中間圧のガス冷媒は、下部軸受け(17)
の連通路(28)と、ブレード(14a)及びピストン(14)の連
通溝(30)とを通過する際に加熱され、そのエンタルピが
増加する。
【0088】従って、本変形例においても、上記の実施
形態3の圧縮機(1)と同様の理由により、暖房能力が一
層向上する。
【0089】なお、上記の実施形態3の圧縮機(1)にお
いて、電動モータ(3a)の損失で吐出ガス温度を上昇さ
せ、エンタルピを増加することができるので、電動モー
タ(3a)の効率を低下させて運転させてもよい。
【0090】−他の実施形態− 以上の実施の形態では、ロータリー圧縮機(1)を、気液
分離器(94)で分離した中間圧のガス冷媒を圧縮機(1)に
吸入させるガスインジェクション冷凍サイクルに用いて
いた。しかし、本発明によるロータリー圧縮機(1)の適
用範囲は、このようなガスインジェクション冷凍サイク
ルに限定されるものではない。
【0091】即ち、上記のロータリー圧縮機(1)は、気
液分離器(94)で分離した中間圧の液冷媒を圧縮機に吸入
させる液インジェクション冷凍サイクルで用いることも
できる。
【0092】この場合でも、中間圧の冷媒の圧力損失が
低減し、暖房能力の向上を図ることができる。
【0093】また、上記の実施の形態では、1つのシリ
ンダ(13)を2つのヘッド(16),(17)で挟んで成る1シリ
ンダの圧縮機であったが、本発明は、複数シリンダ、例
えば2シリンダの圧縮機に適用することも可能である。
各ヘッド又はミドルプレートに連通路及びシリンダ連通
孔を設けることにより、上記実施形態と同様の効果が得
られる。
【0094】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下の
ような効果が発揮される。
【0095】請求項1に記載の発明によれば、第1ヘッ
ド又は第2ヘッドに十分な深さを有するシリンダ連通孔
を形成することができ、中間圧冷媒がシリンダ室に流入
する際の流路面積を大きくすることができる。そのた
め、中間圧冷媒の圧力損失を低減することができる。ま
た、ピストン及びブレードに設けられた連通溝に中間圧
冷媒が常に供給されているので、この中間圧冷媒がシリ
ンダ連通孔を通過する際の冷媒の流速変動を緩和するこ
とによっても、圧力損失が低減する。従って、十分なイ
ンジェクション量を確保でき、暖房能力等を向上させる
ことができる。
【0096】請求項2に記載の発明によれば、簡単な構
造でシリンダ連通孔を形成することができる。また、シ
リンダ連通孔の位置が多少ずれていても、ピストンの軸
孔内空間とシリンダ室との間でのシリンダ連通孔を通過
する冷媒のバイパスが発生することがない。
【0097】請求項3に記載の発明によれば、ピストン
の軸孔内空間と低圧室との間でのピストン端面における
冷媒漏れが減少し、圧縮機の効率が向上する。
【0098】請求項4に記載の発明によれば、中間圧冷
媒がシリンダ室に流入する際の流路面積が増加し、圧力
損失が一層低下する。
【0099】請求項5に記載の発明によっても、中間圧
冷媒がシリンダ室に流入する際の流路面積が増加し、圧
力損失が一層低下する。
【0100】請求項6に記載の発明によれば、中間圧冷
媒のエンタルピを増加させることができ、吐出後の冷媒
が凝縮する際のエンタルピ変化を大きくすることができ
る。そのため、暖房能力を向上させることができる。
【0101】請求項7に記載の発明によれば、簡単な構
成で加熱手段を実現することができる。
【0102】請求項8に記載の発明によれば、余分な機
器を付加することなく、駆動手段が発生した余分の熱を
有効に利用することにより、加熱手段を構成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートポンプ式空気調和装置の冷媒回路図であ
る。
【図2】実施形態1のロータリー圧縮機の縦断面図であ
る。
【図3】図2のAA線断面の一部分の断面図である。
【図4】冷凍サイクルのモリエル線図である。
【図5】圧縮動作を説明するための図である。
【図6】変形例の図3相当図である。
【図7】他の変形例の図3相当図である。
【図8】実施形態2の図3相当図である。
【図9】実施形態3の圧縮機の縦断面図である。
【図10】実施形態3における冷凍サイクルのモリエル
線図である。
【図11】従来の圧縮機の圧縮要素の縦断面図である。
【図12】図11のXX線断面図である。
