JPH10140364A - 無電解めっき液 - Google Patents

無電解めっき液

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JPH10140364A
JPH10140364A JP26488297A JP26488297A JPH10140364A JP H10140364 A JPH10140364 A JP H10140364A JP 26488297 A JP26488297 A JP 26488297A JP 26488297 A JP26488297 A JP 26488297A JP H10140364 A JPH10140364 A JP H10140364A
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JP
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electroless plating
plating solution
ion
iron
ions
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JP26488297A
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English (en)
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Kazunori Kozuka
一法 小塚
Koji Kondo
宏司 近藤
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 めっき液の安定性を確保してノジュールの発
生を防止できる無電解めっき液を提供する。 【解決手段】 無電解めっき液は,ニッケルイオンと,
銅イオン又はコバルトイオンの1種以上よりなる金属イ
オンと,ヒドロキシカルボン酸を含む錯化剤と,還元剤
と,鉄イオンと,アニオン性界面活性剤とを含有する。
pHが7以上である。鉄イオンは2価又は3価であり,
鉄イオン源は,フェロシアン化カリウム又はフェリシア
ン化カリウム等であることが好ましい。錯化剤は,無電
解めっき液の中に,上記ニッケルイオンと上記金属イオ
ンとの合計モル数と同等モル以上含まれていることが好
ましい。無電解めっき液の中には,鉄イオンは0.00
5〜1g/リットル,アニオン性界面活性剤は0.01
〜20g/リットル含まれていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,無電解めっき液に関し,特に安
定でノジュールの発生がなく,表面が平滑なめっき膜を
形成できる無電解めっき液に関する。
【0002】
【従来技術】めっき膜を基板上に形成するに当たって
は,めっき液中で電気分解をすることにより基板上に金
属を析出させる電気めっき法,基板表面に金属を化学的
に還元析出させる無電解めっき法がある。
【0003】前者の電気めっき法としては,例えば,特
開平6−136589号公報に開示されているごとく,
鉄イオン,ニッケルイオン,界面活性剤等を含有する電
解めっき液に基板を浸漬して,電解めっき液に電流を流
して電気分解を行い,基板上に鉄−ニッケル合金めっき
膜を形成する方法がある。
【0004】一方,後者の無電解めっき法は,一般に金
属塩及び還元剤を含む無電解めっき液中でこれらの間で
おこる化学反応により,連続的に金属めっき膜を析出さ
せる方法である。この無電解めっき液には,酸性タイプ
とアルカリ性タイプがある。例えば,無電解めっき液と
しては,特開平4−116175号公報に開示されてい
るごとく,硫酸ニッケルと,還元剤としての次亜リン酸
と,錯化剤としてのクエン酸を含有するものがある。
【0005】無電解めっき液の大きな利点は,適当な前
処理を行った非電導体の表面に導電性の金属皮膜を付け
ることができ,しかもどのような形状の基板に対しても
均一な厚みでめっき膜を施すことができるということで
ある。従って,無電解めっきは,従来より,装飾用や防
錆,磁気ディスク,プリント配線板のパターン形成等に
広く利用されている技術である。
【0006】具体的には,無電解めっき液は,例えば,
アディティブ法によるプリント配線板の製造方法におい
て,配線パターンの下地めっきとして利用されている。
即ち,まず,図11に示すごとく,基板91にバイアホ
ール90を穿設する。次いで,基板91の表面における
パターン非形成部分にめっきレジスト92を形成する。
【0007】次いで,無電解めっきを行うことにより,
パターン形成部分及びバイアホールの内部に下地めっき
931を形成し,次いで電解めっきを行うことにより厚
付け銅めっき932を形成して,下地めっき931及び
厚付け銅めっき932からなる配線パターン93及びバ
イアホールめっき930を形成する。プリント配線板形
成用の下地めっきとしては,例えば,特開平6−318
771号公報に開示されているごとく,無電解銅−ニッ
ケルめっきが,基板91と厚付け銅めっき932との密
着性を高める。
【0008】
【解決しようとする課題】しかしながら,無電解めっき
液では,金属塩と還元剤が常に反応できる状態にあるた
め,無電解めっき液は熱力学的に不安定である。そのた
め,無電解めっき液では安定性の確保が最も重要な問題
である。そこで,従来,例えば,鉛等の金属イオンを含
む様々な安定剤が,特開平4−116175号公報には
アンモニウム塩からなる安定剤が,また,特開平4−1
57169号公報にはフェロシアン化合物と硫化物とか
らなる安定剤が提案されている。しかし,鉛の使用は環
境保全の観点から好ましくない。また,先行技術のいず
れも,無電解めっき液の安定化を十分に達成していると
はいえない。
【0009】また,無電解めっき液が不安定であること
は,上記配線パターンの形成時においても種々の問題を
生じさせる。即ち,配線パターン93は,ファインパタ
ーン化の要請により,パターンの太さ,パターン間の間
隙が狭くなってきている。そのため,ライン間の狭い間
隙に異常析出が生じないようにしなければならない。異
常析出はノジュールと呼ばれ,ショートの原因となる。
このノジュールは,めっき反応の近傍において,無電解
めっき液中において安定剤の役目を果たす酸素の濃度
が,限りなく0(ゼロ)になった場合に起こる液分解反
応であると考えられている。
【0010】また,下地めっき931にノジュールが発
生すると,その上に厚づけ銅めっき932を被覆した場
合には,その銅めっきも追従してライン間でのショート
が発生しやすい状態となる。しかし,平6−31877
1号公報に開示された無電解銅ニッケルめっきは,ライ
ン幅が100μm以下の細幅の配線パターンを形成する
と,下地めっきにノジュールが発生してしまう場合があ
る。
【0011】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,めっ
き液の安定性を確保してノジュールの発生を防止できる
無電解めっき液を提供しようとするものである。
【0012】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,ニッケルイオン
と,銅イオン又はコバルトイオンの1種又は2種よりな
る金属イオンと,ヒドロキシカルボン酸を含む錯化剤
と,還元剤とを有してなり,pHが7以上の無電解めっ
き液であって,該無電解めっき液は,鉄イオンとアニオ
ン性界面活性剤とを含有することを特徴とする無電解め
っき液である。
【0013】次に,本発明の作用及び効果について説明
する。本発明においては,鉄イオンを含有している。鉄
イオンの添加により,無電解めっき液の安定性が向上
し,ノジュールの発生を抑制することができる。また,
上記無電解めっき液はヒドロキシカルボン酸を含む錯化
剤を含有し,pHが7以上であるため,上記鉄イオンに
よるめっき液の安定化効果を更に有効に発揮することが
できる。一方,無電解めっき液のpHが7未満の場合に
は,ヒドロキシカルボン酸が沈澱したり,ニッケルイオ
ン又は金属イオンと錯イオンを形成しないなどの問題が
ある。更に,鉄イオンだけでなくアニオン性界面活性剤
を添加している。これにより,表面が平滑なめっき膜を
形成することができる。
【0014】次に,請求項2の発明のように,上記鉄イ
オンは2価又は3価であることが好ましい。これによ
り,無電解めっき液の安定性をより一層向上させること
ができる。
【0015】次に,請求項3の発明のように,上記鉄イ
オン源は,フェロシアン化カリウム(K4 〔Fe(C
N)6 〕),フェリシアン化カリウム(K3 〔Fe(C
N)6〕)塩化鉄(II),硫酸鉄(II),塩化鉄
(III)及び硫酸鉄(III)のグループから選ばれ
る1種又は2種以上よりなることが好ましい。これによ