【符号の説明】
(1) ロータリー圧縮機 (2) ケーシング (3) 駆動手段 (4) 圧縮手段 (5) クランク軸 (6) 油溜め部 (13) シリンダ (14) ピストン (14a) ブレード (28) 連通路 (29) 中間圧冷媒吸入口 (30) 連通溝 (31) シリンダ連通孔 (31a) 凹部 (35) インジェクション通路 (40) 加熱用配管

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低圧冷媒吸入管(11)及び中間圧冷媒吸入
    管(12)から吸入した冷媒を混合した後圧縮し、高圧冷媒
    を高圧冷媒吐出管(10)に吐出するロータリー圧縮機であ
    って、 ブレード(14a)が一体的に形成された環状のピストン(1
    4)がシリンダ(13)の軸心に対して偏心してシリンダ室(2
    0)に収納され、 上記ブレード(14a)が、シリンダ(13)の支持孔(24)に進
    退自在に挿入される一方、 上記シリンダ室(20)を区画する第1ヘッド(16)又は第2
    ヘッド(17)に、一端が中間圧冷媒吸入管(12)に連通し、
    他端がブレード(14a)の揺動中心の位置に開口した中間
    圧冷媒吸入口(29)となる中間圧冷媒の連通路(28)が設け
    られ、 上記ブレード(14a)及びピストン(14)には、中間圧冷媒
    吸入口(29)が開口する連通溝(30)が形成される一方、 上記第1ヘッド(16)又は第2ヘッド(17)には、ピストン
    (14)が所定位置にあるときに連通溝(30)とシリンダ室(2
    0)とを連通させるシリンダ連通孔(31)が設けられている
    ことを特徴とするロータリー圧縮機。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のロータリー圧縮機にお
    いて、 シリンダ連通孔(31)は、第1ヘッド(16)又は第2ヘッド
    (17)におけるシリンダ室(20)に臨む表面に形成された凹
    部(31a)から成ることを特徴とするロータリー圧縮機。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のロータリー圧縮機にお
    いて、 連通溝(30)は、ブレード(14a)の長手方向に延びるブレ
    ード連通溝(30a)と、ピストン(14)の吐出口(27)側の略
    半円環部分(33)に形成されたピストン連通溝(30c)とか
    ら成ることを特徴とするロータリー圧縮機。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のロータリー圧縮機にお
    いて、 シリンダ連通孔(31)が、複数個設けられていることを特
    徴とするロータリー圧縮機。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のロータリー圧縮機にお
    いて、 シリンダ連通孔(31)は、第1ヘッド(16)及び第2ヘッド
    (17)の双方に設けられていることを特徴とするロータリ
    ー圧縮機。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のロータリー圧縮機にお
    いて、 中間圧冷媒吸入管(12)から流入した中間圧冷媒を加熱す
    る加熱手段(40)が設けられていることを特徴とするロー
    タリー圧縮機。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のロータリー圧縮機にお
    いて、 ケーシング(2)の底部には、潤滑油(O)が貯留され、 加熱手段(40)は、一端が中間圧冷媒吸入管(12)に接続さ
    れ、他端が連通路(28)に接続され、上記潤滑油(O)に浸
    漬された伝熱管(40)を有していることを特徴とするロー
    タリー圧縮機。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のロータリー圧縮機にお
    いて、 加熱手段(40)は、ピストン(14)を駆動する駆動手段(3)
    から成ることを特徴とするロータリー圧縮機。
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