り,2価又は3価の鉄イオンを容易に無電解めっき液に
添加することができる。
【0016】次に,請求項4の発明のように,上記錯化
剤は,上記無電解めっき液の中に,上記ニッケルイオン
と,銅イオン又はコバルトイオンの1種又は2種よりな
る金属イオンとの合計モル数と同等モル以上含まれてい
ることが好ましい。これにより,金属イオンとの錯イオ
ンを安定なものとすることができる。一方,上記錯化剤
の含有量の上限はないが,望ましくは,実用上の観点か
ら,モル数で,上記ニッケルイオンと,銅イオン又はコ
バルトイオンの1種又は2種よりなる金属イオンとの合
計モル数の10倍以下である。
【0017】上記ヒドロキシカルボン酸を含む錯化剤の
具体例としては,例えば,ロッシェル塩,クエン酸,リ
ンゴ酸,グルコヘプトン酸,マロン酸等の有機酸又はこ
れらの塩があげられる。
【0018】次に,請求項5の発明のように,上記フェ
ロシアンイオンは,上記無電解めっき液の中に,5mg
/リットル〜1g/リットル含まれていることが好まし
い。これにより,無電解めっき液の安定性をより一層高
めることができる。一方,5mg/リットル未満の場合
には,無電解めっき液が分解しやすくなるおそれがあ
る。逆に,1g/リットルを越える場合には,鉄イオン
自身が不安定になるおそれがある。なお,フェロシアン
イオン源は,例えば,フェロシアン化カリウム等のフェ
ロシアン塩である。
【0019】次に,請求項6の発明のように,上記アニ
オン性界面活性剤は,上記無電解めっき液の中に,10
mg/リットル〜20g/リットル含まれていることが
好ましい。これにより,めっき膜表面の平滑性をより一
層向上させることができる。一方,10mg/リットル
未満の場合には,めっき膜表面が粗くなるおそれがあ
る。逆に,20g/リットルを越える場合には,反応性
が低下し,めっき膜が形成されないおそれがある。
【0020】上記還元剤としては,例えば,NiS
4 ,次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩,ジメチ
ルアミンボラン,ジブチルアミンボラン,ホリマリン,
ヒドラジン,水酸化ホウ素ナトリウム等の水酸化ホウ素
塩等を用いることができる。
【0021】還元剤がNiSO4 である場合には,上記
無電解めっき液の中のNiSO4 が10〜40g/リッ
トル,もしくは0.05〜0.20M含まれていること
が好ましい。10g/リットル未満の場合もしくは0.
05M未満の場合には,めっき析出反応が遅くなる場合
がある。また,40g/リットルを超える場合もしくは
0.20Mを超える場合には,NiSO4 の無電解めっ
き液の中への溶解状態が飽和に近くなり,溶解性が低下
する場合がある。
【0022】また,還元剤が次亜リン酸ナトリウムの場
合には,上記無電解めっき液の中に,次亜リン酸ナトリ
ウムが5〜100g/リットル,もしくは0.04〜
0.85M含まれていることが好ましい。5g/リット
ル未満の場合もしくは0.04M未満の場合には,めっ
き析出反応が遅くなる場合がある。また,100g/リ
ットルを超える場合もしくは0.85Mを超える場合に
は,次亜リン酸ナトリウムの無電解めっき液の中への溶
解状態が飽和に近くなり,溶解性が低下する場合があ
る。
【0023】上記アニオン性界面活性剤としては,例え
ば,Fc−95(3M社,フロリナート(商品名)),
ドデシル硫酸ナトリウム,ラウリル硫酸ナトリウム,ラ
ウリル酸塩,ステアリン酸,ステアリン酸塩等を用いる
ことができる。
【0024】ニッケルイオン源としては,例えば,硫酸
ニッケル,塩化ニッケル等を用いることができるが,こ
れらに限定されない。銅イオン源としては,例えば,硫
酸銅,塩化銅,水酸化銅等を用いることができるが,こ
れらに限定されない。コバルトイオン源としては,例え
ば,塩化コバルト,グルコン酸コバルト等を用いること
ができるが,これらに限定されない。
【0025】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる無電解めっき液について,
図1,図2を用いて説明する。本例の無電解めっき液
は,図1(B)に示すごとく,硫酸ニッケル25g/リ
ットルと,硫酸銅1.25g/リットルと,錯化剤とし
てのクエン酸二ナトリウム42g/リットルと,還元剤
としての次亜リン酸ナトリウム21g/リットルとを含
有してなり,pHが10である。
【0026】また,無電解めっき液は,鉄イオンとアニ
オン性界面活性剤とを含有する。アニオン性界面活性剤
は,0.1g/リットルのFC−95(商品名,3M社
製)である。鉄イオン源は,フェロシアン化カリウム
(K4 〔Fe(CN)6 〕)であり,その添加量は1
0,30,50,100,200mg/リットルと変化
させた。なお,比較のために,フェロシアン化カリウム
を添加しない無電解めっき液(STD)を調製した。
【0027】次に,上記無電解めっき液の安定性につい
て評価した。無電解めっき液は,酸素の濃度を下げるこ
とにより自己分解する。そして,自己分解した無電解め
っき液により無電解めっき膜を形成すると,異常析出で
あるノジュールが発生する。そのため,ノジュールは,
めっき反応の近傍において無電解めっき液中の酸素濃度
が限りなく0になった場合に起こる,無電解めっき液の
自己分解反応によって発生するものと考えられる。そこ
で,無電解めっき液の安定性は,無電解めっき液中の酸
素濃度を下げた時の自己分解に至る時間で評価できると
考えられる。
【0028】かかる推測に基づき,無電解めっき液の安
定性を,以下のように測定した。即ち,フェロシアン化
カリウムの濃度の異なる各無電解めっき液を,液温を6
0℃とし,それぞれ窒素を2N(ノルマル)l/mi
n.導入した。そして,無電解めっき液中にニッケルが
析出し始めたときに,無電解めっき液の自己分解反応が
開始したものとして,そのときの時間を記録した。測定
回数は3回であった。各無電解めっき液の自己分解開始
時間を,図1(A)に示した。
【0029】同図より,フェロシアン化カリウムを10
mg/リットル以上添加することにより,1時間以上自
己分解をせず,安定であることがわかる。一方,フェロ
シアン化カリウムを添加しない場合(STD)には,1
0分間に満たない短い時間で自己分解が開始した。この
ことから,フェロシアン化カリウムを添加することによ
り,無電解めっき液が安定して,ノジュールの発生を抑
制できることがわかる。
【0030】次に,図2(B)に示すごとく,フェロシ
アン化カリウムを30mg/リットル添加した場合の無
電解めっき液を用いて,無電解めっき膜を形成した。無
電解めっき膜表面を,SEM(走査電子顕微鏡)により
観察した。その結果,図2(A)に示すSEM写真より
明らかなように,無電解めっき膜の表面は平滑であっ
た。一方,フェロシアン化カリウムを添加しない場合
(STD)についても,同様にSEM写真により無電解
めっき膜表面を観察した。その結果,無電解めっき膜の
表面は,フェロシアン化カリウムを添加した場合と同様
に平滑であった。
【0031】このことから,フェロシアン化カリウムの
添加により,無電解めっき液の安定性が著しく向上す
る,また,無電解めっき膜の表面は,フェロシアン化カ
リウム無添加の場合と同様に平滑であることがわかる。
また,本例の無電解めっき液を用いて,アディティブ法
により配線パターンを形成した。その結果,ライン幅が
約100μm以下の細幅の配線パターンであっても,ノ
ジュールが発生せずに,平滑なめっき表面にすることが
できた。
【0032】実施形態例2 本例においては,実施形態例1のフェロシアン化カリウ
ムの代わりに,鉄イオン源としてフェリシアン化カリウ
ム(K3 〔F4 (CN)6 〕,塩化鉄(II)(FeC
2 ),塩化鉄(III)(FeCl3 ),又は硫酸ア
ンモニウム鉄(III)を添加した。その他は,実施形
態例1と同様である。本例においても,実施形態例1と
同様に,無電解めっき液が安定でノジュールの発生がな
く,また平滑な無電解めっき膜を形成できた。
【0033】実施形態例3 本例においては,実施形態例1のFc−95の代わり
に,アニオン性界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウ
ム,ステアリン酸ナトリウム,ラウリン酸ナトリウム又
はラウリル硫酸ナトリウムを用いた。その他は,実施形
態例1と同様である。この場合にも,実施形態例1と同
様に,無電解めっき液の安定化効果,及び無電解めっき
膜の表面平滑性が得られた。
【0034】実施形態例4 本例においては,実施形態例1におけるSTDの成分を
変えて無電解めっき液を調製した。還元剤としては,実
施形態例1の次亜リン酸ナトリウムの代わりに,水素化
ホウ素塩,ヒドラジン,ジブチルアミンボラン又はジメ
チルアミンボランを用いた。錯化剤としては,実施形態
例1のクエン酸二ナトリウムの代わりに,ロッシェル塩
又はリンゴ酸を用いた。
【0035】ニッケルイオン源としては,実施形態例1
の硫酸ニッケルの代わりに,塩化ニッケルを用いた。銅
イオン源としては,実施形態例1の硫酸銅の代わりに,
塩化銅又は水酸化銅を用いた。また,上記銅イオンの代
わりに,又は上記銅イオンと共に,コバルトイオンを用
いた。コバルトイオン源としては,塩化コバルト又はグ
ルコン酸コバルトを用いた。
【0036】鉄イオン源としてはフェリシアン化カリウ
ム,アニオン性界面活性剤としてはFC−95を,実施
形態例1と同様に用いた。これらの場合にも,実施形態
例1と同様に,無電解めっき液の安定化効果,及び無電
解めっき膜の表面平滑性が得られた。
【0037】比較例1 本例においては,アニオン性界面活性剤の代わりに,非
イオン性界面活性剤を添加した。非イオン性界面活性剤
としては,ポリエチレングリコール(PEG1000)
を用いた。非イオン性界面活性剤の添加量は0.1g/
リットルとした。その他は,実施形態例1と同様であ
る。
【0038】本例においても実施形態例1と同様に無電
解めっき液の自己分解開始時間を測定したところ,1時
間以上経過しても自己分解は開始しなかった。このこと
から,本例の無電解めっき液は,安定性に優れているこ
とがわかる。次に,図3(B)に示すごとく,無電解め
っき液を用いて無電解めっき膜を形成した。無電解めっ
き膜の表面を,SEMにより観察したところ,図3
(A)に示すごとく,無電解めっき膜の表面が荒れてい
た。この無電解めっき膜の表面粗さは,目視によっても
観察できた。
【0039】比較例2 本例においては,フェロシアン化カリウムを添加しない
で無電解めっき液を調製したことの他は,比較例1と同
様である。本例においても実施形態例1と同様に無電解
めっき液の自己分解開始時間を測定したところ,10分
に満たない短い時間で自己分解が開始した。このことか
ら,本例の無電解めっき液は,安定性に劣っていること
がわかる。次に,図4(B)に示すごとく,無電解めっ
き液を用いて無電解めっき膜を形成した。無電解めっき
膜の表面を,図4(A)に示すごとく,SEM(走査電
子顕微鏡)により観察した。その結果,無電解めっき膜
の表面は平滑であった。
【0040】本比較例2と比較例1とを比較(図3と図
4とを比較)すると,非イオン性界面活性剤はフェリシ
アン化カリウムと共存すると,無電解めっき液を安定化
させるが,無電解めっき膜の表面を粗くすることがわか
る。その理由は,非イオン性界面活性剤は鉄イオンと相
性が悪い可能性が高いため,フェロシアン化カリウムに
よって,無電解めっき膜表面を平滑化させる界面活性剤
の効果が失われたためであると考えられる。
【0041】比較例3 本例においては,アニオン性界面活性剤及びフェロシア
ン化カリウムを添加する代わりに,ビピリジルを添加し
た点が,実施形態例1と相違する。即ち,実施形態例1
におけるSTDの無電解めっき液に,ビピリジルを,2
0,60,100,200mg/リットル添加して,無
電解めっき液を調製した。なお,ビピリジルは,従来,
無電解めっき液安定剤として用いられているものであ
る。この無電解めっき液を実施形態例1と同様にして,
無電解めっき液の安定性を評価した。その結果を,図5
に示した。
【0042】同図より,ビピリジルの添加量が増加する
ほど,無電解めっき液の自己分解開始時間は遅くなるこ
とから,ビピリジルは無電解めっき液の安定化に貢献す
る物質であると考えられる。しかし,上述の実施形態例
1のようにアニオン性界面活性剤及びフェロシアン化カ
リウムを添加した場合に比べて,著しく自己分解開始時
間が早い(図1参照)。このことから,ビピリジルで
は,無電解めっき液を十分に安定に保持できず,ノジュ
ールの発生防止効果は期待できないと考えられる。
【0043】比較例4 本例においては,アニオン性界面活性剤及び鉄イオンを
添加することなく,錯化剤の添加量を,実施形態例1よ
りも増加させた。即ち,実施形態例1におけるSTDの
無電解めっき液に,無電解めっき液に含まれる錯化剤の
添加量の2倍,3倍の錯化剤を更に添加した。錯化剤と
しては,実施形態例1と同様にクエン酸二ナトリウムを
用いた。クエン酸はニッケルイオンの錯体を形成させる
可能性があるため,クエン酸の添加量を増加すれば,無
電解めっき液の安定性が向上すると考えたためである。
【0044】本例の無電解めっき液の安定性を実施形態
例1と同様に評価し,その結果を図6に示した。同図よ
り知られるように,クエン酸の添加量が増加しても,予
想に反して,無電解めっき液の自己分解開始時間は殆ど
遅くならず,無電解めっき液の安定性はあまり向上しな
かった。また,本例の無電解めっき液は,実施形態例1
のようにアニオン性界面活性剤及びフェロシアン化カリ
ウムを添加した場合に比べて,無電解めっき液の安定性
は著しく劣るものであった。
【0045】このことから,錯化剤の添加量を増加して
も,予想に反して,無電解めっき液の安定化効果は殆ど
ないことがわかる。また,錯化剤としてロッシェル塩を
用いた場合にも,同様に無電解めっき液の安定化効果は
みられなかった。
【0046】比較例5 本例においては,アニオン性界面活性剤及びフェロシア
ン化カリウムを添加することなく,無電解めっき液のp
Hを変化させた。即ち,錯化剤として用いているオキシ
カルボン酸は,基本的にアルカリ性においてニッケルの
錯化能力が高くなることが知られている。そこで,実施
形態例1におけるSTDの無電解めっき液のpHを,実
施形態例1の場合が10であるのに対し,11.0,1
2.0,12.5と変化させた。
【0047】本例の無電解めっき液の安定性を実施形態
例1と同様に評価し,その結果を図7に示した。同図よ
り知られるように,無電解めっき液のpHを高くして
も,予想に反して,無電解めっき液の安定化効果はみら
れなかった。
【0048】比較例6 本例においては,アニオン性界面活性剤及びフェロシア
ン化カリウムを添加することなく,硫酸銅の濃度を変化
させた。即ち,実施形態例1におけるSTDの無電解め
っき液に対し,その中に含まれている硫酸銅の濃度を2
倍,3倍,5倍に変化させた。
【0049】本例の無電解めっき液の安定性を実施形態
例1と同様に評価し,その結果を図8に示した。同図よ
り知られるように,硫酸ニッケルの量を増加しても,無
電解めっき液の安定性は殆ど変化しなかった。
【0050】比較例7 本例においては,アニオン性界面活性剤及びフェロシア
ン化カリウムを添加することなく,硫酸ニッケルの濃度
を変化させた。即ち,実施形態例1におけるSTDの無
電解めっき液に対し,その中に含まれている硫酸ニッケ
ルの濃度を0.5倍,1.5倍に変化させた。
【0051】本例の無電解めっき液の安定性を実施形態
例1と同様に評価し,その結果を図9に示した。同図よ
り知られるように,硫酸ニッケルの量を増加すると,無
電解めっき液の安定性は,逆に低下することがわかる。
【0052】比較例8 本例においては,アニオン性界面活性剤及びフェロシア
ン化カリウムを添加することなく,還元剤の濃度を変化
させた。即ち,実施形態例1におけるSTDの無電解め
っき液に対し,その中に含まれている還元剤の濃度を1
/2倍,2/3倍,1.5倍に変化させた。還元剤とし
ては,実施形態例1と同様に次亜リン酸を用いた。
【0053】本例の無電解めっき液の安定性を実施形態
例1と同様に評価し,その結果を図10に示した。同図
より知られるように,次亜リン酸の量を増加すると,無
電解めっき液の安定性は,逆に低下することがわかる。
【0054】上記比較例3〜比較例8より,アニオン性
界面活性剤及びフェロシアン化カリウムを添加しない場
合には,他の無電解めっき液の成分を増減しても無電解
めっき液の安定性は得られないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,フェロシアン化カリウ
ム濃度と,無電解めっき液の自己分解開始時間との関係
を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,フェロシアン化カリウ
ムを含む無電解めっき液により形成した無電解めっき膜
表面の,走査電子顕微鏡による図面代用写真(A)及び
その説明図(B)。
【図3】比較例1における,非イオン性界面活性剤を含
む無電解めっき液により形成した無電解めっき膜表面
の,走査電子顕微鏡による図面代用写真(A)及びその
説明図(B)。
【図4】比較例2における,フェロシアン化カリウム無
添加で,かつ,非イオン性界面活性剤を含む無電解めっ
き液により形成した無電解めっき膜表面の,走査電子顕
微鏡による図面代用写真(A)及びその説明図(B)。
【図5】比較例3における,フェロシアン化カリウム及
びアニオン性界面活性剤が存在しない無電解めっき液に
ついての,ビピリジル濃度と無電解めっき液の自己分解
開始時間との関係を示す説明図。
【図6】比較例4における,フェロシアン化カリウム及
びアニオン性界面活性剤が存在しない無電解めっき液に
ついての,クエン酸濃度と無電解めっき液の自己分解開
始時間との関係を示す説明図。
【図7】比較例5における,フェロシアン化カリウム及
びアニオン性界面活性剤が存在しない無電解めっき液に
ついての,pHと無電解めっき液の自己分解開始時間と
の関係を示す説明図。
【図8】比較例6における,フェロシアン化カリウム及
びアニオン性界面活性剤が存在しない無電解めっき液に
ついての,硫酸銅濃度と無電解めっき液の自己分解開始
時間との関係を示す説明図。
【図9】比較例7における,フェロシアン化カリウム及
びアニオン性界面活性剤が存在しない無電解めっき液に
ついての,硫酸ニッケル濃度と無電解めっき液の自己分
解開始時間との関係を示す説明図。
【図10】比較例8における,フェロシアン化カリウム
及びアニオン性界面活性剤が存在しない無電解めっき液
についての,次亜リン酸濃度と無電解めっき液の自己分
解開始時間との関係を示す説明図。
【図11】従来例における,アディティブ法によるプリ
ント配線板の製造方法を示す説明図。
【符号の説明】
91...基板, 92...めっきレジスト, 931...下地めっき, 932...厚付け銅めっき, 93...配線パターン,

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルイオンと,銅イオン又はコバル
    トイオンの1種又は2種よりなる金属イオンと,ヒドロ
    キシカルボン酸を含む錯化剤と,還元剤とを有してな
    り,pHが7以上の無電解めっき液であって,該無電解
    めっき液は,鉄イオンとアニオン性界面活性剤とを含有
    することを特徴とする無電解めっき液。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記鉄イオンは2価
    又は3価であることを特徴とする無電解めっき液。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記鉄イオン
    源は,フェロシアン化カリウム,フェリシアン化カリウ
    ム,塩化鉄(II),硫酸鉄(II),塩化鉄(II
    I)及び硫酸鉄(III)のグループから選ばれる1種
    又は2種以上よりなることを特徴とする無電解めっき
    液。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記錯化剤は,上記無電解めっき液の中に,上記ニッケ
    ルイオンと,銅イオン又はコバルトイオンの1種又は2
    種よりなる金属イオンとの合計モル数と同等モル以上含
    まれていることを特徴とする無電解めっき液。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4において,上記フェロシ
    アンイオンは,上記無電解めっき液の中に,5mg/リ
    ットル〜1g/リットル含まれていることを特徴とする
    無電解めっき液。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項において,
    上記アニオン性界面活性剤は,上記無電解めっき液の中
    に,10mg/リットル〜20g/リットル含まれてい
    ることを特徴とする無電解めっき液。
JP26488297A 1996-09-10 1997-09-10 無電解めっき液 Pending JPH10140364A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010132949A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 C Uyemura & Co Ltd 無電解ニッケルめっき浴及び無電解ニッケルめっき方法
JP2010150622A (ja) * 2008-12-26 2010-07-08 Hitachi Ltd めっき液,凸状金属構造体を有する導電体基板、及び、その製造方法

